平成20年  商工労働常任委員会 - 0229日−01

平成20年  商工労働常任委員会

◎《委員会記録-平成202-20080229-000011-商工労働常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(佐藤・福田の両委員)の決定

3 傍聴の許否について決定

  1件申請 1件許可

4 日程第1及び第2を議題

5 同上質疑(所管事項も併せて)

他、委員質疑

 

内田委員

 菅原委員と重なってしまいますが、商店街活性化事業について、私も同じようなことを考えていました。まず新時代の商店街等総合対策の推進と書いてありますが、4月1日から商店街活性化条例が施行されるということで、このことも相まって、この予算を拝見し、全体として端的に申し上げると、予算計上が少ないのではないかと私は思います。検討された知事部局では、このことに関してどう考えているのかということと、また商工労働部長としては予算の額に関して何か見解を持っているのかというところを端的にお伺いしたいと思います。

商工労働部長

 商店街の振興は、先ほど担当課長からもお話しさせていただきましたが、県としては助成から取組を進めてきてございます。また、平成20年度につきましても、幾つか御意見はあるかと思いますが、新しい面も付加して取り組んでいるところでございます。

 県の予算は、9月から動いておりまして、実は12月時点では大体枠は決まっているという状態になっております。その中で、新しい事業をどうするのか、非常に苦しい面はございますが、条例の関係で言えば市町村と話をし、あるいはいろいろな全国的な団体については、県の方から働き掛けの準備をし、取り組んできたところでございます。

 平成20年度以降、平成20年度になれば、執行段階になりますが、予算のやりくりという中での工夫というのは、当然あるべきだと思いますし、市町村あるいは商店街連合会に対して、それぞれの役割の中でお願いできることはお願いしていき、県として条例についての取組を進めていきたいと思っております。

内田委員

 では、今年の8月、9月辺り、また調整されるということでお願いしたいと思います。

 そして、いよいよ商店街活性化条例の4月1日施行に向けて、あと1箇月ということで、残りわずかとなりました。様々な準備の段階というか、デパートとか、それから外食産業、チェーン店など、大手のグループ企業に対して、もう既に働き掛けていらっしゃると思いますが、具体的には例えばどのような団体にこれから県として働き掛けていくのか教えてください。

商業観光流通課長

 1月の常任委員会で御報告させていただきましたが、市町村との連携、商店街団体との連携、それから大型店への対応ということが現状でございます。ただ、いろいろと相手があることでもございまして、今アポイントを取りながら順次回っているところでございます。先週行ってまいりましたのは、全国百貨店協会と日本貸金業協会、この二つの団体に行ってきてございます。来週でございますが、今アポイントがとれていますのは日本フランチャイズ経営協会、日本チェーンストア協会、それから日本ショッピングセンター協会、日本チェーンドラッグストア協会、来週はこの4団体に伺う予定です。

 先週の二つの団体の状況でございますが、正に正反対の対応でございまして、百貨店協会の方は非常に商店街、地域との連携というものは非常に重要であると認識されています。それはもう加盟店の方に口を酸っぱくして言っているので、相手方の言い方ですが、百貨店協会に加盟しているところで商店街に加入していないところはないはずだということです。もし、具体的にそういうものがあるようだったら、業界の方から圧力をかけるというようなお話もいただいてございます。

 もう一方の貸金業協会の方でございますが、これは昨年12月に金融庁の所管ということで、初めて全国組織が立ち上がったという状況の中で、団体の性格自体が消費者金融なり、そういう業者を取り締まる、不正を許さないというスタンスの団体であり、そのような協力はできないので、必要であれば、直接、各店舗又は会社に当たっていただきたいという回答でございました。先週の状況はそのような状況でございます。

内田委員

 今、二つの大きな団体に行っていただいたということで、あと残るところ、三、四週間の中で是非とも多くの団体などを回っていただいて要請をお願いしたいと思いますが、その際に何か調査みたいなものは行っているのでしょうか。

商業観光流通課長

 知事名の協力依頼の文書を持って回ってございます。特に調査票みたいなものは相手には渡すような形ではやっておりませんが、私どもの方でこういうコメントを聞きたいというものをある程度持ちながらヒアリング、意見交換をして随時メモを取りながら、後で整理をするという形で対応してございます。

内田委員

 具体的に、どのような項目で訪問する相手方を決めていますか。また、特にどの辺を相手として行くことを決めていますか。

商業観光流通課長

 まず今言ったようなどういう性格の団体なのか、どういう会員がいるのか、また神奈川県内にどのくらいの会員数がいるかという団体の性格がございます。それから、もう一つは団体の指導力というと言い過ぎですが、会員に対してどのような関係の団体なのか、非常に拘束力が緩い団体なのか、それともある程度拘束力がある団体なのか、その辺の様子を伺ってくるということと、それから既に私どもで情報はつかんでおりますが、幾つかの協会では地域貢献のガイドラインというものを作成いたしまして、先ほどの百貨店協会でももう既につくり、地域貢献に取り組んでいる協会もございますので、そのガイドラインの内容の普及状況や、そのガイドラインのアフターフォロー状況はどのようなものなのかということを聞き取っています。また、今後どのような対応が考えられるかということについても、聞き取っている状況でございます。

内田委員

 事前にそのような調査していると、地元の団体の代表の方と県が交渉するときに、割と交渉しやすいのかと思いますが、そのような交渉に当たって、我々県会議員と県の役割分担をしながら、一緒になってやっていくことが重要だと思います。その辺のところはどう考えていくのかというのをお伺いしたいと思います。

商業観光流通課長

 先ほどの本会議の代表質問の中で、商店街活性化条例ができて、県としてどう取り組むのかという質問の前段の中で、議会の方としても活動するという意思表明がございました。私どもとしては、これは議員提案の条例という経緯がございますが、条例化された以上は県の責任でこれはやっていかなくてはいけないことだという認識で、今、各団体回りをしているわけでございます。やはり53年ぶりの議員提案条例ということもございますので、またこの効果を上げていくためには、議会の方の御協力も必要ということで考えてございますが、その辺は議会の方の御判断もございますので、県としては県当局として、今後の普及、啓発、協力依頼に力を入れていきたいと考えているところでございます。

内田委員

 たしか、条例の中に「県の責務として」という文言が入っていたと思います。これは結構大変なことで、長きにわたって頑張っていかないと、なかなか商店街も活性化しないということになると思いますが、啓発に当たってはリーフレットとかポスター、それからチラシの作成等に関して考えていますか。

商業観光流通課長

 先ほど部長の方からもお話がありましたように、来年度の予算という形では正式には間に合っておりません。ですから、執行の中でどうやっていくかというお話になりますが、まず4月1日前に今年度の予算を工夫いたしまして、3月の上旬ぎりぎり、半ばぐらいになるかもしれませんが、この商店街活性化条例は4月1日から施行ですという啓発のパンフレットを7万部ほど作成し、対応します。

 それから、もう既に、明日でございますが、3月1日付けの県のたよりの中に一つの特集をつくっていただいて、紙面の真ん中のところですが、商店街活性化条例ができましたと記載し、こういう責務がございますので県民の皆さんの御協力をお願いしますということを手掛けているという状況でございます。

内田委員

 ちょっと細かい質疑ですが、例えば私が住んでいるところは政令指定都市の中にあります。よく商店会の会長さんたちが何人かいらっしゃいますが、どういうことを支援してもらえるか具体的に知りたいと言われます。例えば商店街の入り口のアーケードがすごく古くなっているから少しだけ助成してもらいたいとか、街路灯の話とか、そういうハードの部分の話が多いです。そういう窓口のあるところはどこで、話がスムーズに進むのかどうかということを不安に思っています。それとともに、ハワイアンのようなイベント支援の窓口がすぐに見付かるかということや、スムーズに申請が進むかどうかという本当に小さい問題ですが、住んでいる住民や私にとっては気になるところです。このことについて教えていただきたいと思います。

商業観光流通課長

 今、最初にございましたハードの方につきましては、これは県と市町村との協調事業でございまして、私どものパンフレット等で県の商店街振興施策ということで支援できるメニューをつくってPRしておりますが、その中で、市町村と協調なので、市町村の制度と県の制度が一緒になって行われるということが記載してございます。まずは市町村に御相談いただくのが一番よろしいのではないかと考えてございます。

 それからソフトの方の商店街競争力強化支援事業につきましては、県単独の事業でございますので、地域県政総合センターに商工観光課というところがございますので、こちらの方が窓口になるということでございます。現状は、それぞれの事業にしたがって、窓口的なものを明確にしてPRはさせていただいていますが、新しい取組や非常に歴史の長い取組もあるということで、ややそこら辺が複雑化しているというようなこともございます。先ほどの新時代の商店街等総合対策推進事業費の話の中でも触れさせていただきましたが、そこの点の施策体系みたいなものをうまく整理して、商店街にとって分かりやすいような状況にしたいという問題意識を持ち、来年度検討を行いたいと考えてございます。

内田委員

 私も勉強不足ですが、やはり分かりにくいです。どこの窓口に行ったらいいのか、どういった相談ができるのかということを、これからまとめていっていただければありがたいと思います。さらに、私たちも協力できれば、商店街活性化条例を立ち上げた意味が出てくると思います。最初の二、三年が本当に大切だと思いますので、このチャンスを契機ととらえて、是非、商店街活性化に向けた新規事業について頑張っていただきたいと思います。

 次にニューコマースの推進でございますが、これはコマース、商業という意味だと思いますが、これも空き店舗活用の課題を踏まえた調査でしょうか。

商業観光流通課長

 商店街の活性化に向けましては、商業者だけではなくて地域において様々な活動をされている主体の方がいらっしゃいますので、そういう方との連携による取組ですとか、業種とか地域を超えた取組が必要ということを基本に考えてございます。

 これまでもそういうことに取り組んでおりますが、そういうものを発展的に検証しまして、新たな視点に立った取組を支援したいというのが、このニューコマース事業でございます。二つの事業から成り立っておりまして、一つは名前が長いですが、商店街・大学・地域団体パートナーシップ事業が一つでございます。商店街と地域の様々な活動主体との方々と連携を促進するものでございます。具体的には、商店街と地域団体を結び付けるモデル事業を実施しまして、特に大学のノウハウであるとか学生のアイデア、行動力、こういうものに着目をしまして、商店街と大学との連携を促進するための事業を行うものです。現在、既にその準備といたしまして、県内大学の全部にアンケートをお配りしまして、商店街と連携の可能性のある大学をピックアップしている最中でございます。

 二つ目が、商業新展開交流事業で、交流という言葉をキーワードに施策を推進したいと思っております。この事業は、各商業者が個々にとっての時代や消費者のニーズの変化を的確に把握し、独自性のある新たなサービスを提供することが求められておりますことから、そういうことにやる気のある商業者でありますとか若手の商店街関係者を中心としました情報交換や交流の場というようなものをモデル的に提供していきたいと考えてございます。このような内容が事業の交流の意味でございます。

内田委員

 要望させていただきます。

 このように商店街活性化に向けた新規事業が三つ立ち上がりましたので、それらの施策を更に迅速にしていただいて、是非とも4月1日以降の動きも見誤らぬように考えていただきたいと要望いたします。

 中小企業活性化条例(仮称)についてお伺いしたいと思います。一昨日、原油の値段が最高値を更新したということで、ニュースになっておりましたが、こうした原油や原材料高の歯止めが掛かっていない状況の中で、中小企業の経営はますます厳しくなっていると思います。まだ仮称だと思いますが、この中小企業活性化条例骨子の検討状況についてお伺いします。

産業活性課長

 この条例につきましては、今年度二つの方法で検討を重ねてまいりました。一つは、本県産業の振興や活性化等につきまして、助言を行う機関として設置しておりますかながわ産業活性化懇話会を活用して検討を行ってまいりました。昨年9月から現在まで、3回の懇話会を開催いたしまして、中小企業振興の在り方、条例で規定する項目、内容などについて、委員の方々から御意見をいただいております。

 もう一つの取組といたしましては、地域の中小企業関係団体の会合まで出向きまして、意見交換を行うなど、県民の皆様から広く意見を伺い、検討を進めてまいりました。昨年10月から県内各地域の商工会や商工会議所、また神奈川県工業協会や神奈川県商工会連合会など、中小企業団体、さらに市町村の商工担当課などと意見交換を行いまして、これまでに30回開催をいたしました。合わせて759件の意見をいただいております。

内田委員

 30回で759件というコミッションというか交流があったわけですが、こうした検討の中で出された意見というのは、どんなものがあったのか。そして、この骨子案のどのような項目に反映されているのかをお尋ねしたいと思います。

産業活性課長

 いただいた御意見のうち、骨子案の項目に反映したものは幾つかございますが、二つほど御紹介をさせていただきます。

 まず一つ目は、条例は中小企業振興の理念を示すだけではなくて、具体的な振興策を盛り込むことが必要であるといった御意見を数多くいただいております。こういった御意見につきましては、骨子案では中小企業の振興に関する計画の策定という項目を設定し、本県産業の振興に係る計画を定めること、また定める手続について記載をするということで対応しております。

 また、二つ目として、条例を制定するだけではなくて、制定後の施策の推進体制が重要である。あるいは中小企業の振興施策を効果的に推進するため施策の効果を検証する、そういった会議を設定する必要があるといった御意見をいただいております。こういった御意見につきましては、骨子案では、施策の推進体制という項目を設定いたしまして、中小企業などの意見をお聞きしながら、施策を策定、実行、検証する仕組みについて記載をしているということでございます。

内田委員

 施策の策定、推進をということで、これはどのような条例にも言えることであると思いますが、例えば商店街活性化条例にしても、条例をつくるだけでは駄目で、その推進はどうやっていくのかということと、実際にどのように県民生活に反映されていくのかということを検証していくことはとても大切なことで、特にこの中小企業に関しては、本当に経済は生き物ですから、その辺のところが一番重要になってくると思いますので、これは最も重要な県民からの意見だと思っております。

 次に、この骨子案を見ると、もともと条例というのは理念条例というのが多いとは思いますが、こういった性格を持った条例を制定している都道府県というのはどのくらいあるのでしょうか。また、特徴のある事例についてお伺いしたいと思います。

産業活性課長

 中小企業の活性化にかかる条例について他県での制定の状況でございますが、私どもが把握しているものでは、平成18年度までに制定した県は、福島県、茨城県、千葉県など7県ございます。また、今年度制定あるいは制定を目指して検討を進めている県は5県ございます。

 三つの県の特徴ある事例を御紹介させていただきます。一つは福島県でございますが、福島県では、豊かな自然、その他の地域資源を活用した観光、地場産業等の振興による中小企業の育成、こういったことを基本方針として規定をしているという事例がございます。

 また、二つ目でございますが、茨城県では、知的財産の創造、保護、活用を促進するための産学官連携、こういったところを規定してございます。

 三つ目でございますが、千葉県でございますが、学校教育における児童・生徒に対する職業体験機会の提供、こんな項目を入れているという事例がございます。

内田委員

 今、主なところを教えていただきましたが、神奈川県の場合はどのようなところが先進的であるのか、またどこが違うのかというのを教えていただきたいと思います。

産業活性課長

 今回取りまとめました骨子案には、これまでいろいろと議論して出された意見の中から、特徴的と思われるものを反映させていただいております。一つ目でございますが、県あるいは企業、団体、県民、市町村、こういった協働による中小企業振興の推進という考え方を条例の基本理念に据えているということです。これは、中小企業の支援というものは行政のみが行うというのではなくて、神奈川に集う様々な主体が力を合わせて行っていくという姿勢を明示しようということで記載したものでございます。

 二つ目でございますが、中小企業が自ら社会や地域に対して自主的な貢献を行うという考え方を基本理念や中小企業の努力といった項目に据えた点でございます。これは中小企業が地域の中で重要な役割を担って、地域とともに共存する存在として、社会や地域に対して貢献していく必要性を提示しようというものでございます。

 三つ目でございますが、県や中小企業等の責務や役割の中に、大企業の役割、大学等の役割を据えた点でございます。これは、大企業や大学が多く集積している本県の特徴を中小企業振興に生かすため、大企業や大学のそれぞれの立場から、中小企業の振興に対して一定の役割を担っていただくということを提示しようとしたものでございます。今後も更に、各方面から御意見をいただいて、必要性について検討してまいりたいと存じます。

内田委員

 最後に、今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。

産業活性課長

 今後のスケジュールでございますが、まずこの内容を御議論いただきまして、本年度中に条例骨子として取りまとめてまいります。そして、来年度の早い時期に条例骨子に対する県民意見反映手続、いわゆるパブリックコメントでございますが、これを行いまして、県民意見の募集をいたします。いただいた県民意見を踏まえまして、引き続きかながわ産業活性化懇話会からも御意見、御提言をいただきながら、庁内で検討を加えまして条例素案として作成してまいります。素案につきましては、県議会に御報告を行った後、議案として取りまとめ、県議会に最終的に提出するスケジュールで行いたいと思っております。

内田委員

 要望させていただきます。

 今回は、この中小企業活性化条例(仮称)ですが、条例化に向けて今、かながわ産業活性化懇話会のお話を伺い反映させているということは分かりました。特に大企業に関しては、インベスト神奈川でもかなり支援しているというのが神奈川県ですので、この中小企業を育てていく、そしてお互いに活性化していくという姿勢を是非とも伝えていただいて、県全体として経済が活性化するためにより良い条例をつくっていただきたいと思っております。中小企業の事業者の期待に是非ともこたえて、具体的な施策をつくり、また推進して検証しながら、県民の意見も反映していっていただきたいと願います。

 次に、中小企業への経営と技術の総合支援の方に話を移していきたいと思います。昨年12月の当常任委員会でも、地域産業力の強化に向けた技術支援について質疑をさせていただきました。地域経済活性化を図るためには、経済の担い手である中小企業に対する支援を、今も充実させていく必要があると考えております。平成20年度当初予算案で、技術革新と競争力の強化を図るため、経営と技術の総合支援に取り組むことが示されております。このことに関して、枠組みの意味を含めて幾つかお伺いします。

 まず()神奈川中小企業センターと、産業技術センターの組織的な連携を強化するために、今までどのような取組と、これからどのような取組を行うのか、改めてお伺いします。

工業振興課長

 ()神奈川中小企業センターと産業技術センターは、これまでも個々の支援事業ごとに連携を図りながら、中小企業に対する支援を行ってきたところでございます。しかし、中小企業に対する支援の強化を更に高めていくためには、県内企業の経営者や学識経験者の意見を広く取り入れながら、両センターの組織レベルでの連携体制を構築いたしまして、経営と技術の両面から総合的な支援を行っていく必要があると考えております。

 そこで、中小企業の視点で両センターの連携事業を統括する組織といたしまして、かながわ中小企業総合支援委員会を設置いたしますとともに、両センターに連携窓口を設置するなど、中小企業が支援を受けやすい環境を整備してまいりたいと考えております。

内田委員

 今、かながわ中小企業総合支援委員会が重要であるということですが、例えばこの委員の構成とか役割についてお伺いします。

工業振興課長

 かながわ中小企業総合支援委員会の委員構成でございますが、神奈川県内の企業の経営者の方、それから大学教授等の学識経験者の方、それと両センターの責任者等で構成されております。委員長でございますが、日本発条()の最高顧問を委員長に迎えております。また、委員といたしまして、神奈川工業技術開発大賞の受賞者、あるいはかながわスタンダードの受賞者、インベスト神奈川などの支援を受けた中小企業の経営者の方にも就任していただいております。こうしたことから、中小企業の現場における生の声が両センターで行ってまいります支援策に反映できると考えております。そこで、支援委員会の具体的な役割でございますが、中小企業の視点に立って効果的な支援の在り方などにつきまして、大所高所から御議論をいただき、経営と技術のワンストップサービスの充実強化に向けました基本戦略を策定していただきたいと考えております。

 また、両センターが行いました支援の成果につきましても、中小企業支援の立場に立って評価していただくこととしておりますので、両センターが実施いたしました支援に対しまして、PDCAサイクルによる改善を効果的に行うことができるのではないかと考えております。

内田委員

 中小企業の支援の基本戦略を考えていくということで、インベスト神奈川で支援した中小企業の方々や具体的に中小企業に携わっている方から、意見を多く聞くことが成功につながると思います。こうした取組自体は、本当に早いスピードでやっていかないといけないと思いますが、今後どのような取組を進めていくのでしょうか。

工業振興課長

 まず昨年の11月7日でございますが、支援委員会の発足会を開催させていただきました。これは、来年度から総合支援をスタートするのを受けまして、迅速効果的な中小企業支援の在り方などについて、遠慮のない意見をいただきたいということで、発足会を開催させていただきました。また、平成20年度の支援事業につきましては、支援委員会の方針とか委員の意見を反映していく必要があると考えておりますので、第1回の委員会を3月中に開催してまいりたいと考えております。

 さらに体制といたしましては、中小企業支援の入り口となる、中小企業にとって一番身近な場というのは、やはり相談窓口でございますので、このワンストップ化をはじめとした支援体制の整備が必要と考えております。

 平成20年度からは、先ほども御答弁いたしましたが、中小企業センターと産業技術センターにそれぞれ経営と技術の総合相談窓口を設けますとともに、そこに()神奈川中小企業センターの職員と産業技術センターの職員を常駐させまして、中小企業からの相談にワンストップで対応してまいりたいと考えております。

 また、この総合相談窓口には、両センターで整備しております各種のデータベース、こういったものを利用できるような環境を整備してまいりたいと考えております。

 それと、海老名にございます産業技術センターと横浜にございます()神奈川中小企業センターへのアクセスが比較的不便な地理的条件を勘案いたしまして、横須賀・三浦地域と県西地域に地域相談窓口を設置して、中小企業の相談にこたえていきたいと考えております。

内田委員

 ワンストップでどこに行っても大体情報が入り、各種のデータベースが利用できるシステムで対応できる窓口が増えるのは、中小企業にとって役立つということは分かります。それでは、横浜にある()神奈川中小企業センターと、それから海老名の方の産業技術センターが重点的に取り組む連携事業というのは、一体どういうものになっていくのでしょうか。

工業振興課長

 支援の成果といたしまして、中小企業の方に最も喜ばれるのは、自ら開発した商品が市場に認められまして、商品、企業の売上げが上がっていくということだと思います。そのためには、技術支援によりまして、技術の差別化をするだけではなくて、やはり顧客ニーズを的確にとらえるマーケティングといった経営支援を併せて行っていく必要があると思っております。こうした支援は別々に行いますと、どうしても企業が求めております商品開発のスピードという点から、課題がございますので、こうした点を踏まえまして、平成20年度からは現在行っております既存の支援事業でございます、かながわスタンダードや出前相談、インキュベート支援などにつきまして、経営と技術の面から総合支援を行いまして、支援効果を更に向上させていきたいと考えております。

 それと、また最近の売れる商品づくり、ブランドづくりにはiPodで成功例が見られますが、やはり商品開発の初期段階であるマーケティングから、いわゆる新市場開拓とか販路開拓、こういったものを見通した総合的な商品開発手法というのが用いられております。こうした手法につきましては、大企業で一般的に用いられているわけでございますが、やはり中小企業にはまだまだそうした面が浸透しておりません。そこで、平成20年度の新規事業といたしまして、総合的な商品開発の実績がある専門家の協力、支援を受けまして、例えば地域資源などを活用して新しい商品開発に取り組もうとしている業界を対象に、商品開発の初期段階から販路開拓などのモデル事業を実施いたしまして、中小企業においても、ブランドづくりを目指した総合的な商品開発手法を普及させてまいりたいと考えております。

内田委員

 では、要望させていただきます。

 神奈川の中小企業は、地域経済の活性化の発展に重要な役割を有し、またその活性化により県税の収入増加をもたらすことにもなります。中小企業が更に活性化するためには、こうした産業技術センターによる技術支援や、()神奈川中小企業センターで実施する経営支援をうまく組み合わせることによって、より新しいブランドづくり、それから総合的なマーケティングといったものを効果的に支援し、中小企業の業績の発展につなげていくことが重要なことだと思います。更に連携を充実させて、必ず相談者の声がきちんと生かされるようにしていかなければならないと思います。また新しいブランドづくりに対して意欲的であれば、資金面で困っているような体力の弱い事業者に対してもハードの面での相談窓口を充実させ、戦略的な支援を行なうことができるよう頑張っていただきたいと思っております。

 続いて、ものづくりに関して伺いたいと思いますが、戦略的な商品を今つくっていくことが、この神奈川県の将来に非常に有益だということをお話しいただきましたが、このものづくり自体、日本人を見てみると伝統的にも得意とする分野であると思います。

 近年の中国製品をはじめとした、中国だけでなくほかにもいろいろ入ってきておりますが、国際的な製品競争に打ち勝つためには、このようなものづくりを得意としている日本人の持っている特質を生かした技術で生み出した、工業製品や、精密な機械もそうですが、そういった製品開発が非常に重要であると思います。そこで、中小企業が行うものづくりの高度化に対して、県はどのような技術支援を行っているのかということをお伺いしていきます。

 まず、県内の中小企業は、世界に誇れるものづくり技術を持った中小企業が多くあると思います。先だって、携帯電話の半導体など、非常にヒットしたということを聞いておりますが、そういった具体的な、何か例を交えて説明していただきたいと思います。

工業技術担当課長

 神奈川県には、県内の中堅中小企業が開発したすばらしい技術を表彰する神奈川工業技術開発大賞、それとそのような技術を基にして事業化を図っている企業の優れた事業計画を認定するかながわスタンダードという制度があります。このうち、神奈川工業技術開発大賞というのは神奈川新聞社と県が共催で行っております。昭和59年度の開始以来、ほぼ四半世紀の経過している非常に歴史ある賞ですが、中堅中小企業が開発した優れた製品とか技術を表彰する制度で、既に144件表彰しております。

 それから、先ほどからもお話が出ていますかながわスタンダード、これは比較的新しい制度で、平成17年度にスタートしておりますが、これは今お話ししました神奈川工業技術開発大賞と同じように、優れた技術を表彰するという賞です。このかながわスタンダードの方は、そういう技術を基にして事業化するときの融資とか、あるいは技術支援とか、様々なインセンティブを御提供するという、どちらかというと積極的に背中を押していこうという制度でございます。

 今、一つの例ということで、携帯電話のお話をされましたが、その携帯電話のカメラの技術で神奈川工業技術開発大賞を受賞した ()シコー技研という大和市内の会社があります。この会社はすばらしい会社でして、皆さんの携帯電話の中にカメラが付いているかと思いますが、カメラ付き携帯電話のほとんどが今までは固定焦点といって、焦点を置かないカメラでしたが、最新式は、デジカメと同じようにオートフォーカスが効くようになっています。そのオートフォーカス用のカメラで使うモーターはすごく小さいものですが、それを開発いたしました。世界的にかなりシェアを持ち、いろいろなところで使われているということです。

 この会社は実はそれだけではなくて、皆さんお持ちの携帯電話には振動するマナーモードがありますが、その振動モーターの世界のトップシェアを持っていることです。これは一つの例ですが、神奈川県には優れた、世界に誇れる技術を持っている中小企業がたくさんございます。

内田委員

 そういった大成功している企業の話を聞くと、本当にすばらしいし、そういった企業自体も努力していると思いますが、こういった中小企業、成功している企業が県内で少しずつでも増えていくことが望ましいと思っております。そのためには、県としてどのような技術支援を行っているのか、今一度お伺いしたいと思います。

工業技術担当課長

 先ほど産業技術センター所長からちょっとお話ししましたように、技術支援は産業技術センターが行っておりますが、最初の技術相談がすべての入り口になります。技術相談の段階で企業の皆さんの要望にこたえられることもありますが、まず技術相談をお受けして、実際に試験が必要な場合には依頼試験という形で受けて、それから企業の方々が技術向上をさせるため、企業にない装置を使いたいというときは機器利用などもございます。さらには、産業技術センターに研究を依頼したいという場合には受託研究、共同研究などもございます。

 中でも、最近、今お話ししました中小企業のすばらしい技術、それを開発するのに役立っている事業で、先ほど産業技術センター所長からお話ししました創業期・製品化支援モデル事業というのがございます。これは、産業技術センターに、製品開発室という専用の部屋を持つことができ、そこで産業技術センターの研究職員がマン・ツー・マンで付きまして、それである必要な試験をある部分まで無料で行うとか、あるいは必要な消耗品を提供するとか、そういうようなことをやりまして、中小企業の技術開発を支援していくことをしております。実際に、この事業を利用しまして、かながわスタンダードや神奈川工業技術開発大賞を取っている例がたくさんございます。今年度につきましても、8社の企業がその製品開発室を利用しています。

 それからこれは技術面ですが、やはり中小企業の場合ですと、開発費が足りないということがございますので、これは産業技術センターではないですが、これは県の方で直接支援する制度があり、研究開発費の助成を行っています。研究開発をするために装置がないが、こういう装置が欲しいとか、あるいは試作したいが、試作するためのお金がないという場合にその事業費の2分の1以内、1,000万円を限度に助成する制度もございます。

 それから、先ほどお話ししましたかながわスタンダードで認定された企業で、産業技術センターで今お話ししました依頼試験あるいは機器利用を行う場合、7割の費用を減額すると、そういうような支援もしております。

内田委員

 今、創業期・製品化支援モデル事業ということで、そういったすばらしい商品を創出していこうという魅力的な取組だと思います。産業技術センターにおきましては、ものづくり技術支援、QL2活動というものにも取り組んでいると聞いておりますが、現段階ではどのような成果が上がっているのでしょうか。

工業技術担当課長

 現段階で上がっている成果でございますが、これは平成18年度、平成19年度、平成20年度の3年間、ちょうど2年目が今終わろうとしていますが、一つはこのQL2活動の前にやっておりました3年3倍増活動、それで得られた成果で技術相談件数、依頼試験、研究の収入が3倍になったという成果がありますが、それをきちんと維持していくのが大事です。これにつきましては、今年度目標を達成する見込みでございます。

 それから、2番目としまして、世界に通用する試験計測データを出していくために、試験計測の国際規格ISO17025がございます。その取得件数を最終的には、9件にしていくというのが目標になっていますが、現段階で5件取得しておりまして、平成19年度の目標値としてはクリアしております。

 それからさらに、これはやはり非常に大きな目的になりますが、いろいろと技術支援をしていきましても、中小企業の皆さんの売上げにつながっていかないと何もなりませんので、売上げに貢献するということで、産業技術センターでは支援成果事例集という冊子を出しております。ホームページ上でも見られるようになっておりますが、QL2活動の取組として、産業技術センターが県内中小企業に対して行なったソフトウェア、試験・測定法などのソフトから計測機器、新材料の開発などのハードまでの支援内容を冊子にまとめました。平成17年度の実績の28件、金額6億9000万円を平成18年度から3年間かけて、平成20年度には倍の56件、138,000万円にしようということを取り組んでいます。平成18年度では、40件、108,000万円の目標達成ができました。平成19年度は、更にそれより上積みできるよう努力している最中でございます。

 それから、もう一つの目標がありまして、実は産業技術センターの技術レベルを表わす指標といたしまして、国庫等の競争的外部資金を積極的に産業技術センターが獲得することを目指しています。それは技術レベルが高くないと国庫等からのお金は増えません。今、それが目標になっていまして、平成1912月末現在で、1億4,000万円程度の競争的外部資金が導入されています。目標は平成20年度の2億6,000万円の導入を目指しており、かなり目標は高いところにありますが、実現できるように努力していきたいと思っております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 こういったものづくりに対する自治体の支援というのは、やはり将来に向けて創業していく中小企業や、また工業製品や精密機械を新しくつくっていこうとする意欲的な企業にしてみれば、大変有り難い支援だと思います。このような部分では、研究開発の支援、それから機器の利用や研究機器の支援、具体的な製品を作るために、少しでも県の方で支援できて、それが発明品というか、世界に通じるようなものに成長できたら、本県としても非常に経済的な効果を得られると思いますので、是非とも頑張っていただきたいと思います。

 次に、私の方からは6月定例会だったと思いますが、バイオやIT・エレクトロニクスの分野について特化した質疑をさせていただきましたが、こういった部分について少しお伺いしたいと思います。

 ものづくりの高度化に関係する神奈川県の産業をけん引する重点分野の振興について伺いたいと思います。重点分野にはIT・エレクトロニクスの分野やバイオの分野があります。バイオの分野では、農業系大学等の研究機関で、いろいろな研究がなされていることと思います。その産業競争力強化戦略を設定するということを昨年1月に策定したということですが、この策定に至った基本的な考え方と、その概要について今一度、御説明いただきたいと思います。

産業活性課長

 県内の産業構造は大きく変化をしております。また、国際競争の激化などの環境変化がございます。こうしたことに対応いたしまして、本県産業は特にものづくり分野で持続的な成長を遂げていくためには、研究機関や企業の集積など、本県の強みを生かした競争力の強化が必要でございます。そこで、産業競争力強化戦略を策定いたしまして、三つの方策に取り組んでおります。

 一つ目は、これまでも申し上げてまいりましたが、大企業、中小企業、ベンチャー企業、大学等によるネットワーク機能の強化を図る神奈川R&Dネットワーク構想を軸といたしまして、産学公による共同研究、大企業と中小企業間の技術連携、知的財産の流動化などを促進するものでございます。

 二つ目は、イノベーション創出の先導役が期待されますベンチャー企業が生まれ育ち集う環境の形成を目指すもので、高付加価値型ベンチャーの輩出、創業する方のすそ野の拡大、ベンチャー支援体制の強化を行います。

 三つ目は、本県産業を推進するエンジンとして、IT・エレクトロニクス、バイオ、自動車を重点分野に位置付けまして、各分野で企業や大学等とのネットワークの構築、人材育成、企業誘致、再投資の促進、研究成果の早期事業化、実用化の促進などに取り組んでまいります。

 そして、三つの方策を総合的に展開していくことで、効果的に産業競争力の強化を図っていくことが可能になると考えております。

内田委員

 重点分野として、IT・エレクトロニクス、バイオ、自動車が出ておりますが、強化戦略ということで、非常に先端的な分野を選んでいると思います。この三分野を選んだ理由、どうしてここに特化してきたかということをお聞きします。

産業活性課長

 IT・エレクトロニクス分野及び自動車分野は、本県産業をけん引する基幹産業として、グローバルに事業を展開している大企業と関連する中小企業の産業集積を県内で進めております。こうした集積のポテンシャルに加えまして、他分野への経済波及効果も大きいということで選んだものでございます。

 また、バイオ分野につきましては、薬をつくる創薬のほか、医療、環境、食品など幅広い分野へ応用発展が期待されている分野でございます。県内には理化学研究所等の研究機関や理科系大学などが多数立地しておりますので、これらの機関から生まれた有望な研究成果の活用によりまして、大学発ベンチャーの創出や地域企業との連携による新事業の創出といった面で効果が期待されている分野であることから選んだものでございます。

内田委員

 県内にはそういった製薬会社の誘致なども県の方で今まで探してくださった例がたくさんあるということで、バイオに関して少し質疑したいのですが、バイオ分野において先行して取り組んでいるということで、その取組の内容についてもう少し、具体的な結果と併せてお伺いしておきます。

産業活性課長

 平成19年度からバイオ分野については、三つの事業に取り組んでおります。

 一つ目は、バイオ分野のネットワークの拡充強化でございます。この取組は、県内で最大のバイオ関連ネットワークでございます横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワークを強化いたしまして、最新情報の収集・発信、コーディネーターによる会員間の連携支援、バイオアドバイザーによる会員の相談対応などを実施するものでございます。この取組の結果、ネットワークの会員数は、280を数えるまでになりまして、支援前と比較して会員数は大幅に増加しております。

 二つ目でございますが、バイオベンチャーの事業展開の支援でございます。この取組は、金融機関、ファンド関係者や大手バイオ企業等に対しまして、県内に事業拠点を置くバイオベンチャーが、事業計画や研究成果の発表を行い、マッチングを図るというものでございます。川崎、藤沢、相模原の県内3箇所で創薬、診断技術、機能性食品をそれぞれテーマとして実施しまして、合計で200人以上の参加を得ることができました。各回とも活発なマッチングが行われまして、バイオベンチャーの販路開拓の成果が出ています。

 三つ目でございますが、神奈川のバイオの対外的なアピールをしようとするものでございます。この取組は、我が国最大の国際的専門展示会であるバイオジャパン2007が9月に横浜で開催された機をとらえまして、横浜市と共同でブース出展しまして、神奈川地域のバイオ産業振興策のアピール、あるいは県内のバイオ企業と国内外の企業との商談、提携の機会を設定したものでございます。取組の結果といたしまして、主催者発表で1万6,000人以上の来場者にアピールすることができまして、実際にパートナーを見付けることができたというバイオベンチャーからの報告も届いております。

内田委員

 平成19年度の県の取組は、そのようなバイオベンチャー、バイオジャパン2007の活動や、IT・エレクトロニクス、バイオ、自動車の先端産業に対して非常に寄与していたと思いますが、これからのそういった分野に関して、平成20年度の県の取組について具体的にお伺いします。

産業活性課長

 平成20年度は、まずバイオ分野につきまして、引き続き横浜・神奈川バイオビジネス・ネットワークの拡充強化、10月に横浜で開催されますバイオジャパン2008への出展やバイオビジネス・パートナリングと称するマッチングの機会の提供を行ってまいります。

 また、来年度は新たに県内の大学等の研究の事業化促進を各大学の産学連携本部等と連携いたしまして支援するほか、バイオ産業の底辺拡充を目的として、理工系大学院の学生を対象に、バイオ産業の魅力と将来性を伝えるとともに、創薬、機能性食品などの基礎的知識を習得する研修を実施いたします。

 次に、IT・エレクトロニクス分野では、大学等の研究者が大手企業などの技術者や研究者に対して研究成果を発表いたしまして、事業化に向けたマッチングを図る発表会を開催するとともに、電子部品を基盤に取り付ける技術としてエレクトロニクス全体を支えます実装技術と言われる技術がございますが、これに着目した人材育成のための講座を開催する予定でございます。

堀江委員

 今まで内田委員の方からものづくりについて、中小企業に対する取組に関し、質疑がなされたようであります。今神奈川の経済は、この当常任委員会の中でも動向等が言われているわけでありますが、本当に神奈川の経済は大丈夫かと心配をしているわけでございます。特に、そういった意味で、今お話しのように産業の振興にしっかりと戦略を持ってやっていくという取組内容についてお聞きしてきたわけでありますが、特にそういった意味で、ややもすると中小企業のものづくりということは、工業の関係だけで語られることが多いのです。このような中でいろいろと、ITも含めてものづくりについて、様々な商品開発等の説明をいただいたわけです。一方、同時に、トータルの中で神奈川の産業も戦略として考えていく必要があるのではないかと思っているわけであります。

 例えば農業として、林業、水産業という中で、この融合に取り組んでいくことが、今新たな時代を迎えて必要かと思っているわけです。林業、農業、水産業、この運用について神奈川の産業戦略についてどのような考えをお持ちでしょうか、教えていただければと思います。

産業活性課長

 委員がおっしゃいました、いわゆる農商工連携の取組はここのところ注目をされております。私ども行政は、商工労働部あるいは環境農政部と分かれておりますが、地域に暮らしている皆さんにとりましては、その垣根があるわけではないと思っております。ですから、商工労働部のいろいろな施策等も、実際にはいろいろなところで商工の施策と農業方面の施策が一緒になってやっている点がございます。例えば観光などはそのとおりでございまして、先日、観光振興担当課長からも答弁いたしましたが、実際の農業の実体験をして観光に行くといったものもございます。また、例えばコミュニティービジネスなどもございますが、これは地域の課題を地域の方々が、地域の支援を用いて解決するというビジネスでございます。例えば、地域の産物を使ったビジネスを起こして、それも産物をそのまま使うというのではなくて、ちょっと傷が付いた、本来ならば使えないが、加工すると使えるというようなところに着目して商品化に取り組むとか、そういうこともございます。徐々にそういう形で進んでおりますが、施策面あるいは中小企業の振興の基本的な枠というのはまだまだできてなく、なかなかそこに特化できないという事情もございます。実態的にはそういう形で徐々に進めていくという方針になろうかと思います。

堀江委員

 今のお話のとおり、正に時代の流れの中で、農商工連携の取組が新たな産業を生み出すというように私もとらえているわけでございます。

 また、そういった中で、この神奈川として、新年度からの取組のお話のように、そういった連携をしていくという考え方は、今お聞きしたわけですが、それは具体的にどういった形の中で産業戦略として進めていくのでしょうか。このことについて具体にどうやっていくという話を、新年度の計画の中で進めるのか進めないのか確認したいと思います。畜産関係もやっているものですから、本当に私は農業の方の関係のかかわりが多いので農業関係に関心を持っています。特に畜産関係での環境問題は非常に大きな課題になっているわけでありますから、これらを含めて産業技術センターなどが一緒になって、新たな技術開発ができないのかと思っています。特に最近では逆に、県外からの商品が神奈川に入ってくると聞いています。今一番問題になっているのは、山の方では、サル、シカの被害が非常に多いです。また、ヤマビルの被害も多く発生しています。ヤマビルについては、この前、商業観光流通課長へ幾ら客を呼ぼうとしても、山の中にヤマビルが入ってくればどうしようもないという話をさせていただきました。そのヤマビルの研究について神奈川県でも取り組んでいますが、民間企業でもその取組をしています。また、ロープを張って、イノシシやサルが来ないようにする商品が、神奈川県ではないが、県外のところから出ているわけであります。こういったことも踏まえて、是非ともお話しのように農商工連携の中で研究開発を進めることが、神奈川県の産業戦略として大きな成果が出てくると期待をするわけであります。申し上げたとおり、平成20年度は、どのような農商工連携の具体的な計画を持っておられるのかお伺いしたいと思います。

産業活性課長

 平成20年度の具体的な取組ということでございますが、現在の商工労働部の施策の中に、具体的に反映しているものというのは、特にないわけでございますが、私どものかながわ産業活性化懇話会などの議論の中で、やはり委員と同じような意見が出ております。これは、農商工連携につきまして、そういった場で是非議論をしていきたいと思っております。それを踏まえて必要なものについては事業化させていただきたいと思っております。

堀江委員

 今お話しのように、そういった協議の場があるわけですから、かながわ産業活性化懇話会では、是非とも工業系の研究者、工業系の事業者だけが集まってやるのではなくて、林業、農業、水産業、そういった人たちもこのかながわ産業活性化懇話会に入って、こういった課題を知る機会をつくっていただきたいと思います。新年度は農商工連携について、そういった懇話会の中で話をしていただければ、またきっと良い研究をやっていこうとか、または、良い薬についての商品開発をしていこうとか、こういった話がきっと出るはずです。それが、逆に言えば先ほど申し上げたとおり、神奈川の産業の戦略になると私はとらえているわけで、是非とも新年度に、このかながわ産業活性化懇話会の中に、第一次産業の分野の方も是非入れていただいて、研究開発あるいはまた地域商品の開発に取り組んでいただけますよう私から要望させていただきます。

 また、インベスト神奈川の関係で、この前発表されていましたが、今の産業活性化を含めての関連で、インベスト神奈川の経済波及効果の発表があったようです。特にこの発表の中で、平成18年度、平成19年度の経済波及効果について、それぞれ調査をされて、そのことが発表されたわけです。その状況調査結果について、当局はどのような印象を持たれましたか。

産業活性課企業誘致室長

 今回の調査結果を全体的に見てみますと、県内の建設施設関係の建設団体と工業団体と合わせた県内の発注額は、平成19年度までの累計額で約2,200億円です。昨年の調査の平成18年度までの累計額は1,200億円でございまして、それに比べますと1,000億円程度増加しているということでございます。それから、雇用の効果という面で見てみますと、雇用者総数は1万9,300人でした。そのうち正社員が1万5,300人ということです。新規産業もございますし、また県外からの転入等もございまして、比較的増加傾向ということで、全体的にはおおむね順調に効果も上がりつつあると考えております。ただ、調査結果を詳しく見てみますと、若干昨年に比べまして下がっている部分がございます。操業における実績のうち、管理運営・福利厚生部分を除く、インベスト神奈川の助成を受けた企業の本業における発注件数のうち県内企業の割合は、昨年は58%でしたが、今年の調査で49%となっております。あるいは、設備投資における実績で下請け企業への発注部分の県内企業が占める割合は、件数ベースで昨年は62%でしたが、今年は53%になっています。若干下がっている部分がございます。これについて分析をしてみますと、昨年の調査では、インベスト神奈川の開始当初に申請がございましたソニー、日産といった比較的規模の大きな企業の施設の建設が進みまして、それに伴い、いわゆる施設の建設工事が非常に多かったことがございます。したがいまして、県内への発注率、下請の発注率は建設工事の段階で多くなっていますが、だんだん施設が完成をして操業段階に入ってまいりますと、その附帯設備、実験設備、あるいは試験研究機材といったものを導入します。そうしますと、どうしてもグローバルな活動をしている研究機関は、グローバルな調達をいたしますので、件数ベースではやや下がってしまうといった面が数字にも若干反映されていると考えております。

堀江委員

 多くは語りませんが、いずれにいたしましても、神奈川の産業戦略という意味の中では、この神奈川県産業集積促進方策、インベスト神奈川は、すばらしい戦略だと私自身も評価をしているわけでございます。しかしながら、今まで内田委員がいろいろと質疑してきた中で、特に神奈川の経済の活性化、中小企業の育成、片やこの前お話しさせていただきましたように建設業あるいはまた建築業の倒産件数が、非常に各産業から見ると非常に高い。このような状況で、神奈川の経済が決して楽観できるような状況ではないというのが現状でございます。そういった中で、正に官製不況、円高、さらには原油高、大変厳しい状況にあるわけでございます。そういった中で、この調査の報告を見ますと、正にこの事業の債務負担行為も前年度の第2ステージ分で約200億円、また新年度も約1944,000万円の債務負担行為が行われるわけであります。調査結果を見ると、助成金がすべて県民の税金で賄われているという認識を、認定を受ける企業が持っているのか疑問であります。

 県内企業を是非使ってほしいということですが、県内企業を使っていないインベスト神奈川の助成を受けた企業が3社もあると聞いたことがあります。その辺のところがおかしいではないのと思うわけであります。また同時に、この内容を見てみますと建設業の雇用においても、平成18年度、平成19年度とパーセンテージが全然伸びていません。そういった面で是非とも産業の戦略として、この神奈川の経済の活性化のために、この施策については税金でやっているという意識を助成先の企業に持っていただくようにしてほしいと思います。以上申し上げます。

内田委員

 要望させていただきます。

 先ほどの産業競争力強化戦略についての要望ですが、本県の経済活性化に向けては、ベンチャー企業の育成や、また重点分野の振興と、それを総合的に促進することで産業競争力の全体的な強化を図ることが大切だと思っております。特に、ベンチャー企業の施策に関しては、神奈川県独自の取組があり、期待されるところであり、またインドとの経済交流や、その他の地域、海外との交流を考えていくと、非常に有益であると私は位置付けております。

 ベンチャー企業というと、一昔前にはやった言葉であると私は認識しておりますが、しかしながら神奈川県としては、逆に戦略的な施策として、是非じっくり、腰を据えて、新企業を育てるといった意味合いから頑張っていただき、そのほかインベスト神奈川など、ほかの施策とともに、また民間と連携しながら本県経済の安定化、活性化と成長を目指していただきたいと思います。

 

6 次回開催日(3月4日)の通告

7 閉  会

 

他、委員質疑続く