平成23年度本会議質問

2012年2月24日

(3)患者のニ―ズに対応した医療機器の開発支援について
【内田みほこ】
「患者のニ―ズに対応した医療機器の開発支援について」伺います。
「いのち輝く神奈川」を掲げる本県では、病床数や医師・看護師の数などをはじめとする治療環境の充実を図ることも必要ですが、患者がより快適に治療を受けられるよう、医療現場での患者サービスの更なる向上を図ることが重要です。
 医療機器関連市場は先進国、新興国を問わずコンスタントに市場拡大が期待されています。今、日本の電気産業は薄型テレビなど韓国や中国のメーカーにおされ、どの企業も大赤字です。今後、医療などの専門性を加味した商品開発をしなくては先が無い状況です。医療機器や器具は大小様々で材質も金属やゴム、強化プラスチックなど多様です。製品トレンドや医療機器の全体市場について常に研究・情報収集していくことが、生き残りをかけた日本企業の戦略になりえるでしょう。
県もニーズと情報を「好機」ととらえ、保健福祉局と商工労働局の横断的な取組みを強化し、浮彫になった患者や医師・看護師のニーズの集積を、生かすべきと考えます。また、本県には医療機器以外の分野でも優れた技術や知識をもつ中小企業が数多く存在します。より良い製品の開発につなげるために、医療の枠にとらわれず、他の製造業分野の優れた知恵や技術を加えることも重要であると考えます。
そこで、知事に伺います。「いのち輝く神奈川」を掲げるのであれば、その一環として、患者のニーズをより適切に反映した「患者に優しい医療器具」の開発に向け、県内の優れたものづくり中小企業者に医療分野でご活躍いただける取組みも検討すべきと考えますが、どのように進めていこうとお考えなのかお伺い致します。
また、「患者や医師のニーズを汲み取る場」として、県立病院も積極的に協力していくべきと考えますが、併せて知事の見解についてもお伺い致します。


【黒岩知事答弁】
 医療機器は、安全で安心な医療を提供するための基本となるものであり、「患者に優しい医療機器」は、患者の皆さんや医療従事者など、日々、医療に関わる方々の願いであると認識しています。
 そこで県は、これまでも産業技術センターにおいて、医療機器を製造する中小企業に技術支援を行なってきました。その結果、痛みが少ない、歯科治療用の「電動麻酔注射器」や、振動に強い「多機能心電計」などの製品に結びつけ、ユーザーから高い評価を受けています。
 医療機器は、直接、からだに影響を及ぼすものであるため、開発には法の規制などのハードルがあります。しかし、成長が期待されるとともに、高い技術力を持つ中小企業が、その技術を活かすことができる有望な分野であると考えております。このため、県は来月、神奈川R&D推進協議会とともに、医療機器開発促進セミナーを開催し、医療機器の専門メーカーに対して、医療分野以外の中小企業の技術も紹介し、新たな技術・製品の実現に向けた相互協力や技術連携を促進することといたしました。
 また、各県立病院では、臨床研究所が、新たな診断法や治療法に関する様々な研究開発を行っております。研究開発の過程で、医療機器の使い勝手や新たな機能のニーズも出てまいりますので、こうしたニーズを企業に伝え、「患者に優しい医療機器」の開発を促進してまいります。

【内田みほこ再質問】
 患者のニーズに対応した医療機器の開発支援について、例えば「神奈川工業技術開発大賞」を受賞した優れた技術の中小企業とも、県は積極的にコーディネートやアプローチをしていく取組みが必要と考えますが、県はどのように進めていこうと考えるのかお伺いいたします。

【黒岩知事答弁】
 これまでも県内中小企業の中には、電子機器のメーカーから医療機器の分野に参入して、超音波検査装置を開発して成功していると、こういった例もあります。
 ですので、ご指摘のとおり、神奈川工業技術開発大賞を受賞した企業は、それだけの能力を持っているわけでありますから、そういったところに今回のその「セミナー」への出展を呼びかけたり、積極的にそのコーディネートをしてまいって、新たな技術がそこから飛び出してくるように、私も全力を注ぎたいと思っております。