平成19年 12月 定例会 - ア議員-一般質問@動物愛護について[災害時のペット対策について]

平成19年 12月 定例会

◎《本会議録-平成19年12定-20071211-026362-諸事項-出席議員等・議事日程-

                12  月 

   神 奈 川 県 議 会         会 議 録 第 4 号

                定 例 会 

〇平成191211日 午後1時14分開議

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〇本日の出席議員 議長共106

 

◆《本会議録-平成19年12定-20071211-026364-質問・答弁-内田みほこ議員-一般質問@動物愛護について[災害時のペット対策について]A高齢者福祉についてBドスメティック・バイオレンスの被害者等に対する支援についてCインターネットを利用した犯罪について》

 

〇議長(松田良昭) 次に、ただいま説明のありました日程第1に日程第2をあわせ、一括して議題といたします。

  これより質問並びに質疑を行います。

  質問の通告がありますので、順次発言を許します。

  内田みほこさん。

〔内田みほこ議員登壇〕(拍手)

〇内田みほこ議員 青葉区の内田みほこです。

  議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党神奈川県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら順次質問させていただきます。

  初当選後、初めての本会議での質問となります。フレッシュな気持ちで、女性らしい視点から、新しい風が吹きわたっていくような30分にしたいと思います。知事並びに警察本部長におかれましては、明快かつ誠実なご答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。

  さて、質問の第1は、動物愛護についてです。

  少子・高齢化社会において、ペットの果たす役割がこれまで以上に大きくなっているように思えます。ひとり暮らしのご老人にとって、一緒に過ごす犬や猫が心の支えとなっているという話をよく耳にいたします。また、最近では、認知症や障害者に対する療法の一つとして動物介在療法、いわゆるペット療法というものも着目されています。

  先日、平塚にある県の動物保護センターに視察に行ってまいりました。人の勝手な理由で遺棄された多くの犬たちが鉄格子の中で不本意に処分の日を待っているのを見て、人間の無責任さを痛感したところでございます。しかし、同センターにおきましては、子犬の譲渡を初め、福祉施設等への動物の派遣事業も行っているとのことであり、昔に比べますと、少しずつ状況は変わってきていることは一応理解いたしました。

  こうした時代とともに変わってきた動物愛護に関する動向も踏まえ、まず初めに、災害時におけるペットの取り扱い、特に救護についてお伺いいたします。

  ペットを飼育している方々には、日々の動物との触れ合いが大切なひとときでございます。また、核家族化も進み、ペットを家族の一員と考える方も多くなってまいりました。万が一の災害時には、ご自分や家族の避難はもちろんのこと、飼っている動物の救護も切実な問題です。

  例えば、地震発災時に避難所等で不安な生活を強いられる被災者の方々には、家族とのふれあいはもちろんですが、飼っている動物とのふれあいが大きな心の支えとなることもあります。ただ、こうした動物を愛護し、動物とのふれあいを大切にする方々だけではなくて、一方では、動物が苦手な方がおられることも現実でございます。さらには、人の生死にかかわる避難所において、ペットの受け入れにはさまざまな問題が生じることが危惧されます。

  大規模な災害時には飼っている動物と飼い主が離れてしまい、迷子や行方不明となったり、また自宅が崩壊したり、自分自身が負傷することなどにより、飼い主の方がペットの面倒を見られなくなることも想定され、こうした災害時におけるペット対策といったことも、災害時の対応の一つとして、そろそろ必要になってきているではないかと思います。加えて、ペット自身が負傷することも想定され、動物病院も被害に遭う可能性があり、十分な獣医療を受けることができないことも考えられることから、災害時の獣医療の確保も必要です。

  さて、災害時における動物救護の具体例を挙げますと、平成16年の新潟県中越地震では、災害時の動物の救護体制が確立されておらず、さまざまなふぐあいが生じたことが報告されていますが、新潟県ではこの経験を生かし、地震後、地域防災計画に災害時の愛玩動物の保護対策を新たに加え、その結果、さきの中越沖地震のときには円滑な動物救護活動が行われたと聞いているところです。

  折しも先週から、新潟県中越地震において、地震後、住民がすべて避難した山古志村で、母犬がたった1匹で3匹の我が子を守り、16日後に子犬とともに無事に家族のもとに戻ってきたという実話を題材にした「マリと子犬の物語」という映画の上映も始まり、好評を得て話題となっております。

  人の場合、日ごろから、万一の災害に対する備えについては、家庭において、家族の食料や水の備蓄、避難場所の確認などを行っているわけですが、ペットについても、飼い主自身がその動物のえさや水の備蓄やなれない場所での避難生活に備え、飼っている動物の基本的なしつけなどをあわせて行っておくことが重要なことであると思います。

  ただ、こうした家庭における備えだけではなく、災害時の混乱を考えますと、近隣、地域の理解があって初めて実効的な取り組みになると考えられ、新潟県の事例を挙げるまでもなく、本県においても、災害時の動物救護に対する備えや対策を講じておくことが必要であると考えます。

  そこで、知事にお伺いします。

  今後、本県においても大規模な災害が発生することを想定いたしますと、県として災害時の動物救護について、あらかじめ方針なり施策としての取り組みが必要であると考えます。災害を想定した事前の準備や事後の対策として、県の立場としてどのようなことが必要であるのかをお伺いいたします。

  また、災害時には危険なペットが逃げ出すことも想定されます。近年では、個人が飼うペットについても、さまざまな種類の動物が飼育できるようになり、例えば、犬、猫、鳥などに加え、一般的には飼育に当たって十分な注意が必要となる蛇やワニなどを飼っている方もいます。このような状況の変化によって、近年では、折々、こうした動物が逃げ出したり、心ない飼い主の遺棄・放置などの報道がなされる場合がございますが、災害時における危険なペットの逃亡についても、あらかじめ対策を講じておくことも必要ではないかと思います。現在、県内各地で問題となっているタイワンリスなど一部の外来生物は、逃亡によってふえ始めたと言われており、見過ごせない課題です。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  災害時において、こうした危害を加える可能性のある動物に対して、あらかじめ、どのような対策が必要であると考えているのか、お伺いいたします。

  さて、ここまで災害時におけるペットの問題を取り上げてまいりましたが、これらを踏まえ、今回、県民意見の反映手続が進められた「(仮称)神奈川県動物愛護管理推進計画」についてお伺いいたします。

  動物の愛護や飼育に係る最近の傾向としては、少子化のさらなる進展や核家族化に伴い、家庭におけるペットの位置づけが大きく変化し、家族同様に飼われている方も多くなるなど、従来の博愛・愛護とは異なった要素が加わってきていると考えられます。

  また一方で、ペットブームと言われている中、飼い主についても、動物についての理解不足ゆえの安易な遺棄や虐待なども見られます。処分されてしまう犬と猫は、横浜市など政令都市を除く県内だけでも毎年3,000匹以上に上ります。その理由の第1位が引っ越しして飼えなくなったということで全体の21%、第2位が飼い主自身の病気で飼えなくなったが20%、第3位が犬が高齢化したから、17%、第4位が近所の苦情、15%ということで、実際施設で私が見たところ、ペットショップに売っているような犬も多くいました。私が廊下を通って犬たちを見たときに、犬たちは一斉にこっちを見て悲しそうな声で訴えかけていました。動物の遺棄は、すべて人間の勝手、人間のエゴが生み出したものでございます。

  先ほども触れましたが、現在、県内各地で問題となっているアライグマも、もとはペットとして飼われていたものが、安易な遺棄によって、今では増殖につながり、自然の連鎖を壊し始め、逆に退治しなければならなくなったということです。これもすべてもとをただせば、人間の無責任さが生んだものだと私は考えます。

  最近では、飼い主のマナーも欠如し、近隣の住民に迷惑となるような鳴き声などの苦情も多く見られ、動物の飼育や管理についても課題が多くなってきていることは事実です。狂犬病の予防注射も、県内すべての飼い主が行っているわけではないのが現実です。一昨年、県内の港から入港した男性が狂犬病で亡くなりました。狂犬病の致死率は高く、犬を介して伝染します。

  こうした水際対策も不可欠ですし、欧米ではマイクロチップ装着の義務を初め、飼い主の責任を重要視して登録制度をかなり厳しくしているところもございます。我が国では、ちょっとしたブームだけで飼い、飽きたら捨てる飼い主が実に多くいることもまた現実なのです。

  このような状況の中で、動物の愛護及び管理に関する法律が一部改正され、各県にも国の示した基本指針に即した動物の愛護・管理に係る計画づくりを求めています。今回、県では、こうした国の方針を踏まえて、動物の愛護及び管理に関する施策の推進策を示すため、「(仮称)神奈川県動物愛護管理推進計画」の素案を公表し、去る1010日から11月8日まで、県民の方々から意見募集を行ったとのことですが、先ほども述べましたように、動物の飼育に対する考え方も人それぞれですので、さまざまな観点からのかかわりを持つ関係団体を初め、動物へ高い関心を示す県民各層など、より広い範囲からの意見を踏まえた計画づくりが望まれるところです。また、計画に示された諸施策の内容については、新たな施策も多くあると聞いておりますが、こうした計画づくりに当たっては、動物愛護・管理に関心をお持ちである県民の方々からの意見を広く計画に反映していくべきと考えます。

  そこで、知事に伺います。

  今回進めた県民意見の募集によって、県民の方々から何件の意見や提案をいただき、また具体的にどのような内容の意見を得たのか、そして、今後、計画の策定に向けて、どのようにいただいた意見を反映していく予定なのか、お考えをお伺いいたします。

  質問の第2は、高齢者福祉についてです。

  初めに、高齢者の虐待問題についてお伺いいたします。

  近年、高齢者に対する虐待問題が、児童虐待などとともに大きな社会問題となっております。一口に高齢者に対する虐待と言っても、自宅で自分の家族やヘルパーから受ける虐待や老人ホームなどの施設入所者が施設の職員から受ける虐待など、幾つかのケースがあります。

  平成18年4月には、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、いわゆる高齢者虐待防止法が施行されましたが、この法律では、家庭内で高齢者を介護している家族や親族による虐待や、訪問介護サービスを提供しているヘルパー等による虐待、さらには入所している施設の介護職員等による虐待が定義されたところです。

  最近の新聞報道では、埼玉県内で息子の虐待により母親が死亡するという痛ましい事件がありました。神奈川県内でも、昨年、介護にまつわる殺人事件が何件か発生しております。介護疲れから夫が寝たきりの妻を、あるいは、耳が遠く、意思の疎通がうまくいかない認知症の夫から殴るけるの暴力を日常的に受けていた妻が夫を殺してしまった事件などがございました。

  今の高齢者の皆さんは、戦中・戦後の混乱期を生き抜き、苦労して子供たちを育て、高度経済成長期を支え、今日の日本の繁栄をつくってきた皆さんです。そうした方々の人生の最後がこういう形で締めくくられるのは余りにも悲しく、やりきれない思いです。

  そもそも、家庭内で虐待が起きる背景には、これまでの夫婦関係や親子関係など、長期間にわたる家族不和の関係などのほか、今まで元気だった高齢者が加齢や、また病気により介護や世話が必要な状態となり、介護者が日常的な介護の中で精神的・肉体的にストレスを感じて追い詰められ、その結果として虐待に及ぶものがあると聞いております。このような家族の介護負担を軽減するために、介護保険制度を初めとするさまざまな在宅介護の支援制度があるのではないでしょうか。

  また、地域においては、認知症の高齢者への対応や利用できるサービスなどについて、身近に相談できる場所として、平成18年度に地域包括支援センターが設置されましたが、現状を伺いますと、介護予防プランに追われ、本来の相談窓口機能や関係者とのネットワークの構築などが十分にできていないとの声も聞こえてきます。

  先ほど来申し上げておりますように、高齢者にとって最も信頼できる存在であるべき家族や介護職員からの虐待は、あってはならないものであることを考えますと、その対応に当たる市町村や地域包括支援センターの役割は大変に重要であり、県としても十分な支援が必要であると思います。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  高齢者の虐待問題について、県内における家庭内や訪問介護などの介護職員からの高齢者虐待の実態とその防止に向けて、今後、県としてはどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。

  次に、高齢者を支えるための地域における助け合いに向けた取り組みについてお尋ねいたします。

  私の地元である横浜市青葉区は、全人口に占める65歳以上の方の割合、いわゆる高齢化率が19年3月現在で13%であり、横浜市全体の17.7%や、県全体の19年1月現在の17.8%と比べても若い地域となっております。また、青葉区は緑も多く、よく整備された町並みが多いので、愛着を感じている住民の方が多い一方で、ほかの地域から転入された比較的若い世代の家庭が多く、東京への便がよいため、通勤・通学では約4割の方々が東京に通っている状況であり、いわゆる地縁・血縁のない、地域とのつながりが薄い方々が多いこともまた事実です。

  しかし、現在は若い地域であっても、10年後、20年後には現在住んでいる皆さんも高齢化しますし、子供たちの世代が巣立っていくことになりますので、今後、地域全体の高齢化が急速に進んでいくことは間違いありません。

  このような中で、地域とのつながりが薄く、隣の方の顔も名前も知らないというような事態が、高齢者が地域で安心して暮らしていく上での大きな障害になるのではないかということを私は大変心配しております。身寄りのないお年寄りが自分の部屋で倒れ、何カ月もたってから白骨化して発見されるという孤独死のニュースを見たり聞いたりすることが珍しくなくなってきています。

  さらに、高齢者だけの世帯では、業者の悪質な勧誘に乗って必要のない耐震工事を法外な値段で発注してしまったり、高額な布団や健康器具やらを売りつけられたりする事件もふえているようですけれども、今後、高齢者の増加、とりわけ認知症高齢者の増加に伴い、財産の管理ができずに、このような被害に遭うケースがさらに増加していくことを懸念いたします。

  以前の日本のような、地縁・血縁とまではいかなくとも、これからの時代は、たとえひとり暮らしであっても、安心して生活ができる地域づくりが重要な課題であると思います。そして、そのためには、地域の住民がそうした地域づくりをみずからのこととして、さまざまな工夫や努力をしていくとともに、行政もこれを適切にサポートしていくことが必要であると考えます。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  高齢者の孤独死や事件・事故を事前に防止し、地域で安心して暮らし続けていくために、地域における見守りや助け合いを促進するとともに、成年後見制度の活用など、権利擁護に向けた取り組みがますます重要になると考えますが、県として、地域福祉向上の観点から、どのような取り組みを行っているのでしょうか、お伺いいたします。

  質問の第3は、ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVの被害者等に対する支援についてお伺いいたします。

  先ほど高齢者の虐待について申し上げましたが、高齢者の虐待には、認知症の夫が妻を暴行するなど、配偶者による暴力、いわゆるDVと重なる部分があります。高齢者に限らず、配偶者による暴力は犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害です。しかし、家庭内での出来事でもあり、また夫婦間のことなので、かなり深刻な状況になり、殺人や傷害といった事件にならないと、表にあらわれてこないといった実情があります。

  平成13年4月に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆる配偶者暴力防止法が制定され、翌14年4月から全面施行されましたが、このことにより、暴力の被害者からの相談を受ける体制が整い、これまでなかなか表面に出てこなかった被害の状況も明らかになってきています。また、今年の7月から、この法律が改正、公布され、来月1月から、身体的な暴力だけではなく、言葉による脅迫も保護命令の対象となるなど、被害者等の救済の幅も広がると伺っております。

  神奈川県では、配偶者暴力防止法の制定以前から、かながわ女性センターで被害者の相談や一時保護などに取り組んできており、平成14年には法の施行を受けて配偶者暴力相談支援センターを設けているそうです。

  この配偶者暴力相談支援センターに被害者から寄せられる相談の状況ですが、現在改定中の「かながわ男女共同参画推進プラン」の県民参加用資料によりますと、平成14年度には2,775件でしたが、平成18年度には4,776件と約1.7倍にふえております。こうした被害者の方々を必要に応じて保護するとともに、その後の生活をしっかりと支援していかなければ、被害に遭われた方々の生活を守ることにはならないと思います。

  先日、新聞に、夫と別れた女性と子供が入所する現代の駆け込み寺、母子寮が減り続けているとの記事が載っていましたが、DV被害者の方々等が原則2週間という一時保護の期間の後、すぐに自立した生活を始めるのは非常に困難であり、むしろこうした関係機関の協力による取り組みを充実していくことの方が大切であると考えております。

  長崎県では、婦人相談所機能と婦人保護施設機能をあわせた施設で、2週間という一時保護の期間を超えて、アパートなどでの自立した生活に向けて継続的な支援を行っていると伺っています。また、神奈川県においても、一時保護終了後にも支援が必要なDV被害者等の自立を支援するため、婦人保護施設を活用したり、今年度から新たに県施設を活用したステップハウスを設けるなど、いろいろな取り組みをしていると聞いております。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  県の配偶者暴力の被害者等の自立支援策について、新たに設けたステップハウスの現状を踏まえ、今後どのように自立支援の取り組みを充実していこうとしているのか、お伺いいたします。

  最後の質問は、今、ちまたで大きな問題となっているインターネットを利用した犯罪について伺います。

  携帯電話の自殺サイトにアクセスした川崎市内に住む自殺願望のある女性が殺害されるという事件が発生しました。また、それ以前にも、やみサイトを通じて知り合った男3人による女性拉致・殺害事件もございました。このようにインターネットを悪用した犯罪やトラブルに巻き込まれる事件がふえてきており、もはや社会問題化していると言ってもいいのではないでしょうか。自殺を幇助するようなやみサイト、いじめにつながるとされる学校裏サイト、ワンクリックしただけで法外な料金を請求されるワンクリック詐欺、インターネット上での違法ドラッグの売買、また出会い系サイトを利用した児童買春行為など、次から次へと新手の犯罪が出てきております。

  この点については、先日、我が会派の代表質問において、向笠議員が特に学校現場における取り組みについてお尋ねをしたところですが、青少年はもとより、私たち一人一人がインターネット社会の陰の部分を正しく理解し、インターネット犯罪に巻き込まれないようにすることが大切なことだと感じております。

  このようなインターネット犯罪については、新聞紙上をにぎわすような大きな事件が起きるたびに、法律で規制できないのかという声が上がりますが、通信の秘密や表現の自由の問題、さらにはプライバシーの問題などがあり、法律で規制することはなかなか困難であると思われます。

  さらに対応を難しくしているのが、省庁の縦割りの問題です。例えば、通信事業という見方をすれば、これは総務省の所管です。学校裏サイトということであれば、文部科学省や法務省の所管となります。このような役所の縦割りがこの問題への対応を鈍くしている要因であると考えられます。

  しかし、だからといって、手をこまねいている場合ではございません。聞くところでは、警察庁ではネット監視を民間に委託してサイト犯罪の抑止に取り組むこととしたようでありますし、また政府のIT戦略本部も関係省庁に早急な対応を求めているとのことです。また、けさの神奈川新聞にも、携帯電話会社の方にフィルタリングの要請をし始めたところという記事が載っていたところでございます。

  本県においても、情報政策を所管する企画部、青少年の保護・育成の観点からは県民部、児童福祉や薬物の観点からは保健福祉部、いじめの関係では教育委員会、そしてもちろん、犯罪を取り締まる警察本部と、極めて多岐にわたるセクションがかかわってきます。そして、インターネット犯罪被害を防ぐためには、これらの組織が横の連携をとって有機的に機能することが必要であると考えますが、そうした横断的な政策を考える前に、まず本県の被害の実態を知り、また分析することが必要であると思います。

  そこで、警察本部長にお伺いいたします。

  本県における、いわゆるサイバー犯罪の検挙状況と主な事例についてお尋ねいたします。また、先ほども申し上げたように、サイバー犯罪の防止には、国、県、市町村、学校現場などのさまざまな機関が連携した総合的な取り組みが必要だと考えますが、そうした中で、警察本部としては、サイバー犯罪防止のためにどのような取り組みを講じているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

  以上で、私の第1回目の質問を終わります。

  ご清聴ありがとうございました。

〔拍 手〕

〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕

〇議長(松田良昭) 松沢知事。

〔知事(松沢成文)登壇〕

〇知事(松沢成文) 内田議員のご質問に順次お答えをいたします。

  初めに、動物愛護についてのお尋ねがございました。

  まず、災害時の動物救護についてでございますが、議員お話しのとおり、動物を飼育している方々にとって、動物は家族の一員であり、地震災害等の大規模災害を想定して、飼われている動物の救護にも対策を講じておくことは重要なことと認識しております。

  県では、平成7年に発生した阪神・淡路大震災の際に、人的被害とともに動物にも大きな被害が発生しましたことから、これを教訓として、地震等の大規模災害における広域的な動物救護のあり方について検討を始めました。

  具体的には、県獣医師会を中心に愛護団体や有識者の立場から獣医大学などにも参加をいただき、各団体を構成メンバーとして「神奈川県災害時動物救護活動検討委員会」を設置して、災害時の負傷動物の治療や所有者が不明な動物の保護などの動物救護活動を主要なテーマとして検討をしてまいりました。

  こうした検討の結果、大規模災害時においては、第1に負傷している動物の保護、治療、第2に所有者不明の動物の保護、保管、第3に飼育動物の所有者探し、引き渡し等への対応が重要であることから、そのための体制づくりや各機関の役割、活動内容等を盛り込んだ指針を作成いたしました。

  県では、この指針に記載された内容に沿って、毎年実施している県・市合同の総合防災訓練の中で、動物を飼育されている県民の方々へ飼育動物の一時保護活動についてのパネル展示、ぬいぐるみを用いての負傷動物に対する応急処置の紹介、動物救護の体制などを周知しております。

  また、新潟県中越地震を踏まえ、平成18年に茅ケ崎寒川地区において、地元獣医師会や市町、警察署、さらには動物保護センター等も参加して動物愛護協議会を設立し、飼い主と動物が一緒になって、大規模災害を想定した避難訓練を実施するなどの取り組みを始めております。

  このように動物の救護対策につきましては、獣医師会はもとより、愛護団体や地元市町村の協力が不可欠でありますので、常日ごろから連携強化のあり方を試みるなど、いざ災害が発生したときに混乱することのないよう、広域行政を担う県としてしっかりと取り組みを進めてまいります。

  次に、危害を加える可能性のある動物への災害時を想定した事前の対策についてのお尋ねをいただきました。

  動物の愛護及び管理に関する法律では、猿、蛇、ワニなど、人の命や体に危害を加える可能性のある動物約650種を特定動物として定めており、動物園や個人の施設などでそれらを飼う場合、都道府県知事や政令指定都市の市長の許可が必要であります。

  この特定動物は、県内で平成19年4月1日現在、80施設で355頭が許可を受けて飼われておりますが、これらの許可条件としましては、逃走を防止できる構造と強度を有する施設・設備の設置を飼い主に義務づけております。また、こうした法に基づく義務づけのほか、県におきましては、飼い主に特定動物が逃走した場合などの緊急時の措置方法をあらかじめ決めておくことを求めており、許可に際し、その内容を書面で提出していただいております。

  動物園などでは、飼育員の配置や捕獲道具等の整備もなされ、特定動物が逃走したことを想定した訓練を定期的に行っておりますが、個人で飼っている方が同様の訓練を実施することは難しく、また飼い主自身が被災し、帰宅困難となることも考えられます。そのため、個々の飼い主がその動物の成長に合わせて施設・設備の点検を日ごろから行うなど、災害時にあっても危険な動物が逃走することのないよう管理を徹底しておくことが最も重要であると考えております。

  また、動物保護センターにおいても、定期的にこれらの特定動物を飼っている施設の立入検査を行い、飼い主による日常点検が実施されているか、施設・設備の強度が確保されているかなどを確認し、逃走防止の対策について指導をしております。

  このように日常点検の徹底について、飼い主に十分理解していただくとともに、県といたしましても、災害時の特定動物の逃走による事故の発生を防止できるよう努めてまいります。

  次に、「神奈川県動物愛護管理推進計画素案」に対する県民意見募集の状況と今後の計画への反映についてのお尋ねをいただきました。

  この計画素案に対する意見募集は1010日から11月8日まで合計30日間行い、948名という多くの方々から延べ4,000件を超えるご意見をいただいたところであります。

  その主なものといたしましては、まず、「動物保護センターなどに引き取られた動物の処分数をさらに少なくしてほしい」というご意見が788件、「不妊去勢処置を推進してほしい」という意見が540件、「マイクロチップによる動物の所有者明示措置の推進を強化してほしい」が418件、「動物への虐待防止に対する取り組みを強化してほしい」が203件などでございました。

  いただいたご意見については、例えば処分数につきましては、10年後の計画最終年度にその数をゼロにすべきであるといったご意見がありますが、一方で実現性のある目標を設定し、着実に進めていくべきであるというご意見もあり、計画の中でどの程度の目標値を設定するのかといった問題もございます。

  また、不妊去勢処置やマイクロチップの装着に関しましては、推進に向けた多くのご意見をいただいておりますが、手術や装着に必要な費用の問題もございますし、また動物に負担がかかることを不安に感じる飼い主の方もいらっしゃいますので、さまざまな角度から具体的な方策の検討が必要でございます。

  さらに、動物虐待の防止につきましては、虐待行為には厳罰をもって臨むべきであるといったご提案もございますが、人々の動物に対する考え方がさまざまある中で、具体的にどのような行為が虐待に当たるのか、明確な判断が難しいといった問題もございます。

  こうしたことから、ご意見につきましては、今後、「神奈川県動物愛護管理推進協議会」におきまして、これらの問題や具体的方策についても十分にご議論をいただき、人と動物の調和のとれた共生社会を実現できるよう、いただいたご意見をできる限り計画に反映していきたいと考えております。

  次に、高齢者虐待の実態とその防止に向けての県の取り組みについてのお尋ねがありました。

  議員のお話にありましたように、高齢者虐待はこれまでの家族関係や介護者の過重な負担などが虐待の要因の一つとなっており、高齢者はもちろん、家族等の介護者にとっても深刻な問題であり、虐待防止の視点から対策を適切に講じていく必要があると認識しています。

  高齢者虐待については、高齢者虐待防止法によって市町村が主体となって対応することや、高齢者虐待の定義が明確になったことから、市町村の協力を得て実態把握を行い、本年7月に平成18年度の県内の高齢者虐待について公表をいたしました。

  この中で、家庭内における家族等による虐待は476件で、虐待の内容は身体的虐待が最も多く、次に心理的虐待、介護や世話を放棄するネグレクトの順となっております。また、虐待を受けた高齢者の約7割が女性であり、一方、虐待をした者は息子が約4割で、娘と夫がそれぞれ約2割となっております。

  次に、施設等における介護職員による虐待は6件で、主なものは身体的虐待、心理的虐待であり、虐待を受けた高齢者の約8割が女性であったことなどが明らかになっております。

  そこで、市町村や地域包括支援センターの職員に対しては、虐待の通報を受けた際に迅速かつ適切に対応できるよう、ケーススタディーによる研修を実施し、また介護職員等に対しては、認知症の正しい理解と介護技術の向上を図るなど、人材育成に努めており、今後もさらに充実させてまいります。

  一方、介護する家族に対しましては、介護疲れに至る前に身近に相談できる窓口として地域包括支援センターがあることや、早期発見のために通報義務があることも広く周知してまいります。

  こうした市町村支援の充実を図ることなどにより、高齢者虐待への適切な対応と未然防止に取り組んでまいります。

  次に、高齢者を支えるための地域における助け合いに向けた取り組みについてのお尋ねをいただきました。

  少子・高齢社会では、住民、行政、ボランティア、NPOなど、さまざまな機関や団体が協働・連携して福祉コミュニティーづくりを推進することが重要であり、そのためには地域の課題や住民ニーズを発見し、受けとめるかなめとなる人材が必要となります。

  本県では、福祉の専門職や民生委員、自治会関係者など、地域のキーパーソンとなるような方々に「地域福祉コーディネーター」としてその役割を担っていただくこととし、「神奈川力構想」及び「神奈川県地域福祉支援計画」に位置づけて育成に取り組んでおります。

  平成19年度からはNPO等との県提案型協働事業で、地域のモデルとなるような地域福祉コーディネーター育成研修に取り組んでおり、こうした取り組みを市町村や県民の皆様と協働で進めることにより、地域における見守りや助け合いの体制を醸成してまいります。

  また、権利擁護に向けた取り組みでありますが、まず本県では、県社会福祉協議会のかながわ権利擁護相談センター、愛称「あしすと」において、弁護士等の専門家による権利侵害などへの相談や苦情解決を行うとともに、各市町村の社会福祉協議会において、福祉サービスの利用援助や金銭管理を行う日常生活自立支援事業を行っております。

  また、成年後見制度では、認知症高齢者などの権利を守り、生活を支援するために大変重要な制度ですので、県としてはこの制度の普及促進に向けた支援が必要と考え、弁護士会等の関係団体の方々と連携をしながら、県民向けの相談会や市町村職員向けの研修会などに取り組んでおります。

  議員お話しのとおり、高齢者が生き生きと安心して暮らすことのできる地域づくりが大変に重要でありますので、今後とも地域福祉の推進のために市町村等にきめ細かな支援を行ってまいります。

  最後に、配偶者暴力、いわゆるDVの被害者に対する自立支援策についてのお尋ねをいただきました。

  DVは親密な関係にある相手から受ける暴力であるため、被害者の心身の傷も深く、また複雑で、暴力から逃れた後、自立した生活を始めるという気持ちを持つまでには時間もかかりますので、支援者が寄り添いながら、継続的に相談等のサービスを行っていくことが重要であります。

  そのため、県では一時保護終了後のDV被害者に対する自立支援策を「神奈川力構想」の戦略プロジェクトの中に位置づけ、施設での手厚い支援から徐々に自立した生活に近づいていけるよう、段階的な支援を行っております。

  具体的には、最も支援が必要な方には、医師などの専門的なスタッフがそろっている県の女性保護施設を、そこまでの支援が必要でない方には専門指導員が配置されている市町村の母子生活支援施設を、またボランティアによる支援で自立できる方には民間のステップハウスを利用していただいております。

  さらに、今年度から、より自立に近い方への支援として、県の施設を活用した住居を用意し、NPO法人のスタッフが週2回程度、相談や情報提供を行う全国初の訪問型のステップハウスを3世帯分設置いたしました。

  今後の取り組みですが、県施設を活用した訪問型のステップハウスは、自立した生活ができるかどうかを見きわめる上で効果的な取り組みとなっておりますので、その増設や支援者の専門性を高め、施設ごとの特徴を生かしたきめ細かな対応を図ってまいりたいと考えております。

  また、施設を退所した後のフォローも必要でございますので、配偶者暴力相談支援センターでの自立サポート相談や弁護士による法律相談等を充実し、市町村や民間関係団体との連携を密にしながら、DV被害者の自立に向けた支援の強化に努めてまいります。

  私からの答弁は以上でございます。

〔警察本部長(田端智明)発言の許可を求む〕

〇議長(松田良昭) 田端警察本部長。

〇警察本部長(田端智明) 内田議員ご質問のインターネットを利用した犯罪についてお答えをいたします。

  初めに、サイバー犯罪の検挙状況と主な事例についてであります。

  コンピューター技術、または電気通信技術を悪用した犯罪をサイバー犯罪と呼んでおりますが、その検挙状況につきましては、平成18年中は175件、134人、平成19年は6月末時点で74件、81人でありました。

  罪種別では、平成18年中が児童買春、児童ポルノ法違反69件、詐欺44件、平成19年上半期が児童買春、児童ポルノ法違反49件、わいせつ図画販売等6件などとなっており、両年とも、出会い系サイトに絡む児童買春が最も多くの割合を占めております。

  平成19年中の主な検挙事例につきましては、一つは、34歳の男性が女子高生になりすまして、出会い系サイトで知り合った女子高生にメールで簡単にお金を稼げるなどと持ちかけ、わいせつな行為をした児童買春、児童ポルノ法違反事件、二つは、ネットオークションで人気漫画のキャラクターカードを販売するなどとうその記載をし、落札者から現金をだまし取った詐欺事件、三つは、画像掲示板のサイトとしては国内最大級の「画像ちゃんねる」の運営者が、被害者の削除依頼があったにもかかわらず、投稿されたわいせつ画像をそのまま掲載し続けた、わいせつ図画公然陳列事件などがあります。

  次に、サイバー犯罪防止のための取り組みについてでありますが、検挙と被害防止の両面から取り組みを強力に推進しております。まず、検挙活動につきましては、匿名性の高いサイバー犯罪を防止するためには、検挙により警鐘を与えることも重要であることから、ただいま申し上げました「画像ちゃんねる」では、わいせつ画像の投稿者だけでなく、サイト運営者を検挙するなど、法令を多角的に運用して積極的な取り締まりを推進しております。

  次に、被害防止対策でありますが、サイバー犯罪は被害が広域かつ不特定多数に及ぶことから、児童・生徒や保護者、教育関係者等、本年11月末現在3万8,700人に対し、インターネットを安全に利用するための講演活動を行っております。

  また、児童・生徒を違法有害情報から守るフィルタリングの普及促進を行う一方で、サイバーパトロールを強化し、本年11月末現在、出会い系サイト規制法違反の47事業者に対して是正警告を行い、21件を是正、23件を閉鎖させるなど、違法有害サイトの排除活動を推進しております。

  なお、国レベルにおいては、現在、関係法令の改正に向け検討中と承知しておりますが、議員ご指摘のとおり、サイバー犯罪を防止するためには、国、自治体を初めとする関係機関・団体と連携した取り組みが必要でありますので、今後とも連携を強化してまいる所存であります。

  以上でございます。

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

〇議長(松田良昭) 内田みほこさん。

〇内田みほこ議員 自席からの発言をお許しください。

  知事並びに警察本部長におかれましては、ご丁寧なご答弁をありがとうございました。

  1点再質問をさせていただきたいと思います。

  高齢者の虐待防止についての県の取り組みについては、いろいろと支援していただいていることがよくわかりました。いまだ、さまざまな事件などが報道される中で、やはり介護保険制度がまだまだ浸透していなくて、十分に機能し切れていないのではないかと正直思います。

  その中で、高齢者虐待に関しては、身近な相談窓口である地域包括支援センターの役割はとても大変重要だと思っておりますので、そこのところの、県として、今後この地域包括支援センターにおきまして、具体的にどのように充実していこうと考えているのか、再度お伺いしたいと思います。

〔知事(松沢成文)発言の許可を求む〕

〇議長(松田良昭) 松沢知事。

〔知事(松沢成文)登壇〕

〇知事(松沢成文) 内田議員の再質問にお答えをいたします。

  議員ご指摘のとおり、地域包括支援センターは相談窓口機能を初め、関係者とのネットワークの構築などのさまざまな役割を果たしておりまして、設置から2年目を迎える中で、その役割はますます重要になってきていると私も認識しております。

  今後は、高齢者虐待の防止のために地域包括支援センターのネットワークづくりや高齢者の実態把握について研修などを通じて取り組みを促進するとともに、地域包括支援センターの運営上の課題についても、市町村と連携して検討してまいりたいというふうに考えております。

  以上です。

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

〇議長(松田良昭) 内田みほこさん。

〇内田みほこ議員 どうもありがとうございました。

  ぜひそのような方向でますます取り組んでいただきたいと思います。

  最後に、要望を一言申し上げておきたいと思いますが、今回、私はペットの問題、それから高齢者の虐待などをテーマにした福祉の問題、そして孤独死などもテーマにしたこれからの高齢者の問題、それからドメスティック・バイオレンスという女性の身近な問題、そしてまた、サイバー犯罪などは子供たちも大人も関係ある、本当に身近な問題となってきておりますので、このたびの第1回目の質問ではこのような身近な問題をあえて取り上げさせていただきました。

  知事におかれましても、とても先見性があり、またアイデアルである方とお見受けしておりますので、890万人の県民を背負っている、またそのリーダーシップをとるべく、そういった繊細な分野、生活に密着した分野にもお目通しいただき、ぜひとも細かな対応をしていただきたいと、私の方からは僣越ながら要望させていただき、今回の質問と、また要望を終わらせていただきます。

  ありがとうございました。