平成23年  商工労働常任委員会 - 1215日−01

平成23年  商工労働常任委員会

◎《委員会記録-平成23年第3回定-20111215-000009-商工労働常任委員会》

1 開  会

2 記録署名委員(内田・齋藤(健)委員)の決定

3 日程第1を議題

4 同上質疑(所管事項も併せて)

 

内田委員

 先日、1130日に我が党の梅沢裕之議員の方から、本会議で、TPPなどについてを知事の方に質問させていただきました。こちら、商工労働局の方で掘り下げて質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そのときの知事の答弁としましては、TPPは、加盟国間で関税や非関税障壁の撤廃を目指すものであり、日本経済の活性のために重要な協定への参加は避けて通れないものと考えていますというようなくだりの御答弁もございました。しかしながら、国内では、農業の関係や国民皆保険制度に対する懸念の声が多く聞かれ、政府の方でも白熱した議論がずっと続いているわけなんですね。それは私どもも随分承知しているんですけれども、先ほどの飯田委員の質問にもちょっと絡みますけれども、TPP、改めて対応というか経緯、それから現状、特徴的な点、いろいろ報道されておりますけれども、神奈川県も、貿易が盛んな県としては、これからこれをしっかりと情報収集していく、こういう段階に入っていると思いますので、その概要についていま一度お伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

商工労働局企画調整課長

 まず、TPPについて、その概要についてということでございましたので、それにつきましてお答えさせていただきます。

 TPP、いわゆる環太平洋経済連携協定でございますが、これは、現在、様々な国や、あるいは地域同士で締結されている自由貿易協定の一つでございます。これは、最終的に加盟国の間で、今、委員からも御指摘がありましたように、関税ですとか、あるいは非関税障壁、この撤廃を目指すものというふうに聞いてございます。この協定でございますけれども、具体的には、物品あるいはサービス、貿易、こういったものに加えまして、例えば政府の調達ですとか、あるいは競争環境の整備、具体的には規制緩和の話になると思いますが、こういったもの、さらには環境とか労働、あるいは食品安全、こういった幅広い分野を対象とする包括的な協定であるというものでございまして、原則として全ての品目の関税を撤廃し、自由化の例外品目を提示して参加することは認められないというふうになってございます。

 現状でございますが、現在、このTPP、シンガポール、ニュージーランドなど9箇国によって、21の分野で交渉が進められておりまして、我が国は、去る1112日から13日に開催されましたAPECで、この協議への参加を表明したという状況でございます。

内田委員

 大体、テレビとか、あといろいろなニュースとかで情報が、今、出ているところで、私どももいろいろと議員それぞれで勉強していると思うんですけれども、例えば農林水産省の方では、特に影響が、デメリットの方が多いのではないかという懸念もあって、農業関連のGDPが、これを受けて、全体としては7.9兆円減少という、農林水産省の方の想定、そういったことで試算も出ているわけですね。また、もう一つのメリットの方を考えると、内閣府の方では、GDPが2.4から3.2兆円増加といったような試算、そういうことで、国の政府の中でもメリット・デメリットがいろいろある。それが、また党派を超えて議論が白熱するといったことになっていると思うんですけれども、経済産業分野というのは、そこの中でもメリットの方が多いのではないかと言われておりますけれども、現在の我が国の経済状況を踏まえて、この協定への参加について、県当局としてどのような認識を持っているのかお伺いいたします。

商工労働局企画調整課長

 今、委員から御指摘がありましたように、経済産業分野を所管する商工労働局としてということでございますが、経済がグローバル化しているという状況、産業、雇用をはじめ、様々な分野で世界的な視野を持った対応が求められているという現状はあろうと思います。ただ、その一方で、我が国は、少子高齢化に伴いまして人口減社会を迎えますことから、先々の国内市場が縮小していくということが避けられないという状況にあると考えております。こうした状況の中で、日本経済が持続的に発展していくためには、経済成長の著しいアジアを中心として、広くアジア太平洋地域全体を見据えて、その活力と成長力を取り入れていく、こういうことで国際的競争力を高めていくことが不可欠ではないかというふうに考えております。このため、TPP協定への参加につきましては、いずれは避けて通れないものというふうに考えているところでございます。

内田委員

 とにかくこの枠組みへの参加を巡っては、先ほども申し上げたように、国で、今もなお賛否両論、非常に白熱している状況ではございますが、県当局としては、一体どのような点が問題であると大まかに考えていらっしゃいますでしょうか。

商工労働局企画調整課長

 先ほど御説明いたしましたように、TPPは、基本的には関税の撤廃を中心とした包括的な協定ということでございまして、対象が様々な範囲に及ぶという点がございます。例えば、先ほど委員からも御指摘ありましたけれども、関税の撤廃で国内農業が手ひどい打撃を受けるのではないか、あるいは医療の自由価格化によって国民皆保険制度が崩壊するのではないかといったような、そういった懸念の声が出ているということは承知してございます。また、こうした懸念が示される一方で、例えばこうした分野については議論の対象になっていません、それは誤解ですよといったような趣旨の報道がされたり、あるいは政府から、一部は今後議論の対象になり得るんですと、そういったような見解が発表されているといった状況がございます。

 こうした風評から、TPPに関する正確で具体的な情報が示されていないこと、あるいは情報が不足している中でそれぞれの立場において議論がされていること、こういったことが、議論が混乱している原因になっているのか、そうした点が大きな問題ではないかというふうに考えてございます。

内田委員

 農政、保健、医療分野などでは、概して批判が多いようなことも見受けられます。しかしながら、メリットという意味で考えると、輸出企業は、海外に進出しやすくなるというか、経済的な面では、関税を撤廃することによっていろいろと門戸も開けていけるのではないかといったような、デメリットだけではなくてメリットの方も考えていかなくてはいけないですし、いろいろ時代が変わっていく中で、避けて通れないという知事の答弁どおりだと思うんですね。

 ですからというわけではないんですけれども、県の部局の中では、商工労働局としてはメリットの方は少し多いのか、それともそうではなくて、何か問題、課題が持ち上がってきているのかどうかお伺いしたいと思います。

商工労働局企画調整課長

 先ほど来御説明しておりますように、TPPの枠組みにつきましては、参加国がお互いの市場を開放するということが基本ということになります。そういう意味では、基本的には、例えば相手国との関係では、我が国の輸出量がトータルとして増加する、そういうことによってお互いに活性化するということを目的にしているというふうに考えてございます。そうした意味では、国際競争力のある輸出産業にとりましては、生産とか、あるいは輸出の拡大が期待されるということで、委員お話しのように、それが非常に強みになってくる部分はあると思います。

 ただ、今度、輸入品、入ってくる方も同じように開くわけですから、そうしますと品質や価格面で差がないといった場合には、競争がかえって激しくなってしまって、厳しい状況に置かれるというようなことも考えられると思います。そうした意味で、産業といっても一概にではなくて、産業分野とか、あるいは品目、そういったものによってプラスマイナス双方の影響が出てくるのかというふうに考えてございます。

 また、商工労働ということでございますので、産業雇用分野ということで、雇用の方についても、例えば海外からの単純労働者の流入ということで、国内労働者の雇用低下、あるいは人件費の低下を招くのではないかといったような御意見あるいは懸念の声もあるわけですが、逆にTPP参加が企業の海外移転防止につながるというようなことで、地域の雇用が確保されるということもあり得るものだというふうに考えております。

 そういった意味で、具体的にはどのような分野あるいは品目が対象になって、どういう枠組みが議論されるのか、そういう具体的な情報が明らかになりませんと、なかなか一概にメリットだ、デメリットだというようなこと、影響の有無とか程度を論ずるのは難しいのかというふうに考えているところでございます。

内田委員

 それでは、庁内の検討体制というのは何か設けてあるんでしょうか。

商工労働局企画調整課長

 この問題につきましては、非常に国でも議論が白熱しているということ、それから県、私どもでいえば産業雇用の部分でいろいろな影響があるのではないかという部分がございますことから、県としても、関係する分野について、様々な観点から検討していく必要があるという認識に立ってございます。そのため、私ども商工労働局と、例えば消費生活を所管する県民局、それから当然、県内の農林水産業を所管します環境農政局、医療、保健、食品安全等を所管します保健福祉局、さらには調達業務等による影響が予想されます県土整備局、こういった関連部局と勉強会を開催させていただきまして、それぞれが把握しているTPP関連の動向を持ち寄りまして、情報の共有を図らせていただいているという状況でございます。

内田委員

 いずれにいたしましても、国民生活、県民生活への影響は、決まった後に、蓋を開けてみないと分からないと言っていられないというか、21部門の中のいろいろな品目、消費者にとっては、海外のものが安く入ってくるのは、それはいいことですけれども、その中で安全性とかも大変になりますし、またデフレも進んでくるのかと思われますし、やはり正確な情報提供というのが一番望まれるところですので、国に対して、今後どのような対応を県としては進めていくのかお伺いしたいと思います。

商工労働局企画調整課長

 今、委員からも御指摘いただきましたように、TPPへの参加ということが、国民あるいは県民の方の福祉あるいは経済活動に直接結び付くものでございますので、交渉結果がもたらす影響というものはかなり大きなものがあるのかというふうに認識してございます。そうした意味で、まず国には、そうした視点から今後の協議に臨んでいただきたいというふうに考えております。また、商工労働局といたしましても、県内産業あるいは雇用への影響というものが、大きなものが予想されますので、国に対して、正確で具体的な情報はタイミングを逃すことなく提供していただけるように、機会を捉えて要望してまいりたいというふうに考えてございます。

内田委員

 この件の要望なんですけれども、TPPに関しましては、国の方の情報を収集することが県の役割としては一番大切なことであり、またその動向を見ながら、県としては、そういった勉強会などで、もしもの場合のときはこうなるといったようなことで説明ができるように、常に正確な情報、これを我々議会の方にも逐一御提供いただきたいと思います。政府も、今、二転三転していますし、雇用問題の方でも、昨日のニュースですけれども、企業側に65歳まで雇用を義務付けるとか、そんなことも出ていますし、いろいろな問題が山積していますから、TPPについても、とにかく避けては通れないということですので、できるだけ国民の利益に結び付くように今後の協議に臨むことを国に強く要望しておきたいと思います。

 もう一つ、梅沢議員の方からも、本会議で質問がございましたけれども、かながわグリーンイノベーション地域活性化総合特区について、二、三お伺いしたいと思います。先ほど飯田委員から質問もありましたので、少し視点を変えます。

 内閣官房の地域活性化統合事務局の方のホームページを見ると、全国からいろいろなものが提案されていまして、相当な数だと思いましたが、改めて全国から何件の申請があったのか確認したいと思います。

産業活性課長

 今回、総合特別区域の第一次指定申請を国において8月15日から9月30日までの間、受け付けいたしたところであります。その結果を10月5日に国が公表しております。それによりますと、地域活性化総合特別区域の関係でございますが、全国から77件の申請があったというふうに承知しております。

内田委員

 せんだっては、自民党の委員からも、いろいろ総合特区については質問させていただきましたけれども、今日は経過について主に質問したいんですけれども、今回の申請77件に対して、国では、これまでどういう処理というか評価、取捨選択してきたと思うんですけれども、どのように進めてきたのか、教えていただけますでしょうか。

産業活性課長

 国では、全国からの申請を受けた特区の提案、これを例えばグリーンイノベーションやライフイノベーションあるいは観光立国、地域活性化といった六つのカテゴリーにまず分けまして、それぞれのカテゴリーごとに、書面による審査を行っております。この書面審査ですが、最初に内閣府の事務局及び分野ごとの専門家のグループによる一次評価が行われまして、それぞれの特区ごとに採点がなされております。次に、二次評価としまして、有識者で構成されます総合特別区域評価・調査検討会による総合評価が行われまして、かながわグリーンイノベーション地域活性化総合特区も受けましたけれども、三次評価となるヒアリングの対象の可否が決定されております。これら、一次、二次評価の結果を踏まえまして、ヒアリングの後、現在、国においては、年内予定というふうに聞いておりますが、最終的な指定対象の絞り込みを行っているものと思われます。

内田委員

 最終的な可否がこれから分かり、年内に発表ということで、現時点での全国の状況と本県の位置付け、どの程度評価されているのか、この辺のところをお伺いしたいと思います。

産業活性課長

 先ほど申し上げました六つのカテゴリー、ちょっと細かくなりますが、一つは、グリーンイノベーションの関係、これは24件の申請がなされております。二つ目は、ライフイノベーションのカテゴリーということで、これは16件、三つ目はアジア拠点化・国際物流12件、四つ目は観光立国・地域活性化関係が12件、もう一つ、観光立国・地域活性化の農林水産業分野14件、最後、六つ目が、まちづくりの関係が14件というふうになっておりまして、なお、複数分野に及ぶ提案がございますので、今申し上げた数字の合計は、先ほどの申請件数の77件とは一致してございませんが、本県のかながわグリーンイノベーション地域活性化総合特区は、冒頭申し上げましたグリーンイノベーションのカテゴリーに位置付けられております。

 採点でございますが、一次評価、二次評価の結果、事務局の採点と専門家グループによる採点の合計によりまして、まずそれぞれの提案が1から4までのランクに分けられております。その結果が11月に公表されておりますが、それを見ますと、本県の得点でございますが、20点満点中15点ということで、グリーンイノベーションのカテゴリーの中で、第4位、4番目という位置付けでございます。

内田委員

 24件の中で4番目ということは、まあまあ健闘している方かと思います。20点満点で15点、5点足りないのがちょっとあれですけれども、4番目ということで、その1番、2番、3番というのはどこなのかということと、かながわグリーンイノベーション地域活性化総合特区のライバルというか、ライバルというと言葉は語弊がありますけれども、どのような申請なのかというのを手短にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

産業活性課長

 正に、かながわグリーンイノベーションよりも上位の1位、2位、3位がライバルということになるかと思いますので、その三つの特区の申請の概要について触れながら、順次御説明させていただきます。

 一つ目は、グリーンイノベーションのカテゴリーで最高得点の16.5点を獲得したものでございますが、愛知県豊田市の次世代エネルギー・モビリティ創造特区という取組でございます。この特区は、豊田市全域を対象としまして、スマートハウスの普及などのエネルギーの地産地消モデルの構築であるとか、あるいは次世代型の燃料電池バスシステムの導入といった安全、快適なモビリティライフの実現を通じた産業の振興を図るという構想であります。

 このカテゴリーの第2位が、15.875点という点数を獲得したのが、兵庫県と淡路島を構成する洲本市、南あわじ市及び淡路市が共同提案しております、あわじ環境未来島特区であります。この特区は、淡路島全域を対象としまして、太陽光発電であるとかバイオマス、風力、そして鳴門海峡の潮流発電など、多様なエネルギーの創出や、淡路島の基幹産業であります、農と食の人材育成の拠点の形成などによりまして、淡路島全域をエネルギー及び食と暮らしが持続する社会づくりを目指すという構想であります。

 第3位が、15.25点を獲得しております千葉県の柏市と三井不動産など民間機関が共同提案しました柏の葉キャンパス公民学連携による自律した都市経営特区であります。これは、平成17年に開通されましたつくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅という新しい駅があるんですが、その周辺のまちづくりを進める中で、都市経営、地域エネルギー、地域の健康、介護といった多くの都市が抱えている共通の課題に対しまして、行政の公、民間の民、大学などの学といった、公民学が連携しまして先駆的な取組を行うことにより、自律した都市経営のモデルを構築する、そういった構想でございます。

 このように、いずれの特区につきましても、エネルギーというのを大きな柱の一つとしつつ、それぞれに個性を持った構想となっております。

内田委員

 こういった国の提案募集というのも、それで通れば、国から少し支援金も出るし、我々神奈川県としては、地域を発展させるためにはそういった資金も必要ですから、できるだけ通ってほしいという思いがありますけれども、この特区が指定されることが今月決まるわけですが、本県の指定に向けた見通しというのは何かあるんでしょうか。

商工労働局企画調整課長

 今回の第1回の指定につきましては、全体で何件程度指定されるのか、また同じカテゴリーの中で何件の指定がなされるのかなどにつきましては、今の時点では、国からは全く情報がない状態であります。今年の8月15日に閣議決定されました総合特区の基本方針によりますと、特区制度の円滑な導入を図るため、特に初年度においては絞り込んで指定を行うということとされております。そういったことから、今回、第1回目の指定に当たっては特に厳しい競争が予想されております。

 そんな中で本県のポジションでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、一次、二次評価の評価点でいきますと、グリーンイノベーションのカテゴリーにおきまして、上から4番目、4位ということで、仮に国が六つのカテゴリーでバランスよく指定するということになると、なかなか厳しいのかというふうに考えております。

 こうした状況を勘案しますと、今回、指定されるかどうかにつきましては、全く予断を許さない状況にあるというのが正直なところでございまして、近々にあるかと思いますが、そうした国の指定の状況を注視してまいりたいと、そのように考えております。

内田委員

 最後に、それでは、もし万が一、残念ながら指定されなかった場合、こういったことも対応を考えておかなくてはならないと思いますし、商工労働局がこれから発展させるためにできることを考えておかなくてはならないと思いますが、残念ながら指定されなかった場合のことの対応というのは何か考えていらっしゃるんでしょうか。

商工労働局企画調整課長

 残念ながらという結果になった場合には、指定の受付が今回だけということではなく、第2回、3回目で指定の受付があります。時期はまだ公表されておりませんが、今回、指定がなされなかった場合には、どこがいけなかったか、そういう情報も入ってくる、国から通知があるというふうに聞いておりますので、その連絡を受けて、私どものかながわグリーンイノベーション地域活性化総合特区の見直しを行いまして、よりバージョンアップした上で、次の申請の機会に申請していくと、そういうことになります。

内田委員

 要望いたします。全国を並べてみた場合、神奈川県が何を売りにしているのか、兵庫の淡路島の未来島というのは、何かイメージ、絵が浮かびますよね。その中で神奈川県が、スマートエネルギー構想とかいろいろいっていますけれども、全国規模で見た場合、アピール度というのか、そういうのが、私どもは当事者ですからよく分かっていますけれども、全然関係ない神奈川県以外の人たちにぱっと言ったときに、神奈川県がそれで強くアピールしていけるのかどうかというと、そこは弱いところかと思うんですね。ですから、万が一駄目だった場合でも、今回で弱気にならず、2回目3回目と指定に向けてとにかく頑張っていただき、万が一駄目だったときのことも考えておいていただきたいと要望いたします。

齋藤(健)委員

 私の方からは、次期総合計画について、今回御報告いただいた中に関連して、数点お伺いしたいというふうに考えています。

 かながわグランドデザイン(仮称)基本構想編で素案と、それから実施計画編それぞれについて、全体像と、それから商工労働に関わるところについて、具体的な御説明をいただいたところです。27ということで、今度の総合計画は全体の本数を絞り込んで、重点的にしっかりと取り組んでいこうという趣旨だろうと思っておりますが、27の中で直接商工労働に関わるところが五つだろうというふうに思います。それから、間接的に商工労働に関わる、各部局またがってというところもありますので、全プロジェクトの中でも商工労働が占める割合が非常に大きいのかというように感じております。

 一つ一つを拝見させていただくと、非常にコンパクトにまとめられている中にあって、神奈川全体の経済状況、神奈川の環境に合わせた商工労働局が本当に重点的に取り組まなければいけない施策が、コンパクトで簡素でありながらもしっかり盛り込まれているという意味で、大変御努力されているということをまず申し上げておきたいというように思います。

 一つだけなんですが、私が感じた、皆様のお考えを是非伺いたいというところは、各プロジェクトの中で示されている目標がございます。これは、これまでの松沢県政における総合計画においても、総計審などで非常に多様な意見が出ておりました。その中で課題とされているところの幾つかも反映されているというようなところも感じるところであります。

 今回、直接、商工労働局に関係するところというと五つあるわけで、分かる範囲で十分結構でございますので、少し教えていただきたいというふうに思うんです。例えば、プロジェクト23番、神奈川発の独創的な技術の開発件数が、現在70件程度だというところ、これを3年間で100件にまで増やすということです。たしか総計審の中の議論でもあったかというふうに思うんですけれども、企業の誘致件数だったり、それからこうした技術の開発件数そのものを増やすというのは、もちろん悪いことではない、良いことだ。ただ、その開発した件数が実際にどのように中小企業の中で生かされて、それが神奈川における技術の発展というんでしょうか、実際の商品に結び付いて、市民生活、県民生活に資するような形でプラスになっているのかという、そういうところまで見える必要があるのではないのかというのがあった。

 例えば、企業の誘致件数で今回具体に出ているのは、プロジェクト2のエネルギー関連企業の誘致件数を5から18ということで、3倍以上にしようということだったり、あるいはプロジェクト25で外国企業の誘致件数を42件から55件と件数を増やす。もちろん高い目標を掲げているわけですけれども、外国企業についても、今まで誘致した企業が今なお活躍しているのかどうかというところが見えなかったり、それらの企業が、今、神奈川県においてどういう貢献をしていただいているんだろうか、そうしたことを踏まえて、今後の件数がどうして55件というところにまで設定されているのかというのが見えない。あるいは、エネルギー関連企業についても、もちろん黒岩県政の中心の柱ですから、誘致件数を増やしていかなければいけないというのは当然なんでしょうけれども、どういう根拠で18という数字が出てきているのか。

 そこら辺のところが、目標を掲げるのが私は悪いという趣旨で伺うわけではなくて、意味するところが、これを見た方が、目標というのを27に絞ってしまっている中での、それぞれ一つずつしか出ていない目標ですから、ものすごく重たい、非常に重たい目標であるという気がするんですね。その反面で、神奈川県政においての商工労働局の数字として掲げる総合計画における具体の数字の目標として、これが果たして本当に代表する目標なのかどうかというところが、私も、そのとおりですというふうに県民に説明する自信が今はなかなかないんですね。そこの考え方を伺いたいというように、ちょっと幅の広い聞き方になっているんですけれども、どういう考え方で今回こういう数字を設定して、前回までの総合計画における様々な反省点や考えがあったというふうに、内部、外部、いろいろな意見があったというふうに、それらの意見を踏まえた中で、どういうことでこの数字が今回出てきたのかということを教えていただければと思います。

商工労働局企画調整課長

 今回のグランドデザインのプロジェクトの目標の設定の考え方でございますけれども、まずやはり総合計画を着実に推進してまいりますためには、県民の方が変化を実感できるような目標を掲げ、その達成に向けて県民総力戦で取り組んでいくということが必要と考えてございます。そうした意味で、新たな実施計画につきましては、プロジェクトごとに取組の成果の示す数値目標を設定するということにしたところでございます。

 具体的には、これまでの評価結果あるいは総計審での議論を踏まえまして、県としての取組の成果が表れる、あるいは毎年度、実績数値が分かるもの、こういったようなことを基準にいたしまして選定するようにしている状況でございます。また、県民の皆さんから見て、どうしてこの目標を選んだのかというようなこと、また今御覧いただいております資料の下の方にも、プロジェクトの目標設定の理由等を若干書かせていただいてございますが、そういったものを中心に整理させていただいているという考え方でございます。

齋藤(健)委員

 それはそのとおりであるというふうに思うんですが、あえて私が伺ったのは、直接関連するところでいうと目標は五つになっているわけですね。先ほど申し上げたように、エネルギー関連産業でいうと誘致件数を18にする、入れ込み観光客数のプロジェクト17のところでいうと、1億7,600万、神奈川県を訪問する観光客数の単年度の数字は現状よりも200万人増加させるということであったり、それから23番のところでいうと、独創的技術の開発の件数を100件にする。プロジェクト24でいうと、職業技術校生の修了1年後の就職率を85.2%から2.8%高めて88%にする。25の方でいうと、外国企業の誘致件数を42件から55件に13件増やす。

 これが、この3年間の商工労働局の総合計画という意味では、最大の目標だということなのかどうかというのが、私には、やや疑問という気がするんですね。そこは、多分、県民の方も、なぜこういう数字が出てくるんだろうというところが分かりにくいと思うんです。現状についての、非常にコンパクトな中でこれだけのことを書かなければいけないですから、限界があるわけですけれども、これまでがどうだったのかというところについての分析みたいなものも、やや見えにくいかという印象がありますし、目標とする数字が一体何を意味しているんだろうかというのが見えないと思うんですよね。

 皆さんは専門家だから、あらゆるいろいろな数字が頭に入った中での分かりやすい数字だというふうに出されているんだろうけれども、これは、神奈川県民が商工労働行政の目標だというには、非常に難しい目標、分かりにくい目標だという気がします。御所見を伺えますか。

商工労働局企画調整課長

 今、委員からお話がございますように、私どもとしては、いろいろ練りに練った中で、ではこれを目標という形で整理させていただいた部分でございますが、確かに初めてぱっと御覧になったときに、なぜこれが、これまではどうだったのかといったようなことにつきましては、そこまで十分には詳しく書かせていただいてございませんので、お分かりいただきにくい部分があるというのは、確かに御指摘いただいているとおりだと思います。

 そういった意味で、私ども、これからこれをつくり込んでいく中で、この中身について、なぜこういうことを選んでいるのか、なぜこの数値、これだけを目的に掲げているのか、ここまでもというようなこと、そういったことを丁寧に御説明させていただかなければいけない。その理由、それから掲げた目標、こういったものについても、今後も、もちろん議会への御報告もそうです、御説明させていただきたいというふうに考えてございます。

齋藤(健)委員

 これ以上は堂々巡りになってしまうので控えますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、例えば技術の開発件数であれば、件数そのものが重要、実質的には件数が増えることが重要だと。それが実際にどういう商品に結び付いて、神奈川県における経済の発展にどうつながっているのかというところの方が本当の目標なのかというふうに思いますし、企業の誘致も、件数も少ないより多い方がいい、ただ多いというだけではなくて、その企業が潰れてしまってはしようがないのであって、実績を出してしっかり経済の発展につながるような形で誘致した、エネルギー関連産業でも、あるいは外国企業もそうですし、誘致しっ放しということは、もちろん皆さんはされていませんけれども、誘致していただいた中で、それらの企業が実際にどう活躍しているのか、あるいはこれからどういう形で神奈川の経済の発展に資するのかというようなところが本当の目標だろうというふうに思うんですね。

 職業技術校生の就職率も、88%よりは100%がいいわけで、本当は何で100%じゃないんだろうというふうに思う県民が多いと思うんだけれども、現実にはなかなかそうはいかない中での具体的な現実的な数字を掲げているんだというように思うですけれども、本来は、税を投入して、そうした職業技術校を運営する以上は、全員しっかり就職していただいて、神奈川県の中でしっかりとした雇用の場があって、仕事してほしいというようなことが本来の目標だというふうに思いますから、そこら辺を見据えた少し丁寧な何かフォローが必要なのかと。

 恐らく、絞った総合計画をこれから、知事の任期もちょうど丸3年間という形ですけれども、様々な機会でプロセスの検証と最終的な検証をする中でも、評価の内容であったり、同じようなことが恐らく議論として出てくるだろうというふうに思いますので、是非そうしたことも踏まえた中で、年度内の最終的な作成に向けて取り組んでいただきたいということを申し述べさせていただきます。

 

(日程第1及び所管事項について質疑を打ち切り)

 

5 日程第1について採決

6 日程第2閉会中における調査事件

  当委員会の付議事件については議会閉会中調査を継続すべきものと決定

7 審査結果報告書等の案文委員長一任

8 意見書案等の提案確認

  提案なし

9 閉  会