平成20年  決算特別委員会 - 1029日−01

平成20年  決算特別委員会

◎《委員会記録-20081029-000006-決算特別委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(曽我部・松尾の両委員)の決定

3 日程第2を議題(一般会計歳出決算のうち、第5款民生費、第6款衛生費、第7款労働費、第9款商工費、第10款土木費、第11款警察費、第13款災害復旧費及び特別会計歳入歳出決算のうち、災害救助基金会計、母子寡婦福祉資金会計、介護保険財政安定化基金会計、中小企業資金会計、流域下水道事業会計、県営住宅管理事業会計、都市用地対策事業会計)

4 同上質疑

 

内田委員

 まず、喫緊の課題でございます、主要施策説明書の82ページに、安全で良好な生活衛生の確保の記載があります。食の安全・安心に関しましては、様々な事件の頻発、ギョウザ事件から始まり、いろいろな薬物の混入事件、そして食品表示の事件など、今日の朝の新聞にも出ておりましたけれども、こういった問題が国民そして県民の意識がここ数年で高まり、国はもとより厚生労働省をはじめ、各行政の対応が迫られているということで、我が県においても、食の安全・安心に関しては、厚生及び環境農政常任委員会でも議論の真っただ中であり、条例化を目どとして、現在大きな変わり目に位置しており、喫緊の課題ということで、この点について何点か質問させていただきます。

 まず、昨年度までの食品の安全性についての調査や検査など、県で行った具体的な取組状況と平成19年度の調査委託費等、県の食品にかかわった調査及び検査にかかわった事業費の決算額についてお伺いいたします。

生活衛生課長

 まず、食品の安全性につきましての検査及び調査につきましては、食品衛生法に基づく規格や基準に適合しているかどうかを確認する検査と厚生労働省から委託を受けて実施している実態調査等がございます。具体的に申しますと、加工食品に使用されている食品添加物が使用基準に適合しているかどうかといった検査や食肉に食中毒の汚染菌などがあるかといったような実態調査がございます。

 次に、平成19年度に行った調査委託費用でございますが、食品由来ダイオキシン類1日摂取量調査を民間の検査機関に委託いたしておりまして、この調査は県内流通食品から県民が1日に摂取するダイオキシン類の量を把握いたしまして、国が定める耐容1日摂取量と比較を行うものでございまして約250万円となっております。また、直接食品の検査に使用した主な事業費の決算額といたしましては、輸入食品の検査事業費といたしましては275万円、食品検査事業費が616万円、遺伝子組換え食品検査事業等が680万円となっております。

内田委員

 そのように食の安全性に関しては、輸入品なども含めて残留農薬検査や、また、今、申し上げていただきました食品添加物、そのほか遺伝子組換え食品、それから化学物質、食肉などに使われる医薬品の基準値、それからまた、ウィルスの検査など多岐にわたると思います。その検査を県では、神奈川県衛生研究所やまた食肉の検査所などで行っていると聞いておりますけれども、昨年度はどの分野でどのぐらいの検査を行ったのか、おおまかな部分をお伺いしたいと思います。

生活衛生課長

 平成19年度に衛生研究所で実施した食品の検査でございますが、まず、輸入食品を728検体検査いたしまして、3検体の表示違反を発見しております。また、残留農薬や動物用医薬品の検査につきましては、合計で357検体実施いたしまして、また、遺伝子組換え食品の検査につきましては90検体、カドミウムや水銀といった化学物質の検査につきましては27検体を検査いたしましたが、これらにつきましては、いずれも食品衛生法の基準に違反するものはございませんでした。

内田委員

 いろいろな試験はあると思いますけれども、今後、県内でも更に問題が起こらないように検査を行っていくというのが、私は一番問題を防ぐための方法だと思います。

 今後、県独自でも、中国製品など輸入品の抜打検査や輸入業者への注意喚起の施策展開を、今までより、より厳しく行っていかないといけないと考えますけれども、様々な検査をしていくこと自体に限度はないのかということと、食品の調査や検査の民間業者もたくさんございますけれども、民間への委託というのは、現時点では県としてはどのように考えているのか見解を伺いたいと思います。

生活衛生課長

 輸入食品の検査につきましては、平成19年度は農産物だとか食肉、あるいは魚介、あるいは加工品につきまして728検体の検査を実施してございます。平成18年度は668検体ということで、約10%、平成19年度は増になったわけでございますが、これは例えば類似予算の範囲内で、輸入食品の検査を重点的に行ったことによるものでございます。

 このように効率的あるいは効果的な食品の検査を計画的に実施しているわけでございますが、これらの検査につきましては、当分の間、特殊な検査やあるいは緊急の検査をやっていただくこともございますので、衛生研究所で検査を行ってまいりたいと考えております。

内田委員

 当分の間はということで、更に衛生研究所の方の充実を求めますけれども、次に県としては検査対象品目を精査し、各期間、各テーマをもって独自に、県内に流通する食品の危険性を事前に察知、それから調査していくことが今後求められると思います。今までのやり方とは違って、食品の安全性についての監視体制も更に整えつつ、重要視していくことが求められると思いますが、この辺の見解と、それからまた、横浜港など、輸入港を抱える県としましては、輸入食品の安全対策もかなり重要になってくると思われます。輸入食品全般に対して県としてのこれまでの取組を伺いたいと思います。

生活衛生課長

 まず1点目の御質問でございますけれども、県内の食品工場に対する監視指導や県内に流通する食品の抜取検査につきましては、従来、保健福祉事務所で行っておりましたが、食品製造技術の高度化、食品流通の広域化等がありまして、平成19年度にこの監視体制を見直したところでございます。具体的には、県内の食品工場のうち、広域に流通する食品を大量に製造する施設に対しまして、重点的あるいは専門的に監視指導を行うとともに、輸入食品等、広域流通する食品の流通実態調査を把握するとか、あるいは効果的、効率的な抜取検査を行うために、平成20年度からは本庁に、生活衛生課の中なんですけれども、食品衛生専門監視班というのを設置いたしまして、保健福祉事務所との適切な連携の下に監視体制の強化を図ったところでございます。

 また、食品検査の強化といたしましては、消費者の関心が高い残留農薬と動物用医薬品検査におきましては、平成18年度から毎年度検査可能なものになりますけれども、対象農薬を増やして強化を図っているところでございます。

 また、2点目の御質問ですけれども、輸入食品の安全対策につきましては、県内に流通している輸入食品の抜取検査を行っているほか、いわゆる水際対策といたしまして、国のやっている業務もございます。神奈川県におきましては、厚生労働省の横浜検疫所や東京検疫所川崎検疫所支所がございまして、県内の五つの保健所設置市を加えて構成している輸入食品衛生連絡会を開催いたしまして、輸入食品の安全確保に向けた情報交換を行い、連携を図っているところでございます。

内田委員

 今日の神奈川新聞にも賞味期限偽装の発覚の記事がありまして、何と、200510月の賞味期限を200810月に変えたという、とても恐ろしい事件だと思うんですけれども、こういった消費者に分かりにくいのが食品表示であり、偽装なども起こりやすいと思います。

 アレルギーを持った子供が、アレルギー物質の適正ではない表示を信じて、誤って口にしてしまったら、重大な症状を引き起こすということもございますので、食品表示の適正化を図るための監視、検査、指導についての県の取組について伺いたいと思います。

生活衛生課長

 委員言われましたように、食品の表示につきましては、アレルギー物質表示のように、健康被害の発生防止といった観点はもちろんですけれども、食品添加物の表示のように、消費者が食品を選択する時の判断材料として重要な役割を果たしております。また、食品表示は食品事業者と消費者をつなぐ重要な伝達媒体でございまして、両者の信頼関係の上に成り立っていることから、食品事業者による偽装がなされた場合、食品事業者、消費者の信頼関係が失われ、食の安全・安心の確保に大きな支障を来すと考えております。こうしたことから、県といたしましては、適正な食品表示の確保に向けて食品事業者に対する監視、指導等を強化するとともに、万一違反等が発見された場合には、必要に応じて庁内関係各課や国等との関係機関と連絡を図りまして、改善させるなど適切な対応をしてまいりたいと思っております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 県の目指す食の安全・安心の条例化の前にも、食の安全推進会議や県民会議などで食品表示の偽装問題など、テーマ性を持って議論が重ねられてきたことは承知しております。また、シンポジウムの開催など積極的に行われ、それだけに県民の食の安全性に関する意識は非常に高くなっているというのは事実です。

 県行政としましても、食の安全・安心に関しましては、ここを一番の転換期だと考えるべきであり、特に検査、監視、指導と情報伝達の環境を整え、迅速に対応していけるように力を注いでいただきたいと思います。

 続きまして、喫緊の課題であります、最近事件になりましたけれども、東京都の墨東病院の方で脳内出血の女性が3日後に死亡してしまったという、たらい回しの事件がございました。これを受けまして、私の方でもこの案件を取り上げたいと思います。

 県内でも、最近ですけれども、ちょっと記事に載っていましたけれども、救急隊が受入れを3回拒否されたのは2007年は187件もございました。2004年と比べると2倍も増えています。この受入拒否という問題ですね。4時間立ち往生もございました。30回目の問い合わせでやっと受入病院が決まったという20代の女性の方もいたということです。ですから、東京都だけの問題ではなくて、神奈川県としてもこの周産期医療やまた医師確保の課題というのは本当に喫緊の課題ということになると思います。

 主要施策説明書を見ますと、67ページに福祉人材の確保・定着の記載、そして、81ページに保健・医療人材の確保・定着の記載があります。この点について何点か伺います。

 まず、産科医師不足に関しては、1022日の当決算委員会においても、各委員から質問項目にあがりました。

 9月定例会で可決しました神奈川県産科等医師修学資金貸付条例のような、長期的な観点からの施策はもちろん重要でございますけれども、医師養成には非常に時間がかかります。

 平成19年度の産科医の医師確保について、県としてはどのように取り組んだのか伺いたいと思います。

医療課長

 まず、平成19年度には、県医師バンクの運用を開始し、離退職された産科の先生方の再就職への支援ができる体制をつくりました。さらに、本県では、周産期救急の受入れを病院側もタッグを組んで行っているんですけれども、患者さんの受入れの調整をやってくださる先生が診療をやって、調整の電話もかけるという、負担が非常にかかっていたんですけれども、そこで、県は、その部分をお医者さんの指示をもらいながら、代わりに行う取組を始めました。これは、産科医師の負担を軽減し、働き続けていただくための対策として役に立っていると考えております。

内田委員

 ニュースで見たんですけれども、全国の周産期医療センターの情報システムがまだまだ未熟であり、全国の70%以上が機能していないといった回答があったんですね。ですから、神奈川県としても、まだまだ充実させるのには、いろいろなことを考えていかなくてはならないと思います。そして、さらに医師バンクにつきましても、産科だけではなくて、小児科の方も結構足らないというようなことを聞いておりますけれども、例えば、長野県の伊那中央病院や埼玉県の志木市立病院など、中心となる病院の勤務医の過酷な労働を支えるために、夜間7時や8時から2時間及び3時間だけ、近辺の地域の開業医が交代で助っ人として軽度の患者を診察する連携が4月より導入され、常勤医の負担軽減になっております。

 小児科は意外とコンビニ感覚で来てしまうような親御さんがいらっしゃいまして、夜間の患者も多く、その9割が軽度ということです。いざという時に重篤患者を診られなくなってしまうといった問題も生じますので、救急車の利用も同じことが言えるんですけれども、県では小児科医師対策についてどのように取り組んだのかお伺いしたいと思います。

医療課長

 多忙な小児科医に関する対策ということですけれども、まず、県では軽症の患者さんが夜間に小児科の先生に集中しないように、看護師さんが電話で、すぐにお医者さんにかかった方が良いかなど、そのお子様の御両親からの相談に応じる取組をしました。さらに、県も支援をさせていただいています休日・夜間急患診療所などでは、開業医の先生が患者さんをそこで御覧になることによって、病院の小児科医の負担の軽減に役に立っていると考えております。

内田委員

 次に、先ほど申し上げました周産期医療体制の整備についてですけれども、全国的に見ても、そして整っていると言われている東京都であっても、NICU、集中治療室が満床の場合が多く、足らない状況でございます。

 県でのNICUの状況はどうなのかということと、また、緊急を要する周産期医療体制の整備について、県としてはどのように取り組んできたのか伺います。

医療課長

 まず、1点目のNICUの状況ということなんですけれども、県内のNICU数は、平成18年9月の時点で130床、平成19年度には134床、平成20年度には149床と、徐々ではありますが少し増えて推移しております。

 次に、県の取組ということですが、まず、県では保健医療計画において、NICUの充実を掲げております。具体的に、平成19年度は周産期救急医療対策費補助ということで、ちなみにこの予算額は1億1,400万余円ということになっているんですけれども、県の周産期救急システムの中核をなす聖マリアンナ医大ほか14病院に運営費の補助を行っていまして、この運営費の補助はそれぞれの病院のNICUなどの数を基に行っているという状況です。そのほかに、NICUなどの施設や設備に対する支援を実施しております。

内田委員

 1億1,400万円余りということで、投資しているということになります。

 今回の東京都の事件は、重篤な合併症も原因の一つだと聞いております。産科とほかの科、例えば脳出血や心臓など母体の病気との連携について、国レベルでもまだ確立されておりませんが、そうした合併症など救急医療と周産期医療の相互的な連携の取組状況と、今後、県でどう考えていくのかということを伺います。

医療課長

 合併症の場合は、相互的な連携については県も大切だと認識しておりまして、具体的に県の取組なんですけれども、現場の関係者の方々に利用していただいている県の情報システムの中で、産科の応需情報、応需する病院側を入力する情報があるんですけれども、産科の応需情報に加えて、母体救急の応需情報というのも産科の病院に入力をしてもらって、関係者の方に利用してもらっています。それで、冒頭申し上げました受入れの調整とかをやる基幹病院が、受入先を探す場合に、情報センターに頼むんですけれども、その時にも合併症の有無を情報センターに伝えて、その情報センターは、先ほどの母体救急の応需情報も入ったシステムを利用して探しているという状況なので、病院探しの段階で合併症も考慮したものになっておるということです。

 今後、このように現場の皆さんと協議しながら、更に良い連携方法について考えてまいりたいと考えております。

内田委員

 東京都のような、同じような問題が起こらないようにということをお願いしたいんですけれども、県内には総合周産期母子医療センターは4箇所のみと聞いていますけれども、2012年までに5箇所にする目標があると聞いておりますけれども、その進ちょく状況などは分かりますでしょうか。

医療課長

 進ちょく状況ということなんですけれども、まだ具体的にここで申し上げられるような進ちょく状況はないのですけれども、御相談という点では何点か頂いたり、話題にはなっております。

内田委員

 それでは、医師、産科、小児科医師確保のみならず、福祉・介護分野の人材不足も課題でございます。

 先日、政府でも、2025年の医療・介護の負担金の試算を発表されました。そして、介護報酬を引き上げる検討もなされています。

 平成19年度には、福祉・介護人材の確保に関して、県はどのような取組を行ったのか伺います。

地域保健福祉課長

 平成19年度につきましては、かながわ福祉人材センターを通じた人材確保と介護福祉士等修学資金による人材養成の支援を中心に取り組んでおります。

 まず、かながわ福祉人材センターでは、福祉分野の職業紹介、相談事業、それから就職相談の相談会の開催、就職情報誌の発行による情報提供などに取り組まれております。

 次に、介護福祉士等修学資金ですが、これは、卒業後、県内施設に就職を希望する県内の介護福祉士養成校に在籍する学生さんに対して無利子の就学資金を貸与し、一定期間内県内に就業した場合に返還を免除するもので、平成19年度は116名の方に貸付けを行っております。また、福祉・介護人材の確保につきましては、関係機関と連携しながら取り組むことが重要でございますので、施設経営者、養成機関、職能団体、市町村等と福祉・介護人材の確保、定着にかかわる検討会議を設け、意見交換を行いながら取り組んでいるところでございます。

内田委員

 かながわ福祉人材センターの方では五千数百万円ほど予算が組まれておりましたけれども、さらに、こういった高齢化社会になりますと、介護問題が非常に重要になってくると思います。更に力を添えていただきたいと思います。

 今年度、国では福祉人材確保重点実施期間や、1111日に介護の日を設けるなど、新たな動きがあります。県ではこれらを踏まえ、どのような取組を進めているのか、今後の方向性も含めてお伺いします。

地域保健福祉課長

 今後につきましては、今年度から地域で複数の施設が協力し合い、キャリアアップにつながるような体系的な人材育成を共同で実施する、県独自の認定研修のモデル事業をスタートいたしましたので、このモデル事業の成果を踏まえ、意欲ややりがいを持って働くことにつながるような効果的な研修方法の確立を図る予定にしております。また、介護福祉士などの資格を持ちながら、現在、就業していない方に対して再就職を促進するための再就職支援セミナーも開催いたしております。さらに、高校生を中心にした若い世代の方が福祉・介護人材として活躍していただくために、福祉・介護サービスの理解促進を図るための教員や高校生向けセミナーも開催いたしました。

 今後につきましても、福祉・介護人材の確保について、県民が安心して必要なサービスを受けるためには大変重要な課題でございますので、現場の御意見も伺いながら、引き続き関係機関と取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 福祉・介護人材の確保及び医師、産科医師、小児科医師の確保は、国を挙げての喫緊の課題であり、県においてもその対策は非常に難しいことは十分承知しております。

 県では、平成20年度に医師確保対策担当を新設し、一層力を入れていると聞いております。

 周産期医療体制の全体の整備やほかの救急体制との連携、そして患者が集中してしまう病院勤務医が過酷な労働条件のために辞めてしまわないように、開業医との連携など、できるだけあらゆる角度から積極的な施策展開を是非お願いしたいと思います。

 続きまして、がん検診の総合的な推進についてお伺いします。

 生活習慣病対策費として約1億円組まれていると思いますけれども、主要施策説明書81ページを見ますと、生涯を通じた健康づくりとして、がん対策の総合的な推進のために、がんへの挑戦・10か年戦略を改訂し、また、集団検診施設の整備の助成やがんの診療連携拠点病院のネットワークづくりなどに取り組んできたことが記載されております。その中で、がん検診の促進に焦点を絞って何点かお伺いします。

 主要施策説明書87ページでは、生活習慣病対策費の中の助成等の一つに、集団検診設備整備費補助として2,000万円を助成しており、市町村のがん検診などを担う集団検診施設の整備に対する支援を行っているということでございますが、ここで改めて、がん検診事業の仕組みがどのようになっており、県としてはどのような役割を担っているのか伺います。

健康増進課長

 がん検診につきましては、日本人に多い胃がんだとか肺がんだとか、五つの部位のがんにつきまして、死亡率の低下の効果があるということで、国が指針に定めた方法により、市町村が実施主体となって実施しているのが現状でございます。

 県では、広域自治体といたしまして、検診機器の整備や検診従事者の人材育成、また、検診の質の向上のための精度管理、さらには、受診促進に向けた普及啓発など、市町村のがん検診に対する支援を行っております。具体的には、検診機器の整備につきましては、平成19年度はお話にあったとおり、市町村がん検診を請け負っている労働衛生福祉協会など、二つの検診機関を対象に、胃部X線撮影装置やデジタルマンモグラフィ装置の整備に対し、1団体1,000万円、計2,000万円の助成を行ったところであります。また、検診従事者の人材育成に関しましては、検診に従事する放射線技師や細胞検査技師に対する研修会などを実施するとともに、医師会が主催するマンモグラフィの読影医師や撮影技師に対する講習会への助成も行っております。さらに、専門家からなる協議会を設置し、市町村におけるがん検診の実施状況について、がん発見率などの指標を分析いたしまして、検診の質を評価する精度管理を行うなど、市町村のがん検診を支える基盤整備に努めているところでございます。

内田委員

 ちょうど、がんへの挑戦・10か年戦略の改訂を行ったということですけれども、改訂に当たってはどのような方針に基づき、どのような改訂を行ったのでしょうか。

健康増進課長

 本県では、平成17年3月に国に先駆けまして、総合的ながん対策の計画であるがんへの挑戦・10か年戦略を策定したところでございますが、がん対策基本法が平成19年4月から施行されまして、同年6月には法に基づくがん対策推進基本計画を国が策定いたしました。がん対策基本法では、国のがん対策推進基本計画を踏まえ、都道府県ががん対策推進計画を作成することを求められております。

 そこで、本県では、10か年戦略策定後の状況変化を反映して、10か年戦略を改訂いたしまして、法に基づく都道府県がん対策推進計画に位置付けたところでございます。

 改訂に当たりましては、国の基本計画で新たな取組が必要とされた項目を追加するとともに、10か年戦略の推進に伴い、その内容をより一層充実させるため必要な修正を行うことといたしまして、国の基本計画で重点的に取り組むべき課題とされました放射線療法、化学療法や治療の初期段階からの緩和ケアの推進などについて、がん診療連携拠点病院での人材育成のための研修の実施などの取組を新たに盛り込んだところでございます。また、県立がんセンターの整備やがん診療連携拠点病院のネットワークの強化などにおいて、これまでの取組やその成果を踏まえまして、神奈川がん臨床研究・情報機構の設置・運営や神奈川県がん診療連携協議会による連携強化、地域連携、クリティカルパスなどの整備などを盛り込み、今後の施策の展開に向けて多様な充実を図ったところでございます。

内田委員

 今、お聞きしました国のがん対策推進基本計画では、がん検診の受診率を5年以内に50%以上とすることが目標に掲げられておりますけれども、がんへの挑戦・10か年戦略の改訂に当たって、検診受診率の数値目標を設定しなかったというのはどういうことでしょうか。

健康増進課長

 市町村におけるがん検診の受診率につきましては、受診率の算定に必要な受診対象者、この把握の方法が、市町村でがん検診の最初にスタートした時点から、国の要綱では一定の基準が示されているわけではなくて、地域の実情に応じた対象者を把握するべきものとされておりましたことから、市町村ごとに検診対象者の把握方法がばらばらであったという状況がございました。例えば、県内市町村においても、40歳以上の住民の方、全員を対象としている場合もあれば、40歳以上の人口に一定の係数を掛けて対象者を推計している場合もあって、また、受診希望者を対象者としている場合もございまして、ベースラインの受診対象者がばらばらであることから、受診率というのが、かなり比較の対象から外れてしまうというような状況でございます。このように受診対象者の把握方法が市町村ごとに異なっていることから、市町村におけるがん検診の実施状況を正しく反映しているというふうには考えられません。数値目標としてふさわしい受診率が算定できないような状況でございました。また、がん検診は市町村でのがん検診以外に、職場や健康保険組合で実施している場合もございます。国の基本計画では、この職場でのがん検診も含めた受診率を目標としているのか、また、その場合、どのようにして職域の受診率を把握すべきかなどの点については明らかにされていませんでした。

 このように、検診受診率につきましては、対象者の把握方法に課題があったことから、10か年戦略の改訂に当たっては、数値目標として設定しなかったものでございます。

内田委員

 いろいろ課題があるということですけれども、県の役割としては、今後、何年間かでまとめていくという方向を持たないといけないと思います。

 国の検討会が一定の考え方を示した報告書をまとめたと聞いておりますけれども、検診の受診率の数値目標について、今後、どのように対応していくんでしょうか。

健康増進課長

 国では昨年の6月に検討委員会を設置しまして、市町村における検診対象者の統一的な把握方法などを検討したと聞いております。そして、今年の3月にはその報告がまとめられたところでございます。

 この検討会の報告書では、市町村におけるがん検診の受診率を比較・評価するため、40歳以上の市町村人口から就業者や要介護の方を除くなどの統一的な対象者数の算定方法が提案されております。今年秋ごろを目どに、国がその方向による市町村別の対象者数を公表するという予定であるというふうに聞いております。また、基本計画におきましては、受診率50%を目標としているがん検診には、市町村だけではなく、職場や人間ドックにおいて実施されるがん検診も含むこととして、職域を含めたがん検診の受診率については、過去1年間のがん検診受診の有無を尋ねている国民生活基礎調査の結果を基に推計する方法が提示されたところであります。

 そこで、県では、今後、統一的な方法による県内市町村別の受診率を把握するとともに、職域を含めた受診率の推計を行うことにより、県内のがん検診の受診率の現状を把握し、その上で、来年度になりますけれども、10か年戦略の中間評価の年となっておりますことから、その中で他の数値目標の検討と併せまして、受診率の目標数値についても検討していきたいと考えております。

内田委員

 検診の受診率を向上させるためには、検診の必要性や有効性について普及啓発し、多くの県民が検診を受けるように受診促進をしていくことが重要であると思います。ピンクリボン運動など、これは独自で青葉区の方は行っておりますけれども、そういった乳がんだけではなくて、ほかの分野についても、是非啓発活動をしていただきたいと思いますけれども、がん検診の普及啓発にどのように取り組んでいるのでしょうか。

健康増進課長

 がん検診の受診率向上のためには、皆さんに検診の必要性や有効性について十分知ってもらうことが必要だというふうに考えております。そのため、県では、検診の重要性や内容、受診方法などを掲載した、部位別のがん予防チェックシートを作成いたしまして、市町村の健康まつりなどのイベントを通じて配布させていただいたり、県のたよりなど広報紙や広報番組を活用した普及啓発も行っております。また、昨年度は、乳がん撲滅のためのピンクリボン運動を展開しているNPO法人から、乳がん検診のためのマンモグラフィ搭載検診車の寄贈を受けまして、それと併せた普及啓発事業として、ピンクリボンをテーマに子供の絵を募集して、絵画展を開催するとともに、募集した絵を検診車にラッピングするなど、民間と連携した事業も展開しているところでございます。

 さらに、今年度は、私鉄事業者とその沿線自治体、関係団体が協働いたしまして、健康づくりをテーマにいたしまして、車内広告や駅張り広告などを行う、ハッピー!ウェルネスウェーブ2008という啓発キャンペーン事業を実施しているところでございますが、この中でもがん検診の普及啓発を行っており、引き続き保健医療関係団体や市町村、民間団体と連携・協働しながら、がん検診の普及啓発に努めていきたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 がんを抑えるためには、やはり検診をすること、これが一番重要であると思いますので、今後とも県の中で、検診機器の整備や人材育成などの基盤整備とともに、受診率向上に向けて整備していただきたいと思います。

 次に、福祉のまちづくりについて質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 本県では、平成8年に福祉の街づくり条例を施行し、高齢者、障害者をはじめ、だれもが住みよいまちづくりを進めておりますが、今後、急速に高齢化が進行することを考えると、多くの県民が利用する建築物や駅、そして道路など、様々な施設のバリアフリー化を進めることは課題です。そこで、主要施策説明書の66ページ、項目1の地域福祉の推進の取組として、バリアフリーのまちづくり、福祉のまちづくりの推進について記載されておりますが、平成19年度において、福祉のまちづくり全般にどのように取り組んできたのか伺います。

地域保健福祉課長

 福祉のまちづくりについての取組でございますが、まず、不特定多数の方が利用する教育、医療、福祉、商業施設や共同住宅などのバリアフリー化に関しましては、福祉の街づくり条例により整備基準を定め、新築の際に事前協議をしていただくことにより、基準に適合するような指導をしております。このようなバリアフリー化の推進に当たりましては、施設の設置主体である事業者や関係各機関の理解と協力を得ることが不可欠ですので、行政、事業者、関係団体等で構成する福祉の街づくり推進協議会を開催し、御意見を頂きながら取組を進めております。また、県民に身近な生活環境のバリアフリー化を進めるために、鉄道駅舎のエレベーターなどの整備に関する支援や県管理道路のバリアフリー化の推進などを総合計画の戦略プロジェクトに位置付けたところであり、公共交通機関の安全かつ円滑な利用や移動経路のバリアフリー化に向けた取組を進めておるところでございます。

内田委員

 まずは、バリアフリー化するのに、やはり、駅の階段の解消などに取り組むべきだと私は考えます。ですから、民営鉄道駅舎福祉施設整備費補助事業についてお伺いします。

 この事業については、主要施策説明書の76ページに記載のとおり、平成19年度は、横浜市ほか4市1町に対して約2億5,000余万円の補助を行ったとの記載があります。この事業について、事業開始から平成19年度までの実績について伺います。また、これまでの取組の考え方についてお伺いします。

障害福祉課長

 事業開始からの実績でございますが、平成2年度から19年度まで、延べ188駅、累計で371,200余万円の補助を行っております。この結果、鉄道事業者が独自に整備した駅を含めまして、県内のいわゆる優先駅243駅のうち、9割を超える224駅にエレベーターなどが整備されているところでございます。

 これまでの取組の考え方でございますが、平成1211月の交通バリアフリー法、さらに、平成1812月に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法が施行されておりますが、この法律に基づき、移動等円滑化の促進に関する基本方針の中に目標が定められております。1日当たりの平均的な利用者数が5,000人以上、高低差が5メートル以上ある駅、これがいわゆる優先駅でございますが、この優先駅を中心に、市町村を通じて補助を行うことで、駅舎のエレベーター整備の促進を図っているものでございます。

内田委員

 分かりました。駅については、そのようにエレベーターを付けるということで進ちょくしていると思います。

 そして、もう一つは、最近、国でもリフォーム減税を延長するという発表がありましたが、障害者や高齢者にもやさしい住宅の在り方というのが今後求められてくると思います。その中で、主要施策説明書149ページの住宅振興対策費に高齢者向け優良賃貸住宅家賃対策費補助8,500万円とありますけれども、制度の内容も含めて具体的に説明していただきたいと思います。

住宅課長

 高齢者向け優良賃貸住宅でございますが、高齢社会の到来を視野に入れ、住宅市場において不足しております、良質で低廉な家賃の賃貸住宅の供給の促進を目的としておりまして、平成10年に国の要綱により制度化され、その後、平成13年に施行された高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく住宅として位置付けられたものでございます。

 基本的には、民間の土地所有者などが建設した住宅を、県が高齢者向け優良賃貸住宅として認定し供給するもので、住宅の仕様としてバリアフリー化や緊急時の対応サービスなどが義務付けられておりまして、駐車場などの共同施設や緊急通報装置の整備などに補助を行っております。

 現在、県内9団地、259戸を供給しておりますが、高齢者向け優良賃貸住宅家賃対策費補助は、この住宅の入居者に対しまして、所得に応じて家賃の補助を行うものでございます。

内田委員

 住宅に関しては分かりました。

 次に、障害者の方、高齢者にとっても、交通事故などに遭わないように、歩きやすい道路というのが求められてくると思います。特に、狭い道路では、災害時に救急車とか、また消防車など入りにくいといったこともありましたので、道路の問題も大きいと思います。

 主要施策説明書134ページの道路維持費の中に、電線地中化促進事業費の記載がありますが、平成19年度に実施した電線地中化促進事業の内容を具体的に説明していただきたいと思います。

道路管理課長

 電線地中化事業は、電線を道路の下の共同溝に収納し、道路上の電柱をなくすようになりまして、歩道が広く使えるようになるため、バリアフリーのまちづくりを進める上で重要な事業の一つであると認識しております。また、道路景観の向上にも寄与するほか、地震の際に電柱が倒れて道路をふさぎ、救助活動などに支障を及ぼすことがなくなるなど、防災上の観点からも重要な事業でございます。

 県はこれまで、商店街など歩行者の通行の多い地域や、地域の幹線道路や、防災対策の観点から重要な緊急輸送路などを中心に事業を進めてきております。

 平成19年度の事業内容につきましては、まず、公共事業につきましては、国道412号など7路線、7箇所、また、県単独事業では公共事業の実施箇所に加えて、県道601号酒井金田線など4路線5箇所、合わせて11路線12箇所において、共同溝の設置工事や工事上支障となる下水管や水道管などの移設工事などを実施いたしました。

内田委員

 道路については、まだまだいろいろな所で要望があると思います。今後とも進めていただきたいと思います。

 平成19年度から、福祉の街づくり条例の改正に向けた検討が行われていると思いますけれども、今後、どのようにバリアフリー化を進めていこうとしているのかお伺いします。

地域保健福祉課長

 条例改正につきましては、これまで詳細な検討を進め、このたび条例改正素案を取りまとめさせていただきました。素案には、バリアフリー新法に基づく法委任規定を新設し、一定の建築物にバリアフリー化を義務付けることとしております。さらに、より幅広い対象者に配慮した取組として条例施行規則を改正し、色覚障害者に配慮したカラーバリアフリーの取組を規定する方向で検討しております。また、ハード整備を進めるためには、心のバリアを取り除くなど、ソフト面での取組も欠かせませんので、県民の皆さんには、障害者や高齢者が円滑に移動し、施設が利用できるよう協力していただくことを県民の責務として位置付ける予定です。

 このように、ハードとソフト双方で取組を強化し、バリアフリー化の推進をするとともに、引き続き、多くの県民の皆様の御理解を頂くよう普及啓発に努めながら、利用者、関係団体、庁内関連部局とも連携して取組を進めていきたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 福祉のまちづくりについては、もともと障害者の方から始まった問題だと思いますけれども、これから高齢者が増える中、例えば、エレベーターだけではなくて、エスカレーターなどという観点も是非考えていただきたいと思います。

 高齢者や障害者が利用しやすい住みよいまちは、だれにとっても住みよいまちと思います。今後は、超高齢化社会に向けて県民が安心して地域で暮らし、積極的に社会参加できるようになるよう、より一層の実効性のあるバリアフリーのまちづくりを進めていただきたいと思います。

 原油・原材料価格の高騰や米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安が続く中、大企業が今年度の経常利益見通しを相次いで下方修正し、県内中小企業は不況型の企業倒産が増加しているなど、正に二重、三重の苦しみの中にあります。また、本県財政も、県税収入が平成20年度当初予算から約1,300億円もの減収が見込まれるなど、大変厳しい状況の中にあります。そうした中、主要施策説明書の128ページに、インベスト神奈川の産業集積施設整備等助成金として9億8,000余万円の支出が計上されておりますけれども、多額の税金を投じて取り組んでいる施策ということから、インベスト神奈川の費用対効果という点に関して何点かお伺いします。

 まず、平成19年度の助成金支出額9億8,000余万円について、大企業と中小企業の別など、その概要についてお伺いいたします。

産業活性課企業誘致室長

 平成19年度の助成金支出額の内訳といたしましては、大企業が4件で約8億2,900万円、中小企業が13件で約1億5,200万円の、17件となっております。この結果、総投資額として772億円の投資がなされたということになります。内訳として、大企業が613億円、中小企業が約159億円、投資の内容といたしましては、研究所が2件、工場が11件、本社兼工場が3件、研究所兼工場が1件の17件、こういう状況でございます。

内田委員

 これまでの認定申請の実績について伺います。

産業活性課企業誘致室長

 助成制度の認定申請、これまでに、大企業22件、中小企業48件の合計70件に申請いただいております。総投資額といたしましては5,971億円、内訳といたしまして、大企業が5,282億円、中小企業は688億円ということになっております。また、最大見込まれる助成額といたしましては、約738億円、大企業が666億円、中小企業が72億円、投資内容といたしましては、研究所が16件、工場が28件、本社兼工場が15件、研究所兼工場が6件、その他5件、こんな状況でございます。

内田委員

 大分金額が大きくて、こうしたインベスト神奈川の投資による税収影響というのが出てくるのは先のことだと聞いておりますけれども、どれぐらいの規模で、いつごろから現れてくると考えているのか。ここのところをお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 インベスト神奈川の税収影響につきましては、平成19年3月末現在で、浜銀総研に委託しておりまして、この調査結果、分析結果によりますと、15年間で第1ステージ、第2ステージ合わせて約4,060億円の県税、それから、市町村税については約5,950億円というような、15年間ですけれども、試算がされています。これとは別に、県といたしましても、税務課と連携いたしまして、第1ステージの47件について、決算書等で分析して試算いたしますと、不動産取得税につきましては167,200万円、これは1回限りの税収でございます。それから、年間で毎年6億7,200万円の個人県民税、それから、これも毎年ですけれども、1232,300万円の法人二税の税収を見込んでいるというような結果でございます。

 いつ現れるかというふうなお話でございますけれども、最も早く出てくるのは不動産取得税でございまして、土地につきましては取得時、家屋については完成時に評価して課税されるという形になっております。一方、法人二税や法人県民税につきましては、ざっくり申し上げますと、助成対象事業者がフル操業をして、翌年からその事業所にかかる法人事業税等の効果が現れてまいります。

 現在のところ、まだ本格的に操業開始した企業が少なく、そのほとんどが中小企業ということでございます。今後、大規模な案件も順次操業を開始してまいりますし、また、操業を開始してから順次従業員も増員するといった企業もございます。このことから、法人二税の税収効果は、今後、順次出てまいりますものの、当初は効果が少なく、順次操業が開始されていくとともに、大規模事業者の税収効果が加わって増収効果が増えていき、すべての事業所が操業開始した段階で、その効果が継続していく。このように考えております。

内田委員

 今、株価の低迷や、株の低迷だけではなくて、円高とかいろいろな問題で企業も苦しんでいる状況だと思いますけれども、認定申請をした企業の県内の総投資額というのは約6,000億円ということで、その税収影響についても、今後は期待はしてもいいんですけれども、やはり慎重にしなければいけないのではないかと思いますが、一方で、最大見込まれる助成額も700億円以上となっております。

 インベスト神奈川の助成限度額というのは、工場・本社が10億円、研究所については20億円となっていますが、私もそうなんですけれども、一般県民にとって、これは非常に大きな金額であると思います。

 企業誘致については、自治体間の競争というのもあると思いますけれども、大阪などでは、上限が我が県の10倍以上ということも聞いておりますけれども、本県の助成制度は、ほかの県に比較して、どのような位置にあり、どのような状況なのかというのをお伺いしたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 他県における助成制度でございますけれども、東京都と茨城県を除いた45の道府県におきまして、企業誘致策としての助成制度を持っております。このうち、40道府県におきまして、10億円以上の助成制度となっております。他県の例を更に具体的に申し上げますと、平成15年4月に、三重県が最大90億円の助成制度を創設しまして、シャープの亀山工場を誘致したという話が新聞報道でも取り上げられたと思います。昨年4月には、和歌山県が、三重県と同じ最大90億円の助成制度を創設しております。また、同年7月、昨年7月でございますけれども、大阪府、お話がありましたけれども、最大150億円の助成制度を創設するなど、誘致の地域間競争というのはかなり激しくなっているということになっております。

 一方におきまして、三重県の場合ですと、最低投資額が600億円ということで、90億円出るんですけれども、かなり大規模な案件でないと助成されないということがございます。また、大阪府や兵庫県ですと、助成率が5%ということでございまして、それぞれ工夫を凝らしながら助成制度をつくって、企業にアピールしている状況でございます。

 こうしたものを簡単に比較はできないんですけれども、総合的に見ますと、本県の制度は助成規模といたしましては、全国で中ほどの状況と認識しております。

内田委員

 助成制度については中ほどということで承知いたしました。

 今後、大企業の大規模施設など、順次操業を開始してから、いずれも助成金の支出額というのも、順次操業していくことによって大きく膨らんでいくと考えられますけれども、今後の助成金の支出見込みについて伺います。

産業活性課企業誘致室長

 助成金は、対象事業所が操業を開始いたしまして10年間の分割で交付するという形になっております。その歳出の見込みはお話のとおり、企業が順次操業を開始するにつれまして、交付金額も増加いたします。今後5年間で、ざっくり申し上げれば、最大投資額10年ということで、738億円と申しました。大体その10分の1の額がピークになろうかと思いますけれども、今後5年程度でそのピークを迎えるというふうに考えております。そのピークが、大体3年程度継続いたしまして、それから減少に向かい、最終的には平成33年前後にはすべての支出が終了する。こんな形でございます。

内田委員

 歳入と歳出のバランスといった視点から、今後の法人二税の歳入見込みと助成金の歳出見込みの関係について御説明していただきたいと思います。

産業活性課企業誘致室長

 法人二税の歳入見込みは、先ほど申し上げましたけれども、おおむね操業開始の翌年から税収の影響が発生するということでございまして、結果として、助成金の支出よりも遅れて税収効果が現れてくるということでございます。

 法人二税は景気動向などに左右される面がありますので、先ほど申し上げたような税収効果について、年度ごとにはそれなりに増減を避けることができないと思いますけれども、ある年度でもって納税額の減少した場合にも、税収を底上げしていくと考えておりますので、当初は助成金の支出が先行するものの、その後逆転し、県税の増収が助成金の支出を上回るものと思われます。助成金の支出が減少してまいりますが、税収効果はそのまま続き、継続的に県財政に寄与するのではないかというふうに考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 インベスト神奈川については、いろいろ県の将来の税収見込みを見込んで、浜銀総研では試算をしたということで、法人二税もこれから増えていくんだろうと私は期待したいんですけれども、やはり昨今の株価の低迷、6,000円台、7,000円台ということ、それから円高、こういったことで輸出を扱う企業については非常に困難なこともこれからつきまとってくるのではないかと懸念されます。

 予想できない事態が発生するということもあり、経済波及効果が試算されていったとしても、それが現実になるかどうかというのは別問題だと思いますので、多額の予算を伴う施策であり、県民の理解を得るためにも、波及効果をしっかりと検証しながら、地元中小企業を含めた地域経済への波及効果をできるだけ広げていくように慎重に取り組み、努めていただきたいと思います。

 そういった中小企業のいろいろな問題もありますけれども、主要施策説明書の81ページの衛生費の項にメンタルヘルス対策の推進について記載があると思いますけれども、1010日に厚生労働省が発表した平成19年労働者健康状況調査の概況によりますと、メンタルヘルスに取り組んでいる事業所の割合は33.6%と、前回より10%近くの伸びがあります。しかし、まだまだ事業所における取組は十分とは言えず、県などの行政における取組によるところが大きいと思います。

 そこで、メンタルヘルス対策のうち、特に、うつ病対策について、県の取組を何点か質問します。

 県のうつ病対策は、主要施策説明書の86ページ、精神保健福祉費の中に含まれていると承知しておりますけれども、まず、うつ病のことはもちろんのこと、うつ病に至らないまでも、様々な悩みを抱えて、心の健康を崩しかけている方々に対する取組で、相談体制とその状況ということをお伺いしたいと思います。

障害福祉課精神保健福祉担当課長

 県における相談体制とその状況でございますが、まず、精神保健福祉センターにおきまして、うつ病などの心の健康に関する相談につきまして、こころの電話相談ということで、専用回線による電話相談を実施しておるところでございます。平成19年度の実績といたしましては、電話相談の総数4,615件、そのうち、うつ病等に関するものは1,061件、全体の23%ございました。

 保健福祉事務所におきましては、精神科の嘱託医、あるいは福祉職、あるいは保健師などにより、精神保健に関する面接相談や訪問を実施しております。平成19年度の実績といたしましては、面接相談が総数1万1,311件で、そのうち、うつ状態に関するものとしては672件、家庭などへの訪問なんですが、訪問は総数1,397件で、そのうち、うつ状態に関するものが75件ございました。

内田委員

 うつ病というのは、最近、特に、過酷な労働条件やいろいろなケースで考えられますけれども、そうした相談にもつながっていない方への対応というのも必要になってくると考えますが、どのような取組をなさっているのでしょうか。

障害福祉課精神保健福祉担当課長

 県では、平成17年度から、うつ病の方の相談の増加というものに対応するために、うつ病の講演会を、モデル地域を指定しまして、実施してまいりました。平成18年度からは更にそれを拡充し、平成19年度には、すべての地域の各保健福祉事務所におきまして、うつ病や自殺対策などをテーマといたしまして、広く県民を対象とした講演会を開催してきたところです。また、県のたより、あるいは地域の各市町村等での広報紙に、うつ病や自殺対策に関する啓発記事を掲載いたしましたり、精神保健福祉センターや保健福祉事務所の相談窓口などを一覧に記載いたしましたクリアファイルを作成いたしまして、相談窓口や市町村あるいは講演会などで活用させていただきまして、うつ病に対する予防、あるいは早期発見のための普及啓発を図っているところでございます。また、当然のことながら、精神保健福祉センターのホームページには、うつ病に対するページを記載しておりまして、精神科の医療機関の紹介や、県民の方が情報を受け取れるようにきちんと明示し、うつ病に関する理解と対応方法の検討などに努めているところでございます。

内田委員

 この間、決算委員会の視察で、精神医療センター芹香病院にもお伺いして、非常に勉強にはなったんですけれども、やはりなかなか入院するというのはちょっと気が引ける方も多いと思います。特に、中高年の男性の方は、相談することへの抵抗感というのは強いと思いますし、職場や家族との話合いとかが必要だと考えましたけれども、そうした視点からはどのような取組をなさっているんでしょうか。

障害福祉課精神保健福祉担当課長

 男性、特に、中高年の男性の方は、ほかの方に相談するということに対する抵抗感が強うございます。問題を自分だけで抱えて、深刻化しがちだと言われております。日常の心の健康の変化に気付きまして、見守ることができる御家族やあるいは職場の同僚などの役割も非常に大きいものではないかなというふうに考えております。

 また、男性の方につきましては、どうしても仕事中心のライフスタイルが多うございます。仕事上のことがきっかけでうつ病となる方も多いことから、保健福祉事務所などでは、労働基準監督署や商工会、あるいは商工会議所などとの共催によりまして、職場の労務管理者だとか、あるいは産業保健担当者などを対象といたしまして、働く方のメンタルヘルス、うつ病の理解や対応などをテーマにした研修会を各地域で実施しているところでございます。

 また、精神保健福祉センターでは、うつ病によって休職されている方の御家族に対しまして、うつ病に対するきちんとした正しい理解、また、家庭での療養生活の仕方や、職場復帰に向けた適切な対応などを理解していただくための研修会、これは国の独立行政法人である産業保健推進センターとの共催によって実施しているところでございます。

内田委員

 うつ病に対する今までの取組は具体的によく分かりましたけれども、こうしたうつ病患者に対する対応について、より一層の取組が必要だと考えますけれども、今後、新たに取り組もうとしているものがあったら教えていただきたいと思います。

障害福祉課精神保健福祉担当課長

 うつ病等になりますと、不眠だとか食欲の低下、あるいは下痢、腹痛、様々な身体的な症状が出てくることもございます。そういうことで、内科等のかかりつけのお医者様に受診しているケースもままあると聞いております。そういったところから、内科等のかかりつけのお医者様につきまして、診察をして、それがうつに起因しているものだと気付かない状態で診察を終えてしまうと、そういったこともあろうかと思います。

 こうしたことから、今年度からでございますが、新規事業といたしまして、最初にどうしても診察する機会の多い内科などのかかりつけのお医者様に対しまして、うつ病とはどういうものなのか、そういった部分につきまして御理解いただく、そのための研修会を実施しようと考えているところでございます。研修を受けた内科等の先生方が、うつ病等の精神疾患が疑われる患者を早期に発見していただきまして、精神科医にきちんと患者を紹介していただく。精神科医との連携により早期に適切な治療につなげてまいりたいと、このように考えているところでございます。

内田委員

 今、申し上げていただいた答弁にありましたように、内科のかかりつけ医と精神科医との連携ということで、うつ病自体は自殺ともすごく結び付いている問題だと思います。

 現代社会に特化したこの病というか病気が、是非、少しでも少なくなるように対策を考えていただきたいと思います。

 同じ問題なんですけれども、職場のメンタルヘルス対策についてお伺いします。

 先ごろ発表された厚生労働省の労働者健康状況調査によりますと、仕事でストレスを感じている労働者が6割近くもあるものの、企業におけるメンタルヘルス対策が進んでいないという結果が出ております。大企業はほとんどやっているんですけれども、中小企業はほとんどそこまで至らないと。もちろん、事業の内容だけで一杯で、なかなかこういったメンタルヘルスの対策というのはできていないということを承知しておりますけれども、職場のメンタルヘルス対策を進めるためにという啓発資料を作成しているということが、主要施策説明書の97ページにあります。

 まず、メンタルヘルス不全によって休職している全国の労働者の状況はどのようになっているのか。また、精神障害者による労災の認定件数はどのようになっているのかお伺いいたします。

労政福祉課長

 休職の状況でございますが、ただ今お話にございました厚生労働省の労働者健康状況調査によりますと、うつ病などの精神疾患で1箇月以上休業あるいはそのことによって退職をする、そうした労働者の方がおられる全国の事業所、この割合でございますが、全体の7.6%で発生をいたしております。

 次に、精神障害等で労災の認定を受けた件数でございますが、平成19年の全国の状況につきましては268件認定されていまして、このうち81件、81名の方、自殺に至っておる。また、神奈川県内の状況でございますが、労災の認定が26件ございまして、全国の労災認定のうちの約1割を占めておると、こんな状況でございまして、26件のうち、同様に自殺に至ったケースが6件ございました。いずれも増加傾向にあるようでございます。

内田委員

 メンタルヘルス不全による休職者や労災の認定件数が増えているということが現実なんですけれども、県としては、職場のメンタルヘルス対策としてどのようなことに取り組んでいるんでしょうか。

労政福祉課長

 企業におけますメンタルヘルス対策につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、企業が一義的に取組を進めるということになっているわけでございますが、県としましても、労働者の福祉を増進するという観点から取組を行っております。具体的には、職場におけるメンタルヘルス対策を進めるために、ただ今御紹介いただきましたリーフレット、あるいは労働安全衛生ガイドブック、こうした啓発資料によりまして、労働者のメンタルヘルス不全の予防対策に努めるほか、産業保健の分野に詳しい精神科医の方による講演会も開催しております。また、毎週1回でございますが、横浜労働センターにおきまして、医師やカウンセラーといった専門家を配置いたしまして、個々の労働者の方、あるいは企業の対策について、メンタルヘルス相談として、特別の相談体制も敷いておるところでございます。

内田委員

 そのようなリーフレットのほか、講演会や相談を今実施していると御答弁ございましたけれども、本年度の取組、さらには、来年度以降は、どのような方向で取り組もうとしているんでしょうか。

労政福祉課長

 今年度でございますが、昨年度と同様に、啓発資料の作成をはじめ、講演会の開催、メンタルヘルス相談、こうしたことに取り組んでまいりたいと思っております。特に、講演会でございますが、昨今、自殺やメンタルヘルス不全による労災認定の増加といったことを踏まえまして、過重労働とうつ病の関係、あるいは職場復帰支援、こうしたことをテーマとしまして、来月の開催を予定しているところでございます。

 次に、来年度以降の取組でございますが、厚生労働省の調査結果を見ますと、中小企業における対策が遅れているという結果が出ておりますので、中小企業の取組を促進するためには、どんな施策が必要であるか、現在、検討しているところでございます。特に、中小企業の場合、一たんメンタルヘルスの不全者が出ますと、配置転換をして補うというのがなかなか難しいという実態がございますので、予防対策に重点を置いた支援を図ってまいりたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げます。

 県としても、職場のメンタルヘルス対策に取り組んでいるというふうに見受けられますけれども、メンタルヘルス不全によって休職する労働者が増加傾向にあるということから、企業における対策をより一層促進していくことが求められております。特に、職場の人間関係、それから過重労働、いろいろ問題は大きいと思います。さらに、これから景気不安もありますので、是非取組が遅れている中小企業への支援も含め、県でも、この取組に関して充実、強化していただきたいと思います。

 次に、土木費なんですけれども、河川における防災情報について質問を何点かさせていただきたいと思います。

 神奈川県の中にもいろいろな河川がございまして、本年の8月末の豪雨や昨年の台風9号による災害というのは記憶に新しいことです。台風や大雨による被害を最小限に抑えるためには、雨量や河川の水位など防災情報の集中や迅速かつ確実な伝達は不可欠なものと考えます。

 131ページの、災害時応急活動体制の確立の項目の中に、台風や集中豪雨等の自然災害に対する情報収集・伝達体制強化のため、観測施設等の整備を行ったとございます。そこで、河川における防災情報の収集・伝達や観測施設の整備等について何点かお伺いします。

 まず、河川における防災情報の収集・伝達については、県の役割はどのようなものか伺います。

河川課長

 台風や大雨の際には、河川沿線の市町村の消防団等が、水害を最小限にとどめるために、河川の巡視や土のう積みなどの水防活動を実施しております。

 水防活動は、水防法により、市町村が行うことになっておりますが、こうした市町村の水防活動が迅速、円滑に行われますよう、県では、県内各地の雨量や水位の変化を収集しまして、河川が一定の水位を超えた場合には、消防団等の出動を促す警報を出すなど、市町村に対して情報伝達を行っております。

内田委員

 主要施策説明書の139ページにある水防情報基盤緊急整備事業費の事業内容として、河川監視カメラ・観測所の設置、水防諸施設の改修等とありますが、その具体的な内容について伺います。

河川課長

 まず、河川監視カメラ関係でございますが、平成19年度から整備着手しまして、これまでに県庁及び各土木事務所に、カメラを監視制御するためのシステムを整備するとともに、監視カメラにつきましては、県のホームページにより、境川など44箇所の映像を公開しております。また、観測所でございますが、洪水により大きな浸水被害が発生するおそれがある河川に、順次、水位観測所を整備しておりまして、平成19年度は大根川など3箇所の整備を進めたところでございます。

 次に、水防諸施設の改修でございますが、これは、老朽化した水位観測所などの水防施設を更新しておりまして、平成19年度は、森戸川など3箇所を行いました。

 また、平成18年8月に発生しました酒匂川水難事故後の対策としまして、河川利用者の方に気象、降雨、水位の情報を伝え、急な増水への注意を行うこととしました。これに伴いまして、これまでの雨量・水位観測所に加えまして、更に情報の充実を図るため、観測所の設置間隔を考慮しまして、新たに雨量観測所と水位観測所を1箇所ずつ増設いたしました。

内田委員

 ただ今伺った中に、酒匂川において2年前の水難事故、これは記憶に新しいところですけれども、それを受けて、雨量観測所と水位観測所を増設したとのことですけれども、具体的にどのように河川利用者に情報というものを伝えているのかお伺いします。

河川課長

 河川利用者の方への雨量や水位の情報伝達でございますが、酒匂川流域に大雨や洪水に関する注意報、警報が気象台から発表されている時に、同流域に設置されました6箇所の雨量観測所のいずれかで1時間に30ミリメートル以上の降雨を観測した場合、または、4箇所に設置されております水位観測所のいずれかで、30分間に30センチメートル以上の水位情報を観測した場合には、河川沿いに設置してあります19箇所のダムの放流警報施設のスピーカーを利用しまして、河川利用者に急な増水に注意するよう、音声放送を行っているところでございます。

内田委員

 平成19年度に河川監視カメラの整備を行ったとのことですけれども、その目的や概要についてお伺いします。

河川課長

 河川監視カメラは、既に県のホームページで公開しておりました雨量や水位の情報に加えまして、河川の映像情報を加えて公開することで、分かりやすい、実感の伴う情報として、市町村による避難勧告の発令や住民の自主避難の判断などに活用していただけるよう整備に取り組むことといたしたところでございます。

 各河川の治水上重要な地点には水位計が設置されておりますので、その付近にカメラを設置することといたしまして、水位計の数値の情報と共に、カメラによる映像を見られるようになります。カメラの映像は、洪水時、平常時を問わず、24時間公開しております。

 河川監視カメラは、県内河川の90箇所に整備する計画でございまして、水防警報等の発令頻度の多い箇所から順次整備を進めております。

内田委員

 今後、河川における防災情報に関して、観測施設等の整備にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

河川課長

 観測施設の整備についてでございますが、先ほど申し上げました河川監視カメラにつきましては、平成21年度までに全90箇所に整備し、順次公開していく予定でございます。また、水位観測所につきましては、今後13箇所に設置を予定しており、観測網の充実を図ってまいります。さらに、これまで整備してきました観測施設等につきましては、老朽化の具合を見ながら、適宜更新を行ってまいりたいと考えてございます。

内田委員

 要望を申し上げます。

 台風や集中豪雨などの自然災害から県民の生命、財産を守るためには、河川整備とともに防災情報を住民に分かりやすく、速やかに伝えることが大変重要なことでございます。

 地球温暖化の影響により、降雨量が増加する傾向にあると言われている中、住民の自主避難や市町村が行う水防活動等が円滑に行われるよう、今後、情報収集、伝達体制の充実、強化を要望いたします。

 

(休憩 午前1159分  再開 午後1時3分)

 

内田委員

 警察費の方の案件を伺っていきたいと思います。

 県警察においては、本格的な大量退職、大量採用期を迎え、毎年、ベテラン捜査員が多く退職している中で、後継者の育成ということが極めて重要な課題となっていると認識しております。そのような中、警察では、若手警察官を早期に一人前に育て、第一線の捜査力や現場執行力を強化するため、平成19年度から新規に、優れた知識や技能を有する県警察の財産とも言うべき、警察官OBを捜査実務指導嘱託員、いわゆる伝承官として警察署に配置したと聞いていますが、その捜査実務指導嘱託員について質問させていただきます。

 まず、平成19年度、新規に立ち上がった捜査実務指導嘱託員の配置状況についてお伺いします。

警察本部刑事総務課長

 委員御質問の捜査実務指導嘱託員、いわゆる伝承官につきましては、平成19年4月に県内の全警察署に配置することとしたものであります。

内田委員

 捜査実務指導嘱託員の職務内容についてお尋ねします。

警察本部刑事総務課長

 捜査実務指導嘱託員は、新任の捜査員に対しまして、捜査員としての心構えや聞き込み、張り込み、取調べの要領といった、いわゆる捜査の基本についての指導を行いますとともに、捜査書類の作成要領などの捜査実務に関する指導を行っておりますほか、交番等で勤務する地域警察官に対する捜査書類の作成要領等の指導についても行っております。

内田委員

 捜査実務指導嘱託員に必要な資格要件をお伺いします。

警察本部刑事総務課長

 捜査実務指導嘱託員は、若手警察官に対しまして、捜査実務の指導を行うという職務の性質上、刑事、生活安全、交通、警備のいずれかの部門におきまして、捜査実務の経験を有していることが必要でございます。

 県警察におきましては、こうした捜査実務経験を有する警察官を対象にいたしまして、退職時、捜査実務指導嘱託員の採用について、希望の有無を調査いたしまして、希望者に対しては面接を行いまして、能力、意欲等を総合的に勘案した上で、適任者を採用しているところであります。

内田委員

 今、捜査実務指導嘱託員の方は、県内で何人いらっしゃるか。今、分かりますか。

警察本部刑事総務課長

 現在は53名でございます。

内田委員

 それでは、昨年4月から始まった、この活動状況というものをお伺いします。

警察本部刑事総務課長

 捜査実務指導嘱託員の具体的な活動事例といたしましては、新任の捜査員が作成しました供述調書を基に、不適切な記載がないかを点検するなどによりまして、正しい作成要領を具体的に指導いたしましたり、あるいは、新任の地域警察官に対して、窃盗事件を題材にしたビデオを視聴させた上で被害届を作成させ、その適否を競わせるコンテストを行うなど、教養効果を高めるための工夫した指導を行っているところでございます。

 このほか、新任の捜査員が窃盗事件などの現場に臨場する際には同行いたしまして、現場における実況見分の要領や犯行手口の分析方法などにつきましても、助言や指導を行ったり、あるいは模擬現場を設定いたしまして、実況見分を行わせるなど、実践的な教養を行っているところでありまして、それぞれの捜査実務指導嘱託員が工夫を凝らした活動を行っているところでございます。

内田委員

 捜査実務指導嘱託員自身のスキルアップというのは、何か県警察では工夫していますか。

警察本部刑事総務課長

 県警察におきましては、制度のより適正かつ効果的な運用を図るため、捜査実務指導嘱託員に対しまして、スキルアップのための研修会を実施しているところであります。

 制度が発足いたしました平成19年度中は、すべての捜査実務指導嘱託員に対しまして、計3回の研修を実施したところでございます。今年度につきましても、4月に県内を三つのブロックに分けまして、ブロックごとにそれぞれの研修会を実施したところでありまして、近く、2回目の研修会を計画しているところでございます。

 研修会の内容につきましては、捜査実務指導嘱託員による事例発表、それに基づいた意見交換を行うなど、良好な取組事例についても情報を共有するとともに、本部刑事部の幹部が、司法制度改革をテーマにいたしました講義を行うなど、警察捜査を巡る最新の情勢とそれを踏まえた対応要領等を習得するための教養に努めているところであります。また、次回の研修以降は、捜査実務指導嘱託員によります伝承技術を一層向上させるために、教育・指導技術に関する知識の習得について、教育参与等、教育の専門家を招いての、本部研修を適宜実施することとしております。

内田委員

 捜査実務指導嘱託員なんですけれども、お聞きしたところによりますと、1人当たり年収300万円に満たないということで、ベテラン刑事が若手の新任警察官を育てるに当たって、非常に費用対効果という意味では意味があることだと思いますが、その辺のところを詳しく教えていただきたいと思います。

警察本部刑事総務課長

 捜査実務指導嘱託員の給与といたしまして、月額175,600円となっております。年収にしますと、ボーナスを含めまして2897,400円ということでやってもらっております。しかし、若手捜査員を育てるという強い意識を持って、また、それを楽しみにして、仕事に取り組んでおるところでございます。

内田委員

 要望を申し上げます。

 今、答弁にありましたように、1人当たりボーナスを入れて二百何十万かということで、新しい警察官を育てるに当たっては、やはりベテラン刑事のノウハウを是非伝承していただくという強い意気込みで、モチベーションを上げていただきたいと思います。

 昨今では、インターネットにかかわる犯罪や振り込め詐欺、それからヤミ金融についてなど、新たな手口の犯罪が横行していますので、若い人たちとの連携というのも大切になってくると思います。

 ベテラン刑事と若手の警察官とが連携し、そして、モチベーションを上げて、県警察の役割というものを再認識していただき、更に充実、強化していただきたいと要望いたします。

 犯罪被害者等に対する支援についてお伺いしたいと思います。

 平成19年度主要施策説明書の151ページの警察費の第2に、犯罪がなく安全で安心して生活できる地域づくりの中で、犯罪被害者及びその親族の精神的負担や不安の軽減を図るための支援体制を整備したとあります。

 犯罪の被害に遭った方々は、思いがけず犯罪の被害に遭ったことで、家族を失う、そして障害を負わされるなどで精神的なショックを受け、その後、生活に支障を生じたりいたします。また、被害に遭ったことで生ずる医療費等の負担や、一家の大黒柱を失ったことで収入が途絶するなど、経済的負担の問題も抱えております。

 そういった中で、県警察におかれましては、このような犯罪の被害に遭われた方々に対し、様々な精神的、経済的負担軽減措置を行っていると聞いております。そこで、犯罪の被害に遭った方々への支援についてお伺いします。

 まず、県警察における被害者支援の体制はどのようになっているんでしょうか。

警察本部警務課長

 県警察では、警察本部警務課に被害者対策室を設置しまして、各種施策の推進体制を整備するとともに、平成1110月1日からは、全警察署に被害者支援要員1,947名を指定しまして、犯罪の被害に遭って間がない段階から、被害者等への支援体制を確立しているところでございます。

内田委員

 その被害者の精神的負担ということの軽減についてなんですけれども、具体的にどのような施策を行っているんでしょうか。

警察本部警務課長

 県警察では、犯罪被害者やその家族の心情等に配慮したきめ細かな支援活動を行うために、平成16年9月14日から、被害者カウンセラー制度を発足させまして、被害者対策室に臨床心理士の有資格者など3名を被害者カウンセラーとして配置しまして、専門的な立場で精神的なケアを行っております。また、NPO法人神奈川県被害者支援センターにも協力を願いまして、業務委託を行い、民間のカウンセラーによるカウンセリングも行っているところでございます。

内田委員

 今、御答弁にありました被害者カウンセラーや民間の支援センターのカウンセラーの、平成19年度中のその運用状況というものを教えていただけますでしょうか。

警察本部警務課長

 平成19年度中におけるカウンセラーの運用状況でございますけれども、被害者カウンセラーにつきましては、殺人、強かん、強制わいせつ等111件で延べ641件、民間のカウンセラーにおかれましては、殺人、交通事故等22件で延べ37回のカウンセリングを実施しているところでございます。

内田委員

 今、お聞きしますと、被害者カウンセラーの運用状況が非常に多いようですけれども、カウンセリングを行っていく上で、カウンセラーが判断等に迷った時に、また、助言を求める場合もあると思いますけれども、被害者カウンセラーというのは判断力を要する仕事だと思います。そうした意味で、指導・育成についてはどのように行っているんでしょうか。

警察本部警務課長

 被害者カウンセラーの指導・育成につきましては、月に1度、精神科医らのカウンセリングアドバイザーからカウンセリングの進め方、あるいは医療との連携の必要性等について助言・指導を受けているところでございます。また、各種学会にも積極的に参加させ、最新のカウンセリング技術の習得等にも努めさせているところでございます。

内田委員

 医療との連携ということで、この辺は今後更に重要になってくると思われます。

 次に、東京・秋葉原で起きた無差別殺人事件など、ある日突然、犯罪や交通事故に巻き込まれて尊い命を落とし、心や体に傷を負い、あるいは最愛の家族を奪われるといった事件が後を絶ちません。

 このような不慮の事件、事故に巻き込まれた被害者やその御遺族の方々のための給付制度があると承知しておりますけれども、この給付制度、どのような制度になっているんでしょうか。

警察本部警務課長

 この給付制度につきましては、犯罪被害者給付制度と申します。これは、故意の犯罪等により不慮の死を遂げた方の御遺族、または重傷病、あるいは障害が残った被害者の方に対して、国が一定の給付金、これは遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金とありますけれども、これを支給する制度でございます。

 また、通り魔殺人事件等の故意の犯罪行為により不慮の被害を受け、死亡あるいは身体に重傷病が残ったというような場合、その御家族、あるいは被害者の方は大きな精神的・経済的な打撃を受けるわけでございますけれども、しかしながら、加害者が無資力等の理由で、これを救済されないということが少なくないという実態でございます。これらも補うという意味での制度であります。

内田委員

 昔はこういった制度もなかなかなかったんですけれども、やはりこういった被害者支援というのは画期的なことだと思います。ところで、給付金の申請については、やはり不慮の事故ということでなかなか知らない方も多いと思われますけれども、警察では積極的にこのことを言っていただいているのかということと、手続についてお伺いします。

警察本部警務課長

 この周知徹底につきましては、ポスター、リーフレット等を活用したり、あるいは県警ホームページに載せたりしております。また、被害の発生の時には、直接、被害者対策のメニューを渡したりして、その徹底をしているところでございます。

 この申請につきましては、給付金の支給を受けようとされる方は、居住地を管轄する公安委員会が裁定することになりますので、こちらに必要な書類を提出していただいて、その裁定を受けるということとなります。

内田委員

 それでは、平成19年度中の給付金の申請状況というのはどのようになっているのでしょうか。

警察本部警務課長

 平成19年度中の申請者数は38人。裁定した人は44人となっております。その内訳につきましては、遺族給付金の申請者が10名、裁定した人数は12名でございます。重傷病の給付金は、申請者が14人、裁定者数が18人。障害給付金の申請者が14人で、裁定者が14人となっております。

内田委員

 凶悪事件、不慮の事故、交通事故などいろいろあると思いますけれども、申請してくる方というのは、そういった事件に巻き込まれた方のほとんどが申請をされているんでしょうか。

警察本部警務課長

 100%ではありません。申請は本人の意向でございます。ただ、遺族や重傷病ではほとんどでございますけど、障害を受けた方は、その程度によっては申請なされない方もおられます。

内田委員

 それはなぜ申請をなさらない。本人の意向だと言っても、なぜ、その理由がちょっと分からないんですけれども。教えてください。

警察本部警務課長

 重傷病の場合には、3日以上の入院、あるいは1箇月以上の通院ということで、3日以上の入院等では非常に少ない額もございます。そのようなものについては、申請がなされない場合もございます。

内田委員

 要望を申し上げます。

 犯罪の被害に遭った方々への支援はまだまだこれからということで、今後、県警察としてこのような分野も頑張っていただきたいと思います。

 被害に遭われた方々が受けた被害の軽減、回復には、周囲の方の理解や共感、配慮、協力が必要不可欠でございます。そのような中で、事件後、最初に犯罪の被害に遭った方々に接することになる県警察の行う周知や支援活動は、大変重要になると思いますので、今後も支援内容の充実を図ると共に、きめ細やかな支援活動の取組をお願いいたします。

 先ほど申し上げました、今、問題になっている振り込め詐欺のほかに、ヤミ金融事犯というのも結構大変な重要と考えておりますので、その検挙状況についてお伺いしたいと思います。

 平成19年度主要施策説明書151ページ、警察費の3の変化する社会情勢に対応した安全・安心の確保については、複雑多様化する警察事情と、ますます巧妙化、スピード化する犯罪に迅速、的確に対応していかなければならない問題と思われます。

 現在、我が国において、消費者金融等の利用で多重債務状態に陥っている国民が何と200万人超に上ると言われている中、これら多重債務者を対象に、非常に高い金利で金銭を貸し付ける、いわゆるヤミ金融の撲滅が非常に重要だと考えております。そこで、平成19年度におけるヤミ金融事犯の検挙状況についてお伺いします。

 まず、ヤミ金融そのものなんですけれども、その概念や、どういうことをヤミ金融と県警察では考えているのかをお伺いします。

警察本部生活経済課長

 ヤミ金融でありますけれども、法律での定義付けはございません。

 警察におきましては、貸金業法で定められている県知事等の登録を受けていない業者、貸金業法で禁止されている違法な取立てを行う業者、出資法、いわゆる出資金の受入れ、預り金、金利等の取締りに関する法律で定められている法定利率、年利で言いますと29.2%を超える金利で金銭を貸し付けている業者、こういうものをヤミ金融という言葉で表現しております。

内田委員

 ヤミ金融というのは、大変な取立てをする業者もいるそうで、自殺にもつながっていると聞いております。

 最近では、ヤミ金融で大型の犯人が検挙されて、スイス銀行に29億円入っていたのを、こちらで被害に遭った方に分配するというようなヤミ金融ホットライン、こういったものもあったと思いますけれども、県内の最近のヤミ金融の現状というのは、何か分かっていることはありますでしょうか。

警察本部生活経済課長

 最近におけますヤミ金融の現状でございますけれども、県警察では、昨年1月20日、警察本部内に神奈川県警察ヤミ金融事犯取締推進本部を設置し、ヤミ金融事犯に対する取締りを強化しているところであります。

 最近のヤミ金融の現状ですけれども、警察本部内に設置してある専用相談電話、悪質商法110番と言われておりますけれども、その相談状況について言いますと、平成19年度中は321件のヤミ金融に関する相談が寄せられております。本年、平成20年の9月末現在で241件の相談が寄せられていったところであります。相変わらず、ヤミ金に関係する被害が発生している状況がうかがえるところであります。

 最近におきますヤミ金融でありますけれども、平成15年以降から出始めた、いわゆる090金融と言われている業者がありまして、東京都内を中心に事務所を置き、多重債務者を中心に大変高い金利で金銭を貸し付けている者が多くうかがえるところであります。手口といたしましては、多重債務者名簿を使って、過去にヤミ金融から借入れのある被害者、債務者ですけれども、それに電話をかけて融資を勧誘するもの。2万円から5万円といった少額貸付け。7日から10日の短期間で利息3割から5割を徴収するといった超高金利貸付。返済の方法はすべて預貯金通帳、口座への振込。また、取立てについては、携帯電話を使って本人の職場、血縁者、親、兄弟、子供に対する嫌がらせの電話というものがございます。いずれも、この090金融は、債務者との連絡をとるために利用する携帯電話、それと債務者から利息金等を振り込ませる預貯金通帳、これはいずれも他人名義であります。そのようなことから、やはり自らの身元を分かりにくくして、警察の捜査を著しく困難にさせている状況にあるといったところであります。

内田委員

 平成19年度中のヤミ金融事犯の検挙状況をお伺いします。

警察本部生活経済課長

 平成19年度中のヤミ金融事犯の検挙は10事件の15人、逮捕者は13名であります。ちなみに、平成20年9月末におけるヤミ金融事犯の検挙は5事件の8人、逮捕者5人であります。

内田委員

 その事件に関して、何か詳しいことが分かる事例というのは、もしありましたら教えていただきたいと思います。

警察本部生活経済課長

 これは平成19年なんですけれども、5月23日、登録を得ていない業者なんですけれども、たまごクラブという名称を使いまして、やはり口座振込で、携帯電話もただ今お話ししたように、他人名義の携帯電話を使って貸付けをし、多額の利益を得ていたというようなことで検挙した事例がございます。ほかに、さくらファイナンスもやはり同じような手口で、他人名義の口座、他人の携帯電話を使って貸し付けているというようなものであります。

内田委員

 ヤミ金融事犯では被害額も大きいと思いますけれども、ヤミ金融事犯の今後の対応というのを教えていただきたいと思います。

警察本部生活経済課長

 ヤミ金に対する今後の対応でございますけれども、現在、県警察本部と数警察署とで、横浜地区ヤミ金融事犯取締推進本部、さらに、県央地区に、海老名を中心としまして、県央地区ヤミ金融事犯取締推進本部、二つの連合捜査体制を組んで、ヤミ金事犯の捜査を推進しているところであります。

 県警察では、ヤミ金融事犯の根絶を図るために、何よりもこの事犯に対する徹底した取締りを図っていくことが重要であると考えております。今後におきましても、ヤミ金融事犯の取締りを強力に推進していく方針であります。

 また、いわゆる090金融の犯行手段として用いられる他人名義の携帯電話や預貯金通帳の違法売買に対する取締りについても、併せて強化していく方針でおります。

内田委員

 さらに、多重債務者は増えていると聞いております。カード社会ですので、やはりそういったところに付け込まれて、ヤミ金融に走ってしまう被害者も多く存在しますので、是非、警察としても、悪質な業者に関しては徹底して取り締まっていただきたいと強く要望いたします。

 次に、児童虐待に対する警察との連携について少しだけ質問させていただきます。

 主要施策説明書の66ページ、子どもが健やかに育つ環境づくりには、こういった児童相談所と警察との連携について強化をしないといけないということで、ここにも児童虐待への対策を進めるために、地域におけるネットワークに対する支援を充実強化したと書いてあります。

 まず、本県における児童虐待相談のうち、児童相談所が警察から受けた件数、この5年間の推移についてお伺いします。

子ども家庭課長

 本県所管域の児童虐待相談受付件数でございますが、平成19年度は1,438件でしたけれども、このうち、警察から受け付けた相談は225件、全体の15.6%を占めておりまして、家族・親せき、近隣知人に次いで、多い順から3番目となってございます。

 この5年間の推移でございますが、警察から相談を受けた件数の割合について御報告させていただきますが、平成15年度は5%、16年度は4.7%、17年度は5.6%、18年度は9.2%で、平成19年度が15.6%ということで、警察からの相談件数が増加傾向ということでございます。

内田委員

 平成19年度は15.6%が警察からの連絡ということで、やはり認識が高くなってきて、警察の方も非常に協力的になってきたと思われます。

 児童相談所が警察から受ける相談にはどのような事例が多いのかということと、また、そのような事例について、逆に、児童相談所から警察に告発するような事例があるのか、両方教えていただきたいと思います。

子ども家庭課長

 警察におきましては、地域の住民から虐待通報を受けた場合に、警察から児童相談所に対しまして通告をすることになってございます。また、警察が何らかの事件などの通報を受けまして、捜査する中で、児童虐待を疑った場合にも児童相談所に通報されることになります。

 平成16年度に児童虐待防止法の改正が行われましたが、これ以降、保護者間による暴力によりまして、著しい心理的傷害を与えることにつきましても児童虐待に加えられたところでございます。こうしたことから、最近は、警察がDVの通報を受けた場合に、児童相談所に通報する事例が増えているところでございます。

 それから、児童相談所が警察に告発したということでございますけれども、児童相談所が調査を進める中で、保護者の行為が悪質なものにつきましては、児童相談所から警察に告発する場合がございます。この数でございますが、平成18年度から20年度までは、この2年半の間で、全部で6件告発を行ってございます。その内容を見ますと、身体的虐待が3件、性的虐待が3件でございます。どのような事例ということでございますが、一つ事例を御紹介させていただきますと、身体的虐待で逮捕に至りました事例でございますが、小学校6年生の男の子に対しまして、35歳の同居の男性が背中をけ飛ばすなどいたしまして、ろっ骨を折ったほか、顔をたたいて、右耳の鼓膜を破裂させまして、それぞれ1箇月の重傷を負わすと、このような事例がございます。

内田委員

 この児童虐待に関する経費の中で一番かかるのが、情報ネットワークシステムの開発ということで、システム開発費委託料の5,600万円のうちの1,600万円ぐらいだと思うんですけれども、この情報ネットワークは児童相談所だけのネットワークなのかということと、警察との連携にも用いられているのかということをお伺いします。

子ども家庭課長

 情報ネットワークシステムにつきましては、児童相談所職員相互の情報共有、援助経過の適切な進行管理と事務向上を図るために、平成19年度に開発を行いまして、今年度本格稼働させたところでございます。

 このシステムは、各児童相談所の中で、情報共有や進行管理が行われるほか、県所管域の五つの児童相談所間で情報を共有できるようにしてございます。しかし、このシステムで扱う内容でございますが、虐待に限らず、障害の相談でありますとか、不登校の相談など、児童相談所が受け付けたすべての子供にかかわる非常に重要な個人情報となってございます。このため、各児童相談所間における情報の共有につきましては、閲覧できる職員の制限をかけるとともに、警察等の関係機関に対しましても、基本的に本システムにおける情報は閲覧できないこととしておりまして、必要な情報は地域の要保護児童対策地域協議会の場で情報交換をするということになってございます。

内田委員

 児童虐待で警察から連絡を受けたり、告発したりとか、いろいろありますけれども、まずは虐待を受けた子供の、ひどい場合は別として、しつけなのか虐待なのか分からないものの判断基準というものが、それを判断する専門職員の能力、判断力の方がすごく求められることだと思いますけれども、そういった専門職員の判断力を高める活動というか、研修とか、いろいろ勉強会があると思いますけれども、どのように取り組んでいるんでしょうか。

子ども家庭課長

 現在、保護者への対応が大変難しい状況が非常に増えてございます。こうした点を踏まえまして、中央児童相談所に虐待防止対策支援課というものを設けてございまして、こちらで法律相談をしてございまして、この機能を用いまして、告発の可能性があるものにつきましては、児童福祉司等が嘱託弁護士などからアドバイスを受けることができる体制を整えているというのが一つでございます。

 また、保護者の逮捕につながる方針を立てるに当たりましては、被害に遭った子供の希望を尊重するなど、やはり子供の人権に十分配慮した対応を図る必要があるということでございます。

 そのため、児童の福祉に関しまして、高度な識見等を有している医師、弁護士、学識経験者などで子ども人権審査委員会というのが構成されておりまして、これは毎月開催されておりますので、この場において意見を頂いております。

 このような専門的なアドバイスを頂きながら、職員の総合的な判断のよりどころとさせていただいているというところでございます。

内田委員

 最後に、警察との連携をこれからも充実させるために、今後どのように取り組んでいくのか姿勢をお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 警察と児童相談所でございますが、それぞれがアプローチの手法やノウハウというのは異なってございます。

 虐待の程度が比較的軽易であり、また、家族を支援する方向でかかわることによりまして、児童虐待が軽減するような事例であれば、児童相談所が主体的にかかわることがございます。また、逆に、保護者が虐待を正当化しようとしたり、児童相談所の指導に対して反発や威嚇を行う場合、子供の安全確保が困難となることが予想されるような事例の場合には、き然とした対応をする必要がありまして、このような場合は警察のかかわりが求められてくるところでございます。

 そこで、あらゆる事例に的確に対応するために、児童相談所と警察の双方の目標と役割につきまして、それぞれが理解を深めることが必要になります。このため、それぞれの地域におきましては、要保護児童対策地域協議会におきまして、様々な事例の検討を講じながら、役割分担の確認を行うと、これが一つでございます。それと併せまして、広域的な視点からは、各児童相談所の所管区域ごとの連絡会議ですとか、県警と横浜市、川崎市、横須賀市を含めた県内の児童相談所の連携の会議を引き続き行うことによりまして、支援の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

内田委員

 では、要望を申し上げます。

 一口に虐待と言いましても、家庭への支援を充実させることによって改善するものもあれば、子供の生死にかかわるような虐待で、児童相談所をはじめとした関係機関がき然とした態度で保護者に対応しなければならないものまで、様々な事例があると思います。

 悲惨な虐待については、警察や家庭裁判所との連携をより一層深めて、子供を守るように努めなければならないと思います。

 私の住む青葉区に中里学園がありますけれども、中里学園の7割の生徒さんは被虐待児ということで、私もいろいろな思いがあったんですけれども、児童棟の個室化やユニット化工事、それから耐震化、こういった設備、ハード面での設備も整えてきたと思います。さらに、これからは、精神的な面とか、また、子供の人権や尊厳を守っていただきたいと思いますので、慎重かつきちっとした判断力で子供たちを是非守っていただきたいと思います。

 私の質問はこれにて終了いたします。