平成20年  商工労働常任委員会 - 0121日−01

平成20年  商工労働常任委員会

◎《委員会記録-20080121-000009-商工労働常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(内田・鈴木()の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 報告事項(商工労働部長)

  「最近の経済動向及び雇用情勢について」

  「「神奈川県中小企業支援強化月間」の創設について」

  「「神奈川県商店街活性化条例」の制定を踏まえた今後の取組について」

  「湾岸ライフ推進事業について」

  「提案型地域活性化事業費補助について」

  「「かながわ人材育成支援センター」の移転後の状況について」

5 日程第1を議題

6 同上質疑(報告事項も併せて)

 

内田委員

 先ほど、企業倒産件数について報告がございましたが、原油価格の高騰、また改正建築基準法の施行による影響などが特に製造業や建設業の中小企業に及んでおり、厳しい経営環境が続いていると思います。そこで、改めて県内企業の倒産の状況について確認の意味でお伺いしておきたいと思います。

 まず、昨年12月の県内の企業倒産件数と、負債額及び前年同月と比較してどのような状況なのか、伺います。

企画担当課長

 平成1912月の県内の負債額1,000万円以上の企業倒産の件数でございますが、53件となっております。負債総額は655,400万円となっております。また、前年との比較でございますが、平成1812月の倒産件数が46件、負債総額が678,500万円でしたので、件数で7件増加、金額で申しますと2億3,100万円の減となっています。

 平成18年に比べまして平成19年は、件数で増加しておりますが、負債額で減少しており、数値を公表しております()東京商工リサーチ横浜支店で原因を分析しておりますが、負債額1億円未満の小口の倒産が増えていることが要因であると分析がなされております。

内田委員

 今、昨年に比べて負債額が減少しているということで、多分、全国的に見てもこの神奈川県ではそれぞれの施策が反映しているのかとも思われますが、そういった小口の1億円未満のところがやはり数字として表れていないので、その辺のところをもう少し配慮していただきたいと思います。また業種別に見ますと、倒産件数の多い業種は何なのか。そして、倒産の要因としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

企画担当課長

 件数で最も多かったのが建設業となっておりまして15件、次いでサービス業の10件ということになっております。

 また、負債額で見ますと、不動産業の259,500万円が最も多く、次いで建設業の19500万円となっております。

 また、倒産の要因ですが、先ほど委員からもお話がございましたが、やはり原油価格等の高騰によりまして中小企業の経営が圧迫されている。それに加えまして、改正建築基準法による不動産業者、あるいは建設業者の経営環境が悪化しているというようなことが要因として挙げられております。

内田委員

 そういった状況の中で、先行きが不安定で、建設業、それから不動産業は、更に過酷な状況に入ると思います。県として企業倒産を防止する対策を講ずるのは非常に難しいことは理解しておりますが、そういう中にあっても経営状況の厳しい中小企業への支援についてどのように考えているのか、お伺いします。

商工労働総務課長

 県では、中小企業の経営改善や新事業進出、さらには安定した事業運営などに支援するほか、新製品の開発などの促進に対する技術支援、さらには中小企業の重要な資源である人材の育成、資金面での支援など、様々な中小企業支援に努めています。

 昨年の夏以降、原油現在高の高騰が続きまして、中小企業の経営を圧迫して更に厳しい状況になっております。県では、こういう原油現在高の急騰等を受けまして、昨年の夏から相談窓口の設置、さらには昨年12月から原油・原材料等高騰対策融資も始めており、多くの中小企業から活用をしていただいております。

 また、報告にもございましたとおり、県の施策で中小企業に十分活用されていないというか、更に活用していただきたいということもありまして、2月に神奈川県中小企業支援強化月間として、県や多くの団体等が実施する支援事業を広くPRして、利用促進を更に図ることとしております。強化月間を通じて、多くの方々に支援事業を御利用していただき、県の施策への理解を深めていただき、支援機関・団体においても、これを契機に一層中小企業支援の機運を盛り上げていき、中小企業の応援団の役割をしっかりと果たしていきたい。また、そういう必要性があると考えております。

内田委員

 経済の先行きが不透明な中で、今後更に企業の倒産が増加していくのではないかと考えております。これはアメリカ経済の停滞、それから株価の低迷、またサブプライムローンの問題、また政治的な不安など、多くの要因が絡み合っていると思います。我が国全体の問題だと認識しておりますが、県としても、今お話をいただいたように、強化月間を持つということで、引き続き経営相談や技術支援、さらに金融支援など、きめ細やかな対策を練っていただき、対応していただきたいと要望いたします。

堀江委員

 関連して、私から二、三お伺いしたいと思います。今お話しのように、原油の高騰、あるいは円高等もあり、それにプラスして官製不況という言葉が今言われているわけであります。それは建築基準法の改正によって、なかなか構造計算等の審査に時間がかかり建築に着手できない。そのために様々な業界に大きな影響が出ているという中での、官製不況だと言われているわけであります。私は、この官製不況という言葉、あるいはまたその実態について、非常に今の状況の中では正にそのことが景気の足を引っ張っているのではなかろうかなと思っております。

 民間の皆さん方が一生懸命やっている。また商工労働部の方でも一生懸命、インベスト神奈川の中で企業誘致をやっておられるにもかかわらず、別の部署では逆にあれは駄目、これは駄目で、なかなか許可をおろしていただけない。そのことによって事業に着手できない。そのことによって、また新たなテンポの中での進展ができないということについて、何とかならないのかとか、もっと事務の合理化、そしてまた効率化を図れないかということを強く言われるわけであります。このことについて、産業の活性化や、あるいはまたこうした不況の状況が言われる中で、何とか経済を活性化しなければいけない。そして、民間の皆さん方にもどんどん力を出してもらわなければいけない、行政だけではどうにもできないということが言われているわけであります。そういう意味で、申請したが一向に許可がおりてこない、あるいはまた申請をしたが、あれを持って来い、これを持って来いでますます時間が経ってしようがないということを言われています。

 こういうことについて今、商工労働部は各部局に対してどのような取組をされておられるのか。特に官製不況という中では、この状況を打破するためには何を今しなければいけないか、あるいはまた何をしているのかということをお聞きしたいと思います。

商工労働総務課長

 今、委員お話しのとおり、耐震偽装事件に端を発して、やはり建築基準の関係でかなり厳しい審査というか手続があるということで、昨年の夏以来、かなりそういう申請の許可に時間がかかっていると聞いております。実際に私どもとしては、市町村などにもお話を聞いて、ただ現実論として、データが不足していたり、資料が不足していたり、そういうものでどうしても時間がかかるというようなことと、やはり一方では耐震の問題、しっかりと建築関係の部局に対応してもらわなければいけないということもありまして、どうしても時間がかかる。でも、その一方で、どちらかというと少しでも産業活性化、特に建設業が活性化していないことがいろいろな方面にやはり影響が出ているということで、私ども関係部局の方でもいろいろ情報を収集し、また市町村からお話を聞いて、どういうところを改善ができるのかどうか、今後検討していきたいと思っております。

堀江委員

 今お話しのように、建築確認の許可がおりてこないために非常に遅れてしまうといった問題も今あるわけでございまして、特に通常の平屋建てまで建築確認がおりてこない、何で平屋建てにまでこういった影響が出てくるのだというのが行政に対する率直な不信感になって今出てきているわけでございます。だから、今商工労働総務課長がお話しのように、不動産や建築業の業界の倒産件数が非常に多い。これが4階、5階、高層なら分かりますが、平屋建てで何でそんな必要があるのか。そのことによって建築確認がおりてこない。正にこれは官製不況だと私はとらえています。そのために商工労働部としてどういうふうにそういった部局に対して、事務の合理化、簡素化、更には景気浮揚のための、活性化のための手立て、取組をされておられるのか、お聞きしたいのです。

商工労働総務課長

 関係部局といいますと、大きくは県土整備部の方になろうかと思いますが、状況を把握してできるだけ早めるというか、適正に審査していただいて早めていただくというようなことは、お話をさせていただいているのですが、現実、実際の事務は市町村で申請の許可をやっているのがほとんどで、特に委員お話しの平屋建てのところまで遅れているというのは、その辺のところは結果として全体の中での順番で遅れてきたのではないのかと考えております。できるだけ、先ほどもお話ししましたように、市町村の方の状況を把握して改善の余地があるようであれば、私どもの方からお話をさせていただくというようなことで考えております。

堀江委員

 確かに、地方分権によって権限移譲ということで市町村にゆだねられている部分が非常に多いわけでありますが、実際に県所管のところもあるわけでございまして、そういったことを踏まえて、広域的に商工労働部の方で企業の育成という中でしっかりやっていただかないと、屋根屋さん、塗装屋さん、あるいはとび職や基礎屋さんなど、今いろいろなところに波及して、それで倒産が多いということです。では、その言われております官製不況について、不動産屋や建築屋さんなどに対するフォローは、一体どうなっているのか。

 今言ったように、建築確認を市町村にゆだねている。では、その市町村に県としてどのようなフォローしているのか。官製不況により倒産した業者に対しては、どのような取組や手立てを講じているのか。この二つをお聞きします。

商工労働総務課長

 先ほどもお話ししたとおり、状況をまず把握するということで、県土整備部を通じて各市町村の審査の状況について把握をさせていただいて、どういうところに事務の効率化が少しでもできるのか、例えば平屋建てと高層の建物について、どういうふうな形でやっているのか、私どもは、直接的には把握していないというのが実態でございます。県土整備部と連携して、少しでも審査期間が短くなるような形で働き掛けていきたいと考えております。

堀江委員

 もう一つの、官製不況と言われる中で倒産した業者に対してのフォローはどうなっているのか、これについて答弁がなかったのですが、どうでしょうか。

 そして、今お話しのように、実態把握はまだしていないと。官製不況という中で、県土整備部の方にお願いをして、その把握に努めるということでありますが、是非とも早急に県土整備部の方にお願いをしていただきまして、実態把握に努めていただきたい。また、把握できた中で、このような改善をしました、あるいはこのような改善に努力しましたという結果を報告いただければ大変有り難いと思います。このことは要望させていただきます。

商工労働総務課長

 委員お話しのとおり、建設業だけではなくて、やはり今日報告をさせていただいておりますが、倒産件数も伸びております。特に、小規模な企業がやはり倒産している。それと、建設業関係にもかなり波及しているということを企画担当課長の方から答弁させていただきました。やはり私どもとしては、少しでもそういう企業に対して、倒産したことでどうやって立て直していったらいいか、それはそういう企業の声を聞いて、それに対してどういう方法論があるか。中小企業支援強化月間というのも、今営業している企業もあるし、倒産している企業についていえば、それに対してどういうフォローができるのかどうか。少しでも今回の強化月間でいろいろと相談窓口を各関係団体とともに設置していますので、まずは相談をしていただいて、いろいろなケースがあるだろうと思いますので、どういう方法がいいのかどうか個別に対応していきたいと考えております。

堀江委員

 要望だけさせていただきます。言われておりますように、景気の足を行政が引っ張るようなことにならないように、官製不況を何としても打破しなければいけない。この様に思うところでございまして、一層の取組をお願いして、私からの関連質疑を終了いたします。

内田委員

 次に、神奈川県中小企業支援強化月間についてお伺いしていきたいと思います。先ほど申し上げたように、原油・原材料の高騰など地域経済を支える中小企業への影響が懸念されております。この強化月間について何点か伺います。

 まず、今年度新たに中小企業支援強化月間を創設したということですが、なぜ今年度強化月間を創設することにしたのか、その経緯と県のねらい、目標についてお伺いしたいと思います。

企画担当課長

 中小企業の皆様は、日ごろ経営改善等様々な課題を抱えながら経営に取り組んでいるという実態がございます。そうした課題を解決するために県としても少しでもお役に立ちたいということで、県や関係機関で創業支援、あるいは技術支援、経営改善、人材育成など、様々な面からのサポートを現在でもさせていただいております。

 しかしながら、こうした様々な支援事業が必ずしも個々の中小企業の皆様に浸透していない、余り知られていないといった実態もございます。そういうことで今年度、中小企業支援強化月間を創設いたしまして、各団体が実施している事業を持ち寄りまして、集中的に2月に実施するということで広くPRを図り、利用促進を図っていきたいということで、加えて事業への理解を深めていただきたいという思いで創設をいたしました。

内田委員

 なぜ2月を強化月間に指定したのか伺います。

企画担当課長

 2月には、県内で最大の工業見本市でありますテクニカルショーヨコハマ2008という催しが開催されます。多くの来場者が見込まれますので、その機会に相談会ですとかフォーラム、あるいは受注相談会等を実施することで事業の効果を高めていきたいといった思いもございます。

 また、2月は確定申告の時期でもございますので、決算処理等の御相談を通じまして御支援できることがあるのではないかと考えまして、2月を強化月間といたしました。

内田委員

 それでは、来年度以降で決まっている予定がございましたら、教えていただけますか。

企画担当課長

 今年度は2月ということで実施いたしますが、固定するということで考えているわけではございません。来年度以降につきましては、今回の実施状況を踏まえまして、より最適な月があれば選定をして、柔軟に対応していきたいと考えております。

 こうした取組は、継続して実施していくことが中小企業の皆様に県の施策等を理解していただくことになろうかと思いますので、関係機関の協力を得ながら、息の長い取組にしていきたいと考えております。

内田委員

 報告資料によりますと、主な創業支援や経営支援が記載されておりますが、一体どのくらいの事業数になるのか。また、その特徴的な事業がございましたら、お伺いします。

企画担当課長

 支援事業の数でお答えをさせていただきますが、創業支援ということでは6事業、技術支援といたしまして23事業、経営支援ということで34事業、人材育成支援ということで12事業、その他の支援といたしまして6事業で、合計81本の事業を考えてございます。

 中心となる事業でございますが、先ほども少しお話しいたしましたが、テクニカルショーヨコハマ2008という工業見本市を2月13日、14日、15日の3日間開催しますが、パシフィコ横浜の展示ホールで最新の技術、製品、情報サービスを一堂に展示するものでございまして、例年300社を超える出展、3万人程度の来場者があるという事業を中心的な事業ということで考えております。

 また、特徴的な事業といたしましては、今回、県が強化月間を創設したことで、特別に()神奈川県経営者福祉振興財団が「がんばれ神奈川の中小企業!」ということで、「産業Navi」というホームページを持っていますが、そこに掲載する中小企業のページの作成料の半額キャンペーンということで打ち出しをしていただきました。これは財団のホームページの中に企業を宣伝する「産業Navi」というページを開設しておりますが、2月中は、中小企業が自社の製品や商品、サービスの宣伝を掲載する場合に、そのホームページ作成料を半額にするというキャンペーンを実施していただいております。

内田委員

 そういったホームページの作成料が半額になるということは、中小企業の経営者にとっては有り難い話だと思います。

 支援事業を中小企業の方々に活用していただくためには、どのように県としては広報、あるいは周知をしていくのか。ホームページでもやっていると思いますが、お伺いします。

企画担当課長

 月間の広報でございますが、まず1月の「県のたより」で県からのお知らせということで広報をいたしました。また、1月7日には知事から定例記者会見の場におきまして記者発表をいたしました。また、協賛団体、あるいは後援団体において、イベントのチラシですとか、ホームページを活用して月間の広報に御協力をいただいております。また、現在、広報用のポスター、チラシが完成いたしましたので、県の各機関、関係団体、あるいは市町村関係、それから鉄道事業者の御協力をいただきまして、ポスターの駅張り等によりましても今後周知を図ってまいりたいと考えております。また、県のホームページにおきましても強化月間をPRしてまいります。

内田委員

 最後に改めて、強化月間により中小企業支援を実施することで、どのような効果が生まれてくるのかということをいま一度お伺いしたいと思います。

企画担当課長

 まず一番の目的が、県の制度、あるいは事業、関係団体の事業の周知を図っていく、知っていただくといったことがございます。このキャンペーンを実施することによりまして、多くの方々にそういったものを周知していく効果があろうかと思っております。

 また二つ目は、その事業を利用していただくということでございます。今回の取組を通しまして、中小企業の皆様に気軽に県の施策、あるいは団体の事業といったものを利用していただけるようになればといった効果を期待しております。

 さらに、その先の目的としては、事業を活用した中小企業の皆様が何らかのそれぞれが抱える課題を克服して経営改善が図られ、元気になっていただくということで私ども事業を推進してまいりたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。課題を克服して元気になってもらうために県としても動くということでしたが、中小企業支援強化月間は時宜を得た取組だと思います。是非この取組を成功させて、できるだけ継続的に取り組んでいただきたいと思います。

 また、これを機会に、関係団体と中小企業支援のネットワークを強化することも重要ではないかと思っております。県では、企業誘致施策、インベスト神奈川の一環として神奈川R&Dネットワーク構想、つまり大手企業と県内中小企業のマッチング強化に取り組んでいる最中ということで、このたびのような強化月間の中でも新たなビジネスを創出できるチャンスが更に広がると見込んでおります。

 今度のテクニカルショーにも約300社の出展、それから3万人の来場者が期待できる中で、中小企業の経営者の方にもできるだけ利用していただくように声を掛けていただき、アピールをして、中小企業活性化条例(仮称)の制定に向けて、中小企業支援の機運を盛り上げていただきたいと思います。

 そして、このような支援事業により中小企業が元気になって、県内の経済全体も活性化していくことを要望いたします。

 次に、県では、原油価格の高騰に直面している中小企業を支援するために、信用保証制度の中のセーフティネット別枠保証を活用して12月1日から原油・原材料等高騰対策融資を始めているということですが、セーフティネットの別枠保証の対象となる不況業種に建設関連の中小企業が追加指定されたということを受け、同融資により、建築着工件数の急激な減少に苦しんでいる中小企業への金融支援も併せて行っていると承知しております。

 新聞報道によれば、従来のセーフティネットの別枠保証に比べて利用が急増しているということで、まずはじめに、12月の原油・原材料等高騰対策融資の利用実績について伺いたいと思います。

金融課長

 原油・原材料等高騰対策融資を12月1日から始めております。1箇月間の実績が出ておりますので、御報告申し上げます。12月の件数では130件、金額では約44億円となってございます。

 この仕組みは、今委員からもお話がありましたとおり、セイフティーネット別枠保証という、もともとの仕組みを利用しやすく、そしてPRをして12月から始めたというもので、11月の時点での金額と比較しますと、件数で2.7倍、金額で2.5倍ということになっております。制度融資全体から見ましても金額で2割ぐらいのウエイトを持ってきたということで、今まで、1割にも満たないウエイトだったのですが、そういうことで想定していた以上に御利用いただいたということでございます。

内田委員

 当初、県としては、全体として50億円といった枠もあったと思いますが、当初の融資目標を大幅に上回って利用が急増しているということでありますが、その原因についてどのように県としては分析しているでしょうか。

金融課長

 この融資につきましては、1113日に記者発表させていただいて、公表したところでございます。そのときは不況業種指定をしている70業種でないと融資は受けられないと申し上げていたのですが、その後、1127日に国の方で建築関連の業種ということで、24業種の追加指定がございました。さらに1218日にも、国の方が原油高の影響が大きいということで緊急的な業種の追加指定があったということでございます。

 そこで、12月実績の中身を見てみますと、既存の70業種よりも追加指定された業種に係る金額のほうが大きかったことということでございまして、そういう追加指定があったということが大きな一つの要因です。

 それからもう一つは、10月から責任共有制度というのが始まっておりまして、金融機関が2割のリスクを持って融資をしてくださいということが始まりました。このセーフティネット別枠保証というのは、金融機関にとっては、責任共有制度の対象外の融資だという部分がございます。ですから、金融機関としては自分のリスクがなくてお貸しできるというようなことも相まって、実績が伸びたということになったのではないかと考えているところでございます。

内田委員

 原油・原材料等高騰対策融資の実績が予想よりも伸びている要因について御説明していただきましたが、これに関連して、そのほかの資金の利用実績について、昨年度との比較と併せてお伺いします。

金融課長

 それでは、全体でまず12月末ということで申し上げますと、金額で前年同期で101.4%ということでございまして、まず昨年度と大体同じ水準になってございます。ただ、これにつきましても、前回の当常任委員会にも御報告申し上げましたが、年度前半は110%台であったものがだんだん100%台まで下がってきているということでございます。

 単月で申し上げますと、12月実績だけで申し上げますと、前年度比で80%ということで、前年度よりは2割ほど落ちております。10月の制度が導入されたときは95%ということだったのですが、11月が75%程度、今月が80%ということですので、やはり実績が少し落ちてきているということでございまして、これは責任共有制度の影響が少し出てきているということでございます。ただ、前月に比べて増えたのは、この原油・原材料等高騰対策融資の金額が伸びたということがあるということでございます。現在、全体ベースでいえば前年比で約8割程度というペースに少し下がってきているということでございます。

 ただ、資金の中でも大きく減っているというのは無担保クイック保証というものでございます。これは、昨年度非常に伸びたのですが、これが今年になって非常に落ち込んでいる。一方で、長期の事業振興資金であるとか、通常の事業振興資金につきましては九十数%で、さほど落ちていないということで、年度ごとに若干の濃淡はございますが、全体では少し落ち込みが見えているのかなという状況でございます。

内田委員

 無担保クイック保証とかではなくて、やはり長期的な安定した資金が経営者の方も必要かと思われます。こうした全般的な減少傾向の中で減少幅の小さい資金についてはどのような理由であるのか、お伺いします。

金融課長

 今申し上げましたとおり、年度ごとに若干の違いがあるということで、現在でも伸びているものもあるということでございます。これは最初に申し上げましたセーフティネット別枠保証の原油・原材料等高騰対策融資はまだ伸びております。あともう二つほど伸びているものがございまして、創業のための起業家の支援の部分、あと小規模事業者に特別小口というメニューがあります。こういうものについては、まだ毎月コンスタントではありませんが、そんなに減っておらず、どちらかというと増えている傾向があります。ただ、これらは責任共有制度の対象外のメニューになっております。それ以外の基本的に責任共有制度の対象になっているものは減少しております。先ほど申し上げました長期の事業振興資金であるとか通常の小規模事業資金は、この3箇月、責任共有制度が導入されてからの金額で申し上げますと、前年度に比べて97%、98%ということで、さほど減少していないということでございます。

 ただ、一つには、この二つの資金は制度融資の中で一番利率の高い資金でございますので、事業振興資金は2.6%、長期の場合は2.6%以内、それから通常の小規模資金についても2.4%と、ほかに比べれば利率が高い。こういうことで金融機関にとって責任共有制度ということになった後も、リスクをとりながらも融資がしやすいというのが、これらのメニューなのかなと考えているところでございます。

内田委員

 責任共有制度は大分キーワードになってくると思います。制度融資の利用実績を確保するために今後どのように対応していこうと考えているのか、伺います。

金融課長

 繰り返しになりますが、やはり10月以降、少しずつ影響が出てきて減少してきているということでございます。そうしますと、平成20年度に向けまして制度融資全体をどういうふうに考えていくのかということでございますが、一つは、利率については、中小企業者にとりましては利率が低いほうがやはり負担軽減が図れるということで、融資利率ということも考えなければいけないかということです。一方で金融機関としては、リスクがある中で、融資するには一定の利率も必要である。これにつきましては平成18年度に2回ほどゼロ金利政策解除ということで、0.25%、0.25%と金利が上がりまして政策金利0.5%になってございます。こういう意味で調達コストが上がってきているというようなことが数字からも少しずつうかがい知れるのかなということで、中小企業者と金融機関との負担のバランスというものを考えますと、今後は少し利率を上げる方向で検討することが必要ではないのかなと考えております。

 それと一方、やはり責任共有制度でないメニューの利用がある程度伸びてきているということもございます。それで、小規模の事業者に対しては、小口零細企業保証制度という仕組みがございます。県はこれをまだ導入しておりませんが、来年度に向けては責任共有制度の対象外の小口零細企業保証制度ということで、金融機関についても御利用していただきやすいメニューかと思いますので、こういうメニューを検討するということで、来年度に向けて検討していきたいと考えているところでございます。

内田委員

 要望いたします。中小企業は地域経済の重要な担い手であり、本当の意味で景気回復することは、多くの中小企業の状況が良くなり、県内経済全体の活性化が図られることであると考えております。そのためには、制度融資についてニーズを的確にとらえて、またきめ細やかな対応を図ることが必要であると思います。広く制度融資を御利用いただけるように、融資の利率の変更などの利用しやすい仕組みづくりを踏まえて制度の充実、そして改善に努められるように要望いたします。

 次に、昨年12月定例会において我が会派が提案した神奈川県商店街活性化条例が成立し、今度の4月1日から施行される運びとなりました。今後、条例の施行に向け、またこの条例の制定を契機として、我が会派としても商店会への加入促進のための活動に取り組んでいきたいと考えているところであります。

 今後、本格的に支援を進める段階にあります条例制定後の取組については、県当局としても前回の当委員会において、今後の対応について速やかに整備し、具体的な取組を進めていきたいとの答弁がございました。そこで、本条例の制定に関連して幾つかお伺いします。

 まず、今回の条例制定に関連して、他の自治体などからの問い合わせを含めた県内外の動きについて、その後の状況を教えていただきたいと思います。

商業観光流通課長

 まず、県内市町村でございますが、横須賀市、小田原市、海老名市から問い合わせが入っております。その内容につきましては条例内容の確認でありますとか、条例制定後の市町村との連携、支援に関する内容でございました。また、県外からでございますが、新聞ですとかインターネットの各種メディア上で条例制定の情報が公開されて以降でございますが、埼玉県、千葉県、栃木県、愛知県、佐賀県、それから市レベルでは浜松市といったところから、条文の送付依頼のほかに、条例制定の経緯ですとか、今後の県の取組予定について問い合わせがあったところでございます。

 また、昨年12月には県内では藤沢市が条例を可決いたしまして、この4月1日の施行を予定しているというような状況でございます。

内田委員

 先ほど商工労働部長からも、条例制定を踏まえた今後の取組について御報告がございましたが、具体的な内容等についてお伺いします。

 まず、今後の加入促進に向けた具体的な取組の主体である商店会団体との連携についてはどのように考えているでしょうか。

商業観光流通課長

 加入促進に向けましては、やはり個々の大型店やチェーン店に出向いて直接加入を働き掛けていくという活動は、各商店会団体が主体となるわけでございますが、ただ商店会の側も、各地域における個々の商店会団体でありますとか、また横浜市、川崎市の政令市域では区単位の連合組織があって、またその上に市町村ごとの連合組織がある。さらに、県全体を束ねる県の商店街連合会という団体がございます。県といたしましては、とりわけその中でもやはり神奈川県内をカバーしております県の商店街連合会と連携いたしまして、その内容について十分に調整を行いながら、加入促進に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 既に県の商店街連合会の方でも、やはり取組についての行動計画のようなものを、各市町村の連合組織などとも相談しながら作成いたしまして、県全体の運動のような形で展開して効果を高めていこうという方向で検討を行っているということでございますので、今後この内容との整合を図りながら、県としての具体的な取組を進めてまいりたいと考えてございます。

内田委員

 分かりました。次に、今回の条例制定によって最も影響があると見込まれるのが、大型チェーン店、なかなか商店会に加入してくれなかったという過去の経緯もあるし、これから入ってくれるチェーン店もあると思いますが、そうした事業者側の意見聴取に関してはどのように進めていくつもりなのでしょうか。

商業観光流通課長

 本条例は、商店街で事業を営むすべての事業者を対象としてございますが、やはり委員御指摘のとおり、とりわけ大型店やチェーン店などの事業者がその事業を営む地域の商店街の活動に積極的に参加し、協力する機運を高めることによりまして商店街の活性化を図るということが目的でございます。

 そこで、本条例が施行されるまでの間に、これらの大型店やチェーン店などの事業者側の実態を把握いたしまして、その意見等をできる限り聴取していくことが大変重要であると考えております。具体的には、先ほど御報告申し上げましたように、大型店やチェーン店などが加盟している業界団体の本部に対しまして条例制定の周知、説明を含めまして意見交換や、また協力要請を実施していきたいと考えてございます。これらの全国組織への対応につきましては、やはり個々の商店街ですとか、やはり市町村の単位ではなかなか取り組みにくいという面がございますので、広域的自治体である県の役割として、まず取り組んでいこうということでございます。

 また、2月には百貨店やスーパーなど27社で構成されます神奈川県商店街振興協議会が開催される予定でございますので、この機会を活用しまして、同じく県の条例の説明や意見交換、協力要請などを行ってまいりたいと考えてございます。

 まず、このような取組を行いながら、その状況に基づきまして大型店やチェーン店の例えば本社でありますとか、県内の支社に対する対応につきましても、市町村や県商連と連携して、今後検討してまいりたいと考えてございます。

内田委員

 そうした大型店やチェーン店の本社、それから支社、そういったところに働き掛けを積極的に行うことによって、逆に地元の地域の経営者や商店街の会長が接しやすくなるというか、取り込みやすくなると思われますので、是非ともそこのところは頑張っていただきたいと思います。また条例第3条で県の責務と規定された市町村と連携した施策の推進と、地域の実情に応じた施策を推進する市町村への支援についてはどのように考えているのか、お伺いします。

商業観光流通課長

 今回の県の条例を契機といたしまして、各市町村にやはりその実情に応じて加入促進などに取り組んでいただきまして、このような活動を県として支援するということが重要であると考えてございます。

 県内では相模原市や、先ほど条例が成立したと申し上げました藤沢市の先進的な取組がありますし、その他にもガイドラインを策定して取り組んでいこうというような動きも耳にしてございます。

 県といたしましては、やはり商店会への加入促進に向けた市町村の様々な取組でありますとか、県外の自治体の取組などにつきまして、随時情報を収集して、各市町村にモデル事例として提供いたしまして、市町村の取組を促進させていくような支援がまず必要であると考えてございます。

 さらに、来月上旬でございますが、市町村の主管課にお集まりいただく会議を予定しておりまして、その場におきまして、条例内容の説明や今後の取組についての意見交換を行い、各市町村がどのような御意見をお持ちなのか、またどのような御要望をお持ちなのかにつきまして把握する。併せまして、その結果を踏まえて今後の県の支援の在り方について更に検討を行っていきたいと考えてございます。

内田委員

 条例制定の効果を計るためにも、施行後に事業者側の商店会への加入や参加協力の状況がどのようになったのか、実態を把握することが必要であると考えます。これについて県としてはどのようなことを行っていくのか。また、実態の報告についても逐一お知らせいただきたいのですが、その辺のところをお伺いしたいと思います。

商業観光流通課長

 委員、お話しのとおり、本条例の効果を検証するためには事業者の商店会の加入の状況などにつきまして、やはり実態を把握していくことが必要であると考えてございます。昨年7月に県商店街連合会が、商店会加入状況アンケートというものをやっておりますが、この調査をどのような形で継続していくことができるのか、県商連の意見を聞きながら、十分検討を行ってまいりたいと考えてございます。

 また、さらに条例施行後の一定の期間が経った時点で各市町村や商店街の取組を県から照会、調査いたしまして、またヒアリングを必要に応じて行うというようなことで、きめ細かく把握をすることが必要でございますので、そのような成果を把握いたしまして、また各市町村にフィードバックをしていくというようなことを今後考えていきたいと考えております。

内田委員

 要望いたします。神奈川県商店街活性化条例が制定され、今後、加入促進に向けた取組をどのように進めていくかが県全体として重要になってくると思います。その具体的な取組については商店街自体の主体的な努力が求められるものでございますが、この県条例制定を契機として、県内の市町村においても条例制定を含め、様々な取組が行われることで、衰退している商店街が少しでも活性化されることを期待しております。

 そして、県当局においても、今後なお一層、市町村に対する連携や支援を行い、商店街への加入促進に向けた取組を進めていただくことで、この条例を制定した効果が十分に表れることを願います。

 また、私の地元でも既に商店街活性化条例についていろいろ教えてもらいたいといった個人的な要望も多くございまして、私自身もいろいろ説明しなくてはならないといった状況にあります。

 これから2月、3月に向けて、更なるいろいろな取組があると思いますが、まずチラシにおいても、それからホームページ、それから様々なポスターを作るのであれば、またステッカーを作るのであれば、その辺のところも私としてもいろいろ考えがございますので、話し合っていきながら、4月1日のより良い施行に向けて準備段階として整えていく必要があると思われますので、その辺のところをしっかりと対応のほどよろしくお願いいたします。

 次に、湾岸ライフ推進事業についてですが、横浜港での水上タクシーの運航実験をはじめ、湾岸ライフ推進事業の現在の進行状況について先ほど御説明がございました。職員提案ということで、2年目として着実に取り組んできていると思いますが、海に囲まれた本県としての実現が期待されるところでございます。

 一方で、余り前例のない事業でございますから、民間主体での事業としていくには課題も多いことと察します。そこで、今年度の運航実験の状況や今後に向けての課題などについて何点かお伺いします。

 まず、水上タクシーは余り前例がないと思っておりましたが、先般、大阪で水陸両用タクシーの運航が始まるという報道がございました。全国的にはこういった事業が、どのくらいあるのか、お伺いいたします。

観光振興担当課長

 水上タクシーの事例についての質問でございますが、全国的には決してまだ水上タクシーそのものは多くございません。現在、把握しているところでございますが、新潟県で民間企業が夏の期間限定で運航していることと、あと広島県でNPO法人が事業展開を行っているという例がございます。

 広島県の事例を御紹介したいと思いますが、広島市内を流れる川が6本ありますが、その太田川デルタに生活物資を運搬していた船舶の船着場である雁木と呼ばれている階段状の船乗り場がございまして、約300箇所残っているわけですが、そのうちの使える50箇所程度を使って、雁木組、雁木タクシーという名称で水上タクシーを運航しているというところがございます。現在は3隻の船で展開しているということでございます。200410月から実施をしておりまして、これまで約1万3,000人のお客様が乗船してきたということでございます。

内田委員

 地域の環境に応じた事業展開がなされることが重要だと思いますが、本県においての湾岸ライフ推進事業とはどのような方向性を目指しているものなのか、お伺いします。

観光振興担当課長

 横浜港から川崎港に続く京浜臨海部の湾岸地域でございますが、かつては産業用途としての利用がほとんどでありました。したがいまして、人が水に触れたり、あるいは交流をする場としては余り利用されてきませんでした。最近では特に、横浜港内、みなとみらい地区が典型的な例として挙げられますが、沿岸地域に住宅、あるいは商業、それから観光などの集客スポットなどが大変集積しております。新たな生活圏に変わってきているという状況が言えると思います。

 そのようなことから、湾岸ライフ推進事業で目指す水上タクシーですが、港町特有の地域資源を生かした新しい観光魅力の創出をしていきたい。また、新しい都市型観光のモデルケースでの提案を目指していきたい。そのことが実現すれば、観光客を更に増やせると期待しております。

内田委員

 横浜らしい新しい感覚の都市型観光の目玉の一つとして、その成果に期待したいということですが、私もそう思います。水上交通という分野の特性から、県の観光セクションだけで実現するのはとても大変なことで、限界もあるのではないかと察しますが、ほかの機関とはどのような連携を図っているのか、お伺いします。

観光振興担当課長

 御指摘いただきましたとおり、海に関する事業というのは大変いろいろな事業者が関係しております。特に観光だけではとても事業が進みません。したがいまして、港湾管理あるいは海上交通を担う機関、それから小型船の運航を行う事業者などの様々な方々の協力があって実現できるものと考えています。

 そうした観点から、昨年度の事業着手当初からまず県庁内の関係部局、それから横浜市の港湾局、海上交通を所管する関東運輸局、それから港湾等の基盤整備を所管する関東地方整備局、横浜港エリアで旅客航路事業を行っている運航事業者等の方に研究会に加わっていただいて、共同で検討を行ってまいりました。中でも関東運輸局には、事業の趣旨に賛同いただいて、平成19年度の運航実験には県と関東運輸局の共同事業として実施するなど連携を深めて進めてまいったところでございます。また、運航実験の実施に際しては、第三管区海上保安本部にも御協力をいただいて、安全航行の確保に万全を期した上で運航実験をやってきたという経緯もございます。

 今後とも、これらの機関との連携を更に密にして取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 関東運輸局が一緒になってやってくださっている。また海上保安本部関係も一緒になってやってくださっているということで、非常に良い傾向だと思います。そうした関係機関との連携を図りながら進めてきた経緯はよく理解できました。

 そうした中で実施した昨年秋の運航実験ですが、これは雨天中止もありましたが、利用者の反応というのはどのようなものだったのでしょうか。また、その結果に対してどのように評価していますでしょうか。

観光振興担当課長

 利用者の反応でございますが、アンケートから見ますと、回答者の約8割強の方から満足したというお答えをいただきました。そして、その他のアンケートの回答で生の声としてお聞きしたのが、「小型船からの眺めが見なれた横浜の景観とは違って大変新鮮に感じました。非常に水面に近いところから見る横浜が大変良かった」。それから、「スピード、あるいはスリルがあって楽しい」。それから、「思った以上に速くて快適に移動ができて便利でした。これを早く実現してほしい」といった利用者の方から大変好意的な御意見をいただきました。

 評価についてでございますが、利用者の観点、あるいは市場性といった面からは十分に実現の可能性が把握できたのではないかと見ております。

内田委員

 利用者の視点からは可能性が感じられるデータだったようですが、例えば新潟市では夏だけに限定しています。冬ははっきり言って寒いですよね。スピードがあって寒いと利用客も少し減るのではないかといった懸念も私は持っております。

 また、民間の事業として行っていくということ自体、課題が多いのではないかと思います。

 最後に、今後に向けて、民間がやるにはどのような課題があるのか。また、夏はいいが、冬はちょっと無理だとかといったいろいろな課題があると思いますが、それについてお伺いしたいと思います。

観光振興担当課長

 民間での事業化の実現に向けては、幾つかというよりも大変課題が多くあるのですが、今お話しいただきました点も踏まえて、大きな課題としているのが二つほどございます。

 一つは、民間事業としての水上タクシーの接岸ポイントの確保です。今回は6箇所プラス2箇所の計8箇所の接岸ポイントで実施をいたしましたが、今回、運航実験ということで特別に使用許可を得たという状況がございます。よって、この接岸ポイントの確保が挙げられます。観光目的で周遊を中心にする展開というのは、限られた接岸ポイントでも一定の目的を達成できます。要は、出発地点が同じ場合、周遊だけして、また同じ出発点に戻ってくるというような場合には接岸ポイントは多くなくていいわけですが、それを移動ですとか、あるいは観光のための移動というような目的で水上タクシーを使うとなりますと、やはり観光ですとか、集客スポットなどの目的地の近くに接岸ポイントを確保していく必要があると考えております。

 それから二つ目ですが、民間事業として成立し得る事業性を確保することです。いわゆる採算性ということでございます。最終目的として民間企業としての運営を目指しておりますので、この点でございますが、先ほどお話がありました事業化に向けては時期も考えなくてはいけないと思います。料金設定も大変重要な点でございます。コストの低減策もどう図っていくかといったことも事業の採算性に当たっては十分検討していかなくてはいけない。いずれにしましても、様々な視点から、更なる検討が必要と考えております。

 いろいろな課題を見てみますと、一挙に克服しようということでは行き詰まってしまう可能性が十分想定されますので、中期的な視点も持ちながら、可能なところから始めて、環境整備を促しながら事業を広めていきたいという着実な方法で事業化することが必要だと考えております。

 そうした具体化に向けた方策を民間ともっと協働しながら、様々な試行を通じて、課題を更に抽出して、民間に事業化していただける道筋をできるだけ見出して提示していきたいと考えております。

内田委員

 要望させていただきます。中長期にわたる課題もあり、一筋縄ではいかないと思います。せっかくの横浜港ならではの、湾岸地域としての特性を生かした新しい観光の魅力、また新しい観光の魅力の創出に向けて、是非ともモデルケースとして頑張っていただきたいと思います。この水上タクシーについては、いろいろな課題があると思いますが、是非とも職員提案事業ということですが、職員だけでなく関係機関と連携して、頑張っていただきたいと思います。

 また、こうした地域の資源を生かした新しい観光開発は、他の地域においても必要かつ重要な視点だと思いますので、願わくば、県として全体の観光施策の中で、こうした取組について県域全体を視野に入れて、展開していただくことを要望いたします。以上で、私の質疑を終わります。

 

 他、委員質疑続く