平成20年  厚生常任委員会 - 1002日−01

平成20年  厚生常任委員会

◎《委員会記録-平成20年9定-20081002-000006-厚生常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(内田・山本(裕)の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 傍聴の許否について決定

  2件申請 2件許可

5 口頭陳情の許否について決定

  陳情第101号についての口頭陳情 許可

6 報告事項

  「非食用事故米穀の不正規流通について」(保健福祉部長

  「中国における牛乳へのメラミン混入事件に係る対応状況について」(同上)

  「「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案について」

  (同上)

  「神奈川県福祉の街づくり条例」改正素案について」(同上)

  「神奈川県在宅重度障害者等手当制度の見直しについて」(同上)

  「食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例」改正骨子案について」(同上)

  「食の安全・安心の推進について」(同上)

  「神奈川県総合リハビリテーションセンターの再整備について」(同上)

  「児童自立支援拠点の整備について」(同上)

  「相模原市の政令指定都市移行に向けた取組みに係る県の対応について」(同上)

  「社会福祉法人神奈川県総合リハビリテーション事業団の事業概要について」(同上)

   「産科医療補償制度について」(病院事業庁長)

7 日程第1を議題

8 提案説明(保健福祉部長

 (休憩 午前1154分  再開 午後1時3分)

9 日程第1について質疑(両部所管事項及び報告事項も併せて)

 

内田委員

 まず、はじめに説明いただいた食の安全・安心について伺います。

 食に関しては、数年前から米国産のBSE問題、それから、その後、残留農薬、メタミドホスの件、また飼料添加物、それから中国産のウナギ、これもマラカイトグリーンという薬剤混入事件ですけれども、そのほか挙げますと、ヒジキのヒ素という問題や、あと魚介類を食べたことによる妊娠中の女性に対する水銀やカドミウムの蓄積の問題など、ここ数年、各食品から様々な薬物や内分泌かく乱物質など、いろいろあがってきております。

 そして、ここのところでは、ギョウザ問題、それから農政とも関係しますけれども、遺伝子組換え食品の安全性や流通に関して、また、白い恋人や赤福などの賞味期限や消費期限の食品表示の偽装問題など、様々な案件があがっておりますので、これは市民としても、やはり一番注視していかなくてはならない問題だと思います。

 そして、それに合わせて日本料理の割烹店の偽装問題や、また昨年度、「偽装」の「偽」の字が我が国でも代表的な漢字になったということもありまして、私はこの食品の安全・安心については、国のみならず県が先導するくらいの気持ちで取り組んでいくべきだと思います。

 質問に入りますけれども、特にここのところ、やはり先ほど報告にもありましたが、事故米やまたメラミンの混入事件、粉ミルクの問題など、これをまず先に取り上げて、その後、条例のことや指針についての案件の質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、事故米やこれを原材料として、流通経路、いろいろなところからあがってきていまして、その影響も我が県に及んできている。ただし、健康被害については、まだ明確になっていないということで、いま一度、事故米やその原材料のでん粉、そのことについて、焼酎やいろいろなことが言われていますけれども、県内の対応そして事故米事件に関する県の今後の対策、これを改めてどのようにしていくのか、詳細をお伺いしたいと思います。

生活衛生課長

 まず、この事故米でございますけれども、どんな形で流通しているかというお尋ねがございました。農林水産省の発表によりますと、これまで農林水産省から事故米を購入して食品に転用しているところが、事業者として4社ございます。そのうち、最初に明るみになったのが大阪市の三笠フーズということでございます。これは事故米あるいは米粉を加工して別の業者に販売してしまったということでございます。

 三笠フーズは、そのほかにもいろいろ平成15年度から20年度までの間、約1,400トンばかり取り扱っていたという現状がございます。9月22日の調査結果によりますと、三笠フーズの事故米及びその加工品の流通先というのは、中間業者が64社、末端の販売製造会社が330ということで、西日本を中心にして範囲が及んでいるところでございます。このことに関しましては、神奈川県に該当する業者はございませんでした。

 また、新潟県の方でも、こういう業者がいたわけですけれども、島田化学工業といいます。そちらの方も平成15年度から19年度までの間に農林水産省から購入した236トンくらいですけれども、こういう米を食用として転用、あるいはでん粉を製造していたということがございます。

 現在、いろいろ給食施設などで卵焼き、そういうものについて自主回収というのが、いろいろ新聞にも出たりしていますけれども、これは東京都の業者が製造したということで、これにつきましては各県に出回っているところでございます。これについて、また神奈川県の対応といたしましては、国からの情報等を得ながら、あるいはそれぞれの自治体からの情報を得ながら、神奈川県に何が流れているのかというのをまず最初にチェックさせてもらいました。

 流れたところにおきましては、それぞれ調査をしているわけでございますけれども、今回、この事故米につきましては、どこの業者に行っているかというのがなかなか分からない状況にございました。そんなことで、いろいろ手を尽くしまして、実際に神奈川県にどれだけ流れているのかというのをやったんですけれども、実際これについては、この前、記者発表させていただきましたけれども、それぞれ県立施設においてどれだけ卵焼きが使われているかというところを調査していただいて、発表させていただいてございます。

 また、これからの対応ですけれども、これはまだ先が長い話だと思っております。といいますのは、まだ流通先が分かっていないところの会社もございますので、それがだんだん分かってくると、また神奈川県の方にもその影響が及んでくるかと思っています。その状況が分かり次第、またそれぞれの調査をするという形で考えております。

内田委員

 まず、その流通先が分からないというので、非常に不明確ということで、今後、流通先が分かってきたら、それを早急に対応をとっていかなくてはならないと思うんですけれども、そうした事故米関係で流通している様々な食品、主に事業者の自主回収という形で処理をされているんですけれども、そういった自主的な対策ではなく、その食品を扱う事業者に対する行政としての処分とか罰則といった形はまずとれないんでしょうか。

生活衛生課長

 まず、結論的なところからお話しさせていただきますと、罰則というか行政処分とかということはかけられる状況になっております。ただ、その罰則、あるいは行政処分をかけるに当たりまして様々な手続がございます。

 ということで、その手続をお話しさせていただきますと、実際にその米だとか加工品なんですけれども、それを検査して食品衛生法に違反しているということが確定しましたら、行政処分ができる形になります。ただ、それを行政処分する前に、やはり早く県民あるいは国民の方にこういう食品が出回ってはならないということで、それぞれのメーカー、事業者が自主回収に踏み切っているわけでございます。

 ですから、まず事業者の方から自主回収をしましたと、それから行政側はそれぞれのものを検査して、食品衛生法違反だということになりますと、それぞれまた回収命令等がかけられます。実際、今まで三笠フーズ、あるいは先ほど申しました新潟県の業者、そちらについては回収命令等は、各自治体がかけている状況になっております。

 そんな状況になっていますけれども、先ほど申しましたようになかなか難しいところがございます。というのは、回収命令をかけますということになりますと、対象品がないとまずいわけです。実際に調査をしていったところ、既に自主回収が全部終わっていたとか、あるいはもう食べ終わってしまっているというか、消費される状況にないという状況になりますと、回収命令をかけても、その実効性がないということで、なかなかその辺のところで処分をかけるというのは難しい状況になっております。

内田委員

 その回収命令をしたときには、もうないということで、もしかしたら行政の方で少し敏速な動きに欠けていた可能性もなきにしもあらずと思いますし、実効性がないものですから、今後どうなるか、もう1回精査しないと、どういうふうにしていくか、規制をとっていくかとか、その辺を考えていかなくてはならないんですけれども、例えば、抜き打ち検査とか、そういった面は後で質問します。

 次にメラミンの混入した粉ミルクの件、これも皆さん御承知のとおり、中国の業者が違反行為をして、でん粉質を、牛乳の質を高めるために、本当は入れてはいけない薬物を混入したということで、今、中国の方で、かなり乳幼児が危険にさらされて、じん結石になると聞いておりますけれども、そうした化学物質自体が混入してしまったのは想定外というか、我々としては想定外だと思いますけれども、逆に粉ミルクや飼料、ペットフードの関係もあります。もしかしたらペットフードなどにも入っているかもしれない。そういったものを検査したときには、日本での健康被害のおそれというか、乳幼児にしてもそうですし、粉ミルクとか、いろいろなタルトとかにも入っていたと思うんですけれども、そういった意味で、事業者や行政はどのように対応してきたのかということと、またこれからどういうふうに、更に突き詰めていくのかというところをお伺いしておきます。

生活衛生課長

 まず、メラミンですけれども、今、問題になっているのは、中国で製造をしている、その元は牛から牛乳を搾るわけなんですけれども、その乳の量を増やそうと、要は、お金になるということなので、水を加えたりするということがございます。そういうことで、メラミンを足すと、それがうまくすり抜けられるというようなことになってしまっているようでございます。そんなことで、今、中国の方では、乳あるいは乳製品について、こういうメラミンの汚染がかなりあるのではないかということが分かりました。

 中国で作られた、今、いろいろ言われました食品、タルトという話もありましたけれども、そういうものが、日本等に輸入されているという状況になっています。この中で、一番最近分かったのが、丸大食品というところが輸入している六つの菓子パンでございます。その六つの菓子パンについて、当然、先ほど申しましたように、業界の方では、そういう乳を使った可能性もある工場が作ったということで、自主的に回収を始めたところでございます。

 行政側は、その品物を入手し、それぞれ検査をしているということになります。これは高槻市の保健所が検査をしているわけなんですけれども、それぞれグラム数、どのくらい入っているかというのを検査しているわけなんですけれども、一番多かったもので、1キログラム当たり37ミリグラムというようなものが検出されたのが、今、行政側が検査した中で一番高い数字だと思っております。その数値をいろいろ健康被害があるかというところに当てはめてみますと、1キログラム当たり37ミリグラムですけれども、体重50キログラムくらいの方が1日17個以上、一生食べ続けないと健康には影響がないくらいだという形になっています。ということで、この37ミリグラムが一番多く、最少で0.8ミリグラムとなってございます。そういうことが、今のところ、検査の状況から見れば、健康被害というのは、あまりないのかなと、健康に影響が少ない量だというふうに行政は考えております。

 この検査をいろいろやった中で、また、これは食品衛生法の違反になると、このメラミンというのは、食品に入ってはいけないということがありますので、当然、自主回収したものであっても、今度は回収命令になることがございます。

 国の方は、やはり中国の方の乳あるいは乳製品のものについては、非常に注意というか、気にされておりまして、いろいろ輸入したものについては検査をしなさいというような形で、国全体で中国から来るメラミン事件に関することについては、いろいろ検査等の指導を行っているという状況になっております。

 神奈川県においては、この品物、実際、菓子パンが流れてきておりまして、スーパーに並んでいた形跡がございます。そんなことで、県の方も連絡を受けて、すぐに、どこの市の何というスーパーに、どういうものが幾つあって、いっている可能性があるということの情報を得ましたので、それにつきまして、食品衛生監視員が早急に連絡をとって、店頭から避けてあるというのを確認しております。

 これは先ほど申しましたように、自主回収というのが最初から分かっていますので、それを守って、お店の方々が一応下げていたと、それはまた行政が確認したという形になっております。

 また、いろいろな動きの中で、ほかにもあるのではないかと、委員言われましたように、タルトというような話もありますので、こういうものもありますから、こういうものを原材料あるいは乳製品を原材料にしたものについて、各自治体が検査をするという形をとることが想定されております。

 神奈川県におきましても、この検査というのは、実際、今まで委員の言われましたように想定外のものだったので、検査についてもなかなか難しいということがありましたけれども、検査のできる体制を整えて、市販の対象品と言ったらおかしいですけれども、中国から来ているようなもので、こういうようなメラミン等が入っている可能性があるようなものに抜き取り検査をやっていこうと思っております。

内田委員

 今、いろいろお話をお伺いしましたけれども、やはりその検査は、ここ二、三年です。食の安全の関心が本当に高まってきて、ここで終わるのかと思っても、また次々頻発しているので、今後も、もしかしたらほかのものもあり得るということも想定できます。

 乳製品などに関して、これから検査も行いつつということなんですけれども、やはり神奈川県の厚生の分野として、食の安全・安心は特に今後、注視していかなくてはならない分野となってくると思われるので、やはりその検査の部分ですが、私は抜き打ち検査とか、例えば、中国に関してばかりですけれども、やはり中国からのギョウザ事件などいろいろなものがありましたから、そうしたものを事業者に認識させる意味でも、抜き打ち検査をやりますといったような、そういった動きとかを今後の施策にいろいろ盛り込んでいっていただきたいと思うんです。

 結局、今、輸入食品が問題になっております。日本の偽装問題もありますけれども、検疫所での水際対策で、このような事件自体を防止することは不可能だったのでしょうか。

生活衛生課長

 今回のメラミンについてお話しさせていただきますと、本来、化学物質の中でも想定されなかったものということがございましたので、厚生労働省の検疫所でも従来は検査をしなかったというふうに聞いております。

 ただ、この辺のところなんですけれども、世界中に使われている化学物質というのは数限りないわけでございます。そんなことで、どの物質をターゲットに検査をしたらいいかというのも、なかなか難しい状況になっております。

 そんなことで、やはり何をしたらいいかということになりますと、これは県のレベルではなくなってくるかもしれませんけれども、国の方は、例えば、どの国ではどんな製造の仕方で、どんな原料を使って食品を作っているかというような情報を入手して、それが日本の港に食品として入ってきた場合、これは日本の食品衛生法の該当になりますので、その時点でいろいろな検査等を行って、まずいものについては積戻しをするとか、廃棄をするとかというようなことを国の検疫所の方では、これからも行っていく対策と聞いております。

内田委員

 今、やはり国の関係の動きももちろんあります。県としても、やはり知事が先導するのであれば、こうした分野も県独自のものがあってもいいかもしれないので、というのは、港が近いですから、そういった意味で、例えば、化学物質とか、そういったものは、やはり残留農薬が多く含まれていると見られますから、輸入品、特に中国の方では、私はネットで調べたんですけれども、残留農薬分析財団というのが今あるんです。中国だけでも21種類の残留農薬の検査ができるわけです。特に、ウーロン茶には、トリアゾホスという農薬が残留しているとか、先ほど言いましたメタミドホスもそうですし、様々な面で、これは実際問題、厚生労働省も関係ありますけれども、検査できるわけです。

 中国以外のアジアにおいても、こういうものの危険性があるという結果が出ているので、例えば、野菜にしてみれば残留農薬が残っているか、ウーロン茶に残っているか、野菜も各種類あります。一時うわさになった落花生もそうですし、キクラゲとか、そういった面で、やはり県として、今後の検査体制をどうしていくのかとか、抜き打ち検査をどうしていくかということも、国だけの動きに合わせずに、独自でも検査を行えるようなシステムを私は是非、構築していただきたいと思うんですけれども、そういった化学物質、そのほかには中国の製品でちょっと怪しいと思われるようなものなど、これは検査していくべきだと私は思います。

 いよいよ、食の安全の関心が高まっていることを受けて、県では食の安全・安心に関する指針の策定に着手したと先ほどお聞きしましたけれども、まず、この指針を策定するねらいについて、改めて詳細を御説明願いたい。

生活衛生課長

 今まで、県では食の安全・安心を確保するということで取組をしてきたわけでございますけれども、神奈川県食の安全・安心推進会議というのを設けまして、その中で単年度計画というのを設けます。これは、かながわ食の安全・安心の取組という形で策定しているわけでございますけれども、その中で生産から消費に至る施策を総合的に推進してまいりました。

 しかしながら、今、委員言われましたように、昨年来、食品表示の偽装だとか、あるいは中国産の冷凍ギョウザの問題では、様々な薬物中毒等がございまして、食の安全・安心を脅かすというような事件が度重なって発生したということでございます。

 そこで、県民の方々から見れば、当然、それに対する信頼が大きく揺らいだと思っております。そのため、安全・安心の食の確保に向けて、県が取り組む施策の方向性を明確にすると、それも複数年度にわたって継続的に取り組んでいくことによって、県民に安心して食生活を送ってもらえるようにするということをねらいとしたところであります。

内田委員

 指針を発表するねらいについてお伺いしたんですけれども、そのねらい自体は分かったんですが、やはり食の問題というのは日々更新しています。それで事件も頻発しているので、いろいろ年度ごとに案件も変わるし、見ていかないといけない物品についてもいろいろ変わってくると思うし、それによって県民の反応も変わってくると思うんですけれども、単年度でない理由というのはどういうところにあるんでしょうか。

生活衛生課長

 まず、先ほどから出ています食品表示の偽装につきましては、食品事業者のモラルの欠如ということが一番言われるわけでございます。そういった方々には法令を遵守するということが非常に重要であると指導していくことが重要と思っております。

 こうした取組は、単年度ではなかなか完結できないと、1回これはこういうふうにしなさいよと言われても、昔から根強く持ってきた考え方というのはなかなか変えられないということがございますので、複数年度にわたって、繰り返し、粘り強くそういうような活動を行っていかなければいけないということでございます。そうなりますと、単年度ではなくて、もう少し長いスパンで考えなければいけないのではないかということを考えているところでございます。

 繰り返しになりますけれども、これまで単年度計画というのを策定させていただいておりますけれども、その都度、理念だとか、あるいは基本方針といったもの、県の基本的な考え方に意見募集を行っているわけでございますけれども、県の食の安全・安心に対する考え方は、確固たるものではないというふうにとらえたわけです。毎年毎年つくるものだと、その次の年だと変わってしまうのではないかというような誤解もあったわけでございます。そんな懸念もあったわけでございます。

 そこで、単年度計画というのは今までどおりつくっていくわけでございますけれども、それに加えまして、指針という形で数年度の目指すところをつくっていこうということでございます。

内田委員

 単年度ではなく、数年ということで進めていくということなんですけれども、なぜ3年なのか。

生活衛生課長

 食を取り巻く社会情勢といたしましては、例えば、法制度などで見ますと、最近の状況をかんがみますと、平成15年に食品安全基本法というのが制定されました。また、平成17年には食育基本法というのも成立されました。さらには、現在、国では食品表示制度が検討までされているということで、おおむね2年から3年の間に大きな変化があるのではないかというふうに思っております。

 現在、策定を進めている指針でございますけれども、こうした食を取り巻く社会情勢の変化に的確に対応しながら、食の安全・安心に関する県の基本的な考え方や施策あるいは方向性について、複数年度にわたって示すことを決定したわけでございますけれども、その年数が我々の検討の中では3年間が適当であるということで判断させていただきました。

内田委員

 多分、パブリック・コメントや県民の意見というものは、もちろん毎年聞くものだと思うんですけれども、毎年変わっていくのかと思われるのも誤解を生じると思いますけれども、県民とか、関係自治体の意見を聞きながら進めるということでしたけれども、実際こうした取組というのは今までちゃんと行ってきたのかということと、今後は更にもっと進めていかないといけないと思われますが、その辺のところはどういうふうに取り組んでいくつもりでいるのでしょうか。

生活衛生課長

 この指針の策定に当たりましては、平成20年6月に開催した神奈川県食の安全・安心県民会議というのがございます。そちらにおきまして、指針の骨子について意見交換を行っていただきました。また、指針というのは保健所設置市あるいは政令市等にも及びますので、県内の保健所設置市等から意見を伺いながら、この素案は策定させていただきました。

 今後、この素案につきまして、県民の意見反映、パブリック・コメント等を幅広くやっていきまして、あるいは事業者の方からも意見を聞くということを行いまして、さらにまた、先ほどは1回目の県民会議と申しましたけれども、平成20年度の第2回の県民会議を開催させていただきまして、意見交換をこれからもさせていただきたいと思ってございます。

内田委員

 いよいよ国民の間では、食の関心が高まっているということで、ほかの県でも、そういった動きというのは、かなり強くなっていると思いますし、我が県でも指針の策定だけではなくて、これからいよいよ条例といったこともありますけれども、食の安全・安心に関して条例を制定するねらいを改めて説明していただきたいと思います。

生活衛生課長

 食の安全・安心を確保するためには、県のみならず、食品関連事業者あるいは消費者である県民といった関係者がそれぞれの責務だとか、あるいは役割を果たして、一体となって取り組んでいくことが大切だと思っております。そのために、食の安全・安心に関する条例におきましては、県の姿勢や方向性を明確にすることによりまして、県の施策に対する関係者の理解を促進し、協働して食の安全・安心の確保を推進していくことができると考えております。

 また、食品関係事業者の方の責務や県民の役割を明確に位置付けることによりまして、それぞれが自主的な取組をしていくという動機付けにもなるかと思っております。

内田委員

 その検討に当たり、検討委員会も設置したということですが、構成メンバーを教えてください。

生活衛生課長

 検討委員会の構成メンバーでございますけれども、学識経験者が5名、事業者3名、消費者が4名及び県内の市と町の職員がそれぞれ1名ということで、合計14名となっております。

 この学識経験者の5名の方ですけれども、法学だとか経済学、食品衛生学あるいは社会心理学といった専門的に研究をされている方を選んで構成されております。

 また、事業者の3名につきましては、食品製造業だとか食品団体職員あるいは流通事業者という方々にお願いしています。

 また、消費者4名につきましては、そのうち2名は異なる消費者団体から1名ずつ推薦をいただいております。残りの2名の方は、平成20年度かながわ食の安全・安心のモニターというのをやっていただいている方の中から募集いたしまして、応募いただいた方の中から2名の方にお願いしたということでございます。

 この委員の構成につきましては、神奈川県食の安全・安心県民会議の委員から御意見を頂いて、それを参考にさせていただきまして、このメンバーを選んだということでございます。

内田委員

 食の安全の条例ですから、そこまで必要ないと言われれば、そうなんですけれども、医療関係の、例えば、薬品に詳しい人とか、そういった残留農薬に詳しい人、でん粉質に大変に詳しい人や、それから輸入の検疫の状況に詳しい人はどのメンバーの方たちでしょうか。そういう人は入っているのでしょうか。

生活衛生課長

 このメンバーの中に、食品衛生の専門家がいて、食品衛生工場の推進の視点からということで助言を頂ける方はメンバーにおります。

内田委員

 そういう方の御意見をしっかり受け取っていくしかないと思われますが、お聞きしているところによると、9月10日に検討委員会を開催したということですけれども、どのような検討を行ったのでしょうか。

生活衛生課長

 9月10日の話ですけれども、第1回の検討委員会ということで、まず条例の制定に至った経緯、あるいは条例制定に対しての論点、これを県の方から説明させていただきまして、委員の方々にまずは共通の認識を持っていただきました。その上で、食の安全・安心の確保に関する基本理念だとか、基本的な施策といった条例に規定すべき事項について御意見を頂いたわけでございます。

 また、食品による健康への悪影響を未然に防止するということがございますので、県独自の規制的な措置についても御意見を頂いてございます。頂いた意見の概略は報告資料に載せさせていただいておりますけれども、こういった意見を踏まえまして、更に検討を進めていきたいと思っております。

内田委員

 先ほど、メラミンの混入事件で、たくさん食べないとなかなか健康への影響は現れないということですが、実際に中国では、業者のせいですけれども、たくさんの品目の中からメラミンが出てきてしまって、数万人の乳幼児が病院に駆け込む形になっています。命を脅かす事件となって、今後どうなるか想定はつかないわけです。

 そういった中で、食品による健康被害の発生を防止するには、何らかの規制的な措置がかぎになってくると思いますけれども、この条例による規制的措置の考え方というのは、何か県としてお持ちなんでしょうか。

生活衛生課長

 食の安全性を確保するための法令というのは、食品衛生法だとか、先ほどから出ています農薬取締法だとか、薬事法だとか、多岐にわたっているところでございます。条例による規制的な措置につきましては、こうした諸法令の規制対象となっていない事案のうち、食品による健康被害の発生する可能性が払しょくできないものについて実効性を考慮した上で規定するような考え方が、この規制的措置の考え方でございます。

内田委員

 規制的措置をするに当たって、やはり規定がすごく必要だと思いますし、また、過料というか、そういったものを考えていかないといけないし、どのような規制を盛り込もうとしているのかということと、それから、本当に農薬や化学的な物質というのは健康被害を及ぼしますから、特にそういったものだけではなく、水銀や鉛みたいなもの、そういった検査を、やはり先ほど言ったように抜き打ち検査をして、それに引っかかったところというのは、県としても指導していかなくてはいけない。場合によっては、規制して、それに罰則を科すというようなことも、もしかしたら必要だと思うんですけれども、そういった規制を条例にどのように盛り込もうとしているのかお聞きします。

生活衛生課長

 まず、この条例にどんな規制を盛り込みたいかということでございますけれども、現時点で想定しているというか、考えているものは、食品等の自主回収の報告制度、これは食品関連事業者の方が自ら判断をして、食品等の回収に着手したときに知事に報告してもらおうというような制度を考えております。先ほど来から、いろいろ自主回収という言葉が出てきておりますけれども、この自主回収というのは、どこかに報告しなければいけないという規定がございません。そんなことで、その部分については、条例で知事へ報告するということを一つ考えております。

 もう一つは、神奈川県には港があるというような特徴もございますので、輸入食品等の事業者の届出制度というものを考えています。これはギョウザの事件もありましたけれども、我々、この輸入食品事業者がどこに何があるかということも実際に入手できない状況がございます。そんなことで、その業者名がどういうところがあるというようなことが分かるということになりますと、いろいろその業者の方にも様々な注意喚起をするだとか、そこからまた情報を取るということもできると思っています。そんなことで、この輸入食品事業者の届出制度につきましても、これも報告をしていただこうというように思っています。

 以上が今回の条例に盛り込みたいと思っているものでございますけれども、これ以外に、いろいろ検討委員会の中でも意見がございまして、ほかのものも考えたらいいのではないかということも頂きましたので、これだけで終わるかということは分かりません。これはまた検討委員会の方で十分に論議させていただきたいと思います。

 それから、先ほど後半の部分で委員言われました鉛の問題だとかヒ素だとか、そういうような検査を抜き取りでやっていく方向性を条例にという話がございましたけれども、この部分は、食品衛生法の中で、それぞれ神奈川県においても抜き取り検査等をやってきた経緯もございますので、食品衛生法の中の範ちゅうで、これはこれからも何かがあったらやっていきたいと思っております。この条例の中では、食品衛生法、薬事法、それぞれの法律がございますけれども、そこの部分から抜けているというか、すき間にあるようなものについて規制をかけていこうと、スタンスとしては、既存の法律があるものについてはそちらに任せておいて、その合間のところについて、こういったものを条例の中に盛り込んでいきたいと、こういう考えを持っております。

内田委員

 今お話をお伺いしますと、そういった薬事法や食品衛生法のすき間の部分を見ていくということだったんですけれども、条例化する意味というのは、広く県民に食の安全・安心を訴えていくというか、そのように考えましょうということなので、できれば薬事法なり食品衛生法も一緒になって、危ないところを緊急に検査していくなど、県としても、できるだけの対応を考えていった方がいいとは思われるんですけれども、今後、検討委員会ではどのような検討を更に進めていくのか、お伺いしたいと思います。

生活衛生課長

 第1回の検討委員会におきましては、先ほど申しました条例に盛り込む事項といった枠組みについて意見交換をさせていただいたところでございます。2回目になりますと、この検討委員会で今まで頂いた意見を踏まえまして、食品による健康被害の防止対策の考え方、方向性について御意見を伺いたいと思っております。

 その上で、条例の基本的な考え方を取りまとめさせていただきまして、その後、条例の骨子案を策定し、さらに条例素案を策定してまいります。それぞれの検討段階におきまして、検討委員会の御意見をこれからもお聞きしていきたいと思っております。

内田委員

 この件に関連しての要望を申し上げます。

 今日は、食の安全・安心について、県としてもこれから特に頑張っていただきたい分野ということで申し上げました。

 特に、目下のところ、隣国の問題でかなりの影響を受けております日本ですけれども、より厳しい態度で臨むことが大切であり、諸規制に関しては、今後より注意して、中華街など、横浜市内もありますから、どんなところでまた事件が起こるとも限らないと思います。 

 県としてもそのことを十分踏まえて、多くの県民の口に入るものですから、また、御家庭の主婦の方も一番気にしているのは、景気対策もそうですけれども、この食品の安全は特に県民の意識の中で非常に高いと言われておりますので、事件を未然に防ぐ水際対策、また、抜き打ち検査、検査方法や食品の偽装は我が国の問題ですので、表示の問題に関しても、もっと今までよりも更に見ていかなくてはならないので、この食の安全と一言で申し上げても、薬事法など、それから食品衛生法などたくさんあります。そういったものにいろいろ絡んでいって、いろいろ深いところもあると思うんです。そういったところを一つ一つ打破していただき、より県民のための条例をつくっていただきたいと要望しておきます。

 それでは、次に、昨今、私が案件として重要だと思っていることについてお伺いしたいと思います。医師確保の件について少しお伺いをさせていただきます。

 これは、各議員から本会議でも挙げられている内容ですので、医師確保及び産科医師確保について、もう一度精査していきたいと思います。特に、この医師確保については、神奈川県としても、初めて修学資金貸付条例案が提案されたことを先ほど伺いました。

 まず最初に、県内の産科医師、ほかの県よりはまだいいけれども、やはり足りない状況だということを聞いておりますので、県内の産科医療の状況について詳細をお伺いしたいと思います。

医師確保対策担当課長

 県内の産科医療の状況でございますが、県では、昨年に引き続きまして、この4月に産科医療及び分べんに関する調査を実施いたしまして、県内の産科医療の状況把握に努めたところでございます。その調査結果でございますが、昨年の平成19年度と平成20年度を比較いたしますと、分べん取扱施設、病院と診療所でございますが、この数につきましては、病院が66の施設から64施設へと2施設の減少、診療所が63施設から59施設へと4施設の減少となってございます。また、これらの施設に働く常勤医師の数につきましては、合わせて438人から430人へと8名の減少となってございます。

 また、分べん取扱件数を見てみますと、平成20年度は見込みの数でございますけれども、助産所での取扱いも含めますと、全体では平成19年度が6万7,187件から平成20年度6万7,171件とほぼ昨年と同水準ということになってございますが、診療所で見てみますと、2万2,838件から2万1,963件と、875件の減少となっておりますが、一方、病院では4万2,466件から4万3,424件と、958件の増加というところでございまして、取り分け、病院勤務医の負担が大きくなっていることがうかがわれるところでございます。

 また、調査からは、今年度中に分べんの取扱いを制限するなどの病院もあると伺ってございまして、産科医の減少に歯止めがかかっていないことから、県内の産科医療における状況は、依然として厳しいものと受け止めているところでございます。

内田委員

 ほかの県と同じように神奈川県も厳しい状況で、診療所の分べんが減ったんですが、病院の方では増えているということになります。産科医師自体が減少しているというのは以前からですが、その過酷な労働にあると思うんです。24時間体制や日中、深夜問わない、また、勤務の過酷さ、それから一番大事なのは、訴訟になるケース、これは多いと思います。

 実際には、開業医にとっては、資金の確保が経営にも関係するし、スタッフ自体の維持といったことも要因になっているということで、もうこれは皆さんも御承知のことだと思いますけれども、まず、開業医と勤務医では、勤務医の方がいろいろな意味で、今、条件的には厳しくなっていると思われますが、県としてはその違いというものをどのように把握して、それぞれどのように対応しているのか、お伺いします。

医師確保対策担当課長

 産科医が減少している要因でございますが、委員お話しのとおり、様々な要因があると言われてございます。そうした中で、開業医にとりましての、例えば、資金の確保でございますとか、スタッフの維持、こういったところが大変厳しいというお話も伺っているところではございますけれども、これは産科医というところではなくて、どちらかというと、経営する側の視点という面でございまして、これは産科医に限らず、開業医全般にかかわるものではないかなというふうに受け止めているところでございまして、産科医が減少している直接の原因とは言えないのではないかと考えているところでございます。

 そうした中で、開業医と勤務医とでは、その負担の程度には違いはもちろんございますけれども、産科医師自体が減少している要因につきましては、ほぼ同じ要因と受け止めてございまして、大きく3点ほどあると考えてございます。

 まず1点目は、昼夜を問わず24時間体制で分べんに対応する必要があることから、産科医の勤務環境は非常に厳しいものがあるというところでございます。

 また、2点目でございますが、医師の国家試験に占める女性の割合が3割を占めると、こういったところで、医師全体に占める女性医師の割合が非常に増加していると、そういう考え方で、特に産科の場合には多くなってございまして、そうした女性医師の方が出産などによりまして離職する医師が多くなっていらっしゃるというところがございます。

 さらに、出産の際に障害を持って生まれるなど、そうした場合に、分べんの取扱いによるものとして医師を直接訴えると、そういった方も増えてきていると、そういった状況がございまして、ますます産科を志望する若手の医師の方が減少していくこと、こういったところが要因であると認識しているところでございます。

 そういった中で、県の対応というところでございますけれども、とりわけ、先ほどの実態調査の結果を見ましても、病院勤務医の負担が増しているところから、例えば、本県では、周産期救急システムの中心となっております基幹病院の産科医師の負担が大きいことから、昨年度から、本県で運営しております神奈川県救急医療中央情報センターにおきまして、救急患者の紹介業務を代行する仕組みを設けまして、産科医師の負担軽減に向けた取組を進めているところでございまして、今後とも産科医師負担軽減に向けまして、こうした取組を検討して進めたいと考えているところでございます。

内田委員

 とにかく神奈川県だけではない問題ですので、非常に根が深いというか、訴訟の問題などは特に根が深いと思うんですけれども、神奈川県の状況を踏まえて、県として産科医師確保対策にどのように取り組んでいるのか、また、いくつもりでいるのでしょうか。

医師確保対策担当課長

 本県の取組でございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、県の調査結果ですけれども、分べん取扱施設が減少しております。地域によりましては、産科医療救急体制の確保が厳しい状況もあると、こうしたところを抱えているところでございますので、県としましては、これまで産科医師確保を喫緊の課題と認識いたしまして取組を進めてまいったところでございます。

 もとより、医師の確保ということになりますと、医療制度でございますとか、医師の教育制度、そういったところは国の所管というところでございますので、国の責任におきまして抜本的な対策でこれをお願いする必要があると考えてございます。そういったことから、昨年に引き続きまして、県から国に対しまして最重点項目ということで要望させていただいているところでございます。

 また、県といたしましても、地域で産科医療を直接受けられるよう、医師バンクの運営による医師の支援でございますとか、産科を選択する研修医が増えるような取組、さらには地域関係者による対策の協議など、産科医師確保対策の推進を進めているところでございます。

 今後は、そうした取組を進めてまいるとともに、先ほど委員からもお話しいただきましたような、勤務医の負担軽減に向けた取組というところも大変重要になってございますので、そうした取組につきましても、今後、検討し、進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。

内田委員

 今、大体お伺いしましたけれども、産科医師の状況については依然として厳しく、勤務体制もなかなか通常には戻らない可能性もあります。そんな中で、産科医師確保だけではなくて、国における医師確保自体も今、危ぐされております。そういった国の動き、今のところまた新しい案件も出てきていますけれども、改めてお伺いしたいと思います。

医師確保対策担当課長

 国の動向でございますが、全国的に医師不足が深刻化しているところでございまして、国におきまして課題と受け止めているところでございます。そうした中、特定の地域でございますとか、産科、小児科とか特定の診療科の医師の偏在を解消するというところで、一昨年になりますが、平成18年には、新医師確保総合対策、また、昨年5月には、緊急医師確保対策というところを取りまとめまして、国におきましても様々な医師確保対策に取り組んでいるところでございます。

 また、今年度に入りまして、国ではこれまで医学部の定員の削減に取り組んでまいったところでございますが、この6月に厚生労働省の方で、安心と希望の医療確保ビジョンを取りまとめたところでございまして、これは医療制度改革を進める上での中長期的な展望を示すというところで取りまとめられたところでございますけれども、このビジョンの中では、医師数を必要な医療体制確保のため総体として増やすということが明記されたところでございます。

 また、同じ6月に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針2008でございますけれども、その中でも、医師不足への対応を重要課題というところで位置付けておりまして、この中では、これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の在り方を確立するといたしまして、大学の医学部定員を早急に過去最大程度で増員するということで、従来の国の医師確保に係る方針の転換を示しているところでございます。

 このような医師確保対策につきましては、国においても検討を進められているところでございますので、県もこうした動きを注視しているところでございます。

内田委員

 産科のみならず、医師確保については、国でも骨太の方針でというほど、すべてにおいて重要なことだと思いますが、医師の偏在解消といったことと、あと、医師の養成、それから産科について訴訟のケースをどうするのか、こういったことが重要案件だと思いますが、神奈川県としては、これまで産科医師確保対策については、先ほどお伺いしましたけれども、産科以外の医師確保全般に関しては、どのように考えていらっしゃいますか。

医師確保対策担当課長

 本県における医師数の推移を、国が調べております医師・歯科医師・薬剤師調査の結果で見てみますと、10年以上前になりますが、平成8年度と、直近の値でございます平成18年度を比較してみますと、医師の総数は、平成8年度では1万2,851人、平成18年度は1万5,196人と、この間に2,345人増加をしてございます。平成8年度対比では118.2%ということでございまして、医師の総数は増加していると、そういう状況が見られております。

 小児科でございますけれども、小児科に係る病院勤務医師数でございますとか、標ぼうしている病院の数を見てみますと、これは平成10年度と平成18年度の比較にはなりますが、勤務医師数あるいは標ぼう病院数がともに減少が見られると、そんな状況でございます。

 こうした状況から、本県におきましては、こうした産科、産婦人科に加えまして、病院勤務医の小児科に係る医師の偏在が喫緊の課題ということを認識してございまして、本県の医療提供体制の確保に関する審議を行っていただいてございます神奈川県医療対策協議会の場におきましても、当面、産科のほかに小児科も対象として医師確保対策をしていく必要がある、そういうお話も頂いているところでございます。

 この小児科につきましては、産科同様に病院勤務医の負担というところが一つ課題になっているところでございますけれども、取り分け、救急医療の対応が認められてございます。県といたしましては、これまでも小児救急医療体制の充実というところで、施設整備の支援でございますとか、小児救急に関する電話の相談事業と、そういったところを行いながら取組を進めているところでございます。

内田委員

 小児科ももう何年も前から少ないということで、小児科や麻酔科も課題があると聞いておりますけれども、資料にありましたけれども、産科医師等修学資金貸付条例案が提案されていますけれども、この条例案のねらいについてまずお伺いします。

医師確保対策担当課長

 条例案のねらいでございます。国の緊急医師確保対策に基づいて進めているところでございますが、国の緊急医師確保対策におきまして、各都道府県における奨学金制度の創設を条件といたしまして、医師確保の必要な地域あるいは診療科に、医師を確保、配置するための緊急臨時的な医学部定員の増を国は認めたというところでございまして、本県といたしましても、喫緊の課題でございます産科など特定の診療科の医師確保対策の一つといたしまして、将来、県内において産科等の医療に従事する有能な医師の育成及び確保を図るために修学資金貸付制度を創設してまいりたいと思っているところでございます。

内田委員

 神奈川県には医学部を持っている大学というのは四つあると聞いておりますけれども、条例案における修学資金の貸付の対象は横浜市立大学医学部の学生のみという、これは公立ですから安いと思うんですけれども、ほかの大学については検討というものはあり得なかったのかということと、あと、なぜここにしたのかということをいま一度確認しておきたいと思います。

医師確保対策担当課長

 県内には横浜市立大学をはじめといたしまして、川崎市の聖マリアンナ医科大学、伊勢原市の東海大学、相模原市の北里大学の四つの医学部を持つ大学がございます。

 今回、国の緊急医師確保対策で示されました条件、これに基づきまして、医学部の定員増につきまして、それぞれの各大学の意向をあらかじめ確認させていただきました。そうしましたところ、横浜市立大学のほかの3大学におかれましては、今回こちらの意向を受けないというところでございましたので、横浜市立大学のみを対象とさせていただいたところでございます。

 この理由といいますか、背景でございますけれども、今回、緊急医師確保対策というところで取り組ませていただいてございますが、昨年5月に発表されました緊急医師確保対策、この段階では、国はまだ医学部の定員を削減すると、そういう状況でございましたので、この制度自体、医学部の定員増を前倒しで認めるということから、卒後の医師の地域定着状況によりましては、医学部の定員が削減されると、そんな可能性もあるという国からの説明もございましたので、各大学におかれましては、今回の定員増を受け入れることに慎重になったのではないかというふうに考えているところでございます。

 一方、横浜市大におかれましては、今年度から定員が80名ということになったわけでございますけれども、施設面等から見ましても、定員増に対応できるというお話を頂きまして、県からの御提案を受けていただくということから、横浜市立大学の方でお願いすることになったものでございます。

内田委員

 定員を簡単に増やしていいかというと、そうでもないような状況を今お伺いしました。偏在というのが一番大きな問題だと思いますので、これは産科医とか小児科医とか、そういった分野に卒業後に就いてもらうために知事がそのように考えたものだと思いますけれども、この修学資金制度による効果をお聞きしたいと思います。

医師確保対策担当課長

 この修学資金貸付制度でございますけれども、国の仕組みでは5名を限度に最大9年間という仕組みで、平成21年度から時限を定めて認められるという仕組みになってございます。これを受けまして、本県でも今回御提案させていただきまして、来年度入試、つまり平成21年度入学生から9年間、平成29年度までの入学者を対象に5名の修学生を見込んでいるところでございまして、毎年5名ということで9年間ということから、総計45名の産科等の医師の確保、これが図られるものと期待しているところでございます。

 また、修学生を対象とする大学での教育でございますけれども、地域医療に貢献する医師養成プログラム、こういったプログラムをお願いしているところでございますが、こうしたプログラムを通じまして、本県の地域医療に貢献する優秀な医師の育成確保、これを図ることができると期待しているところでございます。

内田委員

 その貸付制度の特色というのは、先ほどお聞きしましたけれども、地域医療貢献ということで、一人の学生を医師になるまで育て上げ、さらにその中で働いてもらうということは非常に大変なことだと思います。そういった中で、この貸付制度の特色というのをいま一度、特にどこが売りなのかというところをお伺いします。

医師確保対策担当課長

 特色というところでございますけれども、本県では産科など特定の診療科における医師の確保を図る、これが課題というところでございますので、大学5年次に県内医療の状況でございますとか、学生の適性、希望、あるいは市大側の御意見等を総合的に勘案いたしまして、将来、従事していただく診療科、これを県が指定させていただくことにしてございます。これによりまして、学生の段階から指定された診療科に対する関心ですとか意欲、そうしたものを一層強く持っていただくことができますし、併せて県内医療の状況も十分把握した医師の養成につながるものと考えてございます。

 今回の緊急医師確保対策に基づく取組は、各県で進められているところでございますが、全国で本県を含めまして43の都道府県の取組とされてございますが、こうした診療科に限定して医師を養成した奨学金制度をつくっておりますのは、本県以外には4都県というふうに聞いてございます。そうした中で、県が主体的に診療科を指定するという仕組みは本県のみということでございますので、本県の制度の大きな特色ではないかと考えているところでございます。

内田委員

 本県のみの施策ということで一つ打ち上げたということですけれども、やはり人を育てていくには、本人の資質よりも心身の部分で、長いですから期間が、その辺をちゃんと県としては見ていかなくてはならないと思いますが、あまり縛りつけるのはどうかと思うんですけれども、産科医師確保については、まずそういった医師の数自体を増やすということもありまして、今後、産科医師確保対策に、更にどのように取り組んでいこうとしているのか改めてお伺いしたいと思います。

医師確保対策担当課長

 今後の取組ということでございますが、依然として産科医師の減少に歯止めがかかっていないと、そういう状況でございますので、更に産科医師確保対策にしっかりと取り組んでいく必要があると考えてございます。

 医師の需給につきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、国が所管しており、こうした意味からも勤務環境を改善する措置など、抜本的な対策につきましては、国の方にもお願いしていく必要があると考えてございますので、引き続き、このような要望をしていきたいと考えてございます。

 また、県といたしましても、引き続き、医師バンクの運営でございますとか、希望に応じた復帰のための臨床研修の実施によりまして、離退職した産科医師の再就業を支援する、あるいは今回の貸付制度によりまして、医学部の定員増など、医師の数を増加、確保するような取組を進めていく必要があると考えてございますし、さらに産科医師の勤務環境が非常に厳しくなってございますので、医師の方が辞めることなく働き続けることができるような負担軽減に向けた取組、そうしたことも進める必要があると考えてございます。

 国の方で骨太の方針2008の中で、医学部の定員増が図られるなど、これまでの国の考え方が大きく変わっているところもございますので、そうした国の動向も注視をしながら、県といたしまして、医師確保対策、これは地域医療提供体制の確保というところで目指しているところでございますので、しっかり今後とも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 産科医師に関しては、医師の勤務の軽減と訴訟の問題が大きいと、先ほど申し上げましたけれども、それとほかに看護師の養成も重要でありますが、もう一つ、産科医師の場合は、助産師という人材も、ある程度、医師の負担を少し軽減してくれると思っておりますが、今定例会でもほかの議員から質問があったところです。

 その助産師についてなんですが、助産師がその専門性を発揮していくには、いろいろなことを考えていかなくてはいけないと思います。例えば、助産師を育てる養成学校などもあります。その中で、まずは県内の助産師の就業状況をお伺いします。

地域保健福祉課長

 助産師の就業状況についてのお尋ねですが、国及び県においては、2年に1回という形で、看護職の従事届というものをいただいております。直近では平成1812月末の数字がございまして、その数字は、神奈川県内には1,569人という助産師が助産師業務に従事しているというような結果が出ております。この2年前の平成16年と比較しますと、2年間で133人増加したということでございます。

内田委員

 増加したという経緯は、やはり産科医師が足りなくなったから増加したのか。

地域保健福祉課長

 助産師につきましては、毎年、養成という形で学校を新たに卒業している方たちが何人かいらっしゃいます。そういう方々と流入といいまして、他県からの転居等で神奈川県の方に入ってこられた方々がいらっしゃいますので、そういう方たちを合わせての数字になると考えております。

 特に、産科医師が不足したからということではなくて、大体その前の増減状態から見ても、ほぼ毎年50人から60人、多いときで7080人というところの増加傾向がございますので、特に医師との関係はないものと考えております。

内田委員

 やはり助産師はこれからも必要だと思いますので、その養成の状況についてお伺いします。

地域保健福祉課長

 助産師の養成でございますが、県内には、助産師を養成する学校が、県立では保健福祉大学、それからもう一つが衛生看護専門学校の助産師コース、これで両方合わせて50人ほどの養成をしております。

 そのほかに、県内の三つの大学も看護学科あるいは看護学部で、1けたになりますけれども養成をしております。合わせて全体で年間70名ほどの養成定員がございまして、その定員に合わせて養成をしているという状況がございますので、毎年県内で養成をする数としてはこれくらいの数字が確保できると考えております。

内田委員

 最後に、助産師の確保対策と、さらに、今、助産師自体が抱えている課題があれば、聞いておきたいと思います。

地域保健福祉課長

 助産師の確保に直接関係するかどうかは別としまして、助産師そのものが抱えている課題ということでございますが、助産師はほとんどが病院に務めていらっしゃる状況でございます。全体の85%が医療機関に勤めておりますので、医師と一緒に助産業務に当たっている、あるいは母親への育児指導に当たっているという状況にございまして、助産師に関しましては、院内助産等で活用について図られたらどうかというような御意見も先生方からお伺いをしているんですけれども、助産師そのものが医師と共同で働くという形のものですから、自分たちですべて出産させるというか、分べんの介助をさせるということができていないというか、医師との役割分担でございますので、そういった意味では、助産師の方々の大きな課題は自分たちの技術というものをもう少し向上させたいというものがございまして、そういった意味での課題というのは一つございます。

内田委員

 今お聞きしましたけれども、まだ労働条件のところとか、そういうところはまた次回お聞きしたいと思います。

 産科をはじめ、周産期医療を取り巻く状況、それから医師確保の面では、二、三年前から、その前からですけれども、国としても、そして県としても今後取り組んでいかなくてはならない重要な課題だと思いますので、引き続き、医師確保対策に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、9月初旬に、私ども本常任委員会で北海道の方に県外視察に行かせていただきました。そのときに、印象的だったのが、やはり救急医療の問題でありまして、ここで手稲の救急医療病院で実際にドクターヘリというものを見させていただきまして、私は見たのが実は初めてだったもので非常に興味がありまして、今回この辺についても含めて、神奈川県での状況について、改めて確認させていただきたいと思います。

 私が視察してきましたドクターヘリの導入は、いろいろな条件がそろった関係上、平成17年からということで、約二、三年前からの非常に詳しい運行状況など、それからいろいろな搬送した患者さんの容態について幅広くいろいろな観点から精査した内容の結果報告もありました。それはすごく感心できたんですけれども、神奈川県内のドクターヘリの運用状況についてお伺いしたいと思います。

医療課長

 神奈川県の方も頑張ってやっております。それで、本県におけるドクターヘリ事業は、北海道よりも前の平成14年7月に運行開始しまして、どこがやっているかと申しますと、東海大学の救命救急センターが実施主体で、国庫補助を活用し、県も支援しているという状況です。

 ドクターヘリというものの原理なんですけれども、救急医療の専門家を乗せるということで、ヘリが早いということよりも、医師がドクターヘリに乗るので、着いたときにもう治療ができると、要は、治療開始を早くすることによって救命を図るというのがドクターヘリの一番の特徴になっています。

 運行範囲なんですけれども、神奈川県内全域と山梨県の一部で富士山の北側については神奈川県のドクターヘリが行っております。東海大学からの直線距離でいうと、県内であれば、おおむね40キロくらい、山梨県でおおむね60キロくらいが運行の範囲になっております。

 運行実績なんですけれども、直近の3年間では年間に300人台ということで、毎日1人くらいの数ということになっています。

 患者さんの病状ですけれども、傷病名でいうと、外傷とか外因による患者さんが222名、平成19年度ですけれども、約3分の2は病気よりは外傷の方が多くなっております。

内田委員

 東海大学のドクターヘリはとても有名で、比較的いろいろなテレビ等で報道されているので、そういった意味では、非常に代表的な大学だと思うんです。その中で、救命救急センターの更なる充実が急がれます。すごく充実しているのは聞いておりますけれども、その救急医療に関する整備充実に関しては、県はどのように取り組んでいるのかお伺いします。

医療課長

 救命救急センターは、重症及び複数の診療科にわたるすべての重篤な救急患者さんを24時間体制で受け入れるという三次救急の最後のとりでという非常に重要な役目を持っています。現在は、県内に12箇所の救命救急センターを整備しておりますが、県では、総合計画の重点プロジェクトの中で、2010年までに救命救急センターを1箇所増やして13箇所にするという目標を掲げて、救急医療体制の充実に取り組んでいるところです。

 今後も施設整備や設備整備の支援ということを通じて、救命救急センターの充実に努めてまいりたいと考えております。

内田委員

 その12箇所を今度13箇所に増やすということで、神奈川県は点在しているそうで、ほかの県よりはかなり状況はいいことをお聞きしました。

 そうした中で、まず、救急医療体制もすごく大事です。そしてもう一つは、神奈川県の中では、周産期の救急患者を受け入れる救急医療システムが整備されていると承知していますけれども、その概要と何か課題があれば教えていただけますでしょうか。

医療課長

 周産期救急の概要と課題ということですけれども、現在、周産期救急については県内を6ブロックに分けて、病院は3層ありまして、最も重症例を扱って24時間受け入れる基幹病院というのが上にあって、その次に中等症の患者さんを24時間受け入れる中核病院、その下に比較的軽症な患者さんや急性期を脱した患者さんを診ていただいている協力病院という3層構造で、6ブロックというふうな形でやっています。

 それぞれの数ですけれども、基幹病院は8、中核病院は12、協力病院が12ということで、合計32の医療機関で、先ほど申し上げました体制の中で周産期救急はやっております。

 課題ということですけれども、課題として大きいものが三つありまして、先ほど来出ています、特に基幹病院の産婦人科や小児科の先生に大きな負担がかかっているというのが第1の課題で、二つ目が基幹病院だけではなく、やはり産科の分野は医師の確保が大変なので、現在はこのシステムに参加しているんだけれども、お医者さんが足りないからもう産科は取りやめるというような病院も出てきているし、これからも出てくる可能性があります。3番目は、NICUといいまして、小さく生まれた赤ちゃんや合併症を抱えた赤ちゃんを診る病床ですが、そういうものがやはりもっともっと充実していく必要があるというのが課題と考えております。

内田委員

 今、課題をおっしゃっていただきましたけれども、県内調査で視察したこども医療センターで小さく生まれた未熟児の赤ちゃんに対応する部屋や診療所などにとても驚いたわけですけれども、課題について今後どのような対応を実際に行っていくのか、お聞かせ願いたいと思います。

医療課長

 まず、基幹病院の先生に大きな負担が掛かっているという課題に対する対応ですけれども、先ほど師確保対策担当課長より少し申し上げましたが、去年から基幹病院の先生というのは24時間、重症な患者さんを受け入れるほかに、こういう患者さんがいるが、どこで診たらいいかというような、患者さんをどこの病院で診るという調整もずっとこのシステムの中でやっています。

 前は、先生が当直中に重症の患者さんを診ながら電話をかけて、お宅の病院で今度の患者さんを診てくれないかみたいなことをやっていたんですけれども、これはもうあまりにも大変だということで、去年から中央情報センターという医師会がやっていて、県も支援しているというところで、産婦人科の基幹病院の先生が、これだったら中央情報センターの方に頼めるぞという症例について、そこの事務職の方が先生の代わりに電話をかけて病院の方に御紹介するということをやって、それについては非常に基幹病院の先生方から評価を受けております。

 もう一つは、お医者さんが足りないから参加病院が抜けていってしまうという点については、現場の方々の御努力によって、昨年、済生会横浜東部病院が中核病院として参加してくださることになりました。それで、NICUについても現場の方々の御努力によって、幸いにも、今年に入り3床増えたというような状況になっております。

内田委員

 周産期医療の病床の方の分野では、更なる充実が図られなければいけないと思うんですけれども、県立病院のみならず、そういった周産期医療を担う産科の病院全体で、先ほど申し上げたように、訴訟というものが多いということで、国レベルで検討がなされ、民間の産科医療補償制度が制度化されて、それが平成21年1月1日以降の分べんから適用されると聞いておりますけれども、その制度の概要、先ほど概要をお伺いしましたけれども、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。

医療課長

 制度の概要ということですけれども、まず、なぜこの制度ができたかというと、産科医療の崩壊を一刻も早く阻止するというような考えの下でできてきた制度です。それで、出生時の体重が2,000グラム以上で、在胎週数といって、お母さんのおなかの中にいた週数が33週以上で出生したお子さんが脳性麻ひといって手足の動きがなかなか不自由な、そういうような状態を発症された場合、過失の有無にかかわらず、病院や診療所といった分べん機関が補償金を支払うと、そのために分べん機関は保険に加入するというふうになっています。

 補償金額は、一人当たり総額で3,000万円、そして分べん機関が払う保険料は1分べん当たり3万500円というような概要になっております。

内田委員

 これは民間の制度だと思うんですけれども、今後、これを出産の医療費に上乗せするとか、いろいろな方法がとられると思いますし、未熟児で生まれた場合に2,000グラム以下だと、この対象から外れてしまうとか、33週以内は駄目だとか、いろいろな妊婦さん本人にとっては、まだ少し考えさせられる医療制度だと思うんです。

 県立病院では、分べんを取り扱う足柄上病院、それから汐見台病院、そしてこども医療センターのこの三つの病院で加入したということで、私はほかのニュースなどを聞いていると、加入する病院が100%ではなく、7割くらいであり、いろいろな理由で、この制度に入らない病院もあると聞いているんですが、その辺のところはどのように考えていますか。

医療課長

 御指摘のとおり、8月の時点では、国の数字ですけれども、加入している分べん機関が7割に達していないということだったんですけれども、昨日公表されたデータでは87%に達しているというようなことを聞いていますので、ちょっと良くなったと思うんですけれども、おっしゃるとおり、今後すべての分べん施設が参加して、すべての妊婦さんがメリットを受けられるような方向が良いというふうに考えています。

内田委員

 すべての病院が加入できるようなシステムを国としても考えていかなければいけないと思いますし、県としてもそれを見ていくというか、周知するなりしていかないとならないと思うんですけれども、実際問題、産科医療保障制度の対象となるような事例で脳性麻ひなどは、酸素が足りなくなったりとか、いろいろな都合で症状が出てしまったのだと思いますけれども、訴訟で患者と病院との間で何か争いとなった事例というのは、今までどんなものがあるのでしょうか。

県立病院課長

 県立病院に限ってということでお答えさせていただきますけれども、委員のお話にありましたように、県立病院でお産をやっているのは、足柄上病院、汐見台病院、それからこども医療センターの3病院でございます。これまでのところ、産科医療補償制度の対象となるような事例について裁判となっているもの、いないものを含めて、現在のところ、争いとなっている事案は、県立病院についてはございません。

内田委員

 過去にないというのはちょっとよく分からないんですが、実際、脳性麻ひとかいろいろな症状を起こした子供が生まれなかったということも考えられるし、逆に、病院としては、この制度に加入するメリットがあまりないというようなこともあるのかもしれませんけれども、やはり脳性麻ひの症状というのは、その子の生まれた時点で、お母さんにとっても非常にショックなことですし、また、育てていかなくてはならないというリスクも大きいし、経済的負担もかなりあると思うんです。

 その中でこのような補償制度ができたことは、私自身はうれしいとは思いますけれども、この適用を受けるためには、まず先に妊婦さんが情報をいろいろ登録しないといけないというふうに聞いていますけれども、もしこれに登録していない妊婦さんが急に運ばれたりしたときは、あると思うんですけれども、そういった場合というのは、病院としてはどうするのかということと、そういったケースの妊産婦というのは、今後、結構増えてくるのではないかと思うんですけれども、そうした補償の対象とすることができるのか、できないのかということをお伺いしたいと思います。

県立病院課長

 この制度で補償を受けるためには、基本的には妊娠22週までの間に妊産婦情報を登録をするということが原則としてなってございます。ただ、今、お話にございましたように、事前に登録を受けていない妊産婦の方が救急車で運ばれるなどして、出産するような場合もあるわけでありますが、その場合には、特例として、分べん後45日以内に事前に登録できなかったということをいろいろ記載して登録すれば補償の対象となるという救済措置も残されているということでございます。

内田委員

 結局、私もここの仕事に現在かかわって、こういった制度があると初めて知ったんです。こういったパンフレットが病院に置いてあるのかということと、今後も妊婦さんへの周知というのも、すごく重要になってくると思います。1人でも多くの方に利用していただくためには、県立病院のみならず、ほかの周産期医療とか産科医療に携わる現場の方にもできるだけ入ってもらうようにしていただかなくては困るんですけれども、その辺の対策というのは、県ではどのように進めていくのでしょうか。

医療課長

 この制度については、国が発案し、現在は、日本医療機能評価機構が運営していますけれども、やはり県内の妊婦さんにとっても、メリットが大きいものになってくる可能性が十分ありますので、県はしっかり周知してまいりたいというふうに考えております。

県立病院課長

 この制度については医療機関が8月25日までにこの制度に加入するという手続がございまして、県立病院については既に8月25日までに終わっているわけですが、昨日10月1日から妊産婦情報の登録が始まってございます。したがいまして、これから本格的にそれぞれの加入した医療機関が妊産婦の方々に制度を十分、説明して、こういったことについて登録をしていただくということが、正に本格化するだろうと考えてございます。

 そうしたことで、県立病院についても、これからホームページあるいは院内での掲示、そういったものをやっていかなければいけませんし、これについては、医療機関の広告が容認されておりますので、積極的な広報に努めてまいりたいと考えてございます。

内田委員

 この制度というのは、あくまでも国が認めたとはいえ、民間のものでありますので、もっと更に良いものができればいいと思いますし、脳性麻ひだけが出産時のリスクではありません。ほかにもあると思うんです。低体重児でしょうか、そういうのはどうなのとか、いろいろな問題がまだあると思うんですけれども、ひとまず、この補償制度をできるだけ医療機関に利用してもらえるように、県の方では強く働き掛けていただき、更なる充実した、これは産科医師にとってもいい方向だと思うんです。やはり開業医などは自分に訴訟が起こされたら、そのまま病院などは停止になってしまうので、そういった動きを見ながら、県としても積極的にやっていただきたいと思います。

 引き続き、救急医療に関連して聞きますけれども、災害時の医療救護体制についてお話しさせていただきます。

 災害時というのは想定がつかないということで、神奈川県でも大きな地震がいつ起こるか分かりませんので、医療救護体制についても充実していかなくてはいけないと思うんですけれども、災害時における医療救護体制は、今のところ、現状どのようになっているのか確認しておきたいと思います。

健康危機管理担当課長

 災害時の医療救護体制でございますが、災害時におきましては、多数の負傷者の人命を最優先して救助する必要があるというふうに考えております。そこで、迅速かつ適切な医療救護活動を実施するということで、本県では、県の災害対策本部の指揮の下、保健福祉部長を長とします医療救護本部、これを立ち上げまして救護班の編成などを行うことにしております。

 具体的には、医療救護本部におきましては、県内各地の医療機関の稼働状況あるいは被災状況、こういったところを把握します。また、県立病院や災害医療拠点病院に対しまして、医療救護班の派遣を指示する。さらにまた、あらかじめ協定を締結して、県の要請に基づきまして被災地での医療救護活動を行っていただきます県の医師会ですとか、病院協会とか、そういった団体に対しまして派遣の準備を要請しまして、被災地の市町村や災害医療拠点病院からの派遣要請に対応するということになっております。

 また、被害が拡大しまして、県内だけでは対応が難しい場合には、県の災害対策本部を通しまして、八都県市ですとか、あるいは国に対しまして応援を要請することになっております。さらに、負傷者の災害医療拠点病院の受入調整、患者の後方医療機関への搬送に係る調整、医薬品等の確保などについても、医療救護本部で実施するということになっております。

内田委員

 いろいろな災害対策本部や情報システムが向上したことにより、以前にも増して災害医療救護体制が整ってきたと私は見ているんですけれども、私が住むところでも医師会の方がネーミングの入ったものを使って、割と積極的に医療関係の方は協力してくれているというのが見えてきてはいるんです。災害医療拠点病院というのは災害時の大事な役割もありますし、中心的な役割を持つと思いますので、その拠点自体の耐震化とかそういうことは、ちゃんとやっているんでしょうか。

健康危機管理担当課長

 県内には災害医療拠点病院が33箇所ございます。平成19年度末の耐震化の状況で申し上げますと、耐震性に問題がない病院は25病院ほどございます。また、逆に、耐震性が確認されていない建物が一部にあるという病院が8病院ほどございます。しかし、この8病院につきましては、今後、建て替え予定が5病院ほど、残り3病院につきましては耐震補強を検討中ということでございますので、そういう意味では33病院が、今後、耐震化に向けまして整備を進めていくという状況を聞いております。

内田委員

 今お聞きしますと、やはり33箇所の中で5病院が建て替え、3病院が耐震補強ということで、やはり病院なのに崩れてしまったら、これは元も子もないので、できるだけこれは対応していただきたい。

 それから、この間、私どもが視察に行った神奈川リハビリテーションセンターも非常に老朽化が激しかったような感覚を受けて、ここは危ないなと思ったぐらいです。そういった病院の耐震化というのも、小学校や中学校、高校と同時に考えていくべきだと私は考えております。

 それで、そういった耐震化の問題とほかに、ちょっと気になった案件が医薬品の備蓄で、備えていた注射器の一部がなくて使用できなかったということを、実は青葉区の医師会の先生から聞いたことがあるんです。実際にそんなことがあったら注射器は使えないということになるので、こういったチェック体制や医薬品が古くなっている例とかがあると思うんですけれども、その辺のチェック体制や備蓄に関してはどのようなシステムになっているのか、お伺いします。

薬務課長

 災害時の医薬品の供給につきましては、地域防災計画などによりまして、市町村がまず救命活動に必要な医薬品等を備蓄するということになってございます。そして、災害の規模によりまして、市町村から備蓄したもので足りないということで、医薬品等の供給要請が県にございますと、県が医薬品等の調達を支援するという形になってございます。

 そのために、県におきましては、神奈川県医薬品卸業協会と協定を結び、市町村からの緊急の要請に基づきまして、医薬品の卸各社が所有しております医薬品を供給してもらうというような体制を整えてございますので、医薬品の期限が切れるというようなことなどはないというふうに考えてございます。

内田委員

 先ほど聞いた33箇所ある災害医療拠点によって、施設面の整備だけではなくて、日ごろからの医療関係、搬送関係などのネットワークが必要だと考えているんですけれども、そのことについて県はどのような取組を行っておりますでしょうか。

健康危機管理担当課長

 委員おっしゃるとおり、災害医療拠点病院のネットワークづくりというのはやはり大切だというふうに認識しておりまして、基本的に日ごろからそういう場づくりを設定しているところでございます。

 県内では、災害医療拠点病院や保健所設置市との連携を強化するということから、災害時医療の課題につきまして、協議ですとか、検討、情報交換、こういったところを行いながら、全体の災害対応能力の向上を図る、こういったことを目的とした神奈川県災害医療拠点病院連絡協議会といったものを平成14年から発足しているところでございます。

 現在、連絡協議会につきましては、県あるいは保健所設置市、33の災害医療拠点病院から構成されておりまして、この協議会の中には、全体会議ですとか、あるいは医師、看護師等の専門部会など個別に会議を持っているところでございます。

 平成19年度の実績で申し上げますと、医師、看護師、事務職員等が専門的立場で協議、検討をしていただく会議を年4回ほど実施しておりまして、こういった開催を通じまして、各災害時のネットワークづくりに連携して取り組むという体制を整えているところでございます。

内田委員

 実際に災害が起こった場合、迅速に被災者を救護などをして、適切な医療行為をするとか医療を提供するためには、無線やまた県独自の情報システムがありますが、そういったところが、まずもって重要だと思われます。携帯もなかなか通じにくいという中で、そういった衛星電話などいろいろあると思うんですけれども、そういった情報管理システム、県の情報収集体制というのは、医療分野に関してはどのようになっているのでしょうか。

健康危機管理担当課長

 災害時の情報の収集に用います体制としましては、現在、県におきましては、県内の関係機関との情報収集、提供を迅速かつ的確に行うということから、県の医療救護本部に災害時の優先電話を13回線確保しております。

 また、平成12年度からは広域災害・救急医療情報システム、これは全国で導入しているシステムでございますが、このシステムを本県におきましても導入しまして、県内の約230の医療機関、それから消防本部、医師会、保健福祉事務所など、合計で291箇所にこういった災害時に使えるシステムを導入しております。このシステムを用いまして、現地からの支援要請や県全域で患者の受入可能な病院の状況を把握するとか、こういったところが可能になってございます。

 また、電話回線が遮断された場合の備えとしまして、委員おっしゃるとおり、無線、こういったものの活用がやはり必要かということで、マルチチャンネルアンテナ無線、こういったものがございまして、これを県内70箇所に設置してございます。さらに、県の災害対策本部ですとか現地災害対策本部の連絡用としまして、防災行政無線ですとかあるいは衛星電話、こういったいろいろな手段を使いまして、実際の災害時におきまして情報がスムーズに円滑にとれるように取り組んでいるところでございます。

内田委員

 そうした地震などの災害で負傷者が同時に多数発生する場合があると想定されますけれども、このような状況における医療活動を円滑に行うためには、県ではどのような取組を行っていくつもりでしょうか。

健康危機管理担当課長

 地震などの災害によりまして、倒壊した建物の下敷きとなった人が発生した場合、消防などの救助部隊が担当することになりますけれども、災害現場で一刻も早く多数の負傷者を、専門的な訓練を受けた、なおかつ機動性を持つ災害派遣の医療チームがございまして、いわゆるDMATといいますが、こういった活動を神奈川県としては取り組んでいるところでございます。

 DMATの活動でございますが、災害発生現場におおむね48時間以内に入りまして、負傷者一人一人の医療の必要度を判断しますトリアージ、こういったものの実施、あるいは必要に応じまして現場で緊急医療、こういったものを実施しております。

 このDMATの仕組みでございますけれども、国が研修を行いまして、研修修了者に対しまして、DMAT要員として登録しているところでございます。県の要綱に基づきまして、医療機関としてDMATを派遣する意思を有すること、あるいは必要な装備を持って国の研修を修了したDMAT登録者がいること、この2点を満たす五つの医療機関に対しまして、神奈川DMAT指定病院という形で指定をしているところでございます。

 このようなDMATに対する支援でございますけれども、県ではDMATの質的な向上を図るため、研修ですとかあるいは訓練、こういったものを実施しておりまして、神奈川DMATの想定される業務に係る情報提供というものを行っているところでございます。

 また、DMATの派遣に際しまして、県の要請に基づいて派遣された場合には、二次災害等に対して傷害保険を県が負担すると、こういう形になっております。

内田委員

 ところで、自衛隊との関係というか、自衛隊が動くことになっていますし、いざというときに連携がとれているのかなと私は思っているんですけれども、現時点において、どのようになっているのかお示しください。

健康危機管理担当課長

 自衛隊との連携でございますが、自衛隊法第83条に基づきまして、都道府県知事が天災地変その他の災害に際しまして、人命又は財産の保護のため必要であると認める場合、自衛隊の派遣を防衛大臣に要請することができるとされております。

 そこで、県の医療救護本部が、災害時に医療活動を展開する上で、道路の遮断等により負傷者や医薬品の搬送が困難な場合、こういった場合はやはり緊急を要し、他に代替手段がない場合に限りまして、県の災害対策本部を通じまして自衛隊の派遣を要請するということを想定してございます。

 さらに、また、県の医療救護本部でも毎年9月1日に防災訓練を行っておりますが、そこでは自衛隊のチームも参加してございますので、そこで一緒になりまして災害発生時の初動対応訓練を実施し、相互の連携ですとか広域応援体制の充実を図ると、こういった形で連携を図っているところでございます。

内田委員

 私が住む青葉区では、医師会の方に聞いたんですけれども、23名のボランティアナースがいるということで、そういった事態のときにも、いろいろ連携をとるという話を聞いたことがあるんですけれども、県としては、そういったボランティアナースについてはどのように考えているのでしょうか。

健康危機管理担当課長

 青葉区のボランティアナースは横浜市の災害時の医療救護隊として災害時に横浜市内に開設されます地域医療救護拠点で従事するというふうにお聞きしております。

 また、県では、これに類するものとしまして、県内大規模災害が発生し、災害対策本部が設置された場合、災害時のボランティア活動を支援するため、かながわ県民活動サポートセンターに、神奈川県災害救援ボランティア支援センターを設置することにしております。

 被災地で災害救援活動を希望するボランティアを混乱なく受け入れることができるよう、こちらで広域的な調整をしているところでございますが、なお、専門資格を有するボランティアの受付につきましては、基本的には支援を所管する部局が実施することになってございますので、看護師の方からボランティアの申し出がある場合には、神奈川県の場合には、医療救護本部の方で現在受付をしております。医療救護本部におきましては、保健福祉事務所や市町村等と連携をしまして、医療ボランティアのニーズを把握させていただきまして、被災地の方で必要とされるボランティアの人数ですとか活動内容を調整して、受入先を決定しているところでございます。

 また、県のボランティア制度とは別に、神奈川県看護協会でも、こういった災害時の被災に対しまして看護師のボランティアを募っておりまして、災害が発生した場合、被災地にボランティアを派遣することになっているということでございます。

内田委員

 今お聞きしましたところ、災害時には県のボランティア支援センターや医療救護本部、それから看護師さんのボランティアのグループと、センターでいろいろ協力して派遣できるようにしていくということで非常に心強いと思いますが、ただ、人命に直接かかわる非常に大切な分野である災害時医療なので、大規模地震などを想定して、対応できるように普段から見えない努力を重ねていかなくてはならないと思うんです。

 そうしたときに、やはり医師会、それから看護協会、医薬品を扱う薬剤師会、いろいろな分野の医療関係の方と連携をとっていかなくてはならない、普段から連携をとっていかなくてはいけないと考えますが、県としては、この辺の専門職の方とどのような連携をとっているのかということと、課題があるとすれば何かということをお伺いします。

健康危機管理担当課長

 医師会等との連携あるいは課題というお話でございますが、大規模な災害が発生した場合、負傷者等に対しまして迅速で適切な医療救護を実施すると、これは大前提でございますので、県は医療救護班の派遣について、県医師会、県歯科医師会、薬剤師会、県病院協会など、6団体と協定を締結しまして、災害時の医療救護活動について連携して取組を進めているところでございます。

 この協定の主な内容でございますが、各団体は県の要請に基づきまして医療救護班を派遣し、市町村が行う医療救護活動について各機関の協力を得て実施していただくということ、また、医療救護班の業務としましては、傷病者に対する応急処置や治療、応急看護、後方医療機関への患者の搬送の要否の決定、さらに医薬品等の管理、こういったことを実施すること、また、医療救護班を派遣する場合には、県は医療救護班の輸送に対して必要な措置をとるということで、県の方も支援すると、こういうことを定めまして災害時対応することにしております。

 次に、何か課題があるのかというお尋ねでございますが、現在のところ、この協定に基づく派遣は幸いなことにございませんので、大きな課題があるということは特段認識しておりませんけれども、今後、様々な災害が発生することが予想されておりますので、他県の災害事例などもよくお聞きしまして、関係機関と協議しながら、事前に問題がないような形で運営できるように連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 大規模地震はまだ起きていないので、起こってみないと分からないというところも見え隠れしているので、なかなか災害医療救護体制を整えていくというのは結構大変なことだと思うんですけれども、例えば、私などは県民として、大規模地震がもし想定されたら、どのような連携がとられているかということが分かっていないというか、医療の関係もこんなにボランティアの窓口があるということさえ、もしかしたら県民の方は知らないかもしれない。

 逆に言うと、県のたよりでも、一度、災害時にどうなっているかということを県民に是非周知をしていただきたく、また、ボランティアの窓口はきちんと設定してあって、緊急の場合にはこういうふうになっていますと、情報システムはこのようになっていますといったようなきちんとした広報を一度お願いしたいと要望いたします。

 それでは、もう一つの大きな案件であります受動喫煙防止条例について伺いたいと思います。

 まず、我が党の牧島委員から、7月それから8月と引き続き質問させていただき、いろいろ指摘をさせていただいたところでございます。

 私の方では、今日、また材料を持ってまいりましたので、この件についてお伺いしたいと思いますが、まず、先日の常任委員会の開催日は8月20日でございました。実は、このような資料を拝借してまいりまして、正論という雑誌で、この発売日が9月1日、月曜ということで、今回も全く同じ構図で、議会での説明状況とは異なる知事のインタビューが掲載されています。約5ページ、中身は4ページにわたって掲載されておりますが、この間の委員会で、当局としては、牧島委員の指摘に関して知事の方にはどのように伝えていただいたのか確認しておきたいと思います。

健康増進課長

 8月20日に開催された厚生常任委員会におきまして、検討中の受動喫煙防止条例について牧島委員及び山本委員から質問いただいたところです。この中で、知事の雑誌投稿の件、公共的施設の範囲及び県民への普及啓発、また県の庁舎内での受動喫煙防止対策などについて議論がありました。こうした中で指摘を受けた部分も含め、常任委員会における議論について知事には報告させていただきました。

内田委員

 それでは、この正論は10月号になっていますが、発売日は9月1日ということで、このインタビュー自体は、何月何日に受けて、最終的な原稿の確認というか、最後の推こうの確認はいつ行ったのでしょうか。

健康増進課長

 雑誌社よるインタビューという形で行われたというふうに聞いておりますけれども、そのインタビューは8月11日の月曜日に実施されたというふうに承知しております。記事の確認についてでございますけれども、これは知事がインタビューを受けて、インタビューした記者が喫煙の規制に関する状況や我が国の取組や受動喫煙による健康影響などについて執筆したものでございまして、こうした内容につきまして、その事実関係等を確認するように依頼されたのが8月21日でございます。

内田委員

 ということは、8月11日に知事がインタビューを受け、8月21日に行ったということでよろしいんですか。

健康増進課長

 記者が執筆をされたものを私どもに事実関係の確認を求められたということです。

内田委員

 それは21日でしょうか。

健康増進課長

 はい。

内田委員

 とすれば、常任委員会があったのはその前の日です。8月20日に常任委員会があって、次の21日に確認を行ったということになります。

健康増進課長

 そのとおりでございます。

内田委員

 そういうことであれば、常任委員会で言われた皆さんの言葉とこの内容が違っているのですが、その辺はどう考えておりますか。

健康増進課長

 インタビュー自体が8月11日でございまして、たまたま出版の日に合わせて記者が書いて、その事実関係について確認したということでございまして、ただ、8月11日に知事がインタビューをした中身については、記事から推測いたしますと、今まで知事の受動喫煙に対する思いだとか、世界の情勢だとかということについて、日ごろから述べられたことを、このインタビューでも述べられたものというふうに私は考えております。

内田委員

 それでは、7月に常任委員会を行ったときに、牧島委員の方から指摘がありましたが、骨子案をつくる際、ネーミングを喫煙禁止条例から受動喫煙防止にするような話が進んでいたはずです。

健康増進課長

 名称の変更については、考え方を示した4月の後のパブリック・コメント等でも、名称については牧島委員御指摘のような意見がございました。また、同じように専門家検討委員会でも同じような意見がございました。そういうものを受けた中で、知事も同じような思いでいたのではないかというふうに推測いたします。

内田委員

 それでは、この内容についてですけれども、内容とネーミングについては、保健福祉部の方でも、また知事本人も、この推こうに当たって、ちゃんと確認、チェックに当たったということでいいのでしょうか。

健康増進課長

 あくまでも、世界の状況だとか受動喫煙の害について、事実関係についてチェックさせていただいております。

内田委員

 それでは、そのタイトルが、「なぜ私は公共施設全面禁煙条例を進めるのか」というふうに、なぜ「全面禁煙条例」というネーミングが付いているのでしょうか。

健康増進課長

 最初の原稿が来たときには、実は表題は付いておりませんでした。当時2回やりまして、そのときにネーミングがこういう形になっておりましたので、私も特に公共施設全面禁煙条例ということについては、かなり問題があるというふうに認識をしました。県としても、これについては、もともと誤解を受けるという認識もございましたし、事実とも違うという認識がありましたので変更するように求めました。ただ、これにつきましては、雑誌社の方から、県の思いは分かるけれども、我々にも編集権があるという答えがありました。

内田委員

 この違いというのは「公共的」です。その「的」が抜けています。全面禁煙条例になっています。これは大分違うと思われませんか。それは雑誌社のせいではなく、県当局がはっきりそれは困ると言うところではないでしょうか。

健康増進課長

 委員おっしゃるように我々も感じまして、そのように申し入れました。ただ、申し入れた結果については、編集権ということで拒否されたということでございます。

内田委員

 その編集権というのは、こちらサイドが県という立場からやはり物申すべきだと思います。

 そういった意味では、このネーミングというのは、どの分野であっても一番大切な分野であると思いますが、では、その雑誌社にこれから裁判を起こすなど何か考えはあるのでしょうか。

健康増進課長

 あくまでも、この記事は、先ほど申しましたように、記者の方からのインタビューを受けて記者の方で執筆したという形になっておりまして、その執筆内容につきましては、我々としても申し入れたところです。

内田委員

 申し入れたということで、これを雑誌社にちゃんと分かってもらうまで説明するのが県の姿勢ではないでしょうか。

 この間出た中央公論では、神奈川県がいかにも全面禁煙条例をやるというふうなネーミングでした。今度は「私は」に変わっているということは、ある程度、知事としてこれは確信犯ではないでしょうか。

健康増進課長

 タイトルそのものというのは、私も記者とも話をしましたけれども、これはある意味、編集者にゆだねられたという主張をされて、何度も抗議をしたんですけれども、それは結果として変更にならなかったということでございます。

内田委員

 そういうことを言われましても、やはりネーミング、タイトルというのは、県としてのこれからの施策の在り方や、また県民に対する様々な誤解を生むものでありますので、今後、雑誌社に関してどういうふうに考えていくおつもりですか。

健康増進課長

 まず、ネーミングについては、確かに委員おっしゃるとおりなんですけれども、中身については、受動喫煙防止条例ということの中身をきちんと説明されているというふうに考えております。そういう意味合いで、今後とも受動喫煙の害だとか神奈川県が受動喫煙防止に向けた取組をしていくことについて、きちんと周知していくことは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、機会があれば、今後もいろいろな媒体を通してそういう広報に努めていきたいというふうに考えております。

内田委員

 中身のことになりますけれども、全面禁煙条例と出ていますけれども、すぐ次のページに、「公共的施設における禁煙条例という名称は仮称に過ぎません」と書いてあるんですけれども、こういうことを言うのであれば、最初からネーミングをそういうふうに書くべきではありませんか。公共的施設における禁煙条例というような名称は仮称に過ぎないというならば、今後、こういった雑誌なり、いろいろな文献なりを提出する場合に、このネーミングに関して県としてはどのように考えているのか。

健康増進課長

 これは基本的な考え方においても仮称ということで、これはあくまでも、この後いろいろなパブリック・コメントだとか検討委員会だとか、もちろん議会での御審議をいただいた上で固まっていく案ということになりますので、これはあくまでも、今回についても基本的な考え方における仮称というふうに認識しております。

 そうした中で、パブリック・コメントや議会でも御議論をいただいた上で、今回の骨子案では、これもまだ決定ではございませんけれども、公共的施設における受動喫煙防止条例、これもやはり仮称という格好で議論をさせていただいているところでございます。

内田委員

 今後こういったネーミングを出すときは非常に気を付けていただきたいと思います。

 もう一つ、私が挙げたい点があるんですけれども、この骨子案が発表された9月9日の深夜零時に、NHKの全国ニュースで、私はたまたまテレビを見ておりまして、これにもネーミングが、全国初の禁煙条例というふうに出てしまったんです。アナウンサーも堂々とそういうふうにしゃべっていました。神奈川県において全国初の禁煙条例骨子が出ますと。これは間違いではないのか。もうその時点では、私の方では家にファックスも届いておりまして、公共的施設受動喫煙防止条例骨子案というふうになるというふうになっておりました。

 ところが、全国テレビというのは、数万人の人が深夜であっても見ております。そこで見付けて、私は局に電話して、報道局の方に言うように指摘をいたしました。その案件なんですけれども、その件を深夜1時ごろに私はファックスを当局に送ったはずです。ところが、保健福祉部長の方に送らせていただきましたが、私に一言も、そちらのことがどうなったとか、連絡もなければ、ほとんど無視という感じでございましたので、私としてはどうなったという感じで聞くのではなく、こういうことがありましたというふうに、こちらとしては柔らかく確認をさせていただきましたが、結局その後もNHKに対してネーミングが違っていたよということを県としても言ってはいないようです。その辺を確認させていただきたいと思います。

健康増進課長

 それについては、健康増進課としては抗議をしていないということが事実でございます。ただ、今までの議論の中で、公共的施設における禁煙条例という言葉が誤解を含みやすいということを、いろいろなところで受けている中で、正にそういう誤解の一つの現れだというふうに認識しておりまして、そういう指摘を受けて、その骨子案では、公共的施設における受動喫煙防止条例ということに変更させていただきたいということで、今回、骨子案として名称を変更して提出させていただいたというようないきさつでございます。

内田委員

 2ページ目に、知事がインタビューを受けた中で、「こうした批判が生まれた一つの要因はメディアが禁煙条例という報告をし、あたかも神奈川県全体を禁煙にするかのようなイメージが広がったのです。」というふうに書いてあります。そんな考えを持っているのであれば、県当局自体がメディアに対して、強く、禁煙条例ということ自体は訂正しますので、今後、気を付けてくださいと示し、各テレビ局に送るなど何か積極的なことはやったことがあるのですか。

健康増進課長

 禁煙条例というところで、上の部分をとってしまうと、そうした誤解になりやすい、メディアというのは短くするような傾向があるというふうに認識しておりまして、公共的施設における禁煙というのは、今回の骨子案でも目指すべき姿ということで、その基本的なスタンスは変わっておりません。ただ、それがネーミングのためにそういう誤解を生んだという認識はございます。

内田委員

 とにかく、禁煙条例という4文字を出さないでいただきたいんですけれども、あくまでも、受動喫煙防止ですが、その辺はどう考えているんですか。

健康増進課長

 確かに、何度も言うようでございますけれども、上の部分を取られた形で、禁煙条例という形で報道されたという事実は確かにございます。それについては、我々の方でも報道機関に公共的施設における禁煙ですということは十分説明してきたつもりでございます。ただ、そういうものに対して、公共的施設をとられた形で報道されたという事実がありまして、この部分については非常に遺憾だというふうに思います。

内田委員

 公共的施設をとってもいいわけです。受動喫煙防止条例に変えてくださいということです。ネーミングというのは非常に大切で、NHKであっても、どこの民放の各局であっても非常に厳しいわけです。放送事故という形にもなり得ないということなんです。ですから、県当局としても、今後、全国ネットなどそういったニュースの中で、禁煙条例というものが使われた場合の対処法を早速考えていただけませんか。

健康増進課長

 そういう指摘を受けまして、今回の骨子案では、公共的施設における禁煙条例という言葉を公共的施設における受動喫煙防止条例という、仮称でございますけれども、そういうふうに変更させていただいた。それも先ほどの議会での議論だとか、パブリック・コメントの意見だとか、専門家検討委員会でも指摘を受けて、そのように変えたところです。

村上委員

 今、内田委員に対する答弁を聞いていて、当局の皆さん、真剣ではない。知事はかなり強い思いを込めて、この条例を出してきているわけです。本来は、あなたたちの方は、これに反対なのか賛成なのか分からないけれども、かなりいい加減な取扱いで知事に対して失礼ではないかと、こういうことさえ思います。

 一番失礼なのは、この条例が出ることによって習慣の変更を県民に強いるものであります。さらに、今、陳情等も出ていますが、営業権や生活権の問題にもかかわってくる、県民にとっては、一大事の問題です。それをただ、ネーミングがどうというようなことではなくて、真剣に、内田委員が言われたように、放送機関等について物を伝えるということをあやふやなままに、そちらの方になびいていってしまう、こういう感じが率直にします。

 もう少し知事の意を解して、委員会や県民やパブリック・コメントまで、県のお金をこれに随分使っているんでしょう。

 雑誌社や放送局、メディアの方もかなりいい加減です。これは我々が真剣にこういうふうにやっているのではなくて、禁煙というのがおもしろいから知事に取材に来たり、放送しているだけの話で、受動喫煙といったら正論や中央公論も売れなくなってしまう。NHKも全面禁煙というからテレビを見る人がはっと、こういうふうに見るから書いているだけの話です。これは分かります。それに巻き込まれてしまったということだけれども、やはり議会で議論をして、これだけの県民を巻き込んでやっていく中で、ネーミングをはっきり変えたときから、き然として、公共的施設における受動喫煙防止条例という精神を表す言葉をちゃんと使ってくださいと言えばいいと思います。だらしがないということだけ申し上げておきます。

保健福祉部長

 村上委員のお話、我々とすれば、きちんと受け止めるのは当然の姿でございます。それと同時に、今後まだまだ、受動喫煙防止条例については周知をしなければならないといった側面もございます。そういった意味では、まだまだ県民の方に、受動喫煙の影響ですとか、あるいはどういった形で、ある意味では、健康を守るために、どのように皆さん方に負担をし、あるいは規制をかけて、こういったことの御理解を得なければいけない、こういった中での話でございまして、まず、スタートのところで、きちんと理解されないという姿は非常に好ましくないと、これはそのとおりでございます。

 ただ一つだけ、これは8月の段階で、正に内田委員御指摘のとおり、禁煙条例と言ったことは極めて好ましくない。内容的な事実関係のチェックについては健康増進課でやりましたけれども、私もこうしたものを出すということについては、その時点で承知はしてございます。ただ、そのときにネーミングが非常に好ましくないということは、事実、正論の編集の方にはきちんと申し出させていただきました。ただ、言われたことは、さっきの繰り返しになるかもしれませんけれども、インタビュー記事であって、我々に、ある意味ではネーミングを含めて付ける権利といいますか、そちらの方の言い分はそうかもしれませんけれども、これはインタビュー記事をきちんと世の中に出していく上では、私どもが判断すべきことということで、2回、3回とやりとりをさせていただきましたけれども、結果的には切られました。

 これは、我々もその時点ではきちんと言ったつもりでいますけれども、確かに委員おっしゃるとおり、これを受動喫煙防止といったことは、今でいえば、正しい表現ですので、そういった意味では、さらに先ほど訴訟というお話がありましたけれども、訴訟というところは、なかなか難しいかなと思いますけれども、一応、私どもとすれば、その時点で手を打ったというふうには思ってございますけれども、ただ、それができなかったことが私どもとして反省すべきことなのかと。以後、そういった意味では、この条例が、ある意味では誤解されるような形でひとり歩きすることのないように、私どももいろいろな発言をきちんと受け止めて、少なくともネーミングあるいはその内容について県民の方々に誤解を生じない形で、きちんと周知するように、今後とも進めていきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。

村上委員

 今、部長がおっしゃったことはよく分かります。これは知事がマニフェストに禁煙条例とうたってしまったところで、知事が禁煙条例に固執する、あるいは懐かしさを持っている面があるのかもしれません。しかし、県民にパブリック・コメントをやって、パブリック・コメントの中にも、今のネーミングが出てきた。こういうことの中で、議会でも議論して、これからも変わるんでしょうけれども、仮称という形で、みんなと議論を、県民も、議会も、こういう形で来ていますから、そこのところをしっかり受動喫煙ということを踏まえた議論を我々もしていくつもりでいる中で、こういうフライングの形が出てきた。

 それから、もっと腹を据えていれば、正論に載せなければいい。これは知事が宣伝したくて仕方がないから、健康増進課の方もこのまま載せたんでしょう。インタビューをやめれば、これは載らないわけでしょう。こういうことまでき然としなさい。どうせ県民にお願いすることであって、これの結末については、これから様々な県民や議会など、結論が出ていくんでしょうけれども、その入り口で、知事がおかしいのか、職員がおかしいのか分からないけれども、そういう我田引水なことで知らん顔していこうとする態度はやめたほうがいい。勝負しましょう。議会とも県民とも。こういう意味のことを申し上げたいと思うんですが、ついでに、9月29日の神奈川新聞の新聞全面に出ている。これはこちらの所管だけではないが、神奈川新聞に県が意見広告を出したんですか。広告というふうには何も書いていないんだけれども、これはどういうものなのか教えてください。取材を受けて書いたものなのか。

健康増進課長

 これは県の方で依頼をして、県の広報としてこうした内容を作成して載せていただいたというようなことでございます。

村上委員

 これは県が神奈川新聞に県の予算で広告料を払ったと、こういうことですか。

健康増進課長

 そのとおりでございます。

村上委員

 普通、こういう記事が出ると、こういうところに広告と小さく書くんだけれども、それは書かないようにしてくれと頼んだんですか。どこかに書いてありますか。意見広告とか。

健康増進課長

 最上段のところに、「企画・製作 神奈川新聞営業部」という記載になっております。この記事に関しましては、広報県民課の方で神奈川新聞と契約させていただいているという中で、健康増進課としては、記事の中身については、依頼を受けてこういう形で記載させていただいたということでございます。

村上委員

 広告料は幾らですか。

健康増進課長

 この企画については年数回行っているということで、県の重要な県政課題について紙面を買い取るということで行っております。1回当たり169万円でございます。

村上委員

 これは全面で169万円ですか。

健康増進課長

 そのように聞いております。

村上委員

 実は、牧島委員が6月定例会と8月の委員会で、県の基本的考え方について幾つか質問をしました。私はやはり、たばこは公共施設では全面禁煙すべきだという考え方でありました。ただ、この公共施設ということについて、公共的だか公共だか公的だかという牧島委員のコメントを聞いていて、県が非常にあやふやで、そしてあれだけの意見を聞きながら、この骨子案の中で、少なからず県民の意見あるいは議会の意見をちっとも反映していないのが当局だなという思いに強くなってきました。

 それと同時に、骨子案についても、県民の皆さんが見ていて、私の親しい人は、私の選挙区は中区で飲食店も非常に多いところで、これになったら、もう営業していかれない。知事は、古い考えの人が多いと言わんばかりのことも幾つかの文章の中にあって、新しいことをやるのには覚悟を決めなければいけないみたいなことで、大きなお世話だと言っているわけですけれども、実際には、もう小さなお店などはやっていかれないというか、こういう切実な問題を聞くようになってきました。それをばっさりと網をかける、この知事の思想は、良いことをすれば何でも許されるんだという、非常に思い上がった姿勢だというふうに思わざるを得なくなっております。

 これは横浜市長の中田さんが、いみじくも横浜市内の問題については、自分で横浜市で条例をつくろうかと。その基本になったのは、横浜市内の飲食店を含めた営業者の人たちのことを守らなければいけない、税収の問題もあるでしょうし、そういう思いを中田市長も強くした。この間、新聞に中田市長がああいう形でしゃべったら、知事が慌てて中田市長のところにすっ飛んでいった。そして、どういう話になったのか知らないけれども、何か盛んに話をしている様子が出ていました。

 人を苦しめているんです。これは苦しめているんです。たばこの害をなくすという、このことについてはよく理解できます。だけれども、その反面で人々の生活を脅かす局面だってあるんです。それはどっちをとったらいいのかというのは我々議員も悩んでいるところである。どっちをとるのか、中和をするのか、ここら辺で知事も悩んでいるでしょうけれども、そういう格好になっているんです。

 その中で、この記事を読んでみれば、知事は4月に香港、8月にアイルランドを訪問し、海外の状況を調査しています。4月に香港に行って、8月にアイルランドに行ったら、海外の状況が分かるんですか。2回行っただけで。ほかにどこに行ったのか。どこも行ってやしないではないか。

 香港では、官公庁から施設はもちろん、レストランの施設も禁煙になっており、来年7月からバーやマージャン店も禁煙するとあるが、香港と日本をどうやって比較するんですか。

 それから、アイルランドは、パブも含めてほとんどの屋内の公共場所が禁煙になっていましたと、こういうふうに書いていました。パブというのはパブリック・バーでしょう。パブリック・コメントのパブと同じです。これは完璧な公共施設なんです。それと日本の居酒屋や焼き鳥屋とどうやって比較するんですか。こんないい加減な視察をしてきたことが神奈川新聞に偉そうに書かれている。

 それでは、もう一つ質問しますけれども、日本は、たばこ会社JT、それから、国には、たばこ事業法、たばこ税法の法律があります。これは吸えという法律です。そうでしょう。たばこの値段は日本ではだれが決めているんですか。JTではなくて国会で決めているのではないですか。世界でそんな国がほかにあるんですか。アイルランドはどうなんですか。香港はどうなんですか。国が値段を決めている国がほかにもあるんですか。民間会社がやっているのではないですか。日本のこういう形の特殊なことは、世界でも日本だけではないですか。そこら辺のことはどう思いますか。

健康増進課長

 確かに、委員おっしゃるとおり、国がたばこ会社の株を持って、たばこ事業法という形で保護するという形は、私の知る限り世界ではないというふうに認識しております。

村上委員

 もう1回聞きますが、日本の国では、たばこの値段はどこで決めているんですか。

健康増進課長

 国で決めているというふうに思っております。

村上委員

 ということなんです。それで何でアイルランドが出てきて、香港が出てくるんですか。ここのところは、民間企業が売上げから税金を入れているわけでしょう。日本は、国、県、市町村がたばこの税金を得ている特殊な形態です。アイルランドや香港とは、全く国の比較では違うのではないか。この神奈川新聞の文章はだれが書いたのか。健康増進課長が書いたのか。

健康増進課長

 健康増進課の方で書かせていただきました。

村上委員

 少しは勉強してから書いてほしい。喫煙のことについては、それぞれの国のことは分かるけれども、日本は国が関与して、たばこを吸いなさいということで法律を決めて、そして、たばこを吸わして、そんなことは知事の文章の中にも書いてあるが、そういう成り立ちの中で、地方で受動喫煙をなくしていこうという知事が思いを決めたから、こういう形で動こうというふうになってきたんです。

 知事も相当覚悟を決めながらこれをやっているんでしょう。国のやっていることと違うことをやろうという、これは正論などに思いの丈を述べているんですが、国民の方も、県民、市民の方も、神奈川県民の人たちの方も、こういうことで知事がやることを骨子案のようにやられてしまったらば、営業が成り立たないということがあるということは、知事の思いともぶつかるわけです。しかも国が店で吸っていいと、どこでも吸ってもいいですと、たばこを売っているわけです。この問題については、知事はいけませんと、国と知事に、こんなにかい離があるわけでしょう。国は知事の言うことを賛成してくれているわけではないでしょう。どうなんですか。こんなに開きがあるときに、もう少しきめ細かく、知事よりも県民に向かって、みんな動いてもらわなければ困るではないのか。

保健福祉部長

 今、委員から御指摘のあった何点かについて、ある意味では、知事の考えといいますか、そういったことも含めて御説明をしければいけないかと思います。

 まず1点は、アイルランドそれから香港について視察をしたということにつきましては、一つの視点は、たばこ枠組条約について、それぞれの国がそうした条約を受けて、いわば受動喫煙防止にどう取り組んでいるかということについて、比較的早く取り組んだアイルランド、これは実を言いますと、枠組条約の前に取り組んでございます。そういったものの実績、それから香港は枠組条約を受けています。それだけではなくて、これはプライベートも含めていえば、ハワイですとかあるいはニュージーランドですとか、そういったところでも当然のことながら受動喫煙防止についての取組がされていると、こうした実態の姿として、アイルランド、香港、これが比較的実績があるということで視察に行きました。

 それから、もう1点は、市民生活の中で、どういった混乱があったのか、特に、委員のお話にありましたように、パブ、そういったいわば公共の場といいますか、そういったところで実際にどうだったのか、それで、実際にお使いになっている方、あるいは禁煙されている方の意見はどうだったのか、そういったことも、生の声を聞くと、実は、日本にはそういった例がないということでいいますと、そういう意味でも生の声を聞くという形で行って、そういう実体験といいますか、実際の生の声を聞いたところでの経験、そういったことを踏まえて、いろいろと判断したい、こういうふうなことで視察に行ったということが一つございます。

 それから、これは我々もフィリップモリスから聞いたところによりますと、財務省がこういった形でJTの株を持って、ある意味では経営権を持って、そういったものに取り組んでいけるところは、ほかの国ではないケースでございますので、それは委員御指摘のとおりでございますが、ただ、これもたばこ事業法の中では、実は歴史的な経緯がございまして、枠組条約ができたときに、実は条項を一部修正されてございます。それは確かに、たばこについての、ある意味では販売といいますか、吸っていただくという目的があったにしても、その中に健康という考え方が一つ入れ込まれてございます。

 これはあくまでも、たばこだけを優先するのではなくて、当然、健康に留意した形である意味では調整的な機能として、そういう表現を入れ込んで、実際、ラベルとかを見ていただきますと、そういった表現が入っているというのは、そういう歴史的経緯がございます。

 したがって、私どもとしましては、この受動喫煙の考え方、あるいはこうした取組というのは、ある意味では、たばこを推奨しているということでは、相入れないということではなくて、むしろ健康という側面の中で調整をされて、そうした取組がされていると、こういうふうに実は理解をしてございます。

 したがって、今、一番、知事が悩んでいますのも、委員がおっしゃったとおりで、そういった中で、受動喫煙を防止していく、特に、家庭、職場、これが実は受動喫煙としては、かなり典型的なケースとして多いということは承知しながらも、家庭についてはプライベートなスペースですので、そこまで入り込んでいけない。それから、職場についても、雇用関係等、安全性等ございますので、そういったところで整理すべきであると、ただ、そういう中で、問題は先ほどお話のありました小さな居酒屋ですとか、あるいは食堂ですとか、そういったところをどうするかと、ただ、これも実を言いますと、逆に言うと、一方で確かに営業上の問題はあるということは十分承知しながらも、もう一方で、受動喫煙というのは、むしろそういった小さなところでも、まだまだ現実的にはある。ですから、これをどうするかといったところが非常に大きな悩みの問題である。横浜市長等のお話もございます。したがって、私どもとすれば、一つは分煙を認めた形で、実は2種を整理させていただきました。そこでの一つの在り方と、それから、さらに委員御指摘のそういった小さなお店についてはどうするかというところについては、これは大きな課題であろうというふうに思っております。今後もう少しそこのところについては、パブリック・コメント、また、議会でも御審議いただきますので、そういった御意見を頂きながら、最終的にどのようにしていくかというような判断というのは、これから先のこととしては出てくるというふうに考えております。

村上委員

 ちょっと話が先に行ってしまったのは本当に失礼したのかもしれないけれども、知事の海外調査の結果に反論するようですけれども、アメリカで二、三日前にサブプライムローン問題で下院で否決してしまったという大騒ぎがありました。この基礎になっているのは、証券会社、銀行に政府がお金をつぎ込むというのは、高給取りの会社にお金をつぎ込む前に、市民にとっては、アメリカでも格差社会があり、苦しい生活がある中で、政府の金がということで下院で否決した。

 これは、基本的に、たばこの問題も同じように、国が奨励して税金まで取っていて、それを何で知事が吸ってはいけないという営業形態にしろというのと、よく似ている話であって、税金まで取っておきながら、たばこは吸ってはいけないという同じ仕組みなんです。

 これはやはり国がこういうふうにやっているのと県がやっていることのねじれがある。それではないところ、香港やアイルランドはそうではないんです。民間会社なんです。民間会社のたばこ会社がつぶれたても構わないとみんな思うわけです。日本の国といったら、たばこを吸わなくなったら税収が一遍に減るという、地方自治体から何から。違うんです。そこに住んでいる人の意識と、日本にはたばこの歴史があって、こういう形で来た歴史と違うものがあるのを一緒くたに簡単に書くなと言っているんだ。アイルランドがこうだって、同じ枠組みの中でも国によって在り方が違うだろう。今、日本の国がいまだにたばこ税を取って、たばこ事業法がある中でのことと、その意識の差があるということが分からないのか。そういう精神的なことまで考えていくのがやはり知事であり、行政であり、人々のことを思う気持ちである。自分が思い付いたことを主張して一生懸命やっていくのはいいことだから、何でもいいことだという、そんな政治は知事の政治ではおかしいということを言いたい。

 これに手を付けるようなことは、絶対これからの審議の中で私どもも反対していかなければいけないだろうという思いだけ述べさせていただくけれども、もう一つ言うと、国に要望、知事はたばこの税のことについて、国と闘う姿勢、これを見る限り何も書いていないではないか。がんのところでちょっと4行書いてあるが、国にたばこ事業法をやめろとか、たばこ税法をやめろとかなんて一言も言っていない。そのぐらい国の法律よりも条約の方が先と、ここで書いていない。条約の方が国と国との約束だから先だといってやるのであれば、国の法律も変えていく努力をするべきだと、少しはしているのかもしれないけれども、国への要望に4行して書いていない。

 ここら辺も含めて、やはり人に痛みを伴うことをするときには、襟を正して解決しなければやっていかれない。我々議会もまた、このことを審議する上に当たっては、県民のことを考えて、市民のことを考えて、営業している人のことを考えて、あるいはたばこの煙で悩んでいる人のことも考えて、そういう総合的にやっていかなければいけないのに、今日の質問に対する答えを聞いている限り、行政が一丸となって真剣にやっていると思えないということを申し上げて、私の方は終わります。

内田委員

 今、村上委員のお話にもありましたように、知事のアピールの仕方の点が少しずれているのではないかということの考えをお伝えしておきたいと思いますけれども、まずは、この正論の中にある文章ですけれども、「私は独裁者ではない」というタイトルがありまして、その中に、「条例について職員から疑問はなかったのですか。」というインタビューに対してどう答えているかというと、「それはありませんでした。」とあるのですけれども、まず、この時点で間違えているのではないかと私は思います。職員の方々の人数は今何人ですか。

保健福祉部副部長

 1万8,000数名、分庁舎等には、病院事業庁等を含めて3,000から4,000人の職員がいると思います。

内田委員

 その1万人を超える職員がいらっしゃるわけですけれども、だれ一人として疑問も、ここに書いてあるのを読みますけれども、「既に県庁では原則庁舎内禁煙の措置がとられていて、たばこを吸いたい職員は外の喫煙所か屋上に行くようになっています。むろん職員の中にもたばこが好きな方がいるでしょう。しかし、庁舎内ではルールが確立されていますので、批判は聞こえてきません」と書いてあります。こう言い切れるのでしょうか。

保健福祉部副部長

 たばこ対策につきましては、がんへの挑戦・10か年戦略を平成17年に策定しまして、庁舎内建物内禁煙といったことでやらせていただいてございまして、屋外のところで喫煙場所をつくってやっているということで、ある程度、定着をし、吸われる職員の方もある程度、肩身の狭い思いをしながら吸っている現状があるというふうに思ってございます。そうした意味でいいますと、知事のところにはそういった声が届いていないということでの今日に至っているということです。

内田委員

 それは逆に言うと、知事が職員一人一人の本当の声を聞いていないということになるのではないでしょうか。

保健福祉部副部長

 知事もいろいろ、食事を一緒に職員としたりというような形もされていますし、いろいろ取組をされているかと思いますが、私も知事ではございませんので申し上げられませんけれども、知事の御認識としては、そういった強い反対の御意見は届いていないということで受け止めるしかないという状況でございます。

内田委員

 それは知事自体が思い上がっていると認識できると思います。というのは、批判が聞こえてきませんねとか、それはありませんでしたという書き方自体、ここに持ってくること自体間違っているし、もしかしたら批判があったら、その場合はどうするのでしょうか。これは間違いであったら、うそだということになります。

保健福祉部副部長

 批判があったらどうするかということでございますが、大きな流れとしましては、個々の立場といたしまして、健康のためにいろいろな施策をし、そして施策に対して職員も協力をするということでやらせていただくのがリーダーシップの果たし方ということでしょうから、そういった形で、知事といたしましても、健康のために範を示していこうと、こういった形で職員と話をされているのかなと思います。

内田委員

 私は、この文章を読んだときに、まずそこを非常に強く思いました、おかしいなと。それで、今朝、私はこの県庁内にインタビューに、取材に行きました。一人一人に聞いてまいりました。そうしたらもう既に批判が出ました。今日の時点で3人出ました。

 ということで、実際問題、知事が職員の本当の声というのを実際聞いてはいないのではないかと、私は見てとっております。ということで、県民の方へのパブリック・コメントはいろいろやってはいらっしゃいますけれども、それを文書にすること自体、それは操作できることだと私は思っております。疑っております。ということで、知事は本当に県民のいろいろな声を実際問題どこまで真剣に聞いているのでしょうか。

健康増進課長

 この件につきましては、まず、一昨年、県民の意識調査というのをきちんとした形で無作為抽出といった形で、どういった形で、そのたばこの害を迷惑に思っているか、また、条例で規制ということについてどう思うかということについてアンケートをとっているわけです。そうした中で、喫煙については90%近い人が何らかの規制が必要だというような、反対する人がゼロかという話にはならないと思うんですけれども、多くの方々がそういうふうな意見だというふうな印象でいるということでございます。

内田委員

 先ほど村上委員が言われたように、小さな飲食店や、また、そういった助成が必要であると見込まれる飲食店については、そういった意味でもいろいろ考えていただきたいと思いますが、もう一つありますけれども、この265ページに、「タウンミーティングも県内各地でやり、施設関係者にもヒアリングを重ねています。パブリック・コメントは今後もやりますし、県議会とも議論を行っています。」とありますが、「とも」って何ですか。

 要するに、これ県議会は付け足しという形で書かれておりますけれども、まずこの順番もおかしいし、こういった書き方自体、皆さんの目に触れるような雑誌に書き上げること自体、なぜチェックがいかなかったのかということをお聞きします。

健康増進課長

 まず、繰り返しになりまけれども、インタビュー記事とありまして、我々、事実関係については訂正を求められておりますけれども、中身自体については記者の書いたものでございます。ある意味、それについても順番がどうだからということで議会軽視にはならない、時系列的にはこういう時系列なのかなと思っておりますけれども、議会を軽視するというものでは全くございませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。

内田委員

 それでしたら、今度から県議会とも議論を行っていますというふうにしないで、我々は県議会でしっかり議論を行っており、そして県民の意見も広く募集しております、そういう態度に改めるべきではないでしょうか。

健康増進課長

 御指摘を真しに受け止めたいと思います。

内田委員

 そういったことで、いろいろほかにも言いたいことがあるんですけれども、要望します。

 まずは、ネーミングをきっちり、全面禁煙ではなくて公共的施設の受動喫煙防止としっかり周知するように、各テレビ局、それから雑誌社、そういった広報媒体には特に注意して臨んでください。そして、もし間違いがある場合は、こちらから強い態度、き然とした態度で臨んで、それを指摘してください。議員自らするようなことではありません。なので、県当局でしっかりやってください。

 また、広告を載せる場合は、香港やアイルランドといった国の情勢も踏まえて、きっちり日本との差を確認してから載せるようにしてください。

 また、県職員がだれも批判しないという書き方自体、まず間違っていると思いますので、本当の声をちゃんと聞くように、県民の声を聞くように、知事はもっとこの条例に関しては特に注意して進めていってください。

 それと、県税が200億円の減収が見込まれる中、130億というたばこ税が入ってくるという中において、その辺のことを今後もいろいろな分野で、ほかの委員会でも話し合われると思いますけれども、やはり健康増進、健康増進と、保健福祉部が一生懸命やっているのは分かりますけれども、県民の生の声をもっと聞くようにして、パブリック・コメントの発表の仕方も変にまとめ上げないようにしていただきたいと思います。

 私の方からは、特にこの受動喫煙防止に関しては、いろいろな意味で知事のアピールが間違った方向に向かないようにということで危ぐしていますので、もっとやるのだったらほかの分野をきっちりやってくださいということを最後に付け加えさせていただきます。

 

10 次回開催日(10月3日)の通告

 

11 閉  会