平成22年  行財政改革特別委員会

◎《委員会記録-平成22年第1回定-20100308-000004-行財政改革特別委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(杉本・曽我部の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 本日新たに出席した当局幹部職員の紹介

5 日程第1を議題

6 調査項目の決定

(1)県主導第三セクター等の状況について

(2)県庁改革の取組みについて

(3)地方分権の推進に向けた取組みについて

7 同上説明

(1)行政システム改革推進課長

(2)同上

(3)広域行政課長

8 日程第1について質疑

 

内田委員

 本日は特に第三セクターの案件に絞って質問させていただきたいと思います。

 多様化、高度化する県民のニーズにこたえていくということ、そして今、財政状況が非常に困難な中で本県も様々な対策をしていることは承知しています。特に第三セクターについては取り巻く状況が大きく変化しているので、かながわ森林づくり公社の解散と神奈川県道路公社、かながわ廃棄物処理事業団の解散、平成29年の民営化に向けた神奈川県住宅供給公社のこの以上四つについて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まずは、かながわ森林づくり公社の解散について触れさせていただきたいと思います。

 かながわ森林づくり公社は平成22年度の前半を目途に解散をすることと決まっておりますが、全部事業をほかの機関に移管するような解散に向けた取組が進んでいると思いますので、公社が行ってきた社営林の関係や時代の流れによって木材価格が非常に低迷してきた経済情勢の背景もあると思います。残念ながら解散することになったということなので、このかながわ森林づくり公社の解散についてお伺いします。

 報告においては、木材価格の低迷や森林整備費の上昇など、今回の経営悪化の原因とされておりますけれども、我が党の鈴木恒夫議員の代表質問に対して知事答弁の方では、将来の木材売却収益で回収を図るという従来の枠組みは事実上破たんしているとの御答弁を頂きましたけれども、しかしそもそも設立の当初から分収林事業の仕組みそのものに無理があったのではないかと思いますが、その辺のところをお伺いしたいんですけれども、昭和40年代における急激な経済成長と物価の高騰、これは林業の労働力の減少とか、林業経費の高騰を招いて本県の林業情勢を極度に悪化させたと思いますけれども、そもそも国の施策ではあるとは思いますし、県もそれにかかわってきたとは思いますが、設立の当初から分収林事業の仕組みそのものに無理があったのではないかと、このところをしっかりと検証してみたいと思いますので、お伺いしたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 分収林事業につきましては、公社が造林者及び費用の負担者となりまして、土地所有者と分収造林契約を結びまして、地上権を設定してスギ、ヒノキを植栽し、森林整備を行いまして、収穫時に収益を土地所有者と公社で分収、分け合うという事業の仕組みでございます。契約期間、約50年ないし55年というような長期にわたるものでございますが、伐採まで主たる収益は見込めませんので、この間の事業費は県の貸付金あるいは日本政策金融公庫からの貸付金で賄うというような仕組みになってございます。

 公社が設立をされました昭和43年前後の木材の需給状況は、戦後復興期から高度経済成長期にかけましてはおう盛な木材需要を背景といたしまして、森林資源の確保、充実のための国策として拡大造林政策が推進をされてまいりました。こうした拡大造林政策が推進される中で、木材需要の増加とともに木材価格も上昇を続けましたことや、市町村あるいは林業関係団体から要望等を受けましたこと、また全国的な公社設立の動き状況等も踏まえまして、昭和43年に公社が設立されたわけでございますが、当時といたしましては、分収造林を推進するための専門的な機関として公社の必要性は大きかったのではないかと考えております。

内田委員

 昭和43年に設立されたということですが、その時代というのは私どもが生まれたころなんですけれども、やはりそのころはまだ木材価格というものもそこそこであり、その後の情勢が極度に悪化してきたということが言えると思うんですけれども、そういった公社設立当時の国策ということもあったことは承知しておりますが、結果的には公社の解散によって、県は約262億円の巨大な債権放棄を認める事態になり、委員会の報告では経営環境が設立当時と一変してしまったということですが、まず経営悪化の原因について、順を追って詳しくお聞きしたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 国内産の木材価格につきましては、昭和55年をピークに低下傾向に転じました。現在はピーク時の約3分の1ほどでございます。一方、経費になります人件費、労賃関係でございますが、約1.67倍ほどに上昇してございます。林業を取り巻く社会経済情勢は、当初の想定をはるかに上回る大変厳しいものとなっておりまして、借入金の償還に見合う伐採収入を見込むことが大変できづらくなってございます。こうしたことから、今後、事業を継続したとしても、相当な木材価格の上昇がないとなかなか債務の返済、償還ができないのではなかろうかという状況になってございます。

 その一方で、社営林の平均林齢は28年生ということでございますので、またその94%は水源の森林づくりエリア内にございますので、引き続き公益的機能の高い森林づくりとして行っていく必要がございます。このまま公社が存続した場合には、引き続き借入れを行っていくことになりますので、また債務の増大につながるというようなことにもなりかねないところでございます。

 こうしたことから、平成19年3月には、公社の見直し方針を作成いたしまして、公社の分収林事業の継続は困難ではなかろうかと考えまして、平成22年度前半を目途に公社は解散するという方針を決定いたしました。また、併せてその際、公社の社営林事業は県に移管し、県は分収林における公社の地位を公社の債務とともに引き継ぐ、今後は県が森林整備を行っていくというような方針を定めさせていただいたところでございます。

 県財政は非常に厳しい状況にはございますけれども、今般、公社の日本政策金融公庫からの借入金約91億円につきましては、県と公庫との損失補償契約に基づきまして県が損失補償を行います。また、県の貸付金171億円、これを合わせましてトータル約262億円につきましては、債権放棄を行わさせていただきまして、公社を解散するというふうなことになったところでございます。

内田委員

 結局、今まで12市町村の個人山林や官公造林跡等の整備が行き届かなくなって、その3,500ヘクタールの造林を行って、保管とか管理を行っていくと思いますけれども、結局、木材価格の低迷や森林整備費の上昇の中で借入金の原資として50年にも及ぶ長い長期の事業を行っていれば借受けの金利負担だけでも相当な額になってしまうと思いますけれども、林業の衰退自体は、もう私が思うには平成の初めのころか、その前なのか、かなり早い時期から言われ始めていたと思いますし、ほかの県の状況も同じだと思いますけれども、まず一つはほかの全国的な県の状況はどうなのか。全国的にそういうことなんだと思いますが、一応その確認と、公社設立後、昭和50年代から木材価格の下落という、55年がピークだったので、その後、木材価格の下落が始まっていると思いますけれども、こういった経済状況の悪化について県や公社の方ではどのように認識をして、何か改善をしようとしなかったのか、こういったことについてもお伺いしたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 まず、全国の状況でございますが、現在36都道府県に40公社ございます。40公社の長期債務残高は1兆を超えているような状況でございますので、総じて全国の林業公社の経営状況は大変厳しい状況にはあるだろうなと思っております。

 それから、先ほどの認識でございますけれども、木材価格の低下とともに木材需要も昭和48年がピークでございましたけれども、当時1億2,000万立方メートルございました。それ以降、減少をしてございます。しかしながら、昭和61年ごろ、現在バブル景気と呼んでおりますけれども、景気拡大によりまして木材需要も大分回復をいたしまして、平成9年ごろまでは木材需要は大体1億1,000万立方メートルで推移をしてございました。そうした木材需要が拡大をする中で、国産材価格につきましても、昭和63年から平成2年にかけましては上昇をしてございます。若干平成3年以降、バブルがはじけるというんでしょうか、以降は下落に転じておりますけれども、こうしたように国産材の価格動向は依然として厳しい状況にございましたけれども、外国の産地国の木材需給あるいは資源状況の変動に大きく影響を受けたこともございまして、またその当時から地球環境問題という言葉が大きく取り上げられるようになりましたので、将来における森林資源の確保という点ではちょっと懸念がされるようになった背景もございます。

 こうしたことを背景にいたしまして、いずれ木材需給というのはひっ迫することがあるんではないか、反対に再び国産材の時代が到来するのではないか、そしてまた国産材価格もこうしたことを背景に将来的には上昇するのではなかろうかというのが、森林林業関係者の中では考えられておりまして、そうした平成当初の段階ではなかなか分収林事業をやめて公社を解散するという判断は困難ではなかったかなと思っております。

内田委員

 ほかの県の状況を教えていただきましたが神奈川県のこうした判断は全国的に早い方なんですか。

森林づくり公社調整担当課長

 現在40公社ございますけれども、本県より、実は岩手県と大分県が平成19年に既に解散ということでやってございますが、本県は三セク推進債、これは21年度から国の方で措置をしていただいたわけでございますが、岩手県、大分県は、当時はその制度がございませんでしたので、両県におきましては今まで公社が負っていた債務をそのままそっくり県が引き継いで日本政策金融公庫に返済をしていく、償還をしていくというような形で処理がされておりますので、三セク推進債を活用して林業公社を解散するというのは本県が初めてでございます。

内田委員

 平成1711月にかながわ森林づくり公社あり方検討会、先ほどもお話しいただきましたけれども、その提言で県は公社解散に向けた取組に着手したと考えますけれども、それまで公社を解散するという考えというのはなかったのかということと、それから先ほどお伺いしましたけれども、平成2年ぐらいのときは木材価格は上昇していた、バブルもあったし、その後、平成3年ぐらいから下落していったということですけれども、平成9年から経営改善に取り組んできたということで、決して早くもなく遅くもなくという感じもいたしますけれども、これは公社の経営状況について、県も公社もこのころからやっと危機感を持ち始めたのではないかと思いますけれども、その平成の初めのころの3年ぐらいから今まで、平成17年の提言があるまで、あるいは検討会の提言があるまで、県として何らかの検討というのは行ってこなかったんでしょうか、お伺いします。

森林づくり公社調整担当課長

 公社の見直しにつきましては、実は公社も木材価格が低下をし始めたころにつきまして、平成9年度辺りから経営改善に取り組んでおります。平成9年度から経費がちょっとかさみましたので、新規の事業というものは中止をいたしました。その後、いろいろ借入金の低利への借換えとか、これはまた国の方で制度化をしたものに公社も乗っかったというようなこともございますけれども、そういったような低利への借換えで債務の負担を減らしていくというような取組、例えば人件費の軽減とかいろいろ経営改善等はさせていただいたところでございます。

 ただ、先ほど木材価格の低下傾向と申し上げましたけれども、平成十二、三年辺りまではまだ公社の設立当時の木材価格を上回っておりましたので、実際問題としては今後の景気動向あるいは海外の産地国の木材需給の動向、当時は輸出禁止とかいう措置を講じた海外、外国もございましたので、そういったことを背景にいたしますと、まだ回復の見込みがあるのではないかということで、平成の10年代初めぐらいまではそんな認識が持たれておりましたので、解散というところまでの検討には至っておりませんでしたのが実情でございます。

 ただ、平成1415年ぐらいになりますと、更に木材価格が下がりましたので、昭和43年の設立時を下回るような木材価格で今日推移をしてございます。そういったことを背景にいたしまして、1611月にあり方検討会を設置いたしまして、その後、公社の抜本的な見直しに向けて取組を始めさせていただいたというのが経緯、経過でございます。

内田委員

 バブルのころは、輸入木材も注目されていて、私どもも目にしましたし、木造のいろんなものがもてはやされた時代もありますけれども、今やはりなかなか木材価格は上がらないということで、残念なことだと思います。ちょっと質問の視点を変えますが、12月の特別委員会報告では、平成19年から21年度の公社役員は県のOBということになってますけれども、人数は減ってきていると思いますけれども、職員にもそういうOBさんがいらっしゃいますけれども、公社の設立からこれまで理事長など主な役員の方は皆さん、県のOBさんだと思いますけれども、経営責任というか、その辺のところはどのように最終的に考えているのでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 公社の理事長、理事等、県のOBが務めさせていただいてこれまできてございます。理事長は当初のころは現職の副知事が兼務をするような形でございましたので、実際には専務理事が事務局を代表してやっておるというような状況だったかと思っております。それで、経営責任というお話もございましたけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、国内における木材需要の動向あるいは環境保全の高まり、経済新興国の受入木材需要の増等、将来的な外国産材の供給減少等の懸念材料というようなこともございましたので、国産材の需要の高まり、あるいは価格面の持ち直しが期待されていった時期もございましたので、そこの時点で公社の経営者の責任というのはなかなか難しかろうと、経営判断に誤りがあったとは言えないのではないかというふうに考えております。

内田委員

 なかなかその時点では判断できなかったということですけれども、結局、結果的には262億円の巨額の債権放棄は大変大きな問題であり、公庫に対しても91億円の損失補償を行ったとなってますけれども、社団法人ですので、意思決定は総会ということになりますけれども、結局、そのときの経営者の判断はできなかったとはいえ、262億円の巨額な債権放棄ということなんですから、県の責任というものはやはり重大であり、またそういったことも免れないと考えますし、また知事の方でも多額の損失補償と債権放棄、非常に重く受け止めているという御答弁でしたけれども、結局のところ、県当局としてはどのような責任があると、重大であると考えているのか、ここでしっかりおっしゃっていただきたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 森林づくり公社の債務問題でございますが、県といたしましては大変重く受け止めをさせていただきまして、正に県民の皆様にこの262億円という債権放棄、あるいは91億円の損失補償も含めますけれども、こういった御負担をお願いすることにつきましては、大変申し訳ないというのが実際でございます。そのため、私どもといたしましても、これからしっかりやらなければならないことといたしましては、一つは県民の皆様に対して、公社設立の経緯等も含めまして、しっかりと御説明をし、御理解をいただくことが重要ではないかと考えております。

 またさらに、県が公社から引き継ぎます社営林の94%が水源の森林エリア内にございますので、この面積の3,300ヘクタールという広大なものでございます。水源の保全、あるいはCO2の吸収といったような公益的機能も含めまして、これらの森林を県がしっかりと管理をしていくと、こういうことを県民の皆様に御説明をして、その森の公益機能の高度発揮というようなことで、県民の皆様に御説明をしまして、そういう格好で県としても社営林を引き継いでいくというようなことで御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思っております。

内田委員

 今、社営林の方を引き継いでいくというお話でしたけれども、やはりお聞きしたところによりますとまだまだこれから何十年かかかる、管理がなされる樹木が多いらしいですけれども、あとお聞きしたところヒノキが70%以上で、スギが20%だということで、ヒノキなんかはとてもいい木材だと私は思いますけれども、水源づくりの事業、今後、環境問題が騒がれる中、神奈川県としても重要な施策になってくると思います。公社の解散によって、県の人工林の約1割に当たる社営林が県に移管されますけれども、今後、どのような受入体制で考えて、真剣に考えていくのか、そういったところを最後にお伺いしたいと思います。

森林づくり公社調整担当課長

 公社の社営林の受入れでございますが、公社の解散につきましては当初7月末という計画の予定でおりましたんですが、4月5日ということになりまして、約4箇月前倒しをされることになりましたので、県といたしましてもそれに併せて社営林の受入体制を整備する必要があると考えてございます。現在、県有林等の森林管理を行っております既存の組織でございます自然環境保全センターで社営林を受け入れまして、既にございます県有林等々と一体的管理のできる森林管理体制を組織しまして、効率的な社営林経営を行ってまいりたいと考えてございます。

 具体的には、自然環境保全センターの県有林部に社営林を分掌いたします組織を設ける方向で庁内調整を行っているところでございます。また、人員につきましても当面必要最低限ということになりますけれども、全国植樹祭終了後につきましては所要の人員も配置する方向で管理部局と調整をしておるところでございます。

内田委員

 最後に、要望をしておきます。

 環境林として県の役割というのは非常に重要でありますし、水源の森林ということもありますから、森林づくり公社は解散しますけれども、実は非常に将来に向けては大切なものを含んでいると私は思いますし、単に環境林だけではなくて、例えば木材がどのように、例えば伐採したら売れるかとか、そこまで考えていただきたいですし、それにはやはり適切な管理というものが進められると思います。今後、全国植樹祭もありますし、神奈川県のモデル林というんですか、イメージアップにもつなげられるような環境の保全に一役買っていただけるように、今後も今までの県の責務を十分反省していただきながら取り組んでいただきたいと要望します。

 

(休憩 午後零時2分  再開 午後1時)

 

内田委員

 引き続き、第三セクターについて質問させていただきます。

 現在、環境農政常任委員会の方でこのかながわ廃棄物処理事業団の解散について、その入札結果など公表されましたし、今日もクレハ環境に決まったということの報告を受けましたので、この()かながわ廃棄物処理事業団の解散について聞きたいと思います。

 今回、事業団は今年度限りで解散し、事業を民間に譲渡するということになりましたけれども、まず今まで、県や横浜市、川崎市が事業団を設立した経緯についてお話を願います。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 事業団を設立しました平成8年当時、本県内の最終処分場がひっ迫する中で、かなりの量の産業廃棄物が県外に搬出されておりました。こういう中で、他県では相当大規模な、例えば青森県、岩手県の不法投棄事案であるとか、香川県の豊島の事案であるとか、社会的に問題になっておりまして、多くの県でこうした搬入を規制する措置がとられておりました。こういう中で、県内におきましては処理施設の確保というのは土地の確保であるとか、それから地域住民との調整と、非常に難しいという点がございまして、民間の処理業者のみでは解決し得ない状況でございまして、公共関与による廃棄物処理施設の設置が急務とされておりました。こうした中で、県内の経済団体、商工会議所等から県に対しまして、こうした公共関与による施設の早期設置に関する要望なども出されておりました。このため、県は横浜市、川崎市と三者で一体になりまして、県内処理の推進、それから民間処理施設の設置促進を目的にかながわ廃棄物処理事業団を設立したものでございます。

内田委員

 かながわ廃棄物処理事業団経営改善検討委員会の資料を見ていますと、やはり昨年度4月の産業廃棄物の搬入状況は大体3,373トンで、何年間かそれで推移しているということでありますが、単価の方は段々安くなってきてしまっていて、4月の平均単価は約27円ということで下落してきました。民間業者も参入してきましたから、時代の変遷とともにやむを得ないのかなというのは私も分かっております。今回、4事業者が入札したと思いますけれども、クレハ環境が146,900万円で落札したということで、それは結果として高価で売却できる意味では良かったかなと思いますけれども、結局、3自治体、川崎市、横浜市、我が県と足して45億円ぐらい負債が残るということもお伺いしてますけれども、今まで公共関与してきたこの事業団、廃棄物処理事業団ですけれども、結局どのような役割を果たしてきたのかということをまとめてお伺いしたいと思います。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 事業団は平成13年度に、クリーンセンターを稼働させましたが、それ以降、20年度末で約1,800の事業者と契約を結びまして、県内処理の推進に寄与してきたところでございます。それから、その後、緊急的事案への対応として、例えば平成14年度に県内でBSEの発生した際には、こうした牛の処分を行うとか、また昨今の新型インフルエンザ、こういう発生に伴う感染性廃棄物についての相互協力協定とか、こういった緊急的事案による対応をしておりました。

 また事業団は、例えば処理困難物、微量のPCB汚染物等があるんですが、今後処理しなければいけないものがあるんですが、こういうものもなるべく国の処理実施を協力する態勢を図ってきました。こうした公共的な役割を果たしてきたところでございます。

内田委員

 当初は県内の中になかったということですから、県外に排出していたことは、どうしてもやむを得ないということ、そして環境問題も必至になってきましたから、そういったことでこういった事業団も必要なものであったし、その役割を果たしてきたと思うんです。また、医療廃棄物など、特に医療の問題は高い単価で引受けができて良かったんだと思いますけれども、事業団の経営状況が悪化する中、事業団の経営改善を図るために事業団や県としてはどのような対応をしてきたのかということと、また事業団はどうして解散することになったか、先ほどの御報告の75ページにも大体書いてありますけれども、お聞きしたいと思うんです。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 まず、経営改善を図るための対応でございますが、先ほど委員の方から御指摘ございましたように、当初平成16年度までは非常に搬入量も多くございました。5万トンベースでありました。平成17年度、これはダイオキシンの事故があったり、それからリサイクルもかなり進展しておりまして、17年度以降、搬入量が減少した。こうした中で、収支の悪化が続いたんですが、平成19年度に行われた包括外部監査ではこういうものを受けまして、経営改善計画を早期につくりなさいというような御指摘をいただいたところでございます。

 このため、県は3公共とともにそれから事業団と一緒になりまして、平成21年1月に経営改善計画をつくりまして、搬入量の確保であるとか、それから人件費だとか、焼却炉の運転委託契約等を含めた支出の削減、こういう経営改善計画を作成いたしまして、それ以降、経営改善に取り組んできたところでございます。それから、併せまして平成21年2月に外部有識者による経営改善検討委員会を設置しまして、こうした経営改善の在り方について検証をしていったところでございます。

 次に、解散の理由でございますが、事業団ではこういう搬入量確保につきましては県の産廃協の協力等も頂きながら、計画に基づく今年の搬入量3万8,000トンを確保できる見込みとなっています。ただ、先ほど委員の方から御指摘ございましたように、近隣の民間施設との競争、それから景気の動向、こういうものがございまして、搬入の単価がこの上半期だけで25%以上低下しております。この結果、搬入量が収入増に結び付かないという状況になりまして、先ほどの検討委員会から昨年11月に事業継続は困難と、公共負担はこれ以上増加できないなら、事業団を解散して民間事業者に対して譲渡すべきであるという報告を受けました。この報告を県と横浜市、川崎市は受けまして、更なる公共的な負担というのは難しいということで事業団の解散と事業譲渡を決定したところでございます。

内田委員

 今ざっとお聞きしましたけれども、民間に譲渡するということで、入札が行われクレハ環境に決まりましたけれども、この入札には4事業者が参加したということですが、入札予定金額というものがあったのかどうか、幾らぐらいだったのかということと、あと一応146,900万円で落札されたということで、当初の入札予定金額と何でこんなに違ってきたのかということ、県としての考え、それからその譲渡先のクレハ環境に対して、4月1日からの事業開始に向けて今現在どのような対応を図っているのかということをお伺いしたいと思います。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 まず第1点目のこの譲渡の価格でございますが、入札する前に予定価格というのを事業団の公認会計士に依頼しておりまして、決めていただいています。その価格は予定額2,000万円ということで、これはもともとその後、施設を使ってどれだけ収益を上げることができるかということで、15年間で最終的には10億円の撤去費用も含まれるということ、それから先ほど言ったような産廃業界の状況と、非常に単価も下がっているというような状況で予定価格は2,000万円でございました。こうした中で、価格は146,900万円という価格になったんですが、非常に譲渡が難しいというのがまず前提でございまして、それから譲渡価格をなるべく高くして県民の負担を軽くしたいということで、譲渡に当たっての条件、例えば土地を貸しているんですが、賃借期間であるとか、それからここの事業団に付加価値を付けるために、特別管理産業廃棄物の許可を取らせたりとか、それからPRをしたりということで、付加価値を高めるような努力を県、横浜市、川崎市と事業団で行いました。

 そういう中で、最終的に146,900万円という価格でございますが、これはその事業者が、クレハ環境がこの事業団の施設を使って、例えば微量PCBであるとか、自分の持っている技術力、それから拠点を生かしながらその15年間で収益を上げるということで活用を検討した結果、出てきたものだということで、非常に高い価格ということで非常に我々も有り難く受け止めております。

 それから、現在、3点目にやっていることなんですが、2月4日に理事会で一応譲渡先につきましては決定いたしまして、その翌日の2月5日に契約を結びました。今現在、その契約に基づいて進めているところではありますが、4月1日開業ということで非常に時間もないものですから、譲渡に向かいまして、一つは雇用の問題であるとか、それから炉をどういうふうに運転していくということで、そのノウハウを伝授したりとか、クレハ環境に継承してもらうとの調整を図っているところでございます。

内田委員

 当初2,000万円の価格が約146,900万円ということで、非常に違うなという感じが正直受けましたけれども、すべてがこういうふうになってくれればいいんですけども、まれな例かなとも認識しております。

 結局、県は今、日本政策投資銀行と損失補償契約を締結していると思いますが、今現在、進めているということでしたけれども、銀行とはどのような交渉を行っているのでしょうか。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 事業団の施設の建設に当たって、この政策投資銀行から772,800万円を借りまして、現在まで返済して残っている額が345,500万円ございます。この借入金に対して、県と横浜市、川崎市とそれぞれ3分の1ずつ損失補償をしているところでございます。それで、損失補償契約では、事業団の解散から6箇月経過後に県は損失補償すると、その間、年14.5%、これは約2億5,000万円になるんですが、この遅延損害金が発生する、支払うという内容になっております。昨年11月ですが、決定した以降、県と横浜市、川崎市を含めまして3公共と銀行側で5回ほど交渉しております。

 銀行側の主張は先ほどの損失補償契約どおりの履行を求めるというものでございます。これに対して県の方は、損失補償に当たりなるべく返済期間を早くに返済したいという主張をしているところでございます。それから、銀行側は債権を担保するために、施設への抵当権であるとか、それから銀行口座に質権設定、こういうものを主張しておりますけれども、これは売却だとか、それから今後の事業団の運営にも大きな支障がございますので、これについては拒否する方向で交渉していきます。こうした面につきましては、県は顧問弁護士のアドバイスを頂きながら、銀行側と交渉をしているところでございます。

内田委員

 やはり少しでも県の負担をなくすためには銀行と良い契約交渉をしていただきたいと思います。

杉本委員

 ちょっと関連で、14.5%の遅延損害金が取られるんですか。これは最初から決まってるんですか。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 借りた当時の契約の中で、これはそれぞれ13年前に3回ほど契約しておりますが、契約の中で決まっておりまして、先ほども遅延損害金14.5%という中で契約の金額が出てます。

杉本委員

 例えば、借入れを起こした時点で当時の金利、その後下がってますよね。何回か借換えってしてきたでしょう。その中で、当然その損害金に対する利息というのも見直されてきたんじゃないですか。それはないの。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 計画の変更というのはしておりませんで、その当時のものはそのままになっております。

杉本委員

 それもおかしな借り方だよね。やっぱりこれだけ金利が下がってくる中で、その都度その都度で借換えをしてくるということも重要なことだったと思います。併せて、半年だけども、これはできるだけ早く返済できるようにした方がいいよね、2億5,000万円も違ってくるのだから。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 遅延損害金は14.5%ですが、利息そのものは1%から2%と非常に低い有利な条件で借受けができまして、ただ払えない場合の遅延損害金というのは14.5%、これは銀行が比較的そういう形でやっている例が多い様子でございますが、遅延損害金については非常に高い。ただ、通常払う利息につきましては、無利子のものであるとか、非常に低い条件で借りてございます。それから、銀行との交渉につきましてはなるべく早いうちに払うということで今調整を進めているということです。

内田委員

 そういったことで、なるべく早い時期に返すことで県の負担も低くなるということなので、よろしくお願いいたします。

 今回、このかながわ廃棄物処理事業団の解散に伴って、事業団に対する県の債権というのは最終的にはどのようになっていくのか、確認をもう1回と、それから今後のクレハ環境に関しては、いろいろ事業やノウハウ伝授、引き継ぐのだと思いますけれども、例えば人材のこと、そういう最終的な引継ぎに関しても最後にお伺いしたいと思います。

環境農政部参事(廃棄物調整担当)

 まず県の債権でございますけれども、県が事業団に貸し付けておりますのが約8億1,000万円がございます。それから先ほどから申し上げているような政策投資銀行に対する返済、これが約115,000万円の残金でございます。この分につきましては、事業団の破産手続、今後の中で清算を図っていくことになりまして、この清算の中で先ほどの売却額146,900万円の配当が行われ、それで未回収になった債権額については、額が確定した段階で、また議会へも報告させていただきたいと考えております。未回収の債権につきましては、最終的には議会の議決を経て、放棄させていただきたいと考えております。

 それから、2点目のクレハへの継承に当たっての調整ということですが、特に人的な面、今まで炉を運転していた職員もおります。そうした職員についても、クレハ環境の方では是非、継承したいといいますか、雇用したいということで、今かなり個別に調整を図っておりまして、それから更に公募を図る等で、その運転が4月1日からできるような形で本社を挙げて今対応を図って、事業団の方もそれに対して協力しているところでございます。

内田委員

 しっかりとそういった県の債権処理と、それからもう一つは事業継承もしっかりと行っていただきたいと思います。特に人材の面に関してはやはり思いがあると思いますので、是非きめ細やかに対応していただきたいと思います。

 次に、神奈川県住宅供給公社の民営化に向けた取組についてです。神奈川県住宅供給公社の民営化ということは遅くても平成29年までに目指しているということを伺っておりますが、こういった住宅の問題は本当にこれから高齢化社会、超高齢化社会になっていくわけですから、いろんな面で考えていかなくてはならないと思いますし、そんなに簡単に民営化できるのであろうかと私は思っておりましたけれども、とにかくしていかなくてはならないということなので、お伺いいたしたいと思います。

 まず、これまでの公社の民営化に向けた取組状況はどうなっているのか、確認したいと思います。

住宅供給公社改革担当課長

 公社のこれまでの民営化への取組でございます。公社では県の民営化の方針を受けまして、公社内に民営化推進本部を設置いたしまして、平成18年度から20年度にかけて集中的な取組を行ってきたところでございます。その結果、公社が管理します住宅にはかなり老朽化した団地が多いことなど、今後の民営化に向けては幾つかの課題があるといったことが明らかになってございます。そうした課題の整理とそれから当面の予測につきまして、昨年の6月に公社から民営化推進本部の検討結果ということで御報告をいただきました。

 県ではその報告を受けまして、公社としては初めての民間からの理事長を昨年7月に新たに任用いたしまして、そうした課題の解決も含めた今後の民営化の道筋を検討するということで、民間の経営感覚を生かしてもらいたいということで任用したわけでございますけれども、今現在、新理事長の下で具体な民営化に向けての全体的な道筋を策定しているところでございます。

内田委員

 今、理事長が代わったということで、民間の方が就任され、ちょっと期待を持っているところなんですけれども、公社の民営化に向けた主な課題、例えば老朽化、私は老朽化が一番主な課題だと思っているんですけれども、実際問題どのようなものがあるのか確認させていただきたいと思います。

住宅供給公社改革担当課長

 公社民営化に向けてのこれまで整理された課題、主なところで3点ほど申し上げますと、まず繰り返しのようでございますが、公社が管理する住宅の中に多数の老朽化している住宅があるということ、それからまた公社の一般賃貸住宅、これが公社の現在の主要な中核的な事業でございますけれども、こちらには多数の高齢者の方、あるいは所得の低い方がお住まいになっているということ、公社の事業を早期に民営化した場合には、その後に残った債務について県の方で負担をしなければならない、県の負担に帰する可能性があるということ、そういったことが課題として整理されております。

内田委員

 その今お答えいただいた1点目の老朽化についてですけれども、公社が管理する住宅は老朽化した建物が多いということですが、その現状はどのようになっていますでしょうか。

住宅供給公社改革担当課長

 公社の住宅の現状でございます。公社の中核的な事業であります一般賃貸、こちらの例で申し上げます。20年度末で1万3,794戸管理しておりますけれども、そのうち築30年以上の建物が、約79%、約8割でございまして、1万戸強ございます。さらに築40年以上となりますと、約26%ということで、全体の4分の1以上を占めております。

内田委員

 今のパーセンテージを聞いただけでも、ちょっと私としても驚いてしまうぐらいなんですけれども、今後、民間への移行を進めるに当たっては、今のような老朽化した物件の建て替えも考えていかなければいけないと思いますけれども、しかしながらコストを抑えていかなくてはならないという両方の側面があると思いますけれども、その辺りで何か検討というものをしているんでしょうか。

住宅供給公社改革担当課長

 ただいまの委員からも御指摘がございましたように、公社の抱えております老朽化していく住宅、これをすべて今後建て替えていくとなると、膨大な建て替えの資金が必要となってございます。また、公社の民営化の後といったこと、その民営化後の経営の継続性といったことを考えましても、そういった膨大な建て替えのコストというのは圧縮していく必要があると、こういう認識でございます。

 そのために、今現在ではこうした建て替えコストを圧縮すると同時に、建て替える時期がピークで集中しないように、それを何とか今後平準化していくために、一つの方向性といたしまして、建物の長寿命化といったようなことを公社の方で考えて検討してございます。ただ、まだ具体にその計画というのができておりませんで、現在はその建物の長寿命化のための検討に向けて、その対象となる建物のコンクリートの中性度合いですとか、それから劣化の状況を調査するといったような作業を現在進めているところでございます。

内田委員

 なかなか築30年も50年も等しく修繕していくのは非常にコストもかかると思いますし、いろんなことを考えないといけないと思いますが、例えば高層階にしていくとか、そういったアイデアとか、実際そういうことはできるのかどうかって分かりませんけれども、そういったいろんなことで考えていくべきだと思います。

 もう一つは、先ほどの2点目にありました高齢者の方や所得の低い方がお住まいになっているということですけれども、そういった方々の入居状況というのはどの程度というか、どういうふうになっているんでしょうか、お伺いします。

住宅供給公社改革担当課長

 公社では平成20年度に一般賃貸住宅の全入居世帯を対象にアンケートを行っております。調査対象は約1万2,300戸ございまして、回答をお寄せいただけましたのは、約8割超の1万世帯から頂いております。その世帯年齢、年収について、回答があったもので見ますと、60歳以上の方が平均で47.8%、それから団地ごとの最高最低は多少ばらつきがありますけれども、多いところでは7割を超えている60歳以上の方が団地の方もあったというようなこともございます。また、比較的所得の低い方ということで申し上げますと、例えば公営住宅の原則入居基準でございます3人家族の標準モデルで大体年収400万円ぐらいと言われてございますが、そういった世帯に該当する方たちが平均で約53%といったような状況でございます。

内田委員

 もともとこれは賃貸ということですけれども、大体なぜそのようなパーセンテージになったか、実態を伺いたいと思います。

住宅供給公社改革担当課長

 住宅供給公社の住宅は、そもそもは中堅の勤労者の方向けに住宅を提供するということが公社法上の使命としてございます。ですので、特に高齢者あるいは所得の低い方を優先的にこれまで政策的に入居をしていただいてきたというわけではありません。ただ、若いときに公社の住宅に入られた方が、長年ずっと公社に住まわれて高齢者になられていたり、あるいは先ほどの公社の課題とも関係するんですが、老朽化した古い住宅が多いもんですから、賃料の値付け自体も少しお安くなる、そういったところでそういうお安い家賃に対してニーズのある世帯の方たちが入居されてくる、そういう意味では、言い換えますと公社が長年住宅事業をやっていた結果としてこのような実態があるということでございます。

内田委員

 もともとは中堅の所得の住民の方を対象ということですが、結局、実態としては今は高齢化社会に進んでますから、どうしても入居者は高齢者になり、また、老朽化しているということもあり家賃が安いということもあるから、所得の低い方が実際には多い、そのことについて、県としてはそういう方々に対してどのように考えているんでしょうか。

住宅供給公社改革担当課長

 高齢の方ですとか、所得の低い方が住まわれている、公社が実態として担っておりますそういう公的な部分については、先ほど御答弁申し上げました公社の民営化推進本部の検討の中でも、公社のみでの解決ということではなく、県の一層の関与が必要であるといったような課題も指摘されておりまして、そういったことを受けまして、県といたしましても、居住者の方の居住の安定の面から、公社の民営化に向けて、そうした居住者の方の部分については、県の住宅施策全般で受け止めていく必要があるかなという認識はしてございます。

 今後は現在、県においては、神奈川県住生活基本計画を、改定作業中でございます。そういった改定作業の中での論議の中でもその在り方について検討してまいりたいと、かように考えております。

内田委員

 老朽化のことについて、また高齢者、所得の低い方の課題については分かりました。

杉本委員

 ちょっとバランスシートを見ると、20年度の貸借対照表の中で、次期返済長期借入金というのが259億あるでしょう。これは1年間にもうこれだけ返済するということだよね。

住宅供給公社改革担当課長

 公社の年間の返済額、これまでですと、大体100億円ぐらいずつを過去6年間に返してきているといったようなことがございます。平成14年の2,000億円台を20年度末までで1,395億円まで抑えてございますので、6年間で600億円程度が返済しております。

杉本委員

 要は、年間を通じて200億円ぐらいの売上げしかないですよね。1年間に200億円ぐらいの売上げの中で、これから遅くとも平成29年までに民営化に持っていこうとするときに、負債が、固定負債で1,460億円からあるわけですよね。下の方の引当金は別にしても、長期借入れで1,130億円もあるわけですよ。現実に、例えば、民営化するときに、この負債の処理というのは大変な、今まで清算しているほかの事業はあるけれども、それと比較してもこれは大変だと思うんです。確かに単年度では22億円、利益が出てるわけだけども、そんなもんじゃとてもじゃないけど、これは回収できない状況であって、この辺というのは非常に大きな課題になってくると思うんで、いかがですか。

住宅供給公社改革担当課長

 確かに20年度末で債務は1,395億円が残ってございます。20億円の利益というのは、償還をした後の利益ということでございますので、先ほど申し上げましたように、これまでも大体100億円ぐらいずつ年度では返してきておりますけれども、それは通常の一般賃貸住宅の収益だけではなくて、いわゆる事業資産として未利用の事業資産の中で売却できるものについてはこれまで売ってきて、そのペースで返してきてございます。

 実を申し上げますと、既に、ある意味、売れるものはほとんどこれまでに売却をしてきておりまして、今後は一般賃貸住宅の収益を中心に地道にといいますか、返していく、そういった構造になってまいります。そうすると、大体想定されておりますのが年間で40億円程度ということになっていきますので、少し償還ペースが落ちます。ですので、民営化を考えていく際には、その際にどういう形で民営化、民間へ移行していくかということもございますけれども、その有利子債の取扱いというのは大きな課題になってくると考えてございます。

杉本委員

 本当にそうですよ。今までほかの解散している公社と、全然、価格が違いますよ。これは大変な問題だろうと思います。当然、これは入居者の問題もあるし、老朽化している施設の問題もある。しかしながら、組織としての処理をしていく、民営化に当たって解決しなければならない、これは金銭的な部分も相当大きなものがあって、ですから今、住宅供給公社の抱える民営化に向けての課題というのはものすごくたくさんあるというふうに思います。これはしっかりと本当に民間が買い取っていただけるだけの組織にするためには、もっときめ細かにやはり今後の対応策というのを今からしっかりと協議していかないと、なかなか厳しいと思うんですけど、いかがですか。

住宅供給公社改革担当課長

 ただいま委員の御指摘がございましたように、有利子債の問題もしっかりございますけれども、確かに公社の民営化に向けての課題は非常に大きなものがございます。

 先ほどの有利子債のことで言えば、民営化のときに例えば民間に移行する際に、例えば民間から資金を集めるということであったとしても、それなりに事業なり資産、そういったものに魅力がないと、なかなか資金といったものも集まらず、それをもって例えばその時点での債務を返済するようなことというのは描けませんので、現新理事長のもとでも、先ほどの長寿命化の考え方とも共通してくるんですが、想定されるコストを抑えると同時に、公社としての資産価値を高めるための取組もいろいろ考えていくということで、現在いろいろ検討しているところでございます。

杉本委員

 理事長を民間からもってきたとか、天下ったとか、そんな次元の話ではないと思うんです。しっかりとやっぱりその辺の民営化に向けてのロードマップみたいのをしっかり今からつくっていかないと、大変だと思いますよ。ひとつ頑張ってください。

内田委員

 ということで、今、杉本委員からありましたように、新しい理事長になって非常に今までとは違うやり方をしていくのかなと期待されるところでもありますが、今、杉本委員が言ったように、それどころではない、今後しっかりしていかなくてはどうしようもないぐらいの、とにかく老朽化していることも問題ですし、でも返済額が年40億円といっても、まだまだ負債の割合にしては少ないと思いますので、その辺しっかりと取り組んで、きめ細やかな対応と新しい理事長の下でできるだけ力を入れていっていただきたいなと思っております。

 もう一つ、神奈川県道路公社についてなんですが、同じようなことなんですけれども、神奈川県道路公社の経営状況について、同じようなことだと思うんですけど、資金不足を起こしていると思いますけれども、資金不足の期間や規模はどの程度見込んでいるのか。また、その資金不足の原因ということで三つまとめて、申し訳ないですけれども、経営状況についてお伺いしたいと思います。

道路整備課長

 神奈川県道路公社の経営状況でございますが、20年度の決算状況を申し上げますと、当期利益は3億5,500余万円が計上されておりまして、公社全体としては利益が生じてございます。しかしながら、本町山中有料道路と三浦縦貫道路、道路公社の管理する2路線ございますが、この2路線につきまして、交通量の計画を下回っておりまして、料金収入が計画どおり伸びておりません。ですから、2路線ともそれぞれ単独では料金収入だけでは借入金の償還が賄えないというような状況になってございます。

 そこで、資金不足が生ずるということでございますが、平成21年度の決算はこれからでございますので、確定的な数字ではございませんが、一つの試算といたしまして、平成23年度ごろからおおむね10年間程度、累積のピークで25億円程度の資金不足という見込みでございます。なお、この10年間を乗り切れば、単年度では黒字になるというふうに見込まれております。その原因でございますが、先ほど申し上げましたように交通量は計画を下回り、計画どおり料金収入が得られていないということでございますが、平成20年度の交通量の実績で申し上げますと、本町山中有料道路は計画の約7割、それから三浦縦貫道路は約3割ということでとどまっております。この原因といたしましては、有料道路接続と一般幹線道路などの整備が遅れているということが大きな原因というふうに考えてございます。ですから、ネットワークが形成できれば交通量も増え、それによって増収が図られるものというふうに考えております。

 また、有料道路事業制度といたしまして、30年間の料金徴収期間に対して、借受けの返済期間が20年というふうな設定でございますので、どうしても借入金の償還額の多い時期が続いてしまうというような制度上のことも要因としてはございます。

内田委員

 道路公社の今後の経営上の問題、今、御答弁いただきましたけれども、やはり三浦縦貫道路の通行量の収益率が3割という非常にやっぱり苦しいですね。なかなか周りの交通ネットワークがうまくいかないというのと、もう一つはその地元住民だけでは賄いきれないという、やはり観光施策がどんどん進んでいろんな人が来てくれないと、なかなか収益は上がらないのかなというのも分かります。

 今後の経営上の課題ということは、やはり道路公社は資金不足というのが一番大きいと思いますけれども、この課題についての対応、最後にどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

道路整備課長

 道路公社におきましては、平成1910月、経営改善計画を策定してございますので、まずはこの計画に沿って、公社自らがより一層効率的な事業展開で更なる経営改善に努めていくということでございます。また、私どもといたしましても、この経営改善の取組に対しまして引き続き指導、調整等を行ってまいります。また、三浦縦貫道路未区間などの周辺道路の早期整備に努めて、有料道路の利用促進につなげてまいりたいというふうに考えてございます。

内田委員

 最後に要望申し上げますが、やはり神奈川県道路公社、これからも今の資金不足が見込まれているということから、更に経営改善に努めていただきたいと願っております。とにかく地域にとっても不可欠な三浦縦貫道路と本町山中有料道路ですけれども、何とか周りの道路のネットワークがうまく形成されていくことも望みますし、また神奈川県道路公社自体も経営改善に努力をしていただきたいと要望いたします。

 

(日程第1については、この程度)

 

9 閉会中における調査事件

  平成21年5月25日の本会議において当委員会に付議された調査事件については、さらに議会閉会中調査を継続すべきものと決定

10 調査報告書の案文委員長一任

11 意見書案等の提案確認

  提案なし

12 正副委員長あいさつ

13 閉  会