平成23年  決算特別委員会 - 1104日−07

平成23年  決算特別委員会

◎《委員会記録-平成23年第3回定-20111104-000007-決算特別委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(小島・日下の両委員)の決定

3 日程第2を議題(一般会計歳出決算のうち、第5款民生費、第6款衛生費、第7款労働費、第9款商工費及び特別会計歳入歳出決算のうち災害救助基金会計、神奈川県立病院機構資金会計、母子寡婦福祉資金会計、介護保険財政安定化基金会計、中小企業資金会計並びに病院事業決算)

4 同上質疑

 

内田委員

 本日は、民生費、衛生費、それから労働費、商工費の質問をさせていただきます。

 まず、民生費から行いたいと思いますが、平成22年度主要施策説明書の66ページ、民生費の中の子どもが健やかに育つ環境づくりの冒頭部分に保育所入所待機児童対策を推進するため、保育所の整備をはじめ、市町村が進める多様な保育サービスの拡充や認定保育施設への助成に対し支援を行ったとあります。まずは子育て家族にとって切実な問題となっている待機児童対策についてお伺いいたします。

 近年、保育所整備については、安心こども基金を活用した取組が進められていると承知しておりますけれども、この基金の概要と基金事業の期限をお伺いいたしたいと思います。

 また、平成22年度中に基金を活用して整備した保育所の施設や定員の増加の実績はどのようになっているのかお伺いいたします。

次世代育成課長

 安心こども基金は、国が平成20年度の補正予算で待機児童対策を推進するために創設いたしました子育て支援対策臨時特例交付金を原資といたしまして、平成21年3月に設置いたしました基金でございます。基金のメニューは、当初は保育所整備を中心とする待機児童対策のためのメニューが中心でしたけれども、その後、全ての子育て家庭を対象とする子育て支援ですとか、児童虐待防止のためのメニューなどが追加されまして、追加の交付も3回ございまして、総額で1962,000万円ほどの交付がございました。このうち、事業の期限についてですが、保育所整備をはじめ、子育て支援、児童虐待防止などほとんどのメニューの実施期限が今年度限りとなっております。

 それから、平成22年度中の基金を活用した保育所整備についてですが、保育所の新設が45件、分園の整備が10件、定員増を伴う増改築が16件、その結果、県内で合計3,716名の定員増が得られたところとなっております。

内田委員

 大幅な増員が見込めるということです。これからも将来的に行われることを望んでおりますけれども、それでは、保育所の整備を進めた結果、待機児童対策、待機児童数の減少に一体どの程度効果があったのかということと、また、本年4月1日の待機児童数では3歳未満の低年齢児が待機児童数の約8割を占めていますが、その背景はどのようなところにあると考えていらっしゃるのか、どう対応してきたのかということをお伺いいたしたいと思います。

次世代育成課長

 平成22年度中には、安心こども基金によります整備の対象外でございます公立保育所の増設、あと、もともと保育室の面積に余裕があった保育所で定員を拡大していただいたことによる定員増を加えますと、先ほどの安心こども基金による定員増3,716名と合計で5,050名分の定員増が図られました。その結果、平成23年4月1日の待機児童数は3,095人となりました。これは、昨年4月1日時点の4,117人に比べて1,022人の減少となりまして、平成18年以降5年ぶりに減少に転じております。

 それから、低年齢児の待機が多いという点でございますが、今年4月1日時点の待機児童のうち約82%が3歳未満の低年齢児となってございます。こうした背景としましては、まず、一般に保育所の定員の設定が、年少のお子さんが少なく、年齢を追うごとに広がる形で設定されていること、それから、特に近年、育児休業を取得して職場復帰をするタイミングに当たる1歳児の保育ニーズが非常に増えているといったことが影響していると受け止めております。

 そういった中で、平成22年度には、保育所の新設に当たって、できるだけ低年齢児の定員枠を従来よりは少し多く確保していただくように働き掛けるということと、低年齢児に特化した整備も進めてまいりました。具体的には、低年齢児に特化した保育所の整備が3施設、それから、低年齢児に特化した保育所の分園施設を4施設整備した実績になっております。

内田委員

 低年齢児の人数が多いので、今後も更に支援を進めていただきたいと思います。

 待機児童対策の一環として触れられている認定保育施設への助成について、認定保育施設の制度の概要と利用の状況をお伺いしたいと思います。

次世代育成課長

 認定保育施設は、認可を受けていない認可外保育施設の中で一定の基準を満たす施設に対して、県と市町村で協調補助を行っているものでございます。この認定保育施設の認定基準は認可よりも少し緩やかな基準としておりまして、例えば認可保育所の場合は、配置基準を満たすための保育者は全員、保育士などの有資格者ということになってございますが、認定保育施設の場合は、保育者の4分の3以上が有資格者であればよいということで、認可保育施設に準じた設定をしてございます。

 類似の制度といたしまして、東京都の認証保育所、あるいは横浜市ですと横浜保育室などが知られているところでございまして、国ではこういったものを総称して地方単独保育施策という呼び方がされております。

 認定保育施設の利用状況についてですが、今年4月時点で53施設、利用されている入所児童が1,596名という状況でございます。

内田委員

 認定保育施設は認可外保育施設に含まれます。しかしながら、認可外は認可に比べて保育料が高いと言われておりますけれども、認可と認定の保育料の差というのはどのぐらいあるのかということ、また、認定保育施設への助成の内容について、保育料に関する助成というものがあれば、それも含めて御説明いただきたいと思います。

次世代育成課長

 はじめに保育料についてですが、まず、認可保育所の保育料はお子さんの年齢ですとか保護者の所得に応じた徴収基準を国が定めてございます。国の基準では、生活保護世帯などは無料、最高の所得区分ですと、月額104,000円までの幅がございます。そして、実際の保育料につきましては、保育の実施主体であります市町村が独自に減免をしておりまして、政令市、中核市を除く県が所管している全入所児童の平均の保育料は大体1箇月当たり2万円強という数字になってございます。

 一方、認定保育施設の保育料につきましては、認可保育所のような応能負担の制度にはなっておりません。私どもは、認定の条件といたしまして、保育料の上限を1箇月5万8,000円という設定をさせていただいておりまして、相当この上限一杯の保育料を設定しているところも多くなっております。

 ただ、施設の全体の単純な平均をいたしますと、年齢によっても保育料が違うものですから、それも全部平均しますと、大体1箇月当たり5万円弱という保育料になってございます。

 こういった中で、認定保育施設への助成は、県が3分の1、それから市町村が3分の2の負担割合で協調補助を行っておりまして、基本的な運営費補助ということで、児童処遇助成費という名称で、0歳児ですと月額4万6,000円、3歳以上になりますと8,000円まで入所児童の年齢に応じた助成、それから、例えば延長保育をしていただいたり休日保育をしていただいた場合には、別に特別保育費という補助をさせていただいております。

 また、保育料に関する助成といたしまして、兄弟入所児童減免加算、母子父子家庭減免加算というものを導入してございまして、兄弟入所児童減免加算は第2子以降のお子さん1人当たりについて、3歳未満児の場合には月1万2,000円、3歳以上の場合には月6,000円を限度に保育料を減免するといった、施設に対する市町村の補助を助成している状況です。また、母子父子家庭につきましては、3歳未満のお子さんは月3,000円、3歳以上は月5,000円を限度という保育料の減免助成を行っております。

内田委員

 特に兄弟そして母子、父子家庭における助成については、本当にこれからも続けていただきたいと要望を出します。

 最後に、この待機児童対策ですけれども、認定保育施設が待機児童対策として果たしている役割をどのように県としては受け止めているのか。また、国はこのような地方の取組をどのように評価しているのかということをお伺いしたいと思います。

次世代育成課長

 現在、待機児童の定義につきましては、国は、認可保育所への入所希望がかなわなくて、認定保育施設など地方単独保育施設を利用している児童については、待機児童数から除外するという扱いをしております。こういった中で、今年の4月1日で申し上げますと、県の所管地域では待機児童数は778人、これに対しまして、今申し上げました扱いによって、認可保育所に入所を希望しているけれども認定保育施設に入所されているということで、待機児童数から除外されているお子さんの数が182人となっております。ですから、もしこの認定保育施設がないということになった場合、778人と182人を足して960人ということで、待機児童も1,000人近くに及ぶということになります。

 また、認定保育施設の入所児童は、年度当初は非常に少なくて、だんだん年度末にかけて増加しておりまして、文字どおり待機児童の受皿となっている面がございます。そういった中で、待機児童対策として非常に重要な役割を果たしていると受け止めております。

 こういったことから、国には、この地方単独施設に対する国の支援を働き掛けておりまして、安心こども基金なども活用できるように度々要望もしております。

 そういった中で、国は、今年度から認可保育所の最低基準を満たす認可外保育施設に対して国庫補助を行うという制度を新設しました。ただし、県の扱いとしましては認可基準を満たす認可外保育施設は認可していくということを基本としておりますので、こういった対象になるところは非常に限定的でございます。先ほど申し上げました、認定保育施設が待機児童対策の中で一定の役割を果たしているということを踏まえますと、国の評価はまだまだ不十分なので、これからも理解を得るように働き掛けていきたいと考えております。

内田委員

 安心こども基金の活用による保育所整備が功を奏しまして、少しずつですけれども待機児童数が減ってきている。これは喜ばしいことではあります。しかしながら、まだまだ国の理解も足りず不十分ということでした。基金を活用した保育所整備に引き続き取り組まれるとともに、地方独自の保育施設である認定保育施設の意義と重要性について、国に理解や支援を働き掛ける。これも重要ですし、県独自の取組の一層充実、強化を図っていただき、少子高齢化対策としても、そして待機児童対策としても頑張っていただきたいと思います。

杉山委員

 子育て支援の中で一つ関連の質問をさせていただきたいと思います。

 子ども手当についてお聞きしていきたいと思いますけれども、この子ども手当につきましては平成22年度以降、目まぐるしく制度が変化しました。児童手当があり、子ども手当があり、また、それがままならないためにつなぎ法ができ、そしてこの10月1日からは特別措置法と、様々な形で制度が変わっている。これによりまして、受給者、とりわけ子供を安心して産み育てる若者の夫婦に大変大きな不安を与えているわけであります。そうしたところから、この平成22年度の決算におきまして何点かお聞きしたいと思います。

 この施策の中におきまして、県は平成22年度の子ども手当の県負担金として、市町村に対し約189億円の助成をされておりますけれども、以前の児童手当と比較して、大幅に県負担が増えたものと承知しております。その理由についてお聞かせいただきたいと思います。

子ども家庭課長

 子ども手当につきましては、従来の児童手当に代わりまして平成22年4月から新たに創設されました制度でございます。平成21年度の児童手当の県負担金は約1512,800余万円でございますので、委員御指摘のとおり約38億円と大幅な増加となってございます。

 負担増の理由についてでございますが、従来の児童手当は所得制限がございましたが、子ども手当については所得制限がないことから、今までに支給されていなかった方に対しても県や市町村が児童手当相当額といたしまして負担することとなり、その影響などで負担が増えることとなったものでございます。

杉山委員

 所得制限があるかないか、これでも大きく変わったし、かつての民主党のマニフェストで、子ども手当に5兆3,000億円という途方もない数字を掲げ、1人当たり2万6,000円でした。結果的には半額の1万3,000円ですけれども、そうした施策を打ち出して、結局はそれができなかった。一番困るのは、冒頭、私がお話をしました子供を安全に安心して産み育てるという理念がなかったということ、それでもう一度お話をお伺いしたいと思いますけれども、この子ども手当は所得制限がないということでありますけれども、そうなると、児童全員が支給対象ということになりますよね。

 確認の意味で、平成22年度、県内にどのぐらいの対象となる児童がいたのか、また、支給漏れはあったのかないのか。100%対象となる児童に支払ったかどうかを確認したいと思います。

子ども家庭課長

 子ども手当につきましては、中学校終了前までのお子様が対象となることから、県内の支給対象となります児童数は約128万人程度となっています。平成22年度の支給実績でございますけれども、128万人のうち市町村からは約116万人が支給されておりまして、公務員については所属庁から支給されますけれども、県及び市町村の職員の児童に対しまして約5万5,000人が支給されております。合わせまして約121万人となりますので、率にいたしますと約95%となってございます。ただし、この他、県内には国家公務員などの方もいらっしゃいますので、それら職員の対象児童数については県としては把握できないということで、それらの人数も含めますと、要件に合致する支給対象者に対してはほぼ全員に支給されているものと考えております。

杉山委員

 ほぼ全域にわたって支給できたと感じました。

 今後ですけれども、この子ども手当を巡る今までの経過、並びに今後の予定についてどのようになっていくのか教えていただきたいと思います。とりわけ、国ではこの10月1日から子ども手当の支給等に関する特別措置法ができておりますので、今後のことについて詳しく教えてください。

子ども家庭課長

 まずこれまでの、子ども手当を巡る経過でございますが、委員が冒頭にお話をしていただきましたように、平成21年度までは児童手当制度が施行されておりましたが、平成22年4月から新たに子ども手当制度が創設されたところでございます。子ども手当は平成22年度限りの制度でございましたので、その後、先ほど御指摘がありましたようにつなぎ法が成立し、9月までの手当の支給がされるとなってございます。

 その後でございますけれども、与野党間の協議が行われまして、手当額、年齢区分など従来とは変更が一部ございましたけれども、今年10月から来年3月までにはいわゆる特別措置法に基づく手当の支給がされることとなってございます。

 今後の予定でございますけれども、平成24年度以降の恒久的な子供のための金銭の給付に関する制度といたしまして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本として協議されるということとなっていると聞いてございます。県といたしましては、今後も国会や国と地方の協議の場での状況を注視してまいりたいと考えているところでございます。

杉山委員

 関連ですので、この程度にとどめますけれども、私からも要望させていただきます。子供に対する現金給付制度については、これは国の責任で恒久的で安定的な制度が必要であると思います。今、来年度以降について、子ども家庭課長がお話しいただきましたけれども、注視しているだけではなく、国の施策がしっかりと行われるように県としても引き続き国に対して要望していただきたいということをこの場で要望しておきます。

内田委員

 次に、待機児童対策と同様に非常に大切な問題であります主要施策説明書の67ページに高齢者が安心してくらせる保健福祉の充実、その中に特別養護老人ホームの計画的な整備を促進していると記載されておりますが、特別養護老人ホームについてはまだまだ入所の申込みはしたけれども、満床のために入所ができず待っている方も現実に多くいらっしゃると承知しております。そこで、何点かこういった高齢者の方のための施策についてお伺いしたいと思います。

 まず、主要施策説明書の79ページの助成に老人福祉施設整備費補助として11億円余りの支出が記載されておりますけれども、平成22年度当初の事業計画とその実績についてお伺いいたします。

高齢施設課長

 特別養護老人ホームを新設整備する場合には、補助金の交付決定から建設工事、しゅん工になるまで通常2箇年ほど時間を要しております。したがいまして、平成22年度の当初予算におきましては、前年度平成21年度からの継続事業の1施設100床分、それと平成22年度の新規事業の9施設728床分、合わせまして10施設828床分の補助予算として9億6,645万円を計上いたしました。その執行実績でございますが、平成22年度の総支出額は、先ほど委員御指摘の11億余万円となっております。この中には、平成21年度から繰越しされたものが2億2,500万円ほど含まれておりますので、これを引いた残りの8億7,720万円が、平成22年度当初予算9億6,645万円に対応する数字でございます。

 なお、当初予算との差額が約8,900万円ほどありますが、これは設計変更などにより着工が遅れたことや、近隣住民の皆さんの御同意が得られず着工ができなかったことによりまして、翌年の平成23年度に繰り越したものでございます。また、整備の実績といたしましては、平成22年度予算に計上いたしました案件10施設のうち、残念ながら1施設40床分は今年度に入りまして事業者が取下げをいたしましたが、残る9施設分につきましては整備が進んでおりまして、平成22年度中に2施設120床分がしゅん工いたしております。さらに、今年度に入り、10月末時点では2施設190床がしゅん工済みとなっておりまして、残る5施設478床も今年度内にしゅん工予定でございます。

内田委員

 まだまだ高齢者の方は増えると思いますので、本当にニーズが高くなっていくと思います。

 県ではかながわ高齢者保健福祉計画に平成21年度から23年度までの3年間の全県の整備目標を掲げ、整備を促進しておりますけれども、平成22年度末までで、全県でどの程度進んでいるのか、その進捗状況をお伺いします。

高齢施設課長

 現行の第4期かながわ高齢者保健福祉計画における特別養護老人ホームの整備目標は、計画期間にあります平成21年度からの3年間で全県で6,239床、増床することとしております。平成22年度末、今年3月末までの2箇年間では、全県で3,275床が整備されております。これは、目標の6,239床に対しまして52.5%となっております。

内田委員

 52.5%ということですけれども、平成23年度は3年計画の最終年度ということですけれども、現時点で今計画期間中の整備見込数が出ていればお伺いいたします。

高齢施設課長

 現時点における第4期計画期間中の整備見込みでございますが、全県では約5,400床が整備されるものと見込んでおります。これは、先ほどの6,239床に対しまして約86%に当たることになります。

内田委員

 そうしますと、今期の整備目標である100%という達成は困難のようですけれども、こうした中で今後特別養護老人ホームの整備を、県としてはどのように進めていくのかお伺いします。

高齢施設課長

 第4期計画につきましては、達成見込み86%でございますので、残り1割強は整備が困難な状況でございます。これは、今期、特養の整備を計画いたしました市町の中で、幾つかの市において整備が遅れている状況のためでございます。

 現在、来年度の平成24年度から26年度までの3年間の計画期間といたします第5期の高齢者保健福祉計画の策定作業を市町村と連携して進めているところでございますが、こうした中で、これらの市は現在の整備が遅れている状況を踏まえた上で、平成26年度に向け新たな目標を定めてまいりますので、県といたしましては、今後、設定する新たな目標の達成に向けまして、個々の案件における相談、協議をこれまで以上に綿密に行うなど支援し、5期の計画においても全県的に特別養護老人ホームの整備の促進に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

内田委員

 高齢者の方は増えていくということで、それを支える家族も非常に大変です。また、働きながら支えていくのもいろいろ問題がありますけれども、是非、県としましては、今後も特別養護老人ホーム、常時介護を必要とする高齢者の方で、自宅で暮らすことが困難な方が早期に入所できるように進めてほしいと思います。それから、県は引き続き市町村を積極的に支援していただき、計画的に整備を進めていただきたいと思います。

 引き続きまして、高齢者の対策の中には、孤独死防止というのも一つ大きな課題となっております。孤立死や孤独死についての報道も非常に後を絶たなくなっております。また、そういった形で亡くなった方の周囲に与える衝撃は大きいので、このたび、県としては孤独死について県営住宅3団地を対象にニーズ調査や意識調査を実施したとありますけれども、このことに関連して何点かお伺いします。

 まず、県営住宅において、孤独死や孤立死に関するどのような調査を実施したのか、改めて確認させていただきたいと思います。

高齢福祉課長

 県営3団地を対象とした調査でございますが、主に二つございます。

 まず、一つ目は団地にお住まいの高齢者を中心とする一人暮らしの方や夫婦のみの世帯の方々を対象といたしまして、孤独死や買物に関する実態、あるいはニーズ等を把握することを目的といたしまして、一人暮らしの高齢者等のニーズ調査を実施いたしました。また、二つ目として県営団地の自治会役員や民生委員、また地域包括支援センター等の関係者の方々を対象として、孤独死等に関する意識調査を実施したものでございます。

内田委員

 調査の結果、住民のニーズや意識についてどのようなことが把握できたのか。地理的に条件としては3団地だと思いますけれども、どのような傾向がそれぞれ見られたのかについてお伺いしたいと思います。

高齢福祉課長

 まず、調査につきましては、一人暮らし高齢者等のニーズ調査は団地にお住まいの65歳以上の一人暮らしの高齢者を中心に高齢者夫婦のみの世帯などを含む1,200世帯の方に調査票を配付いたしまして、このうち約8割の945世帯の方から回答を得てございます。また、孤独死等に関する意識調査では、地域の関係者112名の方に調査票を配付いたしまして、このうち約8割の88名の方から御回答を得ている状態でございます。

 また、この調査の結果の傾向でございますが、委員御指摘のとおり3団地の立地条件や、建物の構造などが違いますので、買物に対しましては、それぞれのお困りの内容が異なる内容でございました。それ以外は3団地とも同じような傾向にございました。

 そこで、同じ傾向が見られましたニーズ調査の主な結果でございますけれども、孤独死を身近な問題として感じるのか、こういった設問に対しまして非常に感じる、あるいはまあまあ感じるといった両者を合わせますと6割以上の方が孤独死を身近な問題として捉えているという実態が明らかになりました。

 また、今後どのような見守りサービスを受けたいかといった設問に対しましては、緊急時に自分で操作できる通報装置があったらいい、または訪問による会話、こういった相談があったらいい、さらにはセンサー等を利用いたしまして、自動通報装置といったものが整備されたらいいのではないかといった回答もございました。

 一方、意識調査でございますけれども、こちらについては、やはり孤独死を防止するためには住民や団地の自治会、行政等がお互いに協力し、見守りなどの仕組みを整備するべきだという回答がございました。

内田委員

 孤独死については、やはり一人一人に関係があることだと思います。私としましては、平成20年9月の本会議で、この孤独死や孤立死の問題を取り上げさせていただき、高齢者やその家族を支える自治会や民生委員、ボランティアの活動の充実、強化に向けた十分な支援が必要であることを指摘させていただきました。このことを踏まえまして、県では今回の調査において、県営住宅の自治会等とどのように関わって取り組んだのかお伺いします。

高齢福祉課長

 今回の調査に当たりましては、実際に見守り等の活動をしていらっしゃるのは、団地の自治会や又は地区の社会福祉協議会あるいは老人クラブ、民生委員協議会、さらには地域包括支援センター等々といった方々でございますので、こうした関係者の皆様と今回の調査の意義や内容、方法等について情報の共有や意見交換を行う場が必要であろうと考えまして、各団地ごとに高齢者安心生活支援調査検討協議会を設置いたしまして、今回、内容について協議いただきながら実施したところでございます。

 また、自治会役員等に対する意識調査では、協議会に参加されている委員の方々を通じまして、それぞれの組織に属する役員の方々に対して、直接説明の上、それぞれの調査票を配付いたしまして、日頃の見守り等のお困りのことといった、御意見を頂いたところでございます。

 さらに、今回調査を実施させていただきまして、3月には調査結果報告書ということで取りまとめをさせていただきましたが、この報告書につきましても、御協力いただいた3団地にとどまらず、3団地以外の県営団地、あるいは市町村、社会福祉協議会、民生委員協議会等々の県下の関係団体にそれぞれ配付いたしまして、今回の調査結果を周知したという状況でございます。

内田委員

 今回の調査結果を受け、県としては、今後孤独死の防止に向けてどのように支援していくのか、そしてまた我々自民党の提言書がございますけれども、保健福祉局の取組にとどまらず、商工労働局、県土整備局などと部局横断的に連携を図り、対策を講じるように強く求めるということがありますけれども、今日は商工労働局と保健福祉局関係の皆様がいらっしゃいますけれども、部局横断的にはそれぞれどのようにしていくのか、また、取り組んできたのかということをお伺いしたいと思います。

高齢福祉課長

 まず、今回の意識調査を踏まえまして、今年度の9月補正予算におきまして県営住宅等支え合い活動モデル調査研究事業を立ち上げさせていただきました。これは、今回の調査結果の3団地にとどまらず県内の県営団地等から募集した内容で調査研究を行うものでございますが、やはり見守り活動の支援に対するものが主なものでございましたので、こうした調査研究事業を通じまして、県としては今後の市町村や他の自治会等の取組の参考になるように、そうした結果をフィードバックするということで、地域における取組の意識の醸成等が得られればよいと思っておりまして、今後とも取組をしてまいりたいと思っております。

地域保健福祉課長

 組織横断的な取組についてでございますが、先ほど高齢福祉課長も申し上げました調査を受けまして、県庁内で孤独死あるいは見守り、こういったことについて連携した対応ということで、平成2年10月に商工労働局、県土整備局、保健福祉局の3局の関係課を集めた高齢者等安心生活庁内連絡会議を立ち上げまして、現在、その取組について検討しているところでございます。

商業流通課長

 商工労働局の取組でございますけれども、地域商業まちづくり総合支援事業という事業がございますけれども、その中で買い物弱者に対する支援事業も行うことができることになっています。

 それと、もう一つ、若手商業者グループへの支援事業でございます。若手商業者連携促進組織事業がございますけれども、この中で既に買い物弱者に対する支援を検討しているグループもございますので、こういったグループに対するコーディネーター派遣等といった支援を既に始めているところでございます。

国吉委員

 部局横断的に検討会議をやっているということです。保健福祉局、商工労働局、県土整備局が、知恵を集めているのだと思いますけれども、現在のところどのようなことを課題として認識しているのか。特に県営住宅でこれから整備していくところ、そうでないところ、いろいろあると思うのです。また、商工労働局の関係では、雇用対策の横断的な対策を進めていくため、どのような認識を持っていらっしゃるのか。今までの検討の過程の中で何か特筆すべきことがあったらおっしゃっていただきたいと思います。

地域保健福祉課長

 先ほどの横断的な検討会議の中で一番議論になっていることとは、地域における見守りについて、地域の中でコミュニティをどうつくっていくか、地域の住民の方々が身近な問題として、高齢者の方々をどう見守っていくかというところを特に議論いたしまして、そういったコミュニティづくりについての取組を重点的にやっていこうという意識が一番強いです。

国吉委員

 地域の体制と連携していくということになると市町村と連携していかなければ、県が逆立ちをしてもなかなかできない、こうした問題になると思うのです。その辺のところは何か発想としてあるのですか。

地域保健福祉課長

 今、委員御指摘のとおり、市町村を交えた取組は当然視野に入れてございまして、今、検討の中では県の取組という形で考えておりますけれども、これを市町村に投げ掛けながら、どれだけの市町村と連携できるか、今後働き掛けていきたいと考えております。

内田委員

 我々自民党の提言書を踏まえ、県職員の皆様にそうやって部局横断的に取組をしていただいていることは評価したいと思います。更に取組を進めていただき、高齢者が住み慣れた地域において安心して暮らすために安否確認などの高齢者の見守りのいろいろな発想、それからアイデアをできるだけ早く生かしていただき、実践的にそれに向けて取り組んでいただきたいと思います。また、地域活動に対する支援の充実、強化に努めていかれることを要望いたします。

 引き続きまして、次に重要な課題であります福祉介護人材の育成確保について質問させていただきたいと思います。

 緊急経済対策の一環として、重点的に雇用拡大を進めるとともに、将来に向け質の高い人材を確保育成していくべき分野として、平成21年度から障害者自立支援対策臨時特例基金などの基金を活用した取組が開始されています。平成22年度は事業開始2年目として、取組の成果が期待される重要な時期でございます。

 そこで、基金を活用した福祉介護人材の確保の取組について、まず障害者自立支援対策臨時特例基金を活用した事業、主要施策の69ページですけれども、複数事業所連携事業費補助として支出されておりますけれども、この事業の実績についてお伺いいたします。

保健福祉人材課長

 複数事業所連携事業補助につきましてでございます。

 介護の現場では、採用難あるいは高い離職率などございまして、人材の確保、定着が厳しい状況にある一方で、グループホームなど小規模な事業所につきましては、求人活動あるいは研修などを自ら実施するということが困難な場合も見受けられますことから、小規模な事業所がネットワークを形成して行う共同による求人活動あるいは合同研修によるキャリア開発などを支援する内容の事業でございます。この事業の平成22年度の実績でございますが、45グループ263事業所に対して助成を行い、延べ4,978名の方の御参加をいただきました。

内田委員

 そうした小規模事業所を次々と支援することによって、県全体もいろいろと整っていくことだと思いますけれども、もう一つ、潜在的有資格者等養成支援事業費補助の内容と実績についてお伺いします。

保健福祉人材課長

 潜在的有資格者等養成支援事業費補助でございますが、介護福祉士養成校と連携いたしまして、福祉介護の仕事から離れている有資格者、あるいは企業を退職した方、さらに主婦層などを対象といたしまして、職場体験なども含みます研修を行うことにより新たな参入促進を図るとともに、福祉施設等で既に従事している方々を対象としたキャリアアップを支援する研修も行いまして、促進を図ってございます。平成22年度の実績でございますが、潜在的有資格者の再就業を支援する研修といたしまして、26回開催いたしまして延べ136名の方が御参加、高齢者等の新たな参画を支援する研修として、3回実施いたしまして延べ37名の方に御参加いただきました。現任者のキャリアアップを支援する研修といたしましては、17回開催いたしまして286名の御参加をいただきました。合計いたしまして、46回研修会を開催し、459名に御参加をいただいた状況でございます。

内田委員

 実際にいろいろ潜在的な方は多いと思います。459名ということでしたけれども、結果的には何か成果とか結果に結び付いているのでしょうか。

保健福祉人材課長

 この参加した方々のその後の就職状況を全て把握しているわけではないのですけれども、潜在的有資格者の再就業支援の中では62名の方が、その後再就職に結び付いているという実績につながっております。数でいいますと459名ですから、その数をもって非常な効果が上がっているということではないと思いますけれども、地道な取組を継続することによって、裾野の拡大に今後も取り組んでいきたいと考えております。

内田委員

 介護士養成に関しては、介護保険料などを横浜市でも引き上げるという報道がございましたし、国の問題でもありますからいろいろ大変なのですけれども、介護福祉養成校につきましては、これまで若者の介護離れなどにより定員割れが起こってしまうという現状もあるとお聞きしておりますけれども、今回、介護福祉士養成校に関する事業を実施したということで、介護福祉士養成校側には何か成果があったのでしょうか。

保健福祉人材課長

 介護福祉士養成校に対する支援といたしまして、進路選択学生支援事業という事業を実施してございます。この事業は、定員に対する充足率が60%に満たない学校を対象といたしまして、その学校が専門員を配置して、高校などにおいて福祉介護の仕事の魅力に関するセミナーを開催したり、あるいは進路相談などを行う取組に対しまして支援を行い、福祉介護への進路を希望する若い世代の人材確保を図ってございます。こうした取組によりまして、介護福祉士養成施設の入学状況でございますが、入学者数で見ますと、平成21年度には299名、平成22年度には377名、平成23年度には387名ということで、少しずつ増加してございます。定員の充足率で見ますと、平成21年度が58.1%でございましたが、平成22年度には71.8%、平成23年度には75.1%といった形で改善がされてきてございます。

内田委員

 せんだって、商工労働常任委員会に所属しておりますので、緊急雇用創出事業臨時特例基金の質問もいろいろさせていただいたのです。かながわ介護ひとづくり事業が進められておりますけれども、この事業の成果としてこれまでどれだけ雇用できたのか、その実態をお伺いします。

高齢福祉課長

 かながわ介護ひとづくり事業でございますが、こちらにつきましては、県内の介護施設で離職者を雇用しまして、働きながらホームヘルパー2級の資格を習得するホームヘルパー2級コースと介護福祉士の資格を取得する介護福祉士コースの二つのコースがございます。

 まず、ホームヘルパー2級コースでは、平成21年度に12事業者で雇用していただきまして、92名の雇用が図られました。平成22年度では46事業者192名の方の雇用をいただいてございます。また、介護福祉士コースにつきましては平成22年度から開始いたしまして、この事業は2箇年事業ということで実施してございまして、現在のところ6事業者で7名の方の雇用をいただいているという状況でございます。

内田委員

 かながわ介護ひとづくり事業は、雇用と併せて人材育成も目的であると思います。雇用された方々の資格取得の状況はどのようになっていますでしょうか。

高齢福祉課長

 今、委員御指摘のとおり、介護人材につきましては、単に雇用するということではなく、やはり質の確保ということが求められるものでございますので、今回働きながら取得するということをやったわけでございますが、ホームヘルパーコースにつきましては、平成21年度、平成22年度合わせまして284名の雇用者のうち、実に93%に当たる264名の方が資格の取得を果たしてございます。また、もう一つの方は、現在7名の方を雇用してございまして、資格取得に向けて、まだ今勉強中であるという状況でございます。

内田委員

 そのように、資格が取得できるとやる気も出てくる。そして、子育てが終わった女性の方もそういう環境とかいろいろな支援が整えば雇用につながるというか、そういった仕事に就きたいという希望者も出てくると思います。県としては引き続き、福祉介護人材の育成確保について、特に今後求められてまいりますので、一過性の問題ではなく将来に向けて継続的に取り組んでいただくべき重要な課題ということを認識していただいて、基金事業の予定期間終了後も引き続き、県としての取組を進めていただきたいと要望いたします。

 次に、地域医療再生計画について、我々自民党県議団としましても、市町村ヒアリングを行いまして、様々な地域医療再生計画に関しまして要望、希望、こうして欲しいといった切実な願いを聞いてまいりました。何点かお伺いしたいと思います。

 地域医療再生計画は今年度で2年目となりますけれども、これまでの事業の執行状況はどのようになっているのでしょうか。

医療課長

 本県では、医療課題の解決に向けて必要な事業、施策を実施するため、平成22年度から25年度までの4年間を計画期間とする東部と西部の各25億円、総額50億円の地域医療再生計画を平成22年2月に策定いたしました。東部地域医療再生計画では、周産期医療をはじめとする安定的な医療提供体制の確立、確保等の充実、強化、西部地域医療再生計画では安心できる総合的な救急医療体制の整備充実を目標としております。さらに、医療従事者の確保対策については、全県域を対象として取り組む施策事業に位置付けております。

 計画策定時の平成22年度の事業計画額は109,000万余円でしたが、決算見込金額は約4億6,000万余円となっております。計画の42.2%という状況でございます。また、平成23年度の事業計画額は172,000万余円でございましたが、当初予算額としましては、121,000万余円を計上しております。約70%という状況でございます。

内田委員

 今、各施策のパーセンテージをお伺いしました。計画が平成22年度が42%で、平成23年度が70%と遅れている感じがいたします。そういった市町村のヒアリングでも、先ほどいろいろ要望がありましたけれども、当初の計画よりこうして遅れているということはどのようなところに原因があるのかお伺いします。

医療課長

 進捗の遅れの原因というお尋ねでございますけれども、原因といたしましては平成22年度は計画の初年度だったこともございまして、新規事業として立ち上げるための要綱の制定あるいは事業主体の調整など準備に時間を要し、事業の着手時期が遅れてしまったことがございます。

 また、運営費補助などは段階的に補助率を低減させていくこととしておりますけれども、これらの事業につきましては、見込みよりも実施する施設が少なくなったことや、対象としました施設の計画変更などもございまして、実施時期の延期などが生じたことから、当初計画していたよりも進捗が遅れたものと認識しております。

内田委員

 今、お伺いしましたように、いろいろ問題はあったようですけれども、これまでの進捗状況を踏まえ、県としては今後どのように対応するのかお伺いします。

医療課長

 今年度は平成25年度までの4年間の計画期間の折り返し点にもなることから、現在これまでの取組のできなかった事業を洗い出し、事業内容の見直しの検討を行っているところでございます。また、周産期医療関連事業におきましては、病院から要望を受け、個別に事業説明に出向いたり、また、二次救急関係の事業では医療機関に対する調査ヒアリングを改めて実施するなど、医療現場の意向の詳細な把握にも努めているところでございます。

 こうした中で、計画の内容を大幅に変更することも想定されておりまして、必要に応じて、関係団体、市町村等で構成される保健医療計画推進会議等で関係者の御意見を伺い、厚生労働省等とも協議してまいりたいと考えております。

 こうした計画の見直しを行いながら、計画に位置付けた事業を効果的かつ着実に推進し、医療提供体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

内田委員

 地域の医療課題を解決していくためには、そうした医療現場で事細かな要望を聞くというのは本当に大切だと思います。また、医師等の確保などにもつながりますし、看護師確保といった、いろいろな問題が絡んでいると思います。地域医療再生計画を着実に推進することは、本当に神奈川県として重要なことだと私どもも考えておりますので、今後必要な見直しは早急に行っていただき、また大幅な改定があったときには、事前に議会にも情報提供を行っていただきたいと思います。基金を有効に活用して、本県の医療提供体制の充実を図っていただきたいと要望いたします。

杉山委員

 今、地域医療システム整備充実ということの中で、地方独立行政法人神奈川県立病院機構への運営費負担についてお聞きしたい。重粒子線装置の導入について、確認の意味で何点か教えていただきたいと思います。

 この主要施策説明書の衛生費を見ますと、生涯を通じた健康づくりの推進の中に、がん対策の取組があります。平成17年にがんへの挑戦・10か年戦略の中で位置付けをしました。そしてまた、県議会としましても、同じ平成17年にはがん撲滅を目指す議員連盟を結成し、さらに平成20年4月のがん克服条例の制定を実現するなど、この重粒子線装置の導入を支援してきたところであります。

 この中で、何点か確認させていただきます。この平成22年度における重粒子線治療装置の導入に関する取組状況を伺いたいと思います。

病院事業課長

 重粒子線治療装置導入の検討につきましては、平成16年5月、県立がんセンター粒子線治療装置検討協議会による開始から現在に至るまでの間、県としてその導入に向けて様々な取組を行ってまいりました。ただいま委員のお話がありましたがんへの挑戦・10か年戦略の第2ステージの展開の中で、平成21年3月には重粒子線治療装置の整備基本構想を策定いたしまして、翌4月には千葉県にあります放射線医学総合研究所との研究医療協力に関する包括協定を結ぶなど、整備着手に向けた準備を進めてきたところでございます。

 平成22年度における取組でございますけれども、重粒子線治療施設は、治療装置そのものとそれを格納する建屋が相まって一体の施設となりますけれども、平成22年度におきましては、装置を格納する建屋部分の基本設計を実施したところでございます。

杉山委員

 平成22年度は建屋設計ということでありますけれども、この事業への県負担金の額について教えてください。

病院事業課長

 基本設計の前提契約額としては、3,570万円でございましたけれども、そのうち県の負担はその半額の1,785万円、残りの半額につきましては県立病院機構の内部留保資金により対応したところでございます。

杉山委員

 この同装置の導入に関する今後のスケジュールについて確認の意味で伺いたいと思います。

病院事業課長

 まず、建屋の設計と建設のスケジュールでございますけれども、今年度から来年度前半にかけまして実施設計を実施し、その後、建設工事に入りますが、そのく体と基礎につきましては、新がんセンターがオープンする前の平成2510月までに終了することを計画してございます。

 次に、装置につきましては、去る9月8日入札公告を行ったところでございますが、1024日に入札の提出を締め切ってございます。12月の下旬を目どに落札者を決定したいと考えているところでございます。この契約者が決定し次第、直ちに設計に着手いたしまして、装置政策、建屋への搬入、据付け、ビーム試験、薬事承認等々を経まして、平成2712月には治療を開始することを予定してございます。

杉山委員

 いよいよ実施設計、そして工事が始まる。それに伴って、その装置の入札が始まる、この12月に決まるということでありますし、そして平成2712月に開設というスケジュールで認識させていただきました。今、その御答弁の中で、同装置の入札が行われたということでありますけれども、どのような事業者が入札に参加し、どのように落札者を決定するのか詳しく教えていただけますか。

病院事業課長

 現在、国内で稼働しております重粒子線治療施設は3施設でございますが、陽子線も含めた粒子線全体で申し上げますと、施設としては日本国内には9施設ございます。その装置の製造には非常に高い技術力が要求されてございます。したがいまして、今回の入札を行うに当たりましては、その参加資格の一つに粒子線の治療装置の製造実績を有することを参加資格の要件として、一つ入れさせていただきました。この資格を有する者は日本国内に4者ございます。落札者の決定に当たりましては、価格面ではなく、ただいま申し上げました装置製造における技術面が要求されますので、そういった面でありますとか、事業の実施体制といった様々な視点から入札参加者の提案を評価する必要があるため、価格のみではなくて、価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定できる総合評価落札方式による一般競争入札によって落札者を決定していきたいと考えております。

杉山委員

 価格のみならず、総合評価を重視したいというお話を頂きました。そして、前段の取組状況の中では、せんだっての千葉県の放射線医学研究所との包括協定も結んでいるという中で、様々な今までの中で、当局側でも視察あるいは現地見学をしたと思いますけれども、その中で教訓だとか参考例があったと思うのです。総合的な見地の中で何か具体的なものはあるのでしょうか。

保健福祉局企画調整部長

 重粒子線の整備につきましては、今委員お話しの放射線医学総合研究所や兵庫県等々に整備されておりますが、メーカーサイドでいいますと、どちらかというと、医療機器の整備をしている部門ではなくて、加速器や原子力関係の部門が重粒子線装置を造ってきたという経過がございます。そうしたことから、例えば治療室のデザインなど、患者を受け入れるという観点から、デザイン性に欠けるとか、あるいは重粒子線は、ビームは出るのだけれども、病院全体の情報システムだとか放射線治療システムの連携まで考えた整備が当初はなかなかできていなかったという部分がございます。

 一方、設置する自治体側ですが、兵庫県のように播磨科学公園都市構想の中で、山の中に造るとか、あるいは静岡県のファルマバレー構想でもそうですが、どちらかというと土地開発の中での目玉として、陽子線、重粒子線を導入した経過がございますので、交通アクセスが非常に悪いところにできていた。そういうことがございます。

 そうしたことを踏まえて、本県では今回総合評価方式による一般入札で、価格面だけでなく、ビームを出したときにどれだけ効率的に患者に安心して治療ができるソフト・ハードを総合的に勘案した評価制度とさせていただく中で落札者を決定していきたいと思っております。また、二俣川のがんセンターにできるということで、極めてアクセスの良いところでございますので、入院機能については将来、外来型、がんセンター併設型、そうした特徴を踏まえた効率的な運営をしていく形で、現在考えているところでございます。

杉山委員

 今、企画調整部長が答弁された中での総合評価の考え方はよく理解ができました。

 最後の質問をしたいのですけれども、神奈川県民の3分の1ががんで亡くなられている現実があります。せんだって私も医療関係団体との意見交換の中で、実は知事ともお話をさせていただいたのだけれども、知事は現実的に御尊父をがんで亡くされたという中で、西洋医学もそうなのだけれども、東洋医学の素晴らしさも実は見付けたのだという話が出てきてきました。今回の重粒子線治療に後ろ向きといいますか、やや慎重論だったという話も伺いました。そんな中で、さきの9月の我が党の代表質問でも答弁を求めたところでありますけれども、改めて、最後に県として導入の取組を今後とも着実に進めていく考えに変わりはないか確認したいと思います。

病院事業課長

 重粒子線治療装置の導入につきましては、事業主体であります神奈川県立病院機構におきまして、先ほども御答弁申し上げましたとおり、平成2712月の治療開始を目指して、着々と準備を進めているところでございます。県といたしましても装置の設計、製作も落札者が決定した後は、引き続き県立病院機構と協力しながら、可能な限り早期に治療開始できるよう、努めてまいりたいと考えているところでございます。

杉山委員

 重粒子線装置の導入に際しては、高額な金額がかかると同時に、治療を受ける患者も、300万円ぐらいの高い治療費を支払われるという、大変大きな今後の課題があるわけでありますけれども、やはり多くの県民がこの重粒子線装置の稼働を待ちわびているわけであります。今回、事業主体である神奈川県立病院機構において入札が行われ、そしてまた、この総合評価の下で業者が決定されるということで、現実味を帯びてまいりました。

 今後も引き続き、県立病院機構が着実に計画を実施されるよう、県としても必要な支援を行っていくことを要望しまして、質問を終わります。

内田委員

 杉山委員の重粒子線治療装置の件ですが、私も一言要望させていただきたいと思います。

 せんだって、父が肺腺がんで他界しましたけれども、重粒子線装置があればと思ったことも本当にありました。患者や家族にとっては非常に高価である。問題はありますけれども、是非、県民としてもやはりないよりはそういった可能性のある機器を導入していただきたく、粛々と計画を進めていただきたいと思います。

 次に、雇用対策及び人材育成についてお伺いしたいと思いますけれども、商工労働常任委員会で、様々な質問をさせていただいてはおりますけれども、本日、当特別委員会で、また新たに質問をさせていただきたいと思います。

 若年者及び中高年齢者の就業支援策として、若年者就業支援事業、シニア・ジョブスタイル・かながわにおける就業支援事業、それから、緊急離職者等再就職活動支援事業を実施したとなっておりますけれども、それぞれの委託事業の概要と、それから平成22年度実績及び成果についてお伺いいたします。

雇用対策課長

 まず、若年者就業支援事業でございますけれども、これはかながわ若者就職支援センターでのキャリアカウンセリングを中心として、就職支援セミナーですとか少人数制度グループワークの実施、また、就職情報、職業訓練情報の提供などを実施する事業でございます。かながわ若者就職支援センターの平成22年度の利用者数の実績ですが、延べ3万629名でございました。進路決定者数が1,620名、うち就職者は1,346名でございます。

 次に、シニア・ジョブスタイル・かながわにおける就業支援事業でございます。中高年齢者の多様な就業ニーズに対応するため、再就職をはじめとした悩みですとか相談にキャリアカウンセラーがきめ細かく対応する総合相談ですとか、起業や創業、また職業訓練等の相談に専門の相談員が対応いたします専門相談、また、再就職のノウハウを習得するための実践的なセミナーなどを行いました。その結果、平成22年度のジョブスタイルの利用者数の実績ですが、延べ1万257名で、進路決定者数は307名、うち就職された方は277名ということになっています。

 最後に、緊急離職者等再就職活動支援事業でございますが、これは離職を余儀なくされた世帯主等を対象といたしまして、再就職支援セミナーを実施し、就職までの間、カウンセリングや職業紹介を繰り返し行って、再就職に向けたきめ細かな支援を行ったところでございます。セミナーの受講者数の実績としては165名、就職決定者数は102名となっております。

内田委員

 今、実際に訓練の結果が就職に結び付いているかという成果の部分も御答弁いただき、ありがとうございます。その成果は非常に重要であると考えております。このことに関して、県ではどのように今まで認識していたのか、今後変わっていくこともあるのか、また、今後は費用対効果の観点から、就職に結び付いているか否かということが更に評価として問われてくると考えますけれども、平成22年度の事業実績結果を踏まえ、今後どのような施策展開を図るつもりなのかお伺いします。

雇用対策課長

 先ほど申し上げましたそれぞれの事業でございますけれども、利用者の方の就業に向けた支援というものを目的としていることから、最終的には就職に結び付くということが成果として重要であると認識しております。厳しい雇用情勢が続いていますことから、今後とも、利用者の方の事情に応じた丁寧なカウンセリングなどを行うことによりまして、お一人お一人が納得した進路を決定し、1人でも多くの方が就職に結び付くよう、進路決定の状況等の結果を踏まえまして、カウンセリングなど支援内容を検証しながら、効果的な施策展開に今後とも努めてまいりたいと考えております。

内田委員

 平成22年度における雇用対策を全体的に見た場合、特段目立った成果があった事業は一体何であったか、またその事業については今後更にどのように展開していくつもりなのかお伺いします。

雇用対策課長

 先ほど御説明申し上げました県の基幹となる雇用対策事業ということの中で、若年者就業支援事業についてなのですけれども、この事業については、従来から国に働き掛けてきた結果、平成22年3月に国の神奈川学生職業相談コーナーが、かながわ若者就職支援センターに併設されました。これによりまして、キャリアカウンセリングから職業紹介まで一体的なサービスの提供が可能となったということが成果の一つとして挙げられるかと思います。

 平成21年度には延べ約1万8,000人だった利用者数が、平成22年度には延べ約3万人と大幅に増加した背景には、このような利用者の視点に立った利便性の向上が、理由と考えております。今後とも1人でも多くの若者が就職できますよう、より一層、国、市町村と連携を図りながら、利用者のニーズに合った就業支援に取り組んでまいりたいと考えております。

内田委員

 それでは、平成22年度の今度は障害者の雇用対策の主な事業の内容と実績、成果についてお伺いします。

雇用対策課長

 まず、かながわ労働プラザによります障害者就労相談センターにおきまして、就職を希望する障害者の方に対しまして、どんな職業に適性があるのか職業能力の評価を行い、就職活動から職場への定着まで、障害の特性に応じたきめ細かな就労支援を行っております。また、平成22年度の実績ですけれども、同センターの利用者数は488名、就職件数は110件でございました。また、県内8地域に2名ずつ配置いたしております障害者しごとサポーターによって、地域のハローワークなど関係機関と連携しまして、障害者の身近な地域において就労支援を行っております。平成22年度の実績といたしましては、障害者しごとサポーターが関わった就職件数は228件でございました。

 さらに、平成22年度の新たな取組といたしまして、障害者雇用に積極的に取り組む県内の中小企業等をかながわ障害者雇用優良企業として認証いたしまして、各企業の取組を広く県のホームページなどで紹介する事業を、平成22年度にスタートしております。平成22年度末での認証企業数は23法人でございます。今後とも国の神奈川労働局など関係機関と連携いたしまして、1人でも多くの障害者の方々が就労に結び付くよう支援に取り組んでまいります。

内田委員

 障害者の雇用対策としましては、非常に頑張っていただいていると思いますけれども、こういった分野も保健福祉局との連携が必要だと思います。

 次に、産業社会の変化に対応した人材育成についてですけれども、産業技術短期大学校や各職業訓練校などの公共職業能力開発施設の取組のほか、専門学校やNPO団体の民間教育関連機関との連携などを行ってきたことは十分承知しております。

 そこで、平成22年度に関して、県としまして人材育成に関し、雇用情勢の変化に対応して、特にどのような事業に力を入れ、またそれについてどのような成果があったのかお伺いします。

産業人材課長

 産業技術短期大学校や職業技術校では、求職者を就職に結び付けるため訓練を実施しておりますが、平成22年度はいわゆるリーマンショックの影響等を受けて、厳しい雇用、経済情勢が続いておりました。そのため、県では技術校生等の就職促進事業に力を入れて取り組みまして、厳しい経済情勢の中でも採用意欲を示している企業などを中心に訪問して、企業の人材ニーズを直接把握し、就職に結び付けてまいりました。具体的には、平成22年度は産業技術短期大学校及び職業技術校に求人対策や就職支援を行う非常勤職員を19名配置しまして、それらの職員が延べ約1,600社の企業を訪問して、個別に企業の人材ニーズをお聞きし、その結果を就職指導や訓練内容に反映させました。

 また、卒業後も1年間、就職相談や就職先のあっせんなど就職支援を行っており、その結果、平成22年度の卒業生等について、卒業後3箇月時点の就職率は産業技術短期大学校では約90%、また職業技術校では約80%という実績を上げております。

内田委員

 今、産業人材課長に答えていただきましたけれども、せんだって、医療事務などが非常に人気があるということで、専門学校とのこれからの委託事業について、非常に力を入れていると思いますが、専門学校との更なる連携を望みます。また、他にも事業法人、それから、民間教育訓練機関と様々に連携しながら、こういった産業社会の変化に対応した人材育成について頑張っていただきたいと思います。

 黒岩知事となり、スマートエネルギー構想などの新しい施策の下に、本県では新たな産業や人材ニーズが生まれたり、また、変化したりしていくことも今後考えられます。こうした神奈川県の産業社会や企業ニーズに合った人材確保や、また人材育成が今後ますます重要になってくると考えますけれども、そのためにも、職業技術校などで職業訓練を受けた者が修了時に即応的に就業に結び付きやすく、また、習得した技術、技能をすぐに生かせる訓練内容が、きちんと合致したものにならなければならないと考えます。

 そこで、今後成長が見込まれる分野の人材確保施策など、ある意味柔軟な対応が求められると考えておりますけれども、技術技能者の育成に関して、県では今後どのように対応していこうと考えているのかお伺いいたします。

産業人材課長

 神奈川の産業基盤を支えるものづくり分野では、特に中小企業において、優れた技術や技能を有していても、次代を担う人材を育成するための指導人材がいない、あるいは時間的な余裕がないといった意見をお聞きしておりますので、将来の産業振興につなげていくため、産業技術短期大学校や職業技術校などの公共職業能力開発施設において、現場のニーズを捉えながら、しっかりとものづくり分野の人材育成に取り組む必要があります。

 このため、職業技術校等では、企業を直接訪問したり、修了生の就職先企業などから御意見をお聞きし、企業ニーズを把握して、必要に応じ、運営企画等を見直してまいります。また、介護や環境分野など今後成長が見込まれる分野の人材確保や人材育成については、専門学校など民間教育機関等への委託訓練も活用しながら、柔軟にコースを設定するなど、企業や求職者のニーズに応じた人材育成をしてまいりたいと考えております。

内田委員

 要望を申し上げたいと思います。第9次職業能力開発計画が今後進められていくということで、経済対策を含め、雇用対策や産業人材育成は神奈川県の将来を左右する最重要課題と私は捉えております。

 まず、雇用対策につきましては、これまで県としましては、1人でも多くの求職者の方に就職していただけるように取り組んでいただきました。世界的な同時不況や東日本大震災の影響もあり、依然として厳しい雇用情勢が続いております。このような歴史的な状況下においては、雇用対策は県として本当に優先して取り組んでいくべきだと考えております。

 その一方で、県の財政状況も非常に厳しい状況にあるのは承知しております。そうしたことから、今後の事業展開に当たりましては、最小限度の投資で最大限の成果を得られるよう、県当局の皆様にはいろいろなアイデアを出していただき、成果指標を継続的に把握するとともに、課題があれば迅速に対応できる事業実施体制の確立を要望いたします。また、柔軟な対応が求められますので、そこのところは特に意識して進めていただきたいと思います。

 また、産業人材の育成については、これまで本県の産業基盤を支えてきたものづくり、人材育成や技術、技能の研修に取り組むとともに、先ほども申し上げましたけれども、今後成長が見込まれる分野や、介護分野、人材が枯渇してくるであろうと思われる人材育成に関しては、民間教育、それから訓練機関を活用しながら、官民一体となって取り組んでいただきたいと思います。

 第9次職業能力開発計画を着実に実施していただきますことを強く要望させていただきます。

 

(休憩 午前1159分  再開 午後1時1分)

 

5 傍聴の許否について決定

  1件申請 1件許可

 

6 日程第2について質疑

 

杉山委員

 先ほどの内田委員の雇用対策及び人材育成についてに若干関連した形で、私は東部総合職業技術校の成果について、確認を含めて質問させていただきたいと思います。

 まず、県東部の拠点として横浜市鶴見区寛政町に平成20年4月、東部総合職業技術校が開校されました。そして、引き続きまして、平成25年4月には西部方面職業技術校を開校する予定になっているということで、平成22年度は西部方面職業技術校の新築工事実施計画業務委託費として約9,500万円を支出されております。また、この支出から、今年度からはその整備工事に着工するようでありますけれども、先ほどお話しした東部総合職業技術校での経験を西部方面職業技術校にも生かしていくという視点の中で、まず東部総合職業技術校の実績について、平成22年度の応募状況や入校生の年齢層、さらには就職率を具体的に教えていただきたいと思います。

産業人材課長

 東部総合職業技術校の平成22年度の応募倍率につきましては、2.7倍という応募倍率でございます。また、入校生につきましては、新規高卒者から60歳代までの幅広い年齢の方々がおりますが、多い年代としては34歳以下のいわゆる若年層が約54%となっております。また、就職率につきましては、平成22年度修了生の就職率は、修了後3箇月時点で約8割となっておりますが、職業技術校では修了後1年間訓練生の就職支援を継続して実施しておりますので、今後も引き続き1人でも多くの方を就職に結び付けることができるよう、就職支援に取り組んでまいります。

杉山委員

 30歳前後を中心とした年齢層、新規の高校卒業者、あるいはその上の定年を迎えた後のシルバー人材である60歳代の方々がいる。80%の就職率について、就職した先で1年間通じて様々なアドバイスを行うことで支えている。大変力を入れているということを確認いたしました。

 成果を上げていることは理解しましたけれども、工業技術分野ですとか、社会サービス分野といった専門分野ごとに特化した職業技術校を再編統合して、大規模総合校としての運営をすることになっているわけであります。

 実は、私の選挙区にあった川崎高等職業技術校京浜分校、あるいは中原区にあった川崎高等職業技術校も再編された形になっているのです。私は今頃の秋ですか、川崎区内の川崎高等職業技術校京浜分校の学園祭等にお邪魔して、その生徒さんたちが作った金型だとか、いろいろなものを頂いて、その技術の高さ、レベルの高さにすごく感心したのです。今回こうして大規模に総合校として統合し、そして運営するということで、何がしかの成果というのがあるのでしょうか。もしあるようでしたら教えていただきたいと思います。

産業人材課長

 東部総合職業技術校では、大規模総合校として、指導人材や訓練機器を集中しまして、より効率的で効果的な職業訓練を実施しております。例えば、受講したい訓練を選択、組み合わせて受講することができる選択型の訓練コースの実施などにより、求職者や企業の職業能力開発ニーズに的確に応えて訓練を実施しております。

 また、在職者の方々を対象とした在職者訓練につきましては、土日、夜間など時間や利便性に配慮して設定するとともに、中小企業等の事業者の御要望をお伺いしながら、訓練内容を設定するオーダー型の訓練を実施し、人材育成の面から中小企業を支援しております。そして、退職者訓練の中でも、ものづくり継承塾というものについては、機械加工や金属加工などの分野で、企業で活躍している高度熟練技能者の方々を講師としてお迎えしまして、個々の企業の努力では難しい技術、技能の継承を支援してまいりました。

杉山委員

 東部総合職業技術校は、横浜市鶴見区寛政町にありますが、ここは神奈川の京浜工業地帯の近くにあるわけであります。ここにおいて、ものづくりに対して、基幹的産業である製造業等の人材育成で成果を上げている。これは大変評価したい。ただし、新規学卒者の就職難あるいは非正規労働者の増加など、若年者の就業に関わる問題が深刻化しているのも現実的な問題であります。また、もう一方でフリーターの増加ですとか、せっかく就職はしたものの早期にまた離職してしまうという状況も発生しております。その背景には若年者の職業の意識の低下、あるいは勤労意欲、働くという勤労意欲の希薄化もあると考えられるのですけれども、この東部総合職業技術校におきましては、近くの中学校ですとか、高等学校の生徒を対象に、今言った職業観あるいは勤労観を育成する取組を実施されていると聞きました。その内容について確認させていただきたいと思います。

産業人材課長

 中学生や高校生のものづくりへの興味や関心を高めて、併せて職業観を醸成するため、東部総合職業技術校では、中学校等のキャリア教育を支援しております。中学生や高校生のものづくり、具体的には近隣の中学校や高等学校から生徒を受け入れまして、調理の体験ですとか建築模型作り、そして自動車エンジンの分解、組立てなどの体験や熟練技能者によるものづくりの実演を見学していただくなどして、ものづくりに触れる機会を提供しております。平成22年度は中学校6校、高等学校3校からの生徒を合計869名受け入れております。

杉山委員

 質問の最後にしたいのですけれども、この東部総合職業技術校におきましては、事業の内容が、1年間の事業から、半年あるいは短期間の事業もあるとお聞きしていますし、中には、普段仕事をしているので土曜日や日曜日に、在職者のスキルアップのために様々な取組も行っているとお聞きしています。学校というと、春休み、夏休み、冬休みを含めて、開いているときも多いのですけれども、実際、この東部総合職業技術校については何日間ぐらい門戸が開かれているか。そこで学びたい、技術を身に付けたい、さらにスキルアップをしたいという生徒が何日間ぐらい通えるのか、通っているのか、もし分かるようでしたら教えてください。

産業人材課長

 東部総合職業技術校では、月曜から金曜日まで訓練を実施しておりまして、そうした平日の開校日が243日ございます。そして、土日に開校している日が30日ほどございまして、合計すると273日開校しております。

杉山委員

 1年365日の中で270余日開校ということで、やはりこれも評価したいと思います。

 要望させていただきますけれども、今回、質問させていただきました東部総合職業技術校での実績を上げている取組については、是非ともこれから開校しようとする西部方面職業技術校にも取り入れ、企業や求職者の訓練ニーズに的確に応えた人材育成に対して、有効に生かしていただきたいことを要望して、内田委員にまた戻します。

内田委員

 ただいま杉山委員よりの東部総合職業技術校のものづくりのことなど、いろいろ御答弁いただきましたが、私からは中小企業の経営支援についてお伺いしたいと思います。

 中小企業は産業の裾野に幅広く分布しているということで、県内の中小企業の経営の安定を図ることは県経済の活性化にも直結すると言っても過言ではないと思います。

 主要施策説明書に下請企業振興対策費補助が記載されており、下請企業の対策に力を入れているということですけれども、特に、杉山委員の質問の中にもありましたけれども、ものづくりを行っている中小企業に対する経営支援についてどのような考えで取り組んできたのか伺います。

産業技術課長

 中小企業の製造業に対します経営支援の取組の考え方でございます。

 多くの中小企業は設備、人材あるいは技術に関する企業活動に必要な経営資源が限られているという状況でございます。そのような制約を乗り越えて成長していこうと努力していらっしゃる中小企業に対しまして、県としても様々な支援を行ってまいりました。具体的には、経営面では企業の販路拡大や経営改善の支援、技術面では新商品や新技術の開発支援などでございまして、資金面では制度融資や設備資金の貸付けなど支援策を整えまして、個々の企業の必要性に応じて、総合的に支援に取り組んでまいりました。特に、経営面につきましては、経営状況の厳しい下請中小企業に対しまして、受注機会の拡大や経営アドバイザーの派遣、経営総合相談窓口の設置など経営の改善等を図るための支援を行っております。

 こうした取組によりまして、中小企業の経営の安定や発展といったものの後押しをすることで、県内経済の活性化に寄与するものと考えております。

内田委員

 経営支援はとても大切だと思います。

 それともう一つ、下請取引あっせんの拡大強化を図るための取組が記載されておりますけれども、これらの平成22年度の主な取組内容の成果についてお伺いいたします。

産業技術課長

 下請取引あっせんの平成22年度の取組の内容と成果でございますが、中小企業の下請取引のあっせんにつきましては、下請中小企業振興法に基づきます下請企業振興協会の役割を担っております(公財)神奈川産業振興センターを通じまして実施しているところでございます。神奈川産業振興センターでは、取引あっせんを行うために、大企業の購買担当のOBなどを発注開拓専門員として配置いたしまして、発注企業に対して電話や訪問により、発注案件の開拓を行っております。受注企業との間で取引あっせんを行いましたその結果でございますが、平成22年度はあっせんの紹介件数が1,906件、年度末までに取引が成立いたしましたのはそのうち265件ということでございます。

 また、中小企業の受注機会を拡大するために、受注企業と発注企業が一堂に会しまして、商談を行う受発注の商談会も実施しておりまして、年4回、横須賀市をはじめ4箇所で開催いたしました。この4回の商談会で延べ181社の発注企業、それから受注企業につきましては1,040社が参加しておりまして、延べ3,052回の商談を行っておりますが、その結果、97件の取引が成立したということでございます。

内田委員

 今御答弁いただきましたように、地道な活動によりその成果に結び付いている企業もあるということで、こういったところは本当に評価したいと思います。

 ただいまの御説明の他に、下請企業への振興対策として他に取り組んでいることがあれば、平成22年度の取組内容と成果について説明をお願いいたします。

産業技術課長

 平成22年度の他の下請企業の振興の取組内容と成果でございます。

 下請企業は親事業に対しまして相対的に弱い立場にあるということが一般的に言えると思いますが、下請取引の適正化あるいは下請企業の利益の保護を目的といたしまして、下請代金支払遅延等防止法が定められております。親事業者に対しまして、下請代金の支払の遅延や減額を禁止しているというところでございます。この法律に基づく取組は国が所管しているわけでございますが、県といたしましても、下請取引の適正化を推進するために、こういった法律等の遵守につきましての要請文書を県内親事業所約2,800箇所に年2回送付させていただいておりまして、下請企業へ不当なしわ寄せをしないように要請しております。

 それ以外には、下請取引適正化の趣旨を浸透させるということで、下請代金支払遅延等防止法などを詳しく解説いたしますセミナーの開催をさせていただいています。平成22年度は年4回でございまして、企業の購買担当者約1,000人弱程度の方々に御参加いただいたということでございます。

 こうした取組を継続して実施していくことによりまして、下請取引の適正化の必要性につきまして、深く事業者の理解が進みつつあるのではないかと考えております。

内田委員

 下請企業にとっては大震災後も非常に厳しい業況が続いておりますし、法遵守についてのセミナーを開くことなど、県の支援について、これからも取り組んでいただきたいと思います。

 次に、中小企業制度融資についてですけれども、平成20年9月のリーマンショック以降、長く厳しい経営環境が続く中、県内中小企業への資金繰りの一翼を中小企業制度融資が担ってきたと考えておりますけれども、平成22年度まで、実際問題どのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。

金融課長

 リーマンショック以降、長引く景気低迷における中小企業への資金繰り支援の取組といたしましては、平成2010月から平成22年度まで緊急経済対策融資を創設いたしまして、景気動向や中小企業者のニーズを踏まえ、適時に充実改善を図って対応してまいりました。

 この緊急経済対策融資の主な充実、改善内容を申し上げますと、まず平成20年度におきましては、融資対象となります不況業種の視点を、従前185業種、中小企業関係業種のおおむね20%程度だったものを最終的にはこの年度84%の760業種まで拡大いたしました。また、融資対象企業の売上高等減少要件につきましても5%から3%に緩和いたしましたし、また、融資期間を7年から8年といった延長もいたしました。平成21年度は、当初予算は融資規模を緊急対応分として、200億円を追加増額いたしまして、融資利率を2.4%から2.0%へ0.4%引き下げました。また、平成21年6月には融資期間を再度8年から10年に、据置期間を1年から2年に延長いたしまして、その年の10月には更に融資利率を10年で2.0%を1.8%に引き下げまして、返済期間の軽減に取り組んでまいりました。

 そして、平成22年度につきましては、順次拡大してきました融資対象となる不況業種を原則全業種という指定をいたしまして、また業況低迷の長期化を考慮いたしまして、融資対象の売上減少の要件を、年度を2年前まで遡って比較してみるということにし、さらには、昨年12月になりますが、従業員30人以下の小規模零細企業の年末、年度末の資金繰りを支援するために保証料補助を実施いたしまして、保証料率を0.8%から0.6%へと引き下げたところであります。

杉山委員

 今の話の中で、この平成22年度、私は予算委員だったので、確認の意味で質問させていただきます。

 この主要施策説明書132ページの中小企業金融対策事業に対しまして、もう一度確認ですけれども、決算額と不用額の額についてお聞かせください。

金融課長

 制度融資を運営するための助成資金といたしましては、まず一つ目に中小企業制度融資事業費補助というものがございます。これは、金融機関に預託し金利を引き下げるものでございます。この予算現額につきましては9億8,7933,000円、執行額につきましても同額で、執行不用額はゼロでございます。これにつきましては、金融機関から一度預託資金を借り入れる金利のみの負担ということでございますので、これにつきましては、短期プライムレートを0.05%下げました1.425%で実施したということで、不用額はゼロとなることになります。

 それから、あと一つは信用保証料を引き下げるための補助でございます。信用保証協会補助金でございます。これにつきましては、当初予算額、予算現額も同じですが、123,806万円ということでございまして、執行額が123,7015,404円と、不用額につきましては1044,596円ということになりまして、ほぼ年末、先ほど申しました年末、年度末の資金繰りの保証料補助の実施によりまして、ほぼ満額に近い執行ができたということでございます。

杉山委員

 実は、私が前年度の予算委員のときに、今の信用保証について不用額があったのです。100万円あれば助かる事業者があったはずだというお話をしました。これはもちろん慎重審査を進める上での話ですが、中小企業、もっと言えば零細企業をしっかり守ってほしいという要望をさせていただきました。今回お話しのように金利も下げていただいた。不用額も100万円そこそこである。これは大変なことであると評価をしておきたいと思いますけれども、ちなみに平成22年度において中小企業で倒産件数が分かるようでしたら教えてください。

金融課長

 神奈川県の企業倒産状況は帝国データバンクの数値になりますが、平成22年度の合計で申し上げますと、負債総額1,000万円以上ということでございますが、701件、金額で1,4117,200万円ということです。これは平成21年度との金額の比較で前年度比83.6%でございます。それから、件数につきましては88.2%ということでございます。少し減ってきているという状況でございます。それから、また、併せて申し上げれば、平成22年度の県の制度融資の代弁率につきましても、リーマンショック直後の平成2021年度につきましては4%を超えておりました。しかしながら、平成22年度は県の制度融資の効果、あるいは政府の政策もございますが、2.7%程度に抑えられたという状況もございます。

杉山委員

 4%だったのが2.7%に抑えられているという数字でよろしいですね。

金融課長

 そのとおりでございます。これにつきましては、今後の情勢は分かりませんが、現在のところ債務不履行が抑えられているということでございます。

杉山委員

 平成23年3月11日、この日は東日本大震災が日本を襲った日であります。当然、神奈川県内でもそうした中で中小企業の育成、支援が大切なので、今、質問しておりましたけれども、現在、代位弁済率も低く抑えられているという中で、県当局の皆さんのお力もそうでありますけれども、やはり何といっても県内の中小企業の充実に向けた取組を評価したいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。

内田委員

 今、御答弁にございましたように、いろいろな制度融資対策を講じていらっしゃったと思います。リーマンショックが県経済に影を落とし始めてから3年がたったわけですけれども、この間の制度融資の実績は全体としてどのように推移してきたと捉えていらっしゃいますか。

金融課長

 まず、制度融資全体と緊急経済対策融資について年度ごとに申し上げさせていただきます。

 平成20年度の制度融資全体で1万6,359件の2,464億円余、それからその年の緊急経済対策融資ですが、これは10月からの半年間でございますが、2,714件の701億円余ということでございます。それから、平成21年度は制度融資全体が1万4,338件の2,584億円余、それから、緊急経済対策融資が6,531件の1,527億円余、これは制度融資全体の59%ということでございます。それから、平成22年度は制度融資全体で1万4,077件の2,648億円余と、緊急経済対策融資が7,412件の1,747億円余、シェアが66%ということで、全体の融資目標2,600億円を達成する中で、リーマンショック対応の緊急経済対策融資の実績を着実に伸ばしてきたということが言えると思っております。

内田委員

 この制度融資に関して最後の質問になりますけれども、厳しい経営状況にある中小企業の資金繰り支援として、中小企業制度融資の平成22年度の融資実績を県としてはどのように評価しているのかお伺いいたしたいと思います。

金融課長

 平成2010月から22年度まで、緊急経済対策融資の充実、改善に取り組みまして、毎年度、順次実績を伸ばしてきたわけです。そういう意味では、平成22年度は積み上げてきた取組が結実した年度と考えております。この間の緊急経済対策融資の合計額が1万6,657件、3,976億円余と4,000億円に迫る資金を供給したわけですが、これまでリーマンショック後の景気低迷の影響を受けた県内中小零細企業を金融面で支援することで、リーマンショックから立ち直る過程での事業継続や倒産の回避といった面について、一定の役割を果たせたのではないかと考えております。また、平成22年度の年末、年度末の保証料引下げにつきましては、12月から3月の4箇月で870億円余を資金供給できました。これは、平成23年度の事業ステップにつなぐ資金繰り支援ということだけではなく、先ほどお話のありました大震災に対応した資金供給もできたと考えております。

内田委員

 今御答弁いただきましたように、制度融資に関しましては様々な対策を講じている。覚え切れないほどいろいろ、率も下げていただいたり、中小企業に使いやすいように少しずつ変わってきているとは思います。

 また、11月1日の神奈川新聞に特別な融資、年利8.8%という広告が載っておりました。こうした目に付きやすい取組も非常に大切だと思っております。

 制度融資に関しましては、引き続き資金繰りが大変な中小企業のために、しっかりと県として支援いただきたいと思います。また、商工労働局に対しましては、こうした中小企業が安定できるようにいろいろな方策を講じていただき、知事が新しくなりましたけれども、特に震災後、商工労働行政の果たす役割は非常に大切なので、求められることが多々あるとは思いますが、県経済の活性化のために努力を惜しまず、効果的な取組を行っていただきますよう要望いたします。

 それでは、インベスト神奈川2ndステップについてですが、県の融資や税の優遇などの支援策を利用するためには、まずは企業の新規立地や再投資が対象事業として適当なのか、まず事業認定を受ける必要があると承知しておりますけれども、この制度が昨年度からスタートして約1年半たちますけれども、これまでの事業認定の実績はどうなっているのか、大企業と中小企業のそれぞれの状況をお伺いいたします。

産業立地課長

 昨年4月にインベスト神奈川2ndステップがスタートいたしましたけれども、これまでの事業認定件数は11社、11件となっております。大企業、中小企業の内訳でございますけれども、大企業が3社、中小企業が8社となっております。

内田委員

 これまで、そのような11社の事業認定をしているということですけれども、これらの企業の立地などによって県内の経済にどのような効果が期待されると考えているのかお伺いいたします。

産業立地課長

 企業の立地の効果といたしましては、まず、研究所や工場等の建設に伴いまして、建築工事あるいは設備工事、さらには生産設備の調達など様々な発注が行われまして、県内企業にとって取引の機会の拡大が期待できるということがございます。

 事業認定いたしました11社の事業計画に基づきますと、この11社の企業立地に伴う総投資額が438億円となっております。この中には、当然土地の取得費なども含まれておりますけれども、先ほど申しました建築工事費等にも相当な額が充てられると見込まれますので、これらが県内企業への発注を通して地域経済に波及していくということが期待できると思います。

 また、県内企業との取引という観点で申しますと、研究所や工場等が完成しまして、実際に操業が開始された後ですけれども、施設の警備ですとか清掃、あるいは食堂の委託を通じました県内企業との取引といったものも生まれることが期待できます。さらに、これまで事業認定いたしました11社につきましては、新たに建設する施設において、約1,600名の方々が従事することになっております。当然ながら、雇用面でのプラスの効果も見込まれますし、こうした従業者の方々、あるいは施設を訪れる来客の方々による周辺の店舗での買物ですとか飲食といったことで、地域の活性化にも一定程度、寄与するのではないかと考えております。

内田委員

 事業認定を受けた11社の中で、当局として特段に注目している事例についてお伺いしたいのと、それから、投資規模が大体、大企業50億円、中小企業2億円ということで、それ以下の条件にかなわない場合の立地の相談が寄せられることはあると思いますが、その対応策、また、今後残り3年半のインベスト神奈川2ndステップをどうしていくのか、こういった3点について併せてお伺いいたしたいと思います。

産業立地課長

 まず、11社の中で特に注目している事例というお尋ねでございますけれども、特徴的な事例といたしまして私ども注目しておりますのが、今年2月に事業認定を行いました日本電産()の新研究所の建設を挙げたいと思っております。この日本電産という会社の本社は京都府にある会社ですけれども、精密小型モーターの開発製造の分野では世界トップのシェアをとる企業でございます。そうした企業が今後グローバルな研究活動をやっていきたいということで、国際化されました羽田空港の近くで、それから理系の大学や研究開発人材の集積が非常に豊富であるということを考慮していただいて、神奈川県の新川崎を拠点として整備することを決定していただいたということでございます。こういったグローバルな企業の研究開発拠点が立地したことに、まず私どもは注目したいと思っております。

 それから、2点目のお尋ねでございます。投資規模が要件に満たない場合にはどういった対応をしているのかというお尋ねでございますけれども、確かに最低投資額要件に満たないといったケースの御相談もよくいただきます。そうした場合におきましても、私どもといたしましては、企業の計画あるいは技術といったものを丁寧に伺いまして、例えば用地情報の提供、あるいは国の融資制度の活用に向けたお手伝い、それから市町村とも連携いたしまして立地に関するアドバイスなどもワンストップで行っているところでございます。

 最後に、今後のインベスト神奈川2ndステップの進め方ということでございますけれども、先ほど来、質疑の中にもありますように経済の先行きは大変不透明でございます。正直なところ企業の投資意欲といったものも陰りが出ているのも事実でございます。こうした厳しい状況でございますけれども、私どもとしては二つの方向性でこの取組を進めていきたいと考えております。

 一つは、交通の利便性の高さあるいは産業人材や研究開発企業の集積といった神奈川の優れた立地ポテンシャル、さらにはかながわスマートエネルギー構想の新たなビジネスチャンスにつながる本県独自の取組を強くアピールしながら、県内外、それから国外の企業に対しても今まで以上のプロモーション活動を展開していきたいと思っております。

 また、第2の方向性でございますけれども、昨今の経済情勢も踏まえまして、インベスト神奈川2ndステップが企業の皆さんにとって使い勝手のよい制度になるように、企業の方々からも御意見を伺い、この運用方法などを検討していきたいと考えております。先ほどお話ししましたワンストップサービスも充実させていきたいと考えております。やはりその事業認定の対象になり、各種の支援措置が受けられるようになれば企業の皆さんの投資活動に対してより大きなインセンティブが働くようになると期待しております。そうした方向で検討を進めていきたいと思っています。

内田委員

 要望を申し上げます。今、御答弁いただきましたように、企業のニーズを捉えることが非常に大切だと思います。制度の運用にも工夫していただき、今後とも県民のためになる使い勝手のいい制度融資を、また様々なインベスト神奈川2ndステップについては実りのある企業誘致を進めていただきたいと強く求めて今日の質問は終わりにしたいと思います。

 

以下省略

 

7 次回開催日(11月8日)の通告

 

8 閉  会