平成21年  文教常任委員会 - 0702日−01

平成21年  文教常任委員会

◎《委員会記録-平成21年6定-20090702-000005-文教常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(木村副委員長・大井委員)の決定

3 当局幹部職員の紹介

  傍聴の許否について決定

  4件申請 4件許可

5 報告事項(教育局長)

  「教育委員会の点検・評価について」

    「県立高校改革の推進について」

    「「かながわ読書のススメ〜第二次神奈川県子ども読書活動推進計画〜」案について」

    「指定管理者の応募状況等について」

6 事務概要の説明(教育局長)

7 日程第1を議題

  提案説明(教育局長)

  経営状況説明(教育局長)

   ()神奈川県ふれあい教育振興協会」

  「()かながわ考古学財団」

10  日程第1について質疑(所管事項及び報告事項も併せて)

 

内田委員

 昨今、教職員の不祥事ということで、こういったことは本当は三つ子の魂ということで、小さいときからの規範意識、良いことと悪いことの判断というものが、本当に大切なものとなってくると思われます。そして、この数年間の間を見てみましても、不登校の生徒が増えてきている。その背景には、いじめなど、主に人間関係があると思います。例えば、人の見ていないところで小さい猫をいじめたりとか、傷付けたり、そうでなければパソコンの裏サイトなどでひぼう中傷するとか、以前はなかったようないじめの方法が出てきておりまして、人の心を傷付けているということがあると思います。これは、学校だけではなくて、大人社会でももちろん頻発していることですから、だからこそ深刻であると思います。

 文教常任委員になるに当たって、やはり私はもちろん学力の向上というものは非常に大切だと思っています。しかし、もう一方で道徳心や道徳教育の在り方について、いま一度ここにきて改めて見直さなくてはならないのではないかと強く思っています。子供たちがやはり大人となったときに、今の社会がモンスターペアレンツなど、道徳心を欠いている親御さんが増えてきているということから、家庭だけではなく、これからは学校教育の現場に、学校教育の中で一つ道徳教育というものを位置付けていっていただきたいと思いますので、まずここから入らせていただきたいと思います。

 道徳の「道」というのは、世の中で人が従うべき道のことであり、また「徳」というのはこれを会得した段階のことであると思いますし、道徳イコール、モラルとか礼儀、そして福祉とかマナーということも含まれますし、また神田高校の問題も後で取り上げますけれども、その場に居合わせた最低限の規律とか服装とか、面接のときはどういった格好で行くかと、それは親がしつけをしていかなくてはいけないのに、それができていないというか、そこまで言っていいか分かりませんけれども、とにかく道徳について、まず大前提があると思います。マナーという部分につきましては、その辺は戦中戦後と道徳教育について、かなり変容していっていると思います。内容も異なっておりますし、軍国主義だった戦前戦中は修身という軍国主義の教育が敗戦後GHQによって廃止され、その後に設定された道徳教育が今に続いていると思います。道徳については、各国によっても習慣の違い、それから一律ではありませんけれども、人として、それから自然に対してや、自分の周りの人に対して、それから社会や集団の中でかかわって生きていくと思いますので、最低限の規範だと思います。

 このところインターネット社会にもなり、兄弟の数も昔は多かったですけれども、今はもう本当に1人とか2人とか、そういう中で、またさらに親御さんの育ってきた環境とかがいろいろ家庭の事情というものが複雑になってきまして、母子家庭とか父子家庭も多くなりました。その中で、時代の背景を考えると、これから学校教育の中で道徳をどう扱ってくるかということが、ますます大切になってくると思います。

 そこで、実際平成23年度から小学校が、平成24年度から中学校が、新しい学習指導要領の全面実施と聞いております。道徳に関しては、先行実施ということで、今年度からスタートしているようですけれども、新しい学習指導要領における道徳教育について、ちょっと前置きが長くなりましたが、何点かお伺いしたいと思います。

 まず、新しい学習指導要領は、これまでと比較して、道徳ではどのような点が変わったのでしょうか。聞かせていただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 小中学校におきましては、これまでも週当たり1時間、年間35時間にわたって授業として時間割の中に道徳の時間が設定されておりましたが、新しい学習指導要領では、この道徳教育につきまして、道徳の時間をかなめとして各教科や総合的な学習の時間、学級活動など、学校の教育活動全体を通じて適切な指導を行わなければならないということが改めて規定されております。

 また、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛すること、また他国を尊重し、国際社会の平和と発展や、あるいは環境の保全に貢献することなどが新たに加わっておりまして、さらには基本的な生活習慣や社会生活上の決まりを身に付け、善悪を判断できるなど、規範意識にかかわる指導内容が強化されております。加えて、学校全体で取り組む推進体制を強化するために、新しく道徳教育推進教師が位置付けられることとなっております。

内田委員 

 道徳教育の中に、今、申し述べていただきましたように、伝統・文化を尊重することや、我が国の郷土を愛することなど、また新たに決まりを守ることや善悪の判断といったような規範意識についての記述が新たに加わったということですけれども、歴史的な流れを見ると、容易に想像ができますけれども、その背景がどのようになるのか、いま一度確認させていただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 背景ということでございますが、平成18年に約60年ぶりに改正されました教育基本法では、教育の目標を定めた第2条に、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと、これが新たに規定をされております。さらに、学校教育法の一部改正においても同様の趣旨が明記されまして、これらが新しい学習指導要領の道徳教育の目標に反映されたものでございます。

 また、規範意識についてでございますが、いじめや不登校など、県内、子供たちを巡って様々な課題が指摘されておりますが、新しい学習指導要領においても、こうしたことを踏まえまして、社会生活上の決まりを身に付けること、善悪を判断すること、人間としてしてはならないことをしないことなど、発達の段階に応じた具体的な記述が加えられております。

内田委員 

 先ほど、私が申し上げましたように、やはり今の世の中は、規範意識というものが少し低下しているということで危ぐされておりますけれども、道徳ではどのように扱うんでしょうか。

子ども教育支援課長 

 規範意識に関しましては、小学校の低学年の段階からしっかりと身に付けさせていくことが求められておりますので、児童・生徒の発達の段階に応じて指導の内容が明確にされております。例えば、小学校低学年ではあいさつなどの基本的な生活習慣、あるいはうそをつかない、人を傷付けない、人の物を盗まないなどといったことについて重点的に扱うこととされておりまして、いずれの内容を道徳の時間はもとより、あらゆる教育活動を通じて適切に指導していくことが重要であるというふうに考えております。

内田委員 

 低学年から指導の内容、あいさつをするとか、うそをつかないという、大人でもまだこれができてない人が結構、私も人のことは言えないんですけれども、本当に最低限のこと、エチケット、マナーというのは、やはり低学年から教えるべきだと思いますけれども、そういったものというのは担任の先生が中心になって、道徳の時間、授業が展開されていると思います。私も、小学校時代、中学校時代、やはり担任の教師、または主任教員が週に1時間ぐらい、道徳という時間があったのを思い出しますけれども、個々の教師の人間性とか、それから力量が非常に問われてくる教科でもあると思います。そういったことを受けて、子供たちが教師から受け止めることに差が生じるんではないかと思いますが、その辺のことは何かカバーする方法とか、考えていらっしゃることはあるんでしょうか。

子ども教育支援課長 

 ここ数年、新規採用の教員が増加していることもございまして、個々の教師の経験年数も一様ではございませんので、そういったことから学校が一体となって道徳教育を推進する体制づくりが大変重要であると考えております。そうしたことから、今回の改訂では学校全体の道徳教育の推進役として、先ほど申しました道徳教育推進教師が位置付けられております。道徳の時間については、担任が中心となって授業を受け持っておりますが、計画段階から学年全体、あるいは学校全体で計画を立てて、場合によっては校長や教頭、あるいはほかの教職員がティーム・ティーチングやゲストティーチャーとして参加するなどの工夫も必要になってまいります。このように、全教職員が主体的にかかわることができる体制づくりを、学校体制の中で進めていくことが重要であると考えております。

内田委員 

 道徳の時間を置くというのは、子供たちの人間形成にも非常にかかわってくると思いますし、私も過去を振り返りますと、普通の授業よりも、そういった道徳の授業で先生が言った言葉とか、アドバイスが割と最後まで印象に残っていることが多いんですね。そういった中で、主任教諭とか、校長先生とか、学年で一番指導、責任の立場である先生が道徳の授業を行っていくのか、それとも今おっしゃられた道徳教育推進教師が位置付けられたということですけれども、まずもってどういうふうに位置付けられてきたのかということと、役割と、今までこのような教師はいなかったのかとか、そういったことについて細かく教えていただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 今までのお話にございましたように、道徳主任であるとか、道徳教育の担当者といった校内での役割はございましたが、どちらかといえば役割の中は週1時間の道徳の時間のために計画を立てると、そういう役割であったということが言えますが、新たに位置付けられた道徳教育推進教師は、校長の方針の下、全体を把握しながら全教師が参画して分担、協力をするという中で、道徳教育が円滑に推進され、充実していくように働き掛ける役割があるということでございまして、道徳の時間だけでなく、学校全体で行われる道徳教育全般を計画し推進するという、こういう役割が期待されているものでございます。

内田委員 

 道徳といいましても、明確な教科の在り方という面も難しいと思います。常に我々でいろいろアイデアを出したり包括的なアドバイスをしていかなくはならない分野だと思います。

 最後に、県として、道徳教育の推進についてどのような考えの下で取り組んでいくのか、意気込みをお願いいたします。

子ども教育支援課長 

 道徳教育につきましては、お話にございましたように、小中学校とも全面実施を待たずに今年度から新しい学習指導要領に基づいた実施が行われております。そこで、県教育委員会といたしましては、新学習指導要領の趣旨徹底はもとより、毎年、市町村及び各学校にお示しをしております学校教育指導の重点というものがございますが、それの中で重点的な項目の一つと定めて道徳教育の推進に努めているところでございます。

 特に、積極的に道徳の授業を公開する、あるいは家庭や地域社会とも連携を図りながら、様々な体験を通して、いわば心に響くような道徳教育を計画的に推進していくこと、こういったことを指導の重点としております。そのために、各学校において推進体制の中核となる道徳教育推進教師への支援を目的に、年4回の研修講座を開催するとともに、市町村教育委員会の指導主事を集める会議においても、各市町村における推進状況について、情報交換をきめ細かく行って、県内の状況の把握に努めております。

 また、文部科学省の道徳教育実践研究事業という事業がございますが、県内に8校の推進校を指定しておりまして、先進的な取組を進めていただくとともに、学識経験者、市町村教育委員会推進校の担当教員と保護者、こういったメンバーで構成いたします道徳教育推進協議会を設置いたしまして、推進校における授業参観、あるいは取組への助言、成果や課題などを道徳教育全般について広く協議をしていただいております。今後は、この協議会における協議内容等について、広く県内に発信するとともに、引き続きこうした取組を重ねて県内における道徳教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

内田委員 

 道徳教育につきましては、教育委員会の点検・評価の資料の4ページにあります心ふれあう教育と密接な関係にあって、人間性も大事でありますし、メールでいけないことまで書いて送るようなことというのは、本当に大人の社会でも頻発しているんですけれども、そういったことが保護者も教育をしていただきたいぐらいなんですよね。そういうことはいけないんだよと。そういうことを保護者が言わないのであれば、学校の先生がある程度そういうことはいけないから、そういうことはやらないように、そういうことによって友達が傷付いたりするんだよということはしっかり教えてあげる教育というのは、本当に今後大切になってくると思いますので、新しい学習指導要領よりも前倒しして、この道徳が取り入れられているということで、特に道徳の時間というのは大切にして、神奈川県はもちろん教育県として学力の向上を常に目指していただきたいんですけれども、心の教育を必ず忘れないようにして実施していただきたいと思います。

 今、小中学校の道徳教育のことについて伺いましたけれども、引き続き今度は高等学校について、道徳教育の在り方とか、社会性、それから広義の意味での道徳について質問させていただきたいと思いますけれども、高校生といえば16歳、それから17歳、18歳と非常に多感な時期で思春期になります。個々がより明確に形成されてくる時期で、このときに精神的に悩んだりするお子さんも多く、例えば昨日精神障害者の方とその家族の方たちにお会いしましたけれども、1617歳くらいでこういった精神障害を発症する率が20%ぐらいだったでしょうか、非常に高いんです。ということは、裏にはそういったいじめとか、人間関係がうまくいかなくてそうなったりとか、そういうケースが多いのが高校生の時期と言われております。大人になる一歩手前ということで、社会に移行、準備段階の時期でもあり、高等学校において現実的に、世代的な社会とのかかわりの中で豊かな人間性、社会性がとても大切になってくると思います。

 そこで、小中学校で経験してきた様々な学習の取組を踏まえて、高等学校においては、特に人間としての生き方や在り方について、一層深める取組とか、また公共の精神、それから現実的な社会及び国家の発展を含めて、未来を切り開く主体性のある日本人を育成するために取り組んでいくと聞いておりますけれども、そのことについて具体的に何点かお尋ねしたいと思います。

 まず、小中学校では道徳の時間は別に設けられておりますけれども、高等学校では道徳の教育の時間というのは、どのように学習指導要領に位置付けられていて、またそれは実際に取り組まれているのか、基本的なことなんですけれども、具体的な説明を聞かせていただきたいと思います。

高校教育課長 

 高等学校では、小中学校のように時間の中に道徳の時間というのは特にございません。現行の学習指導要領の最初の部分、総則という部分なんですけれども、総則の中で人間としての在り方、生き方に関する道徳教育を学校の教育活動全体を通じて行うことと、こういうふうに位置付けられております。また、各教科、科目、特別活動及び総合的な学習の時間の中で、それぞれの特質に応じて適切な指導に取り組み、充実を図るものとされております。

 さらに、今年の3月に告示されました新学習指導要領においても、ほぼ同様に位置付けられておりますが、特に教育基本法の改正を踏まえまして、伝統と文化の尊重、他国を尊重し国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献する道徳性を養う、こういった具体性が示されているという状況でございます。この新学習指導要領は高等学校につきましては、平成25年度の入学生から年次進行で実施することとなっておりますけれども、この道徳教育の部分につきましては、来年度、22年度から前倒しで実施することとなっております。

 そこで、県教育委員会といたしましては、今月の下旬に文部科学省の伝達講習会が私どもの指導主事に対して行われる予定になっておりますので、県として推進するために各校に伝達講習の内容を踏まえまして、道徳教育の全体計画を作成していただき、学校と一体となって道徳教育の推進を図ってまいりたいと、今このように考えているところでございます。

内田委員 

 授業とか教育方針があり、その中には伝統文化などがあり、それに加えて他国を尊重してという言葉が入っていましたけれども、他国を尊重して国際的な理解とかということで、その辺について新しいものを取り入れたということでよろしいんでしょうか。

高校教育課長 

 他国の尊重ということにつきましては、これまでも様々な場面で高等学校の教育の中で行っておりますけれども、主に外国語の授業等で他国の文化を尊重する態度を養う等々のことは行ってきております。また、昨今、高等学校の中に他国から留学生もかなりおりますし、外国の方、ネイティブスピーカーの方が今全校配置で必ずおりますので、その中で取り組んでおります。ただ、教育基本法が今度改正になりまして、やはり自国の文化、これを当然尊重して大事にしていかなければ、伝統文化を大事にしていく、こういうことは当然なんですけれども、それにプラス他国の文化をきちんと尊重できる態度を養う、これが非常に重要でございますので、今までもやってきておりますけれども、今度、学習指導要領の中にきちんと明確に位置付けられましたので、更なる推進を図ってまいりたいと考えているものでございます。

内田委員 

 他国の文化を尊重しつつ、自国の文化も大事にしていくということで、道徳というのは意外に難しいもので、ともすれば外国、アメリカナイズという言葉もありますけれども、その辺で微妙なんですけれども、他国から日本は礼儀作法が正しいとは言われておりますけれども、やはり規範意識を高校でも身に付けていただきたいと思います。我が県立高校というところで考えると、豊かな人間性や社会性を育成していく上で、特に力を入れて取り組んでいることがあればお伺いしたいと思います。

高校教育課長 

 現在、社会情勢が目まぐるしく変化する中で、生徒がやはり生きる力を身に付けて、様々な課題に意欲的に、かつ柔軟に対応できる力、また社会人、職業人として自立して豊かな人間性、望ましい社会性を身に付けるということは、非常に重要であると考えております。私ども、キャリア教育ということをこれまで推進してまいりまして、具体的には平成17年に策定しましたかながわキャリア教育実践推進プラン、これに基づきまして、昨年度、平成20年度からすべての県立高校において、生徒の発達段階や各学校の実態に応じまして、入学から卒業までを見通した指導計画でございますキャリア教育実践プログラムの作成をいただいております。総合的な学習の時間をはじめ、各教科、科目との関連付けを図りながら、教育課程に位置付けて充実を図っているというところでございます。

 また、特に地域との連携を今、各学校で強化しておりますけれども、その中で地元企業等の協力を得たインターンシップ、あるいは地域貢献、ボランティア活動、こういった社会貢献活動の推進にも力を入れているところでございます。特に、インターンシップにおきましては、企業等の協力で就労体験を一定時間することによりまして、社会におけるマナー、ルールを実際に体験できる非常に良い機会となっておりまして、豊かな人間性、社会性の育成に結び付くものであるというふうに考えております。

 特に、すべての県立高校で希望する生徒が体験できるよう、社会経験豊かな外部人材であるキャリアアドバイザーを登用しましてインターンシップの企業開拓、こういうものを特にここ二、三年行っているところでございます。このキャリアアドバイザーは企業開拓ばかりでなくて、基本研修、生徒へのマナー教育の講師、こういうものも活用させていただきまして、充実を図ってまいったところでございます。

 また、地域貢献等におきましては、一例でございますけれども、例えば専門高校、特に工業高校の生徒がお一人でお住まいになっている高齢者のお宅を訪問して、そこの例えば電気製品の修理とか、電灯の付け替えとか、あるいは近隣のお子さんのおもちゃを直すとか、一例でございますけれども、そういうような地域貢献も地道に取り組んでおるようでございます。ただ、やはり学校によってまだ非常に温度差が見られるという部分もございますので、全体でレベルアップを図って豊かな人間性、社会性を育成する教育を推進してまいりたいと考えているところでございます。

内田委員 

 県立高校はいろいろ種類も豊富ですし、学校によって差異もあるし、考え方もかなり違うと思うんですけれども、私が高校生のときには、特に道徳というものは余り覚えておりませんでして、キャリア教育については、こういう言葉自体なかったような気がするんですね。キャリア教育自体、平成17年ぐらいから本格的になってきたそうで、私が高校生のときは昭和40年代生まれですから、例えばカードを使うと、このように借金地獄になるよとか、それから就職しないと生涯賃金がどうだとか、そういうのは全く教育の中に受け入れる機会がなくて、特にコマーシャルでは、ある会社の会社情報誌がよく画面に出てきたから、これでいいんだと思ったりするような世代であるわけでして、やはり今後、学校の中でもそういったいろいろな賃金のこととか、将来のシステムの在り方とか、本当に今迷っている子供たちも多いと思いますので、就職についてとか、生き方についてとか、教育力がますます道徳ともに重要になってくると思いますので、そういった社会準備の時期である高等学校では、ちゃんと社会の仕組みや現代社会の構造と働きについての基本的理解、こういったものは本当に重要になってくると思いますので、このところについて、現在、県立高校では具体的にどのような取組を推進して行っているんでしょうか、お伺いします。

高校教育課長 

 社会や経済の仕組み、構造についてですけれども、すべての教科で授業の中で関連付けて実践しておりますけれども、特に必須履修科目、公民科の中の現代社会、あるいは政治経済、それから家庭科の中の家庭基礎、家庭総合においては、学習指導要領の科目の目標や内容の中に社会や経済の仕組みについての学習が位置付けられておりますので、そういう中で学習をさせております。公民科の中では、個人と企業の経済活動の在り方とか、国の労働問題、国際社会における日本の役割、多様な角度から現代社会について理解を深めさせて、必要な公民的資質の育成をしているというところでございます。

 また、家庭科の方でございますが、今、男女共修で家庭科は全員履修することになっておりますけれども、家庭総合等の科目でクーリングオフとか消費者の権利、責任の視点からの学習、家庭の現状を踏まえた自己の経済生活、例えば教科書の中に給与明細がきちんと出ておりまして、給与明細の見方ですとか、その中で社会保険に関することとか、そういうような学習も実際的には行っております。

 また、学校設定科目という、学習指導の中には位置付けられておりませんけれども、各学校が設定する独自の科目の中で、消費者トラブルを取り上げまして、経済問題と法の関係について、様々な角度から考察させる授業を行っている学校もございます。

 また、総合的な学習の時間や特別活動の時間を活用しまして、正社員とフリーターの生涯賃金の格差、こういった実際的な例、あるいは1人で自立した生活を送るために必要な消費生活等々について、実際的な講義を行っているところでございます。

 また、外部講師の出前授業や講演会を実施している学校も数多くございます。こういうようなことで、推進をすることとなってございます。

内田委員 

 では、今年3月に公布された高等学校の新しい学習指導要領において、キャリア教育というものは、どのように位置付けられているんでしょうか、お伺いします。

高校教育課長 

 現行の学習指導要領においての望ましい勤労観、職業観の育成を図るなど、経済教育の一環の内容が記載されておりますけれども、新しい学習指導要領では更に一歩踏み込みまして、地域や産業界との連携を十分に図る中で就業体験などの職業教育の充実を図ること、また生徒自ら主体的に進路を考え選択させること、こういったことが実際に記されております。既に申し上げましたけれども、平成17年度から本県ではキャリア教育の推進に取り組んでまいりましたが、新学習指導要領の内容を更に踏まえまして、充実と推進に努めてまいろうと考えております。

内田委員 

 県立高校で取り組まれているキャリア教育の一環として、実践研究校として指定を受けたという学校を先ほど聞きましたけれども、シチズンシップ教育ということで、この中では先ほども申し上げました道徳性の育成というものにかかわる具体的な教育にも取り組んでいるのか、お伺いします。

高校教育課長 

 様々な特色、あるいは学力向上等々を推進するために、ほとんどすべての県立高校で様々な研究推進指定校を私どもで指定させていただいておりますけれども、その一環でキャリア教育の一部やシチズンシップ教育というものに取り組んでおりまして、平成19年度から8校をシチズンシップ教育の実践研究校に指定させていただいております。その中で、特にモラルマナー教育、これについて実践推進を8校すべてで行っていただいているんですけれども、特にそれに特化して研究している学校が2校ございます。具体的に生徒たちがモラルマナー集を作成して、自らの規範意識の醸成を図ったり、情報化社会の中で身に付けるべきマナーとは何か、人権とは何かなど、生徒自らが調べ、考える等の学習を取り入れるなど、道徳性の育成に努めているところでございますが、こういったことはすべての県立高校で必要なものでございますので、この研究成果を他校に是非普及させていただきまして、レベルアップを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

内田委員 

 今、モラルマナーに特に重点を置いている高校というのが2校あるということで、この2校のそういった研究支援を、是非多くの県立高校に生かしていただいて、やはり学力向上とともに、道徳心を子供たちに教えていくのと、また社会性のある青年を育てるためには、道徳が本当に一番に置いて神奈川県としては、そういった教育を伸ばしていっていただきたいと思います。そして、今後とも生徒一人一人の視点に立って、キャリア教育やシチズンシップ教育をより一層充実させて質の高いもので、学校全体としてその辺のところ気を引き締めて推進していただきたいと強く願います。

 

(休憩 午後零時7分  再開 午後1時11分)

 

内田委員

 それでは、次に、特別支援学校の大規模改修については、今まで本会議等においても何回か取り上げられておりまして、一応の問題は理解しているんですが、まだ分からない点も多いので、現状や課題等を確認させていただきたいと思います。

 また、障害のある子供たちの学習環境を確保して、適切な支援を行っていくという観点から、今後の方向性についても聞かせていただきたいと思います。

 まず、特別支援学校に在籍する知的障害のある児童・生徒数が非常に増加しているというふうに聞いているんですけれども、数的なものはいつごろから増加してきて、どのような背景があって今日のように増大をしてきたかということについて、お伺いしたいと思います。

子ども教育支援課長 

 はじめに、増加の状況でございますが、平成元年度からの状況で申しますと、知的障害教育部門に在籍する児童・生徒数につきましては、平成元年度から平成7年度までは減少傾向でありまして、平成7年度にはおよそ2,900名でございました。平成元年は3,500名だったので、平成7年には2,900名というふうに減少傾向にあったわけでございますが、平成8年度以降増加に転じまして、平成11年度までは微増という状況で、平成11年度で2,933名という状況でございましたが、平成12年度は前年度比117名の増加で、その後も急増が続きまして、平成15年度以降はほぼ毎年度200名を超える増加が続く状況となっております。平成20年度は4,778名ということでございまして、その要因、背景といったことでございますが、家庭養育力の低下であるとか、あるいは保護者の認識が変わってきたという社会的な要因がございまして、それと併せまして、例えば食品添加物とか、大気汚染など何らかの環境的要因が作用しているのではないかという説もありまして、様々な要因が言われているところでございまして、この増加傾向というのは全国的に生じていることから、実は平成19年度に文部科学省が都道府県に対して、増加要因についてのヒアリング調査を実施しております。

 その調査を見てみますと、47都道府県のほとんどが保護者の間に特別支援学校の教育に対する理解が深まったと、こういった回答を寄せております。児童・生徒数の増加につきましては、社会的要因や、あるいは医学的要因等複数の要因が複雑に絡み合って、要因を一つに特定することは困難な問題と考えておりますが、専門知識を持つ教員による児童、生徒一人一人の個々の特性に応じた支援を望む保護者が多くなったということが、一つの大きな要因であることは確かではないかというふうに考えております。

内田委員 

 実は、この何で増加してきたということは本当に難しい問題で、食品添加物とか、また私ぐらいの年のお母さん方が、保護者の方ではあるんですけれども、やはり時代背景としてジャンクフードがはやった時代がありますし、簡単な栄養のないものを食べて過ごした時代があるとか、それからほかにもいろいろな要素が考えられますが、同時に特別支援学校があるということ、今までは例えば自宅の中で静かに過ごしていた、そういうお子さんを持つ保護者から、大体理解が深まってきたという背景も当然考えられていると思うんですけれども、このように児童・生徒数が増加している状況ということについて、もう少し詳しくどのような背景があるかを考えておられるのか、そこを答弁いただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 理解が深まったということにつきましては、一つは保護者が自分の子供とのコミュニケーションのとり方がよく分からないとか、そういった保護者の方が増えてきたのかなということがありますし、あとどうしても発達障害のある子供は自分ではなかなか大きな集団には溶け込めないというような意識が働いていて、そういうことがあるということについての理解が得られたということがあります。あと、もう一つは特別支援学校の就学指導という市町村がしている就学指導の問題もございまして、必要な支援の枠組みとともに、ある一定の成長とともに、もう一度地域の学校に戻す、そういうシステムがないんですね。そういったこともありますので、そういったことが背景としては考えられるかなと思っております。

 もう一つは、経済的支援ということで言いますと、特別支援学校に通う子供が奨励費等の国の制度がありまして、そういった面での支援がされていることが保護者の間に周知されてきたということもございます。そのような背景があるかなというふうに考えております。

内田委員 

 そういったことで、ここ平成12年以降から200名ぐらい増えてきたという、これはすごい数だと思いますね。そうしてくると、やはり増加による課題ということですけれども、具体的に言うと200人増えたら教室はどのくらい増やさないといけないのか、学校もそれに見合ったように学校を増やさなければいけないという、単純な問題点が生じるわけですけれども、この辺について、ちょっと具体的に問題点、課題点を教えてください。

子ども教育支援課長 

 通常、特別支援学校は150人から180人くらいの人数を想定して今まで造っております関係で、200人を超えた、場合によっては300人を超えるような人数を今収容しているということもございますので、様々な課題がございます。今お話しのとおり、例えば普通教室の数を確保するためには、一つの普通教室を間仕切りにして分割して使ったり、あるいは美術室や音楽室、図書室などの特別教室、会議室などを普通教室に転用している状況がございます。さらに、児童・生徒の増加に施設改修が追い付かないことから、学校によってはトイレ数が足りないといったような状況もございます。

内田委員

 今のお話を伺いますと、増えてきたのは大体、平成12年ぐらいからということで、今、平成21年ですから、その間約9年間あるんですけれども、課題ということに関して対応するために、県としてはどのような取組を主に行ってきたのでしょうか。

子ども教育支援課長 

 この対応といたしましては、これまで特別支援学校の新設、あるいは分教室の設置等を行ってきておりまして、新設について申し上げますと、平成11年度に茅ヶ崎養護学校、平成16年度に津久井養護学校、平成18年度に麻生養護学校、平成19年度に金沢養護学校を開校いたしまして、現在、平成22年度開校予定の横須賀方面特別支援学校、平成23年度開校予定の相模原方面特別支援学校について準備を進めているところでございます。

 次に、分教室でございますが、これは県立高校の教室を活用した高等部の知的障害の分教室ということでございますが、平成16年度から設置を進めておりまして、今年度は麻生養護学校の分教室等を3箇所設置して現在で11箇所設置しております。また、それと併せて既存の養護学校の増築ということでは、平成12年度に小田原養護学校、平成14年度に保土ヶ谷養護学校、平成15年に鶴見養護学校、平成17年に座間養護学校、こういった学校について増築を行っておりまして、あと肢体不自由だけの教育部門を持っていた特別支援学校が9校ございますが、そこにすべて知的部門を併置していると、こういう対応を図ってまいっております。

内田委員 

 着々と進めているというように聞こえるんですけれども、まだまだ障害をお持ちのお子さんが増えてくるんではないかということで、平成22年度、23年度に相模原ということで、着々と県としては進めているというふうに評価はできるんですけれども、こういった増加傾向にあることから、相模原方面特別支援学校の以降の新校整備が、また更に急がれるということも含めますけれども、今後のそういった学校の新校の整備等についての計画というのは何かあるんでしょうか。

子ども教育支援課長 

 相模原方面特別支援学校以降の新校整備につきましては、地域別に児童・生徒数の推移を精査して、増加率などの高い横浜北部地域、横浜西部藤沢地域、県央地域などを新校設置の候補として、現在、建設用地等について検討を進めているところでございます。今後、できるだけ早く設置場所や設置年度等の具体的な内容の検討を行って、平成28年度までの年間計画に位置付けて整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、分教室につきましても、児童・生徒数の対応に加えまして、高校生との交流等の教育的な面での成果が上がってきておりますので、今後、平成24年度までに通算20箇所を目標として設置を進めてまいりたいと考えております。

内田委員 

 ちょっと私が分からないところなんですけれども、障害をお持ちのお子さんというのは、地域差とか、そういうものは何か見られるんでしょうか。昨日ちょっと障害者団体の方とお目にかかって、地域差ですとか、いろいろな問題の話をしたんですけれども、地域によって何か特徴とか、そういうのは何かあるんでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 地域差ということは、特にございませんが、そのような地区の例えば養護学校の状況であるとか、学校数であるとか、そういったことでちょっと学校が足りないとか、その辺は地域によってございますので、そういったことで先ほど申し上げたように人口が増加している地域もございますので、そういったことで今後、新校計画を考えていくということでございます。

内田委員 

 地域差というのは多分ないとは思うんです。やはり、地域の方に学校がない、そういうことになっていることがあるところに、人数の割には学校がないという、そういうところにあると思われます。それで、障害がある児童・生徒は特別支援学校だけではなくて、小学校や中学校にも在籍していると私の方で承知しておりますけれども、そのような児童・生徒に対して、これまでの取組というのは、県の方でどうであったのか、お伺いしたいと思います。

子ども教育支援課長 

 障害のある児童・生徒への教育でございますが、通常の学級において必要な支援を受ける方向、あるいは通常の学級に在籍しながら必要に応じて通級指導教室において、個に応じた指導を受ける方法、それから小中学校の特別支援学級に在籍して通常の学級と交流を図りながら学習を進めるといった方法もございます。こうした障害のある子供たちの教育に当たりましては、今、在籍している学校で適切な支援が受けられるようにすることを目標に、子供を一人一人の教育ニーズに適応する支援を進めておりますが、具体的には子供たちの教育にかかる課題を担任1人が抱え込むのではなくて、学校全体で対応していくために、教育相談コーディネーターを中心とした校内の体制整備に取り組んでまいりました。そのために、県といたしましては、教育相談コーディネーターの養成講座を実施するとともに、子供たち一人一人の課題を解決するためのケース会議、これは個別の子供に対して関連した職員が対応の方向等を検討する会議でございますが、ケース会議の持ち方、進め方、こういったことに関する理解、啓発に努めていくことでございます。

内田委員 

 担任1人ですと、やはりすごく負担が大きいと思います。実際に教師の方が体に不調を来すような場面も多いと思うんですね。だから、校内の体制整備というものを少しでも進めていくしかないだろうと思っておりますけれども、さらに、県として特別支援教育の推進について、どう考えているのか、取り組んでいくのか、いま一度お伺いしたいと思います。

子ども教育支援課長 

 まず、特別支援学校の課題の規模改良の対応としては、まずは相模原方面の新校以降の整備計画をできるだけ早く策定するとともに、分教室の整備を計画的に進めることによって、障害のある児童・生徒が安心して学習できる環境の確保に努めたいと思っております。

 また、人材活用の面から理学療法士などの専門職を配置、これを計画的に進めて地域センターの機能、特別支援学校のセンター的機能を持つことが求められておりますので、そういったセンター機能の強化を図る中で、引き続き小中学校における校内体制の整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 さらには、現在、課題となっております教育支援の早期開始、あるいは幼児期から成人期までの一貫した支援体制の整備、こういったことにつきましても、就学前教育機関、幼稚園、保育所はもとより、医療、福祉、保健等との関係機関とも連携を深める中で、充実に向けた取組を行っていくことが必要であると考えております。

 なお、具体的な課題の対応につきましては、各学校や市町村教育委員会と連携して、共に力を合わせて取り組んでいくことが必要となりますので、私ども今年度、保護者や校長の代表、また市町村教育委員会の代表メンバーによる特別支援教育推進協議会を設置いたしまして、本県における全体的な特別支援教育を取り巻く様々な課題について、検討をして具体的な取組を進めたいというふうに考えているところでございます。

内田委員 

 本県においては、一度は減少傾向になったものの、やはり平成12年ぐらいから増え続けていって、今現在4,000人ぐらい、800人近く増えました。こういった増加傾向にあるというのは、全国的に見てみると同じことなんでしょうか。

子ども教育支援課長 

 これは全国的な傾向でございまして、他県の状況を聞きますと、やはり同じように検討しているという状況で、そういった点では分教室の取組などは他県からかなり細かく説明してほしいというような問い合わせを受けております。

内田委員 

 やはり、経済的な状況だとすれば、国の方にも何らかの支援をしていただけるように、求めていくとか、それから今後のことを考えると新校を建てるとか、学校1校に対して非常に膨大な費用がかかるわけですから、それは今後、特別支援学校の在り方と、それからどのように増やしていくかとか、いつ減っていくのかという見込みも立てつつ、かなり計算していかないといけないと思います。そうかといって特別支援学校に通わせる保護者の方の気持ちを考えると、保護者には一生付いて回る問題で、今は障害をお持ちの方の保護者の方にお目にかかりましたけれども、一生の問題で学校時代だけのことではなくて、それこそ親が年とっていくことまでずっと考えなくてはいけないので、やはり県としてはある程度、これまでも周知を図られてきた分野ですから、親御さんにも何らかの支援というか、そういうことは県としての役割だと思いますので、その実現に向けてあらゆる角度から考えて特別支援教育の更なる推進を望みます。

 次に、県立高校の改革についていろいろ資料を頂いておりますけれども、これからの県立高校というすばらしいパンフレットがありまして、新しいタイプの高校等の設置ということが書いてあって、中を開けると単位制の高校から、それから普通の総合学科とか、専門高校とか、それから本当にあらゆる分野に高校が広がったなという感触がもてますけれども、この一番後ろのページにクリエイティブスクールと書いてありましたけれども、こういった新しいタイプの高校の設置を進めているということで、県当局の取組は大変頑張っていらっしゃると思います。第1次と第2次といろいろなことで学校の区域を撤廃したりとか、それから入学希望者の選抜方法を考えたりとか、そういったことで大きく今変わろうとしている。それで、最終段階に突入してきているということですけれども、そこで私の方では、これを全部お聞きしていたらきりがないので、ちょっとクリエイティブスクールのことに絞ってお伺いしたいと思います。

 まず、クリエイティブスクールの導入の背景とか目的、ねらいについて、確認の意味でお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 近年、急速な社会の変化に伴い、高等学校で学ぶ生徒の状況も変化しておりまして、社会性や規範意識の低下、あるいは学力や学習意欲を巡る課題など、多くの課題への対応が求められているところでございます。こうした中、教育委員会では特に多くの可能性を秘めながら、一人一人の持っている力を必ずしも十分に発揮しきれなかった生徒に対するきめ細やかな教育展開に取り組むことといたしまして、基礎基本の学力の定着、キャリア教育の推進、地域との協働を基本コンセプトといたします学習意欲を高める全日制課程の新たな仕組みを活用するクリエイティブスクールといたしまして、田奈高校、釜利谷高校、大楠高校の3校を指定することとしたものでございます。

内田委員 

 田奈高校と釜利谷高校、大楠高校ということで、実はこの田奈高校というのが、私が住んでいる地域の中に入っていまして、今年入学式に出させていただいたんですけれども、非常に校長先生もやる気まんまんでして、すごく新しい生徒が入ってくるのを楽しみにしていると、本当にお伺いしまして、そうなんだと改めて思いましたけれども、こういったクリエイティブスクール3校において、昨年度はどのような取組を前倒しで実施してきたのかということと、それによってどういった結果が生じたのか。また、学校の雰囲気はどのように変わったとか、まだ見えないとは思いますけれども、何かあればお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 まず、昨年度3校共通して前倒しで行ったと聞いてございますが、分かる授業を実現するため、すべての学習活動を30人以下で行ってございます。また、科目などによりましては、例えば1年時の数学、英語では15人、または20人の生徒を対象といたしまして、更にきめ細かい学習指導を実施しております。こうした取組によりまして、例えば生徒が質問しやすい雰囲気となった、授業が活性化した、あるいは教員の目が行き届き個々の生徒に適した個別指導が可能となったことで、基礎学力が身に付き自信を深めて、更に意欲的に学習に取り組む生徒が増えたといった報告を得ております。

 このほか、地元の事業所の集まりである団体と協働いたしまして、約50社へのインターンシップを実施した高校では、生徒の勤労意識が高まるとともに、進路を決定する上で高校生活がいかに重要かということを生徒が認識するようになったと、こうしたことも伺っております。

 また、1年生を対象に小中学校レベルの学習内容を改めて確認しながら、高校における学習活動や社会生活に必要な基礎的な力を付けるための科目を設定した学校では、生徒が中学校から高校への学習内容の変化にギャップを感じることなく学習に取り組めるようになったと聞いております。昨年度、各校において、こうした取組を前倒しで実施いたしまして、一定の効果が出ているのではないかと考えておりますが、引き続き取組の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

内田委員 

 クリエイティブスクール3校においては、やはりそういったことを前倒しされてまだ1年ということで、これからいろいろな結果が出てくるし、いろいろな問題点、課題も少しずつ出てくると思うんです。そういったことを精査して、引き続きこのような受入態勢が幅の広い高校というのも必ず必要になってくると思いますので、更なる努力をしていっていただきたいと思います。

 今年度の入学選抜においては、ここに書いてありますけれども、意欲を尺度として調査書の評定を用いずということで、特に学力試験を行わないのかなと思ったんですが、ちょっとその辺、選考の仕方というか、どのような選抜方式だったのかということと、それからその前の入学者と比べて、今年度の入学者に何か大きな変化があったのかということをお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 まず、選考の方法でございますが、ただいま委員おっしゃったように、後期の学力検査は実施しておりません。調査書の記載事項というか、中学時代どういう取組をやっていたとかいろいろ書いてあって、それを評価する。あるいは、自己表現活動と申しまして、グループで話合いをして、そういうところを評価する、あとは面接を行いまして、意欲を重視した選考を行っております。

 もう一つ、今年度の入学者でございますが、今年度からクリエイティブスクール3校では、後期選抜で学力検査を行わないなど、意欲を重視した総合的選考を実施したところでございますが、現在把握している状況といたしましては、学力面では基礎学力に課題がございますが、意欲を持った生徒が増えまして、今年度の入学者の例えば欠席とか遅刻は減少していると。また、部活動や学校行事にも積極的に参加していると伺ってございます。こうしたことから、今年度実施いたしました選抜によりまして、意欲的な入学者が増える結果になってきております。

内田委員 

 クリエイティブスクール3校において、今年度は本格導入になりますけれども、実際問題、どのような取組をしているのかお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 今年度の各校の主な取組でございますが、田奈高校では生徒に進路や生活につきまして、学んだことを確実に身に付けさせるため、担任や教科担当の指導内容や生徒自身が3年間取り組んだ内容を、個人の学習理念として蓄積するキャリア教育ポートフォリオといったものを作成するとしております。また、釜利谷高校では更に学びたいという意欲を持っている生徒や、進学を考えている生徒のニーズにこたえるため、NPOと協働いたしまして、県を退職した教員が受講を希望する生徒に国語、数学、英語の3教科を教える土曜講座を開催しております。

 また、大楠高校では総合的な時間を社会実践として設置し、ワークショップやシップ交流などを通じまして、社会に出て働いていくために必要な力や他者とのコミュニケーション能力を育成していくこととしております。

 今後は、こういった各校の取組をしっかり検証いたしまして、効果の上がった取組を他校に普及させるなど、一層取組を充実させ、基礎、基本の学力の定着などに取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員 

 特に、学習意欲向上のために様々な努力をされて、クリエイティブスクールの各校に対して、教育委員会としては、どのような支援を行っていくのかお伺いいたします。

高校教育課高校教育企画室長 

 教育委員会からの支援でございますが、まずクリエイティブスクールのきめ細かい教育活動の基盤となります教員の配置につきましては、生徒指導や小集団学習に必要な人員を各校の状況におきまして、通常の職員数に加え配置してございます。

 また、各校におけるキャリア教育を推進するため、若者の就職を支援する目的で設置されました、かながわ若者就職支援センターから依頼のある学校に、キャリアカウンセラーを派遣してございます。さらに、養護教員の複数配置を行うとともに、スクールカウンセラーの勤務日数を増加いたしまして、様々な課題を持つ生徒に対する相談体制を強化するものでございます。現在、クリエイティブスクール3校と教育委員会との間では、情報交換、意見交換の場といたしまして、クリエイティブスクール3校連絡会を随時開催しておりまして、今後もこうした場を通じまして、各校の状況をしっかり把握し、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

内田委員 

 田奈高校、そして釜利谷高校、それぞれ3校とも特色が見られるのかなと感じました。特に、田奈高校で入学式とか、卒業式とかお伺いしたことがあるのですけれども、そんなに別に見ておかしいなという生徒も見当たらなかったし、逆に言うと親御さんでちょっと変わった方がいらっしゃったので、すごくびっくりしたんですけれども、生徒さんなの、親なのとかって私が周りの人に聞いてしまったくらいすごかったんですけれども、ちょっと表現するのにびっくりするくらいの服装とか、髪の毛がほとんど白に近い金髪だったり、そういう親御さんがいて、生徒さんの方はそういう方は見受けられなかったんですね。ひと安心して帰ってきたということも、ついこの間のことですけれどもあります。ですから、このような学校が今後どうなっていくかは、保護者の方の教育ももちろん必要となってくるし、学校全体で、教育委員会も支援していかなくてはいけない学校だと思いますので、県立高校改革推進計画に基づいて、今回、様々な新タイプの高校のうち、このクリエイティブスクールの導入が決められたわけですから、生徒が充実した学校生活を送ることができるよう、教育委員会の皆さん、それから学校現場の教師の皆さんの、それぞれの立場において盛り上げていくというか、機運を高めて地道な高校改革を進めていただくことを要望します。

 田奈高校の先生方が全員が並んだんですね、舞台の上に。そうすると、結構皆さん明るくて、1人ずつごあいさつなさったときに、自分の好きな色は何ですとか言って、全員がおっしゃったんですけれども、それはそれで生徒たちに笑いが起こったり、入学式の雰囲気からしてすごく明るくなったなという感触を受けましたので、更に学校の先生方が本当に現場で汗を流していただいて、ここ数年の間に特に地域の方にも来ていただきたいと、クリエイティブスクールに関しては申し上げておきます。

 次に、旧神田高校における不適正な選抜について、先ほど報告いただきましたので、再度お話を伺いたいと思いますが、これもずっと今年度の文教常任委員会から、皆さんが質問されていることで、重なる点も多々あると思いますけれども、やっと平成22年の被害者のうち4名の方について、また合意が整って、この6月議会に和解案が提案されております。6月18日付けの新聞でも、「外見で不合格」、「身なりで不合格、生徒に和解金で合意」などの見出しの報道がなされて、依然として、関心の高い方が多いと聞いております。しかし、報道の中ではこのことに関して、いろいろ想像ができることでありますので、正しい情報というのが十分伝わっていないということも逆に考えられます。今回、初めて保護者の方と和解の合意が整ったこの時点で、確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、改めて今回の事案が不適正な選抜ということで、不適正な選抜をされる理由、この事案に対する県教育委員会としての認識、こういうものを確認させていただきたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 今回の旧神田高校における事案でございますが、平成20年度の定期選抜におきまして、事前に公表しておりました選考基準により算定した数値では合格圏内に入っていたにもかかわらず、入学願書受付時などの服装、態度のチェックの結果などを基に、受検者を不合格としております。また、後期選抜におきまして、前期選抜における面接時の評価結果などを、全く異なる選抜の機会として実施しております後期選抜の合否判定に使用いたしまして、成績順位では合格圏内であった合格者を不合格にしております。平成17年度選抜、平成18年度選抜におきましても、同様に不適正な選抜が行われておりまして、こうした行為は校長自ら定め、事前に公表していた選考基準から著しく逸脱した不適正な選考でございますし、22名の方の旧神田高校における学習の機会を不当に奪うなど、決して許される行為ではないと考えております。

内田委員 

 目の前で見ていたら判断がつくと思うんですけれども、状況を間近で見ていないので、私としては何とも言い難いですが、願書を出すときの服装検査というのは、やはりするべきではないと思います。それをするのでしたら、明記してもらわないとはっきり言って困るので、中2、中3でも、ちょっとませている子は結構ファッショナブルなんですよね。そうした服装は入試にはふさわしくないのでしょうけれど、入試のときにそのような服装でなくてもふだんはそういう格好しているかもしれないではないですか。何で願書を出しに行くときに、勝手に評価されたり、それはちょっと違うかなと思うんですけれども、もしかしたら見てないから、本当にひどかったのかもしれないし、そのとき判断の確認がないものですから、そういう感じなんですけれども、今回やはり不適正な選抜ということで、とにかく10代の後半に当たる子にとって高校生活の3年間というのは、今、中卒だとなかなか就職がないとか、その後の人生に大きく影響するということからかんがみても、極めて重要な時期にあるということで、被害者の方にとっては本当に取り返しのつかない、特に中学と高校の間の浪人というのか、空白の時期を埋めるには、取り返すには相当な努力が必要であるし、その支援体制が整ってないわけですよ、はっきり言って。だから、ほかの学校に入れてあげるというか、このくらいであればいいんですけれども、県教育委員会としては、どのような考え方に基づいて和解案という検討をしたのか、お伺いします。

高校教育課高校教育企画室長 

 旧神田高校における不適正な入学選抜でございますが、被害者の方々の就学の機会を不当に奪いまして、進路の変更を余儀なくするなど、被害者の皆様に様々な影響や大変な精神的な苦痛を与えてございます。このため、被害者の皆様に慰謝料等をお支払し、和解を結ぶこととしたものでございます。具体的な和解の内容でございますが、精神的な苦痛に対する慰謝料と経済的な損害に対する実費賠償の二つを内容としてございます。

 まず、慰謝料につきましては、過去の裁判例を参考に、県の顧問弁護士と十分相談させていただきまして、旧神田高校における就学機会を不当に奪われたことによる精神的な苦痛に対する慰謝料、これとともに高校進学を断念するなど、不本意ながら進路変更を余儀なくされた事情や、平成17年、18年の受検者のように、過去にさかのぼるほどやり直しが難しいといったこともございますので、こういう事情も配慮させていただいてございます。

 また、旧神田高校を不合格とされたことによって生じました経済的損害でございますが、やむなく私立高校へ進学した場合などの授業料などがございます。これらの経費と旧神田高校へ進学した場合の経費、この差額を賠償対象とさせていただいてございます。

内田委員 

 今回、4名の方と和解したということですけれども、今後、残りの方がまだいらっしゃるわけですね。和解に向けて、何か話合いはされていくのではないかと思いますけれども、今後について、見込みなどについて、分かっていたら教えていただきたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長 

 これまで和解に向けた話合いを進めてまいりましたが、話合いの中では金銭の問題ではなく、なぜ不合格とされなければならなかったのか、今でも分からないという御意見や、あるいは可能性を奪われ変えさせられた人生を返してほしいと、こういった強い思いをお話しになられるなど、気持ちの面で整理がつくにはまだまだ時間が必要な方も多くいらっしゃいます。現時点では、話合いの先行きを見通すのは難しい状況でございますが、私ども1人でも多くの被害者の方々と和解が結べるよう、誠意を持って粘り強く話合いを進めてまいりたいと考えてございます。

内田委員 

 旧神田高校における事案というのは、いわゆる課題校ということで抱える様々な事情が双方にあったにせよ、選抜試験制度に対する県民の信頼、入学試験全体に対する信頼というものが損なわれる危険性があるということで、そうしたことは二度と繰り返してはならないと思います。そこで、こういった事案に関して、再発防止に向けての取組内容についてお伺いします。

高校教育課高校教育企画室長 

 再発防止に向けた取組でございますが、昨年11月に大学の教授など外部の学識者にも委員になっていただき、入学者選抜制度の検証改善に係る調査検討会議を設置いたしまして、その結果を報告書として取りまとめ、それに基づきこれまで取組を進めてまいりました。具体的には、昨年の11月から12月にかけまして、全県立高校を対象に過去3年間のすべての受検生につきまして、入学者選抜が適正に行われたいたかどうか調査いたしまして、適正に選抜が行われていたことを確認してございます。

 また、今年度実施いたしました平成21年度選抜でございますが、選抜実施中、各高校におきまして、選考基準どおり適正に選考資料が作成され、合否判定が行われているか自己検証いただいた結果、これ点検シートといいますが、それを提出いただきまして、適正に入学者選抜が実施されたところでございます。

 さらに、この4月以降は50校程度を抽出いたしまして、学校に出向いて調査を進めておりますが、またそれ以外のすべての高校につきましても、関係資料を持参していただき、選考基準に基づき順位表と受検者の結果を記載してあります願書整理簿がございますので、それを突合いたしまして、調査をすることとしてございます。こうした取組に加えまして、今後、管理職を対象に選抜制度に関する理解を深める研修などを実施いたしまして、再発防止に向け万全を期していきたいと思います。

内田委員 

 この問題が、もし当事者だった人が身内だったりしたら、どうしてくれるんだということになると思うんですね。それからもう一つ、逆に中学とかの進路指導の先生が、やはり試験なんだから、気を引き締めて身なりも整えて緊張感を持って、ちゃんと受検というものはしてくださいねということも教えなければいけないのではないかと思いました。今の家庭では教えない親もいるのかなと。問題点についても、私は同時に考えるんですね、申し訳ないんですけれども。ですから、これからは被害者の方々、まだ残っていますから、話合いを進めていくと思いますけれども、その方々が置かれている状況というのは、それぞれ違います。まだ学校へ行ってない人もいると思いますし、経済的に困難な状況に陥っている方とか、お気持ちをよく察してあげて誠意を持って対応していただきたいと思います。その点、こういった課題校、旧神田高校のような課題校、こういった指導上の課題を大きく抱えているお子さんが入学してくる学校に対しても、しっかりとした支援をしていただくよう、教育委員会の方にも強く要望いたします。

 次に、この間の本会議で我が会派の嶋村議員がいろいろな学校の耐震化についての話とか要望をしておりましたけれども、今、100校計画から40年ぐらいたってきまして、学校施設の老朽化というものが進んできており、教室や廊下の傷みも、それからトイレなども破損していたりしているようなところがあるということで、私も実際問題、高校を見せてもらって、えっと思うようなところも実際にはあったわけです。私なんかは、結構、ぱっとすぐ気が付いてしまうんです。ひびがあったりとか、下駄箱が汚いとか、ぱっと見ただけで気が付いてしまうので、あらを探すのが早い方なんですけれども、そういった点、余計気になってしまいます。それが今回の質問にちょっと結び付けているんですけれども、現在、まなびや計画に基づいて、生徒の安全・安心を図るためにも、耐震化ということが一番大事だということで、県でも今回補正予算で大きな金額を提案して、前倒しでどんどん進めていくということになりましたけれども、老朽化したことについて、県立高校の中で老朽化施設というものは、もちろん耐震化の基準に合わせているんだと思うんですけれども、その状況は、どのくらいあるのかとか、またどの程度なのかということを、とりあえず詳しく教えていただきたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長 

 老朽化という概念でございますけれども、必ずしも明確なものがあるわけではございません。築後何年たったら老朽化と、こういうような明確な定義というのはございませんが、一般的に30年たつと何らかの形で本格的な老朽化対策が必要になるだろうと、このように言われております。さらに、40年ということになりますと、全体的にこれは手を入れる必要があるんではないかと、このようなことが言われております。

 ちなみに、この築40年ということで見ますと、40年経過している施設は校舎等々、現在、約150棟ございます。このうち対策済み、これが29棟ほどございますので、そういったものを含めると、そのうちの半分は私ども今後、耐震化対策等に合わせて建て替えですとか、大規模改修、こうした補強工事なんかと合わせて、何らかの形で老朽化対策をやってまいりたいと考えております。

内田委員 

 築40年ということは、ほとんど私の年と同じぐらいですけれども、本当に古いと思うんですね。150棟あると、幾らでもお金をかけて、本当に1校、学校を建て替えるとたしか40億円ぐらいかかるのか、400億円でしたか、ちょっと確認していただきたいんですけれども、そのような老朽化施設があるようですけれども、これまでこうした老朽化施設に対しては、どのような取組がされてきたんでしょうか。

教育財務課まなびや計画推進室長 

 昭和48年から63年にかけまして、県立高校100校新設計画がございました。この計画終了後、昭和63年からになりますけれども、平成10年度までの間、100校以前の学校、いわゆる既存校を対象にいたしまして、リフレッシュ事業というものが行われてまいりました。この事業では、築年数が古く老朽化が著しいと、こういうRC造の校舎を対象に、屋上防水ですとか、外壁の補修、それから窓枠、床、天井、壁等、こういった内装関係等を総合的な改修を行ってきたということでございます。この事業の終了後、老朽化対策といたしまして、その施設の状況に合わせまして、必要性ですとか、状況を監視しながら、随時対応してきたと、こういう状況がございますが、平成19年度からスタートいたしましたまなびや計画におきましては、御承知のとおり、耐震化対策等と合わせまして、老朽化対策を行っているという状況でございます。

内田委員 

 現実に、昨日は医療関係のヒアリングを行ったんですけれども、県の病院で診察室の雨漏りがするという話があって、すごくびっくりしたんですよ。やはり、学校で現実に雨漏りがしたり、授業が中止になったりとか、それから授業ではなくても、ほかの面で使用ができない、それから壁がはがれ落ちたりすることによって、子供たちが授業に使えないとか、それから水道の蛇口から出る水が赤水だったりすると、それは健康を害するということで非常に良くないことですね。トイレの配管が詰まったりしたら、すぐさまそれが悪影響を及ぼすわけなので、そういった老朽化というのは、すぐに対応しなくてはいけないと思うんですね。耐震化と合わせて、こうした緊急的な要素の老朽化については、どのように対応しているんですか。

教育財務課まなびや計画推進室長 

 例えば、床材がはがれたとか、そういったような軽易な修繕につきましては、それぞれ各学校が自分たちの修繕用の予算を持っておりますので、こういったものでそれぞれに対応しているという状況がございます。

 それから、例えばもう少し大きなもの、例えば屋上防水のシートが強風であおられてはがれてしまったとか、そこから雨漏りが発生したりとか、そういうこともございますし、それから給排水管の腐食、あるいは漏水、こうしたものですとか、こういった修繕に当たりまして、例えば直すに当たっても専門的な知識も必要でありますし、当然費用的には多額の費用がかかってくると、こういうことがございますが、あるいはまたより一層の被害拡大を防ぐため、できるだけ早く対応しなければいけないんですけれども、こういうことがございます。こういった修繕に関しまして私どもの方で、いわゆる各所営繕事業という枠を持っておりまして、各施設管理者と調整しながら、この枠を使って対応するということでございます。

 まず、学校などから依頼がございましたら、すぐさま技術職員を現地に派遣いたしまして、状況の把握をいたします。その上で、緊急性等に応じて優先順位の高いものから、順次対応しているということでございます。

内田委員 

 緊急性を要するものに、優先順位を付けてやっているということなので安心しますけれども、校舎の高い場所からコンクリートが落ちたりするようなケースもあると聞いております。こうしたことは、本当に子供の事故につながってしまうということで、もしそんなことが起こったら、すぐさま新聞に載ってしまうようなことだと思います。かつ危険な状態で、深刻な問題であると思いますが、こうしたことについては、どのように対応しているんでしょうか。

教育財務課まなびや計画推進室長 

 各学校では、もちろん日常的にそういったものも点検してございますし、それから法的な制度といたしましては、建築基準法の第12条で施設管理者の詳細な点検というのが義務付けられておりますので、これに基づく点検等も行っております。これらの点検によりまして、例えば外壁のコンクリートの浮き上がり、これがいつ落ちてくるかもしれないと、こんなような状況を把握いたしますと、すぐさま修理という形で私どもの方に連絡が入るということになっております。我々でも依頼がきましたら、先ほど申しましたように、技術職員が現地に赴き、危険性ですとか、緊急性がある場合には、これはもう最優先で対応させていただくということでございます。

 また、日常の点検にもかかわらず万が一コンクリートが落下してしまったと、こういうような場合には直ちに周辺を立入禁止にするなど、危険回避の措置をとってまいります。同時に、はく離部分の詳細な調査を行いまして、被害の一層の拡大等を未然に防ぐということで、こうした部分については、最優先で修繕の対応をしてまいりたいということでございます。

内田委員 

 私自身も事務所があったりするわけですけれども、本当に修繕はきりがないんですね。ここを直せば、こっちというように、こっちも直せば、あっちも直して、本当にずっと継続的にやらなくてはいけない。それか、もしくは建て替える、どっちか二者択一みたいな感じで、とにかく100校計画があったために、築40年以上が150棟もあって、ほかの老朽化は対応するだけで本当に考えるだけでも、想像を絶するんだと思うんですけれども、とにかく耐震化は一番重要ですけれども、老朽化の問題も時によっては不安ですので、私としては大きな課題だと考えているし、老朽化対策もおろそかにせずに力を入れていくべきだと思いますが、それについてはどんなふうに考えているんですか。

教育財務課まなびや計画推進室長 

 現在、御承知のように、財政状況が大変厳しい中でございます。そういう中で、耐震化など安全・安心な教育環境の整備に向けて、今、全力を挙げているところでございますけれども、一方お話のとおり、老朽化等による外壁のはく離など危険なケースも発生している可能性もあるということを考えますと、老朽化対策はやはり同じように大変重要な課題であるというふうに認識しております。この限られた予算を最大限有効に活用するために、今後、耐震化対策とセットで考えていくという基本は変わりませんが、事故の未然防止のための調査、こういったものも早急に行いながら、学校施設の状況把握に努めまして、危険性や緊急性がある事態に対応を最優先にしながら、効果的、効率的に教育施設の環境整備に努めてまいりたいと、こういうことでございます。

内田委員 

 とにかく県立学校は多いですから、御苦労も多いと思いますが、ちょっと私が思うのは、青葉区の市ヶ尾高校、今、校長先生が代わってしまいましたけれども、前に要望で何か冷房を付けてほしいといったような話がありまして、夏なんか暑くて一番上の最上階なんかは本当に暑いとかいう話も聞いていまして、それは私もまだ議員になりたてのころに言われたので、どうしていいかよく分からなくて、そうですかなんて聞いて終わってしまった経緯があります。今回、文教常任委員になって、とにかく温暖化、ヒートアイランド、コンクリートのすぐ下に生徒がいる教室、本当に暑いし、私が2階の事務所にいるだけで暑いので、やはりコンクリートのところはもっと暑いのかなと想像したりするんですけれども、中にはPTAの方で買ったりとかしたこともあったようですが、冷房の設備のことに関して、県立高校の教室の中に冷房を入れることについては、どのように対応しているんでしょうか。ちょっとお伺いしておきたいと思います。

教育財務課長 

 県立高校のクーラーの設置でございますけれども、まず生徒が利用する保健室は全校でクーラーを設置してございます。あと、生徒が使う教室で言いますと、パソコン教室、これはパソコンがたくさんありますので、パソコンが発熱するということもございまして、これは全校で整備してございます。それ以外ですと、例えば高校改革の方、新タイプ校で例えばダンスなど、そういった体験学習をする、これは防音を施したりしますので、そういう部屋は窓を閉めるというようなこともございまして、クーラーを入れているというようなところです。このほかには、ちょっと種類は違いますけれども、例えば厚木基地の周辺、防音地域で防音対策が必要な高校、これは国の補助を受けて整備している中で、この高校の中で現在は2校がクーラーが入っておりまして、あと現在2校、工事中ですけれども、これはクーラーを設置していると、主にはそういった状況でございます。

内田委員 

 今、この間の本会議で厚木の基地の方の高校でクーラーを入れてほしいという要望で、クーラーを入れるということも、やはりそういうところはもちろんなんですが、そのときの校長先生の要望というのは、冷房を普通の教室に付けてほしいということだと思うんですけれども、そういった普通の教室というのは、保護者の負担による設備の設置が認められているという、許可申請をすれば認められるということを聞いたんですけれども、それは公費負担で出ないものでしょうか。それとも、保護者負担による受入れを推進していく方が、結局良いんでしょうか。その辺の考え方というのをお聞きしたいと思います。

教育財務課長 

 まず、今、委員もおっしゃいましたけれども、本会議で教育長が答弁いたしましたが、基地関係のものにつきましては、冷房設備がまだ未設置の高校がございますので、これは今後騒音の影響調査、これを先に行って国とも調整した上で冷房の設置を進めてまいりたいと考えているところです。

 それ以外の普通教室というお話でございますけれども、確かに保護者の方から夏場、学習環境を配慮してほしいというようなことで、クーラーの設置の御要望がございますし、平成19年ですけれども、県内の高校の保護者、PTAの方々の団体がございまして、高等学校PTA連合会というのがあるですけれども、そこから御要望を頂いております。やはり、夏場の環境ということで、まず公費で冷房機を設置してほしいと。ただ、公費で無理であるならば、私費で受入れを認めてほしいというお話もございました。そこで、私ども検討したんですけれども、県財政が厳しい、限られた財源を有効活用しなければいけない。耐震化最優先というような中で、なかなか普通教室へのクーラー設置までは予算が回り切らないというような状況もございます。そこで、校長会等とも意見交換しながら、その面では私費によるお話がございましたら、受け入れる方向で手続なども定めて、今年の2月、学校の方には通知させていただきまして、今年度から受け入れるような形を進めているところでございます。具体的には、高校の保護者の皆様の総意によって、保護者の経費で、保護者の負担で普通教室にクーラーを設置するというようなことがあれば、学校を通して私ども教育委員会の方に御申請いただき、認めさせていただくというような形で、今は受け入れさせていただいているというような現状でございます。

内田委員 

 昔は、もうちょっと涼しかったような気がするですけれども、夏は基本的にプールに入ったりとか、もうちょっと環境が違っていたような気がするんですけれども、本当に都会の学校は夏は暑いですね。もちろん、休みの期間があるということでしょうから、その辺の考え方は難しいんですけれども、でも今の子供たちって家に帰るとエアコンがついていますよね。塾に行けばエアコンで深々と冷えているんです。そういった生活が実は当たり前になっていて、エアコンのない生活がちょっと当たり前ではなくなってきているという、そういった背景があるんですね。そういった中で、PTAの方にも要望がたくさん寄せられているんだと思います。公費で無理ならば保護者の負担で入れられるということを知らないところもあるかもしれない。そういったことは、我々も周知していきたいんですけれども、県としても今後この教育環境の整備全体について、耐震化もとにかく頑張って進めていきますよね。もちろん、県のたよりって出していると思いますけれども、お子さんがいらっしゃらない方とかは無関心だったり、知らなかったり、それだけ税金が、どのくらいの予算を使っているんですよということの周知が足りてないかもしれないし、もっと言えば、100校計画の高校があったために、老朽化している学校が実は多いということの認識も県民に、もしかして足りてないのではないかということで、こういう教育環境を整えるのは、そういった県民全体の税金で成り立っているんで、やはりそういったところも知っておいてほしいということがありますよね。だから、その辺の広報の仕方についても、是非今後検討していただきたいと私は要望いたします。

 あと、財政的に厳しい状況というのは、本当にいつも聞かされていますが、子供たちの教育というものは、国としても、県としても非常に力を入れていかなくてはいけない分野ですので、是非頑張っていただきたいと思います。

 次に、昨年、私は厚生常任委員だったので、新型インフルエンザ対策については、かなりいろいろな質問をさせていただいた経緯がございまして、学校に対しての連携はどうなっているんだということも、結構、厚生常任委員だったときにお伺いしました。今ちょっと状況が落ち着いていますけれども、新型インフルエンザについて、いま一度この文教常任委員会でお伺いしたいと思います。

 まず、4月の海外での新型インフルエンザの発生、それから患者の拡大を受けて教育委員会としては、どのような対応をなさってきたのかということを伺いたいと思います。

企画調整課長 

 4月に、まずメキシコで発生をしたということで、皆さんマスクを着けてということが報道されたわけでございます。そのときに、WHOが4月28日にフェーズ4に引き上げということで、ヒト−ヒト感染が起きている、増加する傾向があるという状況になりました。これを受けまして、国の方では文部科学省はメキシコ、海外の渡航について自粛する必要があるのではないかという通知がございました。そういう通知に基づいて、私ども市町村にも通知しておりますし、各学校にも通知を行ったところでございます。それから2日経過しまして、4月30日なんですけれども、立て続けに今度はフェーズ5に引き上げられ、ヒト−ヒト感染が継続しているということで、この時点ではメキシコだけでなくてアメリカにも感染が拡大しているという状況でした。この段階で県全体としては、知事が緊急アピールをするということでございまして、それを受けまして教育委員会でも、県立学校に対しまして、まずは海外の渡航への注意喚起、それからもう一つは発熱相談センター、何かあったらそういうところにすぐに御相談いただきたい。それから、繰り返し言われておりますけれども、感染予防のマスク、手洗い、うがい、これについて児童・生徒に保護者にも含めて通知をして対応したところでございます。

内田委員 

 大事に至らなかったのですけれども、5月に入ってから新型インフルエンザの感染の報道が目に付くようになってきまして、5月9日に成田空港の検疫で新型インフルエンザが確認されましたけれども、この段階において、教育委員会としては、どのような対応をしてきたのかということを、ちょっと振り返ってお伺いしたいと思います。

企画調整課長 

 5月9日ということで、このときには成田空港の検疫所で、まだ国内までには入ってないんですけれども、水際のところまで来たということがございましたけれども、そこで実はその前に例えば5月1日の日に横浜市内の私立の高等学校では、カナダに修学旅行に行って帰国された方が発熱をして、もし、これが感染者であれば国内感染第1号になるかもしれないというような状況がございました。その後に、ですから5月9日の時点では私どもやはり海外ということに注目しておりましたので、帰国者がいる場合には教育委員会にきちっと御報告いただきたい。それから、海外旅行だけではなくて、修学旅行全般、校外行事、多数の児童・生徒が参加する校外行事については、実施に当たって十分配慮していただきたい。実施後のきめ細かな国内であっても、例えば成田空港だとか、羽田空港だとか、そういうところに近寄るということについて、いろいろ御父兄の懸念もあったということもございましたので、そういう通知も出してございます。

 それから、具体的にその後通知も出しました海外の修学旅行、それから姉妹校との交流、それから留学生、そういう主に三つが海外と具体的に生徒が行ったり来たりするということでございますので、そういう場合にはその計画について、計画の検討を含めて十分考慮していただきたいという通知を出しております。経過についてはこういうことでございます。

内田委員 

 今、御答弁いただいたように、県立高校の修学旅行、最近、海外が結構あるので、海外に行く修学旅行とか、海外に行くような研修旅行、それから姉妹交流といって、姉妹校が交流するそういった修学旅行があると思いますけれども、こういった県立高校で修学旅行に行こうとしていた学校も行けなくなってしまったりとか、中止にしたところ等があると思うんですね。そういった海外への修学旅行に関して、何か教育委員会から直接要望したとか、その経緯というのか、どういう流れで指示を出したのか、そういったところを確認させていただきたいと思います。

企画調整課長 

 海外の関係ですけれども、大きく分けて教育委員会が直接管理を担当しているのは県立学校というところで、高等学校が一番多い。高等学校の場合には修学旅行に海外に行かれる学校があります。逆に小・中は市町村が教育委員会を所管しておりますので、その場合は小・中の場合はなかなか海外まで直接に行くということはありませんけれども、市町村の事業なんかで海外の方たちと交流をすることはあります。県としましては、基本的には県立高校に対しまして、先ほど申し上げましたように、海外の修学旅行等もありますし、姉妹交流というものもございますので、そういう場合には直接相談してくださいという話もしておりますし、市町村に対しましては、県立学校にはこういう通知を出していますよということを、お知らせをして、県ではこういう対応をしていますのでということをお知らせして、その何かあればまた御相談をという形で、市町村には通知をしていたという、基本的には県立学校に出していた通知は同じように参考にしてくださいねという形で、市町村の方にも通知をして対応していたというのが実際の現場での対応の仕方でございました。

内田委員 

 今回は、3月に弱毒性というのは、だんだん分かってきたというのがあって、海外でも亡くなっている方もいらっしゃるんですけれども、国内ではとりあえず今そこでいったん止まっているんですけれども、今の御答弁を頂いたんですが、高校教育課の方にお伺いしたいんですけれども、実際に影響があった学校というのはどんな感じであったんでしょうか。

高校教育課長 

 県立高校で海外修学旅行を予定して、今年度は23校、24件ございまして、このうち1校1件については、インフルエンザが騒ぎになる前に、もう既に4月当初に実施しておりまして、これは実施済みでございます。残りの22校、23件につきましては、次の計画が8月末でございまして、まだ1校も行っておりませんので、現段階で海外修学旅行については影響はございません。

 また、姉妹校交流につきましては、受入れが11校が26校の海外からの受入れ、訪問につきましては、18校が32校への訪問を予定しております。このうち受入れでございますが、どうしても欧米諸国は9月始業ということで、6月に大体もう夏休みに入る関係がございまして、6月に相手方の方から日本に来るというのが多かったものですから、これについては12校が中止、または延期をしております。訪問につきましても、8校が13校の訪問を中止する方向で今進んでいると、こういう状況でございます。

内田委員 

 特に、関西方面で始まった今回の新型インフルエンザですけれども、今では日本全国に広がっていますけれども、特にいま一度聞き直したいのは、関西方面で広がったときには、逆に海外へではなくて、今度は小中学校に関係ある、例えば京都、奈良とか、観光地の多いところに修学旅行に行ったりするのは多く、私の知り合いでもお子さんがどうしたらいいなんて聞かれたことがあるのですけれども、中学校の修学旅行の時期に、こういった我々の対応も非常に難しかったとは思うんですけれども、どのような影響があったのかということを、いま一度教えていただきたいと思います。

子ども教育支援課長 

 5月16日に国内第1例が確認された時期というのは、ちょうど本県におきましても、中学校の関西方面の修学旅行がピークの時期でございまして、そういった意味では少なからず影響があったということでございまして、例えば一時出発を見合わせたり、あるいは一律休校措置をとっていた例えば神戸であるとか、大阪のコースは避ける、急きょコースを変更したり、あるいは班別自主見学の予定を全部バスの団体行動に切り替えたりとか、そういった対応をしておりまして、一つの学校の例をお話ししますと、もともと大阪を宿泊予定にしていた学校が、そこで発生が確認されてしまったので、急きょ滋賀県に日程を変えたら、滋賀に行ったその日に滋賀県で出たとか、そういうこともあって、大変苦慮して我々としてもちょっとどうしたらいいかという相談も市町村教委から受けたこともあるんですが、そういった状況でございます。

 それで、私どもとしては、5月22日付けで修学旅行先の一斉休校が解除されたとしても、一定程度感染の終息が確認されるまでは、自粛することが望ましいとの認識をお示しして、各市町村教育委員会に対しては、校長に判断をゆだねないで、設置者として明確な指示を市町村教委に出すようにと、そういう依頼を当初しておりました。

 また、5月29日以降につきましては、感染拡大が若干鎮静化されつつあったことと、あるいは文部科学省が28日付けで修学旅行の教育的意義や児童・生徒の心情等を考慮して、中止ではなく延期扱いとするなどの配慮が求められるという事務連絡がございましたので、そういった内容を踏まえた対応を依頼いたしました。

 なお、結果的に本県は九つの市で43校の中学校が出発を見合わせましたが、このすべての学校が日程を変更して、今後実施予定もございますが、実施をするという状況でございます。

内田委員 

 子供たちにとっては、本当に1年間楽しみにしていた修学旅行がいきなり中止になったりしたら、それは本当に驚いてしまうし、幾ら言われても納得がいかないということで、こういった方向で考えていっていただきたいですよ。とにかく、今後、毒性や明確な指示を出さないといけないという立場にある教育委員会や、学校関係者にとっては、本当につらい判断を負わされるということになると思います。

 まず、本県で第1号の患者が確認されたのが5月20日ですけれども、その後県立学校の感染は確認はされていないですけれども、市町村の方の学校の児童・生徒の状況を教えてください。

企画調整課長 

 県内でもちょうど100例を超えるという状況になりましたけれども、県立学校につきましては、幸い発生がないと。ちなみに、私立の方では発生があるということで、県内では公立では小・中で3件発生をしたという事例がございました。一つが6月9日、海老名の大谷中学校、これは東北に修学旅行に行って戻ってきて発症する、これはですから多数発症する可能性があるような事例でございましたけれども、これが1例。それから、2例目が6月18日、これは横須賀市立の上野台というところの中学校で1名。3例目が6月20日、川崎市立の上原小学校というところで、3件ございました。

内田委員 

 具体的に、市町村ではどのような対応をしたのか。

企画調整課長 

 市町村は、当然県とも情報交換をしながらということで、対応されていたわけでございます。海老名の大谷中学校の場合、先ほど申し上げましたとおり、修学旅行ということで多数の方が感染される可能性が現実にありました。大谷中学校の場合、当初1名だったんですが、その後も発症が続きまして、結果的に6名増えて計7名になったということでございまして、そういう状況の中で海老名市としては、中学校と中学校の学区の中に小学校が二つあるということで、中学校と合わせて小学校二つで、臨時休校をするということにしておりまして、6月10日から6月16日までの1週間、臨時休校の措置をしました。

 なお、6月16日になって小学校の方はだれも患者が出なかったということで、休校は解除したんですけれども、先ほど申し上げたように、1人目が出てからもぽつぽつと感染者が出ましたので、最終的に6月12日まで感染者が出たということですので、中学校の3年生から出ていますので、3年生のみの学年閉鎖は引き続き少し続けるということで、6月21日まで3年生だけは学年閉鎖という、これが海老名市の対応でございます。

 あと、もう二つ、横須賀市の場合は中学校のみ、これは集団の修学旅行等の事案ではなく、単独の事案でしたので、中学校のみを1週間臨時休校措置をしました。ただ、その後の状況を踏まえて、6月19日から6月25日までにしていたんですけれども、短縮をしまして、最終的には6月22日までの臨時休校ということで短縮をいたしました。

 それから、川崎市につきましては、小学校については6日間、6月20日から6月25日までの臨時休校ということでございます。

内田委員 

 今、臨時休校ということで、その判断というのも結構、学校全体としては大変なことだったと思いますけれども、現時点で仮に県立高校の方で感染者が出た場合も、同じように臨時休校措置をとって対応するんでしょうか、伺いたいと思います。

企画調整課長 

 もし、高校等で発生した場合でございますけれども、今、実はもともと今回について、新型インフルエンザにつきましては、国の方が行動計画というものをつくっておりまして、ガイドラインがございました。当初は、非常に強毒性のインフルエンザを想定しておりましたので、県内一円で発生をしたときに、県内全域に休校にするというような対応が考えられていたわけでございますけれども、現在、弱毒性が分かったということでそれを段階的に緩和をしておりまして、現在はもう学級閉鎖、学年閉鎖、そして休校というものを、それぞれに使い分けて直接には対応するというようになってございますので、もし発生をした場合につきましては、患者の数や感染の状況とか、接触者の数、そういうものを判断して勘案して、どういう対応をしていくかということを考えていくということになってございますので、県としてもそういうふうに対応したいと思います。

 実際に海外から帰ってこられても、成田からお家に帰ってこられただけで学校に通ってないというようなケースであれば、学校とは基本的には関係がないということで、学校自体には影響がないので休校等はしないということもございますので、正にケース・バイ・ケースでその状況に応じて適切に対応していきたいと考えております。

内田委員 

 インフルエンザのウイルスの深刻さや、そのときの状況によって対応するというということでございますけれども、臨時休校措置というのは、学校の関係者にとって大変な判断力を要すると思うんですが、その辺のことで、例えばインフルエンザが来たときに、いきなり広範囲で休校措置をとるというのは、よほど強い強毒性のときには考えられますけれども、今回のような場合のときは、そういった休校措置というのはあまり考えられないということになるんですか。確認のために伺います。

企画調整課長 

 さっき、お話ししたとおりに、国の方も考え方を弱毒性というふうに変えてございますので、いっぺんに県内全域を休校にするということは、全くないとは言い切れませんけれども、今の段階ではなかなか想定できません。

内田委員 

 今回の新型インフルエンザは弱毒性ということで、今後、そのウイルスが変化していくと、どのように変わるか分かりませんので、もしかしたらもっとひどいものになる可能性だってなきにしもあらずで、そういったことで秋冬に向けて、今回のことを教訓としていろいろ問題点も課題もあったと思うんですね。やはり、学校というのは感染が起きてしまうと、本当にもう多くの生徒さんがいらっしゃいますから、一番対応をしなくてはいけないのが県教育委員会であり、皆さん方だと思いますので、本当に判断力が要求されるし、連携しないといけないと思いますけれども、教育委員会としては、特にこのような状況を踏まえて、秋冬に向けて万全な対策をされると思いますし、行動計画にのっとりながら、それをまた更に充実したものにしてマニュアルを作成していかなくてはならないと思われますけれども、その辺の進ちょく状況と、どのように考えているのかということをお伺いしたいと思います。

企画調整課長 

 国は国の計画、県には県全体の行動計画があり、教育委員会としてもマニュアルというものを素案レベルでございましたけれども、今回、一連の事態が起きる前に作成しておりました。そういう中で今回、一連の新型インフルエンザの事案が発生したわけでございます。課題といいますか、今回、いろいろ地方の現場においては混乱の問題があったということで、その一つの原因というのは、国が想定していた行動計画が、繰り返しになりますけれども、強毒性の鳥インフルエンザを想定して作成されたということ、それしかなかった。しかも、弱毒性であろうということが分かるまでに時間がかかり、最初にメキシコに出たときは、強毒性かもしれない、結構死者が多いということでしたけれども、アメリカに出てから意外に致死率が高くない、弱毒性ではないかと言われたんですけれども、そうなってから国の指針等も改定するのに、相当長い時間がかかった。実は、5月22日に緩和されて、さらに6月19日に緩和されるような通知が出たんですけれども、それまでに随分時間がかかった。そういう中で、現場においては、機動的に柔軟に対応しなければいけないということが、非常に大きな課題だったのではないかと思います。そういう中では、やはり現場では教育委員会としては、情報を持っている、これはあくまで医学的な知見に基づいて、いろいろ考えなければいけないので、保健福祉部と連携することが必要なのかなということで、情報を確認体制を構築というのが引き続き重要な課題だというふうに思っているんです。

 それから、委員からお話があったように、秋冬に向けてということでございますけれども、強毒性に変わるとは限りませんので、少なくとも現在の新型インフルエンザを想定した今の段階での課題を整理して、感染をできるだけ防止する対応策を検討していかなくてはいけないふうに思います。また一方、病原性とか、毒性の変異、タミフルの耐性のあるインフルエンザが出たというような話もありますし、そういう場合を少し念頭に入れて対応していかなければいけないと思います。いずれにいたしましても、教育委員会としては、非常に大きな影響がある事案というか、大きな問題だと思いますので、全体で対応してまいりたいと思いますし、最終的には休校というような学校現場にも大きな影響が出ることもございますので、学校とも連携をとって対応してまいりたいと、そのように考えております。

内田委員 

 6月の補正予算を前倒しで議決して良かったと思うんですけれども、ただしタミフルに耐え得るようなウイルスが出てきてしまった場合は、それはまたすごく大変なことになってしまって、対応をいろいろ考えていかなくてはならないし、厚生常任委員会の方からも学校との連携について、どうなっているのかということが多分出てくると思いますし、今後、安全防災局とか、そういったところと合同で新型インフルエンザについては、さらにいろいろな状況に対応していかなくはならない重要案件と思われます。県教育委員会としては、多くの学校を抱えているという、現場を抱えているということから、一番判断力を要されるので、最悪の事態ということも想定しつつ、課題を整理して対応の検討を進めていただくことを要望いたします。

 次に、西湘地区体育センター及び武道館の指定管理者制度の導入に関して、御説明いただきました。来年4月から指定管理者制度を導入するということで、ここに書いてあるように現在、募集中で西湘地区体育センターは4団体で、武道館は2団体から応募があるということですけれども、この募集に関して何点かお伺いしたいと思います。

 今までの資料を見てみますと、県立スポーツ施設に係る指定管理者制度の導入に関しましては、昨年度スポーツ会館、それから山岳スポーツセンター、それから相模湖漕艇場の3施設についての募集をして、この4月より指定管理者による施設運営を行っているということをお聞きいたしました。こちらに書いてございます西湘地区体育センターと武道館について、募集時期が先ほど申し上げました3施設と異なって、今年度募集をかけているという、ちょっと遅れている理由はどこにあるんですか。

スポーツ課長 

 昨年度、指定管理者を募集した3施設でございますが、これは指定管理制度を導入する前から管理業務を委託していたという施設でございます。一方、今回、募集をさせていただいています西湘地区体育センター、それから武道館は、現在、県が職員を配置いたしまして、直接運営をしているという施設でございます。そうした点で、昨年度募集をさせていただきました3施設との違いがございます。西湘地区体育センター、それから武道館につきましては、指定管理者制度の導入など、施設の在り方について、抜本的な見直しを行い、昨年12月の県議会において条例を改正させていただきました。そして、導入に伴う募集要項を整理、あるいは調整いたしまして、この4月から募集を始めさせていただきまして、平成22年度から指定管理者制度を導入するということでございます。

内田委員 

 体育センターというのは、藤沢と小田原にあると認識しておりますけれども、今回、小田原の西湘地区体育センターへ指定管理者制度を導入するというのはなぜなんですか、お聞きします。

スポーツ課長 

 藤沢の体育センターは、いわゆる貸館業務が主である西湘地区の体育センターとは異なりまして、正に教員研修、それから体育、スポーツ、保健学習に関する調査・研究などということで、教育行政にとっては非常に重要な役割を担っております。この部分は、引き続き県が直接行う必要があるというふうに考えております。そのため、全面的に指定管理者制度を導入することは困難ということから、施設の管理、それから運営事業についての業務範囲の拡大を行うことで、効率的な施設運営や県民サービスの向上に努めるということとしたものでございます。

内田委員 

 こちらの募集に当たりましては、5月末に現地説明会を開催して、それぞれ27、それから19団体が説明会の方に参加しているようですけれども、いろいろスポーツ事業をやっている会社とか、また団体の業種は様々だと思いますが、特にどんな業種の団体が多かったんでしょうか。

スポーツ課長 

 まず、西湘地区の体育センターの現地説明会に参加した27団体の業種の内訳でございますけれども、総合地域スポーツクラブ、あるいはスポーツ施設の運営、それからスポーツマネジメントなど、スポーツ関連事業を営んでいる団体、あるいは体育振興を図っている団体、こういった団体が11団体ございました。それから、いわゆるビルメンテナンスということで、ビル管理業者の団体が9団体、それから清掃業、あるいは経営コンサルタント、造園業など、その他の業種ということで7団体ということでございます。

 それから、もう一つ、武道館の現地説明会に参加いただいた19団体の業種の内訳でございますけれども、スポーツ関連事業を営んでいる団体、あるいは体育振興を図っている団体が4団体、それからビル管理業者の方々が11団体、それからその他の業種ということで4団体ということでございます。

内田委員 

 様々な業種の方が説明会の方には参加しているということで、これは締切り間近でも増えると思われますけれども、8月1日段階での応募状況については、先ほど説明いただきましたけれども、応募団体に対して、どのような選考基準というのを設けて選考していくんでしょうか、お伺いします。

スポーツ課長 

 指定管理者を選定するに当たっての基準ということでございますけれども、一つにはサービスの向上という視点、それから二つ目として、管理経費の節減、それから三つ目として、管理を行う団体の業務遂行能力と、この三つの点を観点に評価してまいっております。

 サービスの向上につきましては、例えば規模とか経費面から判断して、実現可能なものであるかなどというような、いわゆるサービス水準をクリアできる事業計画が提案されているか。あるいは、民間事業者のノウハウを生かした効果的なサービスの提供がなされているか、こういった点がございます。それから、管理経費の節減につきましては、例えば市場価格として適正な価格で積算ができているかといったような点。それから、民間事業者のノウハウを生かして、より合理的な経費節減策が提案されているか、こういったところ。それから、三つ目の視点でございます団体の業務遂行能力につきましては、指定管理業務を遂行できる安定した経営基盤と、それから相応の規模、こういったものを有しているかどうか。指定管理業務を遂行するための技術的な能力、こういったものが確保されているか、こういった点を総合的に評価を行わせていただきまして、指定管理者の団体を選定していくということになります。

 選定に当たりましては、第三者の立場からということで、また専門的視点からの御意見は聴取するという目的として、外部の有識者の方々に評価委員会を設置していただきまして、団体の提案内容を評価していただくというようなことになっております。

内田委員 

 先日の本会議で、我が会派ではないんですけれども、指定管理者制度をテーマにした質問、要望が多かった議員の方がいらっしゃいましたけれども、これが良いとか悪いというのは本当にあると思います。今回、指定管理者制度を既に導入している施設の運営に関して、どのような効果が上がってきているのかというのを、いま一度確認させていただいて、課題があれば、そちらの方も教えていただきたいと思います。

スポーツ課長 

 指定管理者制度を導入している施設につきましては、月ごとに提出をいただいております業務報告書の点検確認というようなことを含めまして、業務が適切に実施されているかモニタリングということを行っております。そういった中で、いろいろな確認をしているところですが、その中でそれぞれの施設の運営状況ということでございますが、まず一つ、相模湖漕艇場につきましては、利用者の艇の破損箇所の修理、あるいは部品の取り付け、それから溶接などのメンテナンス、こういったサービスを無料で実施するなどということで、サービスの内容の向上が図られております。ただ、例えば相模湖漕艇場におきましては、ただいま委員の方から課題となっている点ということがございましたが、冬場のオフシーズンの利用者、この方をどうやって増やしていくかという点が確かに課題というふうにはなっております。

 それから、スポーツ会館では条例上、月曜日と祝日の翌日、そして年末年始は休館日ということでございましたが、年末年始と月1回の点検日を除きまして、営業を続けるということで、開館日の拡大の取組を行っていただいております。そうしたことから、利用者数も増加をしているというようなことでございます。

 それから、山岳スポーツセンターでございますけれども、これは利用者の要望におこたえいたしまして、クライミングウォールというようなものに日よけ用の設備を設置したりいたしまして、一般利用客の確保を図るということで、使用料の増加はしております。ただ、この場合には秦野市内にまた類似の施設ができたということもございまして、努力もかなり必要だという感触を持っております。

 いずれにしろ、この各施設とも指定管理者の独自の工夫やサービスの向上ということと、使用料の収入増、または経費の削減による運営の効率化ということが一応図られておりまして、おかげさまで利用者満足度調査における評価も割合と良いというような結果ということになっております。

内田委員 

 今、良い点と、開館日が延びることなど良い点だと思いますし、サービス向上に向けた動きもいいと思うんですけれども、課題というものも出てくると思いますので、課題もまた整理して、利用者のことを常に考えていただきたいと思います。

 それから、指定管理者制度の導入に当たりましては、様々なことが言われておりますし、人材を育てる上での継続性という面では、どうなのかと思うときも私も多々ありますし、スポーツのことですからあれなんですけれども、例えば福祉の方でしたら、やはり人材を雇止めというか、そういうこともせざるを得ないとか、そういう状況というのは、本当に本末転倒なんですね。ですから、とにかくそちらの施設の方では、サービスの低下を招かないようにしていくことが重要だと思います。そして、その意味からもしっかりとした団体を今回決めていっていただき将来性のあるように、県としても何らかのアドバイスを続けていっていただきたいと思います。

 今日の質問は私はこれで以上です。

 

他議員質疑続く

11 次回開催日(7月7日)の通告

12 閉  会