平成19年  商工労働常任委員会 - 1002日−01

平成19年  商工労働常任委員会

◎《委員会記録-平成199-20071002-000003-商工労働常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(福田・菅原の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 当局発言(商工労働部長)

  「芦ノ湖キャンプ村の利用者の個人情報流出事故について」

  「鶴見職業技術校における火災事故について」

  「県西部における地震の被害について」

5 報告事項(商工労働部長)

  「最近の経済動向及び雇用情勢について」

  「原油価格等高騰にかかる中小企業支援対策について」

  「「中小企業活性化条例(仮称)」の策定について」

  「神奈川県産業集積促進方策(インベスト神奈川)について」

  「「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律(企業立地促進法)」の活用に向けた取組状況について」

  「秋の観光振興に向けた取組について」

  「「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律(中小企業地域産業資源活用促進法)」の活用に向けた取組について」

  「平成19年度神奈川県中小企業制度融資の実績について」

  「八都県市「仕事と家庭の調和(ワークライフバランス)推進キャンペーン」の実施について」

  「東部総合職業技術校(かなテクカレッジ)の新しい入校特別枠等について」

6 日程第1を議題

7 提案説明(商工労働部長)

8 経営状況説明(商工労働部長)

  「()神奈川中小企業センター」

  「()あしがら勤労者いこいの村」

  「職業訓練法人神奈川能力開発センター」

 (午前1153分 休憩  午後1時5分 再開)

9 質疑(日程第1及び所管事項並びに報告事項も併せて)

 

内田委員

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 先の本会議で自民党の杉山議員から質問があったように、近年、県内における商店街は衰退の一途をたどってきており、空き店舗や商店会への未加入店舗の問題は、商店街自体の弱体化をもたらす要因となってきております。杉山議員の質問に対し知事は、商店街の振興に向けて積極的に取り組むといった前向きな御答弁をされましたが、そのための条例化については、残念ながら市町村の対応が望ましいとの趣旨の答弁に終わりました。商店街の衰退は全国的なものですが、県内においても大変厳しく、我が党としてはその活性化に向けて、前々から土井議員、そして杉山議員からの条例化の流れを十分にくみ取り、県としての条例の制定も視野に置いて、積極的に取り組むべきではないかと思います。

 そこで、商店街の振興に関する条例を巡って、改めて何点かお伺いしてまいります。

 まず、商店会への加入促進について、条例を制定している自治体があると聞いております。その最新の状況についてお伺いしたいと思っております。

商業観光流通課長

 全国の自治体における加入促進の内容を含む条例の制定状況でございますが、現時点で把握している限りにおきましては、首都圏を中心に42の市や特別区などで制定されている状況でございます。

 その内訳でございますが、東京都の特別区、自治体などを含め、特別区は17、市が11、東京都だけで合計28でございます。その他の市レベルでは13、そして都道府県レベルでは唯一大分県が制定しているというような状況でございます。

内田委員

 都道府県としては1県のみということで、神奈川県もそれにならって検討していただきたいと思っておりますが、加入促進以外の方法で商店街の振興に関する取組を行っている自治体もあるということですが、これについても全国の状況についてお伺いしたいと思います。

商業観光流通課長

 自治体の商店街振興を図るために、商業者に何らかの取組を課す方法といたしまして、条例で加入促進や商店街への協力などについて努力指針を盛り込む例が一番多いわけでございますが、これ以外にも大型店の立地調整の観点から、地域貢献計画書の提出を義務付ける条例でありますとかガイドラインというものを定めている自治体もございます。

 具体的には、福島県は大型店の立地調整を目的とする条例を制定しておりまして、その中で大型店地域貢献計画の提出を義務付けております。同じような形で、地域貢献計画の提出をガイドラインの中で定めている例は、北海道、京都府、熊本県、山口県、香川県の5つの自治体となってございます。なお、市町村レベルでは、埼玉県の上尾市が同様の条例を制定しています。

内田委員

 このように全国的に条例、また地域貢献策などを定めているところも出てきていると思います。神奈川県内では、今年4月に相模原市で商店会への加入促進についての努力規定を盛り込む条例が制定されましたが、その後の相模原市での取組状況、そして制度についてお伺いしたいと思います。

商業観光流通課長

 条例施行後の相模原市の取組でございますが、まず相模原市商工会議所と相模原市商店会連合会で組織されました相模原市商店会加入促進協議会が中心となりまして、条例制定直後の本年5月に加入促進大会というものを開催してございます。その中で、大会宣言でありますとか取組方針とともに、加入促進マニュアルが紹介されまして、今後の加入促進に向けた取組の契機となってございます。このマニュアルに基づきまして、6月から商工会議所と商店会連合会が、商店街に立地する大型店の支店でございますとかチェーン店を訪れまして、直接加入についての説明に伺っているというところでございます。

 一方、相模原市当局におきましても、条例制定を周知するチラシを作りまして、市内の商店街に配布をいたしますとともに、市内に立地するチェーン店の本社などに直接足を運んで協力依頼を行っているというような状況でございます。これらの取組の全体的な成果につきましては、まだ現時点では数値として表れておりませんが、相模原市におきましては今後実施する予定の加入状況に関する実態調査などの結果によりまして、成果を明らかにしてまいりたいというようなことでございます。

内田委員

 それでは、相模原市の実態調査が出ましたら、また御報告いただきたいと思います。

 その他の県内市町村については、条例制定に向けた動きはどのようになっているのでしょうか。

商業観光流通課長

 現時点で把握しているところでございますが、まだ仮称でございますが、藤沢市が藤沢市商業振興条例の検討を行っておりまして、来年4月の施行を目指してございます。この取組内容でございますが、他の自治体で制定されている加入促進条例という形ではなくて、ただいま御答弁いたしました大型店に地域貢献を求めるタイプの条例という特徴がございます。藤沢市以外の自治体ではまだ明確な方針を出すまでには至っておりませんが、7市町におきまして、商店会団体等から条例制定の要望を受けているということで、そのうちの4市において、条例制定の必要性なども含めて今検討を行っているというような状況です。

内田委員

 このように、全体として条例制定の方も動きが出ていると思います。

 次に、最近、()神奈川県商店街連合会が、商店会への加入状況を中心とした実態調査を行って、その結果を公表したと聞いていますが、その内容についてお伺いします。

商業観光流通課長

 御指摘の実態調査につきましては、()神奈川県商店街連合会が商店会への加入促進の実態を明らかにするために、本年7月に実施をしたものでございます。

 調査の対象でございますが、連合会加盟の商店街のうち、30以上の店舗を持つ449の商店街に対して調査を実施いたしましたところ、207の商店街から回答があり、回答率は46.1%でございます。

 調査項目でございますが、業種や業態別の加入状況を中心に、会費の状況ですとか、未加入店舗への加入依頼状況、それから電気代等の経費負担状況のほか、未加入店舗に関して困る点、また加入に向けて検討している内容などについて伺ってございます。そのうち加入状況の調査結果でございますが、加入率は全体で78.8%でございました。それを業態別に見ますと、大型店は75.7%、チェーン店は65.1%、その他の一般商店などが79.7%ということで、やはりチェーン店がやや低くなっているという傾向がございます。また、業種別では物販店が高く87.7%、飲食店が76.6%、夜間飲食店が63.1%、サービス、娯楽が77.7%、その他が79.8%ということでございまして、夜間飲食店が最も低いという状況でございます。

内田委員

 夜間飲食店というのは主にどういった内容の飲食店なのでしょうか。

商業観光流通課長

 商店街に立地する実態としては、いわゆる飲み屋の系統でございます。

内田委員

 そういうところにも是非とも加入に向けて取り組んでいただきたいと思います。全体として、この調査結果について、県の方としてはどのように受け止めているのでしょうか。

商業観光流通課長

 これまでは推計に基づく数値しかなかったわけですが、県内の商店会の加入状況は今回の調査の結果、207と少ない数ではございますが、具体的な裏付けのあるデータとして把握できたということで、意味があることと受け止めてございます。また、調査の結果の中でも全体の加入率につきましては、明確な基準があるわけではありませんが、それほど低いものではなかったかなというふうには受け止めてございます。ただ、未加入店の問題は、数は少数でございましても、やはり商店街全体のモラルに影響するということで、単なる数字でははかれない面もあるというように認識してございます。

 また、業種、業態別、また市町村別に見ますと、ある程度差異も生じておりまして、こうした結果につきましては、今後の加入促進に向けた取組を、地域の実情に応じてよりきめ細かく展開していくための手掛かりとしていただけるのではないかと考えてございます。

 また、もし今回の調査が今後も定期的に実施されるようであれば、経年変化がとらえられまして、加入状況の傾向をより詳しく分析することができ、より効果的な対応策も生み出せるものではないかと期待しているところでございます。

内田委員

 このように地域の実情が手掛かりになるということで、全国的には当然加入に向けて動いていますが、この調査を踏まえて商店街の振興に関する条例の制定については、県としてはどのように考えているのか、なぜ条例化していこうとしないのか、また何が問題であるのかについてお伺いしたいと思います。

商業観光流通課長

 商業振興の中心となっております商店街でございますが、やはり一番大きなところは地域によっていろいろな事情が違うというところでございます。また、取り巻く環境も様々でございまして、また抱えている課題も非常に多様にわたっているということでありますから、商店街振興の取組、特に条例化ということでございますが、これらの地域の事情に詳しい市町村に受け止めていただき、県は広域的、先導的な立場から支援していくという基本的な考え方につきましては、本会議で知事が答弁したとおりでございます。

 今回の調査結果で市町村によっては、やはり商店街への加入率に差が生じているということもあり、調査はやはり県内一律で行うことは難しいのではないかということを表しているとも思ってございます。商店街の振興につきましては、県としては条例制定の方向というよりも、それぞれの商店街や地域に合ったより良い店舗を展開できるように、市町村とよく連携しながら今後とも検討を続けてまいりたいと考えてございます。

内田委員

 条例化していかないで、市町村の方にまず頑張ってもらって、それから県が支援していく方向になっているようですが、それでは商店会への加入や大型店との共存の課題を巡って、県としてはこれからどのように対応していくのでしょうか。

商業観光流通課長

 県としての基本的な考え方でございますが、まず商店街が自ら活性化に取り組んでいただきまして、それに対して市町村が支援を行う。それらの取組に対しまして、県が広域的、また重点的な観点に立ちまして、あるいはモデル的なケースに対して、先導的な視野に立って支援を行うというような考え方を基本に置いて様々な施策を行っているところでございます。

 加入促進や大型店との共存の問題につきましても、商店街や市町村の主体的な取組が促進されるように、まずはこうした内容に関する県内外の自治体でありますとか、商店街団体の取組に関する情報を幅広く収集いたしまして、県内市町村に、また神奈川県商店街連合会を通じて、県内の商店街団体に提供してまいりたいと考えてございます。

 そして、大型店や百貨店、大手スーパーの専門店などをメンバーといたしました商業振興協議会という組織がございまして、私どもが事務局となって運営をさせていただいておりますので、そのような場を活用して、商店会への加入でありますとか、地域貢献活動について更に協力をお願いし、また大型店側の事情も把握をしていきたいと考えてございます。

内田委員

 それでは、要望を申し上げたいと思います。

 やはり、商店街の振興について現時点では条例化は考えていないという方向かと思いますが、やはり知事としてリーダーシップをとっていただきたいと思っております。そして、商店街を中心とした地域の商業が衰退しているのは本当に残念なことです。商店街を活性化させるためにも、商店街の振興条例の制定は必要ではないかと再度思っております。本会議で杉山議員が言及したように、議員提案による条例化も考えていかなければならない状況もございますので、当局としても、是非ともより積極的に取り組んでいただくことを要望して、この質問については終わりにします。

 次の質疑にまいります。最近の景気の動向について、先ほど商工労働常任委員会報告資料により御報告があったところですが、国は「このところ一部に弱さが見られるものの、回復している」と判断しています。しかし、全国の中小企業を取り巻く経済環境は依然として厳しく、県内においても県内企業の87%以上である中小企業の経済環境は、言うまでもなくやはり厳しいものだというのが現状です。本当の景気の回復を実感している企業は多くはないと考えられます。本県の中小企業は高度なものづくり技術を有する企業から、商業や観光業など地域に密着した企業まで、多様な企業が数多く存在し、神奈川県における経済の発展や雇用の確保に強い影響力を果たしてまいりました。こうした中小企業全体が景気の回復を実感し、元気になるようにその手助けをするなど、あらゆる形で支援しバックアップしていくことが、今、県の役割として求められていると考えられます。

 そこで、質問に移ります。中小企業活性化条例(仮称)を制定するとの報告がありましたが、これに関連して何点か伺ってまいります。

 まず、この中小企業活性化条例(仮称)の制定までのスケジュールについて、改めてお伺いいたします。

産業活性課長

 まず本年度は幅広く中小企業の皆様の御意見をお聞きするということと、本県の産業振興について御提言をいただきます、かながわ産業活性化懇話会で条例の中に盛り込む内容について御意見をいただきまして、基本的な考え方を骨子としてまとめていきたいと考えております。

 次に、来年度でございますが、この骨子をもとに県民の意見反映手続、いわゆるパブリックコメントを行いまして、県民の皆様からいただいた意見を踏まえて更に検討を進め、条例案としてまとめてまいりたいと考えています。また、検討の過程においては、節目で議会に御報告し、御意見を伺ってまいります。

内田委員

 今、かながわ産業活性化懇話会で意見を聞きながら制定作業を進めるという話がございましたが、懇話会の方ではどのような意見が交わされているのでしょうか。

産業活性課長

 かながわ産業活性化懇話会でございますが、この9月12日に今年度の第1回目を開催いたしました。中小企業の振興について検討を行ったところでございます。この中で交わされた意見について、3点ほど御紹介をさせていただきます。

 まず、1点目は中小企業といっても中堅企業と小規模企業では経営環境や経営状況が大きく異なっています。こういった点を含めて、中小企業の活性化についてどう考えていくのか議論が必要であるというような意見がございました。

 2点目でございますが、企業の社会的責任についても、環境への配慮や女性の雇用などを逆に強みにしている中小企業も少なくない。こういったことも議論していきたいというような御意見がございました。

 3点目でございますが、産業活性化だけではなく、地域活性化ということも視野に入れて議論したらどうか。活性化というものをもう少し広げた形で整理する必要があるのではないかという御意見もございました。今後はこうした御意見を参考に、条例の内容を検討してまいりたいと思っております。

内田委員

 こういった3点については、非常に役立つ意見だと思います。今後の施策にも重要な御意見だと思いますが、そういった懇話会の意見だけでなく、何よりも中小企業自体の意見を聞くことが重要だと思っております。今後そうした場をつくっていくのか。また、中小企業や住民の意見をどのように把握していこうとしているのかお伺いいたします。

産業活性課長

 お話しのとおり、条例の検討に当たりましては、中小企業の皆様をはじめ多くの県民の方から御意見を伺いながら内容を検討していくことが必要であると考えています。そのために、中小企業などを対象とした意見交換会を開催してまいります。

 具体的には、県内各地に出向いて、商工会、商工会議所の会員企業から意見を伺うほか、県内の中小企業団体の会員企業、あるいは大企業関係の団体や地域の産業振興公社のような中小企業の支援機関、あるいは県内市町村といったところを対象とした意見交換会を開催してまいります。また、条例の検討状況をお知らせするホームページを開設し、県民の皆様方からの意見も直接受けることができるように準備を進めているところでございます。こうした取組を通じて、多くの中小企業などからの意見を把握していきたいと考えております。

内田委員

 条例の内容については、今検討が始まった段階ですが、今後も様々な議論、また皆様の御意見を募っていき、さらにパブリックコメントの結果もありますが、現時点ではどのような特徴を持った条例として考えているのでしょうか。

産業活性課長

 先ほど委員からも御意見がございましたが、県内事業所の大多数を占めるのが中小企業ということでございます。ものづくりやサービスの提供としまして、本県の経済を支える重要な基盤だと認識しております。県として、中小企業の振興がまず重要だという考え方を示すことが何よりも大切だと考えておりまして、いわゆる基本条例、あるいは理念条例的なものとして策定してまいりたいと考えております。

 そのために、条例には基本理念、あるいは県が担うべき責務、基本的施策の方向などのほか、例えば懇話会委員の御意見にもございました企業の社会的責任といったものを条例に盛り込むことなどについて、今後、かながわ産業活性化懇話会をはじめ、各方面の方々の意見をお伺いしながら、神奈川らしい特徴を持った条例となるようにしてまいります。

内田委員

 中小企業活性化条例(仮称)の制定により、県がこれまで以上に中小企業支援を持続的に展開し、元気な中小企業が活躍する、活力ある地域社会が実現するように期待しています。条例の検討に当たっては、今私が申し上げたように、幅広く県民に意見をお聞きして、そしてホームページの開設により、また、更に多くの中小企業からの生の声を聞くことによって、節目には議会の方にもその状況を御報告いただきたいと要望いたします。

 次に、インベスト神奈川についてお伺いします。6月定例会での議論を経て見直し内容を決定し、この8月から第2ステージとしてスタートいたしましたが、今回9月定例会にその財源として1984,100万円の債務負担行為を設定する内容の補正予算が提案され、本委員会に付託されています。

 そこで、この補正予算の内容と、第2ステージの取組に関連して何点かお伺いしたいと思います。

 まず、1984,100万円の債務負担行為の額について、積算の考え方をお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 1984,100万円の債務負担行為の積算の考え方でございますが、まずインベスト神奈川では今後5年間の企業立地件数を過去5年間の2倍にするという目標を定めておりまして、取組期間のおおむね5年間のうち、今後3年分について必要な額を今回積算しております。積算に当たりましては、工場立地動向調査に基づく過去5年間の投資案件のうち、助成制度の対象となる大企業は50億円以上、中小企業は2億円以上の投資を抽出いたしまして、これにインベスト神奈川がスタートして以降の投資動向、それから今後の投資見通しを加味した上で修正を加えまして、先ほどの目標を踏まえて2倍にしまして、工場、研究所などの助成率を乗じて、今後必要とされる補正見込額を算出いたしました。

 もう少し詳しく御説明をいたしますと、まず、積算に当たりましては大企業と中小企業に分けて、それぞれ積算しております。まず、大企業につきましては、過去5年間の実績に基づき50億円以上の投資案件が13件ございますが、それにそれぞれの投資額をベースにいたしまして、先ほど申しましたように第1ステージの伸び率、それから日本政策投資銀行の調査による県内の今後の設備投資見通し等を勘案いたしまして、それに工場、研究所ごとの助成率の10%、15%を乗じまして、さらに目標を踏まえて立地件数を2倍にして、今年度から平成22年3月末までに必要とされる助成見込額として約143億円を算出しています。

 また、中小企業につきましては、第1ステージにおける平均助成額の実績をベースにいたしまして、同様に日本政策投資銀行の調査による今後の設備投資見通しを勘案いたしまして、修正を加え、1件当たり助成見込額を算出した上で、5年間の目標を踏まえて2倍にし、今年度から平成22年3月末までに見込まれる立地件数を掛け合わせまして、約55億円という額を算出しています。合計で1984,100万円でございます。

内田委員

 ただいまお話しいただきましたが、こちらの商工労働常任委員会報告資料その1の2ページにもございますように、助成金の94%が第1ステージでは大企業に対するものであって、結果的に大企業に著しく偏った事業になっていたと思います。第2ステージにおける大企業と中小企業のバランスは、件数及び金額面も載っていますが、もう少し詳細を教えていただきたい。また、どのようになると見込んでいるのか教えていただきたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 第2ステージにおきましては、まず件数面では大企業が16件、中小企業100件、合計で116件の申請に当たるものとして積算をしております。中小企業の申請件数の実績は第1ステージで30件ございましたが、それが100件と非常に大きくなっております。これは県内中小企業の最低の投資額要件を第2ステージでは2億円に引き下げたことと対象業種を拡大いたしましたことから、第1ステージでは対象とならなかった中小企業からの申請が今後大きく見込まれるということが1点でございます。それから、第1ステージにおいては、大企業が数多く立地したことから、今後これを支える中小企業にも投資のすそ野が広がってくるのではないかということも考慮いたしまして、私どもとしては高い想定をさせていただいております。

 次に金額面で申し上げますと、大企業が143億円、中小企業が約55億円を見込んでおります。助成額の面では、やはり大企業には多く助成金が支払われる見込みとなっておりますが、これは大企業の1件当たり投資額が中小企業と比べますと格段に多く見込まれることから、ある程度大企業に少し偏る結果となるのはやむを得ないと考えております。しかしながら第1ステージの大企業は94%、中小企業は6%という数字に比べますと、第2ステージにおきましては大企業は約72%、中小企業は28%ということで、中小企業の利用割合が助成金という面では改善されたと考えております。

内田委員

 今、お話にありましたように、大企業では143億円、それから中小企業では55億円ということで、大企業が72%、中小企業が28%ということですが、まだ今始まったばかりですから、この比率をだんだん変えていっていただきたいと思っております。第2ステージでは中小企業100件の申請を見込んでいると、先ほど相当高い想定の説明がございましたが、第1ステージのときの実績の中小企業申請の30件と比べると、やはりかなり高い想定ではないかと思います。中小企業の制度利用の促進に向けて、7月以降どのような取組をしてきたのか、また今後どのような取組を更に進めていくのか、お伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 第2ステージでは中小企業の投資促進に重点を置いたところでございます。私どもとしては、制度の拡充をして1社でも多くの中小企業に投資をしていただきたいという考えに基づいて取組をして、見直しの概要を6月に公表させていただきまして以降、その内容につきまして、いろいろな機会をとらえて中小企業の方々に積極的に周知を進めてまいりました。

 具体的に申し上げますと、各地域県政総合センターと連携しまして、県内の市町村、それからすべての商工会議所、商工会に対して説明会を開催いたしまして、地域の中小企業に対して周知をお願いしております。また、中小企業者に対しまして、中小製造業者等によって構成されます中小企業団体等のセミナー、あるいは会合の場をお借りして、制度を紹介するとともに、会員の企業にはパンフレットを送付することにより、周知を図っております。

 さらに、第2ステージでは、企業のCSRの促進というのが柱の一つにもなっておりますので、障害者雇用などに関する協議会等の場を活用いたしまして、参加企業に対して新たな制度の説明をさせていただいております。

 このほか、制度スタート直後には、新聞、テレビなどのマスメディアを積極的に活用いたしまして、第2ステージのPRを行い、9月6日には県内企業を対象に知事によるインベスト神奈川トップセミナーを開催し、中小企業を中心とする241300名の御参加をいただき、知事自ら内容の説明をしたところでございます。

 今後、県内中小企業の投資を促進するため、市町村や地域県政総合センターとも連携して企業訪問を更に強化するとともに、金融機関、あるいは不動産会社等を通じて、企業の設備投資計画の情報収集を進めるなどいたしまして、企業の設備投資ニーズに対して、県として迅速かつ的確に対応し、1社でも多くの中小企業の投資を増やしてもらいたいと考えております。

内田委員

 今、おっしゃったように、1社でも多くの中小企業の方に是非とも支援をお願いいたします。

 債務負担行為との関連の件で、第2ステージの経済波及効果の試算結果についての御報告がございましたが、これはどのような推計を行ったのか、お伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 これまでのインベスト神奈川の経済波及効果につきましては、制度スタート時、それから制度が開始して約1年が経過した平成1810月末現在、また第1ステージが終了した平成19年3月と3回の節目に、()浜銀総合研究所に委託をして推計しております。今回第2ステージで助成制度に必要な財源として、1984,100万円の債務負担行為を設定するに当たりまして、この予算が税収への効果を含めて、どの程度経済波及効果を本県にもたらすのかというところは大変重要なことと判断しておりまして、今回も積算に際し、これまでと同様に()浜銀総合研究所に依頼して推計したものでございます。この結果につきましては議会にも御報告をして、審査の御参考にしていただきたいということで、今回お示しをしたものでございます。

内田委員

 商工労働常任委員会報告資料にありますように、第1ステージの方では49社から合計51件の申請があった投資について、経済波及効果が10年間で約16兆円であったことと比較して、このたびはどのように分析、評価しているのでしょうか。

産業活性課企業誘致室長

 今回の推計結果に対する評価ですが、第1ステージの実績に基づいて、今回の推計では当然その基礎となるデータは違いがあるわけでございます。まず申請件数につきましては、第1ステージの50件に対しまして、第2ステージでは2倍強の116件を見込んでおります。また、投資見込額につきましては、先ほど御説明いたしましたように、大企業の助成限度額を大幅に下げて、中小企業の最低投資額を2億円に下げたことから、第1ステージの5,447億円の約48%に当たる2,608億円を投資額としては見込んでおります。

 当然のことではございますが、経済波及効果は投資額におおむね比例いたしますので、第2ステージの経済波及効果は第1ステージよりは小さくなっているわけでございますが、第1ステージの約3分の1、5兆5,000億円にとどまっておりますのは、第1ステージのような大型投資が少ないということが1点、それから波及効果の少ない中小企業の申請が今後多くなると見込んでいるということでございます。

 また、雇用の波及について申し上げますと、操業による雇用発生数は、第1ステージの約3割となっております。これは経済波及効果と同様の要因によるものでございます。

 また、施設整備で一時的に増加する雇用発生数は、第2ステージでは第1ステージの2分の1以下になっております。これも投資額に比例して推移しているということでございます。

 また、税収の増加について見てみますと、第1ステージの3分の1にとどまっておりますが、これも先ほど申し上げましたように、税収効果は、経済波及効果に比例して増減いたしますので、第2ステージにおきましても経済波及効果と同程度の税収効果が見込まれると考えております。

 以上、幾つか前提を置いた試算ではございますが、中小企業にシフトした第2ステージにおきましても、助成金支出に見合う経済効果が得られるのではないかと考えています。

佐藤委員

 関連でお伺いしたいのですが、今回第2ステージは中小企業を中心にやっていくという御説明をいただきましたが、この場合の経済波及効果を考えると、10年間という期間で計算して本当に良いものなのか。もう少し短い、5年間ぐらいとか3年間ぐらいとかという期間で経済波及効果というのを考えた方がいいのではないかという思いも少ししているのですが、その辺どうですか。

産業活性課企業誘致室長

 これまで3回の経済波及効果の推計、今回を含めますと4回目になりますが、いずれも10年間を一区切りとして、累計の波及効果という形を出しております。その比較の意味でも、今回の県費支出が198億円ございますが、それに見合う効果がどの程度、これまでの第1ステージとの比較の中であるのかということをお示しする意味では、10年間の同じベースでお示しした方がよろしいのではないかと考えまして、このようにさせていただいたわけでございます。

佐藤委員

 今、大企業と言えども、民間のプランを考えても、なかなか10年間というのはないです。10年間の中でも企業戦略はどんどん変わっていくわけですから、この第1ステージの10年間16兆円というのも、ざっくりした数字だなと思っています。中小企業となれば、それこそ年間計画ではないですが、1年1年が勝負でやっている企業が多いと思います。そういうところで経済波及効果を考えるときに、10年間たったら結構世の中の仕組みも変わってくることもあるだろうし、環境も変わるような気がします。だったら、やはりせめて5年間とか、少なくとも我々の任期中の4年間に1回ぐらいは経済波及効果がここまで上がりましたよという報告ができるぐらいにしていただければと思いますが、どうでしょうか。

産業活性課企業誘致室長

 先ほど10年間ということで申し上げましたが、一つには助成金の支出の期間が10年にわたる均等分割になっておりまして、中小企業の方にも10年間にわたる操業義務というものを課しております。したがいまして、企業は投資計画を御申請いただいて認定を受けますと、10年間にわたって基本的には御申請いただいた投資計画に基づいて事業をしていただく前提で、10年間ということを定めてございます。こういったマクロ的な経済推計というのは、あくまでも産業連関表というモデルを用いた推計でございまして、それは目安にしかすぎないわけでございます。実際の短期的な経済波及効果につきましては、こういったマクロ的な手法よりも、実は私どもとしては毎年助成企業から御報告をいただきまして、それを集約して県内企業にどれだけ発注が出ているのか、あるいは雇用の面でどれだけ県民の雇用があるのかを毎年報告していただいて、2年に1回全部集計した形で、議会にも報告し、県民の皆様にもお知らせしていくという二段構えで考えております。

佐藤委員

 それでしたら、最初からその数字を出してもらった方がとても分かりやすいのではないでしょうか。毎年そういう数字の積み上げが出来ている方が、()浜銀総合研究所がやっているざっくりとした効果の数字を出されるよりも、実は将来的にも本当の経済効果が見えそうでありますし、一度、この様な経済効果がありましたと3年後ぐらいに出してはどうでしょうか。毎年の積み上げができれば、本当は毎年でも出してほしいのですが、毎年企業に出してもらった数字を積み上げて、実際の経済効果がこうでしたというのは出していただけませんか。

産業活性課企業誘致室長

 波及効果の推計ですが、()浜銀総合研究所に委託をする際、一つにはさ細なことでございますが委託料の問題もございます。経済波及効果は、10年間の推計におきましても、年度ごとに積み上げて数字を出しておりますので、例えば3年目がどうなのか、5年目がどうなのかという形で抽出することも可能でございます。この経済波及効果はあくまでも、先ほど申しましたように一定の前提、一定のモデルに基づく推計でございまして、私どもが先ほど申し上げました、個別企業からのヒアリング、あるいはアンケートに基づく報告と、このマクロ的な推計とを一概に検証することというのは難しいわけでございます。それを少しでも実態経済、企業活動のサイドからどの程度効果が出ているのかという、そのマクロとミクロの両面からお示しをすることによって、より具体的に御報告をしていく必要があるのではないか。そんな意味で、実は6月にも、昨年の12月末までに建設に着手しました33社を対象に調査をした結果を報告させていただいたわけでございます。現時点では、実際に操業を開始している企業が限られておりますが、今後ほとんどの企業が操業を開始してまいりますと、相当まとまった形でマクロ調査を補完できる形の数字を御報告できるだろうと考えています。

内田委員

 それでは、第2ステージの融資規模は約300億円台ということを想定しているとのことですが、これはどのような考え方に基づいてこのように見込んだのでしょうか。

金融課長

 融資につきましては、現在第1ステージ、融資金額400億円ということで遂行しておりまして、現在377億円というところまで実績がございます。今回第2ステージということで、助成金に合わせまして、融資につきましても中身を若干見直してございます。第1ステージにつきましては、業種をものづくりに絞り込むということで、対象も助成金に近づける。それから、区域につきましても、準工業区域に関しましては、基本的に除外するということで、若干範囲を狭めたということがございます。平成17年度、18年度の実績を踏まえて、今回若干除外したものを推計しますと、現在やっているものに比べて大体4分の3ぐらいの申請規模になるのかなということを考えました。それから11月からスタートということで29箇月間ございます。大体毎月10億円程度ということで、29箇月を掛けまして、約300億円の融資申請が推計されるということでございまして、300億円という数字にしたものでございます。

内田委員

 そのように助成制度は既に8月から第2ステージにありますが、融資制度のスタートはそのように11月からというふうになっているのはどうしてでしょうか。

金融課長

 今、若干お話ししたことで、現在の実績は64社で377億円ということで、当初は400億円ということでスタートしております。助成制度の方は早く目標を達成して、3月で申請を一応ストップということになっておりますが、私どもはまだ377億円ということですので、現在もまだ申請を受け付けているということでございます。ただ、あともう13億円ほどでございますので、10月中には400億円を達成するという予定でございます。その終了に合わせて今度の第2ステージというものは11月からスタートさせていただくということでございます。

内田委員

 その融資の関係で、利率については、今後金利環境によって変わるということがあると思いますが、どのような判断基準でそれは行っていくのでしょうか。

金融課長

 金利につきましては、第1ステージは1.4%以下ということで、実施してまいりました。今回の第2ステージは、いろいろな金利の動向を踏まえまして、1.6%以下ということで0.2%アップいたしましたが、今後もやはり金利の動向、これは長期の資金でございますので、長期のプライムレートだとか国債、そういうものの利率を見極めて、あと一方で、やはり他の自治体でもこういう同趣旨の支援の制度を設けてございますので、他の自治体のそういう利率の状況や実際に取り扱っていただける金融機関の意見も聞きながら、まずは金利の状況を踏まえて、さらに諸般の様々な状況を勘案しながら、必要に応じて見直しを随時してまいりたいと考えてございます。

内田委員

 本県のものづくりを支える、中小企業の更なる活性化は、この神奈川県の経済が長期にわたって成長を続けていく上で大変重要であると思います。第2ステージにおいて、1社でも多くの中小企業がインベスト神奈川の制度を活用して、県内での事業拡大や高度化を実現できるように、県としても市町村や経済団体等との連携をとっていただいて、また、今までやっていらっしゃると思いますが、ワンストップサービスを含めて、これまで以上にきめ細やかな対応をしていただき、また努力をしていただくよう要望いたします。

 次に、中小企業地域資源活用促進法の活用に向けた取組に関しての報告がございましたが、このことについてお伺いしたいと思います。

 まず、国がこの法律を制定したねらいとその概要について、改めてお伺いいたします。

工業振興課長

 国が法を制定したねらいでございますが、地域間格差が懸念される中で、地域経済の主体でございます中小企業による産地技術、農林水産品、観光資源といった、地域の特徴ある産業資源を活用した創意ある取組を推進することで、地域のそれぞれの強みを生かした自立的、持続的な成長を促し、地域経済の活性化を図るということをねらいとして制定されております。

 次に、法の概要でございますが、地域産業資源を活用して新商品開発等を行う中小企業を支援するため、まず都道府県が市町村や関係団体の意見を聞きながら、地域の産業資源を特定いたしまして基本構想を取りまとめ、国の認定を受けることになっております。基本構想が認定されますと、中小企業者は基本構想で特定されました地域産業資源を活用した事業計画を作成いたしまして、国の認定を受けることができることとなっております。事業計画の認定を受けました中小企業は、試作品の開発等に対する補助金、具体的には事業費の3分の2以内で、3年から5年の事業期間内に最大3,000万円の補助金を受けることができることとなっております。また、補助金以外にも設備投資減税とか政府系金融機関による低利融資といった支援措置も受けることができることになっております。さらに、独立行政法人中小企業基盤整備機構等によりまして、事業の計画段階から実施段階を含めまして、専門家による細やかなアドバイスを受けられるハンズオン支援といったメニューも用意されているところでございます。

内田委員

 こちらの法律の方は、国主導でやっているところでございますが、県としては市町村や関係団体の意見を聞きながら、基本構想を策定したとのことですが、具体的にはどのような経過を経て策定したのか、お伺いいたします。

工業振興課長

 基本構想において地域産業資源を特定するためには、まず地域の産業とか取組の状況を把握しております市町村とか関係団体の意見を十分踏まえて策定する必要があると考えました。そこで県の関係機関はもとより、県内市町村、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、あるいは中小企業センター、観光協会、産地組合といった関係団体に地域産業資源の状況について6月に照会を行ったところでございます。また、その結果を踏まえまして7月の中旬から下旬にかけまして、各地域県政総合センターを回りまして、管内の市町村や商工会等の参加も得まして、照会の結果について御報告いただくとともに、意見交換を行ったところでございます。こうした関係団体からの意見聴取や調整を経まして、本県として基本構想をまとめたところでございます。

内田委員

 そのような県の基本構想における地域産業資源は、どのような観点から特定していったのかお伺いします。

工業振興課長

 各都道府県が基本構想を策定するに当たりまして、国の方から基本方針が示されております。この国の基本方針では、都道府県は中小企業者が地域産業資源を活用する可能性、あるいは一般消費者等に相当程度認識されているかといった周知性、こういった地域産業資源の属性を踏まえまして、地理的連続性、すなわち市町村単位で資源を特定するという方針を示しております。

 こうした方針を踏まえまして、本県ではまず「かながわの名産100選」の特産物を地域産業資源として特定いたしました。また、それ以外の特産物、観光資源につきましては、関係団体から提案のあったものを精査いたしまして、事業展開が具体的に行われるようなものにつきまして、本県の地域資源として特定したところでございます。

 その結果でございますが、本県の基本構想で決定いたしましたものは、箱根寄木細工、木象嵌などの鉱工業品が66件、三崎のまぐろ、高座豚などの農林水産物が36件、箱根温泉、野毛大道芸フェスティバルなどの観光資源が11件、合わせまして113件を資源として特定したところでございます。

内田委員

 資料の31ページにもございますように、このスケジュールで見ますと、8月31日に基本構想の認定がされたということですが、ほかの都道府県の地域産業資源の特定状況はどのようになっているのでしょうか。

工業振興課長

 国の記者発表資料によりますと、各都道府県の基本構想においては多岐に及ぶ地域資源が指定されております。鉱工業品につきましては、合わせまして1,983件、農林水産品が2,527件、観光資源が3,844件で、合わせますと8,354件、こういったものが地域産業資源として特定されております。

 近隣の都県の状況を御説明いたしますと、東京都では江戸切子などの鉱工業品を56件、あしたばなどの農林水産品を24件、東京タワーなどの観光資源を96件、合わせまして176件を特定しております。

 また、千葉県では、房州うちわなどの鉱工業品を15件、落花生などの農林水産品を51件、九十九里浜などの観光資源を118件、合わせまして184件を特定しております。

 また、埼玉県が、川口鋳物などの鉱工業品を23件、彩り繭などの農林水産品を9件、秩父札所などの観光資源を18件、合わせまして50件を特定しております。

内田委員

 このように、まだこの制度は始まったばかりだと思いますが、県内における具体的な取組事例があれば教えてください。

工業振興課長

 現在までに、独立行政法人中小企業基盤整備機構、あるいは県中小企業団体中央会と連携して支援を行いまして、県内の事業者2者が国に事業計画書を提出しているところでございます。

 いずれも、現在国において事業計画の認定に向けまして、国が設けております認定評価委員会で審査等が進められておりまして、10月中旬には結果が出るとお聞きしております。

 具体的な2業者の取組でございますが、観光資源である野毛大道芸フェスティバルを活用いたしまして、商店街を舞台にした大道芸等の体験学習サービスとか、大道芸をモチーフとした土産物の開発、こういったものを行うというものが1件ございます。また、小田原木製品の加工技術を生かしまして、病院で使用する検査機器を患者等に説明する時に使用する模型を木の製品で作るといった取組をしたいということで、現在事業計画の提出がされております。

内田委員

 是非とも、国が主導する制度ですので、この制度を活用してほしいと思いますが、今後県としてどのような取組を更に進めていくのかお伺いいたします。

工業振興課長

 中小企業者がこの制度を活用し、国より事業計画の認定を受けますと、先ほど御説明いたしましたように、補助金とか融資、税制等の支援を受けることができます。また、ハンズオン支援といったきめ細やかな支援も受けられるといった支援策が設置されておりますので、中小企業者の創意工夫あふれる取組に対する有用な支援制度の一つと考えております。

 こうしたことから、県といたしましては、まずこの制度の周知を図ることが大切であると考えておりまして、全体の支援の枠組みとか、本県が特定いたしました地域産業資源につきまして、県のホームページで紹介するとともに、県中小企業団体中央会等の支援団体を通じまして、地域の中小企業や産地組合、市町村等に制度の情報提供をしているところでございます。こうした周知を行うことによって、この制度に対する理解をまず深めていきたいと考えております。

 また、中小企業者によるこの支援制度を活用する意向がある場合には、円滑に事業計画が策定できるように、積極的に他の関係団体と連携して支援を行ってまいりたいと考えております。

 さらに、新たに事業化などの活用の兆しが見えました資源につきましては、基本構想を見直しまして、地域産業資源として特定するなど、機動的な対応も図っていきたいと考えております。

内田委員

 景気の回復基調がなかなか実感できない中小企業のために、産地組合等による新商品の開発や、また販路の拡大の支援を行っていくことは大変有意義な支援策であると考えます。こういった国の制度を活用して、引き続き中小企業の事業展開に対する支援を更に進めていただくことを要望いたします。

 次に、八都県市で仕事と家庭生活の調和の推進について、共同取組を実施するという御報告がございましたが、労働者の働き方に対する考え方も多様化する中で、仕事と家庭生活の調和を推進していくことは大変重要なことだと思います。そこで、八都県市の共同的な取組についてお伺いしたいと思います。

 まず、仕事と家庭生活の調和の推進について、八都県市が共同で取り組むことになった経緯について、教えていただきたいと思います。

労政福祉課長

 ワークライフバランスの推進の共同取組でございますが、昨年の11月に本県で首脳会議が開催されました際に、埼玉県の上田知事から共同で行っていったらどうかという提案がございました。その際の提案の趣旨でございますが、1都3県の共通の課題というものが幾つかございまして、一つは御案内のとおり全国的に少子化に歯止めが掛からないという状況があるのですが、その最大の要因は合計特殊出生率が、非常に低位なところで進んでいるわけでございます。実は1都3県いずれも全国でワースト8の中に入っているという状況がございまして、核家族化も進んでいるといったような地域社会のつながりが希薄になっているというのが1点ございます。

 それから、もう一つですが、子育て期にあります男性が大体働き盛りの方ばかりでございます。したがいまして、どうしても会社において相当当てにされるということで、長時間労働の傾向が非常に高い。このことも実は全国で悪い方から順番に1都3県が入っている状況でございます。

 その辺を踏まえますと、少子化の流れを変えていくということの一つのエネルギーとして、父親が育児に積極的に参加をしていくということがかぎになるのだろうといったお話がございました。それをまた進めていく上で、ワークライフバランスを実現していくことが重要であろうということでございます。

 それから、もう1点、就業の状況という点で、1都3県の労働者の方は自分の県あるいは市だけでお勤めしているわけではなくて、首都圏全体に勤めに行っております。県内の男性女性問わず、3割ぐらいの方が他県へ仕事に行っている。これは埼玉県、千葉県、いずれも同様の状況でございます。

 その様な中で提案がございまして、八都県市の中で一緒に取り組んでいこうという合意がなされまして、その後、今年の5月に再度開催されました首脳会議におきまして、今回の具体的なキャンペーンの取組も合意がされたというような経過でございます。

内田委員

 そのような、仕事と家庭生活の調和の推進といったような取組は、画期的なことであるとは思いますが、その中で少しお伺いしますが、子育て期の男性労働者の長時間労働が少子化に影響を与えているということですが、子育て期にある男性と女性とで、いろいろな違いがあると思います。少し詳しく教えていただけますでしょうか。

労政福祉課長

 まず、ちょうど働き盛り、結婚期、あるいは子育て期の年代で申し上げますと25歳ぐらいから39歳ぐらいの男性でございますが、週60時間以上働く方の割合ですが、23%を超えております。一方、同じ年代の女性の方ですが、5%ぐらいの方がいらっしゃるということです。やはりかなり男性の方に長時間労働が多く見受けられるといった傾向がございます。

 また、男性の方だけを見てみますと、25歳という、これから結婚しようという方から、39歳という正に働き盛りの方において、年代が上になればなるほど、実は長時間労働の割合も多くなるというデータが示されております。

内田委員

 先ほどもおっしゃっていただいたように、長時間通勤というのもある意味で家庭生活の調和を進める上で大きな障害になっているということですが、本県の労働者の通勤時間について、どのように受け止めているでしょうか。また、現状はどうなっているでしょうか。

労政福祉課長

 これは平成13年の社会生活基本調査というのが一番直近で出ているデータでございますが、この調査によりますと、25歳から34歳のゾーンの労働者の方の男性につきましては、片道の通勤時間が1時間34分でございます。一方、女性ですが、むしろ長くなっていまして、1時間43分でございます。男性も女性もいずれも往復ということになると3時間を超えるということで、神奈川県の男性も女性もかなりの長時間をかけて通勤をしております。ただ、少し年を経て35歳から45歳のゾーンになりますと、男性はもっと伸びまして、片道1時間43分でございます。相反しまして、女性については恐らく職住接近の影響があるのだろうと思いますが、1時間18分でございまして、この辺のところは年代的には逆転をするというような実態がございます。

内田委員

 大変通勤時間が長いということで、私も同様な経験をしてまいりました。是非ともこれは何とかしていただきたいと思います。

 次に、共同取組の内容について、早速、県では1024日水曜日に率先実行として定時退庁をすることになっているということですが、現在どのように職員の方に周知されていますか。

労政福祉課長

 実は、神奈川県庁につきましては、かなり前から水曜日は定時退庁ということで周知されているのですが、なかなかうまくいかない面もあるようでございます。私どもはその関係の担当ではないのですが、今回キャンペーンで民間の企業にも是非御理解いただきたいということで、働き掛けをしてまいる予定でおります。当然ながら私ども自ら率先してやっていかなければいけないのだろうということで、全部局を対象にいたしました管理調整会議で既に周知を図ったところでございます。また、当日には庁内放送により、キャンペーンをやっていますというようなことで、その趣旨を改めて徹底をすることと合わせまして、1週間ほど前から庁内のイントラネットで、職員にきちっとやりますよということで周知を図るということで考えています。

 また、横浜市、川崎市については、この首脳会議のメンバーでございますから、やっていただくのはもちろんでございますが、他の市町村にも実は働き掛けを行っているところでございます。

内田委員

 その他にも、フォーラムやアイデア募集などが予定されているということをお聞きいたしましたが、その中には本県が事業化を提案するものはございますでしょうか。

労政福祉課長

 実は私どもの独自の取組ということで、従前から、例えば法を上回るような育児休業制度をお持ちになっていたり、あるいは企業の中に託児所をつくるといった先進モデルの中小企業がたくさんございまして、そういう企業の事例の紹介をするような事例集を発行しております。今年も作る予定で準備をしているところでございますが、そんな提案を1都3県全体でやっていきましょうということで、神奈川県から都内、あるいは埼玉県、千葉県に勤めに行っている方もいらっしゃるわけですので、そういうところのモデルも活用させていただいて、他の都県でもこの様なことが進んでいくようにということで、提案をいたしたところでございます。

 この企業事例につきましては、ホームページ等でも広く紹介をしてまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 仕事と家庭生活の調和推進キャンペーンということでしたが、県独自の事業として、このキャンペーン期間中に実施することがあれば教えてください。

労政福祉課長

 全体としましても、フォーラムを市ヶ谷で予定しているのですが、私どもの県独自の事業としまして、今月の31日でございますが、横浜市、川崎市、それから国の外郭団体になりますが、()21世紀職業財団と共催をいたしまして、ワークライフバランスに関するシンポジウムを予定いたしております。取組をしております先進事例の企業、あるいは経済界の方、あるいは労働界の方に出ていただきまして、ディスカッションをしていただくのと、事例紹介をやってまいる予定でおります。

 なお、先ほども申し上げましたが、事例集ですが、3冊目ということで、そんな取組も今進めているところでございます。

内田委員

 仕事と家庭生活の調和、特に男性の育児参加については、女性にとても大切なことであり、男性の育児休暇の取得率が極めて低い現状がございますので、是非とも県として取組を強化していただきたいと思います。この推進キャンペーンを契機にして、来年度以降も八都県市が共同して様々な事業を展開していくことを要望いたします。

 また、一極集中型になっているこの労働環境自体も問題があると思います。往復にしますと通勤時間が3時間ということで、人の生活においても、とても無駄な動き方だと私は以前から感じております。そういった通勤時間のことについても、是非とも知恵を活用していって、さらに将来人間が生きていく上で一番良い方向性を持って取り組んでもらいたいと要望します。

 次に、8月に行われた商工労働常任委員会の県内調査で、東部総合職業技術校、愛称「かなテクカレッジ」の工事現場の視察をさせていただきました。建設工事も順調に進んでいるとのことで、東部総合職業技術校の開校に向けて、建設工事以外の準備等について何点かお伺いしていきたいと思います。

 まず、東部総合職業技術校「かなテクカレッジ」について、具体的に竣工はいつで、実際に技術校として機能していくのはいつごろになるのか。改めて開校までのスケジュールをお伺いいたします。

雇用産業人材課長

 御視察いただきました「かなテクカレッジ」の今後のスケジュールですが、ハード面の建設工事の関係とソフト面の訓練関係に分かれるかと思います。まず建設の関係ですが、細かく申し上げますと建築工事、衛生工事、電気工事、空調工事、それから昇降機の工事などがございまして、この関係は平成20年1月末に竣工の予定でございます。その後に訓練に必要な設備、機器の新設、また既存の技術校から移設する作業がございます。そういったものも含めまして、平成20年4月の開校までにハード面の整備を完了する予定でございます。

 次に、ソフト面の訓練関係でございますが、4月入校生の募集につきましては、10月に前期募集分の入校選考、それから2月に後期募集分の入校選考を実施いたしまして、入校生を確保していく予定でございます。さらに、社会人の方を対象としました在職者訓練にも取り組んでございまして、メニュー型セミナーというふうに呼んでおりますが、あらかじめ講座の内容を定めて受講を募集しているものでございますが、その御案内を平成20年1月ごろに広報する予定でございます。

 それから、オーダー型セミナーと呼んでおりますが、企業からの個別の要望に応じて講座の内容を企画、実施するものがございます。これについても企業からの注文ですとか予約を受けてまいりまして、平成20年4月からの講座開講に向けた準備を進めてございます。具体的には、4月上旬に開校となるスケジュールとなってございます。

内田委員

 視察をしてみて、とても大きな学校で、将来が期待されると私としては考えましたが、いよいよ入校生の募集に関する広報なども出てくると思います。県の方でのその広報の方針についてお伺いしたいと思います。

雇用産業人材課長

 「かなテクカレッジ」の広報の考え方でございますが、大きくはやはり二つに分かれるかと思います。まず、前段部分ですが、新しい総合型の技術校でございますので、この学校の存在ですとかメリットを、県民や企業の皆様にPRすることが大切だろうと考えております。開校の1年前でございます今年の4月に、東部総合職業技術校の特色、それから訓練コースの内容を記載しました冊子、それからリーフレットを発行いたしまして、県内のハローワーク、それから小・中・高校、市町村、それから県立の公共施設で配布してございます。

 さらに、3月から5月にこの技術校の愛称を公募いたしまして、その結果317通の応募をいただきました。結果、「かなテクカレッジ」ということで愛称を7月に決定させていただいたわけでございます。

 それから、後段部分でございます。いよいよ入校生の募集の時期に入ってまいりますので、入校希望者を対象としました募集説明会、これを県内各地で開催してまいります。さらに、1020日、21日ですが、ダイヤモンド地下街で技術校を紹介するイベント、技術校フェアというものを開催してまいります。さらに、入校生の募集の内容につきまして、ホームページ、県のたより、新聞の折り込み広告等で広報してまいりたいと思います。

内田委員

 是非ともホームページや新聞広告の方に掲載していただきたいと思います。

 今回入校の特別枠というのが決定したと聞きましたが、具体的な内容として、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。

雇用産業人材課長

 今回の報告資料にありますように、三つの新しい入校特別枠を設けております。若年者優先枠、定時制・通信制高校の推薦枠、それから子育て家庭の優先枠の三つでございます。若年者の優先枠ですが、15歳から34歳までの若年者を正規雇用に導きまして、更に技術・技能の後継者を育成するというねらいのために設定したものでございます。

 具体的には、このコースの選択に当たりまして、あらかじめ横浜駅西口にありますかながわ若者就職支援センター、あるいは藤沢にあります人材育成支援センターに御相談に行っていただきまして、その相談員が訓練コースの内容ですとか訓練終了後の就職先についての説明を行った上で、入校希望者に適した訓練コースを紹介することで、入校希望者に訓練の就職先のイメージですとか、訓練の内容についてしっかり理解していただいた上で、訓練を受けていただくというような仕組みになってございます。

 次に、定時制・通信制の高校の推薦枠ですが、正規雇用についていない中で、定時制あるいは通信制に通っている生徒が多数いらっしゃると伺っております。こういった生徒を対象にしまして、職業に必要な技術・技能を技術校で身に付けていただきまして、卒業後、正規雇用に結び付けていくということをねらいとして設定したものでございます。これは技術校と各高校とが連携、協力し合いながら、技術校生、高校生の生徒指導ですとか、就職の指導に昼夜当たっていくというものでございます。

 最後に、子育て家庭の優先枠ですが、保育を要する乳幼児を育てながら、再就職を希望されている方、これは母親でも父親でもよろしいわけですが、保育施設の申し込み時期が例年1月に始まるとのことで、これに間に合うように12月上旬までに入校選考の合否を決定するということで設定したものでございます。

内田委員

 その中で子育て家庭優先枠というのができましたが、今、実は子育てしているお母さんの中にはシングルマザーも大勢いられます。こうした方についての、例えば学費の免除だとか補助とかというものは考えていますか。

雇用産業人材課長

 報告資料の36ページに子育て枠に該当するもので丸印がございます。この中で短期、普通となってございますが、この中で短期過程というのは、制度といたしまして訓練の費用は無料になってございます。特に、訓練に恐らく女性が多く応募していただけると想定される、例えば機械CADといったようなもの、それからケアワーカーとか給食調理というのも短期でございますので、そういったことで無料の職業訓練を受けていただくことができるかと考えてございます。

内田委員

 この「かなテクカレッジ」はどちらかというと若年者のためと、またこれから就職していくという方のためにつくられたシステムの学校だと感じました。ところで、この「かなテクカレッジ」で実施する訓練コースは社会人の方も受けられるようになっているのでしょうか。働きながら職業訓練校に通えるような仕組みづくりというのはしているのでしょうか。

雇用産業人材課長

 先ほどスケジュールのところで若干説明させていただきましたが、働きながら新しい技術・技能を身に付けたいとか、更に高度な技術・技能を身に付けたいということで、社会人の方を対象にしまして、2日から10日程度の単位で実施するスキルアップセミナーがございます。分かりやすく言えば在職者訓練と呼ばれてございますが、こういった在職者訓練につきましても、東部総合職業技術校におきまして社会人の方が受講しやすいように、オーダー型の在職者訓練、これは個々の企業の御要望に応じて、個別に内容を設定していくものでございます。さらに、土曜日とか、休日、夜間の講座、それからさらに講師が直接企業に出向いていって行う出前型の講座というものも予定しておりまして、こういったものも充実を図ってまいりたいと考えてございます。

内田委員

 東部総合職業技術校、「かなテクカレッジ」の入校生に向けた募集広告、また広報や定時制・通信制高校の生徒、子育て家庭の方を対象とした三つの入校特別枠の新設など、入校希望者の拡大に向けた更なる取組を引き続き進めていただきたいと思います。

 また、今申し上げましたように、社会人の方々、これから新しく仕事を変えようという方も大勢いられると思います。技術を身に付けたいという方もいられます。さらにこれから向上心を燃やしてやっていこうとする社会人の方にも、何とかこの学校が開かれていくように、その取組をお願いしたいと思います。こういった「かなテクカレッジ」の重要な使命、それを考えていただきながら、社会人の方々を対象にしたレベルの向上の充実の部分も、是非ともこれから強めていただくよう要望いたします。

 先ほど、()神奈川中小企業センター、または()あしがら勤労者いこいの村、職業訓練法人神奈川能力開発センターの事業の概要について御報告をいただきました。

 まず、()神奈川中小企業センターについてお尋ねいたします。報告にもあったように、()神奈川中小企業センターは、創業、ベンチャー企業の支援、経営革新の推進、連携・交流活動の促進など、中小企業に幅広く総合的に取り組み、県内中小企業を経営面から支援する重要な機関だと考えます。そこで、()神奈川中小企業センターの役割について、これからお伺いしてまいります。

 まず、()神奈川中小企業センターが県内中小企業の総合的な支援機関として設立された経緯と()神奈川中小企業センターの役割について、改めてお伺いいたします。

産業活性課長

 ()神奈川中小企業センターでございますが、昭和28年8月に県内の中小企業者が利用する中小企業会館の運営母体である()神奈川中小企業会館として、県内の商工業者などの出資により設立されました。その後、平成6年10月に県内の中小企業支援の商業拠点となる現在のビルを竣工し、同年11月に名称を現在の()神奈川中小企業センターと変更いたしました。以後、県内の中小企業に機械設備の貸与や下請取引のあっせんを行っていた()神奈川県中小企業支援財団や、経営相談や診断・助言を行ってきた県の機関である中小企業経営センターの業務を引き継ぎ現在に至っております。

 次に、()神奈川中小企業センターの役割ということでございますが、中小企業支援に係る法律に基づきまして、主に五つの役割を担っております。一つ目は創業やベンチャー企業の育成。二つ目が中小企業の経営などに関する診断助言や研修等の実施。三つ目が下請取引のあっせん等の実施。四つ目が機械設備の貸与や資金貸付け等の実施。五つ目でございますが、事業の再生、経営の改善等に対する支援でございます。

内田委員

 御報告にもございましたように、()神奈川中小企業センターには多くの支援事業がございますが、やはり中小企業からの相談に答える相談窓口が中小企業者にとって最も身近な事業だと私は思っております。相談窓口ではどのような内容の相談が多いのか、また、内容別の相談件数についてお伺いいたします。

産業活性課長

 ()神奈川中小企業センターでは、中小企業者が抱える経営上の諸課題、創業、金融、法律関係の相談について、職員や専門家などが行う経営総合相談窓口を設置し、対応に努めております。

 経営総合相談窓口における相談件数でございますが、平成18年度は7,224件となっております。相談の内容といたしましては、仕事の受注先や発注先の開拓など、取引に関する相談が、最も多くて2,735件、構成比でいいますと、37.9%でございます。次いで、県や市などの制度融資の利用に関する相談や、資金の借入れといった金融に関する相談が1,358件、構成比で18.8%でございます。3番目でございますが、契約に係るトラブルなどの法律相談が696件、構成比で9.6%となっております。

内田委員

 その内容の関連ですが、例えば金融に関しては、18.8%ということでしたが、実際の問題として融資をしていただきたいといったような趣旨の相談なのでしょうか。また、その相談に対してどの程度、行政としては支援できるのでしょうか。

産業活性課長

 お話しのとおり、中小企業者の方が、経営革新を行うために新たに設備投資をするので融資が受けられるかどうかといった相談、あるいは運転資金で困っているので融資が受けられるかどうかという相談がございます。()神奈川中小企業センターは融資機関ではございませんので、それぞれ適した金融機関、中小企業者の取引銀行も含め、そうした金融機関や制度融資などの仕組みを紹介しながら対応しているところでございます。

内田委員

 相談によっては、より専門性の高いアドバイスや、より具体的な助言を求めていることも民間の企業ではあると思いますが、そうした場合にはどのように対応しているのか、お伺いしたいと思います。

産業活性課長

 お話しのとおり、中小企業の抱える課題は多様でございますので、課題解決に向けて、より専門的な助言が必要になる場合がございます。この場合は()神奈川中小企業センターに登録している専門家の中から、中小企業の経営課題の解決を図る上でふさわしい専門家を企業に派遣する経営アドバイザー派遣制度の対象とすることで、課題を解決するという対応しております。専門家の派遣につきましては、中小企業者が登録した方の中から自社のニーズに合うと思われる専門家を選定し、派遣前に()神奈川中小企業センターと企業、専門家の3者で面談を行い、その専門家が企業のニーズに適するかどうか判断した上で派遣を行うなど、より効果的な派遣が行われるよう取り組んでおります。

内田委員

 このように()神奈川中小企業センターは、今後県内の中小企業支援の中心的な存在として重要な役割を担っていくと考えられます。一方で、県内には商工会や商工会議所など、中小企業支援を担っている団体があると思いますが、そういった団体と連携を密にして中小企業支援を進めていくことが効果的だと考えております。その連携についてはどのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いいたします。

産業活性課長

 お話しのように、県内には()神奈川中小企業センターのほかにも、商工会や商工会議所など中小企業を支援する多くの機関がございます。()神奈川中小企業センターではこういった支援機関との連携強化に取り組むことで、より効果的な中小企業支援が図られるよう取り組んでおります。

 具体的には、技術と金融と地域という三つの分野で、各支援機関と連携強化に取り組んでおります。

 まず、技術連携でございますが、県の産業技術センターと連携して、技術と経営が一体となって相談等に取り組むことで、効率的、効果的な支援が図られるよう取り組んでおります。2点目でございますが、金融連携といたしましては、県内に本店や支店を置く17の金融機関と覚書を締結いたしまして、融資の相談などに対しまして、迅速な対応を図るよう努めていただく。3点目でございますが、地域レベルといたしまして、県内では六つの商工会議所と年間を通じて計画的に事業の連携を進める覚書を締結し、相談会の開催などの連携・協力体制の強化に取り組んでいるところでございます。()神奈川中小企業センターといたしましては、今後もこういった連携を通じて、中小企業に対してよりきめ細かな支援が行われるよう努めていく所存でございます。

内田委員

 中小企業の経営環境は依然として厳しい状態が続いており、()神奈川中小企業センターの支援機関としての一層の活動が期待されます。今後も引き続き支援の質を高め、また中小企業の経営の改善などに具体的な成果が表れるような支援に取り組んででいただきたいと要望しておきます。また、今、六つの商工会議所と地域連携に関して覚書を締結しているということですが、さらに商工会議所の数を増やすなどの強化をお願いしてまいりたいと要望しておきます。

 続きまして、労働福祉施設、「いこいの村あしがら」について、平成17年度に運営主体である()あしがら勤労者いこいの村の自立が認定され、平成18年度以降は財団が独立採算で運営しているとのことですが、「いこいの村あしがら」の経営状況等についてお伺いいたしたいと思います。

 まず、「いこいの村あしがら」の設置目的と施設の概要について、改めてお伺いしたいと思います。

労政福祉課長

 まず、設置目的でございますが、勤労者及びその家族が余暇を利用して、自然に親しみながら、健康増進、自己啓発を図るため、独立行政法人雇用能力開発機構、当時は雇用促進事業団と言っていたわけでございますが、この事業団と県が共同で様々な施設を整備いたしまして、昭和61年4月1日に開業いたしたものでございます。

 次に、施設の概要等でございますが、立地については、車の場合ですと、東名高速道路の大井松田インターチェンジから約10分ぐらいのところにあります。それから、電車の場合ですと、小田急線の新松田駅からタクシーを使っていただきますと15分程度ということであり、大井町の丘陵地の里山の中に立地してございます。

 次に、施設でございますが、用地につきましては、約1万6,000坪、大体東京ドームを一回り大きくしたぐらいというイメージをしていただければと思います。宿泊の本館施設が1,800坪ございまして、延べの客室が32室、定員が160名でございます。そのほかの付帯施設としまして、現在はテニスコートが5面、それから総合的なグランドとして、子供たちの野球ですとかサッカーなどができる多目的グラウンド、それから大人用と子供用のプールがございます。

内田委員

 本館の方が1,800坪ということで、大変大きな敷地ですが、宿泊客の最新の利用状況についてお伺いしたいと思います。

労政福祉課長

 まず、宿泊の利用者でございますが、ここ数年の状況で申し上げますと、年間大体3万人前後の宿泊の御利用をいただいております。平成18年度は報告にもあったとおりでございますが、3万744名に利用いただいています。また、付帯のプールですとか、グラウンド等々の延べの利用者でございますが、大体年間で約10万人の方に御利用いただいている状況になっております。

 なお、今年度はまだ途中でございますが、データ的には7月までで、約1万人の宿泊の利用をいただいております。推計をいたしますとほぼ財団が予定をしております年間3万人ぐらいに利用いただけるのではなかろうかと予測をいたしております。

内田委員

 先日、北海道の視察で、やはりニセコアドベンチャーセンターが年間約3万人来るということで、同じような規模だなということを認識いたしました。

 それでは、自立化の認定によって県とのかかわりというのはどのように違いが出てきたのでしょうか。

労政福祉課長

 はじめに、自立化に至ります経過でございますが、この施設は先ほど申し上げましたように、独立行政法人雇用能力開発機構が所有しておった施設でございますが、平成11年に国の構造改革の動きがございまして、すべての施設運営から手を引くということで、地元自治体に売却をしていくという方針が出されたわけでございます。それを受けまして、この「いこいの村あしがら」につきましては、建てられてからまだ十数年ということで、まだ施設もしっかりしているといったようなことがありましたので、私ども県も一緒になりまして財団と独立採算でできるかどうかということについて検討をいたしてまいりました。その結果としまして、独立採算でやっていけるだけの利用等もいただいているといったような判断がございまして、結果といたしまして独立行政法人からこの施設を買い受けました。また、県が付帯施設をいろいろと措置をしていたわけでございますが、これらを無償で譲渡いたしまして、土地は別でございますが、施設についてはこの財団が全部自己所有をするというような形になっております。

 ただ、従来からもこの財団は私ども県から財政的な支援を一切しておりません。また、人的な面での補助も一切行っておりません。実はそれぞれの施設が自己所有ではなかったという点で、自立化の認定がされなかったのですが、そんな国の動きの中で全部自己所有になったということと、また県からお貸しをしています土地についても、しかるべき賃料を満額いただいているという状況がありまして、自立化になったという経過でございます。

 自立化することによって、どうしても自己負担でやっていかなければいけないというものが賃料でございますが、県にきちんとお支払いをいただいております。また、不具合等の修繕も自己負担でやっていかなければいけないといった費用も当然ございます。さらに、申し上げるまでもありませんが、固定資産税も自己負担で払わなければいけないといった違いがあろうかと思います。

内田委員

 そうした建物等を所有したことによって、経営者の負担が増えたとのことですが、平成18年度の経営状況の方はどうだったのでしょうか。

労政福祉課長

 経営状況の中でも報告をさせていただきたいとおりでございますが、収入でございますが、昨年度4億8,100万円でございます。一方、支出につきましては4億5,300万円ということで、利益が計上されており、税引き後の収支ということでは約1,830万円の黒字の計上をいたしている状況でございます。

内田委員

 平成18年度は利用者もいつもより増加したことで、また決算も1,830万円黒字ということですが、良い結果を出すために、財団の方もいろいろな工夫や努力を行ってきたと思います。具体的にはどのような経営努力などを行ってきたのでしょうか。

労政福祉課長

 まず、収入の面でございますが、一つはこれが一番大きいのでございますが、リピーターの確保について、まめにダイレクトメール等を送ることにより、新しい商品等を案内をするというようなことで、3回以上のリピーター率というのが4分の1ぐらいの方で、24%となっています。

 また、この「いこいの村あしがら」がございます場所でございますが、自然環境に大変恵まれていまして、周辺ではあじさい祭りですとか、曽我の梅林もすぐそば、あるいは最近ですと南足柄市にアサヒビールの工場ができているという、産業観光という新しい視点もございまして、地産地消の地元のブランドと組み合わせたパッケージ商品というものをまめに開発をしていまして、商品として売るというような努力をしているほか、今年の1月から、インターネットによる予約を導入いたしまして、最近では大体1日1件ぐらいの申込みが来ているという状況でございます。

 次に、支出の面につきましては、まずは人件費の節減ということで、職員の賃金カットが厳しい中で、常勤職員については5%のカットを今も続けているというのが一つでございます。それから、私ども行政ですと当たり前ですが、この財団でも清掃業務等のような委託につきまして、従来随意契約でやっていたものを見積り合わせや競争入札などにして行っております。また、非常に簡単な修繕等につきましては業者に頼まないで、自前でやるといった工夫をしているところでございます。

内田委員

 今後、「いこいの村あしがら」を経営していく上での問題というのは何かあるんでしょうか。また、そういった問題があるとしたら、どのように考えて取り組んでいくのでしょうか。

労政福祉課長

 冒頭で申し上げましたように、この財団は、本館、あるいは付帯施設を含めまして、事業団、あるいは県から譲り受けをして、しかも非常に安価な値段で、具体的には本館部分を105万円という格安のもので、今は減価償却をしているわけですが、今後、老朽化して建替えとなると、105万円では到底建てられるわけでございませんので、最大の課題というふうに申し上げますと、やはり次の建替えをどうしていくかといったような長期ビジョン、長期計画を改めて作っていかなければならないだろうという課題があると承知いたしております。

内田委員

 財団の方は自立化認定後も利用者の増加やその施設を継承するなど、非常に経営努力をしていると思います。「いこいの村あしがら」は多様な施設を兼ね備えた、足柄地域では貴重な施設であると思います。今後も様々な機会をとらえて広報やPRなどに努め、またホームページ上でのネットでの予約など、さらにそういったことも力を入れていっていただき、また県の方ではあらゆる側面から支援をしていただきたいと思います。

 次に、障害者の能力開発、とりわけ知的障害者の職業能力開発については、施策的にも力を入れて取り組むべきだと思いますが、今回、事業概要報告を拝見いたしまして、何点かお伺いしてまいりたいと思います。

 職業訓練法人神奈川能力開発センターでは、知的障害者の就労や職場適応を促進するために、職業訓練が行われているとのことですが、事業計画を見ると、認定職業訓練と公共職業訓練とありますが、これはどう違うのでしょうか。

雇用産業人材課長

 いわゆる職業訓練のうちで職業能力開発促進法で定めます訓練基準に従って行う職業訓練、これは知事の認定を受けることができまして、この認定を受けた職業訓練を認定職業訓練と呼んでおります。この神奈川能力開発センターでございますが、この認定職業訓練を行うことを目的として設立された職業訓練法人でございます。

 一方、公共職業訓練といいますのは、円滑な就職のために職業に関する知識、技能を身に付けていただくことを目的としまして、都道府県別、及び独立行政法人の雇用能力開発機構立の職業能力開発施設で行う職業訓練の総称を公共職業訓練というふうに呼んでございます。

 この神奈川能力開発センターですが、国立県営の神奈川障害者職業能力開発校から、公共職業訓練の委託訓練を受託しております。具体的に申し上げますと、この神奈川能力開発センターの訓練は2年制でございまして、1年次はいわゆる神奈川能力開発センターとしての認定職業訓練として実施いたしまして、2年次になりますと神奈川障害者職業能力開発校から委託を受けました公共職業訓練として実施していくという仕組みになってございます。

内田委員

 障害者の方が職場に定着できるためには、就職後の支援も重要だと思います。定着指導業務を県から受託しているとのことですが、具体的にはどのように行っているのでしょうか。

雇用産業人材課長

 知的障害者の場合、企業に雇用されましても、障害の特性から仕事の習熟に非常に時間がかかる。それから周囲のコミュニケーション不足などから離職されるケースが大変多くございます。この神奈川能力開発センターの修了生の職場定着が図られるように、就職先の企業を訪問したり、それから修了生などの相談にも応じることができるように、専門の定着指導員を配置しております。この事業、平成5年度から事業を開始しております。この定着指導業務の具体的な仕組みですが、まず訓練を終了しました後、3箇月以内に修了生の職場を訪問いたしまして、その状況を確認いたします。それで、必要な訪問計画を立てて、訓練修了生の職場定着の指導を行っていくということが一つございます。それから、過年度、既に就職した修了生に対しましては、必要に応じまして職場訪問をしておりますし、この修了生とか保護者の会ということで、りんどう会という会がございます。これは月1回会合がございまして、そこに職員を出席させて相談に応じております。

 さらに、一たん就職されましても最近はリストラ等によりまして離職される方も増加しておりまして、再就職の相談にも応じております。

内田委員

 職業訓練法人神奈川能力開発センターは、いわゆる知的障害者の方の就職率も定着率も非常に良いということを、私も地元の方からお聞きしますが、実際の問題としてその成果というのはどのようになっているのでしょうか。実際の就職にどのくらいの程度の率で結び付いているのか。また、先ほどの定着指導業務も効果にかなり影響を与えているのでしょうか。

雇用産業人材課長

 お話しいただきましたように、同センターの就職ですが、大変高い就職率となってございます。具体的に言いますと、平成18年度の修了生につきましては、修了生28人全員が就職するという、就職率100%という値になってございます。これはどういった状況かといいますと、入所生の方で障害の程度が比較的軽い方を中心にいたしまして、就労意欲の非常に高い方、それから職業適性検査の一定のレベルのある方、それからもう一つはこの神奈川能力開発センターですが、全寮制をとっておりますことから、集団生活への適応能力が非常に高い、またはそれが見込める方、こういった方々を選んで選考を行っておりますので、こういった成果ということも出ているのですが、結果としまして100%就職しているという状況でございます。

 さらに、定着指導についてちょっと御説明させていただきましたが、この1期生から平成19年3月現在で19期生まで修了生を送り出しているわけですが、1期生からの修了生に対して職場定着支援事業、県からの委託事業で行っておりまして、この1期から19期までの就職者548人のうち、最初に就職した職場で働き続けている方の割合、いわゆる定着率ですが、57.3%という値になってございます。さらにまた、一たん就職しましたが、離職して再就職されるとか、何らかの形で現在就労している方の割合ですが、84.5%というふうな値となってございます。

 一般的に高校を卒業して3年しますと離職率が5割ぐらいになるというふうな状況と比較した場合でも、この57.3%、あるいは84.5%という値は、かなり高い値と考えることができるかと思います。

内田委員

 現在、本県の障害者雇用は依然厳しい状況にあるとは思います。神奈川県能力開発センターのこの障害者のための職業訓練、あるいはそういった定着支援はかなり重要だと思います。今後とも神奈川開発能力開発センターの役割にかなりの期待をしていきたいと思います。以上で私の質疑は終わります。

 

他、委員質疑続く