平成20年  厚生常任委員会 - 1008日−01

平成20年  厚生常任委員会

◎《委員会記録-平成20年9定-20081008-000008-厚生常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(向笠副委員長・鈴木(ひ)委員)の決定

3 傍聴の許否について決定

  11件申請 8件許可

4 口頭陳情の聴取

  陳情第101

5 日程第1を議題

6 同上質疑(両部所管事項も併せて)

 

内田委員

 子供のこと、児童虐待について伺います。そして、この間、高齢者対策は本会議でやりましたけれども、さらに孤独死の問題、それから虐待問題、この2点を特に深めていきます。そして、受動喫煙防止に関しての知事の考え方を伺いたいと思います。それから、在宅重度障害者対策見直しと医療制度についてお伺いいたします。

 まず、児童虐待についてですけれども、全国の児童相談所が対応した児童虐待が昨年度初めて4万件を超えたということで、厚生労働省から発表がありました。また、虐待を受けて死亡した子供というのは、平成15年から18年にかけて295人という、100の単位でおりまして、児童相談所が関与しながら最悪の事態を防げなかった、こういうケースも多いことが明白でございます。

 本県においても、施設入所中の幼児が一時帰宅中に両親の虐待により死亡してしまったという事件は、皆さんも御承知のとおり記憶に新しいところだと思いますけれども、こうした児童虐待件数が増えている状況を考えると、何らかの対応をしなければ、再び悲惨な事件が起きてもおかしくはないと思います。

 このように深刻な児童虐待が増える中で、県としては、児童自立支援拠点の整備に向けて取り組むということですが、今後の児童虐待の取組について幾つか質問させていただきます。

 まず、神奈川県における児童虐待相談件数の推移について、いま一度お伺いいたします。

子ども家庭課長

 本県所管域でございますけれども、児童虐待相談受付件数は、平成19年度、1,438件でございまして、平成18年度から比べますと7.4%の増加ということになってございます。児童虐待防止法が施行されましたのが平成12年でございますが、その前年の平成11年度は305件ということでございましたので、この8年間で5倍に近い増加ということになってございます。

 このように件数が増えておりますのは、児童虐待防止法に基づく通告義務が、県民や関係機関に浸透したことに加えまして、国内の痛ましい事件が相次いで報道されたことに伴って、通告に対する県民や関係機関の関心や認識が高まったためと考えてございます。

内田委員

 今、我が国の経済状況が困窮しておりまして、親のいろいろな経済的状況や、それから社会的な背景がこういった虐待につながっていると思いますが、やはり大分、虐待の質も変わってきているのではないかと私は危ぐしているんですけれども、特に最近は、虐待の内容は、どのような状況になっているのか。その特徴というものは何か、明らかになってきたことはあるんでしょうか。

子ども家庭課長

 平成19年度の状況、数を申し上げましたけれども、その内訳は、身体的虐待が503件、それからネグレクトといいまして、保護の怠慢ないし拒否でございますけれども、これが608件、心理的虐待が295件、性的虐待が32件ということで、ネグレクトが最も多くなっている状況でございます。

 虐待を受けた子供の年齢でございますけれども、乳幼児の割合が高くなっておりまして、乳児が8%、幼児が38%と、乳幼児で46%ということで全体の半数近くを占めるというような状況になってございます。これは乳幼児に対する育てにくさというものが背景にあるのではないかと考えてございます。

 また、虐待を行った保護者を見ますと、実の母が最も多くなってございまして、全体の65%を占めている状況でございます。次に多いのが実の父で25%でございます。

 それから、虐待の家族構成でございますけれども、実の両親がそろった家族が52%、それから次いで母子家庭が23%。それから継母、継父など再婚による家庭が12%と、このような状況になってございます。そのような特徴があろうかと考えております。

内田委員

 昨日の読売新聞で、直接、虐待のことではないんですけれども、今、アメリカのサブプライムローンの事件から、いろいろと日本の景気というのも非常に低迷していると思いますけれども、昨日あった記事の中では、子供の貧困というのがクローズアップというか、社会問題になりつつあり、日本では17歳以下の子供の7人に1人が貧困状態にあるというのが、経済協力開発機構、OECDのデータで出てまいりまして、明白になってまいりました。やはり、そういった親というか、社会的な背景が子供の健康や教育にも影響しつつあるという、負の連鎖といったら、言葉はあまり良くないんですが、そういったことも勘案しなくてはならないと私は思います。

 その影響というのは、もちろん教育にも影響してくるということと、貧困の割合が、アメリカ、イギリスに次いで日本も結構高いんです。その中で、家庭環境もありますけれども、こうした家庭環境と虐待との関連性を指摘する調査もございまして、厚生労働省が昨年6月にまとめたデータによると、2005年に起きた児童虐待による死亡の51例のうち約4割が、市町村民税の非課税世帯など経済的に困難な家庭の子供だったというデータが上がってまいりました。

 そういったことで、一口に虐待といっても、親の経済的なもの、それから、今、母親の件数が多いと伺いましたけれども、やはり精神的なもの、そして育児の不安、こういったものが乳幼児に対する虐待を引き起こしているのではないかと思います。

 そういった中で、やはり貧困というか、経済的に困窮しているから、国民健康保険料も滞納していて、実は、病院に行って診察を受けないといけない。受診抑制が懸念される世帯の子供は全国で約3,700人ということになっておりまして、家庭環境で治療を受けられない子供が出てきている。この日本においても出てきているということが本当に改めて分かりました。

 そうした中で、児童虐待の最近の事例、だんだん深刻化してきていると思うんです。乳幼児の場合は本当にしゃべれない、自分の言葉を発することができないのに、母親の精神的な面が影響しているのか、残酷な事件も発表されておりますが、本県を含めて特徴的なものを御説明していただきたいと思います。

子ども家庭課長

 県の所管域でございますけれども、先ほど委員からもお話がございましたけれども、平成18年2月、県内の児童養護施設に入所しておりました3歳の男の子が、群馬県内の実父母のもとに一時帰宅した間に、父母から暴行を受けて死亡した事例がございます。

 このような事例を二度と引き起こさないために、児童福祉審議会の中に児童相談所のあり方検討小委員会を設置し、報告書を頂きまして、児童相談所の体制強化に取り組む契機となりました大変深刻なケースでございます。

 また、最近、注目されるようになった事例でございますけれども、乳幼児揺さぶられ症候群という事例がございます。

 今、委員からも、幼児は口がきけないというようなお話もございましたけれども、これは首が据わっていない乳幼児の体を何度も激しく揺さぶるということで、脳が頭がい骨の内側にぶつかって損傷するというものでございます。今年度に入りまして、生後4箇月の乳児につきまして1件の通告が病院からありまして、一時保護を実施いたしまして、現在、乳児院に入所措置をしたと、そういう事例がございます。

 また、他県でございますけれども、母親から子供3人が置き去りにされ、そのうち2歳の次男が死亡したという事件がございました。これは保護責任者遺棄容疑ということで母親が逮捕されてございます。

 さらに、父親が生後3箇月の長男の腹を殴って、内出血で死亡させたケースでありますとか、また同様に、母親が3歳の娘の顔や腹を殴ったり、突き飛ばしたりして、頭や内臓の損傷により殺害したと、そういうケースもございます。

 また、先月には、これは記憶に新しいところでございますけれども、福岡市西区の小学校1年生の男の子を母親が殺害した事件でありますとか、また、横須賀市では、母親が小学校6年生の男の子を殺害したと、そういうような事件も起きている状況でございます。

内田委員

 こういう状況というのは、実はずっと昔からあって、例えば、この間の福岡の事件など発達障害児、軽度ですけれども、そういったことで、親として、やはり育児に本当に将来的に不安を感じ、そういう行動に走ってしまった。

 その中では、いろいろな事例があると思いますけれども、核家族になって、ほかに頼る者が昔と比べて少なくなって、そのために母親も家にこもってしまっている。ですから、こういった、どうやって育てていいのか分からないといった、そういった事例も見受けられると思います。

 平成18年2月に起きた幼児の死亡事件をきっかけに、今、児童相談所のあり方検討小委員会から報告書が提出され、県では、それに基づいて児童相談所の強化をしたとお伺いしていますけれども、その詳しい内容と実際的な取組はどのようなことを行っているのか、詳細を教えていただけますか。

子ども家庭課長

 報告書におきましては、専門的な児童相談体制の充実強化ということで、一つには児童相談所の適正配置、二つ目には職員体制の確保、それから三つ目には業務の執行体制の充実、この3点が提言されております。

 まず、一時保護所を含む児童相談所の適正配置でございますけれども、迅速、的確な事務の執行と、利用者の利便性を兼ね備えた適正配置となるよう、相模原市の政令市への移行の動向を見ながら、現在検討しているところでございます。

 次に、職員体制の確保についてでございますけれども、平成19年度に20名、20年度に10名、合計30名の職員を児童相談所で増員をさせていただいております。その内訳でございますけれども、児童相談・指導の専門ケースワーカーであります児童福祉司が15名、そのほかに児童心理司、児童指導員、保健師などの増員を行ったものでございます。

 次に、業務の執行体制の充実でございますけれども、この増員に伴いまして、児童相談所におけるチームアプローチが徹底されるとともに、一時保護所における子供たちへのケアも強化されたところでございます。

 そして、平成20年度の増員によりまして、親子支援チームをすべての児童相談所に設置することができまして、虐待を行った親と子供の家族関係の再構築の取組が促進されると、そういうことに今なっております。

内田委員

 児童相談所ですけれども、増員していただき、強化しているということですが、課題というのは何か上がってきているんでしょうか。例えば、まだ人数が足らないとか、サポートする人のネットワークが足らないとか、そういった施設に入ってこないといけない子供のためのシステムがまだうまく機能してないとか、そういった実情というのはあるんでしょうか。

子ども家庭課長

 今の児童相談所の課題ということでございますけれども、まずは30人という非常に大きな増員をさせていただいたということで、その成果の検証というものが必要かというふうに思っております。

 それから、併せまして、児童福祉法の改正によりまして、児童相談につきましては、一義的には市町村が受けなさいという流れになっていまして、県の役割は専門的な後方支援というような位置付けになってございます。今、県内全域に要保護児童対策地域協議会がすべてできてございまして、市町村が取り組んでいるところでございますけれども、やはり市町村の取組には、いろいろ濃淡といいますか、地域によってそれがありますので、市町村との連携、ネットワークを、どう児童相談所が取り結んで、それを教育とか警察なども含めて、どう総合的に支援していけるかというところが一つの大きな課題ではないかと、そのように認識してございます。

内田委員

 そうした教育、警察との連携、そして市町村との連携によって地域格差をなくしていくなど、今後、さらに、県として、後方支援といいましても、子供はそのまま大きくなっていくわけですから、十分な対応をしていかないと、やがて青少年になったときに、更に心の傷というのが大きくなってしまうと思いますので、その辺のところを勘案していただきたいと思います。

 そして、この間、児童自立支援拠点の概要を説明していただきましたが、このことについて伺いたいと思います。

 児童自立支援拠点というのは、これからの試みだということで、まだ細かいところは特に決まっていない状況だと思いますが、児童相談所を通じて、支援が必要な子供たちをこちらで受け入れていくような施設、拠点になると聞いておりますけれども、具体的にどのような子供たちを受け入れていくと考えているのか、その辺のところを改めてお聞きします。

子ども家庭課長

 この拠点が対象とする子供でございますけれども、まずは虐待により専門的な支援が必要な子供のほか、里親ですとか既存の児童福祉施設では対応が困難な子供、また社会適応力に欠けました知的障害児でありますとか、自閉症や注意欠陥多動性障害などの発達障害児、そのような子供たちを考えてございます。

 具体的には、被虐待児につきましては、深刻な虐待によって生じる、例えば、睡眠障害ですとかパニックなどの精神的、身体的症状に対して、医療的、心理的な支援を重点的に行う必要がある子供たちですとか、また攻撃的、破壊的行動ですとか対人関係の希薄さなどの問題行動が顕著な子供などが考えられるところでございます。

 また、軽度の知的障害児や発達障害児につきましても、コミュニケーションがとりにくいですとか、こだわりが強い、落ち着きがないなど、それぞれの障害特性から虐待を受けることも非常に多い、そういうケースがございまして、また家庭における養育が困難な子供も多いということでございまして、こうした子供たちも、この拠点の対象の子供たちになるのかなと、そのように考えてございます。

内田委員

 今お聞きしますと、やはり何かすごく、例えば、虐待でもひどいケースで、本当に精神的におかしくなりそうな感じの子供たち、それから自閉症、発達障害児、コミュニケーションがうまくとれない子供や、攻撃的、破壊的な、それは親のせいかもしれないんですけれども、そういうふうになってしまった子供たちをどうにか良くなるように支援していく自立支援拠点ということだと思うんですけれども、今、本当にいろいろな案件が増えてきて、まずはこれから重点的にやらないといけないのはよく分かるんですが、そうではないケースというのも実は結構多いのではないかと思うんですけれども、それ以外のケース、例えば、離婚をしてしまって、母親とのコミュニケーションがうまくいかず、不登校になってしまって、正常な子供なんだけれども、というような、ここまで入ってこないケースの子供たちについては、まだそこまでは考えていないんでしょうか。

子ども家庭課長

 この拠点でございますけれども、今まで児童養護施設は家庭で育てられない子供の受皿となっていたわけで、従来は、孤児という、そういうような形が非常に多かったわけですが、最近は、やはり虐待ということが非常にクローズアップされてきまして、虐待を受けて児童養護施設に入ってくる子供が非常に増えています。その中でも症状の軽いものから、今、説明しましたような大変重いケースまで様々ございまして、それを今、児童養護施設が全部引き受けているというような、そういう状況でございます。

 県立の中里学園では被虐待児が約7割というようなことでございまして、当然、それ以外の子供たちもいるわけですけれども、そうした子供たちにつきましては既存の児童養護施設で引き続きお願いしつつ、そういう特に重い部分、新たな対応が必要な部分につきまして、この拠点で集中的に対応していきたいと、そのような考えでございます。

内田委員

 この児童自立支援拠点整備の概要ですけれども、場所としては、どこに建てようとしているのかということと、検討中ということで、少し遅れているようなんですけれども、もう一度、児童自立支援拠点の特徴というのはどこにあるのかということと、それから今までの施設との明確な違いがあるのかということを教えていただきたいと思います。

子ども家庭課長

 この拠点の特徴でございますけれども、御説明しましたように、虐待を受けた子供ですとか、軽度の知的障害、発達障害を有する子供など、既存の施設を中心とした社会的養護の枠組みでは対応が困難な子供の総合的な自立を目指すところにございます。

 ここでいう自立の支援という言葉でございますけれども、様々な難しい障害を持つ子供や虐待を受けた子供たちが、大人や周囲との安定した人間関係を築けるように、また虐待等のトラウマを乗り越えまして、家庭ですとか学校また社会への適応力を高めていけるように、日々の入所生活の中で支援するということと、併せて治療していく、こういうところに特徴がございます。

 子供の抱える症状でございますが、これは年齢ですとか発達段階、また障害の程度、家庭環境に応じて様々ですので、それぞれの事例に応じまして、きめ細かな支援を行うことが必要になります。このため、こうした子供たちが自立に向けて、より適切な環境の中で生活できるように、医療面や心理面などにおける児童養護施設よりも手厚い職員配置となっております情緒障害児短期治療施設という、こういう区分がございますけれども、この施設を拠点の中に整備していきたいと考えているところでございます。

 また、拠点におきましては、従来の児童福祉施設の入所による養育機能に加えまして、子供と保護者の関係の修復ですとか、再統合を支援するための自立支援、また子供の心身面の治療等を目的とした医療、それから支援技術の確立や普及のための研究・研修、こういう幅広い機能を備えているところが、これまでの児童養護施設との違いということでございます。

内田委員

 この施設は、例えば、小田原城内高校の跡地などを予定しているということですが、こういった施設は県内にここ1箇所なのか、それとも数箇所を予定しているんでしょうか。

子ども家庭課長

 県所管域の拠点ということで整備したいと思っておりますので、ここ1箇所になります。

内田委員

 この内容を見ると、15歳、16歳とか、中学生とかに焦点を当てているような感じが見受けられるんですけれども、実際に虐待を受ける乳幼児も多いということですが、この施設の中に乳幼児のコーナーというか、そういった部屋というか、そういった拠点もつくられる可能性はあるんでしょうか。

子ども家庭課長

 この拠点の施設の区分でございますけれども、先ほど説明しましたように、情緒障害児短期治療施設という役割が一つ、それから乳児院の機能も持たせたい、このように考えてございます。それから合わせて知的障害児施設、この三つの施設の機能を持たせたい、このように考えてございます。

内田委員

 是非、乳児院の方もしっかり、そういう枠をちゃんととっていただきたいと思います。

 それだけすごく大変なことになると思うんですけれども、やはり長いですから、乳児から小学生、中学生と成長するまでの期間から全部必要になってくると思うので、非常に大変なことだと思いますけれども、やはり虐待件数としては乳児が増えておりますので、その辺を重視していただくことを求めたいと思いますけれども、この児童自立拠点整備の今後の取組と方向性、そして課題について説明していただきたいと思います。

子ども家庭課長

 今年度、基本構想策定委員会を開催して検討を重ねておりまして、今回、中間報告ということで報告いただいたところでございます。今年度中に最終報告が取りまとめられるとなってございますので、これを受けまして、県としての基本構想を策定することとしてございます。そして、拠点の機能ですとか内容ですとか、また施設の規模などにつきまして、具体的に検討を行うことと合わせて、関係機関との連携をどのように図っていくのかなど、関係者の意見を幅広く聞きながら、更に検討を重ねてまいりたいと考えております。

 今後の実現に向けての課題でございますけれども、幾つかございます。

 まず、整備の候補地についてでございます。今回、御報告させていただいた小田原城内高校の跡地につきましては、その立地の条件から埋蔵文化財に関する調査が必要だということでございますので、その結果を見ながら、候補地としての可能性について検討を進めていくこととなります。

 また、既存の中里学園、ひばりが丘学園でございますけれども、この二つの施設の再編を並行して進めていくことになります。中里学園につきましては、機能の継続に向けて運営可能な社会福祉法人等を確保していく必要がございます。また、ひばりが丘学園につきましては、障害者支援施設の閉止とか、あと政令市の協定定員の解消を円滑に行うための調整を図る必要がございます。さらに、入所する子供たちに適した教育の在り方ということについての調整も必要でございまして、拠点の整備におきましては、これらの解決しなければならない課題がございますので、今後、これらについて一つ一つ着実に取り組んでまいりたいと考えてございます。

内田委員

 既存の中里学園やひばりが丘学園の施設の整備も同時並行するということで、今度できる児童自立支援拠点も着々と進めていっていただきたいと本当に思います。やはり児童虐待は本当に体の傷も大きい、そして心の傷も大きい、そして頼る者がいないということで、県としてできることをできるだけサポートしてあげていただきたいと心よりお願いします。

 最後に、児童虐待の防止に向けて、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

子ども家庭課長

 児童虐待の防止に向けましては、専門機関であります児童相談所の適切な機能発揮をするということがまず必要でございますけれども、市町村を含めた関係機関との連携強化が組み合わされてこそ、効果的に機能するものと考えてございます。このため、児童相談所につきましては、これまでの体制整備の効果を十分に検証しながら、県としての児童相談所に求められている専門性、指導性を更に発揮できるように取組の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

 そして、各地域における連携体制が具体的な事例に即して適切に機能できますように、先ほども御説明しましたが、全市町村に設置されたネットワーク組織でございます要保護児童対策地域協議会に対しまして、引き続き支援を行ってまいりたいと考えてございます。

 また、児童虐待が起きた場合ですけれども、その背景を詳細に分析するということは、同じような事例の再発を防ぐ意味で大変重要であるということでございまして、県としましても、実際にかかわってきた事例の分析を行いまして、児童相談所、市町村、先ほどの地域協議会などの役割と連携の在り方を具体的に整理しながら、全県的な体制強化を図ってまいりたいと考えております。

 併せて、お話がございました虐待を受けた子供が地域の中で自立できるように、児童自立支援拠点の整備に向けた取組も進めてまいりたいと考えてございます。

内田委員

 この件についての要望ですけれども、児童のことを考えると、普通の家庭で育っても、今、就職難だからということもあるし、それにもまして、親からこうやって虐待を受けた子供というのが本当に立ち直れるかどうか、そういったところまで考えて、心のケアもしていかなくてはいけない。そして逆に虐待をしてしまうお母さん、お父さん、それから最近では、継父とか、そういう例もあると思うんですけれども、そういった方々にも、やはり何らかの教育というか、相談に対応できるようなことが本当に重要になってくると思います。そういった中で、こういった拠点の整備、これから始まると思うので、いろいろな意見をよく聞いて、当事者の問題でありますけれども、できるだけ支援をしていっていただきたいと要望いたします。着々と進めていただきたいと思います。

 次ですが、私は9月26日の本会議で、高齢者対策、高齢者にかかわる諸問題について知事と警察本部長にいろいろと質問させていただきましたけれども、こちらの案件で少し気になることも出てまいりましたので、質問させていただきたいと思います。

 高齢者の虐待の方も取り上げていきたいと思いますけれども、昨年、厚生労働省の数字で死亡した例が27人です。高齢者虐待防止法ができて2年ということで、いろいろな通報とか、そういったことで明るみになってきたからかもしれませんが、前年度5.6%増の1万3,273件と、こういうような膨大な虐待件数が明るみになりました。これは多分、明るみになっただけで、実は氷山の一角ではないかと見ておりまして、高齢者虐待の厳しい現実、実態が改めて浮き彫りになったと思います。

 その中で、虐待を受ける側としては、女性が77.4%、約1万626人ということで、女性の方が被害者としては数字が大きくなっています。そして、介護施設などの職員による虐待というのも増加傾向であるということになっております。こういった記事が昨日の新聞各紙に出ていました。

 この問題についてなんですけれども、高齢者虐待への対応は、市町村が主体になっているとお聞きしておりまして、県は、市町村が適切に対応できるように困難事例を踏まえた人材育成などの支援を行っていると、この間の本会議でお伺いしておりますけれども、具体的には、サポート的な支援といいましても、どのように実際取り組んでいるのか、そして今後の取組についてもお伺いしたいと思います。

高齢福祉課長

 県としての取組と今後の話でございますが、平成18年4月から施行されましたが、これに合わせまして、まず県と市町村が一緒になりまして、高齢者虐待の基本的な対応についてのマニュアルを作成いたしまして、これを活用して研修を順次行ってまいります。例えば、最近の研修の例で申し上げますと、市町村や地域包括支援センターなどの職員を対象にいたしまして、例えば、虐待の事実が疑われながらも、介入を拒否された場合の対応、これは大変難しい対応とされておりますが、こういった具体的な事案を題材にいたしまして、受講者自身が高齢者になったり、介護者、虐待する側になったりというようなロールプレイを取り入れた研修を行っております。また、保健福祉事務所においても、地域の実情に合わせた研修ですとか、困難事例の検討会を関係機関と協力しながら実施しまして、職員の対応能力の向上を図っております。

 2年が経過いたしまして、先ほど児童虐待でもございましたが、こういった事案も集まってまいりました。そうしたことから、こういった事案を活用いたしまして、より具体的な支援ができるようにしていくことが、今後は重要だと考えております。

 そうしたことから、こういった虐待の背景にある課題の分析、それからどうやって解決するかというアプローチの方法などを検討しまして、これを実際に実践するということ等、それから、そうした事案を踏まえまして、それぞれの状況に応じた的確な対応を図れるような、より具体的な、例えばマニュアルの作成なども今後検討していきたいと考えております。

内田委員

 是非、マニュアルの作成については、まだやっていないとしたら、早急に取り組んでいただいた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

高齢福祉課長

 法施行に合わせて、基本的なマニュアルをつくりましたので、今後は事案を踏まえた、より具体的なマニュアルがよろしいのか、啓発資料がよろしいのか、いろいろなものを検討していきたいと考えております。

内田委員

 この間も申し上げましたように、私は家庭内での虐待を特に危ぐしておりまして、母親に対して息子が、特にそういうケースが多く、次いで、夫、娘とか、そういう順番になっていると思いますけれども、そういった虐待の背景には、高齢者になると、どうしても認知症ということの問題、介護の問題が大きく絡んでくるのではないかと思います。それは息子にとっては経済的な負担というものもあるし、年をとってしまった親などの面倒を日常生活の中でみていくことが結構大変な時代というか、自分の生活も大変だと思います。そんな中で高齢者虐待の背景をどのように県として受け止めているのか。

高齢福祉課長

 今までの事例をいろいろと追っていきますと、虐待が起こる背景には、家族それぞれの理由があるということで、例えば、介護疲れがあったり、高齢者本人とのこれまでの人間関係、長い時間がございますので、そういった関係が背景にあります。また、介護者自身が抱える経済的困窮など様々な要因が考えられますけれども、特に介護者が近親者の場合、多くあるのが、自分一人で何とか介護をしたいというような気持ちが強い方が多く、結果的に、疲労やストレスを蓄積させて、それが虐待に至ってしまうということがあろうかと思います。

 特に、私ども伺っておりますのは、高齢者が認知症を抱える場合、例えば、目を離したすきに、たびたび外出を繰り返して、そのたびに連れ戻さなければならない、あるいは、食事をしたこともすぐ忘れてしまって、説明しても分かってもらえないというふうなことから、介護の手間も増えますし、精神的にも追い詰められて、気が付かないうちに虐待に至る、これが具体的な事例だと思います。実際に、平成19年度における高齢者虐待の状況を見ますと、家族等から虐待を受けた高齢者の6割の方に認知症が見られるということでございます。

 こうしたことから、虐待防止ですとか早期発見のためには、そういう背景にある本人ですとか家族の抱える問題を把握して、そこから支援の方法や防止策を考えていく必要があると考えております。

内田委員

 虐待を受けた者の約6割が認知症ということです。私たちもいつなるか分からない、本当になるかもしれないし、それは一人一人にもかかわってくる重要な問題だと思うんです。認知症については、特に家族や地域の住民の理解というものも必要です。はいかいした場合、いたという連絡が来れば対処できるんですけれども、そういった取組として、認知症高齢者やその家族を支援するために、本会議でも、認知症サポーターの養成を行っているという御答弁を頂きましたけれども、実際問題どのように行っているんでしょうか。

高齢福祉課長

 認知症サポーターについてでございますけれども、県では、認知症に対する正しい理解と具体的な対応方法を県民の方にお伝えして、そういった理解者を増やすということが大切になりますので、まず、その講師役となるキャラバン・メイトと呼ばれる方々を県として養成します。このキャラバン・メイトが講師役となりまして、地域の方々や企業の方々などを対象に、認知症サポーター養成講座を行っていただきます。そういったキャラバン・メイトが自分の知識や体験を踏まえまして、認知症サポーターを増やしていくということでございます。

 認知症サポーターとなっていただいた県民の方には、例えば、自らが友人や家族に学んだ知識を伝える、そういった方々に地域で声を掛けていただくというような活動をしていただきます。

 また、企業関連の方を例に申し上げますと、銀行の窓口ですとかマンションの管理で高齢者に接する方にもサポーターになっていただきまして、業務の中で活用していただいています。

 キャラバン・メイトの7月末の数字になりますが、キャラバン・メイトが850人、認知症サポーターの講座修了者が約1万3,000人となっております。今後、認知症高齢者は増えますので、県としましては、こういった方々を一人でも多く増やしていくことが必要ですので、今後もキャラバン・メイトの養成を通しまして、サポーターの拡充に取り組んでいきたいと考えております。

内田委員

 1963年に老人福祉法ができたときは、まだ100歳以上の高齢者というのは153人だか154人だったんです。今年、100歳以上の方が3万6,000人に増えてしまったということでは、本当に、高齢者問題を考えておかなくてはならず、この認知症のケースもやはりウナギ登りだと思うんです。でも、サポートしていくこと自体、すごく困難なことが多いですし、大変なことだと思うんです。それをみんなでやっていかなくてはいけないというのが、これからの課題だと思うんですけれども、認知症の高齢者の方が不意にはいかいしてしまう例は多く、自分の居場所が分からなくなったり、今、携帯電話にもいろいろな機能はありますけれども、警察との連携、地域住民との連携、老人クラブとの連携など、いろいろな仕組みがこれからできつつあります。まだ完璧にできてはいないと思いますけれども、その中で、徘徊高齢者SOSネットワークというのがあると思います。この取組の状況と県の役割についてお伺いします。

高齢福祉課長

 徘徊高齢者SOSネットワークでございますが、これは市町村、そして県でいいますと、保健福祉事務所、そして警察、高齢者福祉施設、病院などが協力しまして、はいかい高齢者の早期発見、保護を行う仕組みでございます。県の保健福祉事務所が中心となりまして、平成11年度から13年度までの3年間で13のネットワークを構築いたしました。これに横浜、川崎などの保健所設置市の五つのネットワークを合わせますと、県内全域では現在18のネットワークが運営されております。

 ネットワークの仕組みは、はいかいのおそれのある認知症高齢者の情報を家族等から事前に市の担当窓口に登録していただきます。行方が分からなくなった際には、該当する市町村、次に属するネットワークで捜索しまして、見付からない場合は近隣や沿線のネットワークに協力を拡大して求めながら、関係機関が連携して捜索してまいります。また、登録されていない方でも保護される方はおりますので、保護されても身元不明である場合は、特別養護老人ホームなどの協力施設において、一時的に保護をいたします。

 こういったことで、はいかい高齢者が困らないようにということのシステムになっておりますが、県の役割といたしましては、ネットワークの所管を越える捜索や保護に関しては各保健福祉事務所、また東京都などの他の都道府県にまたがる場合には、本庁の高齢福祉課が該当するネットワークと連絡調整を行う役目を負っております。また、はいかい高齢者の事例分析や課題検討を行って、今後のネットワークの円滑な運営を支援していく、こういう役割でございます。

内田委員

 徘徊高齢者SOSネットワークの現状というのは、何か実数みたいなのは出てきていますか。

高齢福祉課長

 県が構築しております13のネットワークの実績で申し上げますと、平成19年度で、事前登録者は705名、捜索依頼のあった者が85名、そのうち81名発見できたということで、もちろん残りの方については引き続き年度を越えて捜索を続けております。

内田委員

 今後、増えていくのではないかということもありますので、更なるネットワークづくりが必要だと思います。

 その認知症高齢者を含めた見守り活動への県としての支援には、地域住民に身近な市町村の取組が、大事だと思いますけれども、県としてどのように市町村と連携を組んでいくんでしょうか。

高齢福祉課長

 こういった認知症の方の見守りについて、やはり身近な地域でということになりますので、市町村の中でも特に小さい地域を管轄する地域包括支援センターが把握に努めるというのが基本になろうかと思います。そういった把握をしていただきながら、民間で、例えば、民生委員や老人クラブの方々による友愛訪問、そして自治会活動など、様々な取組を同時に進めていただく。特に私どもとしましては、市町村が設置する地域包括支援センターが、高齢者やその家族、そして地域住民から様々な情報を受けますので、戸別訪問などをして、どのような支援が必要か、また適切な介護サービスが必要であれば介護に、また介護以外の様々な支援もございますので、そちらの方につないでいくと、こういった中核的な機関でございますので、こういった地域包括支援センターが重要な役割を担うと期待されております。

 そこで、県としましては、市町村と連携しまして、地域包括支援センターを中心に、既存のいろいろなネットワークを有効に結び付けまして、見守りが必要な高齢者のきめ細かい把握を行っていただけるように、具体的な支援方法について関係者と検討していくなど、地域の見守り活動の充実に向けて今後も支援していきたいと考えております。

内田委員

 市町村との連携については、県とのすみ分けというのが非常に難しいと思うんです。ですけれども、やはり高齢化社会ということで頑張っていただきたいと思います。

 もう一つ、昨日、神奈川新聞に、全国の公団住宅の孤独死の記事が出ていました。私は、孤独死の問題、ひとり暮らしの高齢者の見守り対策というか、安否確認とか、高齢者のひとり暮らしになれば、もう本当に心もとないんで、そういったところをすごく心配しているんですけれども、この記事では、公団住宅の孤独死が何と589人ということで、お一人で亡くなっていった方が、もう一人や二人というのではなく、この数に驚いてしまうんですけれども、我が日本の隠された孤独感というんですか、核家族になってしまったために、こういったものが社会状況として新しく現れてきたと思いますけれども、ここに書いてあることは、例えば、孤独死した589人の68%、403人が65歳以上の高齢者で、やはり高齢者にかかわる問題としては、孤独死の問題は、大きい問題として占めていると思います。内訳では、男性が389人、女性が200人と、男性の方が孤独死の割合は多く、この傾向は、神奈川県内の公団住宅にも当てはまり、2007年度は45人で、男性が39人、女性が6人で、男性の方が孤独死は多かったということで、1999年から2007年までの9年間の累計で、県内では364人が孤独死をしたことが出ておりました。

 多くの団地でも高齢化が進んでいて、公団住宅での孤独死問題というのは、今後も出てくるのではないかと思っております。一軒家もそうなんですけれども、こうした公団住宅はまとまっているので、行政の何らかの対策があれば、もしかしたら防げるのではないかと思っております。先日、狛江市の知人から電話がありまして、ひとり暮らしの高齢者の住居に配電盤にしかけを行政がつくって、安否確認をするシステムが導入されていると電話で教えてくれました。それについては、もう少し調べてみないといけないんですけれども、やはり行政として、県として、孤独死問題のことをどのように考えているのか、お伺いします。

高齢福祉課長

 孤独死問題ということですが、孤独死は残念な結果ということで、むしろ、亡くなるまでのことが大切である。日常必要な支援が届いていたのかどうか、特に介護が必要とされる高齢者の場合、日常の支援があれば、孤独死に至らなかったのではないということが大変大事なことだと考えております。

 特に都市部を抱える神奈川県といたしましては、各市町村からも、年数のたった団地の課題というようなことも個別にはいろいろ情報も聞いておりますので、今後、高齢者だけではなくて、中年の男性も多いということですが、先々、高齢を迎えたときということも含めまして、高齢福祉にとって大変課題だと考えております。

 いずれにしろ、対応としましては、地道な見守り、そして必要な支援が届くように、声掛けなり、地域包括支援センターを通じての相談、そして支援につなげるという、こういった日常の活動が大事だと感じます。

内田委員

 要望ですが、この間のネットカフェの放火の犯人は、「生きる気力がなくなった」と言っております。今こういう状況下にあって、男性も仕事を失ったりすると、やはり精神的に崩れてきて、あの場合は孤独死ではなかったんですけれども、孤独死につながるということもあると思うんです。

 弱い立場にいる高齢者のみならず、いろいろな意味で考えていかなくてはならない問題なんですけれども、高齢者対策の中に、そういった孤独死の問題もあるということを是非重点に置いていただいて、今度、かながわ高齢者保健福祉計画が改定されるということで、高齢者の持つ尊厳とか、そういった生き方のことなども、計画の中に是非取り込んでいただけると思いますけれども、将来を見据えた神奈川らしい先見的なかながわ高齢者保健福祉計画にまとめ上げていただきたいと要望いたします。

 

(休憩 午前1135分  再開 午後7時21分)

 

7 傍聴の許否について決定

  3件申請 3件許可

8 日程第1について質疑(両部所管事項も併せて)

 

内田委員

 懸案の受動喫煙防止条例骨子案について質問させていただきます。

 前回の常任委員会におきましては、各委員からいろいろな指摘、また今後の骨子案に向けての様々な案件が浮上いたしました。そこで、特に私が考えていきたいのは、昨年度は商工労働常任委員会に所属しておりまして、全会一致で可決しましたけれども、商店街活性化条例というのが4月に条例化されました。この商店街活性化条例と、そして中小企業活性化推進条例、こういったものなど、商店街のこれからの行方について何度も審査をしてまいりました。そんな中で、保健福祉部健康増進課の打ち出してきた受動喫煙防止条例との整合性について、私はいま一度深めていく必要があると思われます。この商店街活性化条例と中小企業活性化推進条例などの対象となる零細中小企業に対する影響というのは考えてこなかったのかということと、それから、これは飲食店のみならず、そういった全体的な商店の活性化にも影響してくる問題だと私は思っておりますので、その辺の他部局の条例に関しての整合性についてはどのように考えているのでしょうか。

健康増進課長

 委員御指摘のとおり、今回、提出させていただいた骨子案におきましては、学校や官公庁施設など、いわゆる代替性がないという施設については、禁煙とするという一方で、飲食店や宿泊施設などについては、施設の規模や中小零細企業を問わず、禁煙か分煙を選択していただくということで示させていただきました。

 ただ、こうした中小零細、小規模施設につきましては、本会議での代表質問や、厚生、商工労働の各常任委員会においても、現在の経済的な環境や、実際に多くの喫煙者が利用されているという観点から見て、厳し過ぎるという意見も伺いました。このままでは経営が成り立たないというような御意見も頂きました。そうした中で何らかの配慮を考えるべきとの意見を各会派から頂いたところでございます。

 こうしたことを受けまして、中小零細企業については何らかの検討をしていく必要があるという認識でございます。

内田委員

 話の内容は大体分かるんですけれども、神奈川県内に店舗は非常に多くあります。そして、隣の方に煙が充満しないような施設を造るためには、各店舗それなりの資金が必要となりますが、やはり支援策ありきで、こういった問題も罰則規定を設けるべきだと思いますし、その辺の飲食店や小さな店舗は死活問題です。要するに経営だけで大変であるという話が、川上委員からも出ていました。そして福田委員からも出ていますし、鈴木委員からも出ていますけれども、そうした支援策自体のことに関して、本当に県としては、まじめに考えているのか、もう一度お伺いします。

健康増進課長

 骨子案の段階におきましては、健康影響は、特に小さな店では受動喫煙の害が起きやすいというような指摘もございます。一方では、委員御指摘のような意見もございます。そうした中で現在も議論をいただいておりますし、またパブリック・コメント等の意見も踏まえまして、今後、検討してまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 そのパブリック・コメントなんですけれども、まだまだ、これは県民890万人の中で多分、パブリック・コメントというのは数的には非常に少ないと私は見ているんです。声なき声というのを本当に聞いているのかどうかということが問題であります。

 特に、商店街活性化条例、それから中小企業活性化推進条例など、そういった条例に逆行するのではないかとまで考えておりますので、その辺のところをこれからよく考えていって、骨子案を更にどうするのか考えていかなくてはならないと思います。

 そしてもう一つは、観光施策ですが、この4月に商工労働部内に、やっと観光の分野ができました。そういった中で、箱根だとか県境の湯河原とか、そちらの方は温泉施設がありますけれども、この間、鈴木委員の話に出ましたバルサン理論ですけれども、そして牧島委員が以前に申し上げた新幹線も、新幹線に乗っている人たちは、神奈川県に入ったら急にたばこを消さなければいけないのかとか、いろいろな問題があります。そういった中で、観光施策にも逆行するのではないかと思いますけれども、保健福祉部健康増進課としてはどのように考えているでしょうか。

健康増進課長

 そうした影響があるという懸念は、いろいろな意見交換の場を通じて伺っております。ただ一方では、受動喫煙対策をきちんととった体制をとるようにという意見と、様々な意見がございます。そうした中で、今後こうした議論も踏まえて検討していくというような状況でございます。

内田委員

 そうした観光施策のことも、是非考えていただきたいと思います。

 そして、猶予期間が3年という第2種の件、大体、第1種、第2種という、この辺の細かい内訳は私たちは全然、認めてないんです。この猶予期間3年というのは、何で3年なんですか。

健康増進課長

 基本的には、先ほど言いましたように、どうしてもそこへ行かなければいけない、官公庁施設もそうですけれども、そこへどうしても行かなければいけないという施設については第1種と、それ以外については第2種ということで分類させていただいております。

 ただ、パチンコ、バー等でございますけれども、現地視察におきまして、そうした利用者の喫煙率が非常に高いというようなこともございますので、利用者に対しても、そういう事業者に対しても、両者に対して理解をいただかないといけないということで、そうした中で取り組むという期間を3年ということに設定させていただきました。

 また、その間にそうした施設についても自主的に取り組んでいただけるように働き掛けてまいりたいというような考えで、3年という期間を設定させていただきました。

内田委員

 この3年というのが妥当かどうかは、私はちょっと計りかねるんですけれども、大体、この3年の間に各事業者にプレッシャーを与えるのではないかと思いますが、その間にちゃんと支援策というのを考えて、事業者の方の立場ということも考えていかれるんでしょうか。

健康増進課長

 骨子案の中におきましては、目指す方向というのは、先になりますけれども、禁煙という格好で、基本的な考え方で示させていただいた路線を踏襲していきたいというふうに考えております。そうした中で、一度には、利用者、事業者、両者になかなか理解が得られないということで、段階的に、3年の期間を設けて、その間に双方に理解を求めていくというような形で骨子案では示させていただいております。

内田委員

 私の方では、まちの美化という観点から見てみると、私の住む青葉区でも、まだまだ歩きたばこの人が多いんです。ポイ捨てなども結構多いんです。そういった観点をなぜ重要視しないで、国でたばこを売っている、その法を乗り越えて、はじめて禁煙条例として、やっと受動喫煙防止になりましたけれども、私はポイ捨てや歩きたばこの方がよっぽど問題だと思うんですけれども、その辺はどう考えているんでしょうか。

健康増進課長

 基本的には、この条例は受動喫煙の健康影響を防ぐということを目的にしており、歩きたばこ、確かに子供たちの目の前で火のついたたばこが行ったり来たりするというのは非常に危険だという認識がございます。ただ一方では、路上については、たばこの煙というのは、ある程度拡散するということで、拡散することによって受動喫煙の健康影響は、かなり薄まるという認識でございます。基本的には、先ほど言いましたように、屋内またはそれに準ずる空間、閉鎖空間においては、たばこの煙がこもりますから、そうしたものの影響を防ぐということが、この条例の目的でございます。そういう形で示させていただきました。

内田委員

 受動喫煙、煙による健康影響だとおっしゃるんですけれども、では、この骨子案の中で道路の規定というのはどうなっているんですか。

健康増進課長

 その目的から考えまして、道路というのは閉鎖空間ではございませんので、そういうところでの受動喫煙の害、健康影響というのは、閉鎖空間に比べれば少ないといいますか、そういうような状況ではないかと。ただ一方では、市町村の方で、幾つかの市町村では路上喫煙の防止条例ということが定められておりまして、その辺りの県と市町村のすみ分けという形で進めさせていただければというふうに考えております。

内田委員

 ここは道路の規定というのは入ってないということですか。

健康増進課長

 そのとおりでございます。

内田委員

 それはやはりある意味矛盾しています。すごくおかしいなと思うんです。一般的な立場からいうと、日本において、たばこの吸い殻が道に落ちている方が嫌だと思う人の方が多いと思います。

 もう一つは、最近、私もよく運動会など行くんですけれども、各小学校、中学校の校門に簡易に喫煙所が設けられています。生徒たちも、親御さんも、校門ですから、そこを必ず通るわけです。そういうパターンが青葉区では多いんです。けれども、かえって見苦しい。こういう風評があるんです。そのことを認識なさっていますでしょうか。

健康増進課長

 そういう声は私のところにも入っております。例えば、藤沢市民病院だとか北里病院は敷地内禁煙という格好になっていて、それこそ点滴を持った患者さんが外で吸っているというような声は聞きます。

 ただ、先ほども言いましたように、本条例の目的自体が受動喫煙ということですから、まず、ほかの人の吸うたばこの煙の健康影響と、何度もで申し訳ないんですけれども、そういうことでございますので、路上等での喫煙に対しては本人のマナーとかというようなところで対応していただきたいというふうに考えております。

内田委員

 先ほども申し上げましたように、商店街活性化条例及び観光施策、そしてまちの美化とか、そういったマナーの問題、そして教育の問題にまでかかわる、逆行している骨子案ではないかという感触を受けます。

 ですから、そういった喫煙所のことももっと考えるべきだと思いますし、喫煙所を造ることに関して支援をするなど、何らかの対策が必要だと思いますけれども、その辺はどう考えていますか。

健康増進課長

 確かに、私も香港だとかアイルランドを知事と一緒に視察してきて、大きな違いは、屋外の規制というのは、海外ではほとんどないに等しいというような状況でございます。ただ、日本では、先ほど述べさせていただいたように、路上喫煙防止だとか、ある地域を特定して、そこのところでは喫煙を禁止するというような条例がございますので、そうしたときに、何らかの形で、今回の骨子案では、喫煙所というものの設置は、1種、2種にかかわらず認めておりますので、そういうところで喫煙していただくというような形になるかと思います。

 ただ、そうした喫煙所に関しまして助成するかどうかということに関しては、先ほども言いましたように、原則的には禁煙ということを目的にしておりますので、そうした中で選択肢を広げるという意味で喫煙所も認めるという形にさせていただいたのが、この骨子案でございます。

 したがって、こういうものを積極的に進めるというような形とは考えておりませんので、そうした意味で、その助成については現時点では考えておりません。

内田委員

 やはり喫煙所のことも考えていかなければ、県民は多く、890万人の中でたばこを吸う人は20%から30%ぐらいだと思いますが、隠れて吸う人とかいうのも出てくるのではないかと私は思います。だれも吸わないなんて、そんなのはあり得ないと思います。

 そういった条例ができたとしても、守らない人がたくさん出てきたら、条例のできる意味というのはないと思うんですけれども、その辺についてはどう考えているんでしょうか。

保健福祉総務課長

 現在、受動喫煙防止条例の骨子案を御審議いただいているわけですけれども、これが今後、条例案を提案させていただいてお認めいただいたという形になりますと、やはり執行体制、こういった部分は当然確保していかなければいけないというふうに思っています。

 執行体制を確保する上で考えていかなければいけないのが、こういった受動喫煙の防止の関係で、健康影響だとか、それから防止の関係、いろいろ普及啓発を図っていかなければいけない、こういった体制が一つあるのかなというふうに思いますし、また、今回、骨子案でお示しさせていただいていますように、規制をし、義務をかけております。行政罰になりますけれども、その関係で罰則ということも規定をさせていただいておりますので、そういった部分での関係の執行体制、こういったものもしっかり確保していかなければいけないというふうに思っておりまして、こういった形で前回も御答弁させていただきましたように、青少年保護育成条例だとか、そういった部分もございますので、そういった部分も参考にさせていただきながら検討させていただきたいと、しっかりした体制をとっていきたいと考えています。

 ただ、大変厳しい状況でございますので、効果的な執行体制が組めるように、そういったことにも留意しながら検討していきたい、このように考えているところでございます。

内田委員

 前回、川上委員から憲法に触れる点の質問があったと思いますけれども、私もそれに賛同するんですが、一般的な意見としては、国の法律を超えて、なぜ一知事がたばこを禁止するような骨子案をつくっていくのかという批判を、一般の方から電話で頂きました。

 結局、神奈川県は、今後、税収が200億円減収という見込みであります。この状態は多分、2、3年続くと見込まれていますけれども、そういった中にあって、たばこ税のことも勘案しないといけないのに、保健福祉部としてはどう考えていますか。そういった税収の面やいろいろな面で連携がとられているんでしょうか。

健康増進課長

 まず、税収に関してでございますけれども、これはたばこを吸ってはいけないというような形ではなくて、たばこを吸うための、言ってみれば、社会全体の分煙といいますか、そうした社会全体の中でのルールづくりを目指しておりまして、こうした中で直接たばこの税収が落ちるというふうには考えておりません。

 ただ、仮にあったとしても、その額がどれくらいになるかということについては、現段階では明らかではございません。

 そうした中で、財政だとか商工だとかというところと意見交換をさせていただいて、今後、更に検討を進めさせていただきたいというふうに考えております。

内田委員

 本来であれば、この骨子案をつくる段階で、そういったものもしっかり数字を出してきて、どうするのか、どこで補てんをするかとか、そういったことも実は考えていかなくてはならない問題ではないかと私は思いますけれども、とにかくいろいろなところで雑誌とかテレビ、それから各党のパーティーなどに参加していらっしゃる知事ですけれども、その場面、場面で、禁煙条例、禁煙条例とアピールをするのは結構なんですが、やはり議会を重視していただきたいと思います。

 そうやって国の法律を超えた上で、こういった条例を出してくるということは、既に国へ働き掛けているということで認識をしてよろしいんでしょうか。国には実際どのような働き掛けを行っているのか、詳細に説明していただきたいと思います。

健康増進課長

 県といたしましては、国への要望ということで、平成18年度におきましては、がん対策の総合的な推進という項目として、たばこ対策の強化ということで、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約に沿って必要なたばこ対策の強化を図ることということで申入れをさせていただいております。さらに、平成19年度におきましては、同様に、たばこ対策の強化ということで、先ほどの枠組条約に沿って、必要なたばこ対策の強化を図ること、さらに健康増進法に規定する受動喫煙の防止について、より実効性の高い措置を講ずることということで要望させていただいております。さらに平成20年度におきましては、先ほどのたばこ規制枠組条約に沿って、禁煙支援の取組や受動喫煙防止対策など、必要なたばこ対策の強化を図ることということで申入れをさせていただいております。

内田委員

 最後にお伺いしますけれども、国へ出した要望に関して、県への回答はどうだったでしょうか。

健康増進課長

 それぞれの要望についての回答は頂いておりません。

内田委員

 それぞれの要望に関しての回答を頂いてないということで、知事がかなり先導してやっているのではないかと私は思いますし、この間も申し上げましたように、職員のだれ一人批判する者がいないというふうに書いてあった雑誌がありました。そこも間違っていると思いますし、その辺の声なき声というのを本当に聞いているのかどうか、そういうところが私は一番問題だと思いますので、是非、今後とも県民の声をよく聞いて、まだまだこの骨子案には不明瞭なところもたくさんあります。

村上委員

 9月定例会の常任委員会は今日でおしまいで、今、内田委員の質疑を聞いていても、条例をつくるということであれば、もっときちんと理論武装をして、私は知事ではないから、大きなお世話ですけれども、破たんが見えるような答弁ばっかりだと断定をせざるを得ない。

 内田委員の最後の質問も、この前の委員会のときに、私は聞いたが、知事の国への要望の中で、平成18年、19年に4行しか書いてない。国へはこれだけで、受動喫煙防止条例を提案するのか。県民にあるいは議会の審議に付するのか。何もやっていないのと等しいではないか。国に4行を上げる、これだけのことしかやってないというのが一つあると思います。

 それから、前回の委員会の質問の中で、公明党の鈴木委員が言っていたように、コストや分煙の方法などが入ってないこの骨子案でパブリック・コメント、県民意見募集をしたり、議会に骨子案を提案する、こんなことで合意形成なんか得られっこないというようなスタイルで今日まで来ている。こういうことを聞くと、我々をおちょくっているのではないかとしか思えないような感じがいたします。

 それから今の不真面目なのは、道路の路上については「道路はどうぞ」と言っているような答弁がありました。幾つかの市町村、これも協議なんかしているわけではなくて、幾つかの市町村にお任せします、道路はどうぞ、こういうような健康増進課長の答えでありました。これもまた無責任のきわみと言わざるを得ないと思います。

 それからもう一つ、施設助成というようなことは考えていないというような発言が健康増進課長からあったと思いますが、ここら辺のところなんかも骨子案の中に一切含まれていない。

 こういう条例そのものが破たんしているような条例を、何でパブリック・コメントで県民の合意を得るのか、議会の合意を得ようとしているのか、さっぱり分からないということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思います。

 質問をさせていただきますが、今、内田委員も触れましたけれども、10月5日の報道で知りましたが、知事の発言についてお尋ねをしたいと思います。

 まとめてお尋ねしますから、まとめて感想とお答えを頂きたいと思います。

 まず、この神奈川新聞の10月5日の記事ですが、「知事は、小規模の民間施設について何らかの激変緩和措置を取る考えを知事は初めて表明した。条例に反発する飲食店関係者らに配慮する形で、条例成立への理解を求めた。」という前段が記事にあります。そして、知事の具体的な言葉として、飲食店を指しているんでしょうか、あるいは小規模店、飲食店なんでしょう。知事は、「わたしたちも(そのような声を)十分聞いている」と理解を示した上で、「そういう施設については何らかの激変緩和措置やサポートできる仕組みを考えていきたい」、こういう発言をしています。

 このことについて、まずお尋ねをしておきたいと思います。

 激変緩和措置とは何か。これが知事の発想の中にあって、今日の保健福祉部の幹部の人たちがそれを承知しているとしたらば、それについてお尋ねをしたいというふうに思います。

 私たち議会は、6月からずっとですが、この骨子案全体に欠陥がある、こういう指摘をしているんです。そもそも一つの条例をつくるのに、クリアしなければいけない大きな問題がたくさんあります。内田委員がお尋ねしたのも、その幾つかのことをお尋ねしました。クリアされているとは決して思えません。

 しかも、条例を県が出すというのは、健康増進法だけではなくて、保健福祉部だけでなくて、商工行政から、税収の面から、すべからくあるということですが、商工労働常任委員会の委員に聞いても、総務政策常任委員会の委員に聞いても、それぞれの常任委員会でこの種の質問をしているんですが、横の連絡は全然とれていないと、こういう返事が返ってきているそうであります。

 これらは幾つか複合的に関連して、県民に合意を得ようとしているわけでありまして、ここら辺のところは、健康増進課長は全く健康増進課のことしか言わない。アイルランドと香港しか行ってない。両方とも行ったけれども、ふざけていると思います。

 これ以上述べると、この前からの牧島功議員の鋭い質問にきちんと皆さんが答えられないことになってくるので、今日は省きますけれども、飲食店等ということは一つの例で、私もこの前、発言をさせていただきました。しかし、これは顕著な例ですけれども、先ほど内田委員が言われましたように、この条例の骨子案の中で、第1種、第2種という施設の分類についても、私はおかしいと思っているんです。しかも、そういうことを認められないという上で議論をしてきたつもりであります。それがここの知事の激変緩和ということとどう関連するのかということを質問の二つ目としてお答えをいただきたいと思います。

 質問の三つ目でありますけれども、神奈川新聞のこの記事の中に、これは新聞記者の感想だというふうに読む方が正しいんでしょうけれども、心配があるんです。この記事では、「具体的には、パチンコ店などと同様に猶予期間を設ける可能性が強い。」と、小規模店舗のことについて、3年の猶予期間を設けるという意味なんでしょう。可能性が強いと書いてあります。

 これは記者の感想なのか、あるいは当局あるいは知事の考えなのか。激変緩和、このことについて、今の質問で最初に言いましたように、1種、2種も認めていない中で、なぜいきなり、「パチンコ店などと同様に」という言葉が出てくるのは、神奈川新聞の勝手なことなのか、と思うのは当然だけれども、神奈川新聞には169万円で紛らわしい意見広告を出しているんです。知事の発言を広告ではないみたいに書いて出しているんです。知事のコマーシャルらしい記事を出した新聞が、こういうふうに書くと、知事と神奈川新聞とは連絡がとれているのではないかと記者に聞きたいところでありますが、記者に聞くわけにいきませんから、答弁をしていただきたいと思います。神奈川新聞と結託して、世論誘導をやっているのではないかというふうに思っているわけであります。

 もう一つ、四つ目になりますが、先ほど内田委員が質問した中に助成制度の話が出ておりました。今日、知事の選挙時のマニフェストを見ると、がん対策のところで、分煙措置のための助成制度を設けたいと書いてあるんですが、骨子案を含めて、6月の議会でも、この助成制度のことについて聞いたことがありません。何も触れていません。これをやることが激変緩和のうちなのか、お答えを頂きたい。助成制度の予算化について、1種、2種に、どの程度するつもりなのか。

 ここら辺の4点について、私は、知事の発言といい、この委員会での答弁といい、県民に不安と不信と対立を生じさせるものというふうに思います。

 何本も、何本も、おまえはけしからんという電話がかかってまいりました。昨日もかかってきました。「村上は、神奈川新聞の記事を見ると、たばこ組合から政治献金を受けているんだろう」と、こういう質問も昨日ございました。念のために言いますけれども、一切受けておりません。「一切受けていません」と言ったら、電話をがちゃんと切りました。

 こういうふうに県民の中に、本当に不安だとか、対立だとか、そういうことを生じさせて、何がおもしろいんですか。もう少ししっかりとした条例をつくれとは言いません。やめてしまった方がいいとさえ思っているんですが、明確にこれらの点についてお答えをいただければ、有り難いと思います。

保健福祉部長

 今、村上先生から4点にわたる御質問をいただきました。まず冒頭、若干コメントさせていただきたい点は、受動喫煙防止というものの、そもそもの取組が、なぜ出発したのか、なぜこうした取組をスタートさせたのかということについては、先ほど国への要望の中には、枠組条約等を書いてございますけれども、それはそもそもの題でいきますと、「がん対策の総合的な推進」、つまり、がん対策を推進していく上で、やはりこうした取組が必要だという認識からスタートしているものでございます。

 そして、実は、そうした中で、昨年、総合計画の実施計画にきちんと位置付けをして、その中で取組を始めたといったことが具体的な一つの経過の中にございます。

 まず第1点の御質問の、神奈川新聞での取り上げの問題につきましては、この9月定例会の代表質問で、小規模に対する、ある意味ではセーフティネットをどうするんだというふうな質問の中で、知事の答弁の中では、それは今後、小規模についていろいろと配慮しなくてはいけない点があることから、検討していくというような形での答えをさせていただいてございます。

 それは、当然のことながら、今までの経過の中で、そうした飲食の関係あるいはホテルの関係、旅館の関係、あるいはいろいろな県民の声としてのパブリック・コメントもそうですし、それからまた、いろいろな業界との意見交換の中でも、そうした声が非常にあったということで、今後検討していかなければいけない。ただ、骨子案の中では果たして、小規模をどうとらえるか、小規模を一体どういった基準で考えていくのか、そこについては、私どもとすれば、まだまだ一つの結論を得られるわけではなくて、小さいところであっても、受動喫煙の可能性が非常に高いんだといったことの認識の中で、今回の骨子案については、そういったことを整理せずに出しました。ただ、そうした中で5日の新聞にあったように、知事は、私ども、こうした常任委員会の意見も踏まえて、前々からの一つの課題だというふうなことの認識の中で、激変緩和措置とそれをサポートする仕組みづくりを考えていきたいと、こういうような形で申し述べたといったところが経過だと思ってございます。

 例えば、激変緩和にしても、サポートする仕組みづくりにしても、私も明確に知事に直接、その中身についてどうなのかといったことをお聞きしたところでは、具体的な内容までは、もちろん私どもとの詰めもしてございませんので、そうしたことは、今後、詰めていきたいということでございまして、特段、その場では指示はなかったと、これが経過でございます。

 したがって、私どもとすれば、この激変緩和あるいはそれをサポートする仕組みづくり、こうしたことは、今やっていますパブリック・コメントあるいは業界からの意見照会、こういったことを含めて、今後検討していきたい、こういうように考えてございます。

 それから二つ目は、冒頭に先生のお話にありました横との連携の問題、これは今回この条例につきましては、私自身の認識もそうでございますけれども、単に健康だけの問題ではなくて、これはもちろん税収にも関係してくる、あるいは商工の関係での商店等に対する影響もあります。こうしたことから、それだけではなくて、まだまだいろいろ考えていきますと、対象の施設は神奈川県にある施設でございますので、そうした意味では、各方面にわたる様々な関係もあるでしょう。そうしたことから、部局連携のための会議をつくり上げました。政策会議の議論をいたしましたけれども、別に検討会を持ちまして、そこでの情報共有、課題共有と、まだ課題のいろいろな提案といったことで検討してきたといったこともございます。

 その中で、1種、2種というふうな形の分け方をしましたのは、一律に禁煙にすることについて、全面禁煙というのが一番最初の基本的な考えであったわけでございますが、これは一律に禁煙することについては妥当でない面が多々ある、例えば、我々がどこどこに行くといったときに選択ができる施設と選択ができない施設として、これははっきりと分けるべきであろう、これが根っこでございます。加えて、病院ですとか、福祉施設ですとか、そもそも健康ということを考えなければいけない施設、こうしたものについても、当然のことながら、禁煙で行くべきである。それから同時に、学校ですとか、そういったところについても、教育的な配慮等々を考えていきますと、そうしたものについても、やはり禁煙というふうな形で、少なくともそういった施設と、それからレストランあるいはホテル、こういったような民間施設、ここでは、逆に言えば、選択できるということから、分煙、つまり喫煙できるところと喫煙できないところをきちんと準備すれば、喫煙する方は喫煙できるところに行く、それからまた逆に、禁煙派の方については、禁煙のところに行く、こうしたことで分離をすることが妥当なのではないかということで、大きく1種、2種というふうな分類をさせていただいたわけでございます。

 ただ、2種の中にあっても、これはまだまだ実際の利用客等でいきますと、たばこを吸われる方が多い、そしてもう少し時間をかけてきちんと議論あるいは啓発等をしながら理解をしていただく、そういった施設が限定的にはあるのかと。特にその中では、未成年者そのものが利用することが想定されてないパチンコあるいはバー、こういったものは、やはり別に扱うべきであろうということで、2種の中にあるんでありますけれども、これは若干その時間ずらしをしながら、啓発等を含めてやっていくことで理解をしていただこうということで、1種、2種、そしてそのうちの、いわば例外的なものと、こんなような分類をさせていただいたということでございます。

 ただ、それが知事の激変緩和といったことの話について言いますと、それは、激変緩和といいますか、今回の受動喫煙防止ということを実際に実行あらしめるために、どういうやり方がいいのかということの一つの工夫であるということと同時に、先ほどるるございます憲法の問題あるいは法律の問題、そういったところの権利の抵触といったところも背景として考えて、そうした取扱いをさせていただいたといったことが背景にございます。

 それから三つ目の御質問でございますけれども、これはパチンコ等についての猶予期間、それと同じような形にする可能性というような記事があったというふうに、私自身もその記事を読ませていただきましたけれども、ただ、これはあくまでも、私は、憶測記事だと思ってございます。これは知事そのものがそうした指示もしてございませんし、当然のことながら、それを踏まえての話というふうには、私は理解してございませんので、これは大変恐縮でございますが、そういうふうに言わざるを得ないというふうに考えてございます。

 それから最後に、助成制度とマニフェストの関係については、私自身も改めてそのマニフェストについて調べてみました。確かに11の条例のところには全く書いてございませんけれども、がん対策の中では、今の受動喫煙といいますか、その中では禁煙条例が入ってございますけれども、それについては、そうした助成制度についても検討するような含みもございます。

 ただ、これは助成制度そのものについての検討ということでございますけれども、これはマニフェストでございますので、私ども、それを踏まえてどうということではなくて、あくまでも総合計画の中での実施計画に位置付けた条例、しかもその条例というものについていいますと、義務が含まれている条例、そういう中で禁煙を目指していく、禁煙を目指すというのは受動喫煙防止で、室内での禁煙を目指していく、そういった受動喫煙防止を目指していくという姿の中に、助成すること自体、例えば、分煙設備にしましても、あるいは喫煙所にしましても、そうしたこと自体が果たして義務を課しながら、もう一方で助成をしていくという姿が果たしてどうなのかといったようなところが大きな疑問としてございます。それから、また同時に、そもそも、そうしたところに県民の税金を投入することが果たしてどうなのかといったようなところの議論もございます。

 そうした意味では、これについては、今後、サポートする仕組みづくりということでの議論、これも恐らく助成ということでいえば、そういったことも当然のことながら、その中には入ってくると思ってございますので、どういう形で、私が今言いましたように、そもそも健康増進法で努力義務であるにしても、それについて助成すること自体についてどう考えるかということの基本的なことも含めて、これはきちんと議論をしていかなければいけない。

 ただ、その一方で、先ほどあった激変緩和ですとか、サポートする仕組みづくりですとか、こういったことの検討も当然していかなければいけないということでいきますと、その中で、どういった形の在り方が考えられるかなというのは、十分いろいろな角度から詰めていかなければいけない議論であろうというふうに思ってございますので、この点につきましても、今後、きちんとした形での整理をして、当然のことながら、先生方をはじめとしまして、県民の方々にきちんと提示をしていきたい、こういうふうに思ってございますので、今後、そういったことについて十分詰めていきたいというふうに思ってございます。

村上委員

 もうこれ以上、質問いたしませんが、結論みたいな、私の考えを、この定例会でのことを申し上げると、非常に不愉快なところがあります。最近の県の手法なんでしょうか、実施案、骨子案、素案、条例案と、こういう丁寧といえば丁寧だけれども、一つ一つが真剣にとらえられていなくて、議会や県民の意見を聞くというのは、格好はいいけれども、パブリック・コメントも、これは2度目でしょう。しかも、最初にはマニフェストに書いてある禁煙条例という打ち出し方をしてきて、禁煙条例ということで喜んでしまった人たちも一杯いるわけです。それから、禁煙条例ということで、困ったなあという人たちも一杯いるわけです。そうしたら、それがいつの間にか受動喫煙条例、うちでも「それがいいよ」と言った人が隣にいるけれども、そういう方向に行ったりしながら、様子を見ながら、人を試しながら、こういう形で進んできて、さっき言いましたように、県民の中に不安や対立を生じさせるという、こういう方向へ現在来ているというふうに思わざるを得ないんです。

 賛否両論、我々の議員のところへ電話をかけてくる。これも私ども、議員という務めですから、丁寧に応対をしていますが、非常に感情的になっている人たちがいる。特にお医者さんだとか学者みたいな人だとか、モンスターペアレントみたいな人だとか、こういう人たち。先日、子供を金井高校という高校に通わせていたら、その高校の先生が32歳で受動喫煙で死んだというんです。金井高校に電話をかけてみようかと思ったんだけれども、たばこの煙がよそから流れ、だから職員室でたばこが流れたのか本当にそれを聞いてみようと思った。その人は、立て続けに「私の知っている人で5人、受動喫煙によって亡くなった」と言いました。丁寧に説明しようとすると、もう、ばか呼ばわりであります。

 どうも聞いてみると、うちの議員さんたちのところに随分、両方の方、あるいは中間の方も含めて、電話もかかってきている。これらは知事がマニフェストに最初、全面禁止条例と書いて選挙をやって、そして、この間まで全面禁止条例だったが、これが都合悪くなると変えていくという、こういう形のものに、私は不信感を持っているということを申し上げて、今日の質問を終わります。

内田委員

 私も最後に、やはり商店街活性化条例や、先ほども出ました観光施策、そしてまちづくりの美的観点からしても、やはりこの骨子案の中には、まだ不足の部分が多々あると思われますので、是非ともそういったところで連携をとって、逆行しないように考えて、条例化するならするということを真剣に考えていただきたいと思います。

木村委員

 ただいまも議論をさせていただいたところでございますが、今定例会において当局から神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)骨子案が示され、当常任委員会でも様々な議論がございました。この条例は、受動喫煙の防止を目的としておりますが、仮に施行されますと、たばこ税といった税金関係や、また飲食店などの産業振興関係など他の常任委員会の所管事項にも大きな影響が及ぶものと考えられます。

 そこで、我が会派としては、12月定例会までの間に連合調査会の開催など積極的な議論の場を設けていただくよう、正副委員長にお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 

(議事取扱いを正副委員長一任)

(日程第1及び両部所管事項について質疑を打ち切り)

9 日程第1について採決

10 日程第2陳情を議題・審査

 (1) 質疑等

  陳情第68号関係

    (2) 審査

11 日程第3閉会中における調査事件

   当委員会の付議事件については議会閉会中調査を継続すべきものと決定

12 審査結果報告書等の案文委員長一任

13 意見書案等の協議

14 閉会中における委員会の開催について協議・決定

  1120日に開催することとし、運営方法等については正副委員長一任と決定

15 閉  会