平成23年度本会議質問

2012年2月24日

(4)「脳脊髄液減少症」の教育現場への周知について
【内田みほこ質問】
「脳脊髄液減少症」の教育現場への周知について伺います。
「脳脊髄液減少症」とは、交通事故やスポーツ外傷などによる身体への強い衝撃や頭部外傷で脳脊髄を覆っている硬膜が破れて髄液が漏れ出して脊髄液が減少することで脳が下がり、頭痛やめまいなど、多様な症状が現れる疾患です。患者は推定で数十万人とされ、ひどい頭痛以外にも顔面麻痺、燕下障害や思考力、集中力の低下などあげられ、寝たきりの状態になることもままあります。周囲からは単なる「怠惰」ではないかと誤解されることもある「外から見えにくい疾病」ともいえます。
これまで「脳脊髄液減少症」は治療法や統一的な診断基準がなく、2000年以降「交通事故被害者の中にいるのに見落とされている」との指摘がありました。2007年度発足の厚労省研究班代表で国立がん研究センター理事長の嘉山氏が、「髄液漏れの患者の存在が確認できた」とする中間報告をとりまとめ、昨年十月に厚労省により、統一の診断基準が打ち出されました。しかし、この「脳脊髄液減少症」の治療法に有効な脳脊髄液が漏れる穴をふさぐ「ブラッドパッチ療法」は、1回三十万円と高額であり、何度か施すことがあるにも係らず、保険適用外となっていて、患者は今も厳しい状況に置かれています。我々は厚労省の想定する2年後の保険適用に向け、声を上げて行く好機ととらえております。
また、この疾患の子どもは1年以内に治療すると、改善する割合が96%にのぼることがわかりました。交通事故や転倒で頭部を強打したり、鞭打ちになった場合、このような疾患もあるのだということを学校関係者や保護者は予め知っておく必要があると考えます。
そこで、教育長に伺います。生徒が何らかの事故に遭い、頭痛や倦怠感などの症状が続いた場合は脳脊髄液減少症も疑われるので、教職員や保護者に対し、この疾患についても周知していく必要があると考えますが、今後の取組みについて伺います。

【教育長答弁】
 教育関係について、お答えいたします。
 脳脊髄液減少症の、教育現場への周知について、お尋ねがございました。
 脳脊髄液減少症は、スポーツ外傷や交通事故等の後に、脳脊髄液が漏れ出し、減少することによって、頭痛やめまい、不眠や記憶障害など、様々な症状が起きる疾患と言われております。
 この疾患は、未だに医学的な解明が十分になされていないため、頭痛やめまい、だるさ等が続いてヽ日常生活や学校生活に支障が生じていても、理解されにくく、まわりの人からは、怠慢であるなどの喚解を受ける事例も指摘されております。
 そこで、これまで、県教育委員会では、教職員がこの疾患について理解し、児童生徒に適切な対応が行えるよう、特徴的な症状やその対応方法などを盛り込んだ、リーフレットを作成し、県立学校や市町村教育委員会に周知してまいりました。
 また、今年度は、県立学校の養護教諭等を対象に、この疾患の特徴や、発症の原因と思われる事例、対応方法などについて理解を深め、学校において適切な対応が行えるよう、専門医による講演会を実施したところでございます。
 今後は、この疾患について、教職員、児童生徒、保護者の理解が一層深まるよう、保健福祉局と連携して、よりわかりやすい内容のリーフレットを作成し、新しい学年の初めには、県立学校や市町村教育委員会等に周知してまいります。さらに、学校生活において、頭痛やめまい等の症状が継続的に見られる児童生徒には、養護教諭が中心となって、既往歴やスポーツ歴等を確認するとともに、家庭とも十分な連携を図り、専門医の受診を勧めるなど、適切な対応が行えるよう努めてまいります。

【内田みほこ要望】
  柔道など、これから必修化になりますが、オリエンテーションなどで、是非周知していただきたいと思います。