平成23年  県民企業常任委員会 - 0301日−01

平成23年  県民企業常任委員会

◎《委員会記録-平成23年第1回定-20110301-000010-県民企業常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(曽我部・佐々木の両委員)の決定

3 日程第1及び第2を議題

4 同上質疑(県民局所管事項も併せて)

 

内田委員

 平成23年度の私学助成予算全般に対して質疑を行っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、平成23年度予算の詳細について伺う前に、確認の意味で私学振興のための県の予算にはどのようなものがあるのか、概略をお伺いいたします。

学事振興課長

 私学振興関係の予算でございますが、私立学校の運営に必要な経費を補助いたします経常費補助金、それと私立学校に通う生徒の学費を支援する学費補助、その他の補助金としましては私立学校の教職員の福利厚生等に対します団体等への補助などがございます。

 このうち今お話ししました経常費補助金でございますが、私学振興費全体のおおむね4分の3を占めている状態でございます。これは、幼稚園から高等学校まで、加えて、専修学校、各種学校の経常的経費に対して補助をさせていただいているものでございます。もう一つの学費補助でございますが、これは、国の就学支援金と同様の役割を持ったものでございまして、私学振興全体の予算のおおむね20%程度を占めているところでございます。

内田委員

 今御答弁いただきましたように、私学振興予算の中で中心的な予算は経常費補助金と承知いたしましたが、その目的についてお伺いいたします。

学事振興課長

 経常費補助金の根拠でございますが、これは私立学校法第59条にございます。国又は地方公共団体は、教育の進行上必要があると認める場合には、別に法律で定めるところにより、学校法人に対し、私立学校教育に関し必要な助成をするとされております。別に法律で定めるというものでございますが、これが私立学校振興助成法でございます。ここに、目的の記載がございます。

 目的としましては三つございまして、私立学校の教育条件の維持及び向上、2点目が私立学校に在学する生徒さんの就学上の経済的負担の軽減、3点目としましては私立学校の経営の健全性の向上、この3点となってございます。

内田委員

 目的は3点ということで、非常に大切な柱であると思います。経常費補助金は、学校運営にとってそのように重要なものというふうに認識しておりますけれども、具体的にどのような方法で補助金の額というものが算定されているのかということと、またこの算定方式ですか、算定方法は全国一律の算定方法であるのか、それとも神奈川県独自のものがあるのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。

学事振興課長

 経常費補助金の算定方法でございますが、本県では標準的運営費方式という算定方法をとっております。この方式につきましては、県立学校の給与を基にしまして、教職員割という数字を出しています。加えまして、学校単位で必要となるもろもろの経費の部分を学校割、あるいは学級割、生徒割と、この四つの要素を積算しまして、標準的な運営にかかる経費を出した上で、その2分の1を県の補助とさせていただいているところでございます。

 他県との関係でございますが、この算定方法につきましては他県でも同じ方式をとっているところがございます。それ以外に単価方式という手法をとっているところもございます。これは、生徒1人当たり幾らですよという単価を決めて、人数を掛けた上で積算するという方法でございます。そうした意味では、県ごとにいろいろな手法がとられているという状況であろうかというふうに考えております。

内田委員

 今御答弁いただきましたように、標準的運営費方式と、それから単価方式の2種類があるということでしたけれども、神奈川県におきましては前段の標準的運営費方式を採用しているということですけれども、なぜ神奈川県はこの方式をとっているのか、また採用されているのかということを確認のためにお伺いいたします。

学事振興課長

 この制度につきましては、平成10年でございますが、学識者あるいは学校関係者等で構成します私学助成制度検討協議会というものを設置したところでございます。この協議会におきまして平成11年に報告書が取りまとめられまして、この標準的運営費方式を本県で導入するということになったところでございます。単価方式をとっていきますと、神奈川県におきましては、全国的にもそういう傾向はございましたが、生徒数が減少していくということで、単価方式ですと単価掛ける生徒数ということで、総体的な予算が減少していくということを背景にして、新たな手法を考えた方がよいだろうということでございました。

 そのときの考え方でございますが、少子化の流れに対応した方法を考える必要があるということが1点、それと補助金の算定根拠を、より明確にするということを考えた方がよいだろうということが2点目、それと3点目としては、学校の安定的な経営基盤の確保がどのように図れるかというこの3点を基本的な考え方としまして、標準的運営費方式というものを本県においては導入させていただいた経緯がございます。

内田委員

 全国的に少子化の波に押されていると思います。神奈川県としましては、全国よりは遅れているとは思いますけれども、やはり将来を見据えると少子化の波はやってくると思いますし、安定的な経営基盤は非常に大切なので、そのような標準的運営費方式を採用したということなんですが、改めまして平成23年度の私学振興関係の予算について、まずは、その経常費補助金の予算額、これについてここ数年の傾向、それから前年度比の伸び率、また増減額等を含めて、詳細を教えていただきたいと思います。

学事振興課長

 まず、高等学校でございますが、23年度予算案としましては1881,300余万円でございます。前年度対比で申し上げますと2億2,300余万円の増、比率で言いますと101.2%となってございます。

 次に、中学校でございますが、566,900余万円、前年度対比で言いますと4,300余万円の減、比率で99.2%。

 次に、小学校でございますが、223,200余万円、前年度との比較で申し上げますと100余万円の減で、99.9%。

 最後に、幼稚園でございますが、1594,600余万円、前年度の比較で申し上げますと1億100余万円の増、100.6%でございます。

 また、傾向でございますが、経常費補助金、ここ数年間は減少の傾向がございます。平成20年度は470億円でございましたが、平成21年度は464億円、平成22年度が450億円と2年間減少するという状況でございました。これに対しまして、平成23年度、今回御提案させていただいている金額は452億円となってございまして、3年ぶりに増額ということになったところでございます。

内田委員

 今回3年ぶりの増額、452億円ということで、経常費補助金については、県民局の中でも大きな規模を占めているということで、非常に大切な分野であると思います。とにかく県の財政は非常に厳しい中で、高校が増、それから幼稚園が増になっておりますけれども、特に工夫した点、そして充実した点というのはどこにあるんでしょうか。

学事振興課長

 高校につきましては、平成23年度から少人数教育に配慮しております学校に対しまして、これは、具体的には各学校においていろいろな個別の課題等を抱えている、あるいは専門教科への対応も進めたいということで、学級担任以外の他に教員を配置するということでございます。そうしたことに対して県として支援をさせていただくということで、少人数学級に対して配慮した学校に対する支援という予算を設けさせていただいたのが1点でございます。

 加えまして幼稚園でございますが、今回、預かり保育に対しまして、ここ数年間の増加傾向、あるいは母親の就労希望に対する増加ということにお応えするという意味で、そうした傾向を踏まえた上で、預かり保育に対して対象園数の大幅な増を図らせていただいたというようなことがございます。

内田委員

 いろいろな問題もあることですから、今の時点で充実していった方がいいというのもよく分かります。特に私立幼稚園関係に関しましては、私も地元でいろいろ幼稚園にお世話になっているんですけれども、そこで私立幼稚園のことなんですが、そのことについて伺いますが、このところの経済状況を見ますと、やはり就労希望をしているお母さんが増え続けていまして、幼稚園、保育園に関する予算の充実を更に図っていくべきではないかと感じているところですけれども、平成23年度の私立幼稚園の予算ではその点についてどのような工夫を図っているんでしょうか、お伺いいたします。

学事振興課長

 幼稚園に対しましては、今お話しいただきましたとおり、今回、子育て支援という観点から取組を強化させていただいております。

 まず1点目としましては、預かり保育につきまして先ほど申し上げましたとおり、実施園数に対する数を増やしたということに加えまして、新たに待機児童対策の補助枠というものを新設したところでございます。これは、保育所と同程度の平日の朝7時半から夕方の6時半まで、また夏休みなどの長期の休業期間中におきましては、30日以上預かり保育を実施していただくという幼稚園に対しまして、補助金の加算という仕組みをつくらせていただいたところでございます。

 もう一点でございますが、今回、新たな子育て支援策、子育て支援神奈川方式ということで出させていただいてございますが、これは、子供たちが長い時間を過ごしている幼稚園の教育あるいは保育環境の向上、あるいは幼保一体化の動きもございます。そうしたことに応えるために施設改修あるいは設備整備などを新たに御支援するという形で、私立幼稚園の施設整備費等の補助というものを新設させていただいたところでございます。

内田委員

 幼稚園に関しましては、待機児童対策、預かり保育ですか、非常にこれから大切だと思われますし、神奈川方式の設備補助費、これも非常に大切だと思います。幼稚園に関してはそのように支援を強めていっていただきたいと思います。

 もう一つは、先ほどの私立高等学校の件なんですが、少人数教育の充実を図って、今回増ということですけれども、国の高等学校等就学支援金制度の創設を機に、低所得者層にどの程度まで学費補助を行っていくのか、それぞれ考え方を整理して実施していると思いますし、42万円ですか、満額になるように本県でも制度をちょっと変えたところがあると思いますね、その特徴的なところ、いま一度確認のためお伺いしたいと思います。

学事振興課長

 特徴でございます。本県では、多くの県と同様の部分がございますが、低所得者層に手厚い補助を行うということを基本にしてございます。加えまして、このような所得層だけではなくて、高校生を持つ保護者の平均年収750万円程度までに対して学費補助の対象者の幅を広げております。

 もう一点の特徴でございますが、学費補助の一つとしまして、他県では授業料が中心となって、本県も基本的には授業料中心となってございますが、これに加えまして入学金に対してもおおむね2分の1の支援をさせていただいているということ、この2点が主な特徴というふうに考えております。

内田委員

 今年度、就学支援金制度の導入に伴って学費補助制度を大幅に見直して、就学支援の充実を図ったということですけれども、平成23年度予算におきまして住民税所得割非課税世帯の学費補助、3万円から182,400円と大幅に今回増額するということで、このように1年間大きな見直しを図った経緯、この間、昨年度もいろいろ要望とかがあったんですけれども、そこを県民局では頑張っていただいたと思うんですけれども、ここのところ、経緯を説明していただきたいと思います。

学事振興課長

 平成22年度について若干触れさせていただきますと、平成22年度におきましては、生活保護世帯につきましては、本県私立学校の平均授業料である42万円まで全額補助をさせていただいたところでございますが、一方で生活保護世帯に次いで経済的には非常に厳しい状態であります非課税世帯に対しましては、就学支援金と学費補助を一体的に運用するということで、本県としては大幅に増額したというところではございますが、無償化には至らなかったという状況がございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回、平成23年度予算におきましてはこの非課税世帯の方に対しましても同様の取扱いをしたいということで、その考え方あるいは経緯でございますけれども、国の方の就学支援金という制度が、この生活保護世帯と非課税世帯を同様に扱っているということがございます。その点は一つ踏まえさせていただいたということ。

 それともう一つは、本県の他の補助制度、例えば県立高校の入学検定料の免除等におきましても、生活保護世帯と非課税世帯、これを同様に扱っているというようなことがございます。こうした状況を踏まえまして、可能な限り非課税世帯にも無償化をなし遂げたいということで、今回そこに踏み込ませていただいたということでございます。

内田委員

 生活保護世帯と住民税所得割非課税世帯、どのくらいの割合なのかなというのがちょっと気になるところで、もし分かれば教えていただきたいと思います。

 それと、その住民税所得割非課税世帯の学費補助を充実することによって、どのような効果というものを県としては期待しているんでしょうか、お伺いいたします。

学事振興課長

 今回、充実はさせていただいたわけでございますけれども、平成22年度新入生の入試の状況を見ますと、公立中学校の卒業者のうち、全日制高校に進学したいという希望をしている方が、91.2%という状況がございました。希望者はそれだけの方がいたわけでございますけれども、入試結果としましては、全日制に進学できたのは88.2%にとどまったということで、おおむね2,000人の生徒が、希望しながら全日制の高等学校に行けなかったという状況がございます。

 また、今申し上げました進学率でございますが、平成10年まで遡りますと92%が全日制に進学できたということがございまして、92%から88%まで下がってきているという状況がございます。こうしたことの背景、いろいろなことがあろうかと思いますが、一つには家庭の経済状況が理由で私立学校の方に経済的に行けないというようなことが想定されるわけでございます。こうした事情については、なるべく県としても少なくしていきたいということがございます。そうしたことから、今回、非課税世帯に対してまで無償化を図ることによりまして、全日制高校への進学率が上がるということを期待しているというところでございます。

内田委員

 希望がかなわない生徒も中には出てきている、それも経済的な不況が長引いていますので、県民生活にも非常に影響していますし、恐らく、そんなに一気には伸びない、伸び悩みが生じているということで、その成果がこれから希望を持って全日制に行こうとしていたところに、なかなかそういった理由で行けない生徒さんが出てきてしまっているということで、学費補助の対象となっている、平成22年度と23年度とではどのように推移してきているのかということを予測がつくんであればお伺いしたいと思います。

学事振興課長

 まず、平成22年度につきましては、ほぼ受付等が終了しておりますので、ほぼ確定に近い数字にはなろうかと思います。内訳で申しますと、生活保護世帯が平成22年度311人でございます。続きまして、住民税の非課税世帯が3,885人、そのあと、平均年収以下の世帯が1万5,055人、全体で1万9,251人でございます。

 これに対しまして、平成23年度の見込みでございますが、生活保護世帯が334人、非課税世帯が4,368人、平均年収以下の世帯が1万6,514人、全体で2万1,216人でございます。これをトータルで対前年度と比較しますと、おおむね2,000人の増ということで予算計上をさせていただいております。

内田委員

 平成22年から23年におきまして2,000人も増えてきたというのは、やはり長引く不況が影響していると思われますが、今回、学費補助の改善ですか、42万円満額となるようにしたということで、昨年までいろいろ要望の団体が、我々のところにもいらしていました。ここの部分、どうにかならないのかというような結構強い要望が来ていたんですね。ここへ来て、県民局の方でもその部分、大きな改善をして、3万円から182,400円ということで大幅に増額したことに関しましては、多分、そういう世帯の方々にとっては非常に助かることだと思っております。実質的に無償化になったということで、希望が持てる生徒さんも増えたということで、私どももその辺をちゃんと認識して更なる高等学校における教育環境の充実にがんばっていかなくてはならないと改めて思いますけれども、私学振興といった観点から、こうした格差の解消に向けて努力されているということで、それは評価したいと思います。これからも私立学校生徒の学費負担軽減に向けた取組を更に充実しながら、希望の持てる生徒さんを是非社会に送り出していただきたいと要望いたします。

 次に、先般の常任委員会で、朝鮮学校への補助金支出について伺いましたが、その確認と幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 県と朝鮮学校とは極めて重大な責務を負ったものと認識して、今後、県は朝鮮学校の回答はその内容どおり履行されるかどうかを注視して、慎重に適切な措置を講じていくよう、我が会派の意見として強く求めたところでございます。ですから、ここで一部確認したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、朝鮮学校にはその後、今年度分の経常費補助金を支出したものとは思いますけれども、一体いつどのくらいの額を拠出したのか伺います。

学事振興課長

 昨年1220日に交付決定をさせていただきました。金額は4,100余万円でございます。この交付決定額のうち、12月分にお支払をさせていただいた分が2,500余万円でございます。残りの残額の1,500余万円につきましては、3月、今月になりまして支出を行う予定でございます。加えまして、昨年6月に2,100余万円の交付決定をして、支出もしておりますので、平成22年度トータルで申し上げますと、6,300余万円ということになってございます。

内田委員

 次に、朝鮮学校の補助金支出について報道等でも大々的に報じられた感がありますが、県民の方々から様々な意見、特に昨年度ですか、あったと思いますけれども、どのような意見があったのか、主なるところをお伺いしたいと思います。

学事振興課長

 1215日に知事が会見をした以降、2月末までに160件の御意見を頂いております。これはファクスあるいはメール等でございます。このうち、賛成の意見が77件、反対の意見が83件でございます。賛成する意見でございますが、外交上の問題と教育の問題を切り離して考えるべきという知事の判断を尊重する、あるいはこのたびの知事の判断は冷静かつ公平な判断である、あるいは神奈川県における多文化共生の道が広がったというような御意見を頂いております。一方で、補助金の交付に反対をする意見といたしましては、反日的な教育を行っている学校に対して、補助金を出すべきではない、あるいは拉致問題が解決しない中で、このような判断をしたことは遺憾であるなどの意見を頂いておるところでございます。

内田委員

 非常に難しい問題であるなと思いますけれども、今回のことを踏まえた上で、平成23年度の予算では本県では朝鮮学校への補助金についてどのように予算計上しているのか、また他県では平成23年度予算で朝鮮学校への補助金をどのように扱っているのかといったところも伺いたいと思います。

学事振興課長

 平成23年度の予算につきましては、例年どおり私立学校経常費補助の中で予算計上しております。これにつきましては、具体の金額につきましては、今年5月に実施します学校基本調査によりまして、生徒数の確定した段階で配分額が調整されるということになりますが、仮に今年度と生徒数がほぼ同人数ということであれば、今年度とほぼ同額の、先ほど申し上げました6,300万円程度となる見込みでございます。

 それと他県の状況でございますが、現段階で私どもが承知をしている範囲ということでお答えさせていただきます。朝鮮学校が所在する都道府県は27ございますが、このうち、大阪府と千葉県は予算計上を見送っております。また、3県は、今回、骨格予算ということで、現段階では予算計上を未定としているところではございます。したがいまして、他の22県につきましては例年どおり予算の計上がなされているというところでございます。

内田委員

 国の方でも朝鮮学校に対する就学支援金の支払手続きを停止したということで、今混とんとしておりますけれども、その後どのような状況になっているのか伺いたいと思います。

学事振興課長

 昨年1123日でございますが、北朝鮮の延坪島への砲撃を踏まえまして、国の方では就学支援金の審査手続を留保するという状態になりまして、その状況が現在まで続いております。こうした国の方の規定においては審査手続をするということになってございましたので、こうした審査に対する不作為の状態が継続しているということに対しまして、東京朝鮮学園が1月17日に行政不服審査法に基づきます異議申立てを文部科学大臣に対してしたところでございます。これに対して文部科学省の方で、2月4日に不作為の理由といたしまして、不測の事態に備え万全の態勢を整えていく必要があることに鑑み、指定手続を一旦留保しているものであるという回答をした上で、手続は留保されたまま、再開はされていないという状況が続いているところでございます。

内田委員

 日本の教育と朝鮮のとはちょっと違うとは思うんですけれども、日本にあるのですから、どのような教育が行われているかどうかを今後確認していくことが非常に大切で、それを見た上でやはり補助金に関して慎重に考えていかなくてはならないと思いますけれども、県民局としては朝鮮学校に対してどのように確認作業というものを行っていくんでしょうか。

学事振興課長

 今回、知事も含めまして、教育内容等につきましては確認等をさせていただいたところでございます。これに対しまして文書で朝鮮学校からも回答を頂いたということでございますが、今後、この内容につきましてしっかりとそれが守られていくかということにつきまして、県としても今後必要に応じて確認させていただくことが重要であると考えております。今後どうするかということでございますが、毎年5月に私立学校を対象にしました現況調査というものをさせていただいております。まずはその場で、回答内容の履行状況につきまして学校側からの説明を聞かせていただきたいというふうに考えてございます。こうした認識の中で疑義等が生ずるようであれば、学校側の任意の協力を得ながら、改めて更なる説明等を求めるということも考えられるのかなというふうに思っております。

国吉委員

 法に基づいて適正な補助金の執行に努めるというのは当然なことであるというふうに思うんです。今回、不幸にして国と国との間でのそうした一つの大きな問題が生じて地方にも影響を受けた。日頃から、外交そのものは、国固有の権限、責務であると思うんですけれども、地方で国際交流というか、そういう意味で県民局がそういう一つの人種とか、そういうので考え方が違っても、やはりそういう守っていくような一つの文化的なというか理解を深めていく、人種の枠を超えたね、そういった一つの役割も県としてはあるのではないかなと。かつてそうしたことを主張した知事もおりましたけれども、学校間交流とかですね、いろいろな学校があります。そういう御努力を日頃から、中に入り込むことはどうかと思いますけれども、そうしたことも一つ必要なのかな、そんなふうに思うんですけれども、その辺はどうですかね、県民局全体として。総合的にやはり日頃からそういう地域の人種を超えた、特に若い方々ですね、小さい頃からそういうふうな気持ちを育んで、そういった面での御努力をされている状況もあるんじゃないかと思うんです。その辺はどうなんですか。

国際課長

 県では多文化共生社会の実現ということを戦略プロジェクトの中に掲げまして推進しております。多文化共生社会というのは、異なる民族、文化、こういったものを持つ、異なる文化を持つ人々が互いのその違いを認め合って共に暮らしていくと、そういう社会のことを私どもは多文化共生社会というふうに呼んでおります。そのためには、日本にお住まいになっている外国人の方というのは、やはり日本人とは異なる文化を持っております。そういった部分を理解し、お互いに日本人が海外の違う文化を理解し、外国人の方にも日本の文化を理解していただいて、そういった相互理解というのは非常に重要であるというふうに考えております。具体的な取組といたしましては、毎年、アースフェスタというものを開催しておりまして、これは、外国人の方、外国人学校の生徒さんにも参加をしていただきまして、例えば音楽の演奏、ステージで朝鮮の民族音楽を披露していただくというのもありますし、あと外国人学校の生徒さんが描いた絵をそれぞれ展示して皆さんに見ていただくと、そういったような企画段階から外国人と日本人が一緒になりまして異文化を理解するというような相互理解のための取組というものに努めております。

学事振興課長

 今、国際課長からお話ししたとおり、朝鮮学園の方ではアースフェスタなどにも参加をしてございます。加えまして、県内の高校サッカーなどの大会にも出場しているということもございます。あるいは、神奈川区内の小中学校6校とも交流を行うということもさせていただいてございます。あるいは、学校で行います運動会等におきましても、ほかからの参加をいただくだとか、生徒会の交流あるいは学生交流会なども開かせていただいているというような状況で、地域とのいろいろな活動は幅広くやりたいという意向の下で取組が進んでいるというふうに承知しております。

国吉委員

 一昨年ですか、私、議長のときにドイツに、神奈川県と友好提携しているところに行きまして、ドイツの実情もいろいろ伺ってきましたけれども、アフリカだとか中東辺りからもドイツに流れ込んでいる。そういう方々が非常に多くて、どうして税金をそうした方々のために使わなければいけないのか、今非常にドイツの国内でもそうした問題が、教育の問題が、文化の問題を含めてかなり問題になってきているというふうな面もあるわけですけれども、しかし国際交流を深めていくことは世界の平和のために非常に重要な役割を果たしておるわけですし、日本の子供たちも外国に行ってお世話になったり、あるいはまた帰ってきて、またその様々な文化を学んだり、共生していくというふうなことを学んでいって、身に付けていくのは大変重要なことだと思うんですね。そういう意味ではアカデミアの先生も責任重大だと思いますが、単に語学を教えるということだけではなくて、もっともっと深い、人権の問題も含めて理解をしていただけるような、単に行事をやるということではなくて、もっと日常的に国際化が進んでいく、国際外交が進んでいく、やはりそういうふうな取組が必要かなということで、意見として申し上げておきますが、答弁は結構ですが、是非個別の事業でもっと骨太な国際理解に関する問題について取り組んでいく手法、仕組みを作り上げて継続していただければと思いますね。そんなふうに思っておりますので、県民局だけでできる問題ではありませんけれども、是非取り組んでいただきたいと思います。

内田委員

 この件で要望を申し上げますと、今、国吉委員が申し上げましたように、国際理解を深め、また多文化共生ですか、それに寄与していくというのが県民としての役割だと思いますので、その辺、非常に慎重に対応していかなくてはならないと思われますが、朝鮮学校への補助金支出については、我が会派としては、昨年の定例会で意見表明をしたとおり、朝鮮学校が県との約束をちゃんと履行していく意思があるのかどうか、こういったところをしっかりと確認し、また動向を見極めて対応をしていっていただきたいと要望いたします。

 次に、国際言語文化アカデミアが開設され、我が会派としましても、いろいろ議論をしたところであり、関心が高いということで、これから特にアカデミアがどのようにスタートを切るのか、とにかく初めが肝心だと思いますので、我々が今まで議論してきたことがしっかり事業に生かされているかどうかということを確認の意味でもここで幾つかお伺いいたします。

 まず、学事振興課長にアカデミアの教員研修事業について何点かお伺いいたします。我が会派としましても、教育委員会と連携を密にして、総合教育センターにおける教員研修との相乗効果を高めるように要望してまいりました。そこで、教育委員会との連携の結果、アカデミアの研修が総合教育センターの実施する教員研修にどのように位置付けられたのかということをお伺いしたいと思います。

学事振興課長

 総合教育センターの教育研修の体系の中には、教員経験に基づきまして該当する教員が必ず受講する基本研修というのがございます。この基本研修に、今回、アカデミアが実施する教員研修をしっかりと位置付けるということで教育委員会と調整が整ったところでございます。また、この基本研修以外に、基本研修は経験年数に応じて参加が必ずされるわけでございますが、この該当年に当たっていない先生方も大勢いらっしゃいます。そうした方たちも、学校長の承認を得ることで、アカデミアでの受講が可能ということも整ってございます。

内田委員

 私学教員の方々に対する研修の機会というのはどうなったのかということと、私学の先生方もそういう需要が多いのかどうかですね、その辺のところもお伺いしたいですし、県の教職員と私学の教職員の研修、この辺の詰めがどうなったのかお伺いします。

学事振興課長

 私学につきましては、議会等からの御意見も踏まえまして、昨年12月に私が私学協会の役員会でお話をさせていただいたところでございます。その折に、詳細につきましてはその協会の中の英語部会というのがございます。そちらと詰めていくという方向性がなされたところでございます。その後、この英語部会の先生方と協議を重ねまして、1月22日のアカデミア開所式にもこの英語部会の先生の御参加をいただいたところでございます。そうした中で、私学の先生方からは、そもそも私学の方たちには余り研修の機会がないということで、今回のアカデミアでの研修に是非参加をしたいというような意向等もいただいたところでございます。そうした意向等も踏まえまして、調整をしたところ、平成23年度、この4月から本格的稼働をするに当たりまして、私学の先生方もアカデミアでの研修に参加するための調整を整えさせていただいたところでございます。したがいまして、今後、研修講座案内等を教員向けに出すわけでございますが、そこにも、私学の先生方も参加できますと、すべての講座に参加できるわけでございますが、そうしたことも明記させていただきたいということで準備を整えているところでございます。

内田委員

 もう一つは、政令市、横浜市とか川崎市、相模原市もそうですけれども、その辺の教職員の方に対してはどうなっているのか。政令市についても広めていくように我が会派としては要望してあるところでございますけれども、どのようになっているかお伺いいたします。

学事振興課長

 県の教育委員会と連携を図りながら、政令市の研究センターの担当者が集まる会議、あるいは政令市の研修センターの所長さんが集まる会議等でアカデミアの事業の内容について説明をするとともに、参加についての協議を進めてきたところでございます。そうした中で、各センターの所長さん等の意見の中でも、アカデミアでの小学校英語に関して多くの参加が期待できる、あるいは出前講座という話もさせていただいてございますが、そうしたことも非常に興味深いというようなお話を頂きまして、センターの所長さん皆さんに御理解いただいたところでございます。こうしたことから、政令市あるいは中核市の教員の方々につきましても、4月以降の本格稼働に当たりましては、アカデミアの講座に御参加いただけるということで調整が整ったところでございます。

内田委員

 次に、今後のアカデミアの事業を実際に進めるということに当たって、まずそのアカデミアの考え方などについて、現場の最高責任者であるアカデミア所長に伺いたいと思います。

 まず、教員研修事業について、教員が英語のコミュニケーション能力をとにかく今までになく高めていかなくてはならないと思われますけれども、どのような研修が実際問題必要というか、これから実施していくのかといったところをお伺いしたいと思います。

国際言語文化アカデミア所長

 現場の先生方はもちろん英語教育の専門家であります。しかし、現場の多忙さもありまして、英語によるコミュニケーション能力を高める、そういった機会、場が少ないということが現実です。理想的には、働きながら大学院へ行って勉強するとか、あるいは英語圏の国々に短期留学とか短期研修、そうすることが望ましい。しかし、それは実際になかなか困難なことです。

 アカデミアにおきましては、英語によるコミュニケーション能力を向上させるということに関して、まず英語による発信力、それからライティング能力、これをまず高める、実践的な英語運用能力の向上を図る、そういったシステムを構築しつつあります。

 また、コミュニケーションというものは単に言葉だけではありません。そこには、経済、社会、文化、芸術、いろいろなものが入り込んで相手とのコミュニケーションというものが成立します。国際社会において知識や情報を迅速に得ると、それに欠かせない読解力、それからリスニング能力、そういったものも先生方に高めていただき、いわゆる一般で言う英語の4技能、これをまず根底から充実させる必要があると、そう考えております。

 同時に、英語圏の国々、また非英語圏の国々においても、その国の歴史文化、これをもう一度学び直すということ、つまり多文化理解の促進を図るということが根底にございます。相手の立場、それから価値観、それを尊重した円滑なコミュニケーションが、先生方がとれるように力を尽くすというつもりでおります。

 具体的には、教員研修事業では、力を入れるもの、それは、スピーチ、それからディベート、それからリーディング、それから対人討論、ディスカッションですね、それから異文化コミュニケーション、これをダイレクトメソッドといいますか、外国人教師、それから我々の日本人教師、少人数でチームを組みながら、受講者と展開していくと、そういう考えです。

 外国人コミュニケーション能力の向上というのは、どうしても環境とか場というのが必要です。したがって、アカデミアという場は一つの外国のような場というふうに考えていただければよいのかと思います。あくまでも実際の場面で当該の外国語を使って、コミュニケーションする経験を積むということが語学教員にとっては、これは必須の課題でありまして、その一助にアカデミアがなることができれば幸せかなと、またそのために努力もするという思いでございます。

内田委員

 4月から始まるということで、非常に今準備段階、大変な時期だと思いますが、是非その目標に向かってまい進していただきたいと思います。

 次に、アカデミアの外国籍県民支援事業につきましては、日本語の教授法が中心となっていて、母国、例えば今、英語圏と非英語圏というお話を頂きましたけれども、今、中国人の方や、それから韓国の方、ほかにもペルーとかブラジルとかいろいろな方が外国籍県民として住んで、実際に生活していらっしゃる。こういった状況がありますけれども、そういった母国へ配慮した、英語以外の非常にたくさんの文化がお越しになっているので、まだまだこれからである、不十分であるとは思われますけれども、その点についてはどのようになっているんでしょうか。

国際言語文化アカデミア所長

 平成21年においては、日系ブラジル人の登録者数は約27万人で、前年よりは10万人減っております。ペルー人の登録者数は平成21年度が6万人、これも経済の不況を受けて減少しております。しかしながら、外国籍県民の占める割合はまだまだ高いと、そう考えます。外国人登録者市区町村別・主要国籍別人員調査記録というものが発行されておりますが、平成221231日現在の調査票によりますと、神奈川県の状況としては、外国人登録者として登録者数の多い順番ですが、中国、韓国・朝鮮、フィリピン、ブラジル、ペルーという順になっております。国際課が設置しております外国籍県民への相談窓口、その相談件数としましても、圧倒的にポルトガル語、つまり日系ブラジル系の方々、それからスペイン語、これは日系ペルー系の方々、そういった方々の相談件数が非常に多く、平成21年度の実績で見た場合には、この二つの言語で相談件数の約8割を占めております。

 したがって、ネイティブの教員の方々、例えばブラジル語あるいはスペイン語、日本語と同様に扱える外国人、つまりネイティブスピーカーの方々、この方々の導入がアカデミアにとっては多文化共生ということをうたう以上は非常に必要になってくる。というのは、日本にやってきた御自分たちの経験というものを彼らが持っている。また、母国の言語、文化、歴史、これを次の世代に、日本で生きているその子供たちに伝えるということは非常に必要なことです。これは、日本人の教員が教えるよりは、日本文化とか言語に練達したネイティブな方々が望ましいと我々は考えております。

 アカデミアは始まったばかりですが、現体制で対応可能な言語、これは、英語、中国語、それからスペイン語、それからフランス語にとどまっているわけです。これを何とかしなければいけない。つまりアジア系の言語、それから圧倒的に日本に多い日系ブラジル系、つまりポルトガル系の言葉です。フィリピンを含めた、どうしてもそういう人材が我々にはいずれ必要になってきます。

 こうした神奈川県に在住する外国人の方々の状況を見て、また彼らが使うその言語に対してどのように対応していく、これは、人件費というのは非常にお金がかかるかと思いますけれども、様々な雇用形態というものが考えられます。非常に合理的で、そして簡素な形でも多言語化に対応を図っていくと、これが今の我々の使命と考えております。今年度の雇用に向けまして、人事当局と調整協議ということを行っている最中であります。また、保護、支援、これについては、専任を雇用する余裕がなければ、これは謝金とかを利用して、つまりボランティア、優秀な資質のボランティアの方々、これに対応をお願いするというふうに考えております。平成23年度に向けてその人事を何とか実現したいというのが今の気持ちであります。

内田委員

 ポルトガル語とかスペイン語、フィリピンもそうですけれども、中国、韓国においても何らかの方法でそういった外国籍県民の需要、ニーズですか、把握していかなくてはならないと私は思いますので、やっぱり重要視して進めていただきたいと思います。

 今まで我が会派としましては、生涯学習の件につきましてはいろいろな考え方があり、これが必要なのかとか必要でないのかとか、いろいろな議論をさせていただきました。学校現場で実際空いている時間を使って、足を運んでいただいて、子供たちに直接出前講義をするということが子供たちにとっては刺激にもなりますし、いいことだとも思いますし、そういった積極的な行動が多文化共生の理解にもつながると思っていますけれども、子供たちの学校に直接行かれるような機会、これから増やしていくのかということと、またどのような取組を実際、アカデミアとしては考えているのか、現時点での考えと取組をお伺いしたいと思います。

国際言語文化アカデミア所長

 語学、文学、歴史、いわゆる人文科学の新しい視点、これを若い世代に紹介し、彼らの知的好奇心を育て上げるということがアカデミアの使命の一つと、そう考えて重要視しております。そういった一歩が将来を支える世代を育てるという、そういう考え方に異論はございません。

 そこで、生涯学習で実施する講座は原則としてすべて出前講座、つまりいろいろな小学校、中学校、高校からもし要請があれば、即実施できるようにしております。広く学校に対してもPRに努めるとともに、学校からの要請に応じて積極的に学校現場に出ていくと、そういう姿勢であります。

内田委員

 最後に、アカデミア所長に、いよいよ4月から開校ということで、国際言語文化アカデミアの将来に向かって、県民の理解を得、外国籍県民、外国籍の方も十分に利用できるような施設、それから学校としてミッション、目的、理想像でも構いませんが、何を目指していて、どのように運営をしていくのか、その決意というものを所長にお伺いしたいと思います。

国際言語文化アカデミア所長

 決意と申しましてもほかでもないと思います。つまりこの1月、国際言語文化アカデミアという新組織を多文化共生社会の実現に向けて設置させていただきました。これは、国際社会で活躍できる人材の育成、外国籍県民が暮らしやすい環境づくり、県民の皆さんの多文化、異文化に対する推進、こういったものを目指した取組、その取組によって多くのインターナショナルな人材を育て上げると、その人材がまた地域に広がっていくと、そういったことが我々の願いであります。

 多文化共生というのは日本的概念であります。ヨーロッパのように多民族化が更に進んでいけば、いずれは、社会統合という観念ですが、社会統合という施策に神奈川県はいずれは手を付けなければならないと、そう思います。そのため、そういったことも視野に入れて、このアカデミアというものを単なる研修機関を超えたいわゆる高等教育機関、学術研究機関とか、そういったものに充実させていきたいと、そう考えます。

 外語短期大学ではさほど教育委員会とも連携はございませんでしたが、このアカデミアになりましてから県の教育委員会と非常に密接な関係を築かせていただきました。教育委員会も非常に友好的かつ円滑に我々のお話を聞いてくれます。中核教員の研修をはじめとしまして、アカデミアというところは教育研究機関であるということも委員会は納得してくださっていますし、我々もそれを忘れずに常に学術と研修に研さんするという覚悟で努力していきたいと思います。

 また、一つの組織は、長い時間がたてば、いずれは停滞していくということは必ずあります。そのために、外部からの評価、検証、これを真摯に受けながら進めていきたいと思います。

 国際外語文化アカデミアの設置条例を御承認していただいた県会議員の皆様、そして県民の方々の声とか、そういった期待にも精一杯力を尽くして応えたいと思います。

内田委員

 4月以降の本格的な導入に向けて、今、所長がおっしゃっていただきましたように単なる研究機関とかという位置付けではなくて、学術機関、それから先進精鋭な、県の中で誇れるような国際的な機関になるように、是非今後は大学とか、県内に大学はたくさんございますよね、その英文科とかの若い学生たちも取り込めるような、そういう何か一つの神奈川県で代表的な国際的な文化機関になれるような、英語もあり、それから多文化共生もあり、そういった機関に是非近づいていっていただけるよう要望いたします。

 引き続きましてもう一つ、1月に開所式があった国際言語文化アカデミアに引き続きまして神奈川芸術劇場、大きな施設ですね、1月11日にオープンいたしましたけれども、1箇月半たったということで、本年度は、貸館は行わず、すべて自主事業と聞いておりますけれども、滑り出しはどうなっているのか。実施状況、この辺を確認のために一応お伺いしたいと思いますが、どのようになっていますでしょうか。

文化課長

 今年度は、最初の3箇月に当たるということでございますんで、この神奈川芸術劇場の開館を広く多くの皆様に知っていただくため、連続的に自主事業を実施しているところでございます。

 芸術劇場は創造型劇場を目指しておりますので、舞台芸術作品を劇場が創造して、発信していくということを基本的な考え方としておりますことから、芸術監督が自ら演出する金閣寺を劇場で制作し、こけら落とし公演としたところでございます。また、オープニングでは、日本文学の新たな舞台化に取り組む日本文学シリーズを一挙に上演するということで、今申し上げました三島由紀夫原作の金閣寺をはじめ、三好十郎の戯曲である浮標を、長塚圭史の演出で公演を行っております。その状況を御報告申し上げますと、金閣寺につきましては1月29日から2月14日までの15日間で17公演行いまして、入場者の総数は1万7,449名でございました。これは1回当たり平均いたしますと1,026名というふうになってございまして、17公演での総座席数1万9,162席、これは1回当たり約1,127席でございますので、総座席数に対する割合は約91.1%ということで、かなりのお客様に来ていただいたということでございます。

内田委員

 例えば新聞とか様々な御覧いただいた方々の意見、評価、感想、その辺はどんなものだったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

文化課長

 まず、新聞による評価でございますけれども、全国紙では、日本経済新聞と、それから毎日新聞に金閣寺の批評が掲載されました。日本経済新聞では、金閣寺に象徴される美に対する愛憎、青年修行僧らの心の暗部を言葉だけでなく、踊りや音楽などを使って、多層的に描き出している。小説を舞台化したのは、三島の戯曲が持つ強じんな文体から開放される巧妙な選択だったという批評がございました。また、毎日新聞では、原作に忠実でありながら、言葉以外の舞踊、音楽、ボイスパフォーマンスなどの表現様式を取り入れて、多層的で現在につながる舞台となっている。あえて祝祭的な演目を避けた英断を評価しつつ、もう少し刈り込んでもよかったのではないかといった批評がございました。そのもう少し刈り込んでもよかったというのは、休憩を含めて2時間50分という長い時間でございましたので、その辺のことを言っているものと思われます。

 次に、観客の方々の御感想についてですが、アンケートをとったところ、800件以上のアンケートが集まっておりまして、金閣寺を読んできたが、予想範囲内で収まっている印象だった、全体的に平板な感じだったといった厳しめの御意見もございましたけれども、別な御意見といたしまして、金閣寺を舞台で表現するのは、場面も多く、映画のイメージもあり、難しいと思っていたので本当にすばらしかった。こんな見せ方があるのかと圧巻だったといった御感想ですとか、一幕終わった時点で立ち上がって拍手をしたくなった舞台は初めてだ、役者の力、原作の力、舞台芸術のすごさを目の当たりにしたという御意見ですとか、演技とナレーションの部分がうまくまざって、今まで見た公演とはまた違った雰囲気で刺激を受けた。また、この劇場の公演を見たいといった金閣寺の公演内容を評価する御感想を数多く頂いております。

内田委員

 神奈川芸術劇場におきまして、この大ホールですか、いろいろな特殊なセリが出てきたりとか、いろいろ途中で上から人が出てこられたりとか、そういった特殊な設備もいろいろ実際使ったんだろうと思いますが、特徴的なことは何か金閣寺の演劇の中で設備をうまく生かしたというのはございますでしょうか。

文化課長

 最初は舞台を割と狭く見せておりまして、それが、演劇が進むにつれまして、舞台がだんだん拡大していって、最後は全舞台を広げるという、そういう芸術劇場の舞台の広さ、それを最後に印象付けるというようなことですとか、あるいは主人公が女性と歩くときに、上から、バトンがたくさんありますので、非常にたくさんの下がり物といいますか、そういうのが一斉に下りてくるとか、ふだんの劇場ではできないようなことを演出しておりまして、そこは非常に芸術劇場の持つ設備を十二分に使った演劇になっておりました。

内田委員

 多分、金閣寺は、滑り出しの大事な演目でありますから、宮本亜門監督も、時間を割いて、それに突っ込んで打合せもされて、そういった特殊なものを使えたんだと思います。制作費も昔に比べればそんなに使えなくなってきている中で、今後、やっぱり設備を生かしていかなければならないとは思いますね。そんなことに関して、芸術劇場の方の使い方というか、施設の生かし方については、県民局としては、何かアドバイスとか、そういったことを綿密にやっていけるんでしょうか、確認のためにお伺いしたいと思います。

文化課長

 実際の演目等につきましては指定管理者である芸術文化財団の方で行うということで、その施設のいろいろな設備についても専門家として彼らは熟知しておりますので、その範囲の中でお客様に感動を与える作品を作り出すアドバイスを行っていると、文化課の方でもそういう制作会議には参加をさせていただいて、私どもでできるアドバイスがあればしたいと考えているところでございます。

内田委員

 せっかくいい施設ができたんですから、十二分に生かしていただきたいと思います。

 また、もう一つ、大スタジオがありますけれども、そちらで行われた浮標というのとゾウガメのソニックライフというのがございましたけれども、そちらの方の評判はどうだったのかお伺いしたいと思います。

文化課長

 まず、浮標につきましては1月17日から23日までの7日間で8公演を行いまして、入場者の総数は1,590名でございました。これは1回当たり約199人ということでございます。8公演での総座席数は1,760席、これは1回当たり220席でございますので、総座席数に対する割合は約90.3%でございました。この評価ですけれども、人間とは何か、あるいは人間らしさとは何かということを非常に追求した作品であるということで、神奈川新聞の点描というところで批評がなされております。4時間に近い、非常に重厚な劇でありましたけれども、観客の皆さんも非常に感銘を受けたというふうな声が聞こえてきているところでございます。

 次に、チェルフィッチュのゾウガメのソニックライフでございますが、これは、2月2日から15日までの13日間で15公演を行いまして、入場者数の総数は2,812名でございました。これは1回当たり約187名ということで、15公演での総座席数は3,264席でございましたので、これは1回当たり約218人でございますが、総座席数に対する割合は約86.2%でございました。このゾウガメのソニックライフにつきましては、約90分の舞台で男女の5人が入れ替わり立ち替わり日常についてじょう舌に語るということで、朝日新聞で紹介されておりますけれども、なかなか起承転結のあるドラマを想像する、期待する人には訳が分からないパフォーマンスだと唐突に思うということで、なかなか理解が、お好きな人はお好きで、若い人は多かったですけれども、そういうふうに紹介されております。

内田委員

 なかなか、お客さんを集めること自体、このような志向がいろいろと分散していますので、本当に大変なことだと思いますし、たまには訳の分からないものも出てくるのではないかと、そういう評価をする人もいるのではないかと思いますけれども、難しいと思いますけれども、今後ともいろいろチャレンジしていただきたいと思います。

 新しい劇場の運営としては、このような一応順調であるのか、特に金閣寺は、やはり宣伝しただけのことはあるのかと思いますけれども、どのように理解したらよろしいでしょうか。

文化課長

 こけら落とし公演ということで、神奈川芸術劇場がオープンしたんだということを全国にかなりお知らせできたのではないかと思います。私も現場におりましたけれども、やはり九州とか四国とかかなり遠いところからもお客様はお見えになっておりまして、中には1泊して2回御覧になったという方もいるくらいで、そういった全国の演劇を好きな皆様がかなり来られたのかなということは感じております。ただ、もちろん神奈川県民の方々も大勢来ておられたと思いますけれども、そういった意味ではこけら落とし公演で神奈川芸術劇場というものをかなり宣伝することができて、今後も足を運んでいただけるという成果を果たしたのかなというふうに捉えております。

内田委員

 それでは、新年度の実施事業ではどのようなものを予定しているのかをお伺いします。

文化課長

 現在までに発表している演目を申し上げますと、4月には、劇作家、演出家、映画監督でもあります三谷幸喜さんの作、演出の演劇であります国民の映画が上演されます。

 それからまた、昨年、第60回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞しました劇作家であり演出家である前川知大さんの演出の、劇団イキウメというところの演劇なんですけれども、散歩する侵略者というものの上演がございます。また、芸術劇場と県民ホール本館との合同企画で二つの施設を巡るバックステージツアーを行いますオープンシアターの開催を予定しております。これは県民の皆様に楽しんでもらうということで、公演ではございませんけれども、こういう催しも企画しております。

 また、5月には神奈川県演劇連盟の合同公演なども行います。

 また、6月から7月には、宮本亜門芸術監督、演出のミュージカルということで太平洋序曲、そしてスウィニー・トッドの公演を予定しております。

 また、12月には劇作家であり演出家である、いのうえひでのり演出のロックミュージカルでありますザ・ロッキー・ホラー・ショーを予定しております。

内田委員

 いろいろ先々決まっていると、三谷幸喜さんとか、また6月に宮本亜門さんのミュージカルとか上演が決まっているということですが、とにかく盛り上げていっていただき、非常に神奈川県の財政が厳しい中で文化的な施設というのをオープンしたわけですから、ちょっと気を引き締めていただきながらも、盛り上げていかなくてはどうしようもないと私も思いますし、県民もこういったせっかくの劇場を育んでいく、そういった理解を是非していただけるように県民局としても頑張っていただきたいと要望いたします。

 

(休憩 午前1158分  再開 午後1時2分)

 

内田委員

 我が会派の土井議員が先日の本会議におきまして、NPO法人への寄附に係る税制の環境整備について今後どのように取り組んでいくのか、こういった質問をさせていただいたところで、知事の答弁としましては、県内のNPOや市町村、県民の皆さんと議論を深めながら、寄附を促進する、県独自の仕組みの構築に取り組んでまいりますという前向きな御答弁を頂いたところでございます。まずは、NPO法人に関する一般経費で現状を確認させていただきたいのですが、NPO法人に対しての寄附に関する優遇制度として、現在、国税庁が認定する認定NPO法人制度がありますが、これはどのような制度なのかお伺いいたします。

NPO協働推進課長

 認定NPO法人制度は、既にNPO法人となっているものが、国税庁長官に申請をいたしまして、一定の要件を満たしていることをもって認定されるものでございまして、当該法人に対しまして寄附をした個人や法人、あるいは当該法人そのものが税制上の優遇を受けるという制度でございます。そもそも平成10年の特定非営利活動促進法の制定によりまして、認定法人制度が誕生したわけですが、その成立前から税の優遇措置を求める声が強かったわけでございますけれども、NPO法自体にはいわゆる税制優遇措置は盛り込まれないまま施行されました。その後、NPO法人の働き掛けですとか国会での議員連盟の働き掛けによりまして、新税制の導入が決まり、平成13年、租税特別措置法の規定に基づきましてこの認定NPO法人制度が創設されたということでございます。

内田委員

 認定NPO法人に認定されますと、例えば寄附をした個人や団体、それから認定を受けたNPO法人自身はどのような優遇措置が受けられるのか、具体的にお伺いいたします。

NPO協働推進課長

 認定NPO法人につきましては、全部で四つの税制上の優遇措置がございます。

 一つ目は、個人が認定されたNPO法人に寄附をした場合、所得税の計算におきまして、個人の税率に応じた寄附金控除が受けられ、所得税が還付されるというものでございまして、控除を実際受けるには確定申告が必要でございます。

 二つ目は、企業などの法人が認定NPO法人に寄附した場合で、法人税の計算におきまして、通常の寄附金の損金算入限度額に加えまして別枠の損金算入限度額が設けられることになっております。

 3点目は、相続や遺贈によって財産を取得した者が、その相続財産を認定NPO法人に寄附した場合でございまして、その寄附した財産の価格が相続税の課税対象から除かれるというものでございます。

 以上はいずれも寄附金に対する税制措置でございますけれども、最後の四つ目は認定NPO法人自体に対する税制上の優遇措置でございまして、みなし寄附金制度と言われるものでございます。これは、収益事業によって得た利益を法人の収益事業以外の事業のために支出した場合、この支出を寄附金とみなして一定の範囲で損金に算入することができるというものでございます。

内田委員

 それでは次に、この制度の優遇措置が受けられる認定NPO法人は、どのようなNPO法人が認定を受けられるのか、考え方と具体的な認定、それを、確認のために要件を伺いたいと思います。

NPO協働推進課長

 認定NPO法人になるための要件ということでございますが、まず中心になりますのが、パブリックサポートテストというふうに言われるものでございます。これは、当該NPO法人の経常収入金額に占める寄附金などの収入金額の割合が一定の基準、現在ではこれは5分の1以上というふうにされておりますけれども、一定の基準以上であるということで、これは、その法人が広く一般の市民の方から支持をされているかどうか、これを寄附金の額によって客観的に判断していこうという趣旨のものでございます。また、このPSTと言われる、パブリックサポートテスト以外にも幾つか要件がございまして、事業活動において共益的な活動の占める割合が5割未満であるということ、それから組織運営、経理が適切であること、事業活動の内容が適切であること、情報公開を適切に行っていることなど、全部で七つの要件を満たす必要がございます。

内田委員

 その七つの要件に関してもいろいろ結構厳しいなというのがありまして、全部できるぐらいのNPOって、ほとんど会社組織と同様の、非常にレベルが高く、なかなか難しいなと感じるところではありますね。この制度によって認定を受けている認定NPO法人の認定数は、非常に限られているとお伺いしていますけれども、現在の認定数、数はどのくらいなのか、そしてまたその数に関してどのように考えているのかお伺いしたいと思います。

NPO協働推進課長

 現在の認定数の状況ということでございますが、まず神奈川県内の状況ということで申し上げますと、県内の神奈川県と3政令市が認証したNPO法人の数ということでございますが、1月31日時点で2,637の法人がございます。その中で、認定を受けている法人というのは11でございまして、割合にしますと0.42%ということでございます。全国で申し上げますと、NPO法人4万1,864に対しまして認定NPOは193件で、その割合は0.46ということで、神奈川県はちょっと全国より少ないという状況にございます。

 次に、認定NPO法人が増えない理由ということでございますが、内閣府が平成21年3月に取りまとめた調査によりますと、認定NPO法人の認定を受けたいけれども、申請の準備を進めていないとした理由として一番多かったのが、認定要件を満たすことができないというのが57%ということで、要件が非常に厳しいということが最大のネックとして挙げられてございます。続いて多いのが、申請の作業を行うスタッフが不足している、これが38%、それから申請作業が煩雑である、あるいは認定に必要な手続を行う時間がないといった回答がそれぞれ28%ということで、この回答から、申請の手続の複雑さですとか申請に必要な知識を持っているスタッフが足りない、あるいは申請に係る事務負担がとても生み出せないと、こういったことも申請に二の足を踏ませる大きな要因であろうかというふうに考えておるところであります。

内田委員

 県では約0.42%、全国では0.46%という数の認定NPO法人ですけれども、やはり私なんかの事務所でも人が足りないとか、またやっぱり始めたばかりだとなかなか落ち着かないんですね。スタッフ自体もそこで仕事をするのが精一杯で、なかなか煩雑な申請を行う、また認定にかなっているかどうか、それもある程度落ち着かないとできないだろうと想像に難くないんですけれども、これは国の問題でもあると思います。今、国においても認定NPO法人制度の改正が行われようとしていますけれども、具体的にはどのような内容であって、県はそのことについてどのように考えているんでしょうか。

NPO協働推進課長

 まず、今回の改正における税制上の優遇措置の内容でございますけれども、所得税につきまして、これまでは所得控除でございましたけれども、これに加えまして新たに税額控除が選択できるようになります。また、地方税に関しましては、条例の仕組みによりまして、住民税を控除できる範囲が、これまでは認定NPO法人に限られておりましたけれども、新たに認定NPO法人以外の法人についても指定ができるようになります。

 また、認定NPO法人の認定要件が緩和されます。具体的にはパブリックサポートテストの要件につきまして、現在、先ほど申し上げたような要件でございますけれども、新たに年間寄附金額が3,000円以上の寄附者が100人いればよいという絶対数による判定基準が新たに加えられまして、これは選択できるようになります。これによりまして、事業収入の割合が比較的大きいNPO法人などでも、一定の寄附さえ集めれば認定を受けやすくなるといった効果が期待されています。

 それから、地方が条例で寄附金の住民税控除を指定したNPO法人につきましては、認定NPO法人の中心的な要件でありますパブリックサポートテスト要件を免除するという制度が新たに設けられます。これによりまして、地域で活動するNPO法人が認定を受けやすくなるといった効果が期待されます。

 以上が、平成23年度に改正が見込まれる主な改正点でございますが、さらに平成24年度に向けては、設立5年以内の新しいNPO法人に対しまして、PST以外の七つの要件を満たせば、一定期間、寄附者に対する税制優遇を与えようという仮認定制度というものが設けられることが検討されております。また、現在のいわゆるNPO法ですけれども、特定非営利活動促進法の改正等によりまして、国税庁が行っております認定事務そのものを地方に移管するといったことも現在検討されているところでございます。

 こうした一連の制度改正に対します県の考え方でございますけれども、協働型社会の中核的な担い手として期待されておりますNPOを市民が支えていくと、そういったことのための仕組みとして、基本的には県の取組方法とこの国の税制改正の動きが合致するものとして受け止めておりまして、昨年4月には国へ緊急提言を行い、改革の積極的な推進を求め、また制度設計に関しましては、地方分権の視点から、地方再編の拡大が図られるように、地方と十分な協議を行うことを求めたところでございます。

内田委員

 結局、今回の改正について、NPO側はどのように受け止めている声が多いのかということと、地域において活動するNPO法人に対する支援ということですけれども、県としてはその意義、その二つをお伺いしたいと思います。

NPO協働推進課長

 NPO法人の活動に関する税制度の改正につきましては、もともと市民側の粘り強い働きがあって、平成13年に認定NPO法人が創設され、その後も徐々に改善が図られてきたという経緯がございます。今回の税制改正につきましても、市民側の強い働きによりまして、こうした改革が動き出したという状況がございまして、現在、法改正に向けて市民サイドから、NPOサイドから様々な意見が出されているという状況でございます。また、県においても、先日、1月26日に開催したパネル討論会におきましても、参加者からは制度改正を歓迎する意見が多数寄せられたところでございます。

 県といたしましては、今回の改正、特にその中で個人住民税における寄附金控除の対象が拡大されるといった内容も盛り込まれておりますので、地域で活動するNPO法人に対する寄附を促す大きな契機になるのではないかなというふうに考えております。

 また、NPO法人の財源基盤の強化やNPO法人の地域の貢献に向けた活動を支えるといったことにもつながっていくということで期待しているところでございます。

内田委員

 今後、あらゆる検討委員会もあると思いますし、それから市町村との協議、それからNPO法人をやっている方々、いろいろな意見があると思います。まずは足りないところもあると思いますし、寄附という行為が醸成されるにはまだまだ日本はこれからというところだと思いますので、寄附を行う県民全体との議論をしていかなくてはならないということが考えられますので、今後の検討の進め方はどのように考えていくのか、最後にお伺いします。

NPO協働推進課長

 今後の予定ということでございますが、現在、制度化に向け検討を進めておりますNPO法人に対する寄附促進の仕組みづくりに関する検討委員会、これまで2回開催しましたが、あと4回ほど開催していただきまして、その中で、4月には一旦中間報告を取りまとめていただき、これに基づきまして6月には骨子案を御報告させていただければなというふうに考えているところでございます。

 また、このたびの寄附金控除の制度づくりに当たりましては、市民自らの当事者意識を高め、NPO法人に対する寄附を促していくとともに、NPO法人自体が、市民からの共感と信頼を得て、支持を集めていくための自助努力を促していくということも重要であろうかというふうに考えております。そうした意味からも、制度の当事者であります市民やNPOにも広く関心を持っていただきまして、今後の検討段階では、NPOや市町村をはじめ、広く県民の皆様からも御意見を頂きながら、制度の実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

内田委員

 NPO法人に対する今後の支援の在り方については県の方向性が見えてきたと思います。是非、今、機運、関心が高まっています。タイガーマスク現象とかいろいろありますけれども、日々がんばっているNPO法人、たくさんあると思いますが、その認定要件にしろ、税制の抜本的な改正、これから期待していますので、県としましても、市町村との連携、それから県民、それから事業者団体との連携を十分踏まえまして、検討をさらに進められるよう要望いたします。

 NPO法人にちょっと関わることなんですけれども、外国籍県民の方で日本語が余りたん能でない方は病院へ行ったときに非常に困る、こういったことも聞いておりまして、そういった支援活動をされているNPO法人など本当に価値のある有益なNPO法人に関しましては、県としましても積極的にリサーチしていただいて、やっぱりそういった本当に活動しているところ、見極めていただきたいと思います。

 その中で、ひきこもり対策、こういったことにも私も、関心がございますのでお聞きしたいんですけれども、県では早くからNPO法人と連携してひきこもり対策に取り組んでいると思いますが、その概要についてちょっとお伺いしたいと思います。

青少年課長

 県といたしましては、早い時期からNPOと連携してひきこもりの対策に取り組んできてございます。具体的には、まず平成16年度にひきこもりをはじめ不登校、非行、そういった様々な悩みを受け付ける青少年サポートプラザを開設いたしました。また、スタッフ研修会あるいはボランティア体験講座、こういったひきこもりを支援するNPOの方々の人材育成、さらにはフリースペース等の活動のうち相談事業などを対象にいたしました補助事業を実施いたしますとともに、社会体験あるいは就労体験、こういったNPOと共同で行うひきこもり等青少年自立支援事業、こういった事業を展開してきているところでございます。

内田委員

 ひきこもりは全国で約70万人ということで、神奈川県内の概要、どのくらいひきこもりの方がいらっしゃると見込んでいるんでしょうか。

青少年課長

 今、御質問にありました全国で約70万というのは、内閣府の昨年の若者の意識に関する調査、これに基づいて約70万という数字が出てございます。これが、実は全国の15歳以上39歳以下の若者5,000人を対象に、そういった傾向にありますかということを調査した結果です。そのうち1.79%の方が、明確にこれはひきこもりだろう、それから3.99%の方が、例えば閉じこもりたいと思うことがあるとか、閉じこもっている人の気持ちが分かるというようなひきこもり親和群と言われる方々という結果がございました。これは、総務省の人口推計において全国の15歳から39歳の人口3,880万人となっていますが、これに当てはめた形で割り出した数字が約70万人ということでございます。

 全く同じような、本当にざっくりとした言い方で恐縮なんですが、同じ総務省の人口推計でいきますと、本県の15歳から39歳の人口約293万人という数字がございます。ですから、これを同じように本当に単純に算出いたしますと、本県のいわゆるひきこもりと言われる方は約5万2,000人ぐらい、それからひきこもり親和群という方が約116,000人ぐらいではないかというふうには推定はしております。

内田委員

 親和群の方はどうなのか分かりませんけれども、推計値で5万2,000人ということは、大きく見積もっても約3万人ぐらいはもしかしたら本当にひきこもりなのかななんて思いますけれども、15歳から二十何歳ぐらいまでだか分からないけれども、最近39歳と今ありましたけれども、やはり高年齢化してきているんでしょうか。

青少年課長

 サポートプラザを開設した平成16年度から昨年度、21年度まで、これは電話相談の統計でございますけれども、ひきこもりに関する相談が合計1,893件、全体の16%ございました。この年齢構成につきましては、10代が16%なのに対しまして、20代が53%、30代が30%ということで、青少年というよりは、やや高年齢に当たる方が多数を占めているのかなというふうに考えております。

内田委員

 本当に大変なことだと思うんですね。最近では働いていても食べていくのは結構大変なことですね。だけれども、ひきこもっていると誰に面倒を見てもらっているのかなというのがあって、親御さんなのか、でも親は先に亡くなりますから、そういった意味で、そういったことで生活保護者が増えてくるとかいろいろなことが考えられるわけで、本当に大変なことなんだなと思いますので、ひきこもり対策としましては、先ほど御答弁いただきましたひきこもり等青少年自立支援事業ですか、こういうこともしっかりしていかなくてはならないと思いますが、今後の点も併せてその事業のことについてお伺いしたいと思います。

青少年課長

 青少年自立支援モデル事業でございますけれども、実は平成18年度からNPOの方々と共同でモデル事業を実施いたしまして、これに基づきまして、この成果を踏まえまして、ひきこもり等青少年自立支援プログラムというものを作成いたしました。これは、例えば誰かとつながるとか、あるいは動き始める、あるいは社会とつながる、こういったようなことをキーワードにいたしまして、プログラムを体系的に整備して、皆さん方ができるだけ社会参加できるようにというような形でつくったものでございます。実際このプログラムに基づく実践的活動をNPOさんに委託をいたしまして、より多くの方にこの取組に参加していただくということで、発表会をしたり、あるいは実践事例集の作成、配布なども行ってまいりました。ただ、これもスタートから5年を経過してございます。事例も蓄積されてまいりました。こういったことから、この成果を踏まえて、今後、ひきこもり等青少年自立支援の取組、これを更に広げていくために県としてどういう政策を展開していくのかということを、この実践結果をベースに今後引き続き検討していきたいというふうに考えてございます。

内田委員

 非常に社会問題が山積する中で、ひきこもりの問題、それから児童虐待の問題やいろいろなそういった不登校とか、そしてもう一つ大きな問題はDVとかもあります。DVに関しては1点だけお伺いしたいんですけれども、施設を改修して整備して移転したりする計画があると思いますけれども、移転が必要となるようなDVの施設についてですが、女性保護施設ですか、移転が必要になるような問題点が何かあったのかどうかということを確認のためにお伺いしたいと思います。

人権男女共同参画課長

 女性保護施設でございますが、今年で築43年になります。また、女性相談所の方は同じく築30年となりまして、特に女性保護施設の方は、耐震補強も含む老朽化対策というものが必要になっております。また、どちらの施設も利用者の居室が相部屋になっておりまして、やはり心身ともに傷ついたDVの被害者の方が安心して過ごすというにはちょっとふさわしくない施設になっているという状況がございます。

内田委員

 そういったわけで老朽化もあるし、今ちょうどクライストチャーチの方でも大きな地震がありまして、被害を受けた生徒さんが大勢いらっしゃるということ、また、傷ついた女性方が相部屋で、しかもすごく古いところで、心も何も余計めいっちゃうという、そういう環境ではあってはならないと私も感じます。ですので、是非ともこういったことはきちんと進めていっていただきたいと思います。一時保護される被害者の6割以上は子供と同伴ということですけれども、それも相部屋だったのかということと、子供たちへのケアも重要だと考えておりますが、その辺のところを最後にお伺いします。

人権男女共同参画課長

 女性相談所にはお子さんを連れて入所される方が、お話しのとおり6割ほどいらっしゃったわけですが、この場合はお子さんと一緒の形で一つの部屋に入るということになっております。子供たちは親と一緒にいるときに親のDVを見ているということで、これは児童虐待にも当たるというふうにされておりまして、心身両面からのケアが必要とされております。それで、県の保護所では、保育士、看護師、心理判定員なども配置いたしまして、心身両面から子供のケアができるようにいたしております。また、DVの被害者が子供連れで保護されましたときには、必ず児童相談所にも連絡をいたしまして、特に児童本人への虐待が疑われるケースもございますので、特に児童相談所との連携を密にして、慎重なケアを行っているところです。また、日頃から職員にとりましては、子供に対応しているわけではございませんので、そういった児童対応に関する研修を行いましたり、また児童相談所と女性相談所で定期的に会議を開きまして、課題対応を話し合っているといったところをやっております。今後とも児童相談所との連携というものを深めて、児童への十分なケアに努めてまいりたいと考えております。

内田委員

 最後に要望を申し上げます。

 DV被害者支援対策にしても児童虐待対策におきましても、またひきこもり、不登校など、すべてがつながっていると思うんですね。この経済状況の中や貧困というのもあるし、あとそれ以外の疎外化された、孤立化した家族というんですか核家族化、こういったことで多方面からやはり連携をとってこれからやっていかなくてはならないのではないか、そう思っておりますので、是非ともほかの部局ともいろいろ連携していただき、教育委員会とかもございますし、保健福祉部の方もありますし、そういったところで、いろいろな意見と、また議論を重ね、より良い方向に持っていっていただきたいと要望いたします。

 私の質問は以上でございます。

 

他委員、質疑続く

 

(日程第1、第2及び県民局所管事項については、この際この程度とし、次回、企業庁関係を審査することに決定)

 

5 次回開催日(3月1日)の通告

6 閉  会