平成22年  安心くらしづくり特別委員会 - 1006日−01

平成22年  安心くらしづくり特別委員会

◎《委員会記録-平成22年第3回定-20101006-000002-安心くらしづくり特別委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(山・亀井の両委員)の決定

3 県政記者の写真撮影許可

4 本日新たに出席した当局出席者の紹介

5 日程第1を議題

6 調査項目の決定

  子育て支援の取組みについて

7 同上説明(次世代育成課長)

8 日程第1について質疑

 

内田委員

 おはようございます。

 それでは、資料に従って質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、待機児童対策について質問させていただきたいと思います。

 折しも昨日、私の住んでいる青葉区で数年かけた駅の周りの開発が終わりまして、やっと明日、たまプラーザテラスというのがグランドオープンすることになりました。昨日は、その開会式の式典がございました。その中で横浜市の林市長もお越しになり、待機児童対策について長くお話しされていました。

 たまプラーザ駅は田園都市線の駅なのですけれども、お母さん方の高いニーズがある駅の近くの保育所、そして学童保育、この両方が併設されました。駅に直結した学童保育所は全国でも初めてのことで画期的なことです。

 それで、私も式典が終わりまして、早速、待機児童対策という観点から現場を視察させていただきました。

 学童保育の方は55人という定員でありまして、すぐ一杯になってしまうであろうと思っていたのですが、実際もう予約で一杯だそうなのです。働いているお母さん方は、やはり駅に近いところがよいということを皆さん言っておりました。駅から遠いところにある学童保育の場合は定員にまだ余裕があるところもあるようです。ただ、働いているお母さんのニーズは、やはりしっかりと今後の施策に生かしていただきたいと思います。とにかくこの経済状況の中、少しでも働いて家計の助けにしたいという若いお母さんが非常に増えております。ですから、たとえ昨日のように、待機児童のための新しい施設ができましてもすぐ予約で埋まってしまうように、次々と施設が必要なわけです。それで、イタチごっこと言ってはなんですけれども、待機児童対策というのは今非常に急いで対応すべき課題であります。

 そこで、まず、神奈川県の待機児童の増加の近況について、また、この数年どのようになってきているのか、課題というものがございましたら、改めて確認させていただきたいと思います。お願いいたします。

次世代育成課長

 近年の全体状況というお尋ねでございます。

 先ほども報告書の中で触れさせていただきましたけれども、平成22年4月1日現在の保育所入所待機児童数は、政令市や中核市の皆さんを含めまして、昨年よりも大幅に増えております。全体では4,117人という数字で、先ほど紹介させていただいたとおりでございます。

 県の所管域では936人ということで、昨年より181人の増となっております。それから、政令市、中核市の場合だと、昨年より約870人増えて4,117人でございます。これは今のような形で統計をとり始めて以降、最大の数字ということで、御指摘のように県内では待機児童が非常に多いという状況でございます。

 近年の推移ということでございますけれども、平成20年9月に、現在まで引き続いているような景気の悪化をもたらしたリーマンショックがございまして、それが大きな引き金になって近年の待機児童の増加に結び付いているととらえております。

 例えば、平成18年までは県の所管域では400人ぐらい待機児童がいらっしゃったわけですが、これが昨年4月1日現在は755人、それが今年は936人ということで、ここ数年の間に2倍程度になってしまっているということでございます。

 これは政令市、中核市も同様でございまして、今御指摘のありました横浜市などは特に顕著でございまして、平成18年は待機児童が353人という数字でございましたけれども、今年4月1日は1,552人ということで、この数年の間に約5倍というような顕著な増加となっているところでございます。

 課題は何かというお尋ねでございますけれども、保育所施策は市町村事業という位置付けでございますが、保育所の入所を希望される方が市役所に申し込む際の理由といたしまして、厳しい経済状況を背景に母親の就労希望という理由が増加しております。それから、育児休業などが終わられた後、職場に復帰したいという方が増えていらっしゃるということで、今御指摘のように、職場に通いやすい駅の近くというようなところに保育所が整備できればいいのかなと思っておりまして、私どもも取り組んでおります。ただ、県内ではそういった好適地にはもう既に様々な施設がございますので、なかなか適地を探すのが困難であるというところが大きな課題ではないかと思っております。

内田委員

 そうですね。やはり駅のすぐ近くはもうほとんど埋まっています。ただし、やはり行政の力があれば、そこをほかの店舗の方から譲ってもらうとかいろいろな手法が考えられるわけです。しかし、ばく大な資金も必要とするわけですね。

 神奈川県でも平成18年から比べると2倍に増え、横浜市では5倍ですね。本当にあっという間に増えているというのは、やはりこの経済状況の中、将来的に不安な御夫婦の方が増えてきているということだと思います。残念なことなのですけれども、やはり働がざるを得ない、子育てのためにも働かなくては将来が不安だという、そういうこともあると思うのですね。ですから、待機児童と申し上げましても、今本当に少子化でお子さん少ないですから、児童によってはやはり一人っ子だったりすると思います。それぞれ理由があって、どうしても働かなくてはいけないから、せめて駅の近くや家から近いところに預けたいという不満の声は、私も地元でしょっちゅう伺っているわけです。

 結局、リーマンショック以降、このような経済状況になってしまって、市町村ごとの待機児童についてもいろいろ課題が上がってきていると思います。先ほど私は自分の住んでいる横浜市のことを申し上げましたけれども、県全体として、いろいろ県西部とか県央とかありますけれども、待機児童の対策や、地域ごとの特徴というのは何かあるのでしょうか。その辺のところを確認させていただきたいと思います。

次世代育成課長

 県内の待機児童の総数は、先ほど御紹介させていただいたとおりでございますけれども、やはり県内の市町村によって待機児童も特徴がございます。

 まず、待機児童が比較的多いのは、政令市であり、横浜市をはじめ、川崎市も1,000人を超える方がいらっしゃいます。それから、相模原市においても514人ということで、非常に多い数でございます。中核市の横須賀市は39人ということでございます。

 それから、それ以外の県の所管域の中でも50人を超える待機児童のいらっしゃる市が今年の4月1日現在で4市ございます。御紹介いたしますと、藤沢市は287人、それから茅ヶ崎市が167人、それから大和市が119人、鎌倉市が57人ということで、この4市です。

 それから、県の西側でございますけれども、町村中心にしましては、待機児童がいらっしゃらないというところが多うございます。

 そういうようなことで、やはり就労されたいという方が多いと思われる東京の通勤圏に近いようなところや、横浜に近接する市町村において多いのかなと考えております。

 それぞれ市町村は特徴ある対策、特に横浜市などは非常に待機児童が増えているということがありまして、いろいろな対策をとっておりますけれども、基本は保育所の整備で定員増を図るというところでございますので、それぞれ事業者の皆さんと連携を図りながら、定員増に取り組んでいるところかと存じます。

内田委員

 昨日、保育園の方に伺ったときに、保育園の方々とお話しさせていただいたのですけれども、自由にやっていいよと言ってはくれているけれども、実際やるといろいろ規制が厳し過ぎるよと、私も言われてしまったのですけれども、そういった課題がまだまだあると思うのです。一つちょっと違う課題なのですが、お子さんをお産みになった後、休める期間というのは決まっていると思いますから、0歳児や1歳児など、まだ赤ちゃんのうちに預けて働かなくてはならないということもあると思うのですね。それで、そういった低年齢児の待機児童の対策を一生懸命やっていかなくてはいけないと思っているのです。そういった0歳児とか1歳児、2歳児、3歳児の待機児童について、どのように取り組んでいるのか。また、その課題をどのように認識されていらっしゃるのか、また、成果というものは最近出てきているのか、その辺をお聞きしたいと思います。

次世代育成課長

 委員御指摘のように、先ほど申し上げた待機児童の児童の性質を見ますと、約8割が0歳、1歳、2歳のお子さんでございます。保育所の定員構成は、どうしても保育士お一人の方が見られる児童の数を基にいたしますので、0歳の方にはかなり密接に保育する必要があることから、例えば60人定員だとしても、0歳、1歳、2歳のお子さん方の受入れ枠というのは非常に少なくなってまいります。そのため、3歳、4歳、5歳になると、待機児童の数自体は減ってまいります。そうしたことから、0歳、1歳、2歳、特に低年齢児の方を対象とした待機児童対策が非常に大切だと考えております。

 そこで、今年度から保育所の分園、特に低年齢児を中心とした保育所整備というものを、今年の予算の中で打ち出させていただいた安心八策の中に位置付けさせていただいて、今取り組んでいるところでございます。

 この事業の趣旨は、今申し上げたように低年齢児が待機児童の8割を占めているところでございますので、そこを重点的に整備をされる保育所の方への補助をしております。分園ですと比較的短期間で、また費用の面でも安く整備できますので、そうした分園で対応できないかということで取り組んでいるところでございます。

 先ほど申し上げたような市町村や事業者の皆さんにも働き掛けをさせていただきまして、今年度の見込みでございますけれども、4,700人を超える定員の増加を図ってまいるような見込みが立ったところでございます。

 これまでもこうしたことに取り組んでおりますけれども、低年齢児の方の待機児童対策に着目した保育所整備というものについて、今後も取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 4,700人の定員増を見込むということで、非常に有り難いことですね。ただ、先々はまだ分からないのですけれども、お母さんのニーズも増えてきておりますし、都市部では働かざるを得ないというか、どうしてもひっ迫している状況もあるかと思いますので、やはり頑張って整備していただきたいと思います。

 また、保育園のみならず幼稚園もありますが、所管が違うとは思いますけれども、幼稚園の預かり保育というのは一体どのようになっているのかというのもお聞きしたいのです。幼稚園の預かり保育の助成というものがあるそうですが、先日、青葉区の愛和幼稚園にお伺いしたのですね。また、あざみ野白ゆり幼稚園とか、市ヶ尾幼稚園などにもお伺いし、そこで多少お話をしたのですけれども、幼稚園によって考え方が全然違うのですね。ある幼稚園は、保育所ばっかりもてはやされている、そういう不平をおっしゃっていらっしゃって、また、ある幼稚園では、幼稚園教諭をもっと大事にしてほしいということをおっしゃっていた。プライドがあるのでしょう。多分大学の教育課程を出ないと幼稚園教諭にはなれませんから、そこをちゃんと考えてほしい、そんなこともおっしゃっていました。また、ある幼稚園では、保育の方の規制をもっと取っ払ってほしいというようなことで、幼稚園の経営者の考え方が様々だなというのが私が感じたところでした。そこで県としては、幼稚園の預かり保育ということに関して、現在はどのような状況にあるのでしょうか、お伺いします。

学事振興課長

 預かり保育の状況ということでお答えをさせていただきたいと思います。

 現在、平成21年度の数字になりますが、神奈川県におきましては、幼稚園の数が674園ございます。このうち預かり保育をしていただいている件数、これは県が補助をしている件数ということで答えさせていただきますが、436園、比率にいたしますと64.7%という数になってございます。

 この預かり保育の内訳なのですが、通常幼稚園は午前9時から午後2時ぐらいまで開園をしており、この後に預かり保育をすることによって、時間を延長してお子様を預かっているということでございます。時間分類でちょっと御説明をさせていただきますと、1日の預かり保育の時間が5時間未満の幼稚園というのが372園、5時間以上にわたってやっていただいている幼稚園が64園ございます。それと、今言いましたのは平日の延長でございますが、これ以外に休日に預かり保育をやっていただいているところ、あるいは夏休みとか冬休みとか長期の休業期間に預かり保育をやっていただいているところ、こうしたところもございます。

内田委員

 分かりました。

 これは今、過渡期だと思うのですね。やはりこれから今後、幼稚園と保育園がどのようになっていくか期待するところがあるのですけれども、保育所の整備など待機児童対策では4,700人の定員増の見込みなど、少しずつですけれども成果が出てきているとは思います。また幼稚園との連携も、せっかくあるのですから今後必要ではないかと私は思います。

 そうした観点も含めて、今後、待機児童対策に県当局としてはどのように取り組んでいくのか、その意気込みをお伺いしたいと思います。

次世代育成課長

 幼稚園の方は、今御紹介がありましたように、預かり保育を実施しているところがかなりあるということでございます。幼稚園と保育園の連携を考える際には、幼稚園が長時間の保育を実施できるかというようなことですとか、あるいは幼稚園は3歳以上でいらっしゃるので、幼稚園で実施していない0歳、1歳、2歳の低年齢児の方の保育をどうするのかとか、あるいは幼稚園で実施していない給食をどうするかとか、また従事されている保育士さんや幼稚園教諭の方々、それぞれ対象となるお子さん方の行動ですとか実施する保育の指針ですとか教育の指針も違いますので、そういうような様々な課題がございます。県内には多数の幼稚園もございますし、保育園もございますから、待機児童が多い中で、双方が連携・協力してこの県民のニーズにこたえていくということは大変必要なことだと考えております。

 ですから、待機児童が急増している中で、今申し上げたような課題が様々ございますので、幼稚園と連携・協力するということについては、今申し上げたような課題を今後も検討をしていく必要があるのではないかと考えています。

 そこで、今年度、先ほど申し上げた安心八策の中にも位置付けた事業でございますけれども、幼稚園と保育所が連携しながら、先ほど申し上げたような課題を研究するような試行的な実践研究の事業も現在、実施が始まるところでございます。藤沢市と綾瀬市の方で県からの補助の下に保育所、幼稚園とともに研究事業として実践的に取り組んでいただきますので、そうしたものの成果を踏まえまして、今後、先ほど申し上げたような課題の検討もしてまいりたいと考えております。

 さらには、幼稚園にある程度余裕のスペースがあるような場合に、そのスペースを、例えば保育所の分園として活用できないかですとか、あるいは認定の保育施設の設置に活用できないかですとか、あるいは家庭的保育を実施する場所として活用できないかというようなことも含めて検討し、いろいろな可能性について探っていきたいなと考えています。

 それも市町村と一緒にやっていく必要があると思っておりますので、委員御指摘のような待機児童対策に幼稚園と保育園の連携もしながら、今後も検討してまいりたいと考えております。

内田委員

 是非鋭意努力していただきたいと思います。待機児童対策はまだまだ続くと思いますし、幼稚園との連携、それから様々な課題の解決策の模索など、いろいろなアイデアがあると思いますので、是非実現に向けてまい進していただきたいと要望します。

 次は、お子さんの小児医療助成制度とか、また、親御さんの妊婦健診、周産期医療、不妊治療についてお伺いしていきたいと思います。

 まず、妊婦健診なのですけれども、お話によりますと、妊婦健診の補助費が公費で出ているというのがありますけれども、将来なくなってしまうのではないかという危ぐもされております。その辺ちょっとお伺いしていきたいので、まず、妊婦健康診査というものの概要についてお伺いしたいと思います。

健康増進課長

 妊婦健康診査の概要でございますが、御承知のとおり、妊婦さんが妊娠中の母体の健康を守り、母子ともに健やかに出産を迎えていただくためには、健康診査を定期的に受けていただくことが大変重要だと考えてございます。

 こうしたことから、母子保健法におきましても、市町村は妊産婦に対して健康診査を行い、または健康診査を受けることを勧奨しなければならないと記されてございまして、市町村が妊婦健康診査を実施することとされているところでございます。

 この内容でございますけれども、全国一律に実施される必要がございますので、厚生労働省の方からこの妊婦健康診査の回数でございますとか、実施の時期、あるいは内容について、あるいは公費負担の数字について通知がされてございますが、特に健診の内容につきましては、日本産婦人科学会のガイドラインに基づいて実施するように示されているところでございます。

 このようなことを受けまして、今各市町村におきまして、いろいろ医師会等の関係機関等と連携しながら、妊婦健康診査を実施しているというところでございます。またあわせまして、この費用にかかります負担につきましては公費負担で行われているという状況でございます。

内田委員

 そういう公費負担も行われているということで、妊婦さんにとっては経済状況が悪い中、やはりこういったものでちゃんと健診を受けるかどうかによって周産期の救急医療体制に響いてくると思うのですね。

 そこで公費負担のこれまでの経過と現状についてお伺いいたします。

健康増進課長

 公費負担の経緯でございます。

 ちょっと古い話でございますが、公費負担は昭和44年から始まったと承知してございます。当時まだ健診については県が実施してございましたけれども、最初は低所得世帯の方々を対象にいたしまして、2回分につきまして公費負担を開始したと承知してございます。

 その後、平成8年に母子保健法が改正されまして、母子保健の実施主体が市町村の方に移りましたので、この段階で市町村で引き続き2回の公費負担を継続していただいたというふうになってございます。

 その後、委員からお話がありましたとおり、ハイリスク妊婦の問題でございますとか、高齢出産等の問題がございまして、やはり妊婦さんの健康管理が大変重要な課題になってまいりました。その中で経済的理由により妊婦健診を受けられないということがあってはならないということから、平成20年になりまして、回数が5回という形で拡充されたところでございます。これにつきましては、全妊婦さん対象という形で拡充されたところでございます。

 さらに、平成8年に、国は妊婦健診の回数について14回が望ましいという形で示したところでございまして、それまで5回分を公費負担とされておったところでございますけれども、平成20年の緊急経済対策の中で、妊婦健診について14回分すべてを公費負担にするという形で方針が示されました。これを受けまして、全市町村は現在、14回分につきまして健診費を公費負担させていただいているというところでございます。

 それから、その財源につきましては、最初の5回分についてはすべて地方交付税措置という形になってございますが、今般拡充されました9回分につきましては、2分の1が交付税措置という形で、残る半分につきましては、都道府県からの助成という形で現在進められているところでございます。

内田委員

 今そういうことで、緊急経済対策の一環として14回で、そのうち県も少し助成しているということですけれども、その実績について伺わさせていただきたいと思います。

健康増進課長

 実績でございますが、この事業は平成20年度の補正予算で開始されたところでございますので、平成20年度及び21年度の実績についてお答えさせていただきたいと存じます。

 まず、平成20年度でございますけれども、この段階で既に6回以上公費負担を行っていた市が4市ございました。こちらにつきまして助成させていただきまして、総額で8698,000円という形で助成させていただいたところでございます。

 さらに、昨年の平成21年度は、県内33の市町村すべて14回に拡充されましたので、9回分につきましての県からの助成を受ける形になりましたので、こちらにつきまして平成21年度の総額で164,572万余円という形になってございまして、平成2021年度、この分を合わせますと、これまでに165,440余万円を助成しているところでございます。

内田委員

 やはり少子高齢化ということもありまして、ここにお金を投資することはやぶさかではないから、いいことだと思うのですね。しかし、県の助成が終了してしまうと、今まで公費でやってもらっていた健診などが全くなくなるか、もしくは市町村の方にしわ寄せがいってしまうのかなということが簡単に想定できます。そこで、県は公費負担の継続というものについて現状ではどのように考えていらっしゃるのかをお伺いいたします。

健康増進課長

 申されましたとおり、この妊婦健康診査の県の助成でございますが、これは国の方の臨時財政措置という中で取り扱われてございまして、実はこの事業につきましては今年度が時限という形になってございます。

 そうしたことから、この時限で終了いたしますと、今後、14回まで拡充されました公費負担の実施につきまして、市町村の方で大きな支障が生ずることが懸念されますし、やはり全国一律という観点からまいりますと、国の責任において引き続き財政措置を講じていただきたいと県としては考えているところでございます。

 また、市町村から県に対しましても、来年度以降も同様に国におきまして継続的に財政支援をしていただきたいということを国に働き掛けてほしいという要望も頂いているところでございます。

 こうしたことから、平成23年、来年度以降も安定的に事業が実施できますような、地方の財政負担が生じないような措置を講じていただくために、県といたしましても、来年度に向けました国への提案でございますとか、さらに、九都県市首脳会議の場などを通じまして要望させていただいているところでございます。

 今後とも他の都道府県とも連携させていただきながら、健診の実施に必要な財政措置につきまして、引き続き講じられますよう国に要望してまいりたいと考えているところでございます。

内田委員

 やはり赤ちゃんが生まれる前の段階は非常に大事だと思うのですね。ですから、やはり国に要望していただくことも大切なことだと思います。

 そして、この健診の後に周産期救急医療についてお伺いしますけれども、健診をしていないで飛び込みで病院に行った場合、リスクが非常に高く、またたらい回しといった事件も2年前ぐらいに頻発していましたよね。そのとき私は厚生常任委員でしたので、県の方にもいろいろと質問させていただきましたし、ほかの議員も本会議等でいろいろその現状などお伺いしています。そうはいっても産科医師不足ですし、いろいろ課題があると思うのですけれども、まず、ここのところの周産期救急医療システムの概要を確認の意味でお伺いしたと思います。

医療課長

 本県では、地域の分べんをやっている先生方の患者さんに予期せぬ急変等が生じた場合に、24時間365日お受けする体制を整備しております。具体的には、全県を6ブロックに分けまして、それぞれのブロックに3種類の病院、基幹病院、中核病院、協力病院というピラミッド型でやっております。まず一番最後のとりでとなる最も重症の方を受ける基幹病院、その次に中等症以上の患者さんを受ける中核病院、その次に比較的軽度な患者さんや急性期を脱した患者さんを受ける協力病院というピラミッド型で全県6箇所でやっております。

 ちなみに、地域の先生の方からそういう患者さんが出た場合には、基幹病院にまず連絡が入って、基幹病院が患者様の症状に応じてどういったところで診ていくのがいいかというコーディネートもやっております。これらがシステムの概要という状況になっております。

内田委員

 周産期の救急医療は本当に命にもかかわることということで、何箇所もたらい回しにならないようにというのを2年ぐらい前に質問の中に入れさせていただきましたけれども、今現在、周産期救急医療が抱えている課題というのはどんなところにありますでしょうか。

医療課長

 現在の課題ということですが、今委員がおっしゃったようなことと非常に関連するわけですが、4点ほどあります。

 まず、先ほど申し上げた基幹・中核・協力病院がタッグを組んで受け入れているところなのですけれども、やはり基幹病院に患者さんが集中してくるという現状があります。やはり全体の受入能力が狭くなってくると、どうしても上の方の病院に行ってしまうと。

 最近、委員おっしゃるような、どこの病院も受け入れられないというようなことはどうにか避けている状況です。それは現場の先生が非常に頑張ってくださって、そういうことになっているのですけれども、やはり基幹病院に大きな負担がかかっているというのがまず1点目の課題でございます。

 それで、2番目の課題として、県内でどうしても受け入れられない状況、今日はどこも無理だという状況になった場合には、県外の病院、東京が多いわけですけれども、そういうところに搬送されているという状況もございます。

 あと3番目の課題には、委員が先ほどおっしゃった妊婦健診をお受けにならないお母さんの場合には、何か急変があった場合に、おなかの赤ちゃんがどれぐらいの大きさで育っていらっしゃるかというのが分からないわけです。そうすると、念のため、すごく小さくても対処できる最高の施設がそろったところしか受けられないということになるので、非常に受入れも難しくなってくるという問題があります。

 また、これは一方、そういった重症の赤ちゃんを診るところ、NICUと私どもは呼んでいるわけなのですけれども、NICUに重症のためにずっと、場合によっては何箇月も退院できないお子さんとかもいらっしゃいまして、そういった方を重症心身障害児の方の施設など適切な場所でケアしていくというのも課題になっております。

 あと、医療従事者の確保も課題になっております。

 以上が現在の課題でございます。

内田委員

 承知いたしました。

 いろいろ言われていること、産科医師不足も根っこにありますし、やはり健診を受けないとリスクが高くなるということもありますし、地域医療の更なる再生が求められるのかなと思いますけれども、今後の県の取組はどうなのでしょうか、お伺いします。

医療課長

 今後の取組でございますが、まず、去年、国のお金を利用しまして、地域医療再生計画というのを国に出しまして、約50億円の基金が参りました。神奈川県の場合には、それを救急と周産期という二つの分野に使っていくということになっておりまして、周産期の分野は県としても非常に大きな仕事をしなければならないとまず考えております。

 その地域医療再生計画の中に盛り込んだ事業を二つ御紹介しますと、一つは、先ほど委員のおっしゃった未受診妊婦さんの問題について、健診を受けない妊婦さんが救急になった場合の対応のルールをつくっていって、かつそういった受け入れにくい患者さんを受け入れた場合の、医療機関を支援する方策なども考えるというような事業をまず一つ盛り込んでおります。

 もう一つは、先ほど私がちょっと申し上げましたNICUに長くいらっしゃることを余儀なくされているお子様には、もっと最適な重症心身障害児の方のための施設を整備する必要があると考えており、そういった事業も盛り込んでおります。

 また、今回の厚生常任委員会でも報告した件なのですけれども、県の方で周産期の医療体制整備計画というのをつくっております。この中で、先ほど私が申し上げた課題や、かつその課題を解決するための方策を書き込んでいって、課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。

内田委員

 ありがとうございます。

 50億円の基金を周産期救急医療の方にも充てるということです。どのくらいの金額か分かりませんが、そういう健診やNICUの課題解決に取り組んでいただきたいと思います。私も、こども医療センターを視察させていただきましたけれども、2歳ぐらいのお子さんが呼吸器などいろいろな機械を付けてあの中にいらっしゃるのを見て、本当に大変なのだなと思いました。大きい子なのですけれども、やっぱり寝たきりなのですね。ほかにもっといい環境のある施設に行けないのかなと思いましたし、またそこに入らないといけないお子さんが次々いらっしゃいます。さらに少子化対策としても、このような課題に少し力を入れていただければなと思いますけれども、両方、一生懸命まい進していただきたいと思います。

杉山委員

 今、内田委員がNICUのことで何点かお聞きしました。そしてまた、それが課題であるという話も聞きました。また、今後の取組もお話を伺いました。その中で確認の意味で教えてください。

 まず、この地域医療再生計画、国から50億円が来ますよね。そして、この計画については県が救急医療ですとか、あとは周産期医療に割り当てるとのことですが、金額の割り振りをまず教えてください。

医療課長

 おおよその額で申し上げますと、国から来た総額が50億円で、県を境川を境に東側と西側に分けまして、東部の方では周産期の計画を出して25億円、それで西部が救急医療に取り組むということで25億円というような構成になっております。

杉山委員

 ありがとうございます。

 そうして、今NICU、せっかくこの世に生を受けたけれども未熟児というか障害を持った方、そういう子供のためにあるようですけれども、それでそのNICUにいられる期間といいますと医療法か何かで決まっているのですか。

医療課長

 医療法では決まっていませんし、ほかの法律でも何年を超えたらそこにはいられないというような規定はございません。

杉山委員

 そういった中で、医療費だけで勘案することはないのですけれども、NICUは多分1日の医療費だけでも相当かかるでしょうし、NICUから次なる施設に行かれる方の問題もある。そちらの説明の中で、大分少子化になったが、そういうNICUにかかる方は逆に増えているというような逆転現象と言ってはいけないのでしょうけれども、少子化なのだけれども、そういうNICUにかかる患者さんが増えているというような話がありました。そういった逆転現象というのはなぜ多いかは分かりますか。

医療課長

 委員おっしゃるとおりの状況、出生数は横ばいという中で、低出生体重児と私たち申しているのですけれども、体重の少ないお子さんが増えてきております。それは、一つには、不妊治療などの影響で、お子さんが欲しい方が不妊治療の中で産む場合、双子ちゃんができたりすると、双子ちゃんだとやっぱり一人一人が小さいことがあります。あとは高齢出産の方が増えている中で、もしもおなかの中で赤ちゃんの状態が悪くなった場合は、もう外に赤ちゃんが出られる状態になっている場合には、早めに出してあげた方がいいというようなことも医学の進歩があって分かってきており、そういったことから低出生体重の方が増えているというところはあると思っております。

杉山委員

 御説明いただきまして、ありがとうございました。

 双子にもちゃんが付くのですね。いろいろ医学的な見地からも御説明いただいてありがとうございました。繰り返すようですけれども、この世にそういうハンディキャップを持って生を受けた赤ちゃん、お子さん含めて、やはり神奈川県らしい医療の整備というものを充実していただきたいなという気持ちで内田委員に返します。

内田委員

 次に、不妊治療への支援についてお伺いしたいと思います。

 この間、ちょうどノーベル賞で体外受精を開発したロバート・エドワード氏が受賞され、誠におめでたいことですけれども、やはり不妊治療というのは、今お子さんができなくて困っている御夫婦にとっては本当に必要なものであります。不妊に悩む方々に対して、今、県ではどのような支援を行っているのかお伺いします。

健康増進課長

 不妊でございますが、これは一つには家庭の問題、あるいは性の問題にかかわりますので、個人の生き方、考え方にかかわる部分が非常にございます。そういった方に対してしっかり専門的な相談を受けられる仕組みが必要だということで、まず一つには専門相談という形の支援でございます。

 もう一つは、不妊治療を受けられる方の大きな悩みとしましては、不妊治療にかかる費用が高いことから、経済的な支援を求めるところが大きいことでございまして、こうした不妊治療に対する助成による支援です。これら相談と助成という、県といたしましては二つの取組で支援をさせていただいているところでございます。

 その辺につきましては、不妊専門相談センターという形で婦人科の先生でございますとか、あと男性不妊の対応もございますので、泌尿器科の先生などの面談の対応をさせていただいて、面談相談のほか、助産師の方によります電話相談などという形で受け付けたりもさせていただいておるところでございます。

 あわせまして、女性につきましても、今申しましたとおり、経済的負担が大きい中で、特に体外受精につきましては高度な生殖医療が伴うことと、あとは保険適用がされていないということから、非常に高額な負担がかかっております。あるいは、それが一度でお済みになればよろしいのですけれども、何回も繰り返すこともあります。そういったことから負担が重なるということもございますので、そういった部分につきまして、県として一部、費用の助成をさせていただく、こういった形で不妊に悩む方、あるいは治療を受けられている方に対して現在支援をさせていただいております。

内田委員

 高額な負担ということで、不妊治療費というのは一体どのくらいかかるのかということと、助成をどのように行っているか、状況を聞きたいと思います。

健康増進課長

 まず、費用でございますけれども、一般的な費用は医療保険の適用がございますけれども、先ほど申しました高度な生殖医療の部分、例えば体外受精につきましては自由診療の部分になりますので、なかなかデータはございませんけれども、聞くところによりますと、やはり1回当たり四、五十万円はかかると言われてございます。そういう意味では非常に高額なのかなと感じられています。

 その中、県の助成の仕組みでございますけれども、そうした方々、特に体外受精でも、これはちょっと専門的になりますけれども、顕微受精といいまして、いわゆる母体から卵子を取り出しまして、男性の方から精子を取り出しまして、それを体外で受精させて子宮に戻すという体外受精の治療につきましては、県といたしましてその治療費の一部を現在助成させていただいているということでございます。これらの不妊治療につきましては特定不妊治療と呼んでございまして、特定不妊治療費助成事業という形で行わせていただいております。

 これにつきましては、国庫補助事業がございますので、国庫補助を活用いたしまして、平成1610月から取り組ませていただいてございます。

 内容につきまして御説明させていただきたいのですが、まず事業の実施主体でございますが、これは都道府県のほか政令指定都市と中核市が実施主体となりますので、県内におきますと、横浜、川崎、相模原の3政令指定都市と、あと中核市でございます横須賀市が、それぞれ独自に県と同様の助成を行っているところでございます。

 その要件でございますけれども、5点ほどございまして、一つには、婚姻関係といたしましては法律上の婚姻関係である御夫婦であること。

 2点目は、居住地でございますけれども、県内に住所を有していること。ただ、先ほど申しましたとおり、横浜、川崎、相模原、横須賀の4市につきましては、それぞれの市の方に御申請いただくというような形になってございます。

 3点目でございますけれども、所得制限という形でやらせていただいてございます。やはり高額な一方で、負担できる方にはこれを負担していただいていることから、御夫婦の前年の所得が年額の合計で730万円未満の方を対象とさせていただいているところでございます。

 次に、4点目で、医師の診断でございます。やはり御自身の判断で申請するのではなくて、不妊治療によらないと妊娠の見込みがないか、あるいは極めて少ないという医師の判断の下に特定不妊治療を受けられた方に対する助成とさせていただきました。

 最後に5点目でございますが、医療機関は県の方で指定させていただいてございまして、そうした指定医療機関において受診をされることが要件となってございます。

 この助成につきましては、1回の治療につきまして15万円まで助成させていただいておりまして、1年度当たりは2回を限度とし、これを最大5年間を上限に助成させていただいてございます。すべて満たしますと、1年当たり30万円までの5年間ですので、御夫婦お一組当たり150万円までの助成という形でやらせていただいております。

内田委員

 5年かけて150万円ということで、心強いかなと思いますね。

 不妊治療にかかわる助成事業はいろいろ県として大変だと思いますけれども、当事者でないと分からないというのもあるのですね。多分産婦人科とかに行って先生に相談してから分かるというパターンになると思うのですけれども、どのような周知を行っていますでしょうか。

健康増進課長

 不妊治療の周知でございますけれども、やはり医療機関でございますとか、市町村などで周知することが一番適当と考えてございますので、専用のチラシを作りまして周知をさせていただいているところでございます。

 また、県のたよりも有効な広報の媒体でございますので、本年度ですと、既に6月号で一度案内させていただきましたし、また今後、下半期におきましても周知を予定しているところでございます。

 あわせまして、県のホームページ、あるいは一部の市町村の方で御協力いただきまして案内をさせていただいているところでございます。

 こうした形で周知させていただいておりますけれども、ただ、一方では、この事業によりまして不妊治療を県として呼び掛ける、不妊治療を積極的に勧奨するという趣旨ではございませんので、不妊治療、あるいはこの助成事業を使っていただくという意味におきましては、専門医療機関の医師の診断の下にこうした制度も活用できるということを御案内させていただきながら周知をすることも大事だと考えております。

内田委員

 不妊治療については、また細かく別の機会にもお伺いしていきたいと思いますけれども、昨今、児童虐待でいろいろなニュースがある中で、御夫婦がうまく仲よくやっていて、しかもお子さんが欲しいのになかなかできないというのは、いろいろ社会は複雑だなと思います。とにかくこうやって一生懸命2人でやっていて、お子さんを望んでいるのにできないというのは、何と言うのでしょう、本当に考えると切りがないのですけれども、県としてもできるだけ支援してあげて、元気なお子さんができるとよいと思っています。

 次に、小児医療費助成についてです。

 小児医療費助成制度については、昨年の決算委員会の方でも、国に要望してくださいというようなことで申し上げたのですけれども、実際問題、この小児医療費助成事業は市町村が実施主体と伺っています。

 一応その概要と実施状況についてお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 まず、小児医療費の助成制度につきましては、子供の健全育成と保護者の経済的負担の軽減を図るために、平成7年度から、実施主体であります市町村に対しまして県が補助を行っているものでございます。

 まず、委員の方からお話しございました制度の概要ということでございますけれども、入院につきましては中学校卒業までを対象、それから、通院につきましては小学校就学前までを対象にいたしまして、医療費の保護者の自己負担分について、市町村が実施する助成制度に対しまして県が補助をするものでございます。

 それから、市町村の実施状況ということにつきましては、全市町村で実施をしておりますが、入院については県内すべての市町村が中学校卒業までというような基準となってございますけれども、通院につきましては、対象者が小学校就学前から中学校卒業までということで、市町村によってばらつきがあるというような状況でございます。

 ちなみに、県の補助基準と同じ小学校就学前を対象としてございます市町村は9市町ということになっておりまして、その他が24市町村ということで、県の基準よりも拡大をしているところが24市町村あるという状況でございます。

 この制度につきましては、平成17年度に全市町村からの要望を受けまして見直しを行い、平成2010月に現行制度となったわけでございますけれども、その後、市町村がそれぞれの事情を考え拡大を図ってきているというような状況でございまして、本年度、新たに11の市町村がその対象を拡大するというような取組を行っているところでございます。

内田委員

 県内市町村ばらばらの基準というのは非常に大きな問題でありまして、県では統一する考えというのはないのでしょうか、お伺いします。

子ども家庭課長

 県内の市町村が行っております小児医療費の助成制度につきましては、対象年齢以外の所得制限ですとか一部負担金の取扱いなど、市町村によって異なる基準で今実施されているところでございます。

 先ほどもお話ししましたように、本事業につきましては市町村が実施主体の事業となっておりますので、現状におきましては、それぞれの市町村の御事情ですとか御判断によりまして、対象年齢の拡大ですとか所得制限の緩和などが行われているものと理解をしております。

 県といたしましては、県の補助基準は市町村の要望を受けまして見直しをしたというようなことなどを踏まえまして、改めて制度の変更ですとか統一をした新しい基準を設けるというようなことについては、今のところ考えておりません。

内田委員

 今のところ考えられないという御答弁でしたけれども、小児医療費助成事業というものは、そもそも全国の市町村で実施されているのか、それともされていないところもあるのか。そのところをお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 乳幼児の医療費の助成制度ということになりますけれども、この制度につきましては、全国すべての市町村で実施されているということで承知しております。

内田委員

 結局、昨年度も申し上げましたけれども、やはり今少子化ということで、小児医療費助成というのは非常に大切なものであると私も考えますので、県からも国へ要望していることは十分承知しておりますけれども、結局、それは具体的にどのような内容なのかということと、国からの回答は何かあったのでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 委員の方からもお話をいただきましたけれども、本県といたしましても、国の方にこれまでも乳幼児の医療費の助成制度については、全国統一した制度で実施をしてほしいというようなことで要望をしてきたところです。本県といたしましても、引き続きということですけれども、すべての子育て世帯が安心して子供を産み育てることができるように、国の責任で全国一律の制度を実施すべきと考えておりますので、統一的な広域負担制度を創設するように国に引き続き要望してまいりたいと考えております。

 具体的には今年度におきましては、平成23年度ということですけれども、今申し上げましたように、国の責任において小児医療など医療費助成の統一的な公費負担制度を創設するように要望しているところでございます。

 この件につきまして、国の方から具体的にこういう対応をとっていくとかというようなことでのお話はまだ伺っておりません。

内田委員

 この件の要望を申し上げたいと思いますけれども、やはりこれはどう考えても国で全国統一するのが本当に一番だと思います。なぜかと言うと、少子化ですから、いろいろな分野の方々が頑張っても、やはりこういう大切なかなめを国に担っていただかないと本当に困るなと思っているのです。今後とも小児医療費助成については強く国の方にも働き掛けていただき、県としても広域的行政なので、市町村での統一的な取組などその辺も考えていただきたいと思います。

 先日、市町村ヒアリングに我が党として行かせていただきましたけれども、いろいろな市町村から小児医療費助成については要望が出ているのですね。ですから、本当に市町村としても困っているところでありますので、その辺を十分考えていただいて、要望していただきたいと思います。

 

 (休憩 午前1158分  再開 午後1時2分)

 

内田委員

 それでは、今度は母子家庭、そして父子家庭、ひとり親家庭といわれる方々の支援策について、何点かお伺いしたいと思います。

 まず、母子家庭等支援の推進のため児童扶養手当の給付を行っているという御報告がございましたけれども、制度の概要、そして平成20年度の支給総額、それから対象人数についてお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 児童扶養手当につきまして御質問いただきました。

 児童扶養手当は、父母の離婚、あるいは父また母親の死亡などによりましてひとり親となった世帯等の生活の安定と自立を目的にいたしまして、18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるお子さんを監護している親御さんなどに対しまして、月額約4万円を支給する制度となってございます。

 なお、所得制限が設けられており、また児童の数によりまして1人5,000円から3,000円の加算がございます。

 平成22年度の支給総額ということでございますけれども、県につきましては、所管をしております町村域ということになりますのでお話しいたしますと、予算ベースでは約8億5,000万円の規模になります。

 対象となる児童数は、9月現在の支給対象者が約2,000人となってございます。

内田委員

 最近、父子家庭の方もひとり親ということで支援の幅が広がってきたと思います。児童扶養手当は今御報告いただきましたけれども、県としましてはそのほかにどのような取組を行っているのでしょうか。

子ども家庭課長

 ひとり親家庭の支援策ということでお話をさせていただきたいと思います。

 まず、経済的な支援策でございますけれども、一つには、母子・寡婦福祉資金の貸付けを行っております。それからもう一点、ひとり親家庭の医療費の助成、先ほどは小児医療でしたけれども、同様にひとり親家庭につきましても医療費の助成をさせていただいているところでございます。

 それから、2点目としましては、日常的な生活支援策ということになりますけれども、一つは日常生活支援事業といたしまして、御家庭の親御さんが御病気になられたですとかそういった際に、一時的に介護、保育が必要になる。そういったときに家庭生活支援員を御家庭に派遣をいたしまして、生活の支援をするという制度がございます。

 それからもう一つは、各保健福祉事務所あるいは市の福祉事務所に、母子自立支援員という職員を配置しておりまして、生活相談を受けていただいております。

 さらに、就労支援ということでございますけれども、母子家庭等就業・自立支援センター事業というのがございまして、県母子寡婦福祉連絡協議会の方に委託をいたしまして、就業相談員によります就業相談ですとか、適職発見のためのセミナーなどを事業として行っているところでございます。

 さらには、母子家庭高等技能訓練促進費と申しまして、看護師ですとか介護福祉士等の資格を取る際に、資格取得時の生活資金を給付するという事業などを実施しているところでございます。

内田委員

 いろいろ各種支援の在り方を今述べていただきましたけれども、それでは、母子・父子家庭、ひとり親への支援で、平成22年度の新たな取組というのはあるのでしょうか。

子ども家庭課長

 平成22年度に県が実施いたします新たな取組といたしましては、ひとり親家庭就業支援事業というものがございまして、これは国の安心こども基金を活用いたしまして、先ほど御紹介いたしました県の母子家庭等就業・自立支援センター事業を県の母子寡婦福祉連絡協議会に委託をして実施するものでございます。

内田委員

 今御答弁いただきましたけれども、ひとり親家庭就業支援事業は一体どのような感じて進められていく事業なのでしょうか。

子ども家庭課長

 この事業につきましては、安心八策にも位置付けられておりますけれども、現在の厳しい雇用・経済状況の中で、特にひとり親家庭の皆さんにつきましては、子育てと生計の維持ということをお一人で担わなければいけないということがあり、収入の安定に結び付くような就職が困難な状況があると見ております。

 そこで、本県におきましては、先ほど申しましたいわゆる県の母子連という団体に、母子家庭等就業・自立支援センター事業をこれまで委託をしてきたところですけれども、その中の特に就業支援の部分を強化するという形で新たにこの事業を行うことで、求人開拓をする職員ですとか就業相談員を配置する、あるいは関係者というか、こういった事業に今までも取り組んできた方に御参加いただきまして、就業支援チームというものをつくってひとり親家庭の就業を進めていく、というようなことで取り組んでいくものでございます。その中では適性の検査ですとか就業相談等を実施していくという内容になってございます。

内田委員

 今お聞きしましたけれども、やはり子育てと生計の維持という両方をやらなくてはいけない。そして、昨今の厳しい雇用情勢の中、条件は厳しいですし、また、1人で子供を育てるのは本当に大変なことだと思います。ここのところをよく県としても重視していただいて、より良い施策を展開していただきたいと思います。

 もう一つは、この報告事項の中でちょっと私が気になっている、子育てに適する公営住宅の特例入居、これについてお伺いしたいです。優先的に入れるのかどうなのかということや、子育てに適する公営住宅の特例入居の概要というのですか、今現在の実際相場で言うと幾らで入れるものかという、相場的なものをお伺いしたいと思います。

公共住宅課長

 子育てに関する公営住宅の特例入居ということでございますけれども、御案内のように、県営住宅、主には所得が比較的低い方で住宅に困窮されている方を対象として住宅を提供させていただいてございます。

 この制度は、そうした中で特に就学前のお子さんを抱えている子育て世帯を対象に住宅を提供することで、安定した住居の下で子育てをしていただきたいということがまずは目的でございます。

 あともう一点は、県営団地では、最近、高齢化が進んでおりまして、そこに若い世代が入っていただくことで団地全体の活性化、ないしは若返りにもつながるという、そういった二つの目的で始めたものでございます。

 制度の概要を簡単に申し上げますと、就学前のお子さんを抱えている世帯の方が対象でございまして、ただし、原則9年間の期限付きの入居という形になってございます。ただし、これは義務教育を修了するまでの間という前提に立っておりますので、各御家庭の事情によりましては、住宅営繕事務所長の承認の下で延長するということもございます。

 さらに、近隣に小学校とか中学校があることを前提にして対象となる住宅の選択をしているということがございます。

 家賃でございますけれども、募集する住宅の建築年数によって若干金額が違います。ただ、大ざっぱに申し上げますと、通常市中の民間の賃貸住宅、同じ建築年数と比べますと約半額ぐらいにはなっているだろうと、そういった認識でございます。

内田委員

 今、約半額ぐらいということで、困窮している方が子育てをするに当たっては住居という問題は非常に大きいと思います。ただし、私が事前にお伺いしたところ、応募倍率が結構高くて、10倍以上みたいなことをお伺いしております。平成22年度の5月でも40戸募集したということを事前に聞いておりますけれども、今までの応募状況と、それから実際にいつごろその方々は入居できるのかということと、あと今後の募集予定について、一度で申し訳ないのですが、全部お伺いしたいのですが。

公共住宅課長

 ただいま主に3点、御質問いただいたと思います。

 まず、これまでの応募状況ということでございますけれども、住宅の特例入居は平成18年度から制度をスタートさせておりまして、県営住宅の定期募集は、毎年度、5月と11月の2回でございます。平成18年度から平成22年5月の定期募集までで、累計で400戸募集させていただきました。それの期間の平均の倍率というのは、確かに委員御指摘のように、14.2倍ということでかなり高い応募倍率となってございます。

 また、この場合、当選した後にどういう形で入れるかということでございますけれども、通常、11月の定期募集の例で申し上げますと、大体入居できるのが4月以降ということになります。それは収入ですとかいろいろ資格審査をした上で入居指定をかけていく関係で、若干時間をかけてございますけれども、ただ子育て世帯につきましては、お子様の小学校入学等の事情がございますので、3月末までには入居ができるような形で、審査等を早めて対応させていただいてございます。

 また、今後の募集はどういうふうにやっていくかということでございますけれども、これまで平成18年度から22年度の5年間で大体400戸程度提供するということでやってまいりました。今後につきましては、応募状況ですとか実際に入居されている方の御意見、そういったものも踏まえながら、ただ、一方で、県営住宅は御案内のように、子育て世帯の方だけではなくて、高齢者の方ですとか非正規雇用でなかなか所得が上がらない方ですとか住宅に困窮されているいろいろな方がいらっしゃいます。そうした方の人数も多うございますので、そうしたその他の住宅困窮者の方とのバランスを考えながら、さらには、先ほどの答弁と重なって恐縮でございますけれども、小学校とか中学校とかが近くにあるかということも選定条件になってまいります。そのような条件の下、空き室が出たときに子育て世帯向けに適する住宅といったものを確保しながら、これまで随時募集の形でやってまいりました。ですので、そういったことを今後トータルに考えまして、提供の在り方等を含めて考えてまいりたいと考えております。

内田委員

 ほかの方々との兼ね合いも重要です。しかしながら、14.6倍というのはやっぱり高倍率かなと思います。是非今後も、適宜子育て世帯の住宅に困窮されている方々を支援していっていただきたいと要望いたします。

 最後に、ちょっと重い課題が多いので余り今日は時間がありませんが、まずは児童虐待についてお伺いしようと思います。児童虐待については、本当に前からですけれども、いろいろ事件が起きましたよね。ちょっと私が危ぐしているのは、虐待が結構増えたために乳児院の施設が満杯状態だということです。特に虐待のケースでは乳幼児、口がまだきけないような0歳児、1歳児、2歳児といった小さな赤ちゃんが虐待に遭っているケースが非常に多く、施設の普及も県当局としては考えていっていただきたいと思うのですけれども、まず、平成22年度の相談件数を改めてお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 虐待の相談受付件数でございますけれども、県所管域の五つの児童相談所で受け付けた件数、平成21年度実績でお話しさせていただきますと、1,642件となってございます。

内田委員

 今国でもいろいろ対策に関してやっと取組を始めたような感じでもあります。しかしながら、児童相談所に先に相談していても、そういう専門機関がかかわっていながら、結局、子供の命を救うことができなかったというような事件も多発しております。また、我が党でも児童虐待について、この間の代表質問でも佐藤光議員から、児童相談所の役割とか、それから地域の連携について、例えばコンビニとか新聞配達員の方とかとのいろいろな連携がとれないのかといったことと、マンパワーが足りないのではないかといった指摘などをさせていただきました。その対策はまだまだこれからだと思うのですけれども、もう一つ、そういった対応のほかに、虐待をしないように、親に教育すると言ったらなんですけれども、親への働き掛けや取組もすごく重要なことだと思うのですね。なので、その辺のもう一つの方の児童虐待対策というか、対応についての取組についてお伺いしたいと思います。

子ども家庭課長

 児童虐待への対応につきまして、児童相談所としては、大まかに言いまして二つの役割がございます。

 まず一つは、子供の命や安全を守るというような意味で、例えば虐待が起きているような場合には、親の意思に反してでもき然とした対応をとりまして、子供の安全を確保するというような役割が一つございます。

 それとあわせて、委員の方からもお話がございましたように、子供が虐待を受けることなく、家族と一緒に安心して生活ができるように支援をしていくというのも重要な役割となってございます。

 それで、後段の家族と安心して生活ができるようなことへの支援ということで児童相談所が行っているものについて御紹介させていただきたいと思います。県所管の五つの児童相談所それぞれに児童福祉司と児童心理士がペアになって、親子支援チームというチームを設置しております。主に家庭をサポートするという立場でかかわるということで、地区担当の児童福祉司と連携をしながら取組を進めているところでございます。具体的な取組といたしましては、その家族の中にある課題を明らかにするため、家族支援のためのチェックリストなどを活用いたしまして、親子関係の見立てを行うということと、親子関係を再構築するためのプログラムやプランを作成するというようなことを実施しております。

 そういったプランを作成しながら、それに基づいて保護者へのカウンセリングですとか、それから保護者のグループをつくって、親御さん同士で話合いをしてもらい、御自身のことを振り返っていただくと、そういった取組をしているところでございます。

内田委員

 分かりました。児童虐待については、まだまだこれからというのもありますし、先ほど申し上げました乳児院の方の充実も真剣に考えていかなくてはならないと私は思います。

 最後に要望させていただきます。

 今回、安心くらしづくり特別委員会ということで、現在特有の例えばひきこもり、ひきこもり者は70万人前後ですけれども、予備軍が150万人ということで、この間も常任委員会の方で多々議論が交わされましたけれども、NPOとの連携も大切だと思います。そういったひきこもりの問題や、今申し上げました児童虐待の問題は全国で4万件以上というそんな件数ですから、現代特有の諸課題というものが山積している。

 また、神奈川県では、例えば不登校ですか、これが全国最多と出てしまっていますし、暴力行為についてもそうです。それは実数をちゃんと表しているといっても、その数というのは本当はもしかしたら氷山の一角かもしれない。まだまだこれから学校、教育現場のソーシャルワーカー活用事業も始まりましたけれども、そういった意味で、安心くらしづくり特別委員会ということですから、多方面から子供たちが健全に明るく元気に育っていくように私どもも願っておりますし、できるだけ県当局にしましてもせっかくの子供たちなのですから、頑張っていただきたいと本当に強く要望させていただきます。以上で私の質問は終わらせていただきます。