平成20年  厚生常任委員会 - 1211日−01

平成20年  厚生常任委員会

◎《委員会記録-平成20年12定-20081211-000010-厚生常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(内田・吉田の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 人事異動に伴う当局幹部職員の紹介

5 傍聴の許否について決定

  8件申請 8件許可

6 テレビ撮影の許否について決定

  1件申請 1件許可

7 報告事項

  「「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」素案について」(保健福祉部長)

  「「神奈川県在宅重度障害者等手当支給条例」改正素案等について」(同上)

  「「食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例」改正素案について」(同上)

  「「神奈川県食の安全・安心推進条例(仮称)」骨子案について」(同上)

  「「神奈川県新型インフルエンザ対策行動計画」改訂案について」(同上)

  「「神奈川県障害福祉計画」改定素案について」(同上)

  「「かながわ高齢者保健福祉計画」改定素案について」(同上)

  「「神奈川県ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」改定素案について」(同上)

  「「平成21年度神奈川県食品衛生監視指導計画」素案について」(同上)

  「「条例の見直しに関する要綱」に基づく保健福祉部所管条例の見直し結果について」(同上)

  「県立病院の一般地方独立行政法人への移行に係る定款素案について」(病院事業庁長)

8 日程第1を議題

9 提案説明(保健福祉部長)

 (休憩 午前1146分  再開 午後1時4分)

10 日程第1について質疑(両部所管事項及び報告事項も併せて)

 

内田委員

 それでは、今日は、病院事業庁の県立病院の一般地方独立行政法人への移行について報告がございましたけれども、少子高齢社会の到来による疾病構造の変化などがある中で、県民の医療ニーズは多様化しており、県立病院の果たすべき役割は、以前にも増して大きくなっていると考えています。その一方で、国の医療制度改革や診療報酬のマイナス改定など、県立病院を取り巻く環境は非常に厳しくなってきているのも事実です。

 このような中、県は、本年3月、平成22年度を目途に、指定管理者制度を導入した汐見台病院を除いた県立6病院を、一括して一般地方独立行政法人へ移行するとの方針を発表しましたが、県民の皆様の県立病院への期待は大変大きなものであり、我が党としても、地方独立行政法人への移行に関して、非常に高い関心を持っております。

 本定例会の代表質問においても、この間、佐藤光議員が質問を行ったところでございますが、この問題の最大のテーマは、県立病院が地方独立行政法人へ移行した後の政策医療や不採算医療など、県立病院としての公的な役割を担っていくことができるのか、そしてサービスの観点、そうしたところが一番重要な課題だと私は認識しております。そこで、こうした点を中心にお伺いさせていただきます。

 まず、そもそもなんですけれども、国の動き、県立病院などは、どこの地方も一般地方独立行政法人へ移行していくと考えておりますが、神奈川県の位置、その進ちょく状況、ほかの県や国全体での中で、この神奈川県はどういう進ちょく状況にあると考えているのか。

県立病院課長

 国の方では、国立病院が既に独立行政法人化されているわけであります。今回のいわゆるナショナルセンターといわれる高度専門の国立病院については、これまで直営でやっていたわけですが、今回、法律が制定されまして、いずれ一般独立行政法人に移行するということが決まったところです。

 地方の方でございますが、大阪府につきましては、既に独立行政法人化されております。これは、公務員型でございます。そのほか、静岡ですとか、山梨ですとか、幾つかの県で、そうした動きが進んでいるところでございまして、本県もそうした中の一つと認識しております。

内田委員

 それでは、今、お聞きした件ですけれども、そういうことは、国、大阪、静岡、山梨など、割と、がんセンターなど報告事例も、良い報告が出ているところです。その中では、やっぱり大都市としては、神奈川県も早いところの進ちょく状況にあると考えてよろしいんですか。

県立病院課長

 都道府県のレベルでは、かなり早い段階で議論がされているというふうに認識しております。

内田委員

 分かりました。それでは、まず確認の意味で、地方独立行政法人制度は、そもそもどのような制度なのか。改めて、この制度の基本的な考え方を教えていただきたい。

県立病院課長

 まず、地方独立行政法人法によりますと、地方独立行政法人とは、住民の生活でありますとか、あるいは地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地から、その地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要はないけれども、民間の主体にゆだねた場合には、必ずしも実施されないおそれがあるものということで、そうした事業を効率的かつ効果的に行わせることを目的として、地方公共団体が設立する法人となってございます。

内田委員

 今、御答弁にありましたように、地方独立行政法人制度というものは、地方公共団体が自ら主体となって直接実施する必要はないが、民間にゆだねてしまっては必ずしも実施されないおそれがあるということを、効率的にかつ効果的に実施するということでございましたけれども、こういった制度ということですが、我が県の県立病院について、今の御答弁にあったことを当てはめると、もう少し詳細はどうなっているんですか。

県立病院課長

 やはり行政主体自らが直接実施しなければならない業務というのは、基本的には、例えば、許認可事務でありますとか、公権力の行使にかかわるような事務、あるいは行政計画の立案などのいわゆる政策の立案業務、こういったものは、行政主体自らが担わなければいけない業務だというふうに思っています。こうした業務に比べて、病院事業でありますけれども、どちらかというと、実務的な業務が中心になるのかなと思っております。

 病院事業については、設置主体を考えてみましても、国立病院があり、私ども都道府県、あるいは市町村立病院があり、あるいは済生会や日赤などの公的医療機関があり、大学病院があり、それから民間病院があり、非常に多様な設置主体が病院を設置運営しているわけでありますので、病院事業そのものは、必ずしも地方公共団体が直接実施しなければならない事業ではないというふうに思っております。

 しかし、一方で、現在の県立病院が担っている子供医療やがん医療、あるいは地域ではなかなか対応できない病院については、そういう高度専門医療や不採算医療、これはやはり民間病院に対応をゆだねることはなかなか困難だというふうに思っております。そういう意味では、先ほど答弁いたしましたように、地方公共団体が自ら主体となって直接実施する必要がないけれども、やはり民間にゆだねた場合には、必ずしも実施されないおそれがあるという法の趣旨に非常に合致する、そうした事業ではないかというふうに認識をしているところでございます。

内田委員

 やはり、私も以前ですけれども、県立病院は、やはり高齢者の方などが、すごく頼りにしているわけです。それが、民間にゆだねられてしまうような感じを受けると、すごくその辺のサービスが行き届くのかとか、勤務なさっている先生方から不平、不満が出ないのか、こういったところが非常に気になるところなんですけれども、まず、そういった高度な医療、がんとか、それから子供の医療など、そういった専門医療と、それから不採算医療を継続して実施していくという考えであることは、一応は理解はできるんですけれども、効率的かつ効果的に運営するということでいえば、現在の地方公営企業法の全部適用も同じような制度だと思うんですけれども、両制度の根本的な違いというのは何でしょうか。

県立病院課長

 今、内田委員御指摘のとおり、地方公営企業法の地域住民の福祉の増進を目的として、県が、直接、経営する企業でありまして、経済性の発揮ですとか、公共の福祉の増進、こういったものを経営の基本原則としておりまして、特に一部適用から法の全部適用になって、知事の多くの権限を病院事業管理者に付与したところでございますので、そういう中で、効率的、効果的に運営するということについていうと、御指摘のとおり、地方公営企業、地方独立行政法人には、大きな違いがないというのも事実でございますが、しかしながら、実は地方公営企業法では、法が期待するほどの技術的、機動的な経営ができていないということが、これがまた実態でございまして、その理由としては、これは国の方でも述べておりますが、地方公営企業というのは、どうしても地方公共団体の組織の一部でございますので、地方公共団体の財務とか、組織とか、人事関係、これを定める地方自治制度の基本的な枠組みから自由度に制約がある。

 もう一つは、病院事業管理者を完全に独立した執行機関とするのが困難である、こういった制度的な、実態的な制約があるというふうに言われております。こうしたこともあって、地方公共団体とは別の法人格を有する法人が地方公共団体の業務の一部を執行する地方独立行政法人制度という制度が整備されたというふうに理解をしております。地方公共団体とは別の法人格を有しますので、そうした中で、効率的、効果的な事業を運営することができるものと理解をしているところでございます。

内田委員

 今の御答弁によりますと、そういうふうに決められた現在の地方公営企業法の全部適用の中では、県立病院を運営する上では、制度的にも、また実態的にも制約がある。例えば、人事管理とか、それから新しい人材を開発する、例えば、医師や看護師を新しく増員するなどのところに、いろんな制約が出てきているからということでよろしいのかと思いますが、具体的には、ほかにどのような制約があるんでしょうか。

県立病院課長

 まず、制約の前に、病院事業の特徴というのがございますが、その医師や看護師、コメディカルなどの多様な職種の方が働いている。そういう意味では、労働集約的な事業でありますし、人が病院経営の基本だということがございます。

 もう一つは、多くは資格職の人でございまして、女性も非常に多いということもあって、労働流動性が高く、毎年、多くの職員が退職し、また多くの職員を採用しなければならない、そういう事業であります。それから、病院事業は診療報酬制度という中で、全国一律の法定価格の中で病院経営を行う必要がございますが、そういう意味では、コストを価格に転嫁することができない。それから2年に一度診療報酬が改定されて、その改定に速やかに対応しなければならないという、非常に病院経営というのは難しい事業だというふうに理解しております。そういう難しい事業を地方公共団体の財務、組織、人事管理などの制約の中で動くということで、具体的な事例を申し上げさせていただきますと、例えば、職員の採用につきましては、医師及び看護師以外の職種については、地方公務員法に基づいて全庁的な採用のルールが決まっておりますので、病院事業庁が勝手にできないということがございます。

 今、お話ししたように、診療報酬改定が変わったときに、何かすぐそういった手を打たなければいけないといったときにも、どうしてもすぐには対応できない。1年、2年先になってしまう、そんなこともございます。

 それから、事務職員の関係でいいますと、やはり病院経営というのは、医療事務に携わる事務職員というのは、医事の専門性に加えて、あるいは医療そのもの、あるいは病院がどう動いているのか、そういったことの基本的な知識あるいは情熱といったものが病院経営に不可欠でございますが、やはり病院事業庁も、県の内部の組織の一部でありますから、事務職員、人材育成の観点から、基本的には、一般行政組織と同じように、3年から4年で人事異動を行わざるを得ないという中で、専門性の確保が難しいというふうに思っております。

 神奈川県の組織、定数は条例で決まっておりますが、そういう中で、医療環境の変化や多様化する県民のニーズに応じた職員の増員がなかなかできない、そういった実態的な制約があるのかと理解をしております。

内田委員

 今の御答弁によれば、人的ソフトの増員など、そういった制約が今のままではとても難しいので、このように地方独立行政法人へ移行するという動きなんですけれども、先ほど一番初めに質問したことなんですけれども、大阪や静岡など、割と医療が発達してきていると見受けられる府県において、成功例や失敗例、いろいろ問題や課題が、もう既にあがってきていると思うんですけれども、その辺は何か認識されて、我が県に反映していこうと考えているんでしょうか。

県立病院課長

 大阪府立病院の場合は、これは公務員型の独立行政法人でございますので、必ずしも私どもの一般型の独立行政法人と比較することが難しいということが一つございます。

 それから、実は、大阪府立病院機構は、独立行政法人化する直前の17年度末の経営状況で累積欠損金が802億ほどある。それから、不良債務が60億もある。そういう状況の中で、独立行政法人になった。そういうことになりますと、医療をするというよりも、経営改善が主なということになりかねないということもございます。

 そういう意味では、まだ独立行政法人に移行して間もないということもございますので、なかなか参考になる事例はないかなと思っておりますが、本県の場合は、幸いにして、現在、経営が安定しているという状況でございます。そうした中で、独立行政法人に移行しても、その医療を担っていくことができるのではないかというふうには思っております。

内田委員

 大阪の例と本県を比べるのは難しいと思うんですけれども、私どもで静岡県立がんセンターを視察して、新しい病院だったので、いろいろ機能的にも整っていると思ったんですけれども、そういった静岡県の例が、もし分かれば教えていただきたい。

県立病院課長

 静岡県については、内田委員お話しのがんセンターがございます。実は、静岡県のがんセンターは独立行政法人に移行しない。既に全部適用のままであります。残っている他の県立病院を独立行政法人化するという形であります。これはどういう意味かというのは、あまりはっきり分からないところでありますが、新しい病院として、相当、あそこには県からの一般会計負担金も出ているという中で、独立行政法人に移行しないで、全部適用のまま運営をするというように承知をしております。

内田委員

 県立病院事業は、平成17年度以降は3年連続で経常収支が黒字を達成してきていると認識しておりますけれども、例えば、静岡県のように、地方公営企業法の全部適用を続けていくという選択肢も、当然、県としては、持っているんだと思いますけれども、なぜこの時期に神奈川県は地方独立行政法人に移行しようとしているのか。

県立病院課長

 17年度に、私どもの事業も一部適用から全部適用で、病院事業管理者を置いて運営して、一定の成果があって、今お話しいただいたように、17年度から3年連続で経常収支の黒字を達成しました。今後のことを見通してみますと、医療機器についても、実は取得後10年以上を経過した医療機関が全体の55%に達していると、あるいは、今後、がんセンターの総合整備ですとか、老朽化した精神医療センターの整備にも取り組んでいかなければならない。大変、医療需要が拡大をしていくことが想定されておりまして、これらに対応していくためには、新たな設備投資が必要でございますけれども、3年連続黒字とはいえ、黒字の額はわずかでございますので、現在以上の設備投資をするというのは、非常に難しい状況でございます。そうした中で、県民が求める良質な医療を担っていくためには、やっぱり一層の経営改善を行っていくことが避けては通れないというところだろうと思っております。

 実は、今、経営が安定しておりますので、そうしたときに、5年先、10年先の動向を見据えて、経営という観点から見ると、大変重要なのではないかと思っておりまして、先ほど大阪府の例を出しましたけれども、やはり不良債務があるような中で移行するということでは、本来の独立行政法人法の利点を生かせないというふうに思っております。その点は是非、御理解をいただければと存じます。

内田委員

 私ども、いろいろな病院を見ております。やはり老朽化というものは非常に目に付く。例えば、芹香病院の管理棟とか、循環器呼吸器病センターの建物自体も、見るからに老朽化している。その中で、やはり設備投資は難しいということなんでしょうけれども、そういった老朽化も非常に目に付くところで、もう一つは、本当に、この県立病院が地方独立行政法人に移行するということになってくると、民間病院では、なかなか対応が困難な医療機能を担うという重要な役割を、この県立病院は、これからも果たしていかなければならないと思うんですけれども、本当に公的な役割ということを果たすことができるのかどうかというのが、やはりどうしても最後に疑問が残るんですけれども、この点について伺いたい。

県立病院課長

 地方独立行政法人は、そもそも県立病院の運営を行わせるために、県が設置する法人でございますので、その点は、是非、御理解を頂きたいと存じます。おっしゃるとおり、どう公的な医療を担保する仕組みができているのかということになるわけですが、まず知事が独立行政法人に行うべき業務、これを中期目標という形で、法人側に指示をします。どういう医療をやりなさいということを指示します。その指示を受けて、法人がその中期目標を達成するために、中期計画というのを作成して、その中期計画も、知事が議会の議決を経て認可する仕組みになってございます。

 また、法人は、その中期目標の期間における業務の実績について、評価委員会の評価を受けて、その評価委員会の報告については、知事から議会に報告するということでございます。県立病院の役割を果たすため、担うための法人でございますので、法人が勝手に物ができるということでもありませんし、勝手に何かをやめてしまう、そんなことができる仕組みではないということもございます。

内田委員

 なかなか勝手にやめられないということですけれども、既に独立行政法人に移行している国立病院機構の南横浜病院が12月1日に廃止されたのと同様に、今、廃止されることはないとはおっしゃっていますけれども、不採算となった診療部門があれば、それを切り捨ててしまうのではないか。例えば、産科医療に関しても、今、実際にそういうのがありますよね。そうやっていろんな部門で切り捨てとか、そういったものが県から離れていくことによって、冷たい言い方ですけれども、切り捨ててしまうとかいった問題が残ると思うんですけれども、この辺についてはどう考えているか。

県立病院課長

 お話にありました国立病院機構の場合ですが、実は、国立病院機構の場合には、146の病院があるんですが、定款に病院名が記載されていないで、その他の規定のところで病院名が記載されております。そこで、ある意味では、国立病院機構の方が採算性が合わなくなったということで、先ほどお話しのように、南横浜病院が12月1日に廃止されたということになってくるわけでございます。

 これに対して、県立病院の地方独立行政法人化の場合には、法律によりまして、定款に個々の病院を明記することになってございます。先ほど、常任委員会報告資料でも御報告させていただきましたが、名称と所在地が書き込んだところで、これは定款の一部でございますので、議決が必要でございますし、やめる場合には、この定款を改正しなければならない。改正するときにも、当然、議会の議決が必要だということでございます。

 そういう意味では、国立病院機構とは全く異なって、定款でそうしたものをやっておりますので、法人の判断で病院を廃止する、そういうことはできない、そういう仕組みになっているところでございます。

内田委員

 今おっしゃっていただきましたが、制度的には地方独立行政法人というものは、国立病院機構と違って定款に記載があるからということで、公的な役割を果たす仕組みがあるということは分かりました。実際に、がん医療や小児医療の高度専門医療などを実施していくためには、きちんとした財政的な裏付け、これが一番大事だと思っておりますけれども、これについては、その裏付けというのはどのように考えているんですか。

県立病院課長

 やはり高度医療や専門医療、あるいは不採算医療を担っていくためには、当然、一般会計からの負担金繰入れということは重要なことだと思っておりまして、現行の地方公営企業法から地方独立行政法人法も、実は同様の規定になってございまして、その規定ですが、一つには、その性質上、当該公益企業型地方独立行政法人の事業の経営を伴う収入をもって充てることが適当でない経費、あるいは独立行政法人の性質上、能率的な経営を行っても、なお、事業の経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められた経費については、設立した地方公共団体が負担金を負担するものと規定されています。これは、現行の規定と全く同じでございます。独立行政法人になりまして、弾力的な経営を行うことによって、経営の効率化を進めていく必要は、もちろんございますけれども、しかし、今、委員のお話のように、高度専門医療や不採算医療を行うのに必要な経費については、負担をしていただく必要があるというふうに理解をしております。

内田委員

 この間の我が党の佐藤議員の代表質問に対する病院事業庁長の答弁で、中期目標については現在検討を進めているということでしたけれども、今回、報告がございました地方独立行政法人化後の病院経営における取組の基本的な考え方について、もう一度お伺いしたいと思います。

県立病院課長

 病院経営の基本的な考え方には、二つの側面があると思います。一つは、医療でございます。医療につきましては、県立病院の役割について少子高齢化の進展でありますとか、疾病構造の変化、あるいは医療技術の高度化など医療を取り巻く環境というのは非常に大きく変化をしております。そういう中で、当然、県民の方々の県立病院に対する医療ニーズというものも変わってきております。そうしたことに的確に対応して、県立病院の役割を見直していくことが必要であると考えておりまして、今年度、精神医療センターでストレスケア病棟を整備したり、こども医療センターでNICUを6床増床したのも、そうした県民の方々の医療ニーズに的確にこたえようとする一つの対策でございます。

 こうした基本的な側面というのは、独立行政法人に移行しても大事なことだと思っておりまして、独立行政法人に移行することによって、定数の問題ですとか、そういったところから離れますので、そういった利点を生かして県民の医療ニーズに的確にこたえていきたいというのが一つでございます。

 それから、経営という面では、独立した組織体になりますので、そういう意味では、常にコスト意識を持って経営に当たる必要があると考えておりますので、具体的な医療を提供するのは病院の職員でございますので、そうした職員のモチベーションを高めていくということを通じて、経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 今、県民のニーズに的確にこたえること、それからコストの関係、それからモチベーションを高めていく、こういったことが、主に今後の独立行政法人化後の病院経営における基本的な考え方ということは分かりましたけれども、高度専門医療や不採算医療を提供するという県立病院の一番大きな役割を踏まえた上で、もう一つは、これから新たにどのような取組を検討しているのか、詳細をお聞かせいただきたいと思います。

県立病院課長

 今、県立病院の所長、院長と、独立行政法人の経営については、いろいろ議論をしているところでございます。これまでもそれぞれの病院で必要性を認識しながらも、人員の制約があって、なかなかできなかった分野もございます。独立行政法人化後は、そういったことにも目を向けていかなければいけないと思っています。

 一つとしては、看護体制が平成18年度の診療報酬で手厚い看護体制が評価されるようになったわけですが、そうしたものに、今、対応できていない。やはり、どんどん入院期間が短くなっているだけに、医療が非常に濃密になってきているんです。そういった濃密になった医療を支える看護体制というのは非常に大事なものですから、そういったところに力を入れていきたい。

 それから、各病院から話を聞きますと、医師が非常に疲弊しているということで、医師の確保をもう少ししていかないと、病院が成り立っていかないということもございまして、そうした適切な診療科に適切な医師を配置するように努めてまいりたい。ただ、これは費用が膨らむだけでは、あまり意味がありませんので、収支というものを念頭に置きながら、そうしたことも考えてございます。

 それから、医療従事者の確保という観点からいうと、やはり働く環境を整えるということが必要でございますので、24時間保育といったことも行わないと、先ほど申し上げましたように、病院事業というのは、非常に女性が多い職場でございますので、そうした労働環境の改善にもつなげてまいりたいと考えております。

内田委員

 とにかく普遍的な要素がかなり大きいということは分かりましたけれども、24時間保育、それからもう一つは、産科なども、これから十分視野に入れていくと思いますけれども、県立病院の役割として、今、何がいるのかというのを、今一度、精査していただきたいと思います。そして、今年2月の予算委員会でございましたが、我が党の小川久仁子議員が、地方独立行政法人化の検討については、収支計算書を見た上で判断することが最もふさわしい方法であるという意見を述べたところでございます。

 そこで、まず、これまでの県立病院の収支について、地方公営企業法が全部適用された平成17年度からの経常収支がどのようになっているのか、確認の意味で教えていただきたいと思います。

県立病院課長

 まず、平成17年度は予算上では8億300万円の赤字でありましたが、決算では2,400万円の黒字ということです。18年度は予算で2億600余万円の黒字でありますが、決算では1億4,000余万円の黒字、平成19年度は予算で2,500余万円の黒字の予算でありましたが、決算では2億7,400余万円の黒字ということで、3年連続で経常収支は黒字ということでございます。

内田委員

 次に、今回報告された収支見通しでは、これまでの収支見通しと比べて、収支が少しずつ改善してきているんだと思いますけれども、その辺のところをもう少し教えていただきたい。

県立病院課長

 17年度の予算は、1億300万円のマイナスの予算に対して、決算が2,400万ということから、いろいろ経営改善を行った結果ということでございます。ただ、決算になると、1億台とか2億台の半ばでございますので、そういう意味では、黒字といっても、そんなに黒字ではないかなと思っておりますが、いろいろとやれる範囲のことは、非常に取り組んではいるつもりでございます。病院事業庁長も機会あるごとに病院を視察しまして、単に幹部と議論するだけでなく、病棟に入ったり、薬剤部門に入って、いろいろ小さなことでありますけれども、一つ一つの意識改革にも取り組んでいるところでございます。ただ、やはりどうしても県の職員という中での意識改革ということでございますので、まだまだ十分ではないかなというふうな思いもありますが、そういう中での結果だというふうには理解をしております。

内田委員

 小さなことの意識改革はやっているけれども、やはり県の職員ということで、限度があるという御答弁であり、また、地方独立行政法人化した場合、収支が改善するということでありますけれども、収支改善には収益の増加と費用の削減の二つの要素があります。そこで、どの程度、収益が増加していくのかを伺います。

県立病院課長

 報告書にも記載させていただきましたが、我々も試算した中で、大体、医師の方を1人増やすと収入が1億数万円くらい増えるという試算が実はあるんですが、いろんな報告書に記載しておりますような様々な取組を行って、県立病院の医療機能の充実を図っているわけですが、そうした取組で医療収益につきましては、5年間で1,6123,800万円を見込んでおりまして、これは単純に5年間で割りますと、1年間の医療収益が3224,700余万円というところになりまして、20年度当初予算では医療収益が2947,800余万円でございますので、差引きしますと、医療収益が単年度ベースで276,900余万円増という形でございます。これは非常に大きな額のように実は思われるわけでありますが、これまでも実は平成17年度に15億円ほど前年度に比べて高くなっており、それは医療のやり方をどう変えるかという基本的なことからやって、初めて成し遂げられた。私どもの方の試算としては、そうした形で対応できるのではないかというふうに考えております。

内田委員

 今、申し上げていただいたのは、そうした収支のことで、収益の方だったんですけれども、もう一つは、費用の削減ということなんですけれども、どの程度の費用を削減するのか伺います。

県立病院課長

 これはこれからいろんな側面でやっていかなければいけないことで、やはり独立行政法人になれば、県という組織から離れますので、国立病院機構でありますとか、あるいは自治体病院その他の公的医療機関との比較をした上で、適切な人件費のことも考えていかなければならない。そうしたところでは、独立行政法人になったときに、事務職員につきましても、削減できるところは、やはり削減していくということも必要だろうと思っております。そのほか、やはり医療に伴って必要な薬品費や材料費というのは、なかなか削れないところでありますが、費用を削減するということになりますと、固定費をどういうふうに削減していくかということも一つの大きな課題でございます。そうしたものを今後、十分検討してまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 もう一つは、本定例会の代表質問において、病院事業庁長は地方独立行政法人への議会の関与について御答弁いただきましたけれども、改めて議会が地方独立行政法人の業務に対して、どのように関与することができるのかということを、今一度お伺いしたいと思います。

県立病院課長

 一つには、まず業務を始める前には、県が中期目標を定め、どういう医療をやりなさいということを県が定めて指示していきます。それを受けて、中期計画をつくるわけですが、それをするのも当然、議会の御議決を頂くということです。

 もう一つは、毎事業年度の結果をどういうふうに評価して、次につなげていくのかということも、これは大変重要なことでございます。これについては、毎事業年度につきましては、その業務実績に対して評価委員会の行った評価などを議会に報告することになっておりますので、そうした中で、当然、議会の皆様の御意見、御指摘を頂けるものと考えてございます。

 また、毎年、実はやはり先ほども申し上げましたが、県立病院としての役割を担っていくためには、一般会計からの負担金は必要でございます。そうした負担金については、予算審議の中で御議論をいただけると思っておりまして、これまでと同様、県立病院の事業について、皆様の御意見、御指摘を頂ければというふうに考えているところでございます。

内田委員

 この件についての要望を申し上げます。地方独立行政法人に移行したとしても、政策医療や不採算医療など県立病院としての役割を十分に果たしていただくために、より一層、県民の医療ニーズにこたえていくことは当然のことであって、移行したことにより県民サービスが低下することがないように、まずこのことをしっかりとやっていただきたいと思います。

 来年、2月定例会において、地方独立行政法人の定款案を提案するとのことですが、当局においては、地方独立行政法人が、移行の当初から、しっかりとその役割が果たすことができるように、必要な体制の整備、それから運営費負担金の確保、こういったことについて努力するよう、それから、また、もう一つは、せっかく得たこれから見込まれる収益は、例えば、専門医療にかかわる人材の育成や確保などに、どのようにつなげていくか、それから女性が多い職場ですので、看護師など働きやすい環境をつくってあげて、そこでまた県民に質の高い医療を提供できるように、しっかりと頑張っていただきたいと強く要望しておきます。

 続きまして、神奈川県障害福祉計画の改定について、お伺いさせていただきます。先ほど改定素案についての御報告を頂きましたけれども、これまでの取組状況及び計画改定の内容などについてお伺いしていきたいと思います。

障害福祉課長

 まずはじめに、これまでの地域生活移行の実績でございますけれども、平成1910月に、その時点で全国的に統一の方法で、すべての入所施設を対象に調査を実施しております。本県では、この数値目標について、第1期の計画では、14%の地域生活移行を目指すという目標を立てたわけでございますけれども、1910月時点で、1710月からの2年間の間に、7%、374人の方が入所施設からグループホーム・ケアホームあるいは自宅やアパートなどの一般の住宅に移行しております。

 計画改定の内容は、こういった実績や地域生活移行などは、比較的、目標どおり推移したわけですけれども、自立支援法になって、いろいろと新しいサービスが出てまいりました。初めての計画でございますので、いろいろと見込み違いというのも正直言ってございます。そういったものを改めて、これからの平成212223年度の目標と、サービスの見込量を設定する、そういう内容でございます。

内田委員

 とにかく障害者自立支援法では、施設に入所している障害者の地域生活移行ということが、一番、大前提であると思いますけれども、先ほど資料の中に、施設入所者の14%が地域生活に移行するという数値目標を掲げています。これはすごく大事だと思うんですけれども、この目標自体に対するこれまでの実績というものは、どのようになっているのかをお伺いしたいと思います。

障害福祉課長

 地域生活移行については、今申し上げたとおりでございます。数値目標は三つ挙がっておりまして、一つは今申し上げた地域生活移行でございます。もう一つは、精神障害者を社会的条件が整えば退院可能な方、この方の57%を目標として退院促進して、地域生活移行を目指していくと。それから、福祉施設から一般就労へ、そういう方の移行を、125人となっているものを3.8倍にすると、こういう内容になっております。

 精神障害の地域生活については、今、まだ精査中でございますけれども、福祉施設から一般就労への状況については、第1期計画で3.8倍を目指しましたけれども、改定計画では4倍を目指していきたいと思っております。これについては、実績が市町村によって、大分異なっておりまして、福祉施設から一般就労、この実績でございますけれども、3.8倍という目標を立ててございましたが、17年度は125人だったものが、18年度は231人で1.8倍、それから平成19年度は243人で1.9倍となってございます。

内田委員

 その14%の方々が地域生活に移行するとの数値目標が、ここに書いてあるとおりで、精神障害者の地域移行などもいろいろと、ここに書いてあるとおりだと思うんですけれども、地域生活へ移行するために必要なサービスの代表的なものとしては、ホームヘルプサービス、グループケアホームがあると思います。改定計画素案には、この二つのサービスの提供について、平成23年度のサービス見込量を設定していますが、先ほど報告いただいた報告資料の11ページなんですけれども、これまでのサービスの利用実績がどのような状況になっているのでしょうか。

障害福祉課長

 これまでの実績でございますけれども、月当たり241,600時間分を計画として見込んでおりましたけれども、利用実績は見込みの81%に当たる196,484時間となっております。

内田委員

 81%というと、ある程度、評価はできますが、全体として、こういった地域生活移行の目標に対する実績は、計画とこれまでのサービスの実績と対比して、県では今後のことも踏まえてですけれども、どのように受け止めているのか。今後のサービス確保に向けた課題認識を含めて伺いたいと思います。

障害福祉課長

 現行計画は、障害者自立支援法になりまして、初めての計画で、サービス体系が大きく変わったということもございまして、利用の伸びをどういうふうに見積もるのかという経験が市町村においても少し足りなかった。一部の自治体で福祉サービス見込量の見積りが大きかったのか、それから報酬単価の問題は、今、抜本的な見直しの中でも議論されていますけれども、障害特性に伴う対応の難しさ、そういった問題から事業者として積極的な事業展開が見込みどおり展開しにくい状況があります。特に、日中の通所系のサービス、これは大体の市町村が月に22日使われるようなことを見込んでいたんですけれども、実態は15日から16日前後ということで、この辺が特に日中の通所系のサービスの見積りとのかい離になっております。こういったところが正に課題でございまして、こういった点を踏まえて、今後の計画改定に取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 見込みと実態が少しかけ離れているというか、22日の見込みが1516日ということは、月に半分くらいで、まだまだこういった意味では、サービスの向上が求められると思うんですけれども、今、御答弁の中にありましたが、市町村も、現在、障害福祉計画の改定作業を行っているということですが、まず県の障害福祉計画と市町村の障害福祉計画とは、どのような関係になるのか。それから、相互に関係があるとすると、計画改定に当たって、県と市町村がどう整合性を図っていくのか、こういったことを確認しておきたい。

障害福祉課長

 障害者自立支援法では、県の障害福祉計画は市町村の障害福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から作成することとされています。端的にいいますと、障害者自立支援法の中で定める計画の内容としては大きく二つございます。自立支援給付と地方自治体が行う地域生活支援事業です。まず自立支援給付の社会保障の部分については、市町村の計画数値を積み上げたものが県の計画数値になっているわけです。当然、市町村の積上げと実際の社会資源とのアンマッチがあり得る話ですので、そこを県が調整をさせていく一方で、地域生活支援事業については、県は県、市町村は市町村、それぞれで相互に連携をとりながら作成をしていく、こういう関係にございます。

 市町村と実際のサービスの見込量については、こういったもののやり取りをしながら、全体として最終的な計画改定、もちろん市町村でも県でも策定のプロセスでは当事者の話を聞いたり、また議会の御意見を伺いながら進めているところでございます。

内田委員

 大体、神奈川県の役割として、広域的な、例えば、こういった障害福祉のサービスなどを向上させることが一番大切だと思うんですけれども、市町村との計画とも整合性を図っていくということになりますと、市町村でも、小規模な市町村におきましては、地域のサービス提供事業者などにも、いろんな問題が出てきて、限られてくると思いますが、例えば、自治体の計画づくりについて、県としては、先ほど広域的と、私も申し上げましたけれども、どのようにこれから支援をしていくのか伺います。

障害福祉課長

 委員お話しのとおり、規模の小さなところでは、サービス提供事業者が限られていて、町の中にないというようなところもございます。特に、足柄上地域と西湘地域、この2市8町の県西障害保健福祉圏域では、圏域全体にわたって、小田原、南足柄の両市には、ある程度、事業者があるけれども、町の方にはほとんどなく、町単独で必要なサービスの供給の見通しを立てることはなかなか難しい。こういう状況があったので、今回の改定で、国の基本指針の案は示されておりますけれども、その中で必要があれば、県と市町村が相談して圏域の計画をつくりなさいと、ビジョンをつくりなさいと、こういう指針になっております。

 県内の33市町村に聞きましたところ、県西圏域では、是非、圏域でつくりたいという話がございました。そこで県も一緒になって2市8町とともに、検討会を開催して圏域単位での計画づくりを進めているところでございます。ほかにも例えば、厚木市などは、愛川町、清川村、こういったところと連携しながら進めていて、県はそういったところを側面から支援をしているところでございます。

内田委員

 この件に関して要望を申し上げます。国の考え方と、それから県ができること、それから市町村との連携、支援の仕方ということが一番課題になってくると思うんですけれども、とにかく現在の障害福祉計画は、平成18年度から平成20年度までの3年間を計画期間としていて、数値目標を含め、その内容は平成23年度を目途にしていると思います。今回の改定計画は、その目標年次である平成23年までの3年間の障害福祉サービスの必要量を見込む、こうした数値目標を掲げてやっていくということなので、是非、障害者当事者の意見を特に聞くということも大切であるし、法施行後の各地域の状況、県西地域が少ないとか、小規模な自治体は、そういうものがないから、県で指示していかなければいけない。こういった状況を十分踏まえて、必要な人に必要なサービスが行き届くように計画改定を進めていただきたいと要望します。

 それでは、障害者のところの、もう一つの観点で、在宅重度障害者等手当支給条例の改正についてお伺いさせていただきます。先ほど報告資料の二つ目の案件で、5ページにありますが、これはもう以前から、例えば、新聞とかで大きく取り上げられて、市町村からのいろいろ手厚い支援が続いているところと、いろいろと問題が多いものだと思うんですけれども、いろんな基本的な事項を含めて何点かお伺いしていきます。

 まず、この在宅重度障害者等手当支給については、神奈川県は今まで非常に昔から手厚い方だといわれてきたと思いますけれども、まず全国的な状況についてお伺いします。また、ほかの都道府県では同様の手当制度を設けられているのか。これまでの見直しの動きについて、全国的な動きを今一度確認させていただきたいと思います。

障害福祉課長

 他の都府県の状況でございます。現在、市町村を通じて間接的に手当制度を設けているのを含めまして、近県で申し上げますと、埼玉、千葉、東京、それから大きなところでは、愛知、大阪、兵庫といったところ、本県以外13の都府県でやっております。ただ、都府県ごとに支給対象者や支給額など制度の内容は、かなり異なっておりまして、本県と必ずしも同様とはいえないものも含めての数値でございます。例えば、本県の支給対象者は今132,000人となっているのに対しまして、近県の千葉県では約1,900人で、これは市町村を通じて支給をしている。また、東京都では、都自らが実施する手当と、区市町村の実施する手当に都が補助する二つの制度になっております。都自ら実施する手当は、一人当たりの支給額が相当高額な代わりに、支給対象者が約9,000人と、本県の制度とはかなり違ったものになっています。

 これまでの他県での見直しの動きでございますけれども、ここ数年の動きとして、特に平成15年に支援制度が始まりました。在宅サービスが大幅に充実されたことを背景にしまして、平成14年に長野、翌年に山形、翌年に奈良、翌年に和歌山、平成18年に北海道、五つの道県が相次いで廃止をいたしております。また、秋田県では、今年の9月、今年度をもって廃止ということを決めております。

内田委員

 だから、神奈川県としては、支給者数は13万人と、かなり多い人数で、ほかに比べると、東京都は9,000人という数で、千葉県はもっと低い、2,000人足らずの1,900人ですか。そういったことを考えると、やはりどこかで考えていかなくてはいけない問題だと私も認識はしておりますが、よく比べられるのが、隣の東京都ですから、手当の額も多いと聞いておりますけれども、東京都における手当の概要とそれから見直しの状況について、今一度詳細をお伺いしたいと思います。

障害福祉課長

 東京都の手当につきましては、二つの制度があるわけですけれども、自ら実施する重度心身障害者手当については、心身に重度の障害を有するために常時複雑な介護を必要とする方を都の専門機関が診断を実際にしまして、認定をして、月額6万円を支給しております。65歳以上の方は対象外、所得制限ありということで、20年度は、先ほど申し上げたとおり、約9,000人の方が対象になっております。もともと、対象者が相当絞り込まれております。最近の見直しでは、平成12年に、ほかの制度との整合性、公平性という観点から、国の特別障害者手当に準じた所得制限を行ったと聞いております。

内田委員

 神奈川県は、障害者の在宅重度障害者の件に関しては、非常に進んだ県ではあったとは思うんですが、ここへきて、やはり見直しということで、ほかの都県と比べて、やはりそういった見直しという意味では、少し遅れているのではないかと思いますけれども、やっと、この時期に見直すことになった理由というのは、いろいろ国の政策などありますけれども、ここのところをもう一度確認させていただきます。

障害福祉課長

 他県で見直しのきっかけになりました平成15年当時、本県においても、二つの面から、この手当の制度設計を見直す必要性を認識しておりました。一つは、高齢化の進展に伴いまして、身体障害者が急激に増加をして、毎年2億円近い事業費の増額が、この事業で続いておりまして、それと合わせて平成12年に介護保険制度が創設され、特に在宅の高齢者に対しても、一定の福祉サービスを提供する仕組みが整えられてきたと、こういったことを踏まえた課題と、それから二つ目は、他県での見直しの直接的なきっかけになった支援費制度と、これでホームヘルプサービスの利用量が約2.5倍、それから、デイサービスについては約1.6倍と、こうした在宅サービスが大幅に充実してきたことを踏まえまして、この手当制度の在り方そのものをどうすべきか、こういう二つの点で課題認識を持っていたわけでございます。

 一つ目の課題の高齢化への対応につきましては、平成17年に、65歳以上になって新たに障害者となった方を手当の支給対象外とする条例改正をお願いしまして、18年度から施行させていただきました。

 二つ目の課題は、この制度の根幹にかかわる存廃も含めた問題でございますので、障害者基本法に基づきまして、県の附属機関として、神奈川県障害者施策推進協議会を置いております。そこに障害当事者も含めました小委員会を平成17年1月に設置して、抜本的な在り方の見直し、検討を始めたところでございます。この小委員会の中で、やはりこの手当は残してほしいという声もあり、その中で、ただ残すのではなくて、一律の給付はやはり見直すべきだろうと、そうした見直しをして、重点化を図って、その重点化によって浮いた財源を地域生活支援の推進に使っていくべきだと、こういう方向が平成18年2月にまとめられ、これを基に、実は今までずっと意見交換を重ねて、障害者自立支援法の施行もございましたし、6月議会で報告させていただいたように、この春にはアンケートも実施させていただいて、慎重に検討を重ねてきた結果、この時期ということになったものでございます。

内田委員

 大体、今まで、いろんな法にのっとって進んできたということで、今がこの見直しのいいときだということだと思いますけれども、この報告資料の5ページにあるように、改正素案の内容としては、支給対象者ア、イ、ウと書いてある身体障害者手帳1級とか2級、ここに書いてあるとおりだと思うんですけれども、最終的には、この支給対象者の見込みが約8,000人と、一番初めに説明いただいた132,000人から8,000人に絞ってということなんで、まず、この8,000人に絞り込む作業というか、どのような考え方に基づいて重点化していくのか伺いたいと思います。

障害福祉課長

 在宅の福祉サービスが拡充をされたといいましても、依然として常時の介護が必要な方にとっては、施設に入所することと比べますと、在宅での地域生活は大変困難だと、常時介護というところに着目をいたしまして、もともと、この制度は在宅で大変な御苦労をされている、それが施設に比べて大変だということに対しての一つの支援として始められたものでございます。やはり、今は地域生活が当たり前と言われながらも、なお在宅でいることの大変な方、常時介護というところに着目して絞り込みをさせていただいたというところでございます。

内田委員

 その132,000人のうち、ある程度、軽度の場合は、これは理解できると思うんですけれども、ちょうど絞り込まれるすぐ上の人、具体的には当事者にとっては、不満が上がる層というか、そういったところがあると思うんですけれども、どのような層から不満の声が上がると想定できるんでしょうか。それともそういった声というのは、ある程度、何年か前から確認しているから、ほとんど上がってこないのか、実際問題、どのような状況なのか伺います。

障害福祉課長

 65歳で新たにこの対象になる方を支給対象から外したときも、大変大きな議論がございました。在宅サービスは、身体障害者の概念が昔より広くなってまいりまして、医療サービスは必要だけれども、必ずしも在宅の福祉サービスを使わなくても暮らしている方というのは、かなりいらっしゃいます。そうすると、在宅サービスが充実したからといっても、我々は何も変わらない、だから手当が減っただけだと、そういう意見というのは、はっきり言ってございます。ただ、もともと、この制度が目指した在宅の方の介護の大変さ、こういったところに着目した面でいえば、そうした御意見も大変重くは受け止めますけれども、やはり制度の本来の目的である在宅の介護の大変さに一定の支援をするということに着目をして、丁寧に説明をして御理解を得ていきたいと考えております。

内田委員

 今、お伺いしたことも踏まえて、新たな地域生活支援施策のプロジェクト事業案が複数示されておりますけれども、現時点で考えられる重点的に取り組む事業の方向性についてお伺いします。

障害福祉課長

 9月議会では、住まい、生きがい、ささえあいの視点で、地域生活支援施策を充実していくという方向をお示しさせていただきました。今回、その三つの視点を基に、六つのプロジェクトを事業案ということでお示しをさせていただいております。この中で、これは春に実施いたしました障害者関係団体、市町村からお聞きした中で、やはり県が取り組んでいかなければならないことを、一つの例として明記したものでございますけれども、特に大きな問題は住まいの問題でございまして、障害者が地域生活をするのは、なかなか大変なことでございまして、もちろんグループホーム・ケアホームは、今も支援しているわけですけれども、これからもそれは拡充していく必要があるだろうし、それからグループホーム・ケアホームはほんの一部なんです。実は、多くの方が普通のアパートや住宅で暮らしていられる。そういった方々が安心して暮らせるようにするには、万が一のときの対応、そういったときのサポート体制が大切である。

 これは、実は、国土交通省が、高齢者も含めて、居住安心サポート、安心賃貸サポート、この言ってみれば、家賃の保証と、万が一何かあったときの補償を組み合わせたような事業展開を考えているんですけれども、まだ実際、なかなか動いていないという実態があります。そういった、これから将来に向けて求められる取組を神奈川県の中で構築していく、この辺が一つポイントかと。それと、ニーズで大きかったのは、医療の問題です。養護学校でも医療的ケアを必要とするようなお子さんが、このところ増えています。こういった方が養護学校を出て、地域に出てくると、例えば、ホームヘルパーのたんの吸引などの医療的ケアが必要だとか、あるいは生活介護デイサービスの事業所でも、そういった医療的なケアのできる支援が必要になってくる。そうすると、そういう身近な地域での必要な医療がきちんとできるような体制づくり、人づくり、これが求められてくる。それと、もう一つ、やはりどうしても民間の病院でも対応できないという場合、障害者はなかなか行く病院がございません。そのためには、やはり障害者のための病院として、県がセンター的な役割を担う、今は、それは神奈川県総合リハビリテーションセンターが担っているんですけれども、大変、老朽化している問題もある。こういったものの整備も将来に向けては考えていかなければいけない。

 生きがいの面では、今、地域活動支援センターという仕組みが設けられましたけれども、本県が発祥の地の一つである地域作業所をどうしていくかという課題もございます。それと、先ほどの居住支援にも絡むんですけれども、権利擁護、成年後見をどうやってうまく使っていくか、この辺の課題も大変大きなものがございます。こういったようなプロジェクトを、柱を立てて、これは県だけではできませんので、市町村の御意見、当事者の御意見、それから事業者の御意見を聞きながら、組み立てていきたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げておきます。今、県財政も非常に厳しい中で、しかし、こういった障害者施策はどうしても私どもも力を入れてやっていかないといけないですし、必要にも迫られていく段階の中で、こうやって絞っていくということは、それはそれで考え方の一つだと思います。県の役割としては、本当に当事者が何を求めているのか、ここを一番大切に考えていただき、県民の方に、そういった御理解をいただくということも必要ですし、また今おっしゃっていただきました地域作業所の問題や、あらゆる面から障害者の方々を支援していく方向性をしっかりと見極めて、更に検討を進められるように要望いたします。

 それでは、食の安全・安心推進条例の骨子案に書かれていることについて質問させていただきます。

 資料の12ページですが、まず、この案件に関しては、毎回、私も取り上げておりますけれども、今回、骨子案ということで出ておりますが、まず自主回収と回収命令、この違いについて端的に教えていただきたいと思います。

生活衛生課長

 回収命令と自主回収の違いでありますけれども、回収命令というのは、行政側が行うようなことでございます。これは、食品衛生法に基づきまして、県や各自治体の食品衛生監視員が、それぞれお店等に行って、抜取検査をする。それを試験室、検査研究所で検査をしていただきまして、その結果、規格基準の違反、これは定められている基準を上回っているもの、それからそれに当てはめてオーバーしてしまうと、そういうことがございますと、行政処分の対象になります。そのときに、回収命令だとか、あるいは販売禁止命令とか、そういうものを行政がかけます。それが回収命令でございます。

 それから、自主回収でございますけれども、これはあくまでも行政は関与しないということで、事業者が自主的に検査を行った結果、先ほど申しました規格基準、国の基準なんですけれども、そういうものについて適合しなかった場合だとか、あるいは製造工程中に誤って異物が入ってしまったといったようなこと、または表示を間違ってしまったというようなことで、自らの判断で回収を行うものが自主回収でございます。

内田委員

 今回、自主回収に関して、報告制度を設けて、報告させようということなんですけれども、具体的に、どのように報告があがってくるんでしょうか。

生活衛生課長

 今回、この骨子案に示させていただいております規制の部分というところで、自主回収報告制度でございますが、これは事業者が速やかに回収できるように報告してもらうということを考えております。これは、先ほど申し上げました自主回収をやった場合、健康被害の発生を防止するという観点から速やかに知事あてに報告をしていただくというような制度でございます。それにつきまして、そういう報告を受けた場合、これは県民の方にすぐ知っていただいた方がいいだろうということになりますと、公表ということを考えている次第でございます。

内田委員

 やはり、食に関する関心が高まっていることもあり、公表ということも考えているということですけれども、もしかしたら以前、何度か質問したと私は記憶しておりますけれども、報告の実効性を担保するためには、とにかく罰則というものも必要ではないかと考えますが、その辺はどう認識していますか。

生活衛生課長

 この自主回収につきまして、あくまでも事業者が任意でやっているものということになりますので、道義的な責任というのは、別といたしまして、回収しないことに対する罰則を適用せずに、一歩進んだ取組で、自主回収をやるということで、報告をもらって、それを行政側のデータとして使わせていただきたいと思っています。

 そういうことで、この自主回収につきましては、罰則を設けてしまうということになりますと、自主回収ですので、報告しないというような懸念も出てくるわけでございます。したがって、自主回収に着手した場合は、報告しなかった事業者に対して罰則を盛り込むということは考えておりません。

内田委員

 今の段階では、そういうことなんでしょうけれども、もう一つの案件としては、輸入食品等の事業所の届出ということで、神奈川県の横浜港で水際対策をしなくてないけない、そういった土地柄がありますから、やはりここのところも重要視していく部分でありますけれども、全国に先駆けて、この条例に盛り込むことにした経緯、背景について詳細をお伺いします。

生活衛生課長

 今、委員からお話がありましたように、神奈川県には横浜港あるいは川崎港といった貿易港を有していることも一つの地域性であると考えております。輸入食品の安全性確保につきましては、輸入時に厚生労働省の検疫所が審査等を行っておりますけれども、国内に流通してからは、都道府県や保健所設置市がスーパー等で抜取検査等を行っているのが実態でございます。しかしながら、多くの輸入食品が流通している中、中国産冷凍ギョウザなどもございまして、いろいろと信頼が揺らいでいるという状況にございます。そういうこともございますので、先ほど言った地域性もございます。また、食品衛生法に基づく取組に加えまして、これは輸入食品の安全性を一層強化すると、高めるということを考えまして、輸入食品等事業所の届出を盛り込んだところでございます。

内田委員

 届出を盛り込んだということで、県として具体的にどのようなことを行うことができるようになるのかということと、もう一つは、最終的には、食品の製造業者や輸入者の理解が不可欠であると思いますけれども、そういった事業者から、どのように理解を得ようとしているのか。この二つについてお伺いします。

生活衛生課長

 現在、食品衛生法におきましては、食品の輸入業務を行う事業所を届ける制度はないことから、日常的に輸入業者に対する指導や情報提供を行うことが困難な状況になっております。そこで、輸入食品等事業者に届出をしてもらいまして、この事業者等を把握することによって、海外の製造元における衛生管理の状況を確認するといったこともできるようになります。また、万一、輸入食品による被害が発生した場合には、同様の食品を輸入している事業者に対する注意喚起だとか、あるいは自主検査の要請を行うなど、そういうことも取組として、できるようになるわけでございます。

 また、食品の製造業者、輸入業者に、どんな形で理解を得ようかということですけれども、こういうものにつきまして、条例の基本的な考え方についての説明会を開きましたし、また、パブリック・コメントにおいても、多数の意見を頂いていきたいと思っております。

 今後、この骨子案につきましても、またパブリック・コメントを実施することによりまして、保健所設置市の協力を得ながら地区ごとに食品営業者の団体からの意見を求めていきたいと考えております。

 また、営業者の団体からの要請があれば、説明に出向くなど、これまで以上に条例骨子案の趣旨を御理解いただけるように、きめ細かく対応してまいりたいと思っております。

内田委員

 このところ、この二、三年で、食の安全・安心に関して非常に関心が高いということは、私はほかの委員会でも申し上げておりますけれども、もう一つは、食品衛生監視指導計画についても、これは単年度ですけれども、ここのところをお聞きしますが、まず、この単年ということですが、いろいろな相変わらず、食に係る問題が多く発生しておりますが、監視指導、それから抜取検査は、今までは、例年、どのような計画策定の考え方に基づき実施しているのか。実績についてお伺いします。

生活衛生課長

 この計画なんですけれども、食品衛生法の目的に基づきまして、食中毒発生の防止だとか、あるいは食品における被害を防止することの取組ということで、毎年つくられているものでございます。この計画策定に当たりましては、輸入食品の衛生対策など、食品衛生施設の中から優先して取り組むべき事業を重点事業として取り上げまして、効果的な監視指導の計画をいたしております。

 また、抜取検査につきましても、県内の流通状況や過去の違反事例等を参考にいたしまして、検査対象を選定し、効率的な検査を行っています。

 実績ですけれども、抜取検査が、平成19年度は5,371件しております。また、監視指導につきましては、6万2,000件強の食品営業施設がございますけれども、6万1,000強の監視指導を実施しているところでございます。

内田委員

 何年か前から、急に食の安全・安心ということが叫ばれておりますけれども、やはり県としては、6万1,000件の監視指導をやってきているんだと思いますけれども、ここ一、二年の間に、すごく大きく変わったということは何かあるんですか。それともこれから変わろうとしているんですか。それを最後に確認しておきます。

生活衛生課長

 やはり、検査をやるということになりますと、それなりの能力というのがございます。そうでございますので、抜取検査におきましては、できるだけ効率良く、あるいは違反を見付けるよう、監視員というのはノウハウを持っていますので、そういうものを駆使して、スーパーに行って、のべつまくなしやるということではなくて、これからもまた実施していきたいと思っています。

 また、20年度からは専門監視体制というのを、生活衛生課に置かさせていただきまして、15名体制で広域的に広域流通する食品等、あるいは大規模なお弁当屋さん、そういうところを回って、かなり実質的に濃い監視指導を行っているところでございます。

内田委員

 最後に要望を申し上げます。全体的に、食の安全・安心推進条例の骨子案、それからこの食品衛生監視指導計画は、これからも非常に力を入れていく分野だと思いますので、更なる監視指導や食品の検査の充実、強化を図って、この間も申し上げましたけれども、転換期であると思いますので、いろんな考え方があると思いますけれども、神奈川県独自の手法で、食の安全に関して特に重視していただきたいと強く要望いたします。以上で、私の質問を終わります。

 

11 次回開催日(1215日)の通告

12 閉  会