平成22年  文教常任委員会
◎《委員会記録-平成22年第1回定-20100305-000017-文教常任委員会》
1 開  会
2 記録署名委員(内田・山口の両委員)の決定
3 傍聴の許否について決定
  4件申請 4件許可
4 日程第1及び第2を議題

5 同上質疑(所管事項も併せて)

 

内田委員

 引き続きまして、この間、斉藤ゆうき先生が定時制高校の件についてお話しされていらっしゃいましたけれども、川崎の方で本年度から、川崎の学区に限るということで、そのことについてかなり、我々も同じ県内ですから、非常に問題にしていかなくてはならないと思っておりますし、横浜市の方でも、実は定時制高校のうち残っているのがわずかということで、定時制高校のことについて、ちょっと今日はやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この間の定例会の代表質問においても、我が会派の鈴木恒夫議員の高校改革の在り方についての質疑でお答えいただいていると思いますけれども、教育長さんの方から、特別措置として様々な課題や背景を抱えて支援が必要な生徒を受け入れるために、本年4月多部制の定時制高校を開校するとともに、今後更なる定時制高校の改革を進めていくという御答弁をいただいたと思います。これは、過去においてもいろいろ言われておりますし、今受皿としての定時制高校の在り方、それから今までとの違いなども踏まえて、いろいろ考えていかなくてはならないという時期に来ておりまして、昔ですと、定時制高校は働きながら学べる高校ということで、多種多様な人材がいらっしゃいますけれども、定時制高校は一定の役割を果たしてきたと思いますが、一時的に不登校の生徒さんや、また外国籍の生徒さん、そしてなかなか学力についていけない、全日制に入れなかった生徒さんを受け入れているということで、定時制高校の改革が大変重要になってきておりまして、そんなこともあって、今度、相模向陽館高校が開校するということをお伺いしました。この相模向陽館高校についても御説明していただきたいと思います。

 まずはじめに、今度開校する相模向陽館高校とは、どのようなコンセプトに基づいた学校なのか。それと、相模向陽館高校での入学者像、これをお伺いしたいと思いますが、一応確認の意味でお聞きしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 まず、相模向陽館高校のコンセプトでございますが、ただいま委員のお話にもございましたように、現在夜間定時制高校には、小中学校におきまして不登校の経験のある生徒や、学習活動あるいは人間関係を築くことに難しさを覚えた生徒など、様々な課題や背景を抱えた生徒が在籍してございます。こういった生徒の中には、昼間に学ぶ希望を持った生徒が多くございます。このため、定時制の仕組みを活用いたしまして、卒業まで4年間をかけてじっくり学ぶことができる午前部、午後部があります多部制の昼間定時制高校を設置することとしたものでございます。

 次に、入学者像でございますが、学力に不安を感じている生徒、またやる気はあるのに結果が残せていない生徒、また不登校を経験した生徒、さらには日本語の理解が不十分な外国籍の生徒など、多様な生徒を受け入れることとしてございます。

内田委員

 大体今のようなコンセプトということで、既に来年度入学者の選抜は行われていると思いますけれども、入学者選抜に当たって、新しく開校する学校として、そして新しい定時制として、県当局としてはどのような、何か工夫みたいなことを行っているのでしょうか。特段何かありましたら、よろしくお願いいたします。

高校教育課高校教育企画室長

 相模向陽館高校では、中学校での学習や活動を記録しました調査書の評定が思わしくない生徒、また長期欠席などによりまして中学校で十分な成績を残せなかった生徒などにも配慮いたしまして、学ぶ意欲と前向きな姿勢を重視した選抜を行ってございます。

 具体的には、前期選抜、後期選抜それぞれで募集人員の50%、第一段階の選考といたしまして、学ぶ意欲を重視するため、選考に当たりまして調査書の各教科の5段階の評定は使用せず、観点別学習状況におきます関心、意欲、態度の評価などに志願した高校で行われました検査結果を加えて選抜することとしてございます。残りの募集人員50%につきましては、第二段階目の選考といたしまして、これからの高校生活において学習活動に前向きに取り組もうとする意欲を重視するため、調査書を一切使用せず、高校における検査結果を基に選抜することとしてございます。

内田委員

 ちょっと確認なんですけれども、調査書を一切使用せずということは、主に面接ということになるわけでしょうか。

高校教育課高校教育企画室長

 前期で申しますと面接と自己表現活動、後期で申しますと学力検査と面接、自己表現活動でございます。

内田委員

 自己表現活動というものは、具体的にはどのようなものが挙げられるんでしょうか。

高校教育課高校教育企画室長

 検査当日に、生徒さんから提示された文書を基に、指示されたことについていろいろ検査用紙を完成されると。学校側の指示に基づいて、指示されたことをしっかり検査用紙に書き込んでいただいて完成させると、こういうものです。

内田委員

 そうしますと、全日制の学力テストとはまた中身が全然違うものであり、例えば、就職試験であるような漢字テストとか、そういうものがミックスしたようなものを想定できるのか、それとも、もうちょっと全然違う中身になっているのか、その辺をお願いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 もっと簡単なものだと思うんですね。入社試験みたいなもの、それよりももっと簡単なものです。

内田委員

 それでは、前期選抜の実施状況というのはどうでしたか。

高校教育課高校教育企画室長

 前期選抜につきましては、1月25日から27日まで面接を実施いたしまして、2月1日に合格発表を行いました。その結果でございますが、午前部は面接者329人、合格者が71人、競争率が4.63倍。午後部でございますが、面接者123人、合格者66人、競争率1.86倍という状況でございました。

 こういう高倍率になりましたのは、様々な課題を抱えながらも学びたいという強いニーズがあるものと考えてございます。

内田委員

 倍率につきましては、329人中ということで70人ぐらいですか、4.63倍ということなんですけれども、これはかなり高倍率だと私は思ったんですが、県当局としてはどのようにとらえていますか。

高校教育課高校教育企画室長

 ただいまお話し申し上げたとおり、現在定時制には、不登校を経験した子供たちや学力面で課題を持った生徒が多数ございまして、いずれも昼間学ぶことに強い希望を持った生徒たちがかなり多い。元々こういうニーズが強いものと我々は考えておりまして、横浜市でもこういう三部制の定時制がございまして、そこでも、二部というと昼間、午後授業を行っているところを確認してみましたら、やっぱり4.3倍とかなり高い倍率になっていましたから、強いニーズがあるものと考えてございます。

内田委員

 強いニーズがあるということで、やはり4.63倍ですよね。後期があるとしたとしても、過年度の選抜でもこのような高倍率だと。これは、万が一落ちてしまった場合の方が結構いらっしゃいますよね。落ちてしまうと後期を受けるのかなと思いますが、これはどのように考えていますでしょうか、落ちた方に対して。

高校教育課高校教育企画室長

 今の制度で申しますと、委員、今お話にありましたように、例えば後期に受検する、定時制でも、あとは全日制の高校もございます、あと通信制、さらには私学という選択が考えられますが、ただ、これからこの入試の結果を検証いたしまして、そういう動向もはっきりつかんで、またそれを生かしていきたいと思っています。

内田委員

 やはり1.何倍とかでしたら、落ちてしまった生徒もあるいは少ないとは思いますが、やはりこういった中で定時制のニーズが非常に高まっているということです。また、ちょっと5年前に比べても、急に経済状況が悪くなりましたよね。今日の神奈川新聞なんかにも、生活保護世帯が1307,545世帯というような、全国でですよ。ということで、神奈川県も少なからずそういう受給者数がずっと増えてきて、過去最高になってきているという中で、やはりここ5年の間に定時制高校の在り方を検討されてはいたのですけれども、ここ一、二年でまたがらりと経済的に大変困っている、困窮している御家庭も増えてきたんじゃないかと思いますが、その辺のずれみたいな、検討してきた内容と、今ちょうど高校の定時制改革やっていますけれども、そういった一、二年のずれというものを、経済的な困窮者が増えてきたという実態を踏まえて、何か考えるところはございますでしょうか。

高校教育課長

 もちろん御指摘のとおり、リーマンショック以降の経済状況の悪化というもの、これは非常に大きなものがあると考えております。私どもとしては、定時制の改革、教育課程から含めて入り口部分等々、また、やはり中退者が多いという現状もありますし、その教育内容等、様々な角度からの検討を重ねてまいりまして、今も検討をしているということでございます。

 一方、経済状況ということを考えますと、これは、特に定時制に通う生徒さんの御家庭というのは、それなりにやっぱり経済状況がかなり厳しいという状況も当然推測できますし、あとは現実にそういう問題が入学後もあるということでございます。どうしても全日制とか定時制に限らず、今安心して高校に行っていただくための奨学金の予約制、これを今年度から始めさせていただきまして、前回御答弁申し上げたと思いますけれども、1,000人を超える応募者がございまして、今、順次採用通知をいろいろ出しているところでございますけれども、これだけニーズがあるということで、私どもも奨学金の充実等々やらせていただいておりますけれども、また入学後につきましても様々な面で、経済的なことについてはやはり学校の方で相談に乗り、様々な支援をしていきたいと考えております。併せて定時制の改革につきましても、時間的な余裕というのはそんなにないと思いますので、今後、今回向陽館の前期の高倍率、まだ後期がこれからございますけれども、しっかりと検証して、今後の定時制改革に生かしていきたい、このように考えているところでございます。

内田委員

 何しろ初めてこの多部制というか、ちょっと今までと違う定時制を開校するといって、初年度はいろいろな課題とか問題点が出てくるのは想定できたことです。ですけれども、やはり昼間働かないといけない生徒さんも中にはいるかもしれないし、どんどん定時制高校をなくしていくと、やっぱり今後経済が上向きにどんどんなればいいんですけれども、まだ分からないですよね。そういった中で、すごく慎重にしていかないといけませんし、ましてや今、なかなか中学卒業だと就職先が難しいと思うんですよね。高校を卒業してもかなり大変だと。先日の就職率の関係から見てもいろいろ大変だというのは分かりましたので、是非定時制高校の改革に当たっては、そうやって経済状況の観点と、またそうでなくても不登校者の方も増えてきていますから、両方の側面から見ていかなくてならないかなと思っております。

 さて、様々な課題や背景を持つ生徒が入学者として想定されているということですけれども、そうした生徒さん方に対して具体的に、ちょっと全日制の教育内容とはかなり違ってくるのかなということが想定できますけれども、今現時点で、今度の4月からどのような教育内容を実際問題、展開していく予定なのかということをお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 相模向陽館における教育活動でございますが、様々な課題や背景を持った生徒に対しまして、三つの取組を柱といたしまして教育活動を展開することとしてございます。

 まず一つでございますが、多部制による定時制の仕組みを活用した多彩な教育活動ということで、基礎的な学力といたしまして、読む、書く、計算するといった力の定着を目指しまして、学校必履修科目、ステップと申しておりますが、これを設置いたしまして、生徒の多様なニーズに応じた科目を設置いたします。ただ、午前部と午後部の間に生徒がボランティア活動など課外活動、また生徒会活動を行う時間帯、私どもはトライアルタイムと呼んでございますが、こうした多彩な教育の場と機会を提供してございます。

 二つ目でございますが、共に学び育ち合う教育の充実ということで、新校に併設いたします座間養護学校高等部、この分教室の生徒との交流や教員同士との交流を通じまして、触れ合いや学び合いを大切にした教育活動を行うことにしてございます。

 そして三つ目でございますが、学校と地域、家庭が連携した学びのネットワークを構築することとしておりまして、こうしたネットワークも活用して生徒の学校生活を支えることとしてございます。

 さらに、これまでも生徒の多様なニーズ、様々な生徒がまいりますので、教員のカウンセリング手法を身に付けるための研修に取り組んできたところでございますが、引き続き4月の開校後できるだけ早い時期にNPOと連携いたしまして、教員のカウンセリングの力の一層の向上を目指して研修講座を開催するとともに、生徒の対人関係能力の向上を目指したワークショップなどをいたしまして、生徒が明るく学校生活が送れるよう取組を進めてまいりたいと考えてございます。

内田委員

 ちょっとここから、この間も私立の高校との関係について少し触れさせていただきましたけれども、昨年度、公立と私立の高等学校の設置者会議とかで、結局全日制の生徒募集計画の原案作成が進められたと思いますけれども、今年、公立募集枠と私立を6対4、60%と40%みたいな暗黙の取り決めなのかちょっと分かりませんけれども、そうしたことで、様々なことが今やられていると思いますが、定時制の方の希望者も結構増えてきているというのは現状だと思いますが、例えば、定時制と通信制を足し合わせた進学率というか、それは、全国で比べてみると、やはり神奈川県は非常に高くなってきていると思うんですね、定時制と通信制を合わせた数というのは。要するに、定時制に行く生徒が増えてきていると。それは、全日制に入れなかったからという、そういった理由は少しはあるのかなと思いますが、高い学費の私立を選べなかったという、そういった関係性については、教育委員会としてはどのように考えていらっしゃるのか、ちょっと難しい質問だと思いますけれども。

学校教育担当部長

 委員御指摘のように定時制を希望する生徒の数というのは、ここしばらくは増えてきている傾向になって、そのとおりでございます。その理由について、我々なりにいろいろ、正確に別れている部分もあるんですけれども、一つは、先ほど来委員のお話にもありましたように、学力の不振であるとか不登校の経験であるとか、あるいは外国籍生徒の問題、さらに近年は発達障害の生徒さんが、かなり定時制にたくさん来られているというような予感はしておりますので、そうした方々たちが高校に進学して学ぶというときに、どういう学び方をしたらよいのかという中で、定時制というのは1日4時間、だから4年間かかりますけれども、そういう中で特に丁寧に学びたいというような、そういうニーズがかなり高まってきているのかなと、そんなことは思っております。

 それからもう一つは、今お話がありましたように、近年この経済状況の中で、本当は全日制に行きたいんだと、ただ厳しいので、もし全日制不合格の場合には、これはやむを得ず、公立の定時制に行くというようなお子さんが一定程度出てきているのも、これも間違いないだろうというふうに思っております。

 私の方としては、先ほど高校教育課長も答弁いたしましたけれども、できるだけ生徒の希望を生かしてあげたいと思っていますので、今年、予約の奨学金制度も制度化いたしましたけれども、中学3年生の段階で自分が公立、私立どちらに進んでも奨学金を間違いなくお借りできますという、そういう制度にさせていただいたのも、本当にお子さんの希望に沿った形での進路実現を少しでも実現できるお手伝いをしたいという、その思いでやってまいりました。

 いずれにいたしましても、定時制を大事にしていきませんと、確かに数は少なくなっておりますけれども、働きながら学ぶという生徒さんがいらっしゃるのも事実なんです。そちらももちろん大切にしながら、それから多様な学習のニーズが出てきている部分、それもきちっと受け止めながらやっていかなければいけない。そこで、相模向陽館がこれからスタートしていくわけですが、他の夜間の定時制の教育の充実も図っていかなければいけない。そのことも合わせて総合的に見ながら、公立の役割の一つであると私ども認識しておりますから、定時制の教育の改善や充実に今後とも努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

内田委員

 例えば20年前、これは、私が高校ごろかもしれないんですけれども、20年前はやはり働きながら学ばないとどうしようもない、家計を助けるためにとか、アルバイトをしないとどうしようもないという、奨学金もあったとは思いますけれども、もうちょっと厳しかったと思いますので、こういった事情で定時制高校に通われる方は多かったと思うんですよ。だんだん時代が変わってきて、やはり不登校者数、これが非常に増えてきた。それから、今お話にありましたけれども、発達障害の方の、それは受け入れるということで非常に良いことだと思いますが、両方の観点から見ていかなければいけない。さらに、やはりちょっと前に戻るのかなというか、経済的に困窮している家庭はやはり増えてきている。それで、昨日もニュースでありましたけれども、住宅ローンとかも払えなくて、結局住宅も手放すような家庭もかなり増えてきているということで、経済状況が悪くなって、すぐまた良くなったとしても、その悪いものは続きますから、やはり働きながら学校に行かないといけない生徒さんも実は多いのではないかと。今後増える可能性もあるし、そういうこともちょっと考えなければいけないのではないかと思うんですけれど、その辺のところはどのような展望を抱いてますでしょうか。

学校教育担当部長

 これまでのいろいろな調査とか現場からの報告を受けますと、いわゆる定時制の部分なんですが、正規に就職をして通ってくるという生徒は本当に少なくなってしまったんですね。ですけれども、アルバイト等をやりながら定時制に通う生徒というのは、まだ相当数いるという状況でございます。今お話しいただいたように、この経済状況の中で、正直言いまして中学校卒業で正規の就職をするってなかなか、社会状況厳しいもんですから、やはりアルバイトなどをしながら通ってくる生徒はこれから増えていくという心配は十分にあるというふうに思っております。

 そういう中で、学費無償化の話もございますけれども、授業料だけではございませんから、その部分は私どもの奨学金の運用をできるだけ柔軟に、現状に合ったような形で、ここ数年見てきて大分仕組みも変わってきておりますので、そういうものを十分にうまく活用しながら、それから高校に進学しようとする中学生には、あんまり心配しなくても高校進学できるよということで、経済的な面でもこういう応援ができますということを十分に周知をしながらやっていきたいと思いますし、また、高校に入学してきた生徒さんに対しましては、いろんな相談とか援助とか、そうしたものを手厚くやりながら進めてまいりたいというふうに考えております。

内田委員

 高校で、やはり本当に普通に就職してという方は、希望者はいるとは思うんですけれども、やはり経済状況が厳しい中で、企業の方は、定時制高校に通っている生徒さんを社員にするというのはなかなか今難しく、やっぱりアルバイトになってしまうと思うんですね。そうしたときに、体も疲れるし、勉学もしなくてはいけないしということで、やはり奨学金の在り方が問われてくると思いますし、奨学金は今たくさん、生徒のために奨学金を出してあげることは県としては十分できることだと思いますので、やはり先生の方からちょっと困っているような生徒さんがいらっしゃったら、直接こういう制度があるんだよということをしっかり、生徒さん個別に、勧めるというわけではないんですけれども、本当に困って勉学に差し支えるような感じであれば、積極的に奨学金を、奨学金というものは後からゆっくり返せるものですから、そういうことも説明してあげて、できるだけ高校を卒業させてあげていただきたいと思います。

 最後に、今後の定時制高校の改革について、どのように進めていくのか、またいろんなことを先ほどたくさんおっしゃっていただきましたけれども、今後の意気込みというか、定時制高校の改革の在り方についてお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 定時制高校につきましては、これまでも一層の改善に向けまして様々な取組を行ってまいりました。例えば、3年間で卒業を可能とするため、勤労学生の実務を単位認定する実務単位、英検、ワープロ検定など、数多くの検定や資格を習得単位として認定する技能審査、あるいは高校卒業程度認定試験での合格科目に対応する習得単位の認定といった、柔軟な単位の認定の仕組みを充実させてまいりました。また、3年間で卒業を目指すとともに、昼間の時間に学びたいといったニーズに対応するために、1時限目の前に授業を行う、ゼロ時限の設定等を進めてまいりました。

 今後、こうした取組についての検証や様々な課題を抱えた生徒のニーズなどもしっかり把握いたしまして、一層の定時制の改善に向け、取り組んでまいりたいと考えています。

 また現在、相模向陽館高校の開校準備で、職員全力で取り組んでいるところでございますが、県立高校として初めての昼間の定時制普通科高校でございます相模向陽館高校の成果につきましても、今後しっかり検証を行いまして、定時制高校に入学した様々な生徒が社会に自立して活躍できるよう、定時制高校の改革に取り組んでまいりたいと考えてございます。

内田委員

 相模向陽館高校は、午前部4クラス140人、それから午後部4クラス140人、計280人ということですけれども、280人の生徒さんの中には、いろいろなタイプの生徒さんが入学されていらっしゃると思いますけれども、やはり社会に出たときに、最低限困らないようにしてあげていただきたいと思いますし、また就職なども非常に難しいのではないかとは思いますけれども、やはり社会に出たときに、ほかの方とうまくコミュニケーションがとれるとか、そういった教育を是非目指していただきたいと思います。教職員の方、今一丸となって頑張っていらっしゃるということですけれども、初めて開校する学校で期待も大きいと思いますので、是非、県教育委員会としては頑張っていただきたいと思います。

 次なんですけれども、それでは、特別支援学校のことについてまだ質問させていただいていなかったので、ちょっとこの辺の、特別支援学校で専門職員の配置を増やしていくということなので、今、過大規模化で特別支援学校、非常にこちらの方もニーズが高まってきているということで、まだまだ足りない。その中で、特別支援教育の推進が掲げられていて、教員等の配置の充実が今後も望まれるところですし、今回専門職の配置を更に拡充することをお伺いしましたので、この点について何点か質問させていただきます。

 まず、特別支援学校では、様々な障害をお持ちのお子さんが入学されてくるんですけれども、やはりいろいろケアが必要だということで、理学療法士さん、それから作業療法士さん、言語聴覚士さんや臨床心理士の専門職の方が自立活動教諭として学校に配置されていると思いますけれども、今現在何名ぐらいがどこの学校に配置されているのか確認させていただきたいと思います。

教職員課長

 特別支援学校におきましては、障害の重度化、重複化、それから多様化、こういったことを背景に自立活動の重要性が高まっているという中でございますけれども、児童・生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導、支援の充実が求められると、こういうことでございまして、また、地域におけるセンター機能、こういったことも強化する必要がございます。

 こうしたことから、平成20年度から理学療法士等の4職種の専門職を特別支援学校に配置をしてございます。お尋ねのございました配置状況でございますけれども、平成20年度、21年度にそれぞれ6名ずつを採用いたしまして、現在12名を配置しているところでございます。配置校につきましては、二人一組といたしまして6校に配置をしてございまして、具体の配置校でございますが、平塚ろう学校、麻生養護学校、茅ケ崎養護学校、三ツ境養護学校、座間養護学校、伊勢原養護学校、この6校でございます。

内田委員

 主な養護学校の方に配置されているような感触を受けましたけれども、再確認ということで、専門職の配置については、来年度はどのように展開していくんでしょうか。お伺いします。

教職員課長

 来年度の理学療法士等の専門職でございますけれども、新たに11名の採用を予定してございます。その内訳でございますけれども、臨床心理士5名、作業療法士3名、言語聴覚士2名、理学療法士1名、合計11名でございます。

 具体の配置については、現在最終調整を行っているところでございますが、既に6校に配置をした職種がございます。また、地域的なバランスも考慮する必要がございますので、そういったことを考慮しながら、新たに6校に配置をしたいと考えてございます。

内田委員

 ところで、それぞれの専門職の方はそれぞれ専門性があるので、集めるのは結構大変じゃないかと思うのですけれども、どのような集め方をされたのかということと、実際問題、すぐに声を掛けたら集まってきてくださったのか、就職を希望されていらっしゃったのかということと、あと新卒採用の方が多いのかということをお伺いしたいと思いますが。

教職員課長

 採用に当たりましては、これまで3回採用試験を実施してまいりましたけれども、平成19年度に実施をしました状況でございますが、募集人員が8名とさせていただきまして、各職種、4職種ございますけれども2名ずつということで募集をさせていただきましたところ、応募者が17名ということでございました。また平成20年度実施をした段階では、同様に8名募集をいたしまして19名の応募でございます。また昨年、平成22年採用に向けまして実施をした試験では、8名の募集に対してやはり、こちらは57名ということで、昨年は非常に希望者が多かったと、こういう状況でございまして、それで、採用試験に当たりましては、私どもは新卒ではなくて実務経験を持った方、それぞれ臨床心理士あるいは作業療法士等として実務経験を持った方を応募資格としてございますので、そういった専門性を持った方を採用させていただくということでございます。

 なお昨年、応募者が57名ということで増えたのですけれども、採用試験の実施時期を、従来は少し年度後半に遅れてやってございましたけれども、私ども4月に採用したいと、こういう思いでございますので、昨年は秋に実施をさせていただきまして、時期を早めたことによって応募者が増えたと、こういうふうに受け止めてございます。

内田委員

 今回、教育委員会では、全体の教職員の人件費を減らすことができたけれども、それは、給与体系とか、そのことによって減らすことができたけれども、実際問題、特別支援学校に関しては、生徒さんの数が非常に増えてきているということもありますし、支援学校も充実をしていかなくてはいけない。そして生徒さんが増えたから、やはり教職員の方も増やしていかないといけないという中で、こういった専門職の方を入れることによって、とても普段の学校の中で授業がやりやすくなるとか、また生徒さんのケアが非常に目が行き届くとか、そういった利点があると思うんですけれども、その辺の具体的な、これから更にこういった専門職の方を増やしていくと思いますけれども、その関係性についてメリットを、デメリットはないとは思いますけれども、その辺をちょっと確認させていただきたいと思います。

子ども教育支援課長

 今お話にあった専門職の配置でございますが、まずはじめに、ちょっと4職種それぞれの主な役割について御説明させていただきますと、理学療法士につきましては、主に立つ、歩くといった基本動作に関する訓練に当たっております。それから、作業療法士でございますが、作業療法士につきましては、食事や着替え、こういった日常生活に関する動作の指導に当たっております。また、言語聴覚士でございますが、言語聴覚士は主にきつ音や構音障害あるいは聴覚障害等により言葉がうまく話せない子供の指導に当たっています。臨床心理士につきましては、障害児の知覚や認知など、発達段階に応じたコミュニケーション能力の育成等に当たっております。

 こうした指導は、今までは主に病院など子供の生活の場面を離れて行われていましたが、これを学校で授業中に行うことで、その成果をより日常生活に生かしていくことができるという利点がございます。また、この2年間に配置された専門職につきましては、それぞれの専門的な立場から教員にも助言をしたり、あるいは教員や保護者向けの研修の講師役を務めるなど、特別支援学校に求められる専門性の向上の推進力の一つとなっているという状況でございます。

内田委員

 普通の学校の生徒さんと比べて、やはり支援学校の生徒さんは非常にケアが必要だと私も認識しており、やはり言葉とかコミュニケーションとか、それから立つ、歩く、それから動作、日常のことに関してもいろいろ指導をしていかなくてはならない、非常に大変だと思うんですね。結局、この2年間に配置されてきた専門職の方々、たくさんいらっしゃいますけれども、それぞれの配置校において、具体的にはどのような取組をして、それが何か成果を上げてきているのかという具体的なことがあれば、教えていただきたいと思います。

子ども教育支援課長

 専門職につきましては、今年度、実は文部科学省の委託事業として研究活動を展開してまいりまして、現在実践事例を中心とした研究の成果を事業報告書として取りまとめる作業に取り組んでおります。その中で具体に申し上げますと、作業療法士が食事を食べこぼしてしまう生徒の一連の動作を分析して、どの部分につまずいているかを明らかにして、自分で食べる意欲を引き出しながら食事動作の練習あるいは道具の工夫を行うことによって、生徒が自分の力で食事ができるようになったと、こういった実践事例をかなりの数、報告書に載せる予定でございます。こうした事例、ほかの特別支援学校における指導にも大変役に立つ視点を多く含んでおりますので、今後はこの報告書を各学校に配布するとともに、様々な会議や研修会等において活用して、専門職の視点を生かした指導に取り組んでもらうなど、成果の普及に努めたいと思っているところでございます。

内田委員

 結局、先ほども募集人員に57人ということで応募人員が結構増えてきたということは、認知されてきたのかなということもありますし、時期を早めたというところもその理由の一つだと思いますけれども、今後さらに、今支援学校を希望している生徒さんもまだたくさんいらっしゃると思いますし、どのぐらい増えていくのかって、ちょっと私も見当がつかないんですけれども、今現状どのくらい過去に比べて、大体でいいのですけれども、どのぐらい増えてきているのかということと、まだどのぐらい足りないのかという、何となく大体の人数が分かれば教えていただきたいのですけれども。

子ども教育支援課長

 特別支援学校に通う生徒の増加率は、ここ何年か毎年200名を超えて人数が増加していると。そういうことに伴いまして、私ども、平成22年4月の岩戸養護学校の開校あるいは平成23年度の相模原の特別支援学校の開校というふうに、新校の整備あるいは分教室の展開でそれに対応しているというところでございます。

内田委員

 その中で、やはりこういう専門職を、今回増やしていくということですけれども、更にもう少し増やしていかなくてはならないと思いますが、県内全域でまだない学校もありますから、広げていくためには、どのような工夫が必要だと思われますでしょうか。

教職員課長

 専門職の配置の効果は非常に高いものがあるというふうに私ども考えておりまして、今後も順次専門職の配置を拡大し、県内全体で効果的あるいはまた効率的にその活用ができるようにしていく必要があるというふうに考えてございます。これまでの取組の成果を他の特別支援学校にも普及していくということに加えまして、専門職の配置に当たりましても、効果的な配置に努めてまいりたいというふうに考えています。

 配置に当たりましては、地域におけるセンター機能の強化という観点から、県内を六つのエリアに区分をいたしまして、4職種をバランスよく配置をいたしまして、それぞれの専門性を生かしながら、また相互に連携をしながら地域の小中学校あるいは特別支援学校に支援ができるような体制を整えていきたいと考えてございます。また、特別支援学校の児童・生徒一人一人、教育的ニーズに応じた適切な指導を、あるいは支援、そういったことも充実を図っていくという必要がございますので、それぞれその障害に応じて求められる専門性も異なってまいりますので、各校に一律に4職種を配置するということではなくて、肢体不自由あるいは知的障害など、それぞれの特別支援学校の課程に応じまして、必要な専門職の組合せを考慮して配置をしていきたいというふうに思っております。そうした工夫をしながら配置をしていきたいと思っておりますけれども、配置をしてまだ2年ということでございますので、その配置の効果も具体的に検証しながら、順次拡大を図っていきたい、こんなふうに思ってございます。

内田委員

 こういった、手厚いと言ってしまえば語弊がありますけれども、昔、神奈川県は福祉の神奈川で非常に良い時代もあったのですけれども、全国的に見て、こういった配置とか、いろいろ専門の方を入れるとか、それから看護師資格を有する教員の配置、こちらも看護師を配置されていると思いますけれども、全国的に見て神奈川県の位置というのは、どのように定着していますでしょうか。お伺いします。

教職員課長

 各都道府県の専門職の配置状況は、申し訳ございませんが具体には把握してございませんけれども、自立活動の重要性が非常に高まっている中で、私どもとしては先駆的に取り組んでいるというつもりでございまして、まだ実際の実例は少ないんではないかというふうに思っています。

内田委員

 そのような御答弁ですけれども、やはり先駆的な神奈川を目指していただきたいと思いますし、今、なかなか混とんとしていて、神奈川県が果たして福祉の神奈川と言えるであろうかと、こういうこともちょっと疑問視されていますけれども、やはり教育現場としては、そうやって教育ビジョンの中の一つに、こういったケアができるような学校も是非充実していただきたいと思います。

 次に、看護師資格を有する教員配置について質問をさせていただきますけれども、重度の障害の生徒さんには、長期化に伴って医療ケアというものが必要な児童・生徒さんも実際問題非常に増えてきているということをお伺いしていますが、現在どのくらいの対象者の生徒さんがいて、看護師さんはどのように配置されていらっしゃるのでしょうか。お伺いいたします。

子ども教育支援課長

 現在、県立特別支援学校25校のうち、12校に170名の医療ケア対象者が在籍しております。子供たちが安全で安心して学校生活が送れるように、体調や容体の変化に常に気を配りながら、看護師によるきめ細かい医療ケアを行っておりまして、具体的には、水分等の注入、たんの吸引、酸素療法などといったケアを日々行っているところでございます。

 今後も対象者の増加が見込まれることから、現在22名の常勤看護師と9名の非常勤看護師、計31名を関係校に配置するとともに、2名の非常勤看護師を私ども子ども教育支援課に配置しまして、必要な学校に派遣することによって日々のケアに支障が起きないように努めております。

内田委員

 医療的な行為というか、吸引とかの、やはり看護師じゃないとできないような生徒さんも実際問題入学してきているという事実があると思うのですけれども、看護師資格を有する教員ということになると思いますけれども、看護師だけではなくて教員として配置する県教育委員会としての考え方、この辺をもう一度確認させていただきたいと思います。

子ども教育支援課長

 医療に当たります看護師は、日々の学校生活における様々な場面において、一人一人の様子を丁寧に観察するとともに、他の教員とチームを組んで情報を共有し、適切な教育活動を展開できるような支援に努めることが、その役割であると考えておりまして、そういった意味では、他の教員と同じに教育活動を担う教員として人事上整理をして、看護師の役割を担う教員として配置を進めていると、こういった考え方に基づいて配置をしております。

内田委員

 そのとおりで、やはりただ看護師として来ちゃうと、子供への愛情というものがちょっと、少なからず私は医療だけで来ているんだからみたいなものになってしまう、非常にドライな感じになると思いますので、やはり教員プラス看護師資格を有する者ということで、今後も心の温かい看護師さん、教員の方であってもらいたいと思います。

 特別支援学校において、そのような医療ケアは、非常に大変だと思うんですけれども、課題というものは、どんなところにあると思われますでしょうか。

子ども教育支援課長

 医療ケアを必要とする児童・生徒は日々体調が変化しますので、丁寧な健康観察や様子の観察を行い、きめ細かい配慮の下で教育活動を行う必要があるということでございまして、そこで、看護師配置に加えまして、看護師資格のある教員とチームを組んで子供たちの医療ケアの補助に当たる教員を、医療ケア担当教員として研修の機会を用意して養成を図っております。障害の重度化に伴いまして、今後も医療ケアを必要とする児童・生徒が増加することが予想されますので、引き続き医療ケア担当教員、こういった教員についても研修機会を確保して研修内容を充実させていくことが、医療ケアを行っていく上での最大の課題であるというふうに考えております。

内田委員

 対象者の、いろいろ障害を持って生まれてきてしまうお子さんが結構増えてきている、何でかなと思いますけれども、原因も食べ物のせいなのかもしれませんし、ちょっと分からないんですけれども、今非常に増えてきているということで、こういった支援学校もまだまだ増えますね、少なくなっていくというような見込みはないと思いますので、看護師配置というものも少し考えていかなくてはならないと思うんですね。今、普通の現場でも看護師足らないんですけれども、でも、学校のこういったところにも看護師配置をしていかなくてはならないということで、今後はどのようなシステムとか、どのように看護師配置を進めていくのかお伺いいたします。

子ども教育支援課長

 対象者の増加等への対応ということになると思うのでございますが、看護師の増員だけでなく、安定した医療ケア対策の維持が必要であるということから、これまで臨時的任用職員であった常勤の看護師を正規の職員に移行していく取組を今年度から開始いたしました。また、医療ケアの対象児童・生徒数の多い学校に対する非常勤看護師の配置につきましては、対象児童・生徒の推移を見ながら、今後の配置について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 やはり正規か非正規かというか、そういった身分の安定というものも結局必要になってくるとは思いますね。そういったところも念頭に置いて進めていただきたいと思います。

 重度の障害をお持ちの生徒さんは、特別支援学校に限らず地域の小中学校にも影響があるとは思いますけれども、特別支援学校のセンター的機能の強化という意味で、今後専門職の、今日質問させていただいた四つの種類の専門職の方、ほかにも専門職の方、ほかの種類もあるのかもしれませんけれども、今後どのように活用して、センター的な機能の強化という意味で、どのように活用していこうとしているのかをお伺いしたいと思います。

子ども教育支援課長

 お話にございましたとおり、特別支援学校の過大規模化傾向とともに、小中学校の特別支援学級への入級についても増加傾向が続いているために、障害の重度重複化、多様化の傾向は地域の小中学校等にも見られるようになっております。とりわけそちらの学級における、いわゆる発達障害等の児童・生徒への適切な対応や特別支援学級における自立活動を取り入れた指導など、地域の学校が特別支援学校のセンター的機能に求める内容が非常に多岐にわたってきております。

 そこで県といたしましては、県立特別支援学校が行っている地域の小中学校に対する教育相談のメンバーにこういった専門職を加えることによりまして、センター的機能を強化して地域の小中学校に対してもそれぞれの専門性を発揮した取組が展開できるよう、支援に取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 今、普通の地域の小中学校にもケアを必要とする生徒さんが少しずつ増えてきているということで、現状は、毎年200人ずつぐらい何らかの障害を持った生徒さんが増えてきているということで、本当に驚かされることなんですけれども、やっぱりそういったことで苦労されている親御さん、本当に多くなってきているということが、私たちも認識しないといけないと思いますし、何らかの手立てというか支援をしていかなくてはならないと思いますし、その辺が難しいなとは思うんですね、実際問題。ただし、できる範囲で、県としてもこういった教育区分の中で特別支援学校に通っている生徒さんのためにも、そして親御さんにためにもしっかりと考えていってあげる、これが一番求められていることと思いますので、今後も特別支援学校における専門的な外部人材の活用、これをすることによって、そこに働いている学校の教職員の方も非常に助かるということもありますし、今後専門職の配置も増やすということについてしっかり検証していただき、今後の地域のためのセンター的機能のほうにも少し移行できるように、いろんな意味で移行できるように頑張っていただきたいと思います。

 次に、平成22年度公立高等学校の入学者選抜の実施状況についてお伺いしたいと思います。

 昨年12月定例会の本委員会において、これまで6年を経過した現在の選抜制度について、その評価や課題、それからこれまでの見直し内容といったところをお伺いいたしましたけれども、今回で7回目となる平成22年度選抜は、今、正に実施の最中であると思いますけれども、その実施状況等について、ここで何点かお伺いしたいと思います。

 2月26日に全日制の後期選抜の合格発表が行われ、新聞等でも報道されましたけれども、これまでの選抜の実施状況について、今ここでお伺いしたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 平成22年度公立高校入学者選抜実施状況でございますが、まず前期選抜につきまして、課程別にお答え申し上げます。まず、全日制課程でございますが、前期募集人員は1万9,522人で、面接者数4万2,792人、合格者数でございますが1万9,722人でございまして、競争率は2.17倍でございました。次に定時制課程でございますが、前期募集人員は1,583人で、面接者数が2,522人、合格者数は1,502人でございまして、競争率は1.68倍でございました。最後に通信制課程でございますが、前期募集人員が760人で、面接者数が620人で、全員合格してございます。

 次に後期選抜の状況でございます。最初に全日制課程でございますが、募集人員は2万2,125人で、受検者数は3万1,671人、合格者数は2万2,387人で、競争率は1.41倍でございました。次に全日制の日程で選抜を行ってございます定時制の県立平塚農業初声分校と横浜市立の横浜総合高校の志願状況でございますが、後期募集人員は合わせて198人、受検者数が407人で、合格者数が199人、競争率は2.05倍でございました。なお、この2校以外の定時制と通信制の後期選抜につきましては、3月3日に志願を締め切りまして、定時制は募集人員1,454人に対しまして志願者数が1,823人で、倍率が1.25倍となってございます。次に通信制でございますが、募集人員912人に対しまして志願者数が660人で、倍率は0.72倍になってございます。

 また、定時制、通信制の今後の日程でございますが、3月10日に学力検査を行いまして、3月16日に合格発表を予定してございます。

内田委員

 今、ちょうどシーズンですよね。教えていただきましてありがとうございます。全日制の前期募集人員数が1万9,522人で、2.17倍ということで、落ちてしまった方も私立に行かれたり、いろいろあると思いますけれども、多少ちょっと高いのかなと思いますが、それと、やはり後期の定時制の407人受けて199人しか受かっていないということで、やっぱりこの辺も、2.05倍、倍率としてちょっと高いかなと思いますけれども、その辺はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

高校教育課高校教育企画室長

 まず、委員お話しのありました前期の全日制でございますが、競争率、今年2.17倍ですが、昨年は2.19倍で若干落ちてございます。定時制の先ほどのお話しの2.05倍でございます、これも昨年2.11倍で、こちらの方も若干落ちている状況でございます。

内田委員

 それは、もう数年、大体その辺で推移しているということでよろしいんでしょうか。

高校教育課長

 後期選抜で行っております定時制の2校でございますけれども、平塚農業初声分校は三浦半島にある農業高校、昼間定時制でござますけれども、元々1クラス募集でございまして、人数が非常に少ないということもありまして、倍率は大体その辺りで推移しているということでございます。それから、もう一つの横浜市立横浜総合高校でございまして、これは、先ほどずっと企画室長の方から答弁させていただきましたけれども、3部制で午前部、午後部、夜間部と、この三つから成り立っておるところでございますので、午前部、午後部、それから夜間部で倍率が若干違いますけれども、当初はもっと倍率が、開校当初は非常に高かったのですけれども、だんだん落ち着いてきまして、ここのところこの辺りの、両方足すと大体2倍前後で推移しているという状況でございます。

 また、全日制の日程と同じ日程で行いますので、この後まだ定時制の後期募集等々が残っているということもございます。ただ、人気のある定時制であることは間違いないという状況でございます。

内田委員

 人気のある定時制ということで、定時制にもいろいろあるのかなと思いますけれども、今課長からお伺いした倍率とか募集人員や合格者の数、いろいろお伺いしましたけれども、このいろいろお伺いした中で、県当局としては何か課題がここから見えてくるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

高校教育課高校教育企画室長

 課題でございますが、まず一つは、学校とか各地域によって倍率に高低がございます。そういうことを毎年毎年、今後もしんしゃくしながら、私どもとしてはなるべく落ちる生徒は少ない方がいいと。その辺も、それぞれの高校の定員計画を策定するときに十分検討しながら決定していこうと考えているところです。

高校教育課長

 現在、まなびや計画が進められている中で、改修工事とか仮設校舎が建っている状況の中で入学選抜を行っておりますので、非常に、学校によっては、定員策定においてその辺りもしんしゃくしながら学校の入学定員を考えていくという、こういう作業、それから、やはり中学生が非常に増えている地域もございますので、そこの辺りを今後見通した中で、中学校3年生の今後の予測といいますか、その推計値というのが出ておりますので、そういうものも考えつつ、学校ごとの入学定員というものを作成していかなくてはいけないと。まなびや計画も進ちょく状況にございますし、そういった条件を様々掛け合わせた中で、入学定員の方を考えていきたい。一人でも多くの生徒が合格できるようなことを考えていかなくてはいけないということを考えているところでございます。

内田委員

 今まで7年間やってきて、こういう入学選抜の実施状況の中で、今までと比較すると、また昨年と比較して、格段何か特徴的なことはあったのかということと、もしくは課題が浮上してきたのであれば、ちょっとここで確認させてください。

高校教育課長

 今までの本会議、あるいは文教常任委員会等々でも御答弁させていただいている部分でございますけれども、やはり前期選抜において学力検査を伴いませんので、調査書の記載事項、部活動等々、そういうものを評価して、各学校が選考基準をつくって公表してございます。やはりこれが、各学校とも非常に学校の特色を生かして選考基準をつくっているんですけれども、やはりちょっと分かりにくいとか複雑であるという声も伺っておりますので、今年度につきましては、今回の入学選抜の選考基準については、できるだけ平準化と申しますか、記号も各学校がそれぞれまちまちだったようなものも統一したりする中で選考基準を分かりやすくしていくと、そういう中で選抜をさせていただきました。

 後期選抜におきましても、総合学科や単位制普通科などは、学力検査をもちろんやるんですけれども、やはり総合的な選考でございますので、学校によって選考基準がまちまちでございますので、そういう意味で統一できるところはできるだけ記号の統一とかということで改めた上で、今回の入学選抜を迎えたということ。それから、今までは、これから正に今、ちょうどその時期なんですけれども、今年度、通信制と定時制の後期募集、これを同一日程で行っていると、今、ちょうど正しく定時制の後期募集と通信制の後期募集、昨年度までは、先に定時制の後期募集を行いまして、その後定時制の二次募集、そして通信制と、こういう順番を踏んでいましたけれども、やはり中学校側にとりましても高校側にとりましても、選抜期間が1月の中旬から始まって非常に長いと。これは、やっぱり中学校の学習活動にかなり影響を及ぼすところもございましたので、できる限り縮めようということで、同時に定通一緒に募集することによりまして、定から通への志願変更、逆に通から定への志願変更、これが可能になったということでございます。もちろんこの後、まだ募集人員に満たない学校があって欠員があれば、定時制、通信制ともに二次募集を更にやらせていただく予定でおります。制度的に申しますと、こういう点が変わって、あと、先ほどから申し上げております予約の奨学金を始めましたので、1,000人を超える方が申込みをされていると。これは、私学等の状況もございますので、そこの辺りは4月以降私学の側の状況も踏まえまして、その辺りは検証していきたいというふうに考えているところでございます。

内田委員

 いろいろまなびや計画のために仮設工事中である学校が定員を考えたりとか、そういったいろいろ、選考基準が分かりにくかったので分かりやすくしたとか、そして定時制の問題ですよね。後期募集において定通の問題で日にちを一緒にしたとか、いろいろ工夫されてきていると思いますが、今回の選抜試験は、昨年度に比べて公立中学校卒業生徒が約3,000人も増えている状況の中での実施ということですけれども、このような状況を見据えて、これまで県教育委員会としては、こういった人数が増えてきている中学校の場所があると思うんですけれども、そういったことに、この後も考えていかなくてはならないと思いますけれども、これまでの県教育委員会の取組と今後中学生が増える地域についての考え方ですね、よろしくお願いいたします。

高校教育課高校教育企画室長

 まず、県内各地における公立中学校卒業予定者、それは、低いところ、高いところございますので、今回はそういう状況を踏まえまして、全日制高校につきましては全体で地域バランスを配慮しながら44クラスの増を行うとともに、私学とも協調しながら生徒増に対する準備を進めているところでございます。

 また、先ほど委員もお話しのように定時制を受検する生徒が増えておりますので、こうしたことから、さらに向陽館を設置してしっかりとして受け止めていこうと設置したところでございます。さらに、経済的な課題を抱えている生徒、こうしたこともございますので、奨学金について入学前に予約の行えるような制度を充実するとともに、そういう制度につきまして周知してまいったところでございます。

 今後、定時制、通信制の選抜もございますが、それぞれの課程での試験に際しまして、学ぶ意欲のある生徒をしっかり受け止めていってまいりたいと考えてございます。

内田委員

 ちょっと関連で、先ほどまなびや計画のことを高校教育課長がおっしゃってくださいましたけれども、今回本会議で、我が党のいそもと議員がスリット化の効果について少し一般質問されていましたけれども、実際問題、今効果が検証できてきているということをお伺いしましたので、耐震スリット工事は27棟実施しているということですが、具体的にどのような効果があったのか、今ここで確認させていただきたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 耐震スリット工事の効果ということでございますが、お話しのとおり現在27棟について実施をしているところでございます。このスリットにつきましては、事前に専門機関に委託して事前調査というものを行いまして、その結果に基づきまして、専門家を交えました県立学校の耐震化対策の検討委員会というものがございまして、そちらでいろいろと検討させていただきました。

 その結果、27棟中21棟につきましては、これまで大規模補強でなければ駄目だと、こういう状況だったんですが、スリットの効果によって小規模補強でも可能だと、このようなお話をいただいているところでございます。残りの6棟でございますけれども、これは、そこまではいかないんですが、大規模補強は大規模補強なんですけれども、Is値もかなり高まり、それなりに効果、安全性が確保できると、こういうような御意見もいただいているところでございます。

 この要小規模あるいは要大規模補強という基準をちょっとお話しさせていただきたいと思いますけれども、通常は、私がよくお話しさせていただきますようにIs値というのがございまして、このIs値が0.3を上回るか、あるいは下回るか、Is0.3を下回るか未満であれば、これは大規模補強という形になりますが、神奈川県の場合はこれよりも大分厳しい基準、例えば東海沖地震を想定した揺れの強さですとか地質ですとか地盤の強度、こういった独自の指標を加味したより厳しい基準で判断しているところでございまして、この6棟につきまして、どれもIs値でいきますと0.3を超えていると、それだけ改善ができます。ただ、その神奈川県の基準に照らした場合には要小規模補強まではいかないということでございますので、効果としては明らかにあるということでございますので工事を行っていくと、こういうことでございます。

内田委員

 その要小規模補強を行った21棟の安全性は本当に大丈夫なのかということと、あと、大規模補強が必要な57棟について、今後どのような対応を順次行っていくのか、平成22年度の取組を具体的に教えていただきたいと思います。

教育財務課まなびや計画推進室長

 まず、21棟は本当に大丈夫なのかということでございますけれども、この地震に対する強さというのは、主に二つの要素がございます。一つは柔軟性と、それから建物が本来から持っている強さということ、この二つが相まって地震に対して強い建物かどうかというのは判断できるわけでございますが、この耐震スリットは、この地震の力を柔軟に受け止める力、私どもは変形能力と言っていますが、これが少ない柱について、両側の壁からある程度切り離すことによって柱の柔軟性を高めようということでございまして、そういった意味から柱の破壊を防ぐという部分では明らかに効果があると、こんなふうに言われております。そうしたことから、柔軟性が足りないために建物が崩壊したりとか大きな損傷を受ける、こういった被害を防ぐことができるというふうに考えております。

 それから、今後の平成22年度の取組、対応でございますけれども、今現在、元々要大規模補強中心というところで、平成20年9月に97棟ということでお話をさせていただきましたが、耐震スリット等の効果等を見込むと、要大規模補強というのが今年度末には57棟ということになる見込みでございまして、来年度はその57棟を中心に対策をやっていこうということでございます。具体的に申しますと、工事、これは5棟を予定しております。そのうち4棟が完了する見込みでございますので、差引き平成22年度末の段階では、要大規模補強は53棟というふうに考えております。それから、その他、工事だけではございませんので、今後の工事に備えた、例えば実施設計というのを、設計調査ですね、こういったものが29棟、それから仮設校舎の設計ですとか設置あるいは具体的な借上げですね、こういったものが29棟予定しております。都合、これは重複いたしますが、63棟ほど何らかの対策を講じていくというふうに考えております。

 平成22年度の対応といたしましては、以上でございます。

内田委員

 この間、やはりまなびや計画のときの質問で、ほかの委員からもありましたけれども、本当はもちろん改築とかが一番理想的ではあるんですけれども、やはりこの財政状況の中、できるだけスリット工事で、大規模補強が必要だったところを、まずもって少しでも子供たちの安全性を考えると、やはり何らか対処していかなくてはならないと思うんですね。改築するのは横浜翠嵐高校とか、あと希望ケ丘高校、田奈高校とお聞きしましたけれども、改築ができないのであれば、それなりの安全性をやはり担保していかなくてはならないと思いますので、着々と進めていっていただきたいと要望します。

 このところハイチ、それからチリ、それから、この間台湾でも南部の方でたしか地震が起こりまして、国民だけではなく県民も地震に対してちょっと今、非常に神経が高まってきていると思いますので、やはり県立高校の耐震化についても注目されるところだと思いますので、是非地震対策については、神奈川県は地震の震源地に割と近いというか、あるというところですので、やはり学校教育現場としては、中国みたいなことにはならないと思いますけれども、是非安心できる教育環境をつくり上げていただきたいと要望いたします。

 以上で、今日の私の質問を終わります。

6 次回開催日(3月17日)の通告

 

7 閉  会