(6)生活保護世帯の子ども達への支援について
【内田みほこ質問】
「生活保護世帯の子ども達への支援」について伺います。
厳しい経済雇用情勢により、神奈川県全体の生活保護世帯は、平成十八年度の74,586世帯から平成二十二年度の99,120世帯へと、5年間で1.3倍に増加し、0歳から19歳までの子どもの数も、平成十八年7月時点の17,905人から平成二十二年の同月時点で21,995人へと1.2倍増え、生活保護世帯の子どもも増加しているといえます。
親の経済的状況と子どもの学力格差への影響について、平成二十一年度文部科学白書によると、学校教育法に基づく就学援助を受けている生徒の割合が高い学校は割合が低い学校よりも平均正答率が低い傾向が見られ、また親の収入が多いほど、大学進学率は高い傾向であると報告されています。さらに、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査報告によれば、正社員の割合は、学歴が高いほど高く、学歴により就業形態に著しい違いがあるとのことです。親の経済的な環境ゆえに、結局、親と同じような道をたどるという、いわば「負の連鎖」が起こっているということは、想像に難くない状況です。世帯所得の少ない家庭に生まれたことにより、様々なハンディを背負い、選択の余地なく子どもが将来に希望をもつこともできないような環境は、日本の将来にとっても深刻な社会そのものではないかと思います。
県では、平成二十二年度から、町村を所管する県保健福祉事務所に生活保護世帯の子どもの支援を行う子ども支援員を配置するとともに、県庁内で福祉・教育・青少年などの部局横断プロジェクトチームを発足させ、子どもの健全育成のために取り組んでいると認識しております。
そこで知事にお伺いします。生活保護世帯の子どもが「負の連鎖」に陥ることなく、自立して生きていくたには、経済的支援だけでなく、子どもに目を向けた適切な支援が必要と考えますが、県としてどのように対応していこうとしているのか伺います。

【黒岩知事答弁】
 最後に、「負の連鎖」をなくす教育支援についてお尋ねがありました。私からは、生活保護世帯の子どもたちへの支援についてお答えします。
 厳しい経済・雇用情勢を背景として、生活保護世帯が急増しており、子どもの健全な成長や自立に向けた支援が喫緊の課題となっております。県は、昨年8月、生活保護世帯の子どもの自立のための、必要な支援について、県内すべての福祉事務所のケースワーカーにアンケートを行い、700人余りから回答を得ました。
 その結果、子どもの自立には、就職に向けた支援、高校進学に向けた支援、生活習慣やしつけに関する支援などが有効であるという意見が多数寄せられました。県はこれまで、子ども支援員を6つの福祉事務所に配置し、生活保護世帯の家庭訪問を行い、親からの養育相談を受けたり、子の悩みを聞くなどの支援をしてまいりました。また、進学を控えた中学生、高校生、その親に対し、ケースワーカーが学校と連携し、受験対策、進学資金の確保について助言を行うなど、きめ細かな対応を行っております。
 今後は、今回のアンケート結果をもとに、現在2箇所の保健福祉事務所で実施している生活保護世帯の中学生を対象とした学習会を、4箇所に拡大し、ボランティアと協働して、毎週実施してまいります。また、高校を退学した子どもに対して、子ども支援員が、一人ひとりと面接し、生活習慣の改善に向けた助言を行いながら、学校やハローワークに付き添うなど、復学や就労に向け、必要な支援を行ってまいります。こうしたきめ細かい支援を通じて、生活保護世帯の子どもたちが、将来に向け、希望をもって育つことができるよう、教育委員会や市の福祉事務所とも連携しながら、取り組んでまいります。

【内田みほこ再質問】
 まず、生活保護世帯の子どもたちへの支援ですが、県の取り組みとして、学習会を行っているとのことでしたけれども、どこの地域で、保健福祉事務所で行っているのでしょうか。また、今後の予定や、広げていくとしたらどこに広げていくのかお伺いします。

 【再質問に対する回答(保健福祉局長)】
 学習会についてでございますが、現在、平塚保健福祉事務所と足柄上保健福祉事務所において実施しております。
 来年度から、茅ヶ崎保健福事務所、厚木保健福祉事務所で実施することとしております。

平成23年度本会議質問

2012年2月24日