(5)弱者にやさしい社会づくりに向けた県民意識の醸成について
【内田みほこ質問】
「弱者にやさしい社会づくりに向けた県民意識の醸成」について伺います。
内部に障害を持つ方や、重い病気を抱えて生活する方などが増加傾向にあります。内部障害の方は、障害が見えにくいため、周囲の理解を得づらく、障害者用の駐車スペースに車を置くと注意される、電車やバスの優先席に座ると冷ややかな目で見られるなどの経験が多いとされる他、就職・就業にも支障が出る場合もあるとのことです。厚労省の身体障害者実態調査によると、身体障害者の3分の1の107万人が内部障害者で、その内訳は心臓機能障害者が最も多く、59万5000人です。次に腎臓機能障害23万4,000人、膀胱・直腸機能障害13万5,000人。呼吸器機能障害9万7,000人。小腸機能障害8,000人、ヒト免疫機能ウイルスによる免疫機能障害1000人ということです。
いまや、内部障害や内臓疾患は身近なものであり、いつ誰が身体内部に障害をかかえることになるかわかりません。日本学生支援機構などでも、内部障害者の疾患や特性に応じた就職支援などが行われていますが、高齢者に限らず、若年者の方の中にも外見からはみえにくい疾患をかかえている方がともに生活していることを理解しなければなりません。誰もが外から見える、見えないに関係なく、障害を抱えていても、日常生活において安心して暮らしたい思いがあると考えます。そのためには、施設などハード的なことも重要ですが、人々の心の中にある障害への無理解や無関心といった「バリア」を取除いていく必要があり、皆さんのちょっとした心づかいと理解というものが福祉のまちづくりの実現には欠かせません。日常生活において、目に見えない障害者に対する「気づき」と「理解」など県民意識を醸成していくことも行政の役割のひとつと考えます。そのためには、「ハートプラスマーク」など、内部障害者とわかるような統一のマークの周知をはかることや、周囲の理解や職場環境の整備や社会のしくみづくりが不可欠です。
そこで保健福祉局長に伺います。 外見ではわからない重い病気などを抱える内部障害をはじめ、県民ひとり一人が、「障害」というものをもっと理解し、「思いやる心」を持てるようにすることが「弱者にやさしい社会づくり」への第一歩と思いますが、県の取組みを伺います。

【保健福祉局長答弁】
 弱者にやさしい社会づくりに向けた県民意識の醸成について、お答えします。
 弱者にやさしい社会づくりを進めていくうえで、障害の種類や程度が一人ひとり異なり、外見では分かりにくい障害の方もいることを理解し、障害への関心をもってもらうことは大変重要です。そこで、県の保健福祉事務所では、小・中学生が、障害者や高齢者の方と一緒に、まちを歩き、自ら、段差などのバリアを体験して、思いやりの気持ちを身につける「バリアフリー教育」を実施しております。
 また、今年度からは、公共交通機関や宿泊施設など接客対応が多い企業の社員研修に、障害当事者の方を講師として派遣し、日常業務の中での障害者への接し方や、障害への理解の必要性について、直接、話をしていただいております。
 さらに、内部障害者への理解を進めるため、県のホームページで、ハートプラスマークや、オストメイトマークについて紹介をしております。
 また、平成20年度に、神奈川県バリアフリー街づくり賞を創設し、この1月には、小学校で、車いすの体験教室を長年にわたり開催しているボランティア団体などを、知事から表彰していただいたところでございます。
  来年度は、県立藤沢工科高校において、障害者や高齢者の意見を取り入れながら、一緒になって、ユニバーサルデザインのベンチを作る授業を実施する予定です。こうした地域に根ざした、心のバリアフリーの取組みを、広く県民の方に知っていただき、思いやる心を持った、弱者にやさしい社会づくりに努めてまいります。

【内田みほこ再質問】
  国として、目に見えない障害を抱える方々のための統一マークを作ろうという動きはどのようになっているのでしょうか。県で把握している内容がございましたらお伺いしたいと思います。

【保健福祉局長答弁】
 外見からは分かりにくい障害のある方のマークについてでございますが、先ほど、答弁しましたように、現在、内部障害の方のためのハートプラスマークや、人工肛門の方のためのオストメイトマーク、そして、聴覚障害の方のための耳マークなどがございます。
 国では、これらのマークについて、ホームページにより、情報提供を行い、マークの周知とともに、障害者への配慮について理解と協力を呼びかけております。これらのマークは、それぞれの障害者団体が、自ら作成したものでございまして、国において、これらのマークを統一するという動きはいまのところございません。

【内田みほこ要望】
 県民意識の醸成がこれから大切ですし、そうしたマークもこれから増えてくると思いますが、国への働きかけも同時に進めていただけるよう要望いたしたいと思います。

平成23年度本会議質問

2012年2月24日