(7)教育現場におけるNPO等との連携について
【内田みほこ質問】
「教育現場におけるNPO等との連携」について伺います。先ほど指摘したとおり、「負の連鎖」が大きな課題となっておりますが、世界的にみても貧困や教育格差の問題は深刻で、その解決に向けた動きが各国で見られます。アメリカでは1990年、当時大学生だったウェンデイ・コップにより設立されたNPO「ティーチ・フォー・アメリカ」が画期的な取組みをはじめました。情熱ある人材を集め、問題の顕著な学校・地域へ教員として2010年までに四十三地域、十六校以上の学校、のべ3万人以上を派遣するに至り、約300万人の子供たちに教育を通じ支援しているそうです。2010年末には二十二か国が加盟、今年一月には、日本で普及を図ってきたNPOが正式に二十三番目として加盟し「ティーチ・フォー・ジャパン」として新たなスタートを切りました。先日も、しきだ議員の紹介により、「ティーチ・フォー・ジャパン」の松田悠介代表をお招きし、わが会派の有志による勉強会を開催するなど、今後の活動に期待を寄せています。この団体は、社会人や学生スタッフで構成され、昨年三月に発生した東日本大震災で親を亡くした子供たちや、震災を機に生活・学習環境が一変した子供たちへの教育支援、被災地から東京に避難してきた子供たちのサポートなどを行っています。また、日本で暮らす外国籍児童生徒への学習支援にも力を入れていると聞いています。このような「ティーチ・フォー・ジャパン」などのNPOや大学生など地域の様々な活動と連携して一緒に取組んでいくこともひとつの有力な方策と考えます。
そこで、教育長にお伺いします。様々な教育課題を解決していくにあたり、NPOや大学生などとの連携による取組みをすすめていくことが求められていると考えますが、現状と今後の考え方についてお伺い致します。

【教育長答弁】
 教育関係について、お答えいたします。
 教育課題の解決に向けた、NPOや大学生などとの連携について、お尋ねがございました。  すべての県立高校では、生徒一人ひとりの状況に応じた多彩な教育活動を展開するため、大学や専門学校、企業、NPOなど様々な機関との連携に取り組んでおり、NPOや大学生などと連携して学習支援を行っているものもございます。
 具体的には、相模原青陵高校ではNPO等と連携し、外国籍生徒に対する学習支援を行い、また、田奈高校では、学習に課題を抱える生徒に、大学生が補習を行うといった取組みが進められております。生徒からは、「自分にあった学習方法が分かった」という声が寄せられており、学習意欲を高めるとともに、心理的なサポート面での効果も上がっております。
 また、公立小学校に対して授業や放課後などの学習支援を行うために、教員志望の大学生をスクールライフサポーターとして、今年度は126の小学校に、35の大学から217名を派遣しております。派遣された小学校からは、学習に遅れがちな児童に大学生が寄り添い、きめ細かい支援を行うことで心の安定が図られ、意欲的に授業に取り組めるようになったといった感想が寄せられています。
 また、大学生からは、講義では学べない、子どもへの関わり方を学ぶ良い機会になったという声が寄せられており、今後、こうしたメリットを周知することで、新たな学生の参加が期待できるものと考えております。
 NPOや大学生との連携は、部活動や環境教育などにも広がっており、県教育委員会といたしましては、児童・生徒の幅広い学習希望への対応や学校生活の充実のため、それぞれの学校の特性に応じた取組みを支援してまいります。

【内田みほこ再質問】
 大学生がスクールライフサポーターとして、派遣する前に研修が必要と考えますが、いかがでしょうか。

【教育長答弁】
 スクールライフサポーターを派遣する前の研修の必要性について、お尋ねがございました。
 これまでも、スクールライフサポーターとして小学校に派遣する大学生に対しては、学習支援を行う上で必要となる基本的な指導方法などについて、教育学の専門家や指導主事を講師として、事前に2日間で10コマ程度の研修を実施しております。
 今後は、より一層子どもたちへの理解を深めるため、この事前研修の講師として、心理や福祉の専門家、また、フリースクールや児童相談所で実際に支援活動を行っている方などを迎えまして、問題を抱える子どもたちの現状や背景を理解するための講座を加えていくことで、研修を深めてまいりたいと考えております。

平成23年度本会議質問

2012年2月24日