平成22年  安心くらしづくり特別委員会 - 1214日−01

平成22年  安心くらしづくり特別委員会

◎《委員会記録-平成22年第3回定-20101214-000003-安心くらしづくり特別委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(滝田・鈴木()の両委員)の決定

3 本日新たに出席した当局出席者の紹介

4 日程第1を議題

5 調査項目の決定

  (1)自殺対策について

  (2)消費者問題について

6 同上説明

  (1)保健予防課長

  (2)消費生活課長

7 日程第1について質疑

 

内田委員

 おはようございます。それでは、今御報告いただきました自殺対策について質疑をさせていただきます。

 先日、私どもは、長崎の方へ視察に行かせていただきました。そのときの資料を今日持ってきましたけれども、長崎の方では割と進んだ対策をされていて、このように七つの虹色を表して、それぞれの対策について非常に分かりやすく冊子にまとめられております。神奈川県におきましても、今御報告をいただきましたけれども、かながわ自殺総合対策指針という冊子がございますが、まだまだ研究の余地があるのかなというのが第一印象でございます。

 平成10年以降、12年連続で全国の自殺者が3万人を超えているという非常に危機的な状況というか、深刻な状況であります。こうした自殺者が急増した時代背景に、平成10年以降は経済危機もありましたし、様々な要因が絡んでいるかと思います。改めまして現在の社会情勢と、平成10年辺りから12年連続で自殺者が3万人を超えてきた、この間の社会情勢との関係性についてお伺いしたいと思います。

保健予防課長

 今のお尋ねでございますけれども、まず平成10年に、全国でも神奈川県においても同じような傾向で、自殺された方が相当な数で増えております。全国で申し上げますと、平成9年の2万3,494人から平成10年には3万1,755人と、8,261人増加しました。非常に大幅な増加となっています。内訳を見てみますと、男女とも全ての年齢層で増えていますが、特に45歳から64歳ぐらいの男性の方、いわゆる働き盛りの中高年男性の自殺者が非常に増えておるという状況が分かっております。

 この要因としていろいろ考えられておりますけれども、一つには、例えば平成9年当時ですが、北海道拓殖銀行の経営破綻ですとか、続いて山一證券が自主廃業に追い込まれたといったことを背景とした金融不安、それからそれに対応する企業の過剰人員の整理、こういったところから失業者が増加し、その中心が中高年の男性であったということも一つの理由ではないかと言われております。その後、平成15年の自殺者数が、これは過去最大なんですが3万2,109人となっております。この理由としましては、特に当時40歳代以下の若年層の自殺が増加しているという特徴がございます。長引く不況により、例えばフリーターの方など、若い層にも社会不安や無気力感が広がったことが影響したんではないかと捉えることもできると考えております。

 また、平成17年以降なんですが、失業率等はそんなに大きな変化がないんですけれども、自殺者数はなかなか減少していないという状況がございます。特に20代、30代と、それから60代以上の方で多いという、二極化して増加しているという状況がございます。こうした最近の動向につきましては、リストラなど改革の痛みによる50歳代ぐらいの方を中心に増加していた従来の傾向から、最近では若年者の非正規雇用などの格差社会といった問題、あるいは社会保障の先行き不透明感に伴う高齢者の自殺、こういったところが要因として考えられるのではないかと思っております。

内田委員

 ありがとうございます。ちょっと今日は、警察庁の生活安全局の方から資料を取り寄せたんですけれども、これを見ますと、平成9年では2万4,000人だったのに、平成10年にはいきなり3万2,000人と、ここでかなり開きがあって、その前は大体2万1,000人、それから2万5,000人、その辺をずっと昭和53年から来ていまして、いきなり平成10年から3万2,000人、3万3,000人というところをずっと来ているわけですね。

 やはり今、自殺対策が求められているというのは、国もそうですし、県の方も今後いろいろ対策を練っていかないと、この数字は減っていかないだろうと。高齢者も増えてまいりますし、いろいろ生活不安もあると思いますので、まずは国の自殺対策、そして県の自殺対策について、その経過や対策、それから概要について、改めてお伺いしたい。確認させていただきます。お願いします。

保健予防課長

 まず、国の対応の方から申し上げます。平成10年度のいわゆる自殺者数の急増から、国の方では厚生労働省を中心に、当時、鬱病対策、それから職場のメンタルヘルス対策を実施してきたという経過がございます。しかしながら、なかなか自殺者数の減少に至らず、総合的な対策の取組が必要だというところから、厚生労働省を中心というところから、今度内閣府に所管を移しまして、総合的な自殺対策を実施してきております。

 そういった背景を踏まえまして、平成18年に自殺対策基本法が制定されて、さらに平成19年には、その基本法に基づく政府の指針として自殺総合対策大綱というものが策定され、現在に至っているという状況でございます。また平成22年2月には、当事者本位といいますか、自殺される方の立場に立った、より具体的な対策を実施しようということで、いのちを守る自殺対策緊急プラン、こういったものが策定されているところでございます。

 次に、県の取組でございますけれども、県では平成16年度から鬱病と自殺予防という観点に着目して、普及啓発などの取組を行ってまいりました。また平成19年度からは、やはり総合的な自殺対策を推進するというところで、行政ですとか医療、福祉、労働等の関係機関を構成委員とします、かながわ自殺対策会議、こういった会議を開催しまして、いわゆる推進体制を整備してきたところでございます。また、平成19年度から3年間でございますが、国の補助金を受けまして、大和市をモデルとしまして、都市部の自殺対策についてのモデル事業を実施してきたというところでございます。

 さらに平成21年度には、国の緊急経済対策の一環として地域自殺対策緊急強化交付金事業、こういったものの活用を受けまして、市町村、民間団体による自殺対策の取組が、平成21年度以降、本格化してきたというところでございます。また平成21年4月に、かながわ自殺予防情報センターというのを精神保健福祉センター内に設置いたしましたので、そちらを中心にしまして、情報収集・提供、人材養成、相談体制、こういったものを強化しているところでございます。

内田委員

 いろいろありがとうございます。神奈川県におきましては、一応自殺者の原因とか動機について載っていましたけれども、やはり病気の悩みや鬱、あるいは経済状況など四つぐらいの要因がいろいろ絡んできて、追い詰められた末に自殺してしまうというのが最近の傾向だと思うんです。そういった意味で、一つの要因で追い詰められるというよりも、いろいろ複合的な要素によって自殺に追い込まれるということが言われております。資料に人口動態統計、それから警察統計の記載がありますけれども、こういった統計もありますし、警察統計の方は今まで余り開示されていなかったんだけれども、ここに来てそういったものが開示されてきたりとか、そのほかに別の視点からの統計など、いろいろ今明らかになってきたわけでありますが、現状の統計をどのように分析されているか説明していただきたいと思います。

保健予防課長

 自殺者の把握につきましては、主に厚生労働省の人口動態統計、あと警察庁の警察統計、県ではこの二つを活用させていただいております。人口動態統計といいますのは、いわゆる日本における日本人を、外国人は含まず対象とした統計で、主に住所地を基に、死亡時点で計上しているという統計でございます。そういったところから、居住地における傾向が把握しやすいという特徴がございます。

 また警察統計は、日本における外国人を含むすべての人を対象としておりまして、これは、発見地を基に、発見された時点で統計をとっているというところが特徴になっております。そういったところから、遺書や遺族からの聴取を基にした原因・動機の調査項目があるというのが特徴であると思っております。

 また、二つの統計を比較しますと、特に発見地と住居地との差が明確になるということで、我々が対策をとる上では非常に役に立つ統計であると考えております。

 また、現状とその分析でございますが、先ほども申し上げているとおり、自殺者の推移を見ますとなかなか減っておりません。神奈川県としても全国で3番目に多い状況です。ただ、そうはいっても自殺の死亡率、人口10万人当たりの死亡率は比較的低位にあるということから、我々としてはできるだけ自殺の死亡数を減らしていくということに力を入れていきたいと考えております。

内田委員

 分かりました。今、神奈川県は、自殺者は多いけれども、自殺率にしてみますと全国で40位ぐらいということです。先ほどの警察庁の方の統計、これは発見された時点ということですけれども、それを見ますと、昨年度は自殺の総数が3万2,845人で、前年度に比べると596人増加しています。このうち2万3,472人、全体の71.5%が男性ということで、特に働き盛りの男性である50代は全体の19.8%となっています。やっぱりこの経済状況ということと、病気のこともあるかもしれません。このような数字を見ますと、経済状況など厳しいんだなというのを本当に実感させられます。また職業別の数字も出ておりまして、無職者が1万8,722人で全体の57%を占めている。ですから、今、雇用情勢も厳しいですし、リストラや解雇などの問題もありますし、あと自営業者の資金繰りが厳しいといったことでいろいろと大変な時代に突入してきたなというのが実感でございます。

 先ほど自殺率の方では神奈川県は40位ということで、全国的には低いということでしたけれども、地域性を見てみますと、秋田など東北の方が割と高いんですね。やっぱり地域性も少なからずあるのかなというのが見てとれますね。自殺の要因としてはいろいろあるんですけれども、神奈川県としては平成29年度までに、平成17年の自殺者数の20%を減らしていこうという目標数値が出ているんですけれども、果たして本当にやっていけるのかなというのが正直な感想なんです。それはどうなんでしょうか。お伺いしたいと思います。

保健予防課長

 確かに12年連続して大勢の方が亡くなって、なかなか有効な対策が見付からない状況の中で、平成29年度までに2割減らす、さらにその先はもっと減らしたいとありますけれども、この目標を掲げた理由としましては、国の自殺総合対策大綱というのがございます。そこにやはり10年スパンで2割減らしていこうという目標がございます。国の場合には全国比較ですので、自殺死亡率を2割減らすという目標でございます。神奈川県は、自殺死亡率はもともと低いということもありましたので、一人一人の亡くなられる数を減らそうということで自殺者数を2割減らすという目標を掲げております。

 どういう形でその目標を達成するのかということでございますが、基本的には、やはり一人一人がまず自覚していただくということです。身の回りで、例えばちょっと今調子がよくないなというような方がいれば、例えば専門家につないであげるとか、一人一人の気遣い、見守り、そういった取組を中心に、少なくとも行政だけではなく、全ての機関が一緒になってやっていく必要がある。そういったところをベースに置きまして、指針の素案にも10項目ほど重点施策を入れさせていただいております。その中でも特に精神的な疾患から亡くなられてしまう方が多いということもありますので、鬱病対策等を中心に、重点項目にそれぞれ力を入れて取り組むことで、目標を達成していきたいなと考えております。

内田委員

 今、鬱病の件が出てまいりましたけれども、こちらに資料がございますが、心の問題に関しては、長崎県の方でもメンタルヘルス問題への対応で関係機関との連携を積極的に図られているように見受けられたんですけれども、神奈川県の心の問題に関する相談支援体制、連携体制について、どのように捉えているでしょうか。

保健予防課長

 県内の相談関係の連携体制でございますが、まず神奈川県では、先ほど申し上げたかながわ自殺対策会議というのがございまして、ここにはいろんな機関が参加しております。その中で特に医師会ですとか精神科の病院協会、あるいは民間でいえば横浜いのちの電話ですとか、こういったところが入っておりまして、それぞれが専門の相談を、窓口を持って対応していただいているところでございます。

 そういった対応で、我々としては幅広い相談受付の窓口を持っておりますけれども、ただ、自殺の相談とか心の悩みの相談を受け付ける際に、よくよくお話を聞いてみますと、本当の根っこの問題は、例えば経済が苦しい状態にあるとか、あるいは家庭問題にあるなど、ほかの窓口と連携し、そこを紹介するというようなケースもあります。そういう連携体制は、かながわ自殺対策会議の構成メンバーの中ではできているという状況でございます。

 またさらに、そういった相談員の相談技術を向上させるための研修などにも取り組んでいるところでございます。また市町村の保健福祉事務所ですが、地域において地域精神保健福祉連絡協議会というのがございまして、そこに市町村の方とか精神医療機関とか民間団体の関係機関などが集まりまして、自殺対策の共有化とか課題の整理を行いまして、そういった中で相談体制についても連携をして取り組んでいるところでございます。

内田委員

 心の問題、特に鬱病につきましては、やはり大きな原因の一つだと思います。こちらの長崎県の資料でございますけれども、すごく細かく書かれているんですね。例えばアルコール依存症とか、それからギャンブル依存症、ほかにカード社会ですから買物依存症とか、それで借金を重ねる方も非常に多いと思いますし、依存症というのは問題行動で、最近よく脳の作用がどうのこうのとか言われたりしていますけれども、やはりそういう鬱病対策は非常に重要ですので、今後もきっちりといろいろ連携を組んでいただきたいと思います。長崎県の資料はすごい参考になるので、これを見ながら、もっと神奈川県の対策を具体的な内容にしていただきたいと思います。

 もう一つ大きな原因としては、やはり経済問題ですね。多重債務問題などは社会的な影響も大きいと思われますけれども、後でまた聞きますけれども、特に消費者生活においてどのような対策をとられているのかお伺いいたします。

消費生活課長

 平成19年度に国が多重債務問題改善プログラムというのをつくりました。その中で都道府県としては、多重債務の相談窓口を設置するということになっておりますので、平成1910月に多重債務サポートダイヤルというのを設置しております。平成20年6月からは、多重債務問題に精通した民間団体との協働により、面談による相談窓口を開設しております。さらに今年度からは基金を活用しまして、借金問題が深刻化しないように、住宅ローンなどの返済が重荷になって多重債務者になりそうな方も含めまして、相談に応じております。また、相談を委託している民間団体の中には、メンタルケアの専門家のカウンセラーもおりますので、必要に応じてカウンセリングを行ったり、専門機関を紹介するなどの対応を行っております。

内田委員

 多重債務の問題は非常に大事だと思います。そういったことが原因でやはり鬱病になっていくというケースも多いと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 そしてもう一つは、今、生活保護世帯が非常に増えてまいりましたけれども、鬱病や生活困窮というのが何年かして積み重なっていくと、自殺の要因になると思います。生活保護世帯に対しては今現在どのような対策をとられているのか、また今後どうしていくのかということをお伺いしたいと思います。

生活援護課長

 対策でございますけれども、大きく申し上げますと、生活上の必要な費用をお出しする対策と、就労するための支援を行う対策とがございます。生活上の必要な費用ということでは、今、委員おっしゃいましたように生活保護制度がございますが、生活保護に至らないという方に対しましては、県社会福祉協議会で生活再建のための間に必要な資金を連帯保証人なしでも貸し付けておりますので、そういった制度の利用などが考えられます。また国では、この雇用情勢の悪化に対応しまして、昨年10月からは、平成21年9月以降に失業した方で、失業と同時に住居も失った方などに対しまして、住宅を確保し安心して求職活動が行えるように、単身世帯の方に、最大で家賃額に8万4,000円を加えた額の住宅手当を各保健福祉事務所において支給しております。

 次に、就職するための支援としましては、保健福祉事務所のケースワーカーによる就労支援のほかに、今年の3月にはハローワークと県市等が連携しまして、神奈川県福祉・雇用協働協議会を設け、関係機関が雇用と福祉の連携を図って支援しております。これらの対策を今後も続けていく予定でございます。

内田委員

 ありがとうございます。やはり雇用と福祉というのは、今後更に密接につながっていくと思われますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それから、ちょっとお伺いしたいのは、自殺対策というのは深刻な大人になってからというのもありますけれども、やはり小学生や中学生、高校生のうちから、そういうことをしたら親が悲しむんだよということを教えなければいけない。そんな年中言う必要はないと思いますけれども、やはりそういった家庭内での教育、それから学校の先生が道徳の時間などを利用して、自殺でどんなに周りが悲しむのかということを教える必要がある。そういった幼い頃からの教育の普及啓発だとか取組をしていくべきだと私は考えるんですけれども、その辺のところはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

子ども教育支援課長

 小中学校等の取組ということで御質問を頂きました。県教育委員会といたしましては、子供たちの命を大切にする心を育むことが、やはり自殺予防ということにつながっていくと考えておりまして、学校教育の基盤に据えて取り組んでおります。

 平成1811月に、『いのち』を大切にする心をはぐくむプロジェクトというのを立ち上げまして、県内の小学校1年生、3年生、5年生、中学2年生、そして保護者、先生方にアンケート調査を実施させていただきました。その結果、学年が上がるにつれて、子供たちが命を大切にするという肯定的な考え方ですとか、自分自身に対する自己肯定感みたいなものが、だんだん低くなってきているという状況が明らかになりました。あわせて、命を大切にするということが、学校生活の様々な場面と関連しているということも分かりまして、そういったことを基にして、指導資料集を作成させていただきました。その指導資料集を県内の小中学校全てに配布いたしまして、幾つかの研究委託校で具体的に取組を進めていただいている現状でございます。

 高校につきましては、特に相談活動の中心になっていただいております教育相談コーディネーターの方々に、昨年度と今年度、自殺予防に対する研修として独立行政法人国立精神・神経医療研究センターの自殺対策支援研究室から講師をお招きしまして、具体的な対応等について研修を受けていただくという取組をさせていただいております。

内田委員

 最近、小学生でも自殺されたケースがありますし、やはりいじめなども原因だと思うんですね。ですから、やはり総合的な教育が必要でありますし、命の大切さのほかにも、いじめなどは基本的にはやってはいけないよということをしっかり教育現場でも教える必要があると思います。親御さんが本当は言わなくてはいけないと思うんですけれども、そういった取組が必要になってくると思われます。しかしながら、最近、自殺、自死を美化するインターネットのサイトとか本というのがたくさんあるんですけれども、それらの規制についてどのような対策が行われているのか、確認しておきたいと思います。

青少年課長

 御質問の、いわゆる自死を美化するインターネットサイトとか本についてですけれども、特に私ども青少年の保護という観点から御答弁させていただきますと、実際残念なことにインターネット上には、自殺を勧誘したり、あるいは自殺の方法を紹介するようなサイトがあります。あるいは自殺のマニュアル本のようなものも市販されている。実際こうしたものを用いて自殺に至った事件も発生しているということから、こうしたサイトや本から青少年を守る必要があると私どもは認識してございます。

 まずインターネットでございますけれども、これまでもネットカフェあるいは保護者に、有害情報の閲覧をさせないような努力義務という規定を設けてございましたけれども、やはり自殺サイトを含む有害サイトにつきましては、まず青少年がこうした情報にアクセスしないということが非常に重要だと考えております。そこで、今年10月に青少年保護育成条例を改正させていただきまして、インターネット利用につきましてはフィルタリングを徹底するという手法で、そういった有害情報にアクセスできないような取組を進めたいと考えてございます。

 また、図書類でございますけれども、完全自殺マニュアルという図書がございましたが、粗暴性、残虐性を誘発し、助長するということで、県では平成1110月に有害図書類に指定してございます。ただ、その後もそういった類の本の出版が絶えないことから、今回新たに有害基準をつくりまして、犯罪あるいは自殺を誘発、助長するものについて販売禁止をしていきたいと考えているところでございます。

内田委員

 自殺マニュアルですとか、一時期、もう我々も知っているぐらい非常に広範囲に頒布されてしまって、練炭自殺とかも、どうやってするのか私は分かりませんけれども、まとまって何人かでそういった行為をすることが助長されたように記憶しております。県警察におきましては、そのようなインターネット上の自殺予告事案とか、例えばこれから何人で自殺しますよとか、1人の場合もあると思うんですけれども、練炭自殺の場合は集団自殺というのもありましたが、そういった情報が入ってきた場合に、現時点で県警察ではどのような対応をなさっているのかお伺いします。

生活安全総務課長

 県警察の対応でございますけれども、生活安全総務課の附置機関といたしまして、サイバー犯罪対策センターを設置しております。このセンターにおきまして、自殺予告の書き込み等を発見した際には、まずはじめに、サイト管理者に対しまして書き込み者のIPアドレス照会を行っております。次に、判明しましたIPアドレスに基づきまして、プロバイダーに対します契約者の情報照会というのを行っております。そして判明次第ではありますけれども、その者の住所地を管轄する警察署において安否確認や、あるいは書き込み事実を確認することで自殺防止のために必要な保護措置等を講じております。また、これらの対応と同時にでありますけれども、サイト管理者に対しましても、自殺予告の書き込みを速やかに削除するよう要請を行っているところであります。

内田委員

 分かりました。あとは、もう一つ大きいのが、地域における孤立や孤独ですね。今、孤独死も多いですけれども、やはり独りになってしまうということが、どうしても自殺の大きな要因になるとも思われますし、ひきこもりの方への対応なども、自殺防止対策として行政が手を差し伸べられることがあったらお伺いしたいと思います。

青少年課長

 特にひきこもり関連ということでお答えさせていただきますと、私ども実際にひきこもり対策に取り組んでいる中では、基本的には青少年センターで青少年の方々の様々な悩みに耳を傾けたり、相談をして、とにかくお話を聞くということが重要と考えております。また、相談するところがいろいろあるんだよということを御紹介しております。その手段としては、相談機関の紹介カードを全小中高校生にお配りさせていただいております。さらには、NPOの方々と協力して、そういったことに取り組んでおります。

 特に今、委員からお話がありましたように、やはり孤立させない、孤独にさせないということが一番大事なのかなと考えておりまして、今後ともそういう対策を進めていきたいと考えております。

内田委員

 この件の最後に、やはりこれから高齢者、たしか2025年には4人に1人が高齢者になりますけれども、やはり独居高齢者の方が増えてきていて、病もあるでしょうし、寂しさもあると思うので自殺が懸念されるところなんですけれども、そういった独居高齢者の方の自殺防止対策について、何か行政が手を差し伸べることがあればお伺いしたいと思います。

高齢福祉課長

 本県の平成27年における独居高齢者世帯数は約37万世帯と推計され、平成17年と比較しまして約1.6倍に増加するものと見込まれており、独居高齢者の方の自殺の増加が懸念をされるところでございます。そうした中、県営住宅では、誰にもみとられずお亡くなりになる孤独死が問題になっておりまして、その対策が喫緊の課題となっておりますことから、現在、県営3団地を対象に孤独死防止対策調査を実施し、関係者による地域の協議会で対策を検討しているところでございます。

 高齢者の孤独死防止対策としては、高齢者を孤立させない見守りや交流機会の創出など、地域に根差した高齢者支援体制の充実が必要であり、これは独居高齢者の方の自殺防止対策においても同様であると考えてございます。例えばUR公田町団地というところでは、NPO法人を設立し見守り活動を行うほか、青空市の開催やサロン活動などを行っているところです。県といたしましては、孤独死防止対策調査を、そうした地域の資源を活用した見守りなどの具体な施策につなげて、独居高齢者の方の自殺防止にも取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 この自殺対策の件で要望を申し上げますけれども、ちょっと今日は触れられなかったんですが、神奈川県としては地域自殺対策緊急強化基金とかによりまして、具体的な自殺対策について更なる検討をしていただき、大和市のモデル事業についても、是非検証というか成果を踏まえていただきまして、これ以上県内で自殺者が多く出ないように、そしてまた20%減らしていくという目標があるので、長崎県のような、他のところで進んでいるところのいろんな冊子も持ち帰ってまいりましたので是非参考にしていただきながら、より良い神奈川県の自殺対策に取り組んでいただきたいと要望いたします。

 若干すみません、消費生活行政の取組についてもお伺いしたいと思います。

 まず、グラフを見ますと平成16年の相談件数が非常に多いのですが、一体なぜでしょうか。

消費生活課長

 平成16年度に相談件数が非常に多いというのは、本県だけではなくて、全国的な状況でございます。その理由につきましては、いわゆる実体のない架空請求、不当請求が全国的に横行したという実態があります。その内容につきましては、例えばインターネットのアダルトサイトの情報を見ているときに、18歳以上というところをクリックをした瞬間、請求書が画面に張り付くとか、あるいは自宅へのはがき等、あるいは携帯電話のメールで、公的機関と思われる名前、例えば民事訴訟通達書という題名ではがきが来て、いつまでに払わなければ訴訟を起こしますというような架空請求が非常に横行した。あるいは、身に覚えのない有料サイトの登録料を支払えというメールが携帯の方に来るとか、そういった被害が横行したため、平成16年度は急増したところでございます。

内田委員

 国の方で消費者庁ができましたよね。今いろいろな取組が少しずつ進められてきているとは思いますが、消費者庁ができるまでの経緯と、その後の国の消費者行政がちょっと目立たなくなってきているなと私はそう感じているので、申し訳ないんですけれども、消費者庁の取組について伺いたいと思います。

消費生活課長

 まず、消費者庁設置の経緯でございますけれども、こんにゃくゼリーによる窒息事故とか、あるいは食品偽装事件、また湯沸かし器等の一酸化炭素中毒事故があった中で、国では消費者本位、生活者本位という行政を推進するため、平成20年6月に消費者行政推進基本計画を閣議決定しました。この計画の中で、各省庁で縦割りになっている消費者行政を統一的、一元的に推進するため消費者庁の設置が位置付けられ、平成21年9月に設置されました。

 その後の国の消費者行政の取組ですけれども、消費者庁では行政機関からの消費者事故情報を集約、分析、公表し、消費者への注意喚起や、各省庁へ業界指導などの対応を求めるとともに、どこの省庁にも属さないいわゆる隙間事案につきまして対応に取り組んでおります。

 先ほど申し上げました消費者行政推進基本計画におきましては、地方自治体の消費者行政の許可というものも頂いておりまして、そのために国が相当の財源確保に努めるものとされております。これを受けまして国は、平成20年度第2次補正予算におきまして、地方への支援策として消費者行政活性化交付金を盛り込みまして、この交付金を原資として都道府県に消費者行政活性化基金を設置し、県及び市町村の消費生活行政の充実強化に重点的に取り組んでおります。また平成22年1月から消費者庁におきまして、全国共通の電話番号による消費者ホットラインというものを設置し、身近な消費生活相談窓口として相談できるような体制を強化しております。

内田委員

 結局、消費者庁は2009年に設置されたということで、まだまだ新しい機関であります。また、消費者行政を統一的、一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織ということをメインとする構想を具体化した行政機関ということを聞いておりますが、まだまだちょっと動きが鈍いかなというのを国民の1人として思うんですけれども、それというのも、所管がいろいろ多岐にわたっているからですよね。

 具体的内容にちょっと入っていきたいと思いますけれども、やはり年代と相談内容についてはいろいろ特徴があると思うんですよ。例えば20代、30代、40代の方はデジタルコンテンツといいますか、ネットに触れる機会が多いですから、やはりそういったワンクリック詐欺まがいみたいなこと、それから、逆に言うと高齢者の場合は土地とかを持っている方もいらっしゃいますから、不動産に関することで、リフォームに関する詐欺ですとか、いろいろあると思うんです。そういった年齢と相談内容の特徴についてお伺いしたいと思います。

消費生活課長

 年代別に見ますと、70歳以上を除くすべての年代でデジタルコンテンツ、いわゆるインターネット関係が1位になっております。70歳以上では工事・建築、先ほど言われたリフォーム関係での相談が1位となっております。各年代の特徴ですけれども、20歳未満及び20歳代の若者については、デジタルコンテンツ以外ですけれども、パケット料金や携帯電話の解約時のトラブルに関するもの、あるいは新聞の訪問販売による相談、不動産賃借、エステティックサービスなどの相談が多くなっております。30代から50代につきましては、デジタルコンテンツ以外ですと、フリーローンやサラ金に関する相談が多くなっております。先ほども言われていますとおり、高齢者につきましてはやはりリフォーム関係が多いということ、あと株に関する御相談が非常に多くなっているといった傾向になっています。

内田委員

 国により基金が設置されてから、県や市町村で相談体制を強化してきたとは思うんですけれども、具体的にはどのような体制になったのかをお伺いします。

消費生活課長

 まず、県の体制でございます。平成21年度から相談時間の拡充と相談員の増員を行いました。相談時間につきましては、平日につきましては、平成21年度は週1回であった19時までの夜間相談を、21年度から毎日行うこととしました。また休日につきましても、10時から16時までであった相談時間を、前後30分ずつ、計1時間延長しまして、9時半から1930分まで延長しております。また相談員の数につきましても10人から14人としまして、平日の昼間五、六人体制であったものを、8から9人体制にして充実しております。

 あと、市町村の体制強化でございますけれども、県民が身近なところで消費生活相談が受けられるよう、相談体制の充実について県としても支援しておりますけれども、例えば横浜市におきましては、平日16時までであった相談時間を18時まで延長するとか、あるいは相談員の増員を行っております。川崎市では、夜間相談の実施と、相談員の増員をやっています。また伊勢原市につきましては、今まで週3日だった相談を平日の週5日にしております。三浦市につきましては、1日だったものを2日ということでやっております。このほか駅前に消費生活相談窓口を設置するなど、21市町で相談窓口の強化に取り組んでおります。

内田委員

 この件で最後に質問させていただきますけれども、やはり900万人以上県民がいる中で、こういった消費生活に関しては、やはりそれぞれが被害に遭う可能性がありますが、まだ相談には至っていないというものもあると思われ、明確になっていないものも多いと思います。

 私自身も、インターネットからクレジットカードの番号とか何かを盗まれてしまって、大手会社から電話がかかってきまして、80万円ぐらい使った記憶がありますかと言うから、ないですと言ったことがありました。やはりそういった問題というのはすごく大きくて、そのお金が大きいということではなくて、やはり県民が消費者被害に遭わないためには、県でもあらかじめこういう被害がありますよというような、事前に手口を周知するような取組などが必要だと思います。県では、実際問題そういったような取組を考えているのか、現在なさっているのかもしれませんが、今後どうしていくのかをお伺いさせていただきます。

消費生活課長

 県におきましては、今、委員御指摘のとおり、やはり被害に遭う前に、こういった手口があるというのを県民の方に周知することが重要だということで、これまでも当然県のたよりとか県のホームページはもとより、様々な啓発資料を作りまして普及啓発に努めております。主なものを挙げますと、消費生活相談レポートというものを毎月発行しております。これは、消費生活相談窓口に来た相談内容を皆さんにお知らせするというものです。あるいは、隔月で出していますくらしのジャーナルという雑誌があります。あと契約のきりふだというリーフレットに手口なんかを載せまして、講座なんかで、お年寄りの方も含めましていろいろな世代の方々に配布しているという形でございます。

 あと、講座を開催しておりまして、これは市町村と共催でやっておりますけれども、消費者被害未然防止講座というものをやっております。また、今回基金を活用しまして、インターネット被害未然防止講座というもので、実際にアクセスしちゃうと窃取されるということを疑似体験できるようなサイトもやっております。また、若者向けでは、中学生、高校生向けに教育資料を配布しているということでございます。また、高齢者に対する取組としましては、やはり高齢者自身に対する普及啓発とともに、高齢者の方が気付かないで被害に遭うということがありますので、その周りの方々、民生委員とかヘルパーの方を対象に出前講座というのを実施しております。

 いずれにしましても、消費者被害等を防止するためには、継続的に、新しい手口も含めまして県民の方にお知らせすることが非常に大切だと思っておりますので、引き続き普及啓発に取り組んでいきたいと考えております。

内田委員

 この件で要望を申し上げます。今いろいろ御答弁いただきましたように、消費者庁自体ができたのがまた平成21年ですし、これから神奈川県として国の動向を見ながら、より神奈川県の中で充実させていかないといけないと思うんです。やはりデジタルコンテンツというんですか、インターネットに関してのワンクリックですぐに請求がきてしまうと本当に分かりませんよね。私も1回だけあるんですけれども、興味本位で開いたところがもうそうだったとか、そういう感じのところもありますし、やっぱりそういった最新機器を使ってのいろんな新手の犯罪まがいのものがいろいろ出てくると思います。そういうのをその都度、県民にその手口を周知するなど、やはり振り込め詐欺と同様に、未然策をしっかり考えていただくのが早いんじゃないかと。

 それから、工事とか建築、不動産、賃借に関しては、これはばく大なお金が動いてしまいますし、本当に高齢者の方の不幸の元になってしまうような感じもしますので、その辺もよく周知していただきたいと強くお願いさせていただきまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 

(休憩 午前1151分  再開 午後1時1分)

他、委員質疑続く

 (日程第1については、本日、この程度)

8 閉会中における調査事件

  平成22年5月27日の本会議において当委員会に付議された調査事件については、更に議会閉会中調査を継続すべきものと決定

9 調査報告書の案文委員長一任

10 意見書案等の提案確認

  提案なし

11 次回付議事件等の決定

  次回委員会における付議事件を「子育て支援・青少年健全育成について」及び「高齢者支援について」とすることとし、調査項目については正副委員長一任と決定

12 閉  会