平成22年  県民企業常任委員会 - 1004日−01

平成22年  県民企業常任委員会

◎《委員会記録-平成22年第3回定-20101004-000005-県民企業常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(曽我部・佐々木の両委員)の決定

3 傍聴の許否について決定

  3件申請 3件許可

4 日程第1を議題

5 日程第1について質疑(県民局所管事項も併せて)

他の党派質問続く

(日程第1並びに県民局所管事項及び報告事項については、この程度とし、次に企業庁関係について審査することを決定)

(午後零時13分 休憩  午後1時12分 再開)

6 傍聴の許否について決定

  1件申請 1件許可

7 企業庁報告事項(企業局長)

  「神奈川県内水道事業検討委員会の報告書について」

  「平成22年台風9号への対応について」

8 経営状況説明(企業局長)

  「()神奈川県企業庁サービス協会」

9 質疑(企業庁所管事項及び報告事項について)

 

内田委員

 まず、先ほど報告にありました神奈川県内水道事業検討委員会のことについてという中から質問させていただきたいんですけれども、平成18年に設置された今後の水道事業のあり方を考える懇話会という懇話会が全14回開催されていると思いまして、そのときには委員の方は12名だったということは分かっておりますけれども、今回設置されております神奈川県内水道事業検討委員会、こちらですが、会長の選出や運営、スケジュールについて平成20年8月に第1回が行われておりますが、その前に委員についてちょっとお伺いしたいんですけれども、まず、以前の懇話会とは違って少し人数を少なく設定されていると思いますね。その委員の人数と構成について、改めて御説明していただきたいと思います。

計画課長

 今後の水道事業のあり方を考える懇話会は、学識経験者12名で構成されておりました。今回の神奈川県内水道事業検討委員会の構成でございますけれども、水道または経済を専門とする4名の学識経験者、それから県営水道事業の管理者であります企業庁長をはじめとする5事業者の事業管理者、合計9名で構成されておりまして、会長には、現トキワ松学園理事長が選任されたものでございます。

内田委員

 そういったわけで、以前は学識経験者の方で、結構大学関係の方、例えばここに書いてありますが、首都大学東京の都市環境学部教授の方とか慶應大学の総合政策学部の教授の方とか、学識経験者が数えますと10人並んでおりましたけれども、懇話会から委員会に変わってきた経緯というか、何か特段、何が一番変わるきっかけになってきたんでしょうか、一応確認のためにお伺いします。

計画課長

 今後の水道事業のあり方を考える懇話会では、将来の5水道事業者の経営の効率化や広域化の在り方等について検討してきたものでございます。この今後の水道事業のあり方を考える懇話会の提言を受けまして、5水道事業者が長期的視野に立って将来にわたって水道水の安定供給を確保していくため、平成20年8月にこの検討委員会が設置されたものでございますけれども、5事業者に共通する経営課題等について検討することを目的としておりまして、5事業者自ら検討するという視点に立って水道事業管理者を加えて検討してきたものでございます。

内田委員

 先ほど私も申し上げましたけれども、今回この神奈川県内水道事業検討委員会の報告書を拝見いたしますと、平成20年8月から計7回にわたって検討が進められているということで、この間、私が質問させていただきました国際的視野、水ビジネスの在り方とか、それはなかなか神奈川県内では進んでいないようですけれども、今全国的な動きの中で、東京都や大阪、ほかの地域でも非常に積極的に展開し始めている段階でもありますし、また今、水の安全ですか、ライフラインとしても考える時期に来たのかなと私は見ておりますけれども、その中で特に見られるのが水質管理センターの、これは仮称ですけれども、早期設置、それからもう一つが水道施設の共通化、広域化ということで、そういった動きの中で今この委員会が立ち上げられ、計7回にわたって話合いが行われてきたのではないかとこちらも考えております。

 その水質に関しましては、私は、思い込みでもう既に何十年前からそういうものはあるものだと勝手に思い込んでいたところもありまして、今回このようなものを早期設置しなくてはならないという検討がされているということ自体、驚いてしまったんですけれども、そもそも水質管理センターを早期設置してくれと、そういう委員会の報告ですけれども、今まではそういったセンターみたいなものはなかったんでしょうか、確認のためにお伺いいたします。

計画課長

 現在、この検討委員会は5水道事業者で検討したわけですけれども、この5水道事業者につきましては、個々に水質管理センターを持っているということでございます。

内田委員

 ですから、これから更に水質のレベルを上げるということになってくるのかなと思いますけれども、まずその水質管理センター、今考えている、想定できるものとして、5事業者で一元化するんでしょうけれども、一元化する中で、水質のレベルアップをやはり県としても考えていかなくてはならない時期に来ていると私も思いますが、具体的にどこまで考えているのか、進ちょくしているのか、その辺をお伺いしたいと思います。

浄水課長

 現状といたしましては、今答弁いたしましたように、5事業者で今後共通の水質管理センターを設けていこうということでございまして、詳細につきましては、今後事業者の実務レベルで検討会議を設置いたしまして、更に詳細を詰めていこうと、そういう段階でございます。

内田委員

 二、三年前ぐらいから、食品の方でもいろいろ事件が起こってから、県としてもいろいろ検査方法を厳しくすべきだということを私も申し上げましたし、委員会でもかなり議論してきましたけれども、県民の口に入るものとして、また水質に関しても、安全というのは、もうそれは第一前提ですから、やはり水質を上げていく努力をしていかなくてはならないと思っておりますけれども、具体的には、どのような観点で水質をレベルアップしていこうと考えていらっしゃるんでしょうか、お伺いします。

浄水課長

 現在5事業者で、別々の水質管理センター、県営水道の場合で言いますと水道施設センターというものを持っているわけでございますけれども、似たようなものが5箇所ばらばらにあるという問題でございまして、かつ、この5事業者は年齢構成等ばらばらになっておりまして、今後多くのベテラン技術者等が退職になりますと、その技術の継承等も問題になってまいります。そういうことで、5事業者が力を合わせていろいろな水質の問題に対応していこうと、そういうことでございます。

内田委員

 その中でちょっとお伺いしたいのは、水質と言われますと、前回も私、質問させていただきましたけれども、塩素の分量ですか、最後に残る残留塩素、それとかアオコとか赤さび、カビのにおいとか、様々あると思いますけれども、もう一度お伺いしますが、水質と言われると神奈川県ではどのようなことに注意して、例えば今申し上げたもの以外にもいろいろ雑菌とかですね、どのようなところに重きを置いているのか、今の時点で水質に関して具体的に中身を教えていただけませんでしょうか。

浄水課長

 水道の水質につきましては水道法等で定まっておりまして、まず、水道水質の基準項目といたしまして50項目、この検査が定まっております。それから、水質管理目標設定項目といたしまして30項目、水質管理上の必要な項目といたしまして22項目、これだけのものが定まっておりまして、内容によりまして、毎日検査する内容、毎月1回検査する内容、それから年に4回検査する内容等が定まっております。

内田委員

 今お聞きして、100項目ぐらいにわたっていると分かりましたけれども、基本的には、食品の場合は県の施設で一括して検査が行われていると前に聞いたことがあるんですけれども、水道の場合、今の時点では5事業者がばらばらに行っているということですが、ばらつきというものが今の時点ではあるんでしょうか。

浄水課長

 各事業者の水質試験部門ですけれども、ISOですとか水道GLP、これは認証制度ですけれども、そういうものを取りまして、品質のばらつき等はないものと考えております。

内田委員

 そうすると、基本的には水質に関してばらつきは今のところないということは、一元化してもそれは守られていくというか、更にレベルアップを目指さないといけないと思われますけれども、この中で水質管理の強化というのが、やはり私は特に大事だと思っているんですけれども、その辺どのように考えているでしょうか。水質管理センターにすることによってもっとメリットが出てくるのかどうかということをお伺いします。

浄水課長

 現状でもいろいろ課題がございまして、主な課題といたしましては、水質事故時の対応、こういうものは、今5事業者の水源である相模川、酒匂川の水質、これは比較的良好なんですけれども、流域の事業所ですとか幹線道路、高速道路からの油の流出、それから相模湖、津久井湖でのアオコ等の藻類の発生、このようないろいろなリスクを背負っております。こういう問題に各事業者が対応するということではなくて、今現在でも神奈川県水道が事務局を務めております相模川・酒匂川水質協議会というもので、ある程度共同して調査等を行っているんですけれども、それを一元化しまして、先ほど報告の中にもありましたように情報共有の迅速化ですとか、それからいろいろな水質問題、特に水質基準項目は毎年のように強化されたりして変わっております。こういうものの試験方法等に取り組むためにも、共同でやっていった方がよろしいのではないかというふうに考えております。

内田委員

 今お伺いしますと、水質事故発生時の対応強化、それから水質検査業務の効率化、そして調査研究、人材育成などいろいろあると思いますけれども、水質事故発生というのは、その事故というのは油が流入してしまったり、例えば工場はこの辺ちょっと分かりませんけれども、排水で化学薬品や化学化合物が混ざってしまったりしたことを水質事故とそもそも呼ぶんでしょうか、ちょっと確認のためにお伺いします。

浄水課長

 おっしゃるとおりでございます。過去には、工場からの流出もございましたし、あとは油の流出、これが一番多い内容でございまして、去年は油の流出というよりも、酒匂川系統ではトラックが転落いたしまして、積み荷のドラム缶から薬品が流れたというような事故もございました。

内田委員

 やはり安全が一番であり、水質事故が発生してしまったら、それは大変な事態に陥ると思うんですけれども、リスクというのはどんなものがあると今のところ考えていらっしゃいますでしょうか、お伺いします。

浄水課長

 リスクとしましては、先ほど言いましたように工場、事業所、あとは農地による農薬、それからゴルフ場の農薬、それと畜産関係の畜舎からの、当然浄化設備もお持ちなんですけれども、そこから越流して流れてしまったり、あとはもっと上流になれば、富栄養化によるアオコ等の発生、そういうものがリスクと考えております。

内田委員

 今リスクについてお伺いしましたけれども、調べていらっしゃるとは思いますが、やはり地域性があると思うんですね。工場の多い地域なのか、果たしてどんな工場があるのか、ゴルフ場にしてもどんな排水が行われているのかとか、そういったところを一つ一つ、もう調べてあると思いますけれども、やはりそういうところも要注意として見ていくことが必要だと思うんですね。そういった水質管理体制において、先ほど課題を挙げていただきましたけれども、水質管理センターをこれから立ち上げるとして、企業庁として何か課題というのは、今一番考えられていることを端的にお聞きしたいと思いますけれども、何か課題というのが持ち上がってきているのでしょうか。

浄水課長

 一つには、水質管理センターが行った水質検査の結果に基づきまして、浄水工程で必要な措置を講ずるわけですけれども、各事業者が責任は引き続き負いますので、水質管理センターと各事業者の連携のとり方がまず一つ問題になりますので、そういう設置後の運用も視点に取り入れながら、本格的な移行方法を検討する必要があるのかなと思っております。また、水質管理センターの設置に当たりましては、各事業者間の負担割合、それから事業者が所有します検査機器の再配置、これを含めた資産の管理方法及び人員配置などについても調整が必要なのかなと考えております。さらに、実施段階におきましては、日々の水質検査を中断させることなくスムーズに業務の移行を果たすことも必要不可欠であろうと思っております。このようなことが問題かと考えております。

内田委員

 今、水質管理センターにつきましては、まだまだこれからそういった連携とか各負担率、検査機器を導入するかとか、一つにまとめたときに足りなくなるのではないかと、そういう懸念もありますので、是非とも水質管理センターにつきましては、早期実現も大切ですけれども、その後5事業者がうまくやっていけるのかというところもありますので、今まで働いていらっしゃった方々はノウハウを蓄積されていると思いますので、その辺の意見も踏まえながら、また学識経験者の方だけではなくて、やっぱり現場の声というのは、非常に課題点が分かっていらっしゃると思いますので、その辺の意見をよく取り入れて次なる方策をとっていただきたいと要望しておきます。

 次に、先ほど申し上げました検討委員会の報告書の中で、水質管理センターももちろん大切なんですけれども、浄水場を現在の15箇所から8ないし9箇所に統廃合すると書いてありますけれども、なぜこれはそもそも統廃合することになったのか。また、今まで安定的に給水してきましたけれども、そういうところに支障は出ないのかということをお伺いします。

計画課長

 今回委員会の検討では、これまで各事業者ごとに管理してきた水道施設を融通し合って、水利権や財産権など現在の枠組みを超えて、将来的に5事業者全体で再構築を図るということで検討してきたものであります。その前提と言われます水の需要につきましては、5事業者全体でとらえますと、近い将来人口は減少に転じて、おおむね30年後の時点では、水の需要は現在の水準を下回るといたしまして、1日最大給水量を300万立方メートルと仮定いたしました。その水の需要を満たすために必要な浄水場を、スケールメリットを最大限に生かし、かつ断水を起こさないようなバックアップ体制を考慮した最適な施設配置と規模を念頭に置きまして、幾つかモデルを作成して検討した結果、浄水場を現在の15から8ないし9箇所にダウンサイジングできるとの結論に至ったものでございます。

 検討に当たりましては、水質事故など浄水場が単独で24時間停止した場合、あるいは施設能力の4分の1が長時間停止した場合でも断水を生じないことを条件といたしまして施設の規模を考えたところ、浄水場を現在の15箇所から8ないし9箇所に統合して施設の供給能力を縮小したとしても、新たにバックアップの管路は若干整備することになりますが、災害時の安全性の確保ができて安定給水には支障がないということで検討してきたものでございます。

内田委員

 先ほどの報告事項の3ページに、施設整備のイメージの地図が書いてありまして、これを見ると、伊勢原や綾瀬、長沢、そういった5箇所に充用するというか、更新・増強・拡張する浄水場とありますが、これは神奈川県の中にちりばめられていると思いますけれども、ここを増強しようとしているその考えというか、経緯というのはどのようになっていて、どのようなイメージを持っているのでしょうか、お伺いします。

計画課長

 まず、イメージを若干御説明いたしますと、例えば川崎の生田、それから潮見台、横浜市の真ん中にございます鶴ヶ峰、これにつきましては各水道事業者も既に経営計画等で廃止を決めているものでございます。今回委員会の検討では、一番右下にございます横須賀市の逸見、同じく横須賀市のほぼ真ん中にございますけれども有馬、その二つにつきましても将来的には廃止ということで検討いたしました。その他の相模原あるいは西長沢、それから伊勢原につきましては更新をするということで検討いたしまして、県営水道の寒川浄水場と横浜市の小雀浄水場につきましては、今後廃止または更新、縮小といったことを検討してまいりたいというふうに考えております。

 検討でございますけれども、基本的には、まず効率的な浄水場の配置といったことと、それから上流取水を行うことによりまして、CO2の削減という効果がございます。そういった観点から、今まで下流で取水していたものを上流で取水するという観点に立ちまして検討してまいりまして、現在の15箇所から8ないし9箇所ということで検討してきたものでございます。

内田委員

 今お聞きしまして、大体そのイメージは何となく分かるんですけれども、いろいろ取捨選択していらっしゃいますけれども、全体的にこうやって更新していくことによって、費用とかはどのくらいかかるのか、今の時点でお分かりになりますでしょうか。

計画課長

 まず、更新費用ということでございますけれども、各事業者が独自に各浄水場を更新した場合、おおむね2,243億円という形で試算をしております。今回のダウンサイジングのモデル、これは五つのモデルを作成いたしましたけれども、その五つのモデルですと1,582億円から2,066億円という形で、各事業者独自に更新する場合に比べまして177億円から661億円程度削減できるということで試算をしてございます。

内田委員

 そもそもこういった浄水場などの統廃合によるダウンサイジングは、効果的なそういった費用の削減もございますが、結局、県民の人口が減ってくるというのも大きな課題の一つというか、それで先ほど300万立方メートルしか要らなくなるということで、今とどのような差があるのか、今現在と比較して30年後ですか、何%ぐらいになるのか、確認のためにもう一度お伺いします。

計画課長

 30年後の水の需要につきましては、今回の検討では正確な水需要予測というものは行ってございません。現在、各5水道事業者の合計、平成20年度のデータでございますけれども、1日最大給水量が約316万立方メートルでございます。基本的に水需要予測を行っておりませんので、おおむね30年後の時点では、この水需要が現在の水準を若干下回るという形で推定を行いまして、1日最大給水量を300万立方メートルということで仮定させていただいたところでございます。

 

内田委員

 県全体としても積極的に取り組んでいる二酸化炭素の削減についてなんですけれども、先ほど御答弁いただきましたが、上流へ移転することによって、先ほど1億円ぐらい削減できるというようなことをお伺いしましたけれども、水利権の上流への移転ということとは関係ないんですか、それとも同じことをいっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。

計画課長

 1億円と申しますのは、水質センターを集約することによりまして、維持管理にかかるコストが1億円削減されるということでございます。

内田委員

 そうすると、上流へ移転することによってCO2も削減できますが、費用的にも削減できるんでしょうか、お伺いします。

計画課長

 上流に水利権を移転することによる効果でございますけれども、浄水場統廃合で15箇所から8ないし9箇所に削減いたしますので、まず更新費用が削減される。それから、浄水場が当然少なくなりますので、浄水場の維持管理にかかる薬品費であるとか人件費、こういったものについての削減が図れるだろうというふうに考えておりまして、現在の5事業者の浄水場にかかる維持経費というのが164億円というふうになっておりますけれども、これもやはり5モデルで検討いたしましたけれども、130億円から131億円ということで、現在に対しまして30億円程度の削減が図れるということで考えております。

内田委員

 結局、上流に移転することでCO2も削減できるということなんでしょうか、CO2削減の具体的な方法をお伺いしたいと思います。

計画課長

 具体的なCO2の削減方法でございますけれども、水を低いところから高いところに送るということになりますと、ポンプが必要でございまして、このポンプの稼働によりまして電力を消費するということとなります。現在、県内の給水量の約7割につきましては、相模川の下流部にあります寒川取水堰、それからすぐ上流にあります相模大堰、さらには酒匂川の下流部にあります飯泉取水堰で取水をしておりまして、浄水場まで送るために、あるいは浄水された水を配るためにポンプを使用しておりまして、多くの電力を使用しているという状況でございます。

 具体的な例を申しますと、酒匂川の下流に飯泉取水堰というのがございますけれども、ここから二つのポンプ場を経由しまして、約100メートルの標高差をくみ揚げている状況でございまして、非常に多くの電力を使用しているということでございます。そこで、河川の上流部からの取水を優先的に使用するということで、下流部からの取水によるポンプの使用をできる限り抑制できるということで、CO2の削減が図れるということでございます。

内田委員

 結局、この5事業者が共同して取り組める事業や改善ですか、これがすごく重要になってきたと思いますし、基本的方向性もここに打ち出してありますように、安心、これは当たり前ですよね、それから安定してライフラインである水を供給していくこと、またそれを持続可能なものにしていくこと、そして環境に優しい、エネルギー消費の削減をしていくこと、それから諸外国の水道事業に対する国際貢献、こういった五つの柱にまとめられていることはよく分かります。それを神奈川県として、いつごろから5事業者で具体的に、今はまだ検討段階だと思いますけれども、そのスケジュールですか、今分かっている時点で積極的に進めていく体制ですか、その予定をお伺いしたいと思います。

計画課長

 まず、スケジュールということでございますけれども、現在体制づくりに向けた検討を行っているということでございまして、施策の合意形成を図るためには、5事業者の事業管理者で構成する会議をまず設置して、具体的な内容については部課長クラスで詳細に検討することというふうに今のところ考えておりまして、9月17日の時点ですけれども、準備会を設置して、体制、それからスケジュールについては5事業者で今詰めているという状況でございまして、この秋には検討に着手できるようにしたいということで考えております。

内田委員

 30年後を想定して、将来の県民の飲む水がおいしく、水質もアップしていって、かつ持続的で安定・安全なもの、それを目指しているんだと思いますけれども、やはりそれぞれの事業者が組むわけですから、課題がこれから出てくるし、先ほども報告いただきましたように、負担金の割合とか様々な細かい問題が出てくると思いますが、とにかく県民に安全な水を安定的に供給するという意味では非常に大切な事業ですので、よく意見をまとめていただき、また現場の方々の意見も聞いていっていただき、5事業者でまとまった形で進められることを要望いたします。

 次に、先ほど御報告にありました台風9号の件についてお伺いしたいと思います。

 報告事項の4ページになりますけれども、9月3日の豪雨、7時間継続したということで、昭和53年以来2番目、最大雨量を観測しまして、この観測については、私も素人ですので、何ミリ立方メートルと言われてもちょっと分からないんですけれども、これはとても大変だったんだと、どのくらいの被害が出たのかというのを、その大雨の状況ですか、立方メートルの考え方もありますけれども、ちょっとお伺いしたいと思います。

利水課長

 雨の状況でございますけれども、今回の降雨につきましては、9月におきます三保ダムの流域の平均雨量でございますけれども、10箇年平均では、9月は272ミリでございました。今回それのほぼ2箇月分に当たります503ミリが半日で降ったというような状況でございます。特に県境の、静岡に隣接する世附川に企業庁が設置いたしました水ノ木雨量観測所というところがございますけれども、この地点で観測史上最大となります1時間当たりの雨量が147ミリという状況でございました。147ミリと申しますと、気象庁の用語で言いますと猛烈な豪雨というような表現になりますけれども、非常に激しい雨ということで、1時間当たり50ミリメートルを超える非常に激しい雨が7時間も続いたというような状況でございました。また、流入量でございますけれども、最大流入量は、毎秒1,107立方メートルとなりましたけれども、これは昭和53年のダムしゅん工以来、54年の台風10号におきまして最大の1,322立方メートルという数字がございましたが、それに次ぐ2番目の記録となっております。参考までに1,100立方メートルというのは、概算でございますけれども、小学校のプールが1杯約300立方メートルと言われておりますので、プール4杯分が1秒間に流れていったと、そういうイメージで思っていただければ、ちょっと分かりやすいのかというふうに思います。

内田委員

 最近、異常気象とよく言われておりまして、突発的な集中豪雨というのが最近各地で見られておりますから、台風9号のみならず、これからいきなり降るということも、もちろん考えられるわけですね。その中で、先ほどの水道事業もそうですけれども、企業庁ではどのような態勢を敷き、こうした集中豪雨、また災害対策にも通じるわけなんですけれども、大雨に対してどのように対応したのか、詳細にお伺いいたします。

計画課長

 まず、ダム関係でございますけれども、台風の影響が予測されていたことから、事前に態勢を敷いて監視を強化しておりました。また、水道関係につきましても、台風の進路が変わりまして直撃が予想されたことを受けまして、8日の業務開始以降、工事中の現場等の安全確保について、各水道営業所に対しまして確認を指示するとともに、浄水場におきましても急激な河川濁度の上昇などに備えるために対策を講じておったところでございます。

 また、8日の午後でございますけれども、台風の接近により風雨の影響が強まることが想定されましたので、企業庁長をトップとし、本庁の各課の課長で構成します企業庁危機管理対策会議というものを招集しました。台風の進路情報でありますとか影響等について関係各課より報告を受け、今後の対応について協議したところでございます。その結果、本庁で8名、それから出先機関ではダム管理事務所でありますとか浄水場を中心としまして、通常の交代制勤務職員がおりますので、そういった職員113名、本庁の8名と合わせて合計121名を配備して、勤務時間外の体制を強化したということでございます。

内田委員

 本当に危機的な状況になったときは、120名体制を組んでいくわけなんですけれども、結局、各出先機関での人手は足りていたんでしょうか、それで対応できたということで認識してよろしいのでしょうか。

計画課長

 合計で121名ということで対応させていただいたわけですけれども、今回の台風、若干、東に抜けそうだなということがある程度予測されました。そういった面から、この配備人数というのは適切だっただろうというふうに考えております。

 ただし、例えば台風が停滞をして居座るような状況の中で対応しなければいけないということであれば、更に人数を増やして対応することも必要だろうというふうに考えております。

内田委員

 危機管理体制と、出先機関の方や本庁8名の方との連絡というのは同じ部屋で行われるのか、それとも指示系統があって各出先機関で対応しているのかということ、ちょっとその中身についてお伺いしたいと思います。

計画課長

 体制でございますけれども、基本的には私ども計画課が災害対策の一元化ということで取りまとめを行っている状況でございます。本庁に残りました8名、各主管課、水道施設課でありますとか浄水課、それから経営課等関係課ですけれども、基本的には出先機関とそういう主管課が連絡をとり合って、計画課が情報の一元化を図るということで対応しているところでございます。

内田委員

 計画課におきましては、やはり指示系統ということで、こういう突発的に近い集中豪雨というのは、台風の時期も多いでしょうし、たしか今年は6月もかなり全国的には多かったように記憶しておりますので、今年はどうか分かりませんけれども、来年度もこういった異常気象がもしかしたら続いてしまうかもしれませんので、その体制整備を更に進めていただきたいと思います。

 また、丹沢湖でもいろいろな被害があったと思いますけれども、丹沢湖における降雨や河川の流入量に関してどのような状況であったか、具体的に教えていただきたいと思います。

利水課長

 丹沢湖の降雨の状況でございますけれども、委員御案内のとおり丹沢湖は、世附川、河内川、玄倉川の3川の合流点付近にダムを設置した人造湖でございます。ここに非常に強い雨が継続的に降ったということがございまして、先ほど申し上げましたように毎秒1,107立方メートルの流入があったという状況でございます。それと、今回の台風による状況でございますけれども、流入量が多かったということに加えまして、降雨開始前の8日の7時におきます流入量はおおむね3立方メートル程度でございました。それが、降り始めまして4時間半後の放流開始時におきましては毎秒574立方メートルというような形で流入量が急激に増えたということがございました。また、降雨でございますけれども、流域におきまして7時から8時に降り始めておりますけれども、三保ダムの流域の雨量といたしまして、19時に降雨が終了しておりますけれども、502.7ミリという非常に大量の降雨があったということがございまして、それも短い時間にこれだけの降雨があったということがございまして、急激に流入量が増加したというような状況でございました。

内田委員

 このような大量の降雨で、やはり現場の方も非常に驚かれたと思われます。三保ダムでは、こういった気象状況に関して、実際問題どのような対応を三保ダムの方はなさったんでしょうか、お伺いします。

利水課長

 三保ダムの対応でございますけれども、当然降雨がございます前に警戒態勢を敷いております。台風の影響でございますので、7日の14時に準備警戒態勢ということで態勢を敷かせていただきました。その後、8日になりまして1026分に第一警戒態勢という形で、洪水吐ゲートからの放流が必要だという形の警戒態勢を敷かせていただいておりまして、この放流の前に要員を確保しまして、下流警報ですとか、そういうすべての放流に伴う準備を行いまして対応をしておるという状況でありました。おかげさまで事故等もなく、放流につきましては、下流の急激な水位の上昇を避けながら放流できたというような状況でございました。それと、このときに洪水位に達しましたので洪水調節ということも行いまして、下流の放流量を軽減して三保ダムから放流したというような状況でございました。

内田委員

 実際視察に行ったときに、放流のこともお伺いしたんですよ。ただし、あれは本当に専門的な分野で、私も、この機械を操ってどうするのかなと、放流するとしても、数字を見ながら考えていくのかなというふうに質問したんですね。こういう洪水に対応できることも今分かりましたけれども、三保ダムと酒匂川はつながっていると思いますけれども、今回、2名の方が酒匂川下流の中州に取り残されてしまったという報道、これは本当に大きなニュースで報じられていたことを私も記憶しておりますけれども、そのときの警報はどのようになっていたんでしょうか。

利水課長

 洪水吐ゲートから放流する場合でございますけれども、ダム下流の河川に急激な水位変化が生じる被害を防止するということでございますので、事前に河川管理者等関係機関にまず連絡をいたします。それと、ダム下流に19箇所あります警報所からサイレンですとかスピーカー、それと赤色回転灯、電光表示板によります放流警報を行っております。それとさらに、2台の警報車両によりまして河川の両岸側から警報を行いまして、河川利用者への直接の注意喚起も行っております。

 当日、報道によりますと、2名の方が中州に取り残されたということでございますけれども、事故のあった地点、飯泉橋の上流側でございますけれども、そこに4名の方を確認しておりましたので、直接個別に注意喚起は行ったということで聞いております。

内田委員

 それは直接、危ないから逃げてくださいと言っていただいたにもかかわらず、本人たちが動いてくれなかったということでよろしいんでしょうか。

利水課長

 4名の方に直接警告いたしましたが、聞きますと、そこに住まわれている方だということもございまして、個人の意思で出られなかったようでございます。

内田委員

 結局救助されたというのは、これはどのような状況になって救助に至ったのか、確認のために伺います。

利水課長

 救助は、消防、警察でやっておられますけれども、ダムの方でも洪水調節ということで調節もしておりますし、あとはテレビの報道等を見ますと、川の流量が少しずつ下がってきたという中で消防署のレスキュー隊ですとかそういう方々が対岸に渡りまして、それで取り残された方々を救助したというふうに承知しております。

内田委員

 今回、死亡事故につながりませんでしたが、もし万が一死亡事故になったときには、結局、三保ダムの放流に関してだの、それから警察への連絡だの、いろいろなことの責任が神奈川県に及んでくると思われますので、この辺はふだんから、どこに住んでいらっしゃるのかというか、危ない地点は、やはり把握しておいて、警察とも事前に連携をとった方がよいと思われますので、よろしくお願いいたします。

 また、今回の洪水でダムの効果、これはどのようにして発揮されたのかということを最後に伺います。

利水課長

 今回の三保ダムの効果でございますけれども、降雨によります酒匂川本川の急激な水位上昇などに十分な注意を払いながら、洪水吐ゲートの操作を行いました。貯水池への流入水の一部を貯水池内に蓄えるということによりまして、ダム下流におきます急激な水位の上昇を軽減するということができたと考えております。それと先ほど申し上げましたように、最大で毎秒198立方メートルの洪水調節も実施いたしまして、ダム下流河川への流量軽減を図っております。それと、貯水池内に土砂が流入することを防ぐために、ダム上流に設置しております貯砂ダムが2箇所ございます。この貯砂ダムにつきましては、貯水池へ流入します土砂を捕そくしたということがございます。それとまた、三保ダム本体によりましても、本来三保ダムの目的ではございませんけれども、結果的に付随的な効果といたしまして、流木が大量に流れてきましたが、その流木をダムで捕そくしたということによりまして、そういうものによります下流河川への被害を軽減することができたのかなというふうに考えております。

内田委員

 この件の要望を申し上げます。今県内には、そういう災害で土砂崩れになる、要援護者の施設が490箇所以上あるということで、まだまだ県内には土砂に弱い地域が多々あるので、やはりこういった三保ダムとか各ダム、それから河川の流域で土砂災害が起こる危険性は私も高いと見ているんですね。ですから、流木が流れてくるだけではなくて、ちょっとした地震や台風などの災害において、土砂崩れのために土や木が流れ込んでくるとか、そういったことも十分想定できますので、ダムの地域、河川の地域は、是非災害対策については今後とも万全を期すということでしっかりと取り組んでいただきたいと要望します。

 次に、電気事業について質問させていただきますが、県営電気事業なんですけれども、13の水力発電所で発電した電力すべてを東京電力()に売電している。今、売電という言葉がはやっておりまして、例えば家庭の太陽光パネルで得た個人の家庭の電気を東京電力に売っているケースなんかも売電と言うと思うんですけれども、県営電気事業としては、東京電力()との契約はどのようなものになっているのでしょうか、お伺いいたします。

発電課長

 東京電力との取り決めでございますけれども、東京電力とは、平成36年まで発電した全量を供給することを取り決めた電力受給基本契約を締結しております。電力料金でございますが、その基本契約に基づきまして、2年ごとに東京電力と電力受給契約を締結しております。具体的には、この2年間で必要となる経費に適切な事業報酬を加えました、いわゆる総括原価方式によりまして算定した額により契約しております。

 なお、平成22年度において目標どおりの発電が行われた場合は、税抜きでございますが、約61億円の電力量収入となる見込みでございます。また、現在の電力受給契約につきましては、平成21年度、22年度分でございまして、本年度が契約期限でございますので、本年度において新たな契約を締結する予定でございます。

内田委員

 今61億円ということで、この金額というのは果たしてどのような金額なのか、それはほかの県でもこのように東京電力に売電していて、これだけの収益といったらあれですけれども、どのような位置にいるのかちょっと分かりにくいので、教えていただきたいんです。

発電課長

 61億円の内訳でございますが、城山発電所、揚水式発電所でございますが、それが定額制になっておりまして285,000万円でございます。そのほか12発電所につきましては、基本料金分と従量分がございまして、定額分が26億円、従量分が約6億円ということでございまして、合わせて61億円でございます。この金額につきましては、目標となる電力量がございますので、その基本単価がございまして、それを掛け合わせたものが収入となる見込みでございます。

内田委員

 全国的に見てこれは多いのか少ないのかということなんですね。売電というのが東京電力と交わされている中で、これはすごいことなのかどうなのかというのを、ちょっと分かりにくい質問ですみませんけれども。

発電課長

 公営電気事業者は、現在26事業者ございます。その中の電力料金収入の多い事業者は、群馬県、これは平成20年度の実績でございますが、約72億円ということになっております。金額だけを申し上げますと、群馬県が72億円でございまして、その次が神奈川県の62億円ということになっております。この基になります単価でございますが、神奈川県の場合は1キロワットアワー8.68円となっておりまして、全国の公営電気事業者の中では1割程度高めということになっております。

内田委員

 1割程度高めということは、1割程度高く売っているということでよろしいのでしょうか。

発電課長

 さようでございます。

内田委員

 東京電力と各県の契約というのは、そのようにばらばらというか、各県によって違うのでしょうか。

発電課長

 各公営電気事業者はそれぞれの設備が異なりますし、発電する能力も違いますので、その能力に応じまして各電力会社と交渉いたしまして料金を決めております。そういう関係で、各事業者は契約金額が異なっております。

内田委員

 東京電力とは2年間契約ということですが、先ほど申されましたように新たな電力受給契約を結ぶということですけれども、新たということはどういうことが新しいのかということ、つまり今までのをただ契約更新という意味なのか、それとも何か太陽光パネルみたいにざん新なものが出てきたからなのか、ちょっと分かりかねるのでお伺いしたいと思います。

発電課長

 2年間の電力契約でございますが、2年間にかかります経費とか事業報酬などを加えました金額になっておりまして、原則として、現在保有している発電所の発電を維持していくために必要な経費ということでございます。

内田委員

 今回の契約に関しましては、県当局としてはどのようにとらえているのでしょうか、お伺いします。

発電課長

 今回の契約でございますが、東京電力は、平成12年3月に電力自由化が始まりまして、度重なる料金値下げを行いまして、一番高いときより22%程度下がっております。我々卸電気事業者に対しましても同様な経営努力を求められておりまして、一番最近の公営電気の契約状況を見ましても4%を超える減額となっておりまして、非常に厳しい状況であるというふうに認識しております。

内田委員

 最後に1点、厳しい状況ということですけれども、今後の県営電気事業のその厳しい状況は、なぜ厳しいのかもうちょっと具体的にということと、今後どうしていくのかということをお伺いしたいと思います。

発電課長

 先ほども申し上げましたように、電力の自由化が進んでおりまして、電力会社との交渉も年々厳しくなってきております。しかしながら神奈川県におきましては、出先機関の統合とか本庁機関の再編とかを行いまして、できるだけ人件費等の経費、また設備面におきましても設備の延命化等を図りまして、可能な限り経費の削減に努めております。そういう結果もありまして、現在のところ黒字を計上しているところでございます。さらに平成21年3月に、このような電力の厳しい契約状況でございますけれども、そういう状況を踏まえた中で、今後10年間を見据えました県営電気事業の経営計画というのを定めております。今後の電気事業といたしましては、引き続きましてこれに基づく計画的な事業運営を着実に推進していきまして、厳しいながらも健全な経営状況を維持していきたいと考えております。

内田委員

 この件について要望申し上げます。

 県の企業庁としましては、水道関係、これは本当にライフラインとしてかなめでありますし、もう一つ、この県営電気事業というのは、クリーンエネルギーでございます水力発電、この安定供給を続け、また東京電力に売電をしているということで、多少ならずとも収益はあると思いますけれども、その中でうまくやっていかないといけないし、健全な経営状況ですか、それを考えていかなければならないわけです。今、世界的な状況を見ますと、先ほど申し上げました水ビジネスに限らず、電気事業というのもクリーンエネルギーとして環境に役立つものが今いろいろ各地で開発されていますけれども、この間、本会議で我が会派の佐藤光議員が知事はなぜかEVばかり導入、それは日産とかいろいろ関係あると思いますけれども、やはり太陽光パネルとセットでアピールしていったらどうかということを最後に要望していましたけれども、やはり私としましても同じ考えで、こういうクリーンエネルギーということを是非もうちょっと積極的に考えていただきまして、東京電力とは、個人レベルでもやりとりできますので、県としてもそういった契約に関してもそうですけれども、いろいろな開発に関しても是非とも積極的に考えていただきたいと要望いたしまして、私の今日の質問は終わらせていただきます。