平成20年  商工労働常任委員会 - 0421日−01

平成20年  商工労働常任委員会

◎《委員会記録-20080421-000001−商工労働常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(鈴木()・菅原の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 担当書記の紹介

5 人事異動に伴う当局幹部職員の紹介

6 報告事項(商工労働部長)

  「最近の経済動向及び雇用情勢について」

  「原油・原材料等高騰対策について」

  「「神奈川県中小企業支援強化月間」の実施結果について」

  「「見直し規定」を加えるための条例の一部改正について」

  「「企業誘致戦略2008プロモーション300」について」

  「平成19年度神奈川県中小企業制度融資の実績について」

  「かながわ若者就職支援センターの利用状況について」

7 日程第1を議題

8 同上質疑(報告事項も併せて)

 

内田委員

 今日の神奈川新聞で原油高ということが大きな記事になっておりましたけれども、この当常任委員会報告資料の1ページに内閣府が報告した月例経済報告のことが書かれています。そこには、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカの景気後退懸念や株式・為替市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要があると記載されています。こうした中で、原油価格等が高止まりすることに併せて、小麦やトウモロコシといった原材料の高騰、また鉄鉱石の数倍にのぼる値上がりなどにより、県内中小企業の経営や今後の生活に大きな影響を及ぼしている状況となっております。

 去る2月の定例会におきまして、3月に予算委員会がございましたけれども、私の方から原油・原材料の高騰に伴い、全庁横断的な取組が必要ではないかという質疑をさせていただき、原油・原材料等高騰対策本部の設置を検討するとの答弁をいただきました。その後早速、3月28日には原油・原材料等高騰対策本部設置をしていただきまして大変ありがたく思います。今後、県内企業にとって原油・原材料等高騰対策本部が頼りになっていくと思っております。そして3月28日には知事を本部長として原油・原材料等高騰対策本部を設置し、全庁を挙げて対策に取り組んでいくということになりましたが、原油・原材料等の高騰に伴う今後の対策について何点かお伺いしてまいりたいと思います。

 まずはじめに、先ほど当常任委員会報告書の3ページで、平成19年の企業の倒産件数と負債額についての報告がございましたけれども、平成18年と比較すると倒産件数が大幅に増えています。日本の倒産件数が過去最高を記録したと各報道もなされておりますけれども、この神奈川県内企業の倒産の状況にどんな特徴があるのか、今一度教えていただきたいと思います。

商工労働部政策企画担当課長

 報告にございましたけれども、()東京商工リサーチの横浜支店の発表によりますと、平成19年の倒産件数は前年と比べまして125件の増加、また負債額で申しますと前年と比べまして926700万円の増加となってございます。

 特徴でございますけれども、件数につきましては負債総額1億円未満の小口の倒産が465件ございまして、前年と比べまして81件増加しており、これが件数の増加につながっていると思っております。また、負債総額につきましては10億円以上の大型倒産、こちらが前年に比べまして19件増加しておりまして、このような大型の倒産が多発したことによりまして負債総額も増えているということで、結果的に件数、負債額ともに大幅の増加となったものでございます。また、業種別の倒産を見てみますと、建設業が最も多くなっておりまして、資材価格の上昇、あるいは改正建築基準法の影響などの要素が重なりまして、建設業の業績の悪化につながったのではないかと分析しています。

内田委員

 今、小口の企業が81件増加、また大型企業が19件増加したというお話ですが、原油・原材料高の影響がかなりあると思います。

 次に、当常任委員会資料の5ページの原油・原材料等高騰対策の1に緊急対策があり、6ページの2に中小企業支援対策があります。そのうち2の中小企業支援対策の新規実施として中小企業への影響調査の実施ということが記載されていますが、これはどのようなものなのでしょうか。

産業活性課長

 県内の中小企業2,000社を対象にしまして、原油・原材料高騰等に関する緊急中小企業経営実態調査につきまして、()神奈川産業振興センターに依頼してアンケート調査を実施するものでございます。調査期間は今月末までとしておりまして、既に4月17日に調査票を送付したところでございます。

 調査内容につきましては、原油・原材料高騰による収益への影響、景気の中で影響が大きい項目、価格高騰に対して実施した対策、価格転嫁の状況などでございまして、回答しやすいように簡潔なものとしております。

 中小企業の方にあっては厳しい経営状況に置かれておりますので、できるだけ多くの方に御協力をいただきまして、今後の支援策の参考となるような結果が得られることを期待しているところでございます。

内田委員

 その関連ですが、端的にどのような反応がありましたでしょうか。返ってきた回答数は、ほとんど返ってきたのかとか、その内容は、非常に興味を持っていただいたものなのかということを伺いたいと思います。

産業活性課長

 17日に発送いたしまして、現在行きわたったところだと思います。まだ回答としては返ってきておりませんので、それはまた改めて御報告したいと思います。

内田委員

 それはまた後日御報告をお願いいたします。

 次に、継続実施の中で原油・原材料等高騰相談窓口の設置とありますが、先ほども申し上げましたけれども、中小企業の相談の状況というのはどのような状況ですか。

産業活性課長

 原油・原材料等高騰相談窓口につきましては、平成19年8月20日に現在の()神奈川産業振興センターや各地域県政総合センターなどに平成19年度末までの予定で設置したものでございますけれども、原油価格の高止まりが続いているということから、今年度の9月末日まで延長したところでございます。

 これまでの相談件数は21件でございまして、受付期間別では()神奈川産業振興センターに12件、各地域県政総合センターには6件、金融機関に3件です。内容といたしましては建設業、運輸業、製造業、飲食業などでございまして、原油の値上がりで資金繰りが苦しく融資を受けたいというものです。それから、仕入価格の上昇で資金繰りが厳しく運転資金が必要であるといった内容があります。輸送料の値上がりで経営に影響が出ており、融資を受けたいなど、資金繰りや融資制度に関するものがほとんどとなっております。

内田委員

 とにかく運転資金がない、資金繰りがつかないという状況になっており、一番求められている支援は、融資ということであり、この問題はまた後ほどお伺いしたいと思いますが、原油を含めた原材料価格の高止まりが続くとすれば、企業間の取引関係で不当なしわ寄せを受けやすい下請の中小企業への対応が特に重要であると思います。この原油・原材料等高騰対策で、中小企業のためどのような取組を行っているのかお伺いしたいと思います。

工業振興課長

 下請中小企業は取引関係で弱い立場にございますので、親事業者から様々な不利益を受けるおそれがございます。そこで、昨年11月に引き続きまして、県外の親事業者約3,300事業者に対しまして、下請取引の適正化と県内下請中小企業への優先発注を依頼する知事名の文書を4月22日付けで発送する予定としております。

 また、親事業者の資材購買担当者を対象といたしました下請取引適正化推進講習会を5月に2回開催する予定としております。公正取引委員会と関東経済産業局から買いたたきや下請金額の減額、下請代金の支払遅延など親事業者の禁止事項につきまして御説明をいただきまして、下請取引の適正化について周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

 さらに、()神奈川産業振興センターにおきましては、これまでも下請取引のあっせんとか下請取引に関する苦情に対する相談を行っておりましたが、本年4月1日から国と連携した相談体制を構築いたしまして、中小企業の取引上の様々な悩みや相談に対応しているところでございます。

内田委員

 とにかく中小企業は、大変な状況にあると思います。親事業者へ下請取引の適正化の周知が徹底されることで、ようやく下請の中小企業が何とか生き残っていける状況だと思われます。このような状況で、国と連携した相談体制にはどんなものがあるのでしょうか、具体的な内容があれば教えていただきたいと思います。

工業振興課長

 本年4月1日から、中小企業庁が()全国中小企業取引振興協会を本部といたしまして、47都道府県に下請かけこみ寺というのを設置しております。本県の下請かけこみ寺につきましては、()神奈川産業振興センターがかけこみ寺に位置付けられているところでございます。実務的にはこれまでと同様に()神奈川産業振興センターが相談窓口となりまして、中小企業者の皆さまが抱える下請取引を含む取引上の様々な悩み等に中小企業診断士などの相談員が対応しておりますが、新たな取組といたしまして取引上のトラブルで調停とか仲裁など、裁判外の紛争解決の手続を希望する中小企業者につきましては、()神奈川産業振興センターから下請かけこみ寺の全国本部でございます()全国中小企業取引振興協会を紹介いたしまして、本部から直接事業者に連絡を行い、相談に応じる体制を整えたところでございます。

内田委員

 この報告書の書類の中で最後の方のページに、平成19年度神奈川県中小企業制度融資の実績についての報告事項がありましたけれども、中小企業制度融資が平成19年度はほぼ前年並みの融資実績であったということです。原油・原材料等高騰対策融資の実績も含め、もう一度具体的にその内容についてお伺いしたいと思います。

金融課長

 それでは、まず平成19年度の中小企業制度融資全体の融資額でございます。報告資料15ページで先ほど商工労働部長から御説明させていただきました。金額は約2,847億円で史上最高の平成18年度と比較すると99.6%とほぼ同額の実績となっております。

 実は平成19年度の融資につきましては、この当常任委員会でも10月以降、責任共有制度が導入されて、少しずつ前年度比で融資額が落ちてきているというお話を申し上げまして、前回の2月定例会のときは、11月、12月、1月の直近3箇月間の1月末までの実績で、前年度と比較して約8割程度の実績でありました。その数字を基に推計し、2,700億円台ぐらいになると予想しておりましたが、その後2月の実績と3月の実績が出ました。2月の実績が前年度比で110%と逆に増えました。3月の実績は前年度比で92%であり前年度比では下回っていますが、推計値の8割台よりは少し増えているということがございました。その結果、全体としましては99.6%で当時推計していたものよりも実績値が少し上回っております。

 1箇月ごとに状況が動いておりますのでどうしてそういうことになったのかということを分析するのは難しいと思いますけれども、一つには原油・原材料等高騰対策融資が大きく伸びたということが原因になっているのは間違いないと思っております。

 それから、原油・原材料等高騰対策融資につきましても、先ほど商工労働部長の方から4箇月で230億円という多額の融資の実績をあげているという報告を説明させていただきました。3月分だけで見ますと全体の融資の29%、約3割がこのメニューだということです。現在、メニューの中で一番大きな実績をあげています。この原油・原材料等高騰対策融資はセーフティネット保証の一般保証と別枠でつくりあげたものですけれども、この6箇月で平成18年度のセーフティネット保証と比べますと371%、4倍近い利用実績をあげております。

 業種としましては、最も多いのは先ほどの倒産件数の話ですけれども建設業、これが圧倒的に多いということで、金額でも163億円と約7割を占めております。2番目は運輸業、これが25億円ほどで約1割でございまして、次いで不動産業、卸小売業、サービス業などと続いておりますけれども、原油または建築関連業者が97%を占めているという状況になってございます。

内田委員

 その報告資料の中の6ページに中小企業支援対策という2の項目がありますけれども、この中の継続実施の方で、原油・原材料等高騰対策融資について、融資利率等を見直して平成20年9月まで実施することとしていますが、このことについてもう一度お伺いしたいと思います。

金融課長

 この原油・原材料等高騰対策融資につきましては、最初は3月31日までということでございましたけれども、4月1日以降も継続実施していくということでございます。中身につきましては、融資利率を除いては3月以前のものと基本的には変わりがないということでございます。融資利率につきましては、これまでは期間を問わず一律ということでございましたけれども、今回4月からは融資期間に応じて3区分設けており、低い利率の利用が可能なメニューを用意しています。具体的には、1年を超えて2年以内というものにつきましては、長期資金としては最も低い1.8%以内、それから2年を超えて5年以内は2.2%以内、5年を超えて7年以内、これが2.4%以内としております。

 なお、この融資の対象となる業種でございますけれども、これまでも徐々に増えてきたというお話を申し上げましたけれども、この4月から更に15業種増えておりまして、現在159業種となっております。

内田委員

 この業種が増えることによって、融資を受けることが可能となる下請の中小企業の方が増えると思いますので、そういった方への助けになると思われます。各課の方から今までの取組と今後の取組をお伺いいたしましたけれども、この3月28日に設置した原油・原材料等高騰対策本部の役割がとても非常に大事であり、実情に応じて支援策などを打ち出していく必要があると思われます。そこで、原油・原材料等高騰対策本部として今後どのように取り組んでいこうと考えているのか最後にお伺いしたいと思います。

商工労働部政策企画担当課長

 原油・原材料等高騰対策本部は3月28日に立ち上げまして取組を始めたところでございますので、まずは今回決定いたしました対策をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

 今後の取組でございますが、原油・原材料等高騰対策本部は会議を定期的に開催いたしまして、原油・原材料価格等の状況、あるいは県民や企業の皆様への影響と合わせまして、関係部局の取組状況もその都度確認をして、更なる対策が必要な場合は機動的に対応していくこととしてございます。今後も県民生活や企業活動の安定、安心のために必要な対策を各部局一丸となって検討し、対策を実施してまいりたいと考えてございます。

堀江委員

 関連で私からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今、内田委員の方から原油・原材料等高騰対策の取組の状況や融資の状況等をお聞きし、御答弁いただきましたが、倒産件数の中で第1位が建設業だということであります。しかし、この原油・原材料等高騰対策にもありますように、様々な業種にこの原油・原材料高の影響が出ているわけでございます。何も建設業だけではありません。

 原油・原材料が高騰している中で、食品製造業も大変な状況になっているわけです。それぞれの地域で親しまれている豆腐屋、パン屋といった商店、中小食品製造業者などの方に大きな影響が出ているわけです。小麦価格の高騰、また大豆価格が高騰している中で、食料品製造業の倒産件数はどのようになっているのか伺いたいと思います。

商工労働部政策企画担当課長

 恐縮でございますが、分類の中で食品製造業という分類はございません。大きく製造業という分類になってしまっておりますけれども、全体の件数672件のうち、製造業の倒産件数が83件となってございます。平成18年と比較いたしますと平成18年が67件でございますので、大幅な増加ということでございます。

堀江委員

 今のところ食品製造業という細かな分類はなく、大きく製造業という分類に含まれてしまうということですが、そのような食品製造業に対してきめ細かな対策を行い、大変な状況にある豆腐屋、パン屋などの食品製造業の状況をしっかりとらえて対応していただきたいと思います。特に商店や中小製造業を中心とした対策は大切でありますので、是非、しっかりと問題点を把握していただいて、その対策に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、倒産件数が一番多い建設業は、セーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項の業況の悪化している業種に指定され保護されています。しかし、金融課長からお聞きしたセーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項で業況の悪化している業種として指定されている159業種に、食品製造業が含まれてないということは問題だと思います。原油・原材料等の高騰により厳しい状況に置かれており、正に県民の生活に直結する食品製造業がセーフティネット保証制度の指定業種に入っていないという状況は問題であると思います。今後については、原油・原材料等高騰対策について、金融課長から原油・原材料等高騰対策本部で機動的に対応していくというお話がありました。今後、このセーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項で定められている業況の悪化している業種に指定されている159業種の中に食品製造業が入っていないという問題について、どのような形で機動的に対応されるのか、国に対してどのように取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。

金融課長

 今、委員の方からお話がございましたとおり、トウモコロシや大豆など、いろいろなものの価格が大きく上昇しているということが報道されているところであり、セーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項で定められている業況の悪化している業種の指定業種は、159業種となっており、数としては多いわけですが、この中に食品関係の製造業種は一つもございません。

 国は、セーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項の業況の悪化している業種の指定業種について、ある一定の基準を設けて指定していますが、県の方でその中身の分析ができていないため、どのような理由で食品製造業が指定されていないのか分かっておりません。ただし、これにつきましては御指摘のとおり大きな影響が出ているということもございますので、セーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項で定められている業況の悪化している業種の指定業種に食品製造業を含めるよう国に対して県から要望のような形で訴えていかなければいけないと考えております。そのことについて、努力してまいりたいと思います。

 それと、機動的な対応ということでございます。今回、原油・原材料等高騰対策融資のメニューの利率については3区分に分け対応させていただきましたけれども、そういう工夫につきましては状況を見まして、必要に応じて追加的な対応も検討していきたいと考えおります。

堀江委員

 先ほどの金融課長からの答弁にあったように、原油・原材料等高騰対策のため、原油・原材料等高騰対策本部が3月28日付けで設置されたわけですから、お話しのようにいろいろな形の中で工夫をしていくのは当然であります。現実に原油・原材料等の高騰により、豆腐屋を廃業せざるを得ないかもしれない方や、今まで自家製のパンをつくってきたけど、とてもこんな小麦が上がってしまったらパンづくりができないという方がいらっしゃるわけです。このようにこの業種に関して影響が深刻な状況にあるわけであります。

 それに加えて、今の答弁の中では、原油・原材料等高騰対策本部により、食品の製造業についてどう対応するのかといった具体的な取組が不十分であると感じています。先ほどの答弁も一つの対策でありましょうが、このセーフティネット保証制度の中小企業信用保険法第2条第5項で定められている業況の悪化している業種に食品製造業を加えるよう、原油・原材料等高騰対策本部から知事名で国へ意見書を出していただきたいと思います。私も議会として次の定例会で、意見書が提出できるよう働き掛けを行っていきたいと思っております。ともかくも、原油・原材料等高騰対策本部から国に、このことを要望していただきたいということを要望し、私の関連質疑を終わります。

内田委員

 それでは、要望を申し上げます。2月定例会や予算委員会にて、特に堀江委員からも第1次産業への対策が必要であるということが結構論じられました。先ほど申し上げた新聞記事は、三浦市の遠洋マグロ漁業者が、原油・原材料の高騰により悲鳴を上げているという内容のものでしたが、原油・原材料等高騰対策本部により、これからそういった分野への対応にも力を入れていただきたいと思います。それから、県の対策の中には公衆浴場営業者への支援も掲げられていますが、東京都ではクリーニング業者への支援など、いろいろな業種への支援を行っているようであります。堀江委員がおっしゃったように、小麦やトウモロコシといった原油・原材料の高騰は、パン屋などの食品の製造業や農業従業者とか、様々な分野に大きな影響を与えていると思われます。せっかく原油・原材料等高騰対策本部を設置しましたので、神奈川県においてもどんな業種が困っているのかをもう一度リサーチしていただき、是非、全庁を挙げて積極的に支援に取り組んでいただきたいと要望いたします。

 それでは、インベスト神奈川について伺いたいと思います。資料の14ページにあります企業誘致戦略2008プロモーション300という行動目標を設定して、知事を先頭に今後企業誘致プロモーション活動を実施するということが決まったわけです。まず300社以上の企業を対象に企業誘致プロモーション活動を行うということです。今までのいろいろなかかわりを踏まえ、大企業と中小企業の600社の中からそれぞれ、企業誘致プロモーション活動を行う企業を抽出するということがここに書いてありますが、この概要と具体的な抽出方法についてお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 今回の企業誘致プロモーション活動を展開する対象企業の具体的な選定方法についてお答えいたします。

 まず、大企業につきましては、県内に支店、営業所、また子会社等の関連企業の事業所がある企業を対象としています。またそれ以外に、インベスト神奈川の3年間の取組の間で、名刺交換を行った企業や誘致セミナー等に御参加いただいた企業など何らかの接触のあった企業も対象となります。それらの中から約200社の対象企業を抽出しております。中小企業につきましては、かながわ中小企業モデル工場やかながわスタンダート認定企業、あるいは経営革新計画承認企業などの企業、また何らかの接触があった企業、こうしたものの中から約400社を抽出しております。

 こうして抽出した大企業、中小企業合わせました約600社の中から最近の業績が好調である企業やIT・エレトロニクスのように本県の産業活性化に寄与することが期待できるような業務内容の企業からアプローチする企業を選定し、約300社以上に対して企業訪問などを行い、積極的な企業誘致プロモーション活動をしてまいりたいと考えております。

内田委員

 大体内容は分かりましたが、中小企業については過去に対応した企業のほか、今申し上げていただいた、かながわ中小企業モデル工場やかながわスタンダード認定企業、それから経営革新計画承認企業などの中から抽出するといった概要について、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。

工業振興課長

 まず、かながわ中小企業モデル工場などの概要につきまして御説明させていただきます。神奈川のものづくりを支える中小企業として、経営環境の変化に対応できる柔軟な経営体制を持つとか、あるいは積極的に技術開発を行うなど、他の中小企業の模範と認められる工場をかながわ中小企業モデル工場として指定しております。平成19年度末現在の指定件数は116工場としているという状況でございます。

 次に、かながわスタンダード認定企業でございますが、中小企業が開発した新たな技術や製品、これの事業化、商品化の計画につきまして、技術の新しさや難易度、あるいは製品の市場性、あるいは事業の実現可能性などにつきまして、技術と経営の両面から評価し、世界へ発信する神奈川の技術、製品としてふさわしいと判断されたものをかながわスタンダードとして認定しているところでございます。平成17年度にこの事業はスタートしておりまして、平成19年度末までに14件を認定しているところでございます。

 最後に、経営革新計画承認企業でございますが、これは中小企業新事業活動促進法という国の法律に基づきまして、中小企業者が新商品の開発など、新たな事業活動による経営の向上を目指し作成した経営革新計画につきまして、5年間で企業全体の付加価値額を15%以上伸ばすなど、法が定める一定の要件を満たしている計画であるということを知事が承認した企業でございます。この制度は平成11年度から始まっておりまして、平成19年度末までに累計で1,149件の計画を承認しているところでございます。

内田委員

 平成19年度末の時点で、かながわ中小企業モデル工場の指定が116工場、かながわスタンダードとして認定した件数が14件、経営革新計画承認企業が1,149件ということを御答弁いただきましたが、こうした企業の中から投資の決定を促すなどの企業誘致プロモーション活動を行う企業を抽出し、今後も対応を行い、更に力を入れていくということは賛同できます。第1ステージのときは大企業を対象としており、今のように、中小企業を対象に含めたのは第2ステージからだと思います。第1ステージと第2ステージの対象は異なっていましたが、第1ステージにおいても今のように行動目標を設定していたのでしょうか。そのことについてお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 インベスト神奈川の本格的な取組の初年度に当たる平成17年度におきましては、チャレンジ30&アクション7という行動目標を掲げてございます。これは30社の県内投資を目指しまして企業を200社訪問しました。また神奈川R&Dネットワーク構想の具体化など、七つの行動計画を実施しようとしたものです。結果として大企業や中小企業の28社の県内投資を実現しております。

 それから、平成18年度につきましては、チャレンジ50という誘致目標を掲げまして、50社の県内投資のため、更に幅広い誘致活動に取り組みました結果、49社の県内投資を実現させていただきました。

 平成19年度は、インベスト神奈川の見直し時期と重なりまして、4月から7月までその新規受付を休止せざるを得なかった状況がございますので、このような行動目標は掲げておりません。

 今年度につきましては、インベスト神奈川も4年目を迎えるということで、ラストスパートの時期を迎えることから、もう一度気合を入れ直そうということで、新たな行動計画や行動目標を掲げさせていただきました。

内田委員

 いよいよあと残るところ2年ということで、ラストスパートに向けて更なる企業誘致プロモーション活動を展開していくということですけれども、選定した企業に対して実際的にどのような企業誘致プロモーション活動を行っていくのか、具体的にお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 まず、抽出した約600社の企業に対しましては、そのすべての企業に県内投資を促す何らかのメッセージを送らせていただこうと考えております。そして、選定した企業につきまして、産業活性課企業誘致室からコンタクトをとり、より詳細なリーフレット、パンフレットなどを郵送して、最初のアプローチをかけたいと考えてございます。

 その応対の中で、先ほど申し上げたメッセージに対して照会等の何らかの反応が少しでもある企業に対しては、機を逸することなく企業訪問を行いたいと考えています。セールスの基本は近道というものはなくて、まず直接たくさんの方にお会いし、商品の利点について誠意を持って御説明することであると思います。そのように地道に企業訪問を行いまして、投資に当たっての神奈川県の優位性ですとか、また私どもの支援措置などをアピールしてまいりたいと考えています。また、その際には、商工労働部長をはじめ幹部職員による企業訪問を積極的に行ってまいりたいと考えております。また大きな経済波及効果が期待できるような大規模案件につきましては、これまで以上に知事によるトップセールスや副知事による企業誘致プロモーション活動を展開し、県の熱意を企業のトップに伝え投資の決定を促したいと考えています。また、このほか企業誘致セミナーや、新聞広告等の広報活動につきましては、これまで同様にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。こうした企業訪問などの取組を行いながら、県内投資の増加につながるように取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 今、商工労働部の幹部職員は、反応のあった企業に対して機を逸しないで企業訪問していくというお話がありました。非常に大変なことだと認識しておりますが、頑張っていただきたいと思います。

 それで、特に県内経済への経済波及効果が大きい大規模案件については、知事や副知事が直接企業のトップの方にお会いして、直接投資の決定を促すということでしたけれども、これまでの実績で第1ステージを含めて知事のトップセールスによって企業誘致が決まったのは、どのような企業であったのかをお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 トップセールスの詳細な内容につきましては、そのこと自体が企業の経営戦略にかかわるということですので、信頼関係を今後とも維持していくために御説明することは難しいと考えておりますが、例えば日本でトップの製薬会社でございます武田薬品工業()につきましては、御存じであると思いますが、大阪府との誘致を競い合い、知事に複数回企業訪問をしていただいた結果、本県に投資を決定していただいたということがございます。このほかにも()リコーですとか日産自動車()、キャノン()、あるいは横河電機()、富士ゼロックス()などの大型案件につきましては、知事が先頭に立ちまして投資を決定いただいた経過がございます。

内田委員

 現時点で大手企業に対して、知事がトップセールスをどのような案件で行っているのか可能な範囲でお答えください。

産業活性課企業誘致室長

 個別の案件につきましては、繰り返しになりますけれども、地域間競争であるということと、その投資を検討していること自体が企業にとっての戦略上の情報であるということから、私どもインベスト神奈川への認定申請ですとか、そうした一定のある程度結論が出るまではお話をすることができません。最近も知事は、トップセールスによる企業訪問を数社に対して行っております。この中にはすぐには投資には結び付かない企業もございますけれども、一流企業のトップに神奈川の魅力をアピールできたのは、将来に有意義なことであると考えております。

 なお、近々知事のトップセールスによる具体的成果を発表させていただこうと思いまます。今、実務的に投資企業と調整を進めておりますので、そのことについては後ほど御報告させていただきたいと存じます。

内田委員

 大企業にとって戦略上の問題があるので、なかなか社名までは言えないということですので、具体的成果が上がった時点で御報告をよろしくお願いいたします。

 大企業への企業誘致プロモーション活動については大体了解しましたけれども、中小企業に対する取組についてはどのように考えているのでしょうか。

産業活性課企業誘致室長

 中小企業に対しましては、御案内のとおり昨年8月からスタートいたしましたインベスト神奈川の第2ステージにおきまして、最低投資額を引き下げるとか、対象業種にものづくりの26分野を新たに加えるとか、私どもとしても企業が大変利用しやすく、また有利になるような見直しをさせていただいたところでございます。この結果、中小企業がインベスト神奈川をうまく活用していただければ、例えば投資額の10%ないし15%の助成金が受けられます。融資についても投資額の80%が受けられます。また、不動産取得税や法人事業税の軽減も受けられるなど、中小企業にとって投資への大きなインセンティブを持つような内容になっていると考えております。中小企業は、トップの方の判断一つで企業活動が即座に決まる柔軟性が高い組織が多いと思いますので、今回の企業誘致プロモーション活動に際しましては、先ほど申し上げましたインベスト神奈川の大変使い勝手が良く、有利な点をできるだけ中小企業のトップやトップに近い方に直接訴え、県内投資をお願いする必要があると思います。今後経営者協会などの商工団体や市町村と連携しながらそうした取組を進めていきたいと考えています。

内田委員

 このような取組は、大きなインセンティブになると思います。中小企業の事業者が融資が受けられるような環境を整えていただきたいと思います。

 第2ステージもこれでいよいよ2年目ということになり、5年間限定のインベスト神奈川の取組も残すところあと2年ということになりました。4月に商工労働部長が就任され、企業誘致プロモーション活動を積極的に行っていくという意気込みをお聞きしておりますけれども、今後の行動目標の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、そのお考えを伺いたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 繰り返しになりますけれども、インベスト神奈川も4年目に入ります。企業が投資を考える際には適地を精査したり、決定するまでにそれなりの期間を要すると考えております。そうなりますと、インベスト神奈川の期限は、あと残り2年ですが、実質的に、本年度はインベスト神奈川の全体の成果を決する年度であると考えております。そうした意味で、最終年度である来年度を見据えまして投資を具体的に検討していただく最初のきっかけになるよう、1社でも多くの企業を訪問し、インベスト神奈川の制度を利用していただけるよう働き掛けを全力で取り組みたいと考えております。

 先ほど申し上げたとおり中小企業に関してもトップにアピールしていくということは有効と考えておりまして、商工労働部長にはこれまでの2倍、3倍の企業訪問をお願いするとともに、私を含めた企業誘致室も300社以上に対して直接、積極的な企業誘致プロモーション活動を行ってまいりたいと考えております。

商工労働部長

 今、産業活性課企業誘致室長からいろいろお答えさせていただきましたけれども、4月15日付けで総務省から発表されました昨年10月1日現在の人口推計によりますと、東京圏や名古屋圏に人口の社会移動が見られまして、地方から人口流入が続いているという形で、他方、地方の人口はまた流出するといった現象が再び顕著に現れております。都市部は人口増によりまして経済が更に活発化し、それが地方に広がるという形となっているようです。しかしこのような経済活動の活発化の動きも最近の原油・原材料等の高騰、円高の推移によって、企業の投資環境は不透明となっているようです。このような状況で待っていただけでは企業は神奈川県に来ていただけないという地域間競争が始まっております。

 私どもは今回4年目となりましたインベスト神奈川について、これまで100社を超える企業から総額で5,800億円余りの投資の決定をいただいております。インベスト神奈川の最終目標としましては、本県への産業集積を促進し、県内産業の活性化と雇用の創出、さらにはこれに伴う県民生活の安定の向上にあります。こういった最終目的を達成すべく、残された2年、必死になって企業誘致に取り組んでまいりたいと考えており、今回300社以上を訪問するという目標を設定させていただきました。

 単に300社といってもなかなか大変なことでございます。毎月、毎月私どもはその目標に対して今どうなっているのかという月々の進ちょく状況の確認、それから方向性がもし違っていたらそれを修正するといったことを繰り返し、目標を達成させていきたいと考えております。私自身4月に入りまして既に県内外含めて5社の企業を訪問させていただいております。また、今年度中300社のできれば1割ぐらいは商工労働部長が自ら回って、企業に、全国で第2位の研究機関がある、また研究人材が全国トップクラスでそろっているといった神奈川県の優位性についてアピールしたいと考えています。また、工科系大学が18校ありまして、今後、企業の研究人材の確保にも容易であるという利点、また首都圏3,500万人近い市場がすぐ近くに控えているということも利点としてアピールしたいと思います。さらには、羽田空港が間もなく国際化されていきます。そして、横浜港、川崎港といった国際港湾も控えており、関西方面からは東名高速道路や東海道新幹線によってアクセスしやすいといった利点も訴えていきたいと思います。多くの企業を回りまして、議会の御支援もいただく中で、商工労働部幹部職員、産業活性課企業誘致室職員が一丸となって、神奈川県への投資を呼び込んでまいる決意でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

内田委員

 最後に要望の方を申し上げたいと思います。

 地方からの人口の流入につながるよう、いろいろな機会で神奈川県の魅力を訴え、企業活動が活発になるよう取り組んでいただきたいと思います。神奈川県は羽田空港や貿易が盛んな港もありますし、また研究所が立地できるような広い敷地もまだ残っていると思います。そういった利点を生かして是非とも今後はインベスト神奈川の4年目として、それから第2ステージの本格的な展開を行い、残り2年ですので、ラストスパートをかけ、中小支援の観点に立った行動目標を達成できるよう、職員の皆様が一丸となって横断的な取組を進めていただき、県内産業の更なる活性化を促進していただきたいと思います。

 特に原油・原材料高騰等の問題が社会に与える影響は非常に大きいと思いますけれども、私たちの神奈川県は全国都道府県の中で特に恵まれている地域だと私は思っております。その利点を是非とも生かしていただき、県内企業の活性化につながるよう取り組んでいただきたいと要望いたします。

 

他、委員質疑続く