平成21年  文教常任委員会 - 1214日−01

平成21年  文教常任委員会

◎《委員会記録-平成21年12定-20091214-000013-文教常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(山口・橋の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

  傍聴の許否について決定

  5件申請 5件許可

  口頭陳情の許否について決定

  請願第64号−2についての口頭陳情 許可

  請願第65号−2についての口頭陳情 許可

  陳情第160号−2についての口頭陳情 許可

6 報告事項(教育局長)

    「県立伊勢原射撃場への指定管理者制度の導入について」

    「神奈川県部設置条例の改正の概要について」

7 日程第1を議題

  提案説明(教育局長)

  同上質疑(所管事項及び報告事項も併せて)

 

内田委員

 おはようございます。最初は、昨今の状況に関係のあることについて伺っていきたいと思います。

 昨年度から話し合われていますが、新型インフルエンザへの対応については、9月定例会においても質問したところでございますが、9月末の時点では感染が広がってきているということでした。特に、今ちょうど秋から冬にかけて、新型インフルエンザの患者数というものが急速に増加することがまだ懸念されておりましたけれども、その後も、今、全国的にまだ感染が広がってきているのではないかと報道されているところです。

 本県におきましても、感染が拡大して学級閉鎖とか、それから学年閉鎖等の臨時休業措置をとらざるを得ない学校が大変増えてきており、中には授業や行事等の教育活動に支障が出ている学校もあると聞いております。

 そこで、新型インフルエンザの感染状況とこれからの対応について、大事なことですので何点かお伺いしていきたいと思いますので、お願いいたします。

 最初に、夏季休業明けから現在までの学校の臨時休業措置の状況について具体的にお伺いしたいと思います。

保健体育課長

 夏季休業明けの臨時休業の状況でございますけれども、12月6日現在、累計でございますが、県立学校が学級閉鎖250校、学年閉鎖194校、学部閉鎖33校、休校12校の合計489校という状況でございます。市町村立学校でございますけれども、学級閉鎖4,639校、学年閉鎖1,140校、学部閉鎖6校、休校100校の合計5,885校で休業措置を行っております。

 また、臨時休業措置を行った県立学校、市町村立学校を1週間ごとに集計をしておりますが、その推移を見ますと、9月の第1週、これは7日から13日の週でございますが、85校でございました。その後、100校前後で推移しておりましたけれども、10月に入りますと519校と急激に増加いたしまして、10月末から11月初めの週でございますけれども、ピークの933校という状況になりました。それ以降ですけれども、現在に至るまでは穏やかな減少傾向というところでございます。

内田委員

 5,800の市町村立学校、そういった数を聞くだけでも、これはやはりそれなりに対応していかなくてはならない数だという感じがしています。

 ところで、感染拡大を防ぐために臨時休業措置をとった学校では、授業等に支障が出ているということをお聞きしておりますけれども、小・中学校では授業時間の確保等についてどのような対応をされているんでしょうか、お伺いいたします。

子ども教育支援課長

 小・中学校での対応でございますが、各学校では年間の授業時間数について、日ごろから台風や大雪、季節性のインフルエンザ等に備え、あらかじめ標準時間数を超えた年間指導計画を立てておりますが、今回の状況につきましては、想定を上回る授業時間数の不足が出ている学校もございます。

 そこで、小学校では5時間授業の日を6時間授業にしたり、あるいは中学校では6時間授業を7時間授業にするというように平日の授業時間数を少しずつ増やして補っている学校がございます。あるいは定期テストの終了後に、授業を実施したりとか、さらに、運動会や合唱祭といった行事の練習時間を短縮して授業時間を確保する、そういった学校行事の実施方法を見直したり、あるいは2学期制の学校では大体前期と後期の間に3日間程度の秋休みを入れている学校が多いんですが、その秋休みをなくすといったことによって対応しているということでございます。

 ただ、こうした対応につきましては、それぞれの学校で、設置者である市町村教育委員会と協議しながら進めているわけでございますが、保護者からは、閉鎖した場合に授業が遅れるのではないかといった問い合わせがある一方で、帰宅が遅くなると塾や習い事に行けなくなるので、1日の授業時間数をそういったことで増やさないでほしいという声であるとか、あるいは旅行とか冬季講習に行かれなくなるので、長期休業中には授業を計画しないでほしいといった要望もございます。そのために、各学校では事前に保護者や地域の理解を十分得ることが大切でございますし、また、指導内容の厳選であるとか効率的な指導に努めることも大変重要でございまして、基本的には児童・生徒に過度の負担にならないような配慮をすることが必要であると考えておりまして、私どもとしましては、市町村教育委員会との会議等でもこういった内容については協議を進めているといった状況でございます。

内田委員

 先生たちがすごく大変だというのは分かっているんですけれども、それでは今、小・中学校の状況を聞いたので、県立高校の方では実際、授業時間の補講等についてはどのように対応しているんでしょうか。

高校教育課長

 県立高校においても、今年の夏以降、臨時休業の措置をとる学校が、先ほどの答弁であったとおり相次いでおりまして、学習への影響の対応につきましては、今年の8月27日付けの高校教育課長通知で各学校に対して自宅学習や授業の補てんを具体的に指示しております。各学校におきましては、休業中にレポートあるいは課題を課すなど、生徒の自宅学習について十分な事前指導をするとともに、休業明けには指導計画、あるいは行事予定を変更して授業時間の確保に努めているところでございます。具体的には、小・中学校と同様、通常6時間の授業を7時間の授業に変更する、放課後や土曜日に補習を行う、あるいは長期休業中に振替授業を実施するなど、学校や生徒の実態、教科や科目の特性などに応じて各学校が対応しているという状況でございます。高等学校の場合、単位の修得ということがございますので、単位修得に支障が出ないよう、できる限り時間を確保して休業中の学習内容を補うよう各学校を指導して、生徒への学習支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 県立高校というのは単位があって、それが取れないと卒業ができないということがありますので、やはり授業時間を保つということがすごく大変なことだと思います。

 様々な工夫をされているということをお聞きしましたけれども、県教育委員会の方では最近いろいろな保護者からの意見もあったんでしょうから、最近、県立高校の臨時休業措置の基準というものを見直したということを聞いておりますけれども、その趣旨についてお伺いしておきます。

保健体育課長

 先ほど御説明いたしましたとおり、夏季休業明け以降感染が拡大しまして、多くの学校が臨時休業措置をとってまいりました。中には、複数回の臨時休業を行っている学校も出てきております。こういった状況を踏まえ、多くの生徒が既に感染し、免疫を獲得していると考えられること、そして臨時休業による授業や行事等の教育活動への影響について配慮する必要があるということから、これまでの同一学年で2学級以上が学級閉鎖となった場合、原則として学年閉鎖を行うという基準を、半数以上の学級に感染が拡大した場合は、教育委員会と相談の上、学年閉鎖について検討するという基準に見直したところでございます。

内田委員

 分かりました。今はまだですけれども、1月、2月、3月になってきますと、いよいよ高等学校の方ではこれから入学者選抜というものが大事なところなんですけれども、新型インフルエンザの感染拡大による影響というのが非常に懸念されるところですが、どのように対応をしていくのか、それについて詳細を伺いたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 まず、何よりも受検生の健康管理、感染予防が重要でございますので、すべての受検生に配付します志願の手引きという冊子がございまして、その冊子に感染予防について啓発するチラシを掲載し、配付するとともに、来年の願書提出の日にも各高校から受検生に対しまして同様のチラシを配付し、感染予防の徹底を図ってまいります。さらに、中・高生への新型インフルエンザのワクチン接種につきまして、当初来年1月から接種開始予定とされておりましたが、特に受検期を迎えた中学3年生、高校3年生に対しましては12月下旬に前倒しされることが先週発表されました。できる限り多くの受検生が接種できますように、市町村教育委員会などとも連携いたしまして、そうした最新の接種情報について周知の徹底を図ってまいります。

 また、こうした感染防止の取組に加えまして、インフルエンザなどにより体調が思わしくない生徒の受検の希望にこたえるために、現在全校に別室での受検場所を十分確保するよう指示しているところでございます。また、試験当日、円滑に入学者選抜が実施できますように、その際の留意点、例えば検査中に体調が悪くなった受検生への対応、あるいは面接等の検査における感染予防対策などにつきまして問いと答えの形式でまとめた冊子を作成いたしまして、すべての県立高校に配付する予定でございます。

 今後も引き続き、新型インフルエンザの状況を注視しまして、来年の入学選抜に向けまして万全を期してまいります。

内田委員

 やはり、中学生にとっては高校受検というのは一生のうちで非常に大切なターニングポイントでありますし、そのときに体調が悪いとか、またインフルエンザにかかってしまったりすると、本当に悔やまれることですので、その辺を私も懸念しておりますが、別室で受検できるとか、今テレビの報道などでは、ワクチンの効率的な接種などが話題となっております。このことについて、県教育委員会としてはどのように考えているのでしょうか。

保健体育課長

 新型インフルエンザのワクチンの接種については、国が中心となりまして、接種の優先順位、スケジュール等を設定いたします。また、医療機関も国が決定します。その中で、都道府県はそれを受けて、国が示しました標準的な実施時期を踏まえまして、具体的な接種スケジュールの設定とワクチンの流通の確保、そして市町村が住民に対する接種時期や医療機関の周知を行っております。そして、国が契約いたしました医療機関が優先順位に従って希望者に接種をするという状況でございます。

 ワクチン接種につきましては、効率的な接種が今話題となっておりますけれども、そういった中、保健福祉部長から県医師会長へ効率的な接種と集団接種の要請がありました。それを受けまして、県医師会から教育長に対して集団接種の協力依頼がございました。教育委員会といたしましても、効率的な接種率の向上、それから速やかな接種という観点から、集団接種が有効な手段と考えておりますので、それを踏まえまして各市町村教育委員会に対して集団接種について、所管の医師会と協力、連携について検討するように要請を行ったところでございます。

内田委員

 この件についての要望を申し上げます。

 去年からこういうふうに大事になってきました新型インフルエンザですけれども、入学者選抜というのを、今回、教育委員会としてもしっかり対応されていくことを私も期待しておりますけれども、とにかく国の状況を注視しながら、県教育委員会としては対応に追われていくと思われますので、今後季節性のインフルエンザを含めた感染拡大など、状況の変化も考えられることから、その変化を的確に把握しながら、感染拡大の防止の取組を進めて、医師会との連携とありましたけれども、子供たちの健康と、学校の教育活動等への影響を最小限に抑えられるようにしていただくように私も要望させていただきたいと思います。

 次なんですけれども、もう一つまだ懸案事項がございまして、高校の授業料実質無償化についてなんです。9月の定例会の文教常任委員会で私も質問させていただきましたけれども、その時点では国からは制度の内容や実施方法について、民主党マニフェストの記載以上に具体的な内容は示されておりませんでした。これは、多分現在もほぼ同様な状況だとは思いますが、やはり大切なことなので、この点についてお伺いします。今定例会における我が会派の代表質問で土井議員が指摘したとおり、高校授業料実質無償化など、高校生の経済的支援の制度がまだ国から明示されていないことが、実際問題、高校生や保護者、それから高校進学をする中学生に進路選択や就学の面で非常に不満を募らせていることだと思います。ですから、本日も高校授業料実質無償化について何点かお伺いしたいと思います。

 まず、高校授業料実質無償化について、現在国から示されている最新の内容を確認させていただきたいと思います。

教育財務課長

 この点につきましては、これまでに文部科学省から授業料実質無償化の制度設計の方向性というような形で示されております。その概要でございますけれども、まず趣旨といたしましては、家庭の状況にかかわらずすべての意思ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるために、授業料の相当額を助成して、実質的に授業料を無償化するのだというようなことでございます。

 支給方法でございますけれども、間接受給方式というんでしょうか、これは高校生がいる世帯が学校に申請し、県立高校の場合は学校設置者、都道府県が保護者に代わって国からその授業料相当額を受けて授業料に充て込むと、そういうような間接受給方式ということだそうでございます。実施時期としては、来年4月を予定していると、そのように聞いております。

内田委員

 来年4月ということは、明けたらすぐということになりますから、やはり高校へ進学する生徒や親御さんにとっては非常に気になるところだと思うんです。これが決まらないとどこに進学していいか迷う方もいらっしゃると思いますけれども、土井議員の代表質問に対して、教育局長の御答弁は、一刻も早く高校授業料実質無償化などの経済的支援を明らかにするよう、全国都道府県教育委員会と連携を図りながら文部科学省に緊急要望したところであり、今後も国に強く働き掛けていくとの御答弁でしたけれども、実際問題、高校授業料実質無償化について、県としてはどのような緊急要望というものを行ったんでしょうか、具体的にお伺いいたします。

教育財務課長

 文部科学省への緊急要望でございますが、これは本県の教育長から御提案を申し上げまして、それで全国的に取りまとめていただいたものでございまして、高校授業料実質無償化などの諸施策に関しまして、全国都道府県教育長協議会から12月3日に文部科学省の政務官に要望させていただいたということを承知しております。当日は、その全国教育長協議会の会長、東京都の教育長でございますが、この会長と一緒に本県の教育長も文部科学省の政務官に直接要望をさせていただきました。高校授業料実質無償化の関係の要望でございますけれども、一つには来年度から実施予定ということですので、円滑に実施できるように、早期の制度設計及び周知を国の責任において行うことというのがまず1点でございます。それと、2点目といたしましては、全額国庫負担ということとともに、財源を確保するためにほかの教育予算を削ったり、あるいは地方へ転嫁する、こういうことはしないようにということ。三つ目といたしましては、保護者の手続ですとか、あるいは都道府県ないし学校設置者の事務手続の軽減を図るために簡素化を図るべきであると、そういうようなことについて緊急要望をさせていただいたところでございます。

内田委員

 やはり地方の負担とされると、我が神奈川県の財政はひっ迫しておりますから、本当に大変なことだと思います。知事も報道されているとおり頑張っていらっしゃると思いますけれども、この12月3日に文部科学省政務官に直接出されたということですけれども、文部科学省の反応というものはどのようなものだったんでしょうか。確認させていただきたいと思います。

教育財務課長

 当日の様子は、後でお聞きしたところ、政務官からは例えば早期の制度設計、周知については、できるだけ早く制度設計する方向で検討していきたいというようなコメントがあったというふうに聞いております。また、申請手続の簡素化についても、要望側の方でいろいろお話しさせていただきましたので、簡素化できるようなことについて考えていきたいというようなコメントを頂いているというふうに私としては承知しております。

内田委員

 やはり早くしてもらいたいと思いますが、実質無償化について、今後県教育委員会としてどのような対応をとっていこうとしているのか、こちらの件について最後にお聞きしたいと思います。

教育財務課長

 私ども県の担当課といたしましても、これは大変大きな問題でございますので、先週も、文部科学省の担当の課にいろいろ状況をお聞きしたところ、やはり担当課としても早期の制度設計が必要であるし、また、その上で都道府県等に説明をしていきたい。事務手続も簡素化の方へ向けて検討していきたいというようなお話はいただいているところですので、早期設計、簡素化についてはよろしくお願いしたいとお話ししたところです。今後も、国からの情報収集にまず努めなければいけないんですけれども、その上で今回緊急要望させていただきましたけれども、また、国の検討状況に応じて検討して、必要な要望はきちっとしていかなければいけませんので、強く働き掛けながら円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 高校授業料実質無償化について要望を申し上げます。

 やはり生徒や保護者にとって進路選択や就学上大きな関心事だと思われますし、県教育委員会にとってもかなりの懸念の比重を占めている問題だと思います。とにかく、ほかの地方も同じ状況だと私は思いますので、ほかの地方と連携をとりながら、国の方に強くものを言っていただきたい。それが一番だと思いますので、今後いろいろな動きがあると思いますけれども、神奈川県としてしっかり対応していただきたいと思います。

 次に、先ほど教育局長から御報告いただきました伊勢原射撃場のことなんですが、平成23年度から伊勢原射撃場に指定管理者制度が導入予定という説明がございましたけれども、伊勢原射撃場は国体やオリンピックの正式種目である射撃競技の練習及び試合会場であり、猟銃技術の維持向上のための練習施設としてばかりではなくて、多くの方が利用していた、全国でも有数の施設であるとお伺いしております。

 まず、伊勢原射撃場に指定管理者制度を導入することになった、その経緯というものをお伺いします。

スポーツ課長

指定管理者制度を導入する経緯あるいは理由ということでございますけれども、まず、公の施設の管理について民間事業者の方々のノウハウ等を活用いたしまして、県民の皆様へのサービス向上を図ること。それから、もちろん経費の節減を図ること。こういった一般的な理由がございます。それに加えまして、平成14年8月に設置をいたしました県立伊勢原射撃場あり方検討会議における検討の結果というものがございまして、これが教育局長あてに提出されました。それが理由の一つになっております。

 その中で、主に4点御指摘いただきました。

 1点目として、全弾回収型施設とするということ。それから、2点目としては、将来においては代替弾の使用を原則とすべきであるけれども、代替弾への切替えが進まず、あるいは国際競技ルールとか国内競技ルールの改正が進まないということで、当面、鉛弾の使用を認めると、これが2点目。それから、3点目としては、工事は県が行いまして、運営は民営ということで御報告を受けました。更に、4点目としては、維持費、運営費用についてはこれまで同様、全額利用者に負担していただくというような内容の御報告を受けました。

 この結果として、このたびの伊勢原射撃場への指定管理者制度の導入ということに当たりましては、この検討結果の一つでございます運営は民営とするというような報告内容に基づきまして、指定管理者制度を導入するということになりました。

内田委員

 再開に向けた一つの条件ということですけれども、では、実際、全国の公設射撃場での指定管理者制度の導入状況はどうなっているんでしょうか、お伺いします。

スポーツ課長

 射撃場は現在全国で36施設ございまして、そのうち営業している施設というのが30施設ございます。そのうちの26施設が指定管理者制度を導入しております。26施設を運営する指定管理者の内訳ということでございますが、ライフル射撃協会などの射撃関係団体が12施設、それから外郭団体あるいは県体育協会等が8施設、それからその他ということで6施設ということになっております。

 なお、指定管理者を導入していない施設の4施設ということがございましたが、これは直営が1施設、それから委託あるいは貸付けによる運営が3施設ということでございます。

内田委員

 次に、先ほど御説明がございました再開の条件の中に、全弾回収型施設への改修工事が挙げられておりましたけれども、改修工事等の状況というものは今どうなっているんでしょうか。

スポーツ課長

 工事の内容でございますけれども、まず鉛汚染の未然防止ということでございまして、これについてはクレー射撃で使用いたします散弾の飛散防止のための擁壁の設置、まずこれが一つ。それから散弾の回収を容易にするとともに、地下水への影響を防止する、そういったアスファルト舗装、またライフル射撃の銃弾の回収、これが、直線的に飛ぶわけですが、これについての銃弾回収装置の設置ということをまず行います。それから、騒音対策といたしましては、トラップ競技の射座の全体への囲いの設置、それからスキート射撃場に設置する飛散防止壁を防音壁として利用する。それから、大口径射撃場を上から覆うということで、被覆等を実施すると、こういう予定がございます。さらに、場内排水の水質監視や、その他、排水が万一環境基準を超過した場合に、基準値内まで水質改善を行う水処理プラントの設置を行いまして、環境汚染を未然に防止する対策を実施するような形の全弾回収型施設ということにする予定でございます。

 次に、今後の工事のスケジュールということでございますが、年明けごろから入札手続に入りまして、今年度中に契約を締結してまいる予定ということでございます。工期につきましては、おおむね1年、平成22年度末までの完成を見込んでおります。

内田委員

 今、射撃場が再開に向けて動いており、我が党の伊勢原の議員もよく話をしていまして、やはり地元の方では是非、早期再開を望んでいるという話を聞いております。逆に鉛のこととか、それから騒音のこと、あとは事故が起こらないこと、こういったこともすごく大切だとは思っております。

 まずは、再開のための工事に着手しなければ前に進めないので、予定どおり工事が実施できるように進めていただきたいんですけれども、指定管理者による管理の開始というものが平成23年4月以降となっておりますけれども、最後にこの理由について分かれば教えていただきたいと思います。

スポーツ課長

 指定管理者による管理の開始が平成23年4月以降というふうになる理由でございますけれども、射撃場の再開に当たりましては改めて銃砲刀剣類等の取締法に基づきまして、トラップあるいはスキート、大口径、それから第一ライフル射撃場の小口径あるいは空気銃、その他それぞれを公安委員会で指定射撃場として指定を受ける手続が、まず必要ということが1点ございます。それから、さらにクレー協会あるいはライフル協会から開催する大会の規模を決定いたします公認射撃場の認定というものがございます。こういったものを受けるための現地調査、そしてもう一つ、指定射撃場としての指定を受けて、実際に射撃を行った後でなければ可能ではないんですけれども、現地での研修あるいは射撃場を安全に運営していくためのノウハウの引継ぎなど、指定管理者が施設を安全に運営していく上での研修期間も必要だろうと考えております。したがいまして、これらの再開のための準備期間を勘案いたしますと、再開の時期及び指定管理者による管理の開始時期につきましては、いま少し検討が必要ということで、平成23年4月以降ということにさせていただいております。

内田委員

 この件で要望を申し上げます。

 指定管理者制度を導入して再開することは大変喜ばしいことでありますし、射撃競技の振興のみならず、猟銃技術の向上、有害鳥獣駆除への貢献などを考えると、やはり必要な施設になのではないかと考えられます。伊勢原付近の地域経済への貢献というものも期待できると見ております。

 しかしながら、安全にというのが一番キーワードだと思います。この間も、全然環境は違いますけれども、韓国の射撃場で火災事故がありましたよね。やはり何か事が起こってしまうと大事になってしまうので、そういった安全性というのを大事にとらえていただきながら、再開に対しては地元からの要望も結構ございますので、その要望をやはり丁寧に吸収していただいて、地元から愛される施設をまず目指して、安全な施設、これを目指していただきたい。

 もう一つ、最近の気になることなんですけれども、先ほどの報告の中で神奈川県部設置条例の改正の概要を御報告いただきまして、全庁的な本庁機関の見直しに合わせて、教育委員会においても組織を見直すということを御報告いただきましたけれども、ここで県教育委員会における見直しの考え方や、視点について何点かお伺いします。

 報告資料によりますと、教育委員会におきましては五つの部門が置かれると記載されておりますけれども、五つの部門を置いたコンセプトを詳しく説明いただきたいと思います。

行政課長

 新たに設置する五つの部のコンセプトでございますが、まず企画調整部門につきましては教育行政全体の業務執行、企画立案を総合的に推進するために、企画調整機能と予算編成機能を一元化いたしまして、また、経理とか人事などの局全体に共通する事務を包括的に所管し、局全体を一体的に運営するための部門でございます。

 それから、二つ目の教職員部門でございますけれども、学校教育を担う教職員の資質向上、あるいは人材確保、人事、定数など、そういったものをはじめといたしました教職員の政策を総合的に所管する部門でございます。

 それから、その次の教育指導部門と支援教育部門の二つの部門につきましては、教育委員会の事業の中核となります学校教育に係る指導や支援を行う部門でございまして、まず、教育指導部門は主に県立高校を中心にしました教育指導と、学力向上などの教育振興に係る事務事業を企画推進する部門でございます。

 次の支援教育部門でございますけれども、これは小・中学校をはじめとした義務教育諸学校と、それから特別支援学校、そういったものを中心に所管する部門でございますが、教育委員会の喫緊の課題でございますいじめ、不登校対策等への対応など学校の種別を超え、総合的に学校を支援する部門といたします。

 さらに、生涯学習でありますとか文化財保護、それから県民のスポーツ振興など学校教育以外の分野を一体的に所管する生涯学習部門と合わせまして、合計五つの部門というふうにいたしたわけでございます。

内田委員

 今回の見直しでは、知事部局や内部組織の名称を部から局に改めるというふうになっておりますけれども、教育局というのは今も既に局となっております。今回の見直しとの関係ではどうなるんでしょうか。一応念のためお伺いします。

行政課長

 教育委員会におきましては、平成16年までは教育委員会事務局の本庁機構といたしまして管理部と、それから教育部というような2部体制を設置しておりましたが、部の枠を超えて横断的な教育課題への対応体制を強化したいということで、平成17年度から部制を廃止しまして、名称を教育庁から教育局という形に改めたものでございます。

 名称を教育局とした理由でございますが、部制を廃止したという目的から、従来の部のイメージを払しょくしたいということが一つございました。それから、組織としての教育庁と、教育委員であり事務のトップである教育長の名称とが非常に混同しやすかったということもございまして、分かりやすい名称にしたかったということも一つの理由でございました。また、当時、特別職を長とした出納局でありますとか企業庁、それから病院事業庁が局の名称を使用すると、そういったこともございまして、これらとの整合性を図るというようなことで、教育局という名前にさせていただいたという経過がございます。

 今回の本庁機関の見直しによりまして、知事部局でも改めて教育局と同様に局という形の名称を使用することになりますけれども、この見直しによりまして教育局の位置付け自体変わるものではございません。

内田委員

 そうした本庁機関の見直しですけれども、内容的にはそんなに変わらないという、一つのコンセプトについてお話を伺いました。

 ところで、課というものを小分け化するということですけれども、教育委員会の本庁には現在何人ぐらいの職員が在籍していて、幾つの課で構成しようと考えているのか、その辺のところを具体的にお伺いします。

行政課長

 現在、教育委員会の本庁には教育局長以下約420名の職員が在籍しておりまして、10課3課内室という体制で構成しているところでございます。今回、これを業務の継続性、それから統一性などを考慮いたしまして、1課当たり20名程度という形に全庁的になるということで、そういった形で小分け化したいというふうに考えております。といいますと、現在のところ20課程度に再編成する予定でございます。

内田委員

 1課当たり20名程度の課を20課程度ということで、それでは、課を小分け化するということで、業務が縦割りになるような心配もあるんですけれども、課と課の間に業務の壁が生じることを懸念した場合、何か対応をとらないといけないと思うんですけれども、そういった対応策というのは今考えていらっしゃるんでしょうか。

行政課長

 御指摘のように課と課の間に業務のすき間が生じないように、類似する施策でありますとか、あるいは密接に関連する行政目的を持つ複数の課を束ねるライン職といたしまして、それぞれの部に部長を設置する予定でございます。この新たな部長を事務事業の最終的な責任者という形で位置付けさせていただきまして、所管いたします複数課の事務事業、事務執行等を柔軟に調整あるいは運用いたしまして、指揮監督を行うという役割を担わせるということを考えてございます。こうしたライン職の設置によりまして、課を小分け化した場合でありましても、組織の垣根が高くならないように保ちたいと考えております。そういった中で、引き続き効率的な事務執行が行えるように努めてまいりたいと思っております。

 また、部の枠を超えた横断的な教育課題もございます。こういったことにも対応できるように、企画調整部門を中心に各部門が有機的に、かつ機能的に連携しながら業務が遂行できるようにということで体制を整えてまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 今回の本庁組織の見直しによって、学校現場や市町村教育委員会などの業務というものに影響が至ることはないんでしょうか。確認のためお伺いいたします。

行政課長

 今回の県庁全体の本庁機構の見直しというのは、組織執行体制の見直しでございます。それを進めることによりまして、意思決定を迅速化したり、あるいは県民へのクイックレスポンスといったような県民サービスの向上を図るというものを目指すものでございます。また、多様化、高度化する県民ニーズ等に対しても的確に対応していくために、県庁の組織人材を最大限に活性化させて、仕事の進め方を抜本的に改革し、県庁改革を実行していこうというものでございまして、教育委員会といたしましても、知事部局の取組に合わせまして同様の取組を行うものでございます。

 したがいまして、県民の皆様やあるいは学校現場や市町村教育委員会に対しまして、本庁機関の見直しの考え方でありますとか新しい部、新しい課の名称、あるいは新たに業務を所管する部や課がどこなのか、そういったことを含めて混乱が生じないような形で分かりやすく伝えていく必要があるということを考えております。このため、県庁全体で県のたより、ホームページなどを通じて広報に努めるということもございますし、また、特に年度当初の移行時期、そういったものに対して混乱が生じないために、関係機関とも連絡調整、あるいは事前の周知、説明を徹底してまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 本庁機関の見直しについて要望を申し上げます。

 今回の見直し案は、全庁を挙げての見直しということで、今、ちょうど県も岐路に立たされているところだと思います。教育委員会としても、新組織への円滑な移行に向けて、県民への説明を十分に行っていただきまして、併せて学校や市町村、それから関係団体にも丁寧に御説明していただき、今回の見直しが目指す県民サービスの向上ということを第一に置いて進めていただきたいと要望します。

 次は、ごく最近ですけれども、沖縄県の中学2年生男子生徒が同級生8人から暴行を受けお亡くなりになってしまったという事件、これが非常に大きく報道されました。新聞報道によれば、加害者、被害者の生徒ともはじめは仲が良かったようなんですけれども、真相は分かりませんが、その後いじめのような一方的な関係になってしまい、それがかなりエスカレートして、最終的には、皆さん御存じでしょうけれども、非常に痛ましい事件だったと私は思います。その後、全国的にいろいろ調査があったのか、中学生のいじめと暴力行為の問題がかなり新聞紙上をにぎわせて、私の方もこんなに暴力行為があるのかと再認識させていただきました。

 そこで質問させていただきます。

 先日、いじめ・暴力行為等の調査結果というものが公表されましたけれども、新聞報道などによりますと、いじめの件数については平成18年度にいじめを原因とした自殺が各地で発生しまして、社会問題となったことを受けて定義が変更されたということで、全国的に大幅に数として増加し、その後減少しているようですけれども、本県における状況を詳しくお伺いしたいと思います。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 まず、いじめの定義変更でございますけれども、文部科学省では平成18年度に従前の定義でございました、「自分より弱い者へ」、「継続的」、「深刻な」という言葉を定義から削除するとともに、児童・生徒がいじめと感じればいじめとしてカウントするなど、よりいじめられた児童・生徒の側に立って把握するようになっております。

 このような定義の変更があった中で、本県の公立小・中・高等学校・特別支援学校におけるいじめの件数の推移でございますけれども、平成17年度は総計で2,019件であったものが、平成18年度は定義の変更から5,580件と急増いたしました。その後、平成19年度は4,221件と減少、20年度も3,909件と2年連続で減少しているという状況にございます。

内田委員

 いじめがエスカレートして重大な事件に発展する前の段階で、早期に対応することが非常に大切であると考えますけれども、学校における取組の効果についてお伺いいたします。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 平成18年度に、全国でいじめを苦にして自殺するという痛ましい事件が相次いで発生したと、社会問題となったということで、いじめの早期発見に向けた取組の必要性が叫ばれまして、文部科学省からいじめ問題の総点検を行うようにということで通知が出されております。その後、本県では平成18年度以降も継続して独自にいじめ問題に関する点検を実施しておりまして、その点検結果からお話をさせていただきますと、平成20年度に小・中学校でいじめがあったときは迅速に事実を把握し的確に対応しているかという早期発見、早期対応についての質問に対しまして、86%以上の学校で十分に取り組んでいるという回答がございました。また、思いやりや命を大切にし、いじめは人間として許されないという指導を行っているかという、児童・生徒への教育指導におきましても、88%以上の学校で十分に取り組んでいるという回答がございまして、いじめの発見に向けてこういうことから効果を上げているのではないかというふうに考えております。

 一方で、今回の文科省調査の中には、いじめ認知のためのアンケート調査を実施したかという項目がございます。この項目では、いじめを認知した学校と認知しなかった学校の間に22.9ポイントの差が出ておりまして、また、個別面談を実施したかという項目でも27.1ポイントの差が出るなど、いずれもいじめを認知した学校が高くなっているということがございます。このような取組に差がある状況については、今後とも改善をしていかなくてはいけないというふうに考えております。

内田委員

 このアンケート調査というものは、どこまで信用できて、どこまで信用してはいけないのかと、私ははっきり言って分からないんです。前にテレビを見ていたら、顔は映っていないですけれども、小学生の女の子が出ておりましてアンケートされても正直には書かないよと言っていました。結局、教育委員会としても、昔は学校の名前を汚してはいけないとかいうことがあって、それを言わないということもあったと思います。ですから、やはり認知件数とかそういうものは差があると思いますし、それを見込んだ上で我々もしっかり考えていかなくてはならないと思うんですけれども、それは件数が多い学校ほどよく見ているということにつながるんだと思いますが、その辺のところをどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 今、委員のお話がございましたように、調査自体の信ぴょう性という部分は様々な御意見があるかと思いますけれども、学校としては真しな態度で信頼感を得る中で子供たちにまた対応していくということが大切であるかというふうに考えています。

 また、件数の多い学校ほどよく見ているのではということでございますけれども、各学校では小さなトラブルに対してもきちんと事実関係を把握した上で対応していくことが大切であるというふうに考えておりまして、その意味では認知件数が多い学校ほど丁寧に対応しているという見方もできるのではというふうに考えております。

 このような中、いじめの認知件数の減少につきましては、先ほどもお話ししましたが、取組の成果という評価できる点がある一方、学校が、今、委員のお話もございましたが、見逃しているケースがないかということについては十分に注意していかなくてはいけないなというふうに考えております。

 教育委員会といたしましては、減ったとはいいましても、全県で4,000件近いいじめが認知されている状況がございます。この状況を深刻に受け止めまして、学校がいじめを早期に発見するために、例えば休み時間における子供の様子など、日ごろの観察、また今のアンケート調査など様々な取組を充実させていくよう周知をさせてまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 一生懸命やっている学校で、よく気付く先生がいる場合、やはりいじめも見付けるのが早いですね。ただ、平成18年度に定義が変更されたとおっしゃいましたけれども、亡くなってはじめて事件性が出て、明るみになるということもありますから、以前は暴力的だったと思いますけれども、今はもっといじめというものが陰湿化してきているのではないかということや、見えにくくなってきているのではないかということを私は思いますので、先ほどお話しした沖縄のケースもそうでしたが、実態というものはどのような状況にあるのかお伺いします。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 いじめが見えにくくなっているというようなお話でございますけれども、ケースといたしましては、小集団ですとかグループの中でのいじめの場合に、グループですので具体的には外からは遊んでいるように見えるんですけれども、実際には遊んでいるようなふうに見せかけるといいますか、カモフラージュをしながら遊びの延長として攻撃をしているなど、いじめが行われているという状況がございます。例えば小学校の事例では、成績優秀で運動能力の高い子がリーダーとなっていました女子数人のグループがございまして、これは当然いつも一緒に行動をしていたんですけれども、リーダーの児童がグループ内の1人を無視させるなどして仲間外れにするというような状況がございまして、その対象がよく入れ替わるということで、リーダー以外の児童はいつ自分が仲間外れにされるのかということを恐れながら、結果的にいじめに加担していたという事実がございました。また、中学校の事例では、いつも一緒に行動しているグループの中のある1人が、最初はからかわれたり悪口を言われたりということでございましたけれども、その後、徐々にエスカレートいたしまして、学用品を窓から投げ捨てられたり、授業中教員に気付かれないように頭をこづかれたり、足をけられたといったようなケースも報告をされております。

 なお、見えにくいいじめのケースとして、携帯電話などインターネット上でひぼう中傷するいわゆるネットいじめがございます。調査結果からは、パソコンや携帯電話などでひぼう中傷や嫌なことをされるという状況が、平成20年度の小・中学校を合わせまして、294件が報告をされておりまして、今後とも注視をしていかなければいけないというふうに考えております。

内田委員

 分かりました。我が県で、中学校におけるいじめの中でも暴力とか、それから恐喝、金品を奪う、この間も民主党の議員から質問がありましたけれども、恐喝を伴う非常に悪質なものというのはどのくらいあるのかということと、また、いじめに起因する不登校とか、自殺の件数、これを確認させていただきたいと思います。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 今回のいじめに関する調査結果によりますと、今お話がございました中学校におきまして、ひどくぶつかられたり、たたかれたり、けられたりするという、悪質ないじめの項目では211件、これは中学校全体の中で約8.7%ありました。また、金品をたかられるという項目につきましては80件、中学校全体で3.3%発生をしておりまして、残念ながらこのような暴力や恐喝まがいの悪質ないじめが発生しているという状況がございます。

 次に、いじめをきっかけといたしました不登校でございますけれども、小学校で66人、中学校で449人、高等学校では10人ということになっております。小・中・高等学校合計では525人、割合といたしましては4.2%となっておりまして、県内で500人を超える児童・生徒がいじめをきっかけとして不登校になっているという状況は看過できないものというふうに考えております。

 さらに、自殺でございますけれども、過去10年で申し上げますと、本県の公立学校におきまして、いじめに起因する自殺というのは発生をしておりません。

内田委員

 最後の、いじめが理由での自殺は10年間発生していないということは、ちょっと理解不能なんです。やっぱり自殺というのはいろいろな要因が絡んでいると思いますので、多分実数が出てこないんだと、私はそういうふうに理解いたします。

 525人の生徒さんがいじめによって不登校になっているというこの現状は、この子たちの将来一人一人を考えると本当に暗い影を落としているのではないかとすごく心配になるんです。立ち直っていただければ本当にいいんですけれども、立ち直って心の傷が治るまでには相当時間がかかると思われますので、本当に心配しております。悪質な暴力が211件、金品が80件ということで、この80件に関しては本当にリーダー的な存在で金品を恐喝したような生徒に対しては何らかの対処をしてほしいと私は怒りを感じるぐらいなんですけれども、今のお話をお伺いしますと、中学生の問題行動が特に多いですよね。中学生が一番多いんだと思いますけれども、場合によっては警察等による、そういったしかるべき措置が必要だと私は考えますけれども、本県の中学生で暴力行為を働いて警察等の措置を受けたケースというのはどのようなものがあって、具体的にもし何か分かることがあれば教えてください。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 暴力行為を行った中学生に対する警察等関係機関による措置でございますけれども、少年の年齢ですとか事案の内容によりまして警察の補導から児童相談所への通告、また家庭裁判所への送致、保護観察、少年院への送致など様々ございます。

 今回の暴力行為に関する調査におけます加害児童・生徒に対する関係機関の措置状況ですが、平成20年度に暴力行為の加害生徒となった本県の公立中学生5,830人のうち492名、率としては8.4%が警察や家庭裁判所、児童相談所などの関係機関の措置を受けています。内訳といたしましては、警察の補導が212名、家庭裁判所の保護的措置が138名、保護観察が81名、少年院等への入所が20名、児童自立支援施設への入所が5名、児童相談所への送致が36名という状況にございます。

内田委員

 いじめや暴力行為が原因で尊い命が失われるというような重大な事件に発展する前に、学校の方では少年非行防止や健全育成の中核となる警察と是非協力して、様々な手をこれから打っていかなくてはいけないと思います。その辺、警察との協力というのはどのように考えていくんでしょうか。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 警察との連携でございますけれども、警察と県市町村の教育委員会では子供たちの健全育成という同じ思いを持ちまして、これまで各警察署単位に設置されている学校警察連絡協議会ですとか県内の市町村のすべての市町村教育委員会がメンバーとなっている警察・教育委員会等連絡会議をはじめ、様々なところで連携に努めてきているところでございます。

 しかしながら、最近の子供たちの問題行動の背景といたしまして、地域や家庭の教育力の低下、規範意識の低下などが指摘されている中で、学校や教員の努力だけでは対応しきれない事案について、非行や犯罪被害の防止という観点から専門的な知識、経験を有します警察との連携は大変重要であるというふうに考えております。このようなことから、県教育委員会では平成18年8月に学校と警察との情報連携にかかわる協定を締結いたしまして、各県立学校において暴力行為などの問題行動を繰り返し、学校や家庭の指導に従わないなど深刻なケースに関しましては、警察と連携した立ち直り支援を行うよう指導をしているところでございます。

 なお、この連携制度でございますが、市町村教育委員会と警察との連携の取組状況、現在までに横浜市、横須賀市、三浦市の3市が連携しているところでございまして、全県的な連携に向けて、今後も市町村を支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 さらに、生徒の規範意識醸成のための新たな取組といたしまして、かながわ部活ドリーム講習会の一環として実施したものなんですけれども、県警の剣道師範に県立高校剣道部の指導をお願いする取組なども始めております。そこでは、けい古と礼儀作法に関する講話をしていただきまして、生徒や保護者からも大変好評を博しております。このようなことから、今後も様々な部分で警察と教育委員会との連携を充実させてまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 この件で要望を申し上げます。

 今、剣道で礼儀作法などを教える、そういった角度からの教育というのももちろん必要だと思いますが、やはり悪質ないじめ、特に金品をたかるとか昔よく使い走りとかというのがありましたけれども、万引きをしてこいと指示を出す生徒もいたりとか、そういった犯罪まがい、はっきり言って犯罪ですね。そういったものとか、それから集団で1人をいじめるとか、それも暴力が入ったもの、こういったものに関しては本当に私は警察としっかり連携をとって対処していただきたいと思います。そうしないと、いじめた方の側も、将来どういったふうに育っていくのか本当に心配ですし、もちろんいじめられた方の側はもっと心配ですね。かなり精神的にダメージが大きいと思うんです。大人だったら逃げ場所はありますけれども、中学生、それから小学生の高学年ですか、いじめや暴力行為が多いのは、逃げ場がないんですよね。ですから、こういったことで、教師の方々も日常大変だとは思いますけれども、こういった観点からも生徒さん一人一人をしっかり見てあげる。ちょっとおかしいなと気付くところ、ここの気付きなんですよね。やっぱり一人一人感性が違いますから、気付かない先生もいらっしゃるかもしれませんけれども、とにかく教師もしっかりその辺も見る目をとにかく養っていただく。教育委員会としても、そういったことを指導というかアドバイスしていく、こういったことがこれから特に大事なことだと思います。

 私としましては、警察との連携が今3市しかまだないということでしたけれども、是非全市町村で連携がとれるように努力していただきたいと要望いたします。

 

(休憩 午前1150分  再開 午後1時4分)

 

内田委員

 先ほどいじめと暴力行為についての質問をさせていただきましたけれども、いじめが見えにくくなっているという話の中で、新たないじめの形態としてはネットいじめの話がございました。子供たちの間で携帯電話やインターネットが普及するにつれて、このような問題も昨今出てきたのだろうと思いますが、ネットいじめや学校裏サイトに関する子供のインターネット利用にかかわる問題について何点かお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

 ネットいじめは具体的にどのように行われているのか、また被害に遭った子供たちは、どのように対応していったらいいのか、こういったところをお伺いしたいと思います。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 ネットいじめについてでございますけれども、ネットいじめは電子掲示板に本名を名乗らず特定の子供の悪口やひぼう中傷を書き込んだり、嫌がらせのメールを送ったりするなどの方法によりましていじめを行うものでございます。書き込んだ内容の多くが人の目にさらされるため、集団的ないじめに発展しやすく、また、子供のネット利用はほとんどが携帯を使って行われるため、親や教師の目が届きにくいという問題がございます。

 このようなネットいじめに対する対応でございますけれども、いたずらや嫌がらせなどの一方的に送りつけられます迷惑メールへの対処、具体的には受信をしたくない特定のメールアドレスを指定し、受信を拒否する方法ですとか、チェーンメールの捨て場所などにつきましては、各携帯電話会社が提供しておりますサービスの徹底やチェーンメールの転送先を紹介しております。さらに、ひぼう中傷の書込みを発見した場合は、書込みのあるページを保存して、速やかにサイト管理者やプロバイダーへの書込みの削除要請を行うよう促したり、相談機関を紹介しています。それでも書込みが止まらなかったり、内容がエスカレートするようであれば、最寄りの警察とも相談をしながら対応するようにということで対応しております。

 また、ネットいじめの被害生徒に対しましては、教育相談コーディネーターを中心とした各校における教育相談体制の中できめ細かなケアを行うとともに、ケースによっては心理カウンセラーや外部の機関につなぐなど、被害生徒の立場に立った、寄り添った支援を行っているという状況でございます。

内田委員

 昨年、本会議でインターネットにかかわる犯罪とかいろいろなことについて質問させていただいたわけなんですけれども、これは子供社会だけではなくて大人の社会にも通じることだと思うんですけれども、なかなか防止法というのがないんですね。せいぜい電話会社のフィルタリング、そういったことが主だとは思うんですけれども、お子さんたちはやはり、我々大人よりもメールのやりとりというものをすごく頻繁に行っていると思いますし、メール自体が電話に比べるとちょっと誤解を生みやすいといった面があり、気持ちを伝えようと思っても間違えたように伝わってしまうなど、適切な使い方をしないと本当にいじめにつながってしまうことが危ぐされますが、メールの適切な使い方とかそういった教育的指導は学校の中でも行っているんでしょうか、お伺いいたします。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 携帯電話の正しい使い方についての指導でございますけれども、学校では総合的な学習の時間や中学校の教科である、技術・家庭、高等学校の教科である情報などで電子メールの適切な使い方などの情報モラル教育を行っております。

 また、県教育委員会では県内の小・中・高等学校、特別支援学校で、企業協力による携帯電話教室を平成19年度から実施しておりまして、平成21年度は400校を超える学校で正しい使い方といじめ予防をテーマに教室を実施しております。さらに、昨年11月には携帯電話の安全・安心な利用と迷惑行為等に対する対応機関一覧表等を掲載いたしました携帯電話サイト、かながわモードを開設いたしまして、小学校から保護者、教職員まで幅広く学習ができるよう情報提供しているところでございます。

内田委員

 パソコンにしろ携帯電話にしろ、現代の技術の産物でありまして、非常に有益な面もありますけれども、一方で犯罪に巻き込まれるような危険というものもつきまといます。例えば、出会い系サイトなどは、女子高生が知らないで入ってしまったりとか、それからいろいろな危険なサイトがありますよね。そういったものにアクセスしないような取組を具体的にはどのように行っているのかお伺いします。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 平成21年4月でございますが、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律、いわゆる青少年インターネット環境整備法が施行されておりまして、18歳未満の青少年が携帯電話を使用する場合にはフィルタリングサービスが原則として提供されるようになっております。また、携帯電話会社では、この法施行以前から有害情報サイトなどへのアクセスを制限するフィルタリングサービスを実施しております。このような状況を踏まえまして、県教育委員会では今年の4月にフィルタリングサービスの設定促進を図るということで啓発チラシを作成いたしまして、公立だけではなく、国立、私立も合わせた県内すべての小学校4年生以上、高校生までの児童・生徒にチラシを配付し、周知に努めているところでございます。

 このような取組の中で、フィルタリングサービスの利用者数でございますけれども、()電気通信事業者協会のまとめによりますと、これは全国のデータということになりますが、平成21年9月末時点で、全国で約608万件のフィルタリングサービスが実施をされております。また、私どもでやっている携帯電話教室では、DVD教材を活用して、犯罪に巻き込まれないよう具体的なケースについて学習する機会を設けているところでございます。

 ただ、フィルタリングサービスの利用は危険から身を守るために万全なものではないということでございまして、インターネット上には様々な危険があることを今後も周知をしていく必要があるというふうに考えております。そして、インターネットの安全な利用のためには学校と家庭が協働して、児童・生徒を見守っていく環境づくりが大切でありますので、PTAの研修会等に私どもの指導主事が出向きまして情報提供を行うなど、保護者への啓発活動にも努めているという状況でございます。

内田委員

 携帯サイトとか学校裏サイトを見てみますと、個人で、はまってしまうという危険性が非常に大きいと思うんですね。ですから、やはり今おっしゃっていただいたように親御さん、それから学校、両方でその危険を知らせていく方法というものがとても大切だと思います。

 もう一方で、学校裏サイトが問題だと聞いております。学校裏サイトはだれがつくり、どのように運営されているのか、子供たちがつくって運営しているのだと思いますけれども、その状況を具体的に教えてください。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 学校裏サイトでございますが、裏サイトは小学校、中学校、高等学校に通う児童・生徒たちが学校の公式のサイト、ホームページとは別に、同じ学校に通う生徒間の交流ですとか情報交換を目的につくる非公式なサイトということで、通称裏サイトというふうに呼ばれております。このようなサイトは、携帯電話向けの掲示板サービスがございまして、そのようなものを利用して簡単な質問に答えるような形で幾つかの項目を入力いたしますと、わずかな時間ですぐに作成することができます。そういうことで、部活動ですとかクラス単位あるいは数人のグループ内で利用している者が数多くあるものと承知をしております。その中には、学校名を例えば当て字にして検索をできないようにしたりですとかパスワードをかけて関係者しか閲覧できないようにしたりするものも多くなっておりまして、大人の監督が行き届きにくいといった特徴を持っております。

 このような状況の中、文部科学省が平成20年1月から3月に実施した青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査の報告書によりますと、全国で合計3万8,260件の学校裏サイトが確認をされております。そこでは、学校行事や定期テストの情報交換など中高生らしいやりとりというのがありますけれども、中には3年A組の誰々はキモイなど実名を挙げてひぼう中傷が行われるなど、文部科学省の調査では抽出調査をした半数のサイトにひぼう中傷の言葉が含まれていることが明らかとなっております。そして、ひどいものになりますと、誰々さんは、例えば性的な逸脱行為をしているといったひぼう中傷が書き込まれまして、その掲示板を見ている人が、そんなやつ最低とかいったことで同調いたしますと、同じような書込みがどんどん増えていくというふうなことがございます。そのような状況が爆発的に増加した状態は、俗にサイトが炎上したというような言葉で言われております。また、ネット上の発言というのは匿名性が高いということで、書込みがどんどんエスカレートしていくという傾向がございます。

 このように、子供にとっては便利なサイトである一方、様々な危険性もあるということで、日ごろから児童・生徒の動向を注視するとともに、携帯電話教室をはじめとして様々な機会を通じて情報モラル教育の一層の推進を図るということが重要であるというふうに考えております。

内田委員

 今、匿名性が高く危険性もかなりあるということで、3万8,260件のうち半数にひぼう中傷が含まれているということで、ちょっと驚いてしまったわけなんですけれども、学校裏サイトは把握が難しいということですが、現実の問題としてこのようなサイトが問題になっている以上、適切に対応していく必要があると考えますけれども、このことについて県教育委員会としてどのように考えているんでしょうか。

子ども教育支援課児童生徒指導室長

 委員お話しのとおり、非公式サイトの把握、これは大変重要であるというふうに考えております。こうしたことから、教育委員会では平成22年度から2年間、専門的な知識や技術を有する大学と連携いたしまして、学校非公式サイト対策事業というものを実施していこうとしております。具体的には、文教大学をパートナーといたしまして県内50校程度の小・中・高等学校を協力校に選定し、それらの学校の非公式サイトを収集分析いたしますとともに、問題対応策の検討、実施と知識共有のためのサーバーの構築並びに情報教育のための教材作成を行っていく予定でございます。さらに、大学から提供されました学校非公式サイトに関する情報については、協力校以外の学校でも活用できるようウェブ上に蓄積をし、広く知識共有を図っていきたいというふうに考えております。

内田委員

 この学校裏サイトとインターネットの問題について要望申し上げます。

 ここ10年か5年か分かりませんけれども、大人の中でもこの問題は結構大きくて、しかし対処法は割と難しいということで、教育現場においては教員、教師の方々と、それから保護者の方々の生徒への教えが一番大切になってくると思いますし、また出会い系サイトなどにひっかからないように、特に高校生の生徒には言っていかないと、本当に身近に手に入れてしまう情報というのが多いと思うんですね。知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれたりとか、そういうことではなくても大変な目に遭ったりすることもありますので、まだ過渡期だと思いますから、携帯電話会社との連携というか情報交換とか、また保護者への啓発、情報モラルの教育の徹底が重要になってくると思います。教育委員会としてもこういった現代特有の、ちょっと分かりにくいいじめですけれども、それについてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 先日の本会議で、高校入試における新型インフルエンザ対策に関する質問がございまして、今日私も質問させていただきましたけれども、県立高校の入試に関しましては、県民の方、特にちょうど中3の生徒さんを抱えている保護者の方には非常に関心が高く、一生懸命であると思います。

 そこで、いよいよ来月から県立高校の選抜が始まりますけれども、現在の選抜制度というものについて何点かお伺いしていきたいと思います。

 まず、現在の選抜制度の概要を詳しく教えていただきたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 本県の選抜制度の概要でございますが、大きく申し上げますと、一般募集と特別募集に分かれてございます。一般募集につきましては、学力検査を実施しない前期選抜と、原則として学力検査を実施いたします後期選抜、この二つの選抜機会を設けまして、平成16年度から6回実施してございます。

 まず、前期選抜でございますが、志願資格を満たしていれば希望するだれもが志願可能な選抜で、一部の学校を除きまして各校が募集定員の20%から50%を募集いたしまして、全日制、定時制、通信制の全課程が1月下旬に同一日程で選抜を実施してございます。また、前期選抜はすべての学校で面接を行っておりまして、その面接結果や調査書に記載されている中学校の学習や部活動などの記録、さらには、学校によりましてはスピーチやグループ活動などの自己表現活動を実施いたしまして、その結果を資料として、事前に公表しております選考基準、これは各校がどのような資料をどのように使って合格者を決めるかを示したものでございますが、これに基づきまして総合的な選考を行っております。

 次に、後期選抜でございますが、前期選抜の合格者は志願できないこととしてございます。まず、全日制の学年制普通科、いわゆる一般の普通科では学力検査の結果や中学校の成績など、数値を中心とした選考を行っております。また、総合学科や専門学科など、その他の学校では学力検査とともに、学校によりましては前期選抜と同様に面接や自己表現活動などを実施いたしまして、そうした検査結果を用いた総合的な選考を行ってございます。こうした一般募集のほか、海外帰国生徒、また来日後の期間が余り長くない外国籍生徒などのための特別募集を全日制の後期選抜と同一日程で実施してございます。

内田委員

 私も最初に資料を頂きまして、高校の入学選抜制度を見させていただいたんですが、ぱっと見、分かりにくかったですね。理解するまでに多分1時間ぐらいはかかるような感じの印象を受けたんですけれども、これは多様化されているということで、仕方がないということも考えられますが、中学校や高校、あるいは保護者や生徒さんは、現在の制度は6年間続いてきていますけれども、制度をどのように見ていて、評価しているのか、それを県教育委員会で把握していたら伺いたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 現在の選抜制度となりましてから、毎年市町村教育委員会が抽出いたしました公立中学校、また県立高校の校長、さらには県立高校に入学いたしました生徒、またその保護者の方々を対象に選抜制度についてのアンケート調査を実施してございます。このアンケート調査の結果によりますと、総合的な選考を行う前期選抜や学区の撤廃などにつきましては、ほぼ7割以上の方々から肯定的な回答を頂いておりまして、生徒については一定の評価を頂いていると受け止めております。しかし、一方で1月中旬の選抜期間から定時制、通信制の後期選抜が行われます3月末までの選抜期間が長いとか、2月上旬に前期選抜の合格者が発表されるが、まだ受検する生徒も多数いることから、その後の学級運営が難しい、あるいは各学校の選考基準を読んでもその高校が自分に合うか分からないといった意見などを頂いてございます。

内田委員

 それでは、県教育委員会としては現在の選抜制度をどのように評価して取り組んでいるんでしょうか。

高校教育課高校教育企画室長

 公立高校の入学者選抜につきましては、学力検査の結果や調査書の評定といった数値以外にも中学校時代の部活動の成果など生徒が努力した点なども評価いたしまして、できる限り生徒一人一人を多面的にとらえて選抜する制度が望ましいと考えてございます。現在の選抜制度はこうした視点に立って改善されたもので、お答えいたしましたとおり生徒や保護者の皆様、学校関係者の方々などからおおむね肯定的に受け止められておりまして、一定の評価は頂いていると考えております。しかし、一方、選抜試験が長いとか選抜基準が分かりにくいといった御意見もございますし、また、現在の制度は実施されてからもう6年経過しているという点も含めまして、改めて現在の制度につきまして検証をしっかり行う必要があると考えているところでございます。

内田委員

 長いとか、説明も選抜基準が分かりにくいとか、親御さんがぱっと見て分からないからいろいろ先生にお聞きするんだとは思いますけれども、6年たって非常に課題が出てきていると思いますが、その課題を少しずつ見直しているのか、それともこれから見直していくのか、その見直し状況についてお伺いします。

高校教育課高校教育企画室長

 来年度、平成22年度の入学者選抜に向けての改善点は、大きく2点ございます。

 まず、1点目でございますが、選抜期間を短縮するため、これまで別々の日程で行っておりました定時制、通信制の後期選抜を、来年の選抜では同一日程で実施することといたしまして、今年と比較しますと約10日ほど短縮してございます。

 なお、受検生は志願状況を見て定時制と通信制の間の志願変更が可能でございますし、欠員の状況を踏まえまして定時制と通信制の二次募集をそれぞれ実施いたしまして、受検生をしっかり受け入れてまいりたいと考えています。

 また、2点目は選考基準の見直しでございます。県立高校への入学者選抜は各学校が選考に当たって重視する内容を選考基準として事前に公表してございますが、この選考基準に従い、この選考基準につきまして各校が様々な工夫をするがゆえに複雑で分かりづらい一面がございました。そこで、受検生にとって分かりやすくということを目的に、各高校の特色を踏まえまして、選考に当たって重視する内容を明確にするとともに、選考基準の体裁をより見やすく、受検生でも分かるように全校で統一した書式になるよう指導し、改善したところでございます。

内田委員

 今、御答弁いただきましたように、既に6回の選抜が実施されて、定着してきていると思います。一方、導入されてから6年ということは、6年前か7年前とは非常に社会状況も変わってきておりますし、ここ1、2年で経済状況も大分変わってきておりますし、見直すべき点というのはいろいろ出てきている段階だと思います。選抜制度の大きな見直しは、特に受検生を抱えた保護者の方、それから生徒さん本人に非常に大きな影響を与えることから、丁寧に慎重に行うべきだと考えますけれども、今後一層の制度の改善に向けてどのように取り組んでいくのか、最後にお伺いいたします。

高校教育課高校教育企画室長

 現在の制度でございますが、生徒一人一人の個性や能力を多面的にとらえ、また生徒の選択幅を広げるといったことを視点に改善した制度でございますが、一方で生徒を多面的に評価することはいいが、そのための総合的な選考の方が分かりづらい、あるいは前期と後期の2回の選抜の機会を設けることで、生徒の選択幅は広がったが、選抜期間が長期化したといった御意見を頂いておりますように、現在の制度にも一長一短がございます。

 そこで、今後、中学校の学校生活の充実につながるような選抜制度を目指しまして、学校関係者の方々などにも意見を頂きながら、まずは現在の制度の成果、課題をしっかり検証いたしまして検討してまいりたいと考えております。

内田委員

 この件の要望を申し上げます。

 今、社会情勢が非常に変化しておりますので、保護者や高校生のニーズも1年1年変わってくると思います。一番初めは単なる学力検査みたいな選抜ということで、私どもの時代はそうだったんですけれども、やはりこのように多様化してくる時代の中で、一生懸命県としては考えた末に、一長一短はありますけれども、多面的な面を見るという選抜方法に変わってきているとは思います。選抜制度に対する生徒、保護者の、そして県民のニーズをしっかり把握していただいて、制度の改良は非常に難しいと思いますけれども、なるべく当事者の声を、問題点があればそこを大事に扱っていただいて、そこを解決しつつ、制度の改善に努めていただきたいと要望いたします。

 もう一つは、大学への進学率が今非常に高まってきている一方で、大学入試は近年、やはり大学の方も多様化しておりまして、また複雑化していると思います。

 そこで、現在の大学入試制度について、推薦入試を含めて仕組みがどのようになっているのか、また複雑化している大学入試制度について県立高校ではどのような対応をしているのか、何点かお伺いしたいと思います。

 大学入試制度について伺う前に、今年3月に県立高校を卒業した生徒さんが大学等に進学した割合、それから残念ながら進学できずに浪人となった割合について念のため確認させていただきたいと思います。

教育局政策企画担当課長

 県教育委員会では、県立高校と市立高校を合わせました県内の公立高校を今年3月に卒業した生徒の進路状況について調査して、今年の8月に発表いたしました。その調査結果によりますと、全日制課程の卒業者3万6,296人のうち、大学や短期大学に進学した人数は2万417人で、全体に占める割合は56.3%でした。また、大学や短期大学への進学準備中の者、いわゆる浪人生の人数でございますが、3,348人で全体に占める割合は9.2%でございます。

内田委員

 10年前、20年前にはもっと大学進学率は低かったと思うんです。今お聞きしましたら、56.3%、半数以上ということでちょっとびっくりしているんですけれども、今春の状況は分かりましたけれども、これまでの傾向と併せてその要因について何か分かることがあればお伺いいたします。

教育局政策企画担当課長

 これまでの傾向につきまして、卒業者数がピークであった平成2年度、すなわち平成3年3月卒業者との比較で御説明させていただきます。

 まず、総数でございますが、平成2年度の7万9,765人に対しまして、今年は先ほど御説明しましたように3万6,296人ということで、ピーク時の45.5%となっております。このうち、大学への進学者数は平成2年度の1万470人に対して、今年は1万7,810人と約1.7倍に増えております。総数に占める割合で申し上げますと、平成2年度は調査を始めた昭和48年以来最低の13.1%となり、その後ずっと上昇を続けまして、今春は最高の49.1%となっています。一方、短期大学への進学者数は、平成2年度の8,878人に対して今年は2,570人と、人数では7割以上の減となっておりますが、先ほど申し上げました、今年大学や短大に進学した割合である56.3%という数字は調査開始以来最高となりました。その要因といたしまして、高校卒業者数が減少に転じましても大学の数が引き続き増えていると、こういったことによりまして大学の門戸が広がっているという状況がより顕著に表れているものと考えております。

 次に、進学準備中の者の全体に占める割合でございますけれども、昭和61年度の27%をピークに減少傾向で、今年は9.2%となりましたが、これは大学の受け皿が広がったことが減少の大きな要因と考えられます。また、予備校に通う者の割合は4.1%でございましたが、この割合は自宅で進学準備をする者の割合である5.1%を下回りました。この下回るという逆転現象は今年初めて起きましたけれども、これは急激な経済状況の悪化による影響ではないかと考えております。

内田委員

 ここ1、2年で急激に経済状況が悪化しておりますから、やはり予備校に行きたくても行けずに自宅で一生懸命勉強されている生徒さんも多いのではないかと、ちょっと心配ではあります。

 近年、様々なタイプの大学入試というのが行われていると思いますけれども、今の大学入試の状況についてお伺いしたいと思います。

高校教育課長

 大学入試でございますけれども、2月を中心に実施されます筆記試験を伴う一般入試と、11月以降行われる推薦入試、大きくこの二つに分かれております。推薦入試でございますけれども、基本的には成績などの出願基準が設定されておりまして、出身高校の校長先生の推薦を受けないと出願できないということになっております。また、出願の基準をクリアした生徒が、出身高校長の推薦のもと出願できる公募制、一般推薦と呼ばれているものですが、大学側が指定した高校、過去に進学実績のある高校を指定しまして、その生徒を対象に行う指定校推薦、この二つに推薦入学も分かれております。

 私立大学の推薦入学では、一般入試と同様に多様な選抜が実施されております。代表的なものとしましては、自己の能力、意欲、特技などを自らアピールする自己推薦と、スポーツに秀でた受験生を獲得する目的で行われるスポーツ推薦、高校時代に取得した資格、技能を持つ受験生を優遇する有資格者推薦。また、生徒会や地域貢献活動等で活躍した人を対象とする課外活動推薦などがございまして、平成21年度では推薦入試は国公立大学、私立大学を合わせて704校、全体で9割以上、私立では99%の大学で実施をされています。

 また、推薦入試のほかに近年急速に拡大しておりますのがAO入試、アドミッションオフィス入試と呼ばれているものでございまして、このAO入試の選抜方法でございますけれども、大学によって様々ですけれども、一般的にはエントリーシートと呼ばれる提出書類を基に面接を繰り返し実施し、じっくりと時間をかけて受験生の意欲、適性を判断して選抜が行われるというものでございます。大学によってはテーマと課題を与えて、それについて小論文を課したりというようなこともございます。従来の入試方法と比べますと、高い学習意欲、学習への明確な目的意識が選抜基準として重んじられているということが大きく異なる点でございます。

 私立のAO入試は、一般的に9月以降、一部夏休みから始まるところもございますが、本格化しまして、推薦入試が始まる11月初旬までには合格者を決定すると、こういう日程が主でございます。これは平成20年度の実施状況でございますが、推薦入試で入学した割合は全体の約35%、私立大学では4割を超えております。また、AO入試は全体の約8%で、私立大学では約1割となっております。このように、推薦入試とAO入試を合わせますと、一般受験を受けることなく約5割の生徒がAO入試または推薦入試で入学していると、こういう現状でございます。

内田委員

 今お聞きしましたAO入試と推薦入試で約5割が決まっているということで、大分、以前とは違うなという感じを受けました。そうした大学入試制度が多様化する形の中で、現在県立高校ではどのような対応を図っているのか具体的にお伺いします。

高校教育課長

 現在の高校生の進路意識でございますけれども、自分の将来について余り深く考えないで、とにかく目の前の出口を意識して進学していると、こういう状況が見られます。国の調査によりますと、大学、短期大学、高等専門学校における中途退学者が年間で約5万人いるという調査が平成21年3月の文部科学省調査で出ております。

 そこで、県立高校では平成20年度から、高校入学から卒業までを見通した各校独自の指導計画、キャリア教育実践プログラムを作成して、将来、社会人、職業人として自立できるよう取り組んでいるところでございます。大学入試等の実情を踏まえまして、県立高校でのキャリア教育では、学校のすべての教育活動を通しまして自らの適性、能力、興味、関心等を理解するとともに、大学等の向こうにある社会、いわゆる大学後の社会、これを意識させまして、学ぶことと働くことをできる限り、あらゆる場面で結び付けまして、将来の自己の在り方、生き方を考えさせると、こういうことに取り組んでいるところでございます。

 また、入試制度や卒業後の正確な知識や理解の下、各学校では学校の実態や生徒の特性、進路希望等に応じまして、先ほど申し上げた推薦入試、AO入試で約5割と申し上げましたが、学校によってはもっと非常に多い、ほとんどそれで大学進学をするという学校もございますし、逆にそういうものが余りなくて、ほとんど一般入試という学校もございますので、その特性に応じまして大学等へ直接出向いて説明を受けたり、授業に参加したりする上級学校の見学や体験、あるいは大学の担当者を直接招いた大学説明会、大学の先生方による模擬授業、出前授業などの体験活動を通しまして、生徒が主体的に進路を考えると、こういう機会をできる限り設けまして目的意識を育成すると、こういうことに取り組んでいるところでございます。

内田委員

 学校によって、推薦でほとんど決まっているような学校、若しくは一般入試の学校、いろいろあるということが分かりましたけれども、早期に、例えば11月中旬に合格が決まってしまったりして、まだ決まっていない生徒がいるようなケースが出てくると思いますし、決まった後は卒業旅行ですとか、とにかく遊んでしまうというか、規律が保てないとか、その先の勉強を教えるのになかなか教えにくいような環境になってしまわないかと思いますけれども、その辺を踏まえまして今後県立高校でどのような指導、教育的指導の対処をする必要があるのかお伺いしたいと思います。

高校教育課長

 大学等の進学率の高まりとともに入試の多様化が進みまして、今御指摘がございましたように、推薦入試やAO入試に見られるように、早い段階から志望校を決定する必要がある。それで早く決まってしまう。いわゆる従来の出口指導だけでは対応することが非常に難しいという状況が今ございます。高校入学段階から、生徒の発達段階に応じまして学校が一体となって組織的、体系的に生徒一人一人に対するきめ細かな進路指導の充実が今まで以上に必要になってくるだろうと考えております。

 具体的には、生徒一人一人の状況、進路希望などの情報の共有化をまず教員がしっかり図ること。生徒が自主的に自らの進路を考えて選択できるよう進路相談につきまして、学年ごとにばらばらではなくて、学校として計画的、組織的に取り組むということが何より必要であるというふうに考えています。また、教職員が生徒の進路相談に的確に対応できるよう相談スキルの向上、こういうものも図ってまいりたいと考えております。また、さらに、推薦入試等で早期に合格が決まることから、合格から卒業までの期間どのような指導をするのかということも大きな課題でございます。大学入学後に必要とされる基礎学力が大学側からも今非常に求められております。そういうものをきちっと保証できるよう、合格決定後に生活指導も含めまして学習指導の充実など、指導体制の見直しや改善が必要でございまして、合格したからそれでいいということではなくて、その後の指導を学校として組織的にきちっと行って、生徒が進学後に基礎学力で苦しまないよう、また生活指導関係でも苦しまないような個々の指導をしっかりとしていくといったことが必要だと感じておりますので、こういう体制を今後学校と連携してきちっと進めてまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 この件の要望を申し上げます。

 今2点、特に重要なことをおっしゃられましたけれども、早期に合格が決まった場合、入学してから大学合格まで正味約2年半ですよね、その後、何も教えないということになってしまうことはもったいないので、卒業するまでの間に、基礎学力といってもこれは積み重ねですけれども、基礎学力の指導をしっかりしていただきたいと思います。特に私が思ったのは、漢字が書けない生徒さんが意外と多かったんですね。それは、インターネットが盛んですから、そっちの方で簡単に出てきてしまうから余計分からなくなってしまうというのもあるんですけれども、そういった基礎学力と生活指導、その辺がやはりキーになってくると思います。大学の入試制度が多様化、複雑化している状況の中で、今後も大学等への進学を希望する生徒に対して、夢が実現できるように県立高校での指導の充実を図っていただきたいと思います。

 それからこの間、橋委員が質問されていらっしゃいましたけれども、大学に行っても今度は就職率も非常に今下がってきていて、新卒でもなかなか厳しい、良い学校に行ったとしてもなかなか厳しいということが明らかになってきているので、子供たち自身が夢というのを持ちにくい状況です。生活していくという、食べていくということの大変さなどを高校生でも分かっていらっしゃるケースが本当に多いと思いますので、ともすれば夢を失ってしまった、自分の目的がはっきり見えないとか何をしていいか分からない、やってもしょうがないというあきらめを持ってしまっていることがあります。ですから、その辺の教育的指導は本当に難しいと思うんですね。ですけれども、できれば若い人たちには是非とも自分の力を信じていただいて、教師の皆さんもその辺をしっかり、将来自立して、それぞれの個性で自立して、また社会に貢献できるように考えていただきたいと思います。

 次に、9月定例会の文教常任委員会において、私どもの方では教員人材の確保対策、それから現状や課題、今後の取組について質問させていただきましたが、本日は、指導に当たる教員というのは子供たちの成長に大きな影響を与える存在であり、それだけに人格的にというか、優れた資質を備えていることはやはり重要だと私も考えております。

 そこで、今回視点を少し変えて、教員採用試験において優れた資質を有する人材の選考方法、それから採用後の育成方法などについてお伺いしたいと思います。

 まず、教員委員会では神奈川県の教員としてふさわしい人材とは、どういう人材というふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

教職員人材担当課長

 神奈川の教員としてふさわしい人材ということでございますけれども、県教育委員会では県民との議論を経まして、平成19年8月にかながわ教育ビジョンを策定しております。その重点的な取組である意欲と指導力のある教職員の確保、育成を推進するため、同年10月でございますけれども、県民参加を経まして神奈川県教職員人材確保・育成基本計画を策定しております。この基本計画の中で、私ども神奈川の目指すべき教職員像というのを示しておりまして、その要素でございますが、人格的資質・情熱、課題解決力及び授業力の三つを掲げております。その要素ごとに、四つないしは五つの教職員像を示しております。

 具体的に申し上げますと、人格的資質・情熱では、豊かな人間性と社会性、高い対人関係能力とコミュニケーション能力を持っている人や、子供への教育的愛情と責任感、教職に対する使命感と誇りを持っている人などを示しておりまして、これらの点につきましては教員の根幹的な部分として位置付けているところでございます。また、課題解決力では、子供をよく理解し、多様な教育的ニーズに対して適切な対処、指導ができる力や、教職員全体と協力し、学校全体を意識しながら組織的に取り組むことができる力などを示しております。さらに、授業力では、子供のやる気を引き出し、意欲を高めることのできる力や分かりやすい授業を実践できる力などを示しております。こうした教職員像は、三つの要素を通じまして13ございまして、これらを兼ね備えた人材を神奈川の目指すべき教職員像といたしまして、教職員人材の確保から育成までの施策の展開に努めているところでございます。

内田委員

 教員としてふさわしい人材を採用するということは大変なことだと思いますけれども、実際問題、神奈川県の教員採用試験ではどのような選考方法がとられているのか具体的にお伺いします。

教職員人材担当課長

 本県の教員採用試験では、基本的には教員としての専門的知識を見るための第1次試験と人物を見るための第2次試験、その2段階で選考を行っております。第1次試験では一般教養教職と教科専門の筆記試験を実施しているところでございます。また、第2次試験では第1次試験の合格者を対象にグループ討議を含めた模擬授業ですとか個人面接、論文を実施しております。これに加えまして、小学教員の選考区分ですとか中高の英語ですとか保健体育等々、一部の教科につきましては実技試験も課しているところでございます。

 なお、本県では、第1次試験では一定以上の専門的知識があるかどうかを見るための試験としておりまして、第1次試験の成績につきましては最終的な合否判定の際には使わず、あくまでも最終の合否につきましては人物中心の視点からの第2次試験の成績において行っているところでございます。

内田委員

 2次試験が人物重視ということをお伺いしましたけれども、実際問題、面接はどのような立場の方が行っているんでしょうか。

教職員人材担当課長

 第2次試験における面接員でございますけれども、1人の受験者に対しまして3人ないしは4人による面接員で実施しております。面接員のメンバーでございますが、教育局や教育事務所の職員のほか市町村教育委員会の職員、あるいは小・中・高等学校、特別支援学校の各校長先生方等にお願いをしております。これに加えまして、小学校の区分ではPTAの方々、それと養護教諭につきましては臨床心理士の方々にも参加をいただいております。こうした構成によりまして、人事担当のみならず学校管理職の視点ですとか保護者等の視点も交えて面接を実施しているところでございます。

内田委員

 それでは、面接のときに重視している面はどのようなことなのか、具体的にお伺いいたします。

教職員人材担当課長

 教員採用試験の第2次試験においてでございますけれども、先ほど申し上げました本県の目指すべき教職員像としての資質を備えた人材であるかどうかを見るようにしております。特に面接におきましては、各面接員による様々な質問を通しまして教職員体制の意欲ですとか積極性や使命感のほか、周囲との対人関係能力ですとかコミュニケーション能力、また課題に直面しての判断力、適応力に加え、学校組織の一員としての協調性や社会性、さらには学校管理職や保護者から見た教員としての信頼感など、どちらかというと人格的資質、情熱ですとか課題解決力を有した人材であるかどうかといった点を重視するような形で面接を実施しております。

 なお、第2次試験ではこうした面接とともに、主に授業力を見る模擬授業等と併せまして、トータルで目指すべき教職員像としての資質を備えた人材であるかどうかといった点を選考のポイントとしているところでございます。

内田委員

 全部そろっている人を見付けるのは大変だと思うんですけれども、次に採用後の人材育成についてお伺いしたいと思います。教員の人材育成に当たっては、様々な研修が実施されていると思いますけれども、本県の教員研修のねらいと枠組みについて簡単にお伺いしたいと思います。

教職員人材担当課長

 教員研修につきましても、先ほど申し上げました目指すべき教職員像における三つの要素を軸として実施しているところでございます。具体的な研修ということでは、採用後の経験年数に応じて実施しております基本研修というものがございまして、初任者をはじめ、その後2年、5年、10年、15年、25年といった経験に応じて対象者全員に実施しているものがございます。いずれの基本研修も、人格的資質、課題解決力及び授業力の向上を図る三つの柱立てで実施しているところでございます。こうした研修に加えまして、職務職責に応じて必ず受講する指定研修と教員が自己研さんのために本人の希望によりまして選択する希望研修等がございます。具体的には、信頼される学校づくりですとか、教科や特別支援教育についての内容につきまして深める専門研修ですとか、また支援教育や情報教育、国際教育など、今日的な課題に対応する研修等々を実施しているところでございます。

内田委員

 教科や指導方法などのスキルアップだけではなくて、最初に申し上げたように、教員としても、もちろん大事なものは基本的な資質の向上だと思いますけれども、そのための研修はどのように具体的に行ってきているのかをお伺いします。

教職員人材担当課長

 教員の基本的な資質の部分でございますけれども、主としましては先ほど申しました基本研修の中に人格的資質の向上という柱を位置付けておりまして、具体的には教員としての自覚や心構え、服務に関すること、人間関係づくりや組織づくりに関すること、あるいはコミュニケーション能力の向上に関することなどにつきまして、講義や協議等を交えまして実施しているところでございます。

 なお、15年経験者研修ですとか25年経験者研修におきましては、学校運営におけます中堅教員、あるいはベテラン教員といたしまして、若手教員を育成指導するための見識を高めるような内容の研修も実施しております。

 なお、教員の基本的な資質につきましては、こうした基本研修を契機といたしまして、勤務校における日々の子供たちへの指導、実践を通じての苦労ですとか喜び、あるいは達成感の経験や自己研さんを積み重ねていく中で培われていくものというふうに考えております。このため、現在のOJTを軸とする研修体系への移行など校内での研修体制の充実に取り組んでいるところでございます。

内田委員

 教員の資質向上ということでさっきもお聞きしていますけれども、今年度から教員免許更新制度が導入されましたが、新聞報道等でもちょっとまだそのことについて、どういうふうになっていくかということもまだちょっと分からないんですけれども、今現在の最新の状況というのをもし分かっていたらお伺いしたいと思います。

教職員人材担当課長

 教員免許更新制につきましては、1021日付けで文部科学省の方から現時点の方針といたしまして、教員免許更新制等の今後の在り方についてというものが公表されております。このたびの方針では、主に三つの内容がございまして、一つは教員の資質向上のための教員免許制度の抜本的な見直しに着手し、必要な調査検討を開始することとし、このため平成22年度予算の概算要求に所要の経費を計上している点が1点。二つ目は、この調査検討において、現在の教員免許更新制の在り方についても結論を得るとしていること。三つ目には、この調査検討の結論が得られ、これに基づく法律改正が行われるまでの間は現行制度が有効であるというふうにされております。

 しかしながら、新聞等では免許更新制廃止や専門免許状の導入など、文部科学省の方針を越えた内容の報道が続いておりまして、こうした中で免許状の更新の際に受講、修了が条件とされております教員免許更新講習についても開設をしないといった意向を示す大学が出てきていたりとか、あるいは現職の教員の中には受講、修了の必要がなくなったと誤解をするような方々も出てきているという状況がございます。教育委員会としましては、引き続き市町村教育委員会ですとか校長会、資格関係団体と連携をしながら、現職教員等への指導、啓発、大学への更新講習の開設の働き掛けを続けておりますが、文部科学省の方針を越えた内容の報道等が先行して続けて行われる中で、その対応にちょっと苦慮をしているところでございます。

内田委員

 報道の方が先になってしまっているので、いろいろ問題が出てくる可能性もあり、今、もう出てきているとは思いますけれども、あるということを正しく教えていただきました。

 それから、先日、行政刷新会議のワーキンググループによる事業仕分けで教員免許更新制に関する議論があったと思いますけれども、一応確認の意味で、今どのような結果となったか教えていただきたいと思います。

教職員人材担当課長

 平成22年度予算の概算要求におきまして、文部科学省は教員免許制につきましては二つの事業経費を計上しております。一つは、教員免許制度の抜本的な改革としまして教員免許制度の見直しのための調査検討を行うための予算として3億円、もう一つには、免許状更新講習開設事業費補助としまして、免許状の更新の際に受講、修了の義務がある更新講習につきまして、山間地、離島、へき地などでの開催ですとか、あるいは障害のある教員が受講する場合などに講習を開設する大学に対して補助するものとしまして4億円を計上しています。この二つの事業につきまして、去る1116日に行政刷新会議のワーキンググループによります事業仕分けが行われております。その評価結果でございますけれども、教員免許制度の抜本的な改革につきましては調査関係を大幅に見直し、予算の部分につきましては半減とする。もう一つの免許状更新講習開設事業費等補助につきましては、予算につきまして3分の1から2分の1の縮減を行った上で、年度途中でも更新制を取りやめ、補助事業も停止すべきであるというような評価結果となっております。

内田委員

 私もこの事業仕分けをちょっと見せていただいて、テレビで見せていただいていたんですけれども、大分減るなという感触は受けました。これからやっていくのも結構大変だと思いますけれども、教育委員会としてはこのような国の動きを受けて、教員免許更新制度についてどのような対応をしているのか。

教職員人材担当課長

 教育委員会としましては、現在免許更新制に関しましては二つの取組を実施しております。

 一つは国への要望でございまして、文部科学省は1021日、先ほど申しました方針を明らかにしておりますが、しかしながら、現在新しい免許制度への移行を前提としながら現行制度を継続していくということになりますと、更新講習の受講者である教員ですとか免許管理者である都道府県教育委員会、あるいは講習の開設者である大学等に大きな混乱を招くとともに、一連の新聞報道から誤解による免許状失効者が発生するというようなことも懸念されます。こうした中で、県教育委員会では、これまでもより具体的な方向性を示していただきたいということで、実務レベルでの要望も行ってまいりましたが、去る12月3日、全国都道府県教育委員会連合会と連携をいたしまして、新制度への移行を前提とした教員免許制度の抜本的な見直しに当たっては、その検討期間中における免許更新制度の凍結等、国において混乱を防ぐための必要な措置をとっていただきたいといったような趣旨につきまして緊急要望を行ったところでございます。

 もう一つの取組は、更新講習の受講状況の調査と、必要な講習の確保ということでございます。免許更新制度が有効である限り、現職教員等は生年月日に応じて国が定めました修了確認期限までに大学等の更新講習の受講を修了し、更新手続をとる必要がございます。特に平成23年3月末を修了確認期限とする現職教員につきましては、平成23年1月までに更新講習を受講、修了し更新手続をとりませんと、現行制度の下で免許状が失効してしまうということになってしまいます。そういったことがございますので、私どもとしましては去る1117日付けで県内の公私立すべての学校、幼稚園も含めまして、受講状況の実態調査をしました。その調査結果を集計しまして、今後どれほどの講習講座が必要になるのかといった点も算定をいたしまして、その数字を基に大学等に更新講習の開設を働き掛け、必要な講座の数を確保してまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 まだいろいろ問題点が残されていると思います。

 この質問の最後に、優れた資質と能力を有する人材の確保、育成には今後どのように取り組んでいくつもりなのかお伺いいたします。

教職員人材担当課長

 これまで本県では、教員採用試験におけます受験年齢の引上げですとか教職などの経験や英語資格や芸術、スポーツの資格、実績を持っております方々を対象に特別選考制度を実施するなど段階的な改善を行い、より広い人材の中から教員を確保するよう努めてきたところでございます。一方、近年、教員採用試験における受験競争倍率は低下傾向にございまして、今後、教員人材の確保につきましては一層厳しさが増すというふうに見ております。

 こうした中で、現在、教育局関係機関ですとか、各校種の校長会、市町村教育長会等々の参加をいただきまして、神奈川県教職員人材確保推進協議会におきまして、これまでよりも踏み込んだ教員人材の確保と育成の方策につきまして検討しております。それぞれにおいて、検討の一例ということで申し上げますと、人材確保の面では現在学校現場で臨時的任用職員として実践を積み、優れた教員として実証、評価された方々につきましては積極的に正規教員へ登用していく仕組みづくりですとか、また人材育成の面では、今後、退職者の積極的な活用により、優れた指導力のノウハウですとか技術を若手教員に伝承していただくといったような仕組みづくりなどにつきましても検討しているところでございます。

 一方、国では先ほど申し上げました教員免許制度全体につきまして見直しの議論がなされようとしておりますので、今後の教員人材の確保、育成につきましてはこうした国の動向も注視しながら、本県の学校教育を支える優れた教員の確保に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

内田委員

 教員としての優れた能力を有する人材確保と育成について要望を申し上げます。

 やはり、いろいろ意見を言う方は大勢いらっしゃると思いますけれども、採用試験のときにどういうふうな面接をしているかとか、大変興味がありましたので質問させていただきました。ふさわしい人材と言っても、この人こそという人を採用するのは、それは大変難しいことですので、入ってから育てるということも必要でしょうし、両方大切だと思っているんです。ですから、今の経済状況の中、また教員を目指す方が増えてきているというふうに私は認識しているんですが、そこは間違っているかもしれませんけれども、できるだけ優れた人材を1人でも多く、神奈川県のために、神奈川県の子供たちの未来のために採用していただきたいと思いますので、是非、その選考方法の在り方とか面接の仕方、それから、教員を募集するときの方法とかそういった点を改めて検証していただきながら、より良い人材を確保できるように頑張っていただきたいと要望いたします。

 

他議員質疑

10 次回開催日(1216日)の通告

11 閉  会