岩手県は、環境省が平成23年5月16日付けで公表したマスタープラン(東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針)の内容を受け、その年の6月に「岩手県災害廃棄物処理実行計画」を策定し、災害廃棄物処理の基本的考え方を示したそうです。
 その後、災害廃棄物の発生量を精査するとともに、これに基づく一次仮置場以降の災害廃棄物の具体的な処理方法を定めるため、「岩手県災害廃棄物処理詳細計画」を策定し、第3回岩手県災害廃棄物処理対策協議会(平成23年8月30日開催)で了承されました。災害廃棄物の仮置き場では、火災が発生したり、夏には悪臭が発生するなどさまざまな課題があるため、平成26年3月末までに災害廃棄物の処理を完了させる予定になっています。被災地はまだまだ復興には程遠い状態でした。被災地の方々の生活を考えると待ったなしの状態です。生身の人間の生活がかかっていますので、復興のために廃棄物を早く処理して、そこに新たな街づくりをしていかなければなりません。
 岩手県の災害廃棄物の推計発生量は435万トンあり、これは、岩手県の一般廃棄物の約10年分にあたるそうです。そのうち、復興資材として使えるものはリサイクル活用していきます。使えるものとしては、コンクリートがら、堆積物などがあり、約170万トンあります。この他、金属くず類が73万トンあり、こちらは業者等に売却します。残った183万トンが焼却や埋め立て等の処理が必要なものとなります。県内施設では1日約1600トンの処理しかできず、計画の平成26年3月末までに処理を終えるには、広域処理により全体の約30%(57万トン)を処理する必要があります。
 問題は、岩手県内で処理するもの以外、リサイクルに回すもの、業者に売却するものも含め放射能汚染の疑いがないかどうかの確認がしっかりできているかどうかです。
 環境省から出ている指針は、「放射性物質濃度が搬入前に1キロ当たり240ベクレル以下であれば、焼却後も埋め立て基準値の同8千ベクレルを超えることはない」としています。8千ベクレルというのは、その廃棄物を埋め立てた上で作業をする人が1年間に浴びる線量が1ミリシーベルト(国が定めた国民一人ひとりの年間被ばく線量限度)以下となる数値です。
 今回の調査で、岩手県の災害廃棄物の放射性物質濃度(セシウム134、137)は、広域処理をする予定のものについては、ほとんどが測定機器の測定限界(20~30ベクレル/kg)を下回る値であり、最も高いものでも135ベクレル/kgでした。神奈川県の黒岩知事が受け入れを表明しているのは放射性物質として扱わなくてもよい100ベクレル/kg以下のものですのでさらに放射性物質濃度の低いものです。
 受け入れについては、しっかりとした放射性物質濃度の測定とチェック体制を確立し、常にチェックすることが大切です。また、最終処分場の場所の問題もありますので、近隣住民の方々の意向を大切に、時間はかかっても、安全性を最優先にして「がれき処理」に関して、今後検討していくべきと考えています。 

宮古市の災害廃棄物処理現場

災害廃棄物処理現場 東京都への搬出の様子

 岩手、宮城、福島など、震災による災害廃棄物の処理問題では、国のリーダーシップが弱かったこともあり、神奈川県では住民皆様の理解を得ることも難しい状況でした。そこで、黒岩知事も先般、国に対して広域処理のリーダーシップと責任、そして放射能の安全性の科学的根拠の提示などを要請しました。
 そこで、私たち自民党県議で、今後の動きを見ながらまずはその安全性を確かめるべく、3月17日、18日の両日、岩手県の宮古市にある災害廃棄物受入施設を訪れ、災害廃棄物処理の実際の取組み状況と処理の方法やスケジュールについて調査してきました。東京都へのがれき搬出の様子を見てまいり、東京都の現場担当者から説明を伺いました。

説明いただいた資料

左の写真は現在の宮古市役所です。3階まで津波が来たそうです。

岩手県の瓦礫の状況について

岩手県庁にて日曜出勤いただき廃棄物処理のお話を伺いました。
中央が岩手県総務部長加藤主税氏、右隣が岩手県総務部総合防災室室長小山雄士氏
左隣が岩手県復興局規格化計画課長・岩手県政策地域部政策推進室評価課長森達也氏

2012年3月17日・18日

放射性物質濃度測定の説明