平成20年  かながわ活性化特別委員会 - 0703日−01

平成20年  かながわ活性化特別委員会

◎《委員会記録-平成20年6定-20080703-000001-かながわ活性化特別委員会》

1 開  会

2 正副委員長就任あいさつ

3 記録署名委員(内田・近藤の両委員)の決定

4 県政記者の写真撮影許可

5 担当書記の紹介

6 当局出席者の紹介

7 日程第1を議題

8 調査項目の決定

 (1)県央・湘南都市圏の整備について

 (2)神奈川口構想における「羽田空港への連絡道路」の整備に向けた取組みについて

9 同上説明

 (1)環境共生都市整備担当課長

 (2)都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

10 日程第1について質疑

 

内田委員

 それでは、まず最初に、県央・湘南都市圏整備の方について質疑していきたいと思いますけれども、ただいま御報告いただきましたように、まだJRの方からの新駅誘致というのはまだ決定的な要素ではないにしても、その周りから整備していかなくてはならないこととか、その他にリニア中央新幹線の誘致、それから相模線複線化促進、さがみ縦貫道路の整備など交通ネットワークの向上がこれから求められておりますし、あとツインシティを核とする環境と共生する都市圏の形成に向けて取組を進めているという御報告を頂きましたので、これらを踏まえて幾つか質疑します。

 まず、県央・湘南都市圏は広域交通アクセスなどの交通ネットワークが弱いということなのですけれども、私の住んでいるところが青葉区の方なので、この中に県央に住んでいる委員の方もいますけれども、逆に、具体的にどのような点でネットワークが弱くて、そしてまたどのような課題というものがあるのか、今一度教えていただきたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 主な交通ネットワークとしましては、鉄道と道路が挙げられますけれども、県央・湘南都市圏は人口や産業の集積状況から見ますと、必ずしも十分とは言えない状況にございます。

 鉄道につきましては、東京・横浜方面からも大型輸送としてJR東海道線や小田急線がありますが、そもそもこの都市圏の鉄道網の密度が低く、南北方向には東の端に小田急江ノ島線があるものの、それ以外には単線のJR相模線しかなく、相模川の西側には南北方向の鉄道がございません。このため、例えば平塚と厚木の間を移動しようとしますと、鉄道以外の交通手段で移動することになりまして、都市圏内の相互移動については、決して利便性が高い状況にあるとは言えない状況でございます。

 また、道路については、国道1号線や16号線、それから129号線、246号線などの骨格的な幹線道路がございますが、相模川の橋りょう付近ですとか、相模原市、厚木市、茅ヶ崎市の中心部などでは渋滞が激しく、現在整備が進められておりますさがみ縦貫道路や東名高速道路綾瀬インターチェンジの設置などによって渋滞緩和などが期待されている、このような状況でございます。

内田委員

 渋滞するのは大変なことだと思いますので承知しておりますが、まず県央・湘南都市圏と一口に言いましても、この中の資料にございましたように16市町村もあるということで、相当広範囲にわたっている。それでちょっと心配なのは、この都市圏の全体のおおむねの状況としては大体分かるのですけれども、これだけ広いエリアだとどんな地域性、それからそこに住んでいる人のニーズ、それから通勤している人のニーズ、また、商業関係の経営者の中小企業の人とニーズが全然違うと思うんです。また、それぞれの地域の特色というか、観光振興をしている地域もあるし、そういったことも違うと思いますので、これらを踏まえて都市圏全体の今後の発展のためにはどのようなことが望まれているか、それぞれ地域性があると思いますので、その辺のところをちょっと詳しく確認しておきたいのです。

環境共生都市整備担当課長

 県央・湘南都市圏といっても大変広い地域でございます。それぞれの市町村は長い成り立ちの歴史を持っております。この都市圏は、丹沢大山山系、相模川、湘南海岸などの豊かな自然空間を備えておりまして、中央部には相模川が流れ、東西に地域が分かれているというような地理的な状況でございます。

 通勤、通学、買物等の人の動きでは、公共交通機関の利便性による地域の特色がございます。東海道線、小田急線、相鉄線といった鉄道がございまして、県央都市圏からは新宿や横浜方面への結び付きが見られます。また一方、湘南都市圏では、東海道線によります東京・横浜方面への結び付きが見られます。

 また、産業面でも、東名高速や国道1号線、246号線といった道路網の整備状況から、東京都心、それから横浜、八王子といった各方面の結び付きが強い都市が様々にあるのですが、この都市圏の中での各都市の結び付きが強いかといいますと、そうはちょっと言えない状況もございます。

 しかしながら、この都市圏は県全体の約3割の人口、それから約4割の製造業の事業所があり、また、横浜に匹敵する大学数がございまして、工業の生産力ですとか研究開発力、それから業務の機能、労働力、そういったものは非常に高いものがございます。この圏域内で業務機能、それから商業機能の拠点化を図ることであったり、生産活動面で開発、生産、流通、これらが一貫して連携を図ること、あるいは都市圏内の交通網を整備いたしまして、都市相互で連携して機能を補おうということでネットワーク化を図ることによりまして、この都市圏をまとまりのある都市圏へと発展させる、こういったことが望まれているのだと思います。

内田委員

 大体、産業集積としても、商工労働部の方での県の取組を拝読させていただきましたけれども、新しい研究施設なども誘致するという計画もあると思いますので、確かにこの辺の充実は神奈川県の税収も見込めるということで、いろいろとこれからが勝負だと思います。

 確かに全体的に見ると、湘南地域、それから丹沢、海や山の豊かな自然に恵まれている地もございますので、こういった都市圏を形成する上で、特に自然との共生という部分ではどのように考えていて、県としては現在どのような取組を進めているのか、お聞きします。

環境共生都市整備担当課長

 県央・湘南都市圏は、全国有数の人・技術・産業が集積する地域でございまして、鉄道や道路の交通基盤の整備が進むことによりまして、都市化の進展も見込まれる地域です。しかし一方、県域の中央で貴重なオープンスペースとなっている相模川をはじめ、海、山と多様な自然を有する地域でございます。この地域におきましては、まちの緑の保全活動など、NPOなどによりまして環境共生のための取組を盛んに行われているところでございます。

 県といたしましても、県央・湘南地域におけるまちづくりに当たっては利便性の向上だけを求めるのではなく、自然とのバランスのとれた環境と共生する都市づくりが重要と考えております。

 ツインシティだけではなく、県央・湘南都市圏全域におきまして、例えば太陽光発電ですとか、省エネシステムの導入ですとか、環境と共生する施設の建設、基盤整備などに対しまして、そういったものを誘導する仕組みとしまして、平成14年に県央・湘南都市圏環境共生モデル都市づくり推進要綱というものを制定いたしまして、そういったもので、知事による認証を与えることによってそういう支援などに取り組んでおる、こういう状況でございます。

内田委員

 大体、自然との共生の取組は環境農政部の方で進めていると思うのですけれども、この環境共生の観点から、環境共生のモデル都市を目指す。要するに県のモデル都市なのですから、そのツインシティの都市づくりというのがとにかく中心になっていく、中核になっていくと思われますので、参考資料にございますツインシティ都市のシナリオづくりというか、シナリオの全体について再度、特にステップ3から4のところをお伺いしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 ツインシティの都市づくりは、骨格となる計画に県民、企業、行政の3者協働で肉付けをしながらまちづくりを考えていく事業でございます。

 このシナリオの特色といたしましては、初期の計画の段階からまちが成熟するまでの見通し、そういったものを見通した計画がございまして、都市づくりを大きく4段階に分類したものでございます。

 第1段階では、基本となる考え方、都市づくりのシナリオ、こういったものを示したツインシティ整備計画を策定いたしまして、第2段階では、整備の仕組みや事業手法、事業費といった枠組みをつくりまして、第3段階では、事業を実施してまちの姿をつくり上げ、第4段階は、都市が成熟し、環境共生の都市が形成されていくと、こういう段階に分けてありますけれども、委員から今お話がありましたように、現在は、事業実施に向けた第2段階のステップ3からステップ4のところにありまして、都市計画決定を目標に、まちづくりの素案の作成に地元の皆様、関係者たちと調整を重ねているところでございます。また、環境影響評価の調査として、環境実態調査に取り組んでいるというところでございます。

内田委員

 大体このシナリオは今、ステップ3か4ということで理解しましたけれども、特に現在実施している様々な取組の中で、ともかくこのプロジェクトは長期間かかりますので、今最も重点を置いているというのはどんなところになるのでしょうか。

環境共生都市整備担当課長

 当面の目標でございます都市計画決定に向けまして、まちづくりの素案の作成と環境実態調査を重点に取り組んでおります。

 まちづくりの素案とは、主要な公共施設の配置ですとか、土地利用計画等をつくり上げていくものでございます。

 環境実態調査は、環境と共生する都市づくりを目指しますツインシティの事業を進める上で、周辺の環境に与える影響を把握するために調査を行うものでございます。そして、この調査を踏まえましてまちづくり素案を作成し、事業実施に向け地元地権者の方々と合意形成や関係機関との調整を進めまして、事業の熟度を高めて、早期の都市計画決定を目指してまいります。

内田委員

 まだ見えないものをつくり上げるというのは非常に大変なことだと思うのですけれども、その環境実態調査なのですが、今までどんな調査内容で、範囲とか、それから実際どのようなことを地元の人にお聞きしているのかとか、実施状況及び今年度実施計画、それをちょっとお伺いしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 平塚市大神地区において予定しております土地区画整理事業につきましては、神奈川県環境影響評価条例の対象事業となることから、条例に基づきまして環境に与える影響を、予測評価の中で環境実態調査を平成20年2月から着手しております。

 調査の範囲は、事業を予定しております約69ヘクタールとその周辺でございます。主な調査項目は、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動などを実施しております。

 また、新橋及び接続道路の建設につきましては、神奈川県環境影響評価条例の対象事業ではございませんが、相模川をはさむ東西の両地区を一体化した環境と共生する都市を建設するために橋を建設することから、自主的に環境へ与える影響を予測評価するために、環境実態調査を同じく平成20年の2月から着手しております。

 調査の範囲は、先ほど報告書で図示させていただきましたけれども、新たに設置します新橋とその接続道路、それから寒川町倉見に予定しております新幹線新駅の駅前の交通広場から相模川を渡りまして平塚市大神に至る約1.1キロメートルの区間とその周辺でございます。調査の内容は、自主的な環境影響評価といいましても、条例の規定に準じまして調査をしてまいります。

 この調査は、平成19年度につきましては、冬場の1季の調査を実施いたしました。1年を通して測定する必要がございますので、本年度は残りの3季、春、夏、秋を調査してまいります。その後、調査を踏まえまして、地域に与える影響等を予測評価しまして、事業の都市計画化に反映してまいりたいと考えております。

内田委員

 冬場の1季ということだったのですけれども、どういったことで少し結果というか、見えないことをやっているので結果というのは出てこないと思いますけれども、何か分かったことで、特別反映していくことはありますか。

環境共生都市整備担当課長

 申し訳ないですが、詳しい分析結果については、ちょっとまだ報告を受けておりません。

内田委員

 次に進めますけれども、ツインシティの整備を進めるに当たって、特に地元の地権者とか皆様の意見をよく聞いて、そのニーズに合ったもの、それから理解を得ないとこれは成功しないと思いますので、今まで地元の了解を得るためにどのような努力をしてきたのか。また、地元の方の、まちづくりのいろんな方向性があると思うのですけれども、それに関してどのように対処してきたのかをお伺いしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 まず、地元の皆様とともにまちづくりを検討する体制でございますけれども、平塚市側では、地元自治会等関係者や、それから地権者で構成いたしますツインシティ大神地区推進委員会というものが平成18年3月に設立されました。寒川町側では、関係地権者等で構成する東海道新幹線(仮称)倉見新駅促進協議会が平成16年2月に設立されております。こうした地元組織の方々と協働しまして、土地利用計画案の作成ですとか、それから、まちづくりに関する調査・検討などに取り組んでおります。

 最近の取組状況といたしましては、昨年、両市町におきまして、将来の市街化区域への編入に向けた説明会を実施いたしました。その上で地権者を対象にアンケートによる意向調査を実施したところでございます。この調査結果ですけれども、回答を頂いた方のうち、市街化区域の編入について賛成、それから条件付きでありますけれども賛成といった答えをいただいたのは、平塚市側で約8割、それから、寒川町側では約6割となっております。

 そのような状況がございまして、また平成20年の1月から2月にかけましては、平塚市大神地区と、それから新橋、接続道路に係ります環境実態調査、この説明も地元において説明会を実施した上で調査しておりますけれども、こういった説明会なども通じまして、地元の皆様もツインシティのまちづくりをともに考えていただく、まちづくりに関しまして地元の関心も高まってきているのではないかと、このような状況でございます。

内田委員

 今の賛成、条件付きを含めて、平塚側は8割、それから寒川側が6割という、その違いというのは、特に寒川の方は何が問題があると思っているのか、それは判明していますか。

環境共生都市整備担当課長

 現在の現地の状況等もございますが、寒川町側は、特に新駅が予定されているところでございます。土地利用も現状に比べて非常に大きく変わる。それから、現在の状況ですけれども、同じ平塚側も寒川側も、市街化調整区域の地権者に対してアンケートを行ったわけですけれども、市街化調整区域といいましても、寒川側はその中にもお住まいになっている方もかなりおられると。そういった事情の違いがあって、やはりちょっといろいろ不安を、寒川の方がお持ちになる方が多いというような、反応はございますけれども、そのような状況でございます。

内田委員

 どちらかというと寒川側の方が昔から住んでいる方が多く、高齢者も多いという言い方をしてもよろしいのでしょうか。

環境共生都市整備担当課長

 御高齢かどうかというのはちょっと比較をしたことがないので分かりませんけれども、平塚側は、現状は非常に農地が多いところでございます。寒川側は、市街化調整区域で、農地もございますけれども、住んでおられる方が多いということはございます。

内田委員

 そういった調査とか地元の方の理解を得るために具体的に動き始めているということは承知いたしましたけれども、一方では、環境共生という理念がはっきりしているということは分かりますけれども、やはり具体的なまちの姿というのは見えないところがございますので、それを早急に見える形で固めていく必要があると思うんです。

 去年やったところでは、産学公、大学とか地元の中小企業とかとの連携に力を入れ始めて、また、こちらの地域ではそういった研究所が誘致されたりとか、いろいろ動いてはいると思うのですけれども、特に現在、産学公の連携ですけれども、企業・大学の懇談会とかで検討を重ねているということですけれども、この懇談会というのはそもそもどんなものなのでしょうか。それから、構成メンバーなども、いま一度確認しておきたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 企業・大学懇談会につきましては、ツインシティにおいて立地、整備が望まれる施設ですとか企業を検討するために、平成1612月に、この県央・湘南都市圏に立地します企業や大学等の御参加をいただいて設立しまして、これまでに15回に及ぶ活発な意見交換をさせていただいております。

 この懇談会の構成のメンバーでございますけれども、大学は、慶應義塾大学、日本大学、神奈川工科大学、産業能率大学の4校でございます。それから、企業は23社ございまして、その他にも商工会議所、それから市・県も加えますと、現在47団体で構成されております。

 この懇談会におきまして、中間取りまとめをいただいておりまして、平成1811月に知事に提言を頂いてございます。現在は、この提言の内容を具体化、実現するための議論をいただいておりまして、今年度中にそれを取りまとめて、また最終的な提言を頂くという状況になっております。

内田委員

 47団体ということで、各企業とか四つの大学が集まっているということで、いろいろな年齢層も違うと思うのですけれども、また職種も違いますが、今の時点でどのような意見が出されているのかというのをちょっと教えていただけますか。

環境共生都市整備担当課長

 企業・大学懇談会から頂いたアイデアはたくさんございますけれども、代表的なものを御紹介いたしますと、新しいエネルギーを活用した取組、こういった中でコージェネレーションシステムや燃料電池を使った住宅、太陽電池発電の街区単位での大量導入、そういったような御提案もございますし、環境に優しい交通手段なんていうことでは電気自動車の普及、それから、自然を生かしたまちづくりという点では建物緑化、そういったものもございますし、ゼロエミッションという形で非常に難しい話ではございますけれども、例えば家庭のごみのたい肥化だとかそういったものに積極的に取り組むとか、あとは自然エネルギーに関しまして、太陽光ですとか風力ですとか、いろんなエネルギーを総合的に組み合わせて安定化したエネルギーシステムをつくったらどうかとか、そういった様々なアイデアを頂きました。

内田委員

 要するに、筑波の研究都市といわれるものがあって、今もありますけれども、そういった意味で神奈川県として、是非この地区にこういった先進的な研究施設も入ったような、緑地化の進んだところになるといいと私は思うのですけれども、このようなアイデア、もちろん先進的な部分は非常に大事で、これから必ずほかの企業にもと、私は見ているのですけれども、逆にやっぱり住んでいる人の気持ちとか、それから本当に生活している生活者の視点というのも忘れてはいけないと思うんです。例えば、私の方では自転車の放置とかすごく問題になっていまして、そういうものが外辺に見えると景観が悪いですね。だから、やっぱりそれを建物の中に入れ込むとか、駐車場のこと、バス、公共自動車と一般車のそういったものが都市再生には必要だと思いまして、新しい視点の環境共生都市をつくるには、先進的なものと地権者や本当に生活している主婦の観点というものが必要となってくるので、これからいろんなアイデアを反映させなければいけない。それから、そういったもともとある生活者の視点から、両方から攻めていかなければいけないと思うのですけれども、基本的に環境共生都市ツインシティにどのように反映させて実現していくのかを確認しておきたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 企業・大学懇談会などから頂きました環境共生のための様々な取組、アイデアにつきましては、今後、地元の皆様と、それから関係者たちとともにやはり実現性などを勘案しまして、ツインシティへの導入というものを検討してまいりたいと思います。

 また、将来的にはこういったまちづくりを進めていくためには、環境共生の取組を計画的に導入を図っていく、そういうことは必要になってきますので、何らかの規制ですとか誘導、そういった措置も必要になってくると思います。こうした方策ですとか仕組みにつきましても、今後、地元の方々、市町とともに検討してまいりたいと思っております。

内田委員

 ちょっと視点を変えて、ツインシティの中で、先ほども御報告にありましたけれども、核になってくるのはやはり新幹線の新駅。これはリニア、それから将来的にはJRの新駅の誘致につながるかと思いますけれども、新幹線新駅にかかわる経済効果について幾つかお伺いしたいのですけれども、まずはじめに、新駅利用者及びこれによる直接効果というのはどのように推計したのでしょうか。推計の仕方というのは、皮算用になりがちなのですけれども、その辺をちょっと確認しておきます。

環境共生都市整備担当課長

 はじめに、新駅の利用者数の推計でございます。まず、鉄道利用者がある目的地まで移動する際に、この新駅を利用する場合、それから、しない場合の所要時間というものを求めます。そして、それぞれの所要時間をお金に換算しまして、それに鉄道料金、これを合算いたします。そして、今申しました時間、それから料金というものを一つの尺度にしまして、この合算した両者の費用を比較して、安い方を利用者の方が選択されるということをしまして、多数出発地と目的地の組合せはございますけれども、それらの乗り方の作業はもう2万通りを超えるぐらいあるのですけれども、そういった作業を行いまして、新駅の利用者数というものを推計いたしました。

 この直接的な効果は、この利用者数と密接な関係がございまして、直接効果は新駅利用者数が時間短縮の効果によりまして、それを金額のベースでどれぐらいの利益を得るかということを出したものでございまして、やはり新駅を利用する場合としない場合、その費用の差額を算出しまして、それらすべての経路についての差額を合算して、ここに書いてある直接効果を算出しております。

内田委員

 低めに予定者数を推計したと伺っておりますけれども、推計方法というのはいろいろ     考えてみたということですが、既に設置されたほかの請願駅とか、また、県内のほかの新幹線の利用者数というのはどの程度なのでしょうか。

環境共生都市整備担当課長

 駅の利用者数につきましては、公式の発表というのが余りなくて、ちょっと古いデータもあるのですけれども、請願駅につきましては、新富士駅で1日当たり約9,600人、それから掛川駅で約8,500人、それから新尾道駅で約2,300人、それから東広島駅で約2,400人になっております。

 また、県内の駅につきましては、新横浜駅が約5万6,000人、それから小田原駅は約1万8,000人、このような状況になっております。

内田委員

 今お聞きしますと、関西の新尾道駅とか東広島駅よりは、こちらの関東の方がかなり人数も多く、その間の駅ですから自然と計算が成り立つのだと思います。

 次に、間接効果の方なのですけれども、人口、従業者数、観光客数がここに載っていますけれども、どのようにこれも推計されたのでしょうか。

環境共生都市整備担当課長

 間接効果につきましては、東海道・山陽新幹線の請願駅のうち開業後10年以上経過している5駅がございますけれども、この開業時と、それから開業10年後の増加率を求めた上で推計しております。この増加率は、新駅周辺の20キロメートル圏の人口増加率を当該圏の全体の人口増加率で除したものでございます。新駅の影響以外の原因による人口増加というものを排除するということでそういうことをしております。

 報告にございます高位、高い推計値は三河安城駅の増加率を当てはめたものでございまして、低い推計値は新富士駅の増加率を当てはめたものでございます。中位の推計値は、この高位と低位の平均をとったものでございます。

 これらを踏まえまして、人口と従業者数につきましては、県が予測しましたすう勢人口を基に、高位から低位までの増加率を掛けて推計したものでございます。

内田委員

 先ほど三河安城の人数は教えていただけなかったのですけれども、ここの割合のところと少し似ているような、名古屋の近くということで。ただ、どのぐらい上がったのでしょうか。そこが一番上がってらっしゃいますよね。

環境共生都市整備担当課長

 三河安城駅の20キロメートル圏の人口の増加ですけれども、これは1990年と2000年を比較しまして、約135,000人の増加がございました。

内田委員

 基本的には、やはり観光客数を求めるというのは非常に難しいと思うのですが、その辺はどのような考え方でしょうか。考え方の方をお聞きしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 観光客数につきましては、基本的には他の推計の仕方と同じ考え方をとっておりますけれども、この寒川の倉見の駅につきましては、例えば新尾道駅のような観光の明確な要素のあるところではございませんので、やはり先ほどちょっと話がありました三河安城の周辺は、そういった観光的な要素も非常によく似た状況はあるかと思います。そういう中で、三河安城の観光客数を入れた数値を参考にさせていただきまして算出しております。

内田委員

 大体、難しいところを推計してというのは了解いたしました。

 また、間接効果なのですけれども、建設効果、こちらの方も経済的波及効果というのをどのように推計したのか、これも一応確認しておきます。

環境共生都市整備担当課長

 間接効果、建設効果について御説明しますと、人口や従業者数が増加しますと、それに伴いまして当然、住宅ですとか、オフィス事業所などが建設されます。こういった建設を行うことで新たな需要が生じまして、建設自体に係る投資、それから建設に必要となる資材、そういった生産活動、さらに、建設にかかわる企業の従事者の所得の増加、こういった関連する産業へ連鎖的な経済活動が行われることになります。こういった中で、こういった経済活動を基にしまして産業連関分析を行いまして推計したのが建設効果でございます。

 また同様に、消費効果につきましても、増加します人口、それから従業者数、観光客が行う消費活動を基にしましてやっておりまして、操業効果につきましては、工場、それから事業所が行う企業活動を基に、それぞれ産業連関分析を行いまして波及効果というものを算出させていただいたおります。

内田委員

 推計報告については、大目に見積もられるとやはりそれはうまくいかないということなので、一応確認させていただきました。

 このように推計報告はいろいろ出ましたけれども、この結果を今後にどのように生かしていくのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 まずは、今回この推計結果をこれから様々な場所を通じまして広く県民や企業の皆さんに周知して、この駅の設置による効果は高いということを御理解していただくように努めてまいります。それによりまして、新駅誘致の機運醸成を図りまして、はずみをつけた上でJR東海の新駅設置の前向きな回答を引き出していきたいと、こういうふうに考えております。

内田委員

 最後になりますけれども、今回、公表された経済波及効果を実現するためには、県土整備部だけではなくて、商工労働部、またそれから環境農政部との連携、これが非常に大切になってきており、取組が必要と考えます。全庁的な連携をしながら、どのような都市圏を目指していくのか、その意気込みをお伺いしたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 今、委員御指摘のとおり、今回発表した経済波及効果を実現させるためには、単に新幹線の新駅を設置するだけでは到底実現されるものではないと考えております。人や才能を集積しまして、その機能を発揮するためには、道路、下水などの都市基盤の整備ですとか、インベスト神奈川などの産業誘致策、それから、環境面におけます新エネルギーですとか省エネルギーの施策などにつきまして、関係部局と連携して取り組むことが大切だと考えております。

 県としては、この県央・湘南都市圏につきまして、活力ある都市が相互に補完し合うネットワーク型の都市圏を目指すとともに、持続可能な社会を支える環境と共生する都市圏を目指して、全庁的に連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。

長田委員

 内田委員の質疑に関連をして若干質問をさせていただきたいと思いますが、このツインシティを実現していくに当たっては、相模線の活性化ということと切り離せない課題です。相模線は、正に神奈川県の南北を縦断する重要な路線であります。そういう意味では、さらに相模線の中の南の玄関口として東海道新幹線新駅、そして北の玄関口としての中央リニアということが将来的にあろうかと思います。

 その中央リニアの建設と駅の誘致ということが非常に大きなステップになると思いますけれども、中央リニアの問題について、昨今何か動きがあったような話を聞くのですけれども、その辺のことについて何か情報がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

環境共生都市整備担当課長

 昨年、JR東海から2025年に東京圏から中京圏までの営業計画をJR東海の自己負担をもって目指すという発表がございました。

長田委員

 それが大きな前進になればいいなというふうに思います。また、東海道新幹線自体は30年以上前の土木技術でつくられているものです。これが永遠にもつというものではないでしょうし、また、新幹線と一体をなすものですから部分的に改修していくわけにもいかないものでしょう。そういう点では、日本の国土にもう一本バイパスを通していくということも考えられているのではないかなという気がします。それを一つのステップにして是非進めていっていただければと思います。

 次の質疑ですけれども、このツインシティに関しては、岡崎知事のときに費用負担の問題で、駅舎の建設等に関しては3分の1を神奈川県が負担し、残りの3分の2は地元の市町村で負担をしていただきたいと。それから、平塚に渡る橋に関しては県が単独でやってみますというようなことだったと思うのですけれども、その後長い年月がたちました。約10年以上ですね。そういう中で、今後の費用負担の問題についての考え方というのは変わらないのか、その辺りのことについてお願いします。

環境共生都市整備担当課長

 費用のことを考えるに当たりましては、当然事業費というものが前提にございます。それで、現時点では、JR東海の新駅につきまして駅を設置するという判断を今のところ頂いておりません。そういう中で事業費が決まってくるにはもう少し時間がかかるかと思いますけれども、今、費用負担のお話がございました。いろいろ費用負担のそういう関係がございますので、現在この駅についての費用負担が決まっているかといったら、決まっている状況ではございません。ただ、今後費用負担を考えていく中では、やはり県、それから地元がどれぐらいの負担割合で負担し合っていくのか、これは過去の例とか、それから利用者の利便性を受ける度合いですとか、それ以外にもやはり関係市の財政力ですとか人口ですとか、そういったもろもろのものを勘案しながら、神奈川県東海道新幹線新駅設置期成同盟会の中で話し合って決まっていくものだとそのように考えております。

長田委員

 岡崎知事のころには、新駅誘致という問題、テーマがあった。これが相模川の東西で綱引きをして最終的に寒川側ということになった。これが恐らく対岸側に配慮するような形で橋を通していってツインシティだなんていう青写真が出てきたと思うのですけれども、その後の流れの中で、新駅よりもツインシティの方が前面に出てきている形になっている。若干危ぐするのは、駅を造るだけならば、駅を造るという費用からだんだん話が膨らんでいって夢も膨らんでいくのですけれども、全体の事業がどんどん大きくなっていったときに、行政負担というものがどんどん膨らんでいってしまうのではないか。そうなったときに神奈川県はいいとしても、地元の市町村の負担というのが耐え切れなくなって、あるいは理解を得られなくなっていってしまうのではないかという危ぐをするわけでございます。非常に微妙な問題ですから、委員会の中でなかなか話せない部分もあるでしょうし、それは是非担当の方の御努力をお願いしたいところです。いろいろ大学であるとか企業から新しいアイデアを出してもらうのは良いことなのだけれども、それが行政負担をどんどん増大させていってしまうということにならないように、資金の問題についても民間の資金やアイデアをどうやって導入していくのかということも含めて、是非良い形にしていっていただければということを要望させていただいて終わりたいと思います。

田島委員

 今、長田委員から事業費の関係のお話も出ました。内田委員からは推計の方法につきまして質疑があって、大変よく分かってきたのですが、ちょっと話の切り口を変えまして、請願駅が幾つかあるという御説明もしてくださって、どちらの駅もそれぞれに何がしかの推計があってスタートして現実になったと。そのときのギャップみたいなものもきっとあったと思うのですけれども、乗降客数もそうかもしれないけれども、事業費にしても、振り返ってみたらあのときちょっと広げ過ぎたという反省があった駅があるのか、あるいは、もっと一点集中的にここにどんと予算を組み込んでもっとつぎ込んでやれば経済効果は上がったとか、幾つかの駅でそんな検証というのはやっていらっしゃるものなのですか。

環境共生都市整備担当課長

 私どもも今回、この推計作業を行うに当たりまして、やはり参考になる推計を探るために過去の例を調べたのですけれども、滋賀県の栗東駅では推計をしておるのですけれども、それのベースになるものを参考にさせていただいたのですが、それ以外の駅では特に推計をしていなかったということで、そういう推計そのもの自体、見付からなくてつかめなかったのです。栗東駅は、推計方法はあったのですけれども、もう既に中止になってしまいましたので、現実との比較というのはできない状況でございます。

田島委員

 では、関連ですので、お返しします。

内田委員

 この件についての要望を申し上げます。

 今、長田委員、田島委員の質疑にもありましたけれども、やはり過去の、今までに分かるほかの駅のものも参考になると思いますので、今後、資料ももし見付かれば是非ともそういった方向性を持っていただきたいです。そして、やはり資金ありきということなので、この辺のお金の問題が一番大きいと思うんです。ですから、もちろん目に見える形でスタートは切ったとは言えるのですけれども、まだまだ見えない部分が多いと思います。そういったものをツインシティのみならず、周りの整備、それから住民の理解、それから商業とかそういった施設の経営者、いろいろと連携があると思いますので、是非とも県民の理解を得るために動いていただきたいと思います。

 経済的波及効果の推計についても、更に慎重を期して、そして、行政に大きな負担が回らないようにというか、負担を増やして税金を無駄に使わないように、そういうふうな形で是非進めていただくことを希望いたします。

 

(休憩 午前1154分  再開 午後1時3分)

 

内田委員

 それでは、今度は神奈川口構想における羽田空港への連絡道路の整備に向けた取組の方に移らせていただきます。

 この21世紀はアジアの時代でもあると言われておりまして、アジア経済は過去に想像できないほどのスピードで変化を続けております。我が国では著しい国際化の波ということで、それに取り残されないためにもアジアの中でハブ空港として日本の中心部にある空港、本来、空港そのものの役割を考えていかなければならない。まして、成田空港だけではなくて羽田空港の国際化、こちらに向けても国もやっと動き出したということで、我が県としても神奈川口構想というのが大きなテーマになってくると思いますので、この部分について特に物流、経済発展、それから観光振興の点で影響することと思いますので、以上を踏まえて質問を行ってまいります。よろしくお願いします。

 まず、現時点における神奈川方面から羽田空港への道路によるアクセスの現状についてお伺いしたいと思います。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 神奈川方面から羽田空港への道路アクセスということでございますが、自動車専用道路によるアクセスと、それから一般道路を使ったアクセスということでございます。首都高速湾岸線が直接空港に乗り入れているほかは、すべて多摩川を渡って環状8号線を使ったアクセスということでございますので、東京側からは複数のアクセスがございますから、東京側の充実に比べまして神奈川側からのアクセスというのはぜい弱な状況にあるというふうにいえると思います。

 また、道路の混雑状況につきましては、自動車専用道路によるアクセスは、渋滞なく非常に比較的スムーズということでございますが、一般道におきましては、国道1号線、国道409号線、産業道路は非常に混雑をしておりますので、特に多摩川や空港周辺に交通が集中しているということでございますので、混雑が顕著になってございます。

 今後、羽田空港再拡張・国際化、あるいは都市再生の取組などが進むことによりまして、更に人や物の流れが集中してございますので、多摩川を渡河する交通軸の強化、空港周辺の道路ネットワークの充実が重要であるというふうに認識しております。

内田委員

 神奈川口構想に関する協議会においては、県知事も含め、国土交通大臣、そして横浜市長、川崎市長、それから我が県知事、ともに五つの検討項目が挙げられておりますけれども、その中で連絡道路の検討が進められていると思いますが、この検討に当たって何が課題になっているのかを少し詳しく知りたいのでお願いいたします。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 連絡道の検討に当たっての課題ということでございますが、検討会におきまして大きく四つの検討項目として整理をしてございます。四つの検討項目として幅広く検討を進めていくということでございます。

 1点目は、土地利用でございます。多摩川両岸土地利用計画との調整を図りながら検討を進めるということでございまして、特に空港跡地について、造成される土地の高さ、空港内道路、建築物の位置など、今後具体化される跡地利用計画との調整を図りながら検討を進めていくという点でございます。

 2点目は、事業性でございます。ルート構造ごとに建設費や維持費、あるいは整備効果の面からも十分検討を進めるということでございます。

 3点目は、環境でございます。連絡道路の検討範囲となっております多摩川河口、干潟など良好な自然環境を有しておりますので、構造形式や施工方法など自然環境への影響を十分考慮して進める必要があるということでございます。

 最後の4点目は、交通でございます。連絡道路の受け皿として想定される国道409号、あるいは環状8号とのスムーズな接続、交通処理、周辺道路への負荷や影響などについての検討ということでございます。

内田委員

 土地利用、事業性、それから環境、交通という点、ほかにも騒音などの問題も出てくると思いますけれども、それは別途また後で伺います。

 羽田空港へのアクセス改善についてですけれども、連絡道路ができることによって、渋滞地域や渋滞箇所など、今現在の状況がどのように緩和されて、これがスムーズに変わっていくのかということを、具体的に各道路でお示しいただきたいのですけれども。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 連絡道路の整備によりまして、周辺の交通が分散されるということで、交通混雑が緩和されて空港へのアクセス改善というものが期待されております。

 具体には、神奈川側から一般道を使いますと環状8号線を使って空港に入るということでございますが、環状8号線大鳥居交差点というところがございまして、ここが日常的に渋滞しております。連絡道路が整備されれば、大鳥居の交差点から空港へ右折して入る交通量が約2割減少するというような効果もございますので、例えば時間に換算しますと、神奈川口から空港へは、現状は約17分かかるところを約10分時間短縮になりまして、約7分でアクセス可能ということでございます。

 また、浜川崎駅周辺地域からは30分が23分になって約7分短縮ということでございます。またさらに、国道1号や国道15号など、内陸部に集中していた交通が臨海部に分散するということができますので、走行性の向上と沿道環境の改善にも寄与するというところであります。

内田委員

 大体時間が短縮されて将来性があるということになると思うのですけれども、特に多摩川周辺は本当に混んでいるので、その辺をどうにかすることで住んでいる住民の方にも迷惑がこうむらないという感じになると思います。

 また別件なのですけれども、空港へのアクセス改善について、鉄道という分野ではどのような検討が進められているのか、現状を教えてください。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 鉄道による空港アクセスの改善でございますが、東海道貨物支線を活用した空港アクセスの改善、これを検討してございます。東海道貨物支線の貨客併用化、これはもうそれ自体空港アクセスの改善につながるというものでございますけれども、全線整備を行うには、事業規模とかかる事業費が膨大になるために早期の事業化は困難という状況でございます。このため、既存の東海道線、あるいは南武線から東海道貨物支線に乗り入れまして神奈川口に計画しております新駅まで列車運行させることによりまして、広く神奈川方面からの鉄道による空港アクセス改善につながるような鉄道、こういったものを検討しております。

 また現在、京浜急行が羽田空港に直接乗入れをしておりますが、京急大師線の延伸というものにつきましても、川崎市が主催となった懇談会の中で検討がされておりまして、現在のところ懇談会の中で出された課題などについて整理をしているところであるというふうに聞いております。

内田委員

 とにかく、私の住んでいる青葉区から空港に行くには、やはり一般道を通るのは避けます。これはやはり一般道が混むのを知っているからですけれども、この横から行ける方法がもっとスムーズになれば、羽田へのアクセスというのは本当に便利になってくると思いますし、その辺の港北区とか鶴見区とかの人も結構海外に行かれますから、やはりその辺を整備していただくというのは今後重要な課題になってくると思います。

 また、もう一つ別件なのですけれども、京浜臨海部の物流、これも重要な観点だと思いますが、道路アクセスの課題等、今現在問題になっていることというのはどんなことがあるのでしょうか。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 物流の関係でございますが、まず、物流施設の立地状況につきまして御説明いたします。

 京浜臨海部の陸側の地域、第1層と呼ばれている地域ですが、そちらは大規模な物流施設の進出というものが相次いでおります。海側の新しい埋立地の方、第3層でございますが、こちらは港湾物流を中心とした施設が立地しております。

 京浜臨海部は、首都圏という大消費地に位置して、空港や港湾による物流の中継に最適であるとこういう立地特性を持っておりますことから、物流が広い範囲にわたって集中的に発生しております。産業道路、国道409号、川崎市道殿町夜光線などの幹線道路は、大型車両の割合が5割程度ということで非常に高い割合になっております。このため、朝夕のピーク時間帯では、物流貨物と通勤車両の集中による交通混雑、バス運行の定時性の低下といった課題が生じております。交通混雑は物流コストの増大にもつながる課題でございます。また、京浜臨海部は市街地に近接しておりますので、大型車が住宅地内を走行することによりまして騒音や振動など、住環境への悪影響も懸念されるところでございます。

 さらに、物流拠点が広がる湾岸地域におきましては、幹線道路が不連続になっている箇所等がございます。輸送上のボトルネックとなっている箇所、あるいは事故や混雑時の代替路線が不足しているということでございますので、京浜臨海部の道路ネットワークについては、常々から多くの課題があるというふうに認識をしております。

内田委員

 とにかく、鶴見から川崎周辺に関しては、やはり工場地帯も多いことですし、そういった立地条件があるので、前に私も横羽線と首都高を使って東京にしょっちゅう行っていたのですけれども、やはり怖いというか、一般車との事故は起きないにしても事故になりそうな箇所も多く、そういったことが一般道でも川崎市は特に見られると思うんです。そういったことでちょっとその辺の整理をしながら、是非進めていただきたいと思うのですけれども、連絡道路が整備されると、物流に関してはどのような効果というものが期待されるのか、もたらされるのかということを伺っておきたいと思います。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 連絡道路の物流面からの効果でございますが、羽田空港の再拡張・国際化によりまして、更に航空貨物、人の流れが集中するということが予想されますが、連絡道路が国道357号などと併せて整備されますれば、多摩川を渡る一般道路の混雑はほぼ解消されるというふうに見込まれております。このため、航空や港湾物流の移動が円滑になりまして、物流ネットワークの充実が図られるとともに、災害時の代替路線としての役割、そういったものも期待されております。

 また、連絡道路は空港と神奈川側が直接結ばれるというものでございますので、神奈川側の物流拠点形成と併せまして、物流拠点と空港と港湾を結ぶ重要な物流ネットワークとしての役割を担っていくという期待がございます。

 さらに、交通の分散によりまして、京浜臨海部の物流の流れがスムーズになることで、大気環境、騒音・振動の軽減など、沿道環境の改善にも効果が期待できるというものでございます。

内田委員

 それから、この報告資料にございました案が2件出ていて、橋りょう、橋の案と、それからトンネル案、両方出ているのですけれども、それぞれ良い面と悪い面があると思いますが、今の時点でどちらの可能性が高くて、そして、各構造における課題というのはどういうものが挙がっているのか、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。

都市計画課神奈川口基盤整備調整室長

 構造の課題でございますが、2月に開催されました京浜臨海部基盤施設検討会におきましては、連絡道路のルート・構造ごとに、主に物理的な特徴が整理をされました。今後は更に掘り下げまして、土地利用、交通上の機能、設計上の制約、事業性、多摩川の環境などから総合的に検討していくというふうなことになってございます。

 いずれの案におきましても、羽田空港跡地など、両岸の土地利用計画との調整が必要になりますが、まず、橋りょう案におきましては、航空法による高さ制限、それから、河川の構造のけた下空間の確保など、空間的な制約により橋りょう形式に制限があるものの、工事費用や維持管理費用の面では、トンネルに比べますとメリットがございます。ただし、河川環境や景観への影響についてはトンネルに比べて大きくなるというふうに考えます。

 トンネル案の方でございますが、接続部がループ状になるため、工事延長や費用、完成後の維持管理費の面ではデメリットがございますが、河川環境や景観への影響は少なくなるというふうに考えております。

 今後、検討会で絞り込んでいくということになりますが、県といたしましては、川崎市など関係機関と連携して京浜臨海部基盤施設検討会で議論が進むように精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 では、どちらが可能性が高いというのは今のところはまだということになると思いますけれども、結局、大規模工場跡地など、神奈川口構想における魅力的な地域を、今後これから将来に向けて創設する決定的なチャンスだと私はとらえておりますけれども、県としては、その場所というのにどのようなグランドデザインを描こうと考えているのか、お伺いします。

地域政策課長

 神奈川口構想と申しますのは、羽田空港の再拡張、それから国際化、これによりまして新たに生じます国内外の大量の人、それから物、それから情報などを神奈川側に呼び込む拠点といたしまして、多摩川をはさみまして羽田の対岸の地域を整備しまして、それぞれが交流し合うというようなことで、神奈川のみならず首都圏にもその効果を波及させると、非常に大きな機能を果たすために取り組むものでございます。

 そういった意味では、委員がお話しのように、私どもといたしましても、是非とも魅力的な地域として整備したいというふうに考えておりまして、平成17年でございますけれども、その3月には国それから県も参加しまして、神奈川口の対象地域でございます殿町三丁目地区、この整備計画案を川崎市が取りまとめております。その中ではにぎわい拠点としての商業、業務、レクリエーション、交流機能、さらには航空関連の業務、それから研究開発機能、さらに物流機能など多彩な機能を持たせる絵を描いてございます。

 本県といたしましても、本格的な整備に入ります前に、この整備計画案を踏まえました神奈川口が果たす機能、これにとどまらず、例えば鎌倉、それから箱根、そういった観光地への集客プロモーションといった羽田の再拡張・国際化の効果を神奈川県全域の活性化につなげるというような方策なども念頭に置きまして、広い視点でグランドデザインを描いていきたいというふうに考えているところでございます。

内田委員

 是非とも観光振興に一役買うようなグランドデザインを描いてほしいと思いますけれども、何といってもやはり課題は羽田空港の国際化ということで、我々県民も本当に便利になってくれれば、その分すごく国際的な感じでもイメージアップにつながると思うんです。そういったわけで羽田空港の国際化というビジョンをまず明確にしていくことが大切でありますし、先日閣議決定された政府での経済財政改革基本方針2008に、首都圏空港における国際機能拡充が盛り込まれましたけれども、県ではこの内容をどうとらえて、今後どのように県としての国への働き掛け、こういった面でどのように取り組むのでしょうか。最後にお伺いします。

地域政策課長

 まず先に、先日の経済財政改革の基本方針2008、いわゆる骨太の方針でございますけれども、ここに盛り込まれました首都圏空港における国際航空機能拡充策、これは実は5月に発表されました通称、冬柴プランと申しておりますけれども、その首都圏空港の国際機能拡充プラン、これに沿ったものでございまして、その辺りのポイントを申し上げますと、羽田の国際の定期便につきましては、これまで国が3万回と申しておりましたけれども、これを昼夜合わせて倍増となる6万回まで拡充をいたしました。さらに、それまで距離制限を設けておりましたけれども、これを撤廃いたしまして、これまでなかった北京、台北、香港までは就航させていくと。さらに加えまして、羽田空港の24時間機能を活用いたしまして、成田がちょうど閉鎖されております深夜・早朝時間帯、これは夜の11時から翌朝の6時ということの時間帯になりますけれども、この間に羽田に国際定期便を就航させるということになっております。これを従前とちょっと比較いたしますと、従前は、就航距離が2,000キロメートルまでという、通称、ペリメーター規制ということをしておりましたけれども、これを撤廃している点、それからさらに、昼間の時間帯に3万回までとした回数の増加、これにつきましても倍増近くしているというようなことからいたしますと、それまで堅持してきた国の姿勢を大幅に前進させたと。国際化に向けて前進させたというふうに我々はとらえておりまして、そういった意味では評価のできる内容であるというふうに私どもは考えているところでございます。

 ただ、これで十分かと申しますと、利用客の更なる利便性ということも考えなくてはなりませんので、昼間の時間帯の国際線の一層の拡充、さらに深夜、早朝の時間帯における移動手段確保のための公共交通機関の導入、真夜中になりますと公共交通機関は切れてしまうということがありますので、そういったものの手当、さらに、羽田と成田を一体的、有機的に運用を図るための超高速鉄道手段の整備、さらには、早期に神奈川口の連絡道路を整備いたしまして、新たな交流産業拠点を形成することなどが必要であると考えております。

 こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、今申し上げたような課題を解決して、羽田空港の国際化が本県にとりましても望ましい姿に実現されるためには、引き続き横浜市や川崎市とも連携しながら、国への要望を更に重ねていくというようなことで積極的な取組が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

杉山委員

 御説明ありがとうございました。ちょっと関連なので二、三お聞きしたいのですが、先ほど前の答弁でグランドデザインという話も出ました。私も本会議の質問で何度となくグランドデザインというものも提案をしてまいりましたし、ちょうどこの神奈川県内の本委員会の目的であります活性化という中で、やはり県央地区のいわゆるグランドデザイン、ツインシティづくりのステージプランとしてありますね。これはタイムプランとしては成熟したプランだと思いますし、この2015年のまち開きに向かって事業の実現をしていただきたいと思いますけれども、武田先生もいらっしゃいますけれども、我が地元の川崎、まだそのグランドデザインがはっきり見えてこないのが私の率直な考えであります。

 先ほど、神奈川口があることによって県内観光、あるいはその機能、あるいは活性化と言われましたね。そういうのがなかなか見えてこない。先ほどの4ページを見れば、例えばここに新駅ができたときに1日の乗降だとか経済効果だとかいう具体的な数字が資料となって出ていますね。税制の税収効果、ここら辺も今お聞きしていると出てこないのが現実です。具体的にこれは、では供用開始になったときにこの神奈川口に1日に何人利用される方がいらっしゃるのかなと、そういうことももう少し本当は聞いてみたいのですけれども、時間がないのでポイントだけ。

 まず、離発着が昼夜6万回に増えるということで24時間体制だということです。それも大きな意義があるのですけれども、4ページにあります導入を目指す機能、これは括弧書きで良好な住環境の拠点形成を図るという形で書いてありますけれども、離発着を夜もやったら、例えば騒音問題もありますよね。そういったところの担保はとれているかどうか。今後でしょうけれども、そこを1点聞かせていただきたいと思います。

 それともう1点は、戻りますけれども、グランドデザインの進ちょく状況、この2点についてお聞かせください。

地域政策課長

 まず、騒音の点でございますけれども、先日の本会議でも質疑があったところでございますが、基本的に再拡張した際の騒音の在り方につきましては、基本的に平成16年の段階で国と八都県市が合意した内容になっておりまして、今回の横田空域も含めてですけれども、そういう動きの中で基本的には騒音問題については変えていかないと。ただ、ちょっと我々が懸念しておりますのは、今これだけ、羽田は第4本目の滑走路を造ってかなりの増便を吸収していくにしても、それがまた10年たったら満杯になってしまうのだと。したがって、それまでに更に発着容量の拡大等をやっていかなければいけないというところになりますと、果たしてどれぐらいの影響が出てくるのかというのがありまして、その点につきましては、基本的に例えば低騒音のジェット機を使うとか、それから着陸の方法をいろいろ考えるとか、国の方で方策を考えるというふうに申しておりますけれども、それでも更にあふれている場合には、また再び協議をしながら決めていくというようなことになろうかと思っておりまして、差し当たって騒音問題に関しては、現在のところ大きな影響はないというふうに思っております。

 もう1点のグランドデザインの方ですけれども、いろいろ中身については考えておりますけれども、例えば連絡路は道路のルートをどういう構造でいくといったようなことを見極めながら、そういう状況を見極めながら、私どももいつの段階でグランドデザインを描き、どういうレベルのものをつくれるかというところを、どんどん検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

杉山委員

 最初の騒音問題については、もう少し慎重に取り組んでいただきたいことを要望いたしますし、グランドデザインにつきましては、やはり前ページの県央のステージプランも含めて、これだけしっかりつくり上げているのですから、早期になされることを要望して、私の関連質疑は終わります。

内田委員

 この件に関して要望で述べさせていただきたいと思いますけれども、今、杉山委員も質疑しました、騒音の問題というのは今後出てくると思いますので、その辺の検討材料も少し取り上げていただきながら、やはり空港というのは大体もっと国が先導してやるべきだと私は思っているのです。こういったときにやっぱり費用の問題、これはできるだけ国が出してもらえると有り難いので、その辺をどうにか知事の方から是非とも申し入れてもらうように、国際化はやはり国全体の問題だと思いますから、その中で神奈川県民が騒音の問題とかをどう対処していけるか、また、どこまで協力できるかということになってくると思いますので、もちろん道路アクセスはこれは大事な問題ですけれども、絶対、総合的に考えていただきながら、整備に向けて着実に取り組んでいただきたいと要望いたします。

 この件に関しては以上です。

 

他、委員質疑続く

 (日程第1については、この程度)

 

11 閉会中における調査事件

  平成20年5月23日の本会議において当委員会に付議された調査事件については、更に議会閉会中調査を継続すべきものと決定

12 調査報告書の案文委員長一任

13 意見書案等の提案確認

  提案なし

14 次回付議事件等の決定

  次回委員会における付議事件を「県民活動の推進について」とすることとし、調査項目については正副委員長一任と決定

 

15 閉  会