平成20年  厚生常任委員会 - 1120日−01

平成20年  厚生常任委員会

◎《委員会記録-20081120-000009-厚生常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(木村・寺崎の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 傍聴の許否について決定

  1件申請 1件許可

5 報告事項

  「「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案に対する県民意見反映手続等の実施結果について」(保健福祉部長)

  「「神奈川県食の安全・安心推進条例(仮称)」の基本的考え方について」(同上)

  「「神奈川県新型インフルエンザ対策行動計画」改訂素案に対する県民意見反映手続及び新型インフルエンザ対応合同訓練の実施結果について」(同上)

  「「神奈川県障害福祉計画」の改定について」(同上) 

  「「かながわ高齢者保健福祉計画」の改定について」(同上)

  「「神奈川県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」の改定について」(同上) 

  「相模原市の政令指定都市移行に向けた取組みに係る県の対応について」(同上)

  「「神奈川県立がんセンター整備運営事業」の特定事業の選定について」(病院事業庁長)

6 日程第1を議題

7 同上質疑(報告事項も併せて)

 

内田委員

 私の方では報告資料ではなくて、先日の決算特別委員会でも、産科医師不足など県立病院の体制や、それから産科医を取り巻く諸問題については、私を含め、様々な質疑がございました。全国的なこの問題は、神奈川県においても今一番の本当に喫緊の課題であると考えられます。

 東京都でも妊婦の事件が明るみになったように、神奈川県としても、早急に、そして確実に進展させていかなければならないのが、周産期医療体制及び救急医療、それから産科医師不足、この辺にあると思います。なぜならば、本日の午後から受動喫煙防止条例骨子案について連合調査会が予定されておりますけれども、はっきり申し上げて、受動喫煙は、たばこを吸ったからといって今すぐ死ぬわけではない。けれども、この産科医師不足や妊婦さんの搬送や、また救急医療体制というのは、もうそのまま生死にかかわってくる問題ですから、本当に切迫した問題だと私は思います。だからこそ本日も質問を繰り返しますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、平成20年1月6日に、これは私が調べたものなんですけれども、松沢県知事あてに、神奈川県産婦人科医会から神奈川県の周産期医療対策に関する声明文のような要望書が出されていると思います。特に夜間、時間外のハイリスクな妊産婦、新生児の受入れを行っている現場の産婦人科医及び小児科医の直接的な支援策というものを早急に講じていただくよう、産婦人科医の団体の方から要望が出されているわけです。

 県としては、そうした直接的な支援策について、どうとらえていて、そして今まで、平成20年1月以降、短い期間ですけれども、実際的にどんな実効性のある取組を行ってきたのか。また、今年、東京都の事件があったことも踏まえて、ここで改めて詳細をお伺いします。

医療課長

 まず、現場の先生方への支援ということについて、どうとらえているのかということですけれども、それは本当に大変重要なことだというふうにとらえております。

 何をやってきたということについては、県の方では、ハイリスクな周産期救急の患者さんの受入れを行うために、周産期救急システムというのを現場の先生方の御協力によって整備をしているわけなんですけれども、その中でシステムに参加していただいている医療施設に対して運営費の補助をしております。この補助は現場を担う先生方の給与費というのも対象として支援をさせていただいているという状況です。

 さらに、システムの基幹病院の先生が今まで自分のところに来た患者さんをほかの病院に紹介するときに、診療しながら電話もかけてという状況で、非常に負担がかかっていたところを、そこの部分を救急医療中央情報センターがサポートすることによって、負担を軽減するということをやっております。これは1月から始めたというわけではないんですけれども、こういったことに取り組んでやってきたというのが現状でございます。

内田委員

 この間の決算特別委員会のときの説明でも、情報センターについては、全国的に神奈川県は割と有名であって、充実を進めてきているのは、私も十分認識しております。ただ、産科医師のこういったグループ、団体からまだまだ要望があるということは、やはり、まだどこかに課題があると私は思うんです。

 救急要請における産科・周産期傷病者のうち転院搬送を除く患者は出生数の約2.5%で全国平均の1.6%を大きく上回っており、平成18年のデータでは都道府県中第4位なんです。この間も決算特別委員会においての話で、新聞記事などで、県内で4時間の立ち往生の末に、やっと妊婦さんが運ばれたケースなど、まだまだそういった事件というのがあります。ところで、県外に搬送している例というのは全体の何%と把握しているんでしょうか。

医療課長

 県外搬送については、平成17年度、平成18年度ともに約100件というふうに把握しております。分母である全体の件数が1,000件でございますので、約10%が県外搬送というふうに把握しております。

内田委員

 今、平成17年、18年とおっしゃいましたが、例えば、昨年度とか今年の状況というのは何か把握しているんでしょうか。

医療課長

 平成19年度は現在集計中、精査中という状況なんですけれども、約80件と聞いておりまして、若干の減少が見られるという状況です。

内田委員

 この80件をすべて県内で賄うというのは、いろんなケースがありますので、結構困難なことだと思いますけれども、できるだけこの数を何とか減らしていく方向に持っていかなくてはならないと考えます。

 周産期医療に従事する医師数、産科医師及び新生児の受入れのときの小児科医など、医師数自体が減少していることというのも全国的な課題の一つですけれども、県のここ10年のこれまでの推移について、この周産期医療に関して分かっていることがあれば確認したい。

医療課長

 周産期にかかわる先生方の数ということなんですけれども、科ということでは、産科、産婦人科、小児科ということになってくると思います。産科及び産婦人科については、平成8年度には703人いらっしゃったのが、10年後の平成18年度では638人ということで65人の先生方が減っている。小児科については、平成8年度、18年度ともに901人ということで増減はないんですけれども、周産期ということになると、病院の小児科の先生がかかわってくるというふうに考えたときに、平成8年度は病院の小児科の先生は496人だったのが平成18年度には428人ということで、ここでも68人減っているというような状況でございます。

内田委員

 全体的に減っているということで、この数がやはり今ネックになっていると思うんです。

 ハイリスクな症例の妊婦さんの受入病院への国の動きというのは、まだまだ鈍いと思いますので、この前は東京都でしたけれども、神奈川県においても、いつ起こるか、事件として明るみに出てしまうか分からないので、特に周産期救急システム参加施設のうち中核病院や協力病院の産科救急に対して、行政の補助という観点から県としては、そのほかにどんなことを考えているのか。

 また、例えば、知事は受動喫煙防止で、このたびマニフェストにもあったので非常にアピールをしています。逆に私は、県としてもこういった周産期医療に対して、神奈川県はすごく安心だよということを国民に分かるように、そっちの方向でアピールしたらどうかと本当に思うんですけれども、その辺の知事部局、知事の考え方の動きというのは何か見られるんでしょうか。

医療課長

 アピールのことからお答えしますと、やはり周産期救急の充実というのは、委員おっしゃるように非常に大事な問題で、アピールしていく必要があると考えておりまして、現在、県の総合計画における重点プロジェクトにも位置付けておりますし、保健医療計画にも位置付けておりますので、県としては、アピールをしているところです。

 前段の部分の周産期の病院への補助の考え方というところなんですけれども、先ほど申し上げました補助では、産科救急と新生児救急の両方を一緒に周産期として、やっていただいているので、その運営に必要な先生方の給与費などを対象としまして、小児の重症な方が入るNICUですとか、これから出産される妊婦でいろんな状態になった方が入るMFICUいうような病床、そういうところを持っているところは、やはり周産期救急に非常に大きな力を発揮してくださっているということを考えて、そういったところを積算に使って補助をやっていると、そういうような考え方でやっております。

県立病院課長

 周産期救急についての県の取組というお話がございました。医療課長からは周産期医療システムの御答弁をしたところでございますが、県の取組ということでは、こども医療センターが総合周産期母子医療センターの指定を受けているわけですが、そうした中で、NICUの問題については、足りないんだということで、昨年までは、こども医療センターは15床のNICUがあったわけですが、今年度の事業としてNICUを6床増やすということで、整備費用に1億8,300余万円をかけて実施したところでございまして、現在21床が稼働中でございます。

 NICUを6床増やし、稼働を21床にするために、看護師を16人増やしました。また、医師も非常勤医師を増やしておりまして、そうした意味では、県としても、こども医療センターの部分でございますが、そうした取組も行っておりますので、是非、御理解をいただきたいと思います。

内田委員

 NICUの件については決算特別委員会でもお伺いしたので大体把握しているんですけれども、産科医師の過酷な労働条件や勤務条件に関して、県は逐一どのように調べているのかということと、それは病院単位でちゃんと調べているのかどうか。それから、明るみになった実際のケースというものは、いろいろ報道されていますけれども、県内では幾つか具体例があるんだったら教えていただきたいと思います。

医療課長

 ちょうど国から1027日付けで東京都の事案を受けて調査がありました。それで、県では、県の周産期のとりでである総合周産期母子医療センターに診療体制をお聞きしました。そうしたところ、県内の四つの総合周産期母子医療センターでは、要件的には足りている数ということで調査結果があったんですけれども、ただ、これについては、要件を満たしているものの、24時間、大変な周産期をやっていただいていると、それは勤務環境は相当厳しいだろうなというような状況であろうと分析しております。

 ですから、要件は満たしているんだけれども、先生方の環境はそれにも増して非常に厳しいというように考えております。

内田委員

 過酷な労働というのは、24時間体制ということもあって1日半続けて働いているという、ほとんどそうだと思いますので、県内の妊産婦の産科周産期医療体制に対する不安というのは、女性が2分の1おりますから、やっぱりすごく不安というのはあると思うんです。その問題解決のためには、国の政策だけを待たずに、県でもあらゆる限り施策を考えていくべきだと思います。

 安定的かつ持続可能な体制を構築するためには、ハイリスクな妊産婦と新生児受入促進事業に関して、特に推進していくべきだと考えますが、先ほどのNICUを増やすということとか、そういった中核病院や協力病院との連携、こういったことで来年度に向けての取組は何かあるのか、お伺いいたします。

医療課長

 まず、先ほど申し上げたことを着実に来年度もやっていくということは当然のことであり、さらにそうしたものを充実していく方向で頑張っていこうというふうに考えております。

内田委員

 受動喫煙防止条例のことがいろいろありまして、こちらの方がおざなりにならないかと私は心配しておりますので、やはり喫緊の課題ということを、十分認識されているとは思いますけれども、是非、改めて力を入れていただきたいと思います。

 

(日程第1については、この程度)

 

8 閉  会