平成21年  文教常任委員会 - 0619日−01

平成21年  文教常任委員会

◎《委員会記録-平成21年6定-20090619-000003-文教常任委員会》

1 開  会

2 正副委員長就任あいさつ

3 記録署名委員(内田・山口の両委員)の決定

4 県政記者の写真撮影許可

5 前委員長との事務引継終了報告

6 担当書記の紹介

7 当局幹部職員の紹介

8 日程第1を議題

9 提案説明(教育局長)

10  同上質疑

 

内田委員

 文教常任委員会の委員になりまして、初めて委員会に出ましたので、確認をしながら御質問を進めさせていただきたいと思います。

 6月補正予算案は、いわゆるリーマンショックにより景気が低迷する我が国の経済雇用情勢に対して、雇用対策や中小企業対策を一層推進するために編成された国の補正予算を受けて、予算案として提案されたものです。そこで、教育委員会としては少しでも早い対応、特に「県内高校に遅れ」という神奈川新聞の6月17日水曜日の記事にもあったように、やはり県内高校の数は多いですから、その分遅れをとっているということも判明しております。早急に今回の予算を前倒しして執行していかなければいけないという状況でありますので、私の方も幾つかその点を踏まえて質問させていただきます。

 まず、県議会としては、そういった少しでも早い対応が必要であることから、本日常任委員会で審議しているところですけれども、6月補正予算案についてですが、まず政府の経済危機対策として、5月29日に総額約15兆円で成立した補正予算の概要というものについて、一応確認させていただきたいと思います。

教育財務課長

 政府の補正予算の概要でございますが、大きく三つに分かれてございます。

 一つ目が、経済の底割れを回避するための雇用対策や金融対策ということで4兆9,000億円程度、二つ目が未来への投資といたしまして、例えば低燃費車の導入など、いわゆる低炭素革命の経費ですとか、福祉医療関係ということで6兆2,000億円程度、三つ目といたしまして、防災・安全対策など安心の実現に向けたもので、4兆3,000億円程度と承知しております。

内田委員

 今三つ教えていただきましたけれども、政府の補正予算の中で、今回、教育関係として文部科学省では、どのような取組を行っているのか、それはどこの部分に入ってくるのか、その事業概要についてお伺いしたいと思います。

教育財務課長

 教育関係の取組ということで、文部科学省が取り組んでいるのは、今、御説明いたしました中の低炭素革命の中の項目でございまして、スクール・ニューディール構想として文科省は打ち出してございます。これは、小・中・高等学校の施設の耐震化、あるいは施設のエコ化、さらには情報通信技術化、いわゆるICT化を進めようとするものでございます。

内田委員

 要するに、少子化の進行を踏まえて子供の教育の方とかに入ってくるのかなと思ったら、こういったエコの分野に入ってきたということで、それは新しい方向性だと思うのですけれども、今言っておられた文部科学省のスクール・ニューディール政策というのがありますけれども、こういった構想は、具体的にはどのような内容になっているのか教えていただければと思います。

教育財務課長

 文部科学省のスクール・ニューディール構想は三つの柱からなってございまして、一つ目が安全・安心な学校施設の確保ということで、耐震性の低い校舎の耐震化を進めること、これが一つ目です。二つ目といたしましては、CO2削減によって環境負荷の軽減を図るということから、例えば太陽光発電など自然エネルギーの利用などをしながら、学校施設のエコ化を進めるというのが二つ目。三つ目といたしまして、子供の学力あるいはITを活用する能力の向上を図るため、最先端のICT機器、パソコンですとか、あるいはテレビ放送が地上デジタル化する関係でデジタルテレビの整備。こういった三つの要素を行うことによって、文部科学省といたしましては、21世紀の学校にふさわしい教育環境の充実、それと併せて雇用創出、経済波及効果によって地域の活性化を図る、こういった構想と伺っております。

内田委員

 はい、分かりました。

 今までになくちょっと斬新というか、未来志向的な視点で、特にエコというキーワードが気になるところですけれども、今回の補正予算の編成に当たりまして、まずもって教育委員会の基本的な考え方について、お伺いします。

教育財務課長

 教育委員会といたしましては、今、まなびや計画の中で、県立高校の耐震化を最優先として取り組んでいるところでございますが、学校の耐震化は工事の実施を通じまして地元の経済や雇用など、様々な分野で大きな波及効果が期待できます。そこで生徒の安全確保対策と、こうした経済雇用対策を併せて推進しようというようなことで、まなびや計画を前倒しし、県立高校の耐震化を一層進め、併せてデジタルテレビですとか、教育の情報化も進めようというようなことで、今回補正予算案をお願いしているところでございます。

内田委員

 今、大ざっぱに国と県との関係性についてと、ふだんの教育委員会の考え方全般についてお伺いしたんですけれども、この点についての要望なんですけれども、今回の補正に関しましては経済対策という考え方もありますので、教育委員会が生徒の安全確保、とにかく最近、工事に関する事故が結構増えてきているのが目立っておりますので、そういった生徒を別の場所に移して早急に工事を行うといった面も非常に大切であると思いますから、耐震化対策の前倒しなどを進めることは、県としてもやっていかなくてはいけないと思います。今後、この予算により、経済対策等の効果が十分に発揮できるように、早急な執行を強く要望いたします。

 続きまして、今ありました県立教育施設の耐震化推進について、詳しくお伺いしていきたいと思いますけれども、やはり国内でも宮城とか岩手の内陸地震がありましたし、中国の方でも四川大地震など目立った地震がこのところ頻発しましたので、今までになく学校の耐震化という面には国民全体が注目しています。そしてまたこのたびも神奈川県の公立高校は非常に耐震化がまだ遅れていて、全国で32位といった結果がどこかに書いてあったんですけれども、30位から32位に後退してしまったということで、より今回の補正予算を通して、前倒ししていかなくてはならない。そういう状況にありますけれども、まず耐震対策の前提となる耐震診断の実施状況についてお伺いしていきたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 耐震診断の実施状況ということでございますが、まず県立高校の施設の全体像でございますが、県立高校は現在144校ございます。その施設でございますが、校舎棟が618棟、それから体育館ですとか柔剣道場、こうしたものが204棟、合わせて822棟ございます。この822棟の中で耐震診断の実施状況でございますけれども、実施率といたしましては98.1%ということになってございます。なお、耐震診断未実施の建物でございますが、1.9%でございますけれども、今後改築を行うために除却をしてしまうですとか、あるいは将来的にも非活用ですと、こういった建物が11棟ございますので、こういったものを除きますと、耐震診断の対象とすべき建物については、すべて行っているという状況でございます。

内田委員

 一応、耐震診断というのは100%に近い、ほぼ終わっているということなので、やはりこれは改修工事が必要になってくると思いますけれども、親御さんとかが心配するのは、子供たちが学校に行っている間に大地震が起こったときに、いろいろガラスが飛んだりとか、大きなものが落っこってきたりとか、いろんな壁が崩れたりとか、こういったことへの不安というものは、やはり大きいと思います。

 ちょっとお聞きしたいのは、昨年の中国の四川大地震で、我々はテレビで崩壊したシーンをよく見たのですけれども、もし中国四川の大地震や、また岩手・宮城の内陸地震について特徴的なものがあれば、ちょっと教えてください。

教育財務課まなびや計画推進室長

 中国の四川大地震でございますが、亡くなった方、行方不明の方、合わせまして今現在、8万7,000人の方が被害に遭われ、亡くなられたり行方不明になられたということでございます。そのうち2割の方が、実は学校の校舎の倒壊によりまして亡くなったり行方不明になった生徒さん、教師ということでございまして、大変痛ましい内容が伝えられているところでございます。

 しかし、この倒壊した校舎ということでございますけれども、その内実を見ますと、柱や壁がレンガを積み上げただけの建物が多いということもございます。それから鉄筋コンクリートの建物につきましても、例えばコンクリートがぜい弱なものであったりとか、そういう手抜き工事の横行が指摘をされているところでございます。

 それから、ちなみに国内の昨年6月に起こりました岩手・宮城内陸地震でございますが、最大震度が6強ということでございます。被害の傾向といたしましては、建物の倒壊は被害が比較的、地震の大きさの割りにしては少なかったと言われておりますが、その代わり土砂崩れ等、河川のはん濫等、こういった被害が多く見受けられたということでございまして、学校施設につきましては、当然、倒壊とかそういうのはなかったんですが、例えば天井材ですとか照明器具、こういったものが落ちてくる、あるいはガラスが割れて飛散すると、こういったいわゆる建築非構造部材といったものへの被害が多く見られたということでございます。

内田委員

 はい、分かりました。震度6強の地震では国内での倒壊というのはなかったということなので、やはり生徒を誘導するには、ものが落ちてくるだけではなくて、そういう誘導箇所の整備、すっきりさせるとか、そういった細かい点もこれから重要になってくると思われます。

 本県の耐震対策というものは、校舎棟の大規模な補強が必要なものについて、確か優先的に取り組んでいくということですが、Is値とかいろいろ聞いておりますけれども、大規模補修が必要という、そういった判断基準は、もう一度具体的に、どのような数値になっているのかをお伺いしたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 大規模補強が必要なものの判断基準ということでございますが、具体的には、今お話がございましたように、建物の地震に対する強さの指標ということでIs値がございます。これは構造耐震指標と呼ばれるものでございますが、これが0.3を下回るもの、それから、0.3を上回っていても、例えば神奈川県近辺ですと、南関東地震等が想定されるわけですが、こうした地震がもし万が一発生した場合に、建物にかかる地震力といいますか、それから地盤の状況、敷地の形状、こういったものを加味検討した上で、例え0.3を上回るものであっても、耐震性が低いと判断される場合がございますので、こういったものを対象に大規模補強をやっていこうということでございます。

 こういった建物につきまして、おおむね震度6強程度で建物のかなりの部分に、例えば柱ですとか耐震壁が壊れてしまうですとか、こういったような被害が生じることが想定されますので、そういったことにも対応するために、建物全体に大規模な補強が必要であろうと、こういうことでございます。

 それから、これは参考ですけれども、このIs値が0.6を超えると、一応これは補強は必要ないだろうということでございますが、0.6以下で大規模な補強が必要なもの以外の建物につきましては、地震の際には、やはり部分的に壊れてしまうといった事態も想定されるところがございますので、小規模な補強が必要というふうに考えております。

内田委員

 補強が必要な建物に亀裂が入ったりとか、いろんな学校でそういったところが見られるのですけれども、小規模な補強にも対応していかなくては、やはり学校に通わせている親御さんが見たときに、これは心配な学校じゃないかとか、そういうふうに危ぐされる方も多いと思うんですね。私自身もいろいろ学校に行ったときに、ここ亀裂が入っているな、なんて思ったことが本当にあるんですね。そういった小規模な補強が必要な校舎についても、耐震対策の対応をすべきだと思うんですけれども、その辺は考えていらっしゃるんでしょうか。

教育財務課まなびや計画推進室長

 委員御指摘のとおり、小規模な補強が必要な校舎につきましても、何らかの被害が想定されるわけでございますけれども、ただ、その被害と申しましても、いわゆる部分的なダメージということになるのではないかというふうに、私どもは考えております。人命に大きくかかわるですとか、そういったことはまずめったに生じないだろうなというふうに考えております。したがいまして、当面は私どもといたしましては大規模補強をまず最優先課題といたしまして今後も取り組んでいきたいなと。小規模な補強等につきましては、そういった最優先課題の進行状況を勘案しながら、順次必要に応じて取り組んでいきたいというふうに考えております。

内田委員

 次に、先ほど申し上げました耐震化率についてですが、やはりこのところちょっと注目されているんですけれども、文科省が発表した内容では、県内の公立高校の耐震化率は59.3%で、全国平均の67.8%を下回っているという結果が出ているんですけれども、なぜ全国平均より耐震化率が低いんでしょうか。そのところを教えていただきたい。

教育財務課まなびや計画推進室長

 本県では、かつて生徒急増期等に対応するため、神奈川県立高校100校計画という計画を策定いたしまして、高校の施設整備を重点的に進めてきた経緯がございます。そういったことから、やはりまず施設数そのものが非常に多いということが言えると思います。それから、また高校の建設そのものは、人口が急増いたしました昭和40年代から進められているものでございまして、いわゆる昭和57年の建築基準法の改正前の建物、私ども旧耐震と呼んでございますが、こうした旧耐震の建物が占める割合が、やはりどうしても高くなってしまうのかなということもございまして、本県の場合、耐震化ということにつきましては、ちょっと他県に比べて数字的にどうしても見劣りがしてしまうという状況にあると思います。

内田委員

 その中で、これはやはり神奈川県においては東海地震、南関東地震の発生が危ぐされておりますけれども、そういった関係上、やはり少しずつは取り組まれてはきていたとは思うんですけれども、その辺の関係というのは、今の耐震化の政策とどのようにリンクしているのか、ちょっと詳しくお教えいただきたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 県立高校の耐震化の取組につきましては、現在は平成19年以来、まなびや計画に基づいて推進しているわけでございますが、当然それ以前にも特に相模川以西の、いわゆる地震防災対策強化地域、こういったところにある高校を中心に耐震化対策というのを進めてまいりました。平成19年から、今申しましたように、まなびや計画に基づきまして、スタートは老朽化対策ですとか、あるいは耐震化、高校改革に伴ういろいろな施設整備、こういったものを行ってきたところでございますが、先ほど来お話にございますように、昨年の中国の地震ですとか、あるいは東北地方の地震ですとか、そういったものを受けまして、この学校施設に対する耐震化というものに対する県民の皆様の不安の高まりを非常に私どもとしても強く感じているところでございますので、私どもといたしましても、その計画を見直して、まず耐震化優先ということで、これまで行ってきたところでございます。

内田委員

 はい、分かりました。

 先ほど頂いた資料の1ページの2番の補正事業概要の大磯高校等131校と書いてあるところの体育館のガラス飛散防止対策なんですけれども、やはりガラスが飛散することが一番危険が及ぶからなのか、今回緊急に全部前倒しで直すということになりましたけれども、この対策によって、どのような効果というものを期待しているのか、お伺いしたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 昨年の岩手・宮城内陸地震におきまして、学校現場ではやはりガラスの破損が非常に危険であったと、そういう被害の報告も多数寄せられたということでございまして、昨年8月に、これは文部科学省の方から、建築非構造材の耐震化対策の徹底に関する通知が出されたような経緯もございます。こうしたような状況を私どもとしても踏まえまして、特に体育館、ガラスはどちらかというと非常に高いところにございます。そういった高いところから落下するガラスの被害を何とか未然に防ごうということでございまして、このガラス面に飛散防止用のフィルムがございますので、そういったものを張っておこうということで、それにより利用者をそういうガラス破損からの被害から守っていこうということでございます。ガラス飛散防止対策につきましては、平成21年度当初予算にも一部を計上させていただいたところでございますけれども、今回の補正によりまして、平成25年まで私ども計画をしていたわけでございますが、そういったものをすべて前倒しによって対応するということで、これにより県立高校の体育館につきましては、すべてガラスの飛散防止対策工事が完了するということでございます。

内田委員

 続きまして、先ほどの資料1ページの一番下の方の県立図書館の老朽化対策というものですけれども、ここに書いてあるように、かなり古い図書館ということで、念のため、これがいつ建設されたかということをお聞きしたいのと、実はここに対策工事の箇所は一応書いてあります、本館屋上防水工事と、それから空調設備改修工事と、この概要についてもう少し詳しく教えてください。

生涯学習文化財課長

 今回の対策工事を実施いたします神奈川県立図書館の本館でございますが、建設時期は昭和29年でございます。建物は地上2階、地下1階の鉄筋コンクリートでございますが、工事の内容といたしましては、屋上防水工事と空調設備の取替工事がメインでございます。屋上防水工事でございますが、老朽化によりまして、かなり防水機能が低下しておりまして、小規模な雨漏りはあったんですけれども、この4月末にかなり大きな雨漏りが発生したために、今回緊急的な防水工事を実施するものでございます。それから空調設備でございますが、実はこれは昭和42年に設置いたました空調設備でございまして、老朽化によりまして、かなり能力が低下しております。送風ファン、圧搾機が発する機械音もありまして、図書館の閲覧室におきます読書環境を著しく悪化させているため、取替工事を実施するものでございます。なお、これらの工事に合わせまして、太陽光発電設備の設置工事を実施する、こういう内容になっております。

内田委員

 その下に書いてある太陽光発電設備工事関係なんですけれども、これは図書館で太陽光エネルギーの活用を図るということですが、県の教育施設の方で、ほかにこういった太陽光発電設備を設置している事例というのは幾つあるんでしょう。また具体的にどこにあるんでしょうか。

教育財務課まなびや計画推進室長

 まず県立高校でございますけれども、太陽光発電を設置している箇所でございますが、県立高校におきましては、自然エネルギーの活用による地球温暖化対策というのと、それから環境教育の普及、啓発、こういったものを主眼におきまして、これまで4校において設置をしております。NPOとの協働の下、こういった設置を行っているということでございます。

 これらの高校におきまして、具体的な使用のされ方なんですけれども、地域の小中学校と連携して太陽光発電の講習会を開くなど、環境教育の地域拠点として機能していると、こういうふうにお伺いしております。

 それから、こういった県立高校と合わせまして、社会教育施設の関係でございますけれども、県立の生命の星・地球博物館におきまして太陽光パネルが設置されているということでございます。

 展示コーナーでも地球温暖化防止対策に係るいろんな展示があるわけでございますけれども、こういったものと併せて、環境教育への普及、啓発に活用されているということでございます。

内田委員

 今回の6月補正予算は、特に耐震対策としての補強工事、また仮設校舎の対応など、様々でありますが、また県立図書館なども老朽化対策をされるということですが、まずもってどのような考えで今回予算要求というものを行ったのか、全般的な考えをお伺いしたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 耐震対策自体は、国の今回の地域活性化・経済危機対策臨時交付金、こういったものの充当対象としてもふさわしいと考えておりますし、また県民の安心・安全の確保に直結するものであろうと、それから中小企業の受注機会の確保ですとか、雇用の促進・維持に、こういったものに結び付く事業ということで、補正予算に計上した経緯がございます。

 6月補正に当たりましては、まず学校運営の影響ですとか、それから整備事業の全体的な進ちょく状況、こういったものを勘案いたしまして、可能なものについてはすべて、私どもとしては可能なものにつきましてはできる限り前倒しを行ったということでございます。それから教育施設の耐震化そのものは、言うまでもなく喫緊の課題でありますので、今後とも可能な限り早期に耐震化が図られるよう、私どもとしても今後努めてまいりたいと、こういうふうに考えてございます。

内田委員

 この質疑での御要望を申し上げます。特に今回前倒しになった耐震化対策については、やはり全国的に見ても県立高校の耐震化が遅れているという情報が流れておりますので、できるだけここで県としても前倒しして、今度は早期実現に向けて対応を図っていただきたいと思います。

 もう一つですけれども、2ページ目の県立高等学校、中等教育学校及び特別支援学校のICT、情報通信技術環境整備の推進について、幾つか質問させていただきたいと思います。

 将来に向けて、このデジタル化とかICTの活用は外せないものだと思っておりまして、実際学校教育においても、いろいろと今までも取り入れてきたとは思います。これまでの県立学校におけるICT関係の整備状況について、お聞きしたいと思います。

高校教育課長

 これまでの県立学校のICT関係の整備状況でございますけれども、まず県立高校の方でございますが、コンピューター教室の整備ということで、昭和56年からコンピューターの整備を始めまして、平成13年7月までに、すべての県立高等学校でコンピューター教室のコンピューターの整備を完了したということでございます。このことによりまして、すべての県立高校において、40人クラス規模のコンピューター教室を整備して、1人1台で固定式のデスクトップ型のコンピューターを活用して授業を受けられるようになったと、こういう教育環境が整いました。

 一方で、固定式のデスクトップ型のコンピューターはほかの教室に持っていけないということもございますので、平成16年度から順次、普通教室等で活用するノート型のコンピューターの整備を始めまして、計画的にすべての教科でコンピューターを普通教室等で活用できるよう、ノートパソコン9台、それから移動式のプロジェクター1台をワンセットとして、各高校ごとに5セットの整備を行ってまいりました。平成20年度までに139校の県立高等学校の各校に45台のノート型コンピューターを整備してまいりましたが、7校がまだ未整備でございます。今回のこの補正予算によりまして、まず未整備になっております県立高校へのノート型コンピューターの整備を進めるとともに、さらにこれまで整備を進めてまいりました県立高校におきましても、より充実したICT環境づくりを推進していく予定でございます。

 今回の整備を通じまして、インターネット関係を利用した情報の検索、収集、実験結果等の整理、分析、プレゼンテーションソフトを用いた発表など、生徒の主体的な学習活動が可能になる環境整備が充実するものと考えております。

 また一方、県立の特別支援学校の状況でございますが、特別支援学校24校合わせまして、児童・生徒が学習に使用する教育用コンピューターは、212台でございます。また教員が教材作成、個別教育計画作成等の事務業務に使用する校務用コンピューターが56台整備されると、こういう状況でございます。

内田委員

 幾つかまとめてお伺いしたいんですけれども、その情報通信技術を使って、いろんなリサーチとか、探求学習とかいろいろあると思うんですけれども、どのような取組が行われてきたかということと、あと新学習指導要領が告示されましたけれども、高等学校教科で情報という教科があると思いますけれども、その情報教育の取組についても、どのような方向性が示されたのかということと、このICT環境の整備との関係性について、お伺いしたいと思います。

高校教育課長

 まずICTを活用した取組というお尋ねでございますけれども、まずコンピューター教室では、ほとんどの県立高校では、現行の学習指導要領に位置付けられております教科情報の科目として、基礎的な内容を扱う情報A、分野別の内容で構成された情報B、情報Cの必須履修科目、こういった授業をはじめとしまして、またその他の教科、教育活動において活用されているという、こういう状況でございます。

 一方で先ほども申し上げましたノート型パソコン、これを普通教室に持ち込みまして、プロジェクター等を活用して、普通教科、その他の教科、情報以外の教科でも、ICT活用を推進しております。

 具体的に申し上げますと、例えば理科の授業で、天体観測ソフトや物理実験シュミレーションソフト、こういうものを利用して探求を深めたり、また音楽の授業で作曲ソフトを用いまして曲作りをしたり、またあるいは英語ですと英語ソフト等を利用しましてメール作成等々、こういった授業を行っているということでございます。

 また一方で、特別支援学校においても、視覚障害、聴覚障害の教育部門、また肢体不自由や病弱虚弱児童において、中学校の技術家庭の内容、高等学校の教科情報を中心としたパソコンを活用して授業を行っていると、こういう取組を行っているところでございます。

 知的障害教育部門の小中学部においては、グラフィックソフトや、教員が自作した教育ソフトを活用して、ものの形や色を認識したり、識別したりする学習に活用したりしております。また、インターネットを活用して、様々な標識の意味や交通機関利用等について扱い、社会実践に向けた学習等において活用していると、こういう状況でございます。

 また、同じく知的障害教育部門の高等部におきましては、教科の情報の中でパソコン等の操作の習得を通しまして、生活に必要な情報活用能力を育てております。また、就労に向けた取組として、仕事の種類、企業の内容について、自ら調べて、進路学習等に活用していると、こういう状況でございます。

 それから、新学習指導要領の情報についてでございますけれども、現行の学習指導要領の教科、情報の情報A、情報B、情報Cの内容を再構成しまして、社会と情報、情報の科学の2科目に整理し、改訂されております。平成25年度から、学年進行で実施される予定になっております。

 この教科の情報では、新学習指導要領におきましても実習を重視している点が特徴的でございまして、各科目の目標、内容に即して、コンピューターや情報通信ネットワークを活用した実習を積極的に取り入れるということになっております。

 またさらに、この学習指導要領の改訂によりまして、高等学校におきましては情報モラル、情報セキュリティが項目としてかなり明確に位置付けられておりまして、特に情報モラルを身に付けさせる学習活動を重視する内容が色濃く出ていると、こういう特徴がございます。この学習指導要領の改訂に合わせまして、今回のこの補正予算をお認めいただきまして、ICT環境がより充実した中で、更に生徒の学習活動の様々な面でICT活用ができるように、取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 大体情報の分野というのは、これから国際的に見て日本が遅れをとっていては面目が立たないと思いますし、学校で扱うICT環境を整えることによって、本当にアイデア次第でいろんな分野に影響を及ぼしているということがあります。それで生徒がかなり学習意欲がわいてくれば、それはもう本当に良いことだと思いますので、今回の補正予算を通して、是非実現していただきたいんですけれども、今回のコンピューターの配備によって、県立高校のICT環境がどれくらい改善されるのかということと、それからもう一つは、ICT環境の整備を推進することで、県立高等学校の生徒の意欲が増すとか、どのような力が更に身に付くと考えるのか、それから、こういったICT活用をした特色ある教育の事例というものがあるとしたら、紹介していただきたいと思います。

高校教育課長

 今年3月現在で、県立高等学校の教育用コンピューターが1万6,150台配備されております。今年5月に、私ども高校教育課が独自に調査したデータによりますと、コンピューター1台当たりの生徒数が7.2人、つまり国の示すIT支援改革戦略の目標の1台につき3.6人、これにはまだ全然及ばない状況でございます。今回この補正予算をお認めいただいて、県立高校に約4,000台強のコンピューターを配備することで、コンピューター1台当たりの生徒数が5.8人になりして、国の示す目標にも近付き、より県立高等学校のICT環境を充実することができるというふうに考えております。

 一方で、県立の特別支援学校につきましては、現状では各校におおむね8台を配備したコンピューター教室がございますが、教育用コンピューターの整備率は21人に1台という状況でございます。今回の補正予算のICT整備事業後には、お認めいただければ、5.8人に1台ということで、この5.8人に1台という数字は、特別支援学校の場合ですと、おおむね1教室に1台以上を配備できると、こういった数字になっております。

 またICT環境の整備を推進することで、どのような力が身に付くかということでございますが、ICT環境の整備によりまして、教室でデジタル教材を掲示したり、実物を拡大して分かりやすく示すなど、このことによって生徒の学習意欲を喚起して、学習理解が一層深まると考えております。今までのチョーク1本で黒板に板書した授業のときは限界がございましたが、立体的なもの、動画的なもの、それが提示できるということで、教員自身が様々な授業を工夫して学習効果を高め指導改善につながるというふうに考えているところでございます。

 また、具体的に特色ある取組ということでございますが、例えば県立高校でございますと、ある学校で体育の授業において、生徒のマット運動をビデオカメラで撮影しまして、直ちにプロジェクターでコンピューターを通して映し出された自分の演技の映像を、コンピューターを使って解析しまして、次の演技向上に役立てると、こんなような取組をしている、こういう1例がございます。

 また、特別支援学校でございますと、例えば盲学校で視覚障害のあるお子様のために、日ごろから点字を活用して学習しておりますけれども、コンピューターにつきましても画面上の文字情報を瞬時に読み取り、点字として出力する装置を使いまして、ビジネスソフトを操作し、あて名作成やデータベースへの入力作業に取り組んでおり、こういった業種への就労の可能性が拡大しているという状況がございます。

内田委員

 最後の質問なんですけれども、そういった中で、やはり重要なのは、教職員の方がどれだけ自分たちでこういった環境を使いこなせるか、またそれを使って生徒たちに学習意欲をわき起こさせるようにするにはどういうふうに使えるかどうかという、そこのところの力量が問われてくると本当に思うんですけれども、その辺の教員のICT活用に向けた指導力を高めるには、どのようにしていくのかということをお伺いしたいと思います。

高校教育課長

 これまでも総合教育センターにおきまして、初任者研修あるいは10年経験者の研修等の基本研修の受講者は、ICTを活用した授業づくり、あるいは、児童・生徒の情報活用能力の育成についての研修講座を必ず受講するということになっております。

 また、文部科学省が毎年行っております、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」では、ICTを活用した指導ができない、余りできないと回答した教員を、校内で記名して回答させますので、こういった教員を対象に県立の総合教育センターではICT活用指導力向上研修講座を受けさせていると、こういう状況でございます。

 県立高校の教員については、各学校での校内研修においても、ICTを活用した授業を公開して、相互に評価し合う取組も行っております。

 また、ICT活用に関する指導力の向上は、外部機関の協力も重要でございますので、こういうものも活用して、今後は資質、能力の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

 また、特別支援学校の教員につきましても、総合教育センターにおける研修に加えまして、障害のある児童・生徒が興味を持って取り組めるような教材ソフトの開発を、教員相互の情報交換等を通じて進める中で、指導力の向上を図っていくという現状でございます。

 今後は総合教育センターと十分な連携、あるいは外部機関との連携を図る中で、より一層、指導力の向上に向けた研修について研究してまいりたいと考えております。

内田委員

 最後に、要望を申し上げます。

 やはり各社会が進展していく中で、私が先ほど申し上げましたように、我が国もほかの国に負けないように、子供たちをITの分野でも育てていかなくてはいけない。そのためには教員も自分たちでより詳しくなって、子供たちにいろんな教材を開発しつつ、それを使ってうまく教育していかなければならない時代となってまいりましたから、大変だとは思いますけれども、是非他の先進国の状況をちょっとリサーチしていただいて、日本よりももしかしたら進んでいるところがあると思いますので、どのような教育方法をしているかとか、そういったこともちょっと踏まえまして、今度はまたお聞きしたいと思いますので、更なる充実を図っていただきたいと思います。

 以上です。

 

11 次回開催日(6月22日)の通告

12 閉  会