平成24年 第二回 定例会 - 0625日−10

平成24年 第二回 定例会

◆《本会議録-平成24年第2回-20120625-027178-質問・答弁-内田みほこ議員-一般質問@孤立死・孤独死を防ぐための見守り対策についてAペットをめぐる諸問題についてB芸術・文化・歴史等の総合的な文化振興を踏まえた地域活性化についてC本県の観光振興策の成果と今後の取組についてD歯と口腔の健康についてE高速横浜環状北線及び北西線について》

   〔議会局長報告〕

  出席議員 議長共100

議長(竹内英明) ただいまから、本日の会議を開きます。

議長(竹内英明) 審議を行います。

  日程第1、定県第53号議案 平成24年度神奈川県一般会計補正予算外6件を議題といたします。

  これより質問並びに質疑を行います。

  質問の通告がありますので、順次発言を許します。

  内田みほこさん。

〔内田みほこ議員登壇〕(拍手)

内田みほこ議員 皆さん、おはようございます。

  私は、前定例会に引き続き、身近にある課題の解決に向けて質問いたします。

  県民が将来、不安のないよう、あらゆるサービス向上に向けて我々も前進あるのみです。特に都市生活に大きな影を落としている孤独死問題を初め、ペットをめぐる諸課題、県民の誰もが気になるであろう歯と口腔の健康について、そして日頃の渋滞緩和や災害時にも重要な道路網について、将来に向けての観光施策と、私自身が初当選した頃の初心に戻り、ごく素直な気持ちで質問に臨む所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

  質問の第1は、孤独死・孤立死を防ぐための見守り対策についてです。

  本県は平成27年には県人口の4人に1人が高齢者となり、あらゆる対応が求められます。私の母は今月6日に喜寿を迎え、気丈なひとり暮らしをしていますが、将来、私も介護の困難が待ち受けているかもしれないと考えると不安ですし、私自身も年老いたときのことを考えてしまいます。実際、老老介護の悲惨な報道は後を絶ちませんが、高齢になって不安な世の中というのは、ほかの世代にも影響するからこそ充実してほしいという県民の声が上がるのもやむを得ないことです。

  23年度の県の孤独死防止対策調査によると、孤独死を身近な問題と感じるかという問いには62%の方が身近な問題と感じ、男性のひとり暮らしの高齢者では66%と特に高率でした。今後受けたいサービスについては緊急時に自分で操作する通報装置が27%と最も多く、次いで訪問による会話や相談が17%、センサー等を利用した自動通報装置が14%、そのほか電話による会話や相談、緊急連絡先の保管、家事援助に伴う見守り、緊急時に備えた鍵の預かり、ごみ出しの手助け、交流の場、配食サービスなどの回答がありました。さまざまな価値観が交錯する中で、行政としてどのようなことが可能で、実効的な取り組みとは何かを洗い出し、さきにあった回答のように実際に望まれている取り組みについて、どこまで市町村とともに実現、展開できるかが大切です。また、見守り対策についても、よりきめ細やかな対応が求められてくると考えます。

  こうした中、このたび、神奈川県LPガス協会が県の孤立死・孤独死対策に協力するとのことで、今後期待したいところです。この見守り活動については、さきの我が党の代表質問においても知事からご答弁をいただいたところです。ライフラインの事業者、新聞配達店、飲料メーカー等の団体・企業へのアプローチ、NPOとの連携についても進めていただきたいと思います。

  しかし、こうした見守り活動を実際に行うこととなる検針員等の民間事業者の方々は、もともとは本来の業務で個人宅を訪問しており、見守り活動のためだけで訪問しているわけではありません。そのため、業務の最中に孤独死や孤立死のおそれがある世帯を個人宅の外部から把握することは難しいのではないか、また、仮に異変を察知したとしても通報すべきか否か、その判断にも迷われ、時として、住民とのトラブルを恐れて通報しないことを選択される、そのようなことも危惧されるところです。

  そこで、保健福祉局長に伺います。

  今回、神奈川県LPガス協会が県との協定に基づき、地域見守り活動を実施するに当たり、検針員等が個人宅を訪問して異変を察知し、適切に市町村等へ通報できるようにどのような取り組みを行ったのか伺います。また、今後、民間事業者が地域見守り活動に一層協力しやすくするために、県はどのように取り組んでいこうとしているのか、あわせて伺います。

  質問の第2は、ペットをめぐる諸問題についてです。

  まず、ペットの災害時対策について伺います。

  昨年は東日本大地震が発生し、ペットをめぐる問題はさらに顕著となりました。県民の生活や価値観が変化する中、家族の一員として犬や猫とともに暮らす方がふえ、震災等の発生直後のことを心配する声が以前にも増しています。

  ペットを連れて避難する方も多いことが想定されますが、地域防災拠点は多くの被災者が避難生活を送る場です。犬や猫を保管するケージの備蓄や屋外にペットの避難場所を設けた場合のテントの貸し出し等、ルールづくりや平常時から対策を講じておくなど、各地域防災拠点の実情に応じたペット対策が必要です。

  行政が住民に対し避難勧告を発令する以上、避難対象の住民が飼育している動物をどうするのかについて明快な見解を出すべきです。やはり災害時には人命が優先されるため、いかに飼い主が家族同様と主張したとしても、避難所に入れる人数に限度ある中では、ペットもと言っても理解を得られないことが考えられます。

  東日本大震災でも、ペットについてはボランティアが到着するまでは放置され続けるケースもありました。ペット同伴避難の問題は個人の努力だけでは解決できず、国や自治体主導の対策が不可欠です。

  ペットの避難について、ペット総合研究所のアンケートによれば、災害が起きたとき、ペットを家に残して避難するしかないので、それが不安といった声や、避難所はペット可と言われたが、迷惑をかけないか不安、もし避難所生活になったとき、どこに預けたらいいのか、災害に遭ったとき、ペットのことを考える余裕があるか不安、ペットも家族の一員なので、もし災害に遭ったとき、犬を手放してくださいと言われるのが嫌なので、犬用の避難場所をつくってほしいといったような切実な声もありました。また、行政としてペットの避難場所を設けてほしいし、情報も流してほしい、今回の震災でもペット連れで避難ができず、つらい思いをされている方々がたくさんいると聞いている。いざとなったときに地方行政や政府は何もしてくれないのかといった意見もあったそうです。

  そして、最も多かったのはやはり避難所へのペットの同伴についてです。受け入れ態勢が不明確な中で、混乱を心配する声が多く聞かれました。私は神奈川県議会議員就任後初めて行った平成1912月議会の本会議質問でペットの災害時対策、特に救護策について質問し、当時の松沢知事の答弁により、災害により負傷した動物や所有者が不明となった動物の保護体制や、発災時における獣医師会や動物愛護団体との連携等については一定の評価をいたしましたし、さらに充実を望んでおります。そして、それから5年が経過し、その間に東日本大震災があり、災害時のペットに関する県民の関心も大きく変化したことと思います。

  そこで、保健福祉局長に伺います。

  災害発生時のペットへの対応について、県地域防災計画への位置づけを含め、県としてどのような対策をとっているのか伺います。また、より具体の取り組みをどのように進め、実際に災害が起こった場合にはどのようなことを想定して準備しているのか、あわせて伺います。

  次に、ペットの殺処分ゼロに向けた対策について伺います。

  日本は使い捨て社会の名残が残り、ごみ問題や食べ物の大量廃棄処分などの課題が山積しています。そして、まるで物のように扱われ、処分されているのがペットたちです。日本での行政施設での殺処分数は年間、犬が約5万頭、猫が約15万頭です。環境省が平成13年に実施したペット動物流通販売実態調査では、年間に生産されたとされる推定9万7,000頭の犬及び猫のうち流通に乗るのは約91%の8万8,900頭、飼い主によって買われていくのは7万7,000頭で、その差となる頭数は病死したり、繁殖用として確保され、機能が衰えると殺処分されることもあると聞いております。

  利益を優先させ、犬や猫は供給過多であり、市場規模1兆円ということで日本のペットブームは衰えを知りません。しかし、その陰で、ペットの命が脅かされているのも事実であり、血税によって年間20万頭のペットが行政で処分されているのです。ちょうど本年6月1日から動物愛護管理法の政省令の一部改正により、犬や猫の夜間展示が禁止され、また会場を設けての競りあっせんや、有償で動物を譲り受けて飼育を行う事業者は動物取扱業の登録が必要になるなど、新しい条件も追加されました。

  しかし、インターネットの売買に関しては対象となっておらず、ボタン一つで安易にペットを買って、後にトラブルになるケースも多く、今後、国にはネットでの売買を禁ずるなどの対策を講じてほしいと思います。

  さて、ペットは人間の家庭に迎えられ、幸せな生涯を過ごすことが理想的ですが、中には、店に陳列された後、繁殖業者や実験施設に送られるケースや、一度は人間の家庭に迎えられながら、飼い主の引っ越し等の都合や病気などが理由で行政機関に引き取られる場合も多くあります。

  本県の動物保護センターでは、ボランティアや関係機関の努力もあり、平成23年度は引き取った犬の84%がもとの飼い主のところに戻ったり、新しい飼い主に引き取られているそうですが、昨年、殺処分された犬猫などの動物は3,349頭で、決してゼロではありません。

  一方、動物を養うのはお金もかかることで、家計に不安があるなら最初から飼わない等の啓発や、20年以上と長生きすることもあること、動物との相性や適性もあるので、不安があるなら飼わないことを促すことも肝心です。また、ペットを飼うときに登録制にするなど、国の法改正も順次求められると考えます。

  収容施設については、以前見に行きましたが、本県では犬は2110月を最後に炭酸ガスによる殺処分を行っていないということで、少し安堵はいたしました。しかしながら、私は殺処分自体を限りなくゼロにしていくべきと思います。ドイツなどでは国の法律によって殺処分はなされず、かわりに地元民間企業などの支援や寄附で居心地のよいシェルターが国全体に点在しています。

  そこで、保健福祉局長にお伺いいたします。

  不幸な命をふやさないために、不妊手術の助成制度を設けている市町村もあると聞いておりますが、殺処分ゼロに向けて、県としてどのように対応しているのか伺います。また、今後の取り組みについてもあわせて伺います。

  次に、外来種のペットと生態系の保全について伺います。

  神奈川新聞によると、川崎市の多摩川河川敷で5月に甲羅の長さ約30センチのワニガメが発見され、また多摩川に遺棄された外来種を一時的に保管するおさかなポスト創設者の山崎充哲さんの話では、カミツキガメは2003年頃から年に10匹以上、多摩川で見つかっているとのことです。

  カミツキガメの原産地は北アメリカなどで、生態系に影響を与えるとして特定外来生物に指定されており、また原産地がアメリカのワニガメは人に危害を及ぼすおそれがあるとして特定動物に指定されています。特定外来生物は飼育が原則禁止されており、特定動物を飼育する場合は自治体などの許可が必要とのことです。カミツキガメとワニガメはいずれもかむ力が強く、大きいカメなら人の指も食いちぎるといいます。多くは飼っていたものが捨てられたと見られ、カメはむしろ被害者とも言えます。

  多摩川は流域にペットショップも多く、遺棄される数は日本一ではと推測されています。5月下旬にはアフリカに生息し、約4億年前にあらわれたとされる生きた化石と言われる魚類のポリプテルスも見つかりました。日本にもともといない外来種は年数を追うごとに生態系を乱し、在来の動植物に影響を与え、環境を悪化させます。県内には、哺乳類のみならず、爬虫類・魚類・鳥類など多くの特定外来生物が生息し、植物も同様で外来種の繁殖や繁茂の勢いはとどまるところを知りません。

  特に、本県では、三浦半島を中心にペットとして飼われていたアライグマやタイワンリスが繁殖して生態系を壊す事態を招いており、さらに今や農作物を荒らす悪者にまでなってしまっています。

  そこで、環境農政局長にお伺いいたします。

  ペットとして飼われてきた外来種のアライグマやタイワンリスなどが生態系を脅かす事態に対して、県はどのように認識し、今後どのように対応していこうと考えているのか見解をお伺いいたします。

  質問の第3は、芸術・文化・歴史等の総合的な文化振興を踏まえた地域活性化についてです。

  今、鎌倉を中心とする歴史的遺産を武家の古都・鎌倉として世界遺産に登録しようと関係の皆さんが努力しています。神奈川の歴史や風土の中で培われてきた伝統的な文化芸術をしっかりと保存し、継承し、発展させていくことは神奈川のよさを大切にする気持ちを育て、人と人とのきずなを深めることにつながると思います。

  私たちの周りを見回してみれば、神奈川にはこうした古くからの歴史的遺産に加え、ペリー来航以来、西洋文化受け入れの窓口となり、吹奏楽や劇場を初め、日本の近代文化を牽引してきた歴史もあります。さらには、豊かな自然に恵まれ、保養地や観光地が発達したことから神奈川ゆかりの作家も多く、文学作品も多く書かれています。

  これらの音楽、演劇、文学、美術といった芸術や茶道、華道、書道といった生活に係る文化は私たちの暮らしに潤いを与えるだけでなく、心を癒し、明日への元気を与えてくれます。東日本大震災後、復興に向けさまざまな取り組みが行われていますが、その中で文化芸術の持つこうした力が改めて見直されているところです。

  こうした中で、去る5月26日に黒岩知事を本部長とする県緊急財政対策本部の外部有識者会議において、県有施設107施設については今後3年間で原則廃止する方向性が打ち出されたことは、効率性や経済性だけでは語ることのできない県民の暮らしや文化を守る県の役割をみずから否定するような動きとなってしまうのではないかと私としては強い危惧を持っております。

  たとえ経済状況や財政環境が厳しい中にあっても、あしたの県民の心豊かな暮らしのために文化芸術にも力を注いでいくべきであると思いますし、さらに一歩進めて文化芸術の振興を経済活動につなげていくことも重要です。歴史的遺産や文化資源を活用した地域の魅力の向上やにぎわいづくりは、知事の唱える神奈川のマグネット力を高めることにもつながると考えます。

  昨年1月に、ここ開港の地、横浜にオープンした神奈川芸術劇場KAATは、神奈川の文化芸術の広域拠点として、演劇等の鑑賞機会の提供だけでなく、まちづくりも目指すこととしており、本年度はKAATなど県の施設を中心とした文化資源や観光資源を活用して、横浜市中区から西区の地域のにぎわいづくりに取り組む文化資源活用地域活性化事業を行うことと承知しております。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  この文化資源活用地域活性化事業の目指すところは何かを伺います。また、今後どのような取り組みを行っていくのか、知事の見解をあわせてお伺いいたします。

  質問の第4は、本県の観光振興策の成果と今後の取り組みについてです。

  我が国では人口減少社会の到来が現実のものとなり、また長引く景気の低迷により、地域の活力向上が大きな課題となっております。このような中、観光は多くの観光客が地域を訪れることで、観光消費を通じて地域に経済波及効果をもたらすとともに、人々の地域への愛着や理解を深め、生活に潤いをもたらすものであることから、各地で地域活性化の切り札としての取り組みが定着してきています。

  国においては、平成19年1月に観光立国推進基本法が施行され、さらに平成2010月には観光庁が設置され、平成22年6月に閣議決定された新成長戦略に観光立国・地域活性化戦略が位置づけられるなど、観光振興の取り組みの強化が進められてきております。

  一方、本県では観光振興の推進に向けて平成20年4月に観光室が設置され、さらに平成22年4月には観光課に格上げされ、本県としても観光に取り組む姿勢を組織としても強く打ち出してきたと言えるでしょう。

  この間、県は民間事業者と一体となった共同観光キャンペーンや京浜臨海部の産業観光の推進、海外観光プロモーションなど、さまざまな観光振興施策に取り組んできたことと承知しております。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  このような組織強化や観光振興の取り組みの結果、どのような成果があったのか、課題は何なのかをお伺いいたします。そして、これらを踏まえ、今後どのように観光振興に臨むのか、あわせてお伺いいたします。

  質問の第5は、歯と口腔の健康についてです。

  私は先月、総合病院の口腔外科に飛び込み、みずから歯が命を体験したわけです。このように歯や口腔は単に食べることにとどまらず、話す、笑うなど言葉や表情にも影響します。目下、私の住む青葉区では、来たる7月1日に区民1,200名を集めて、お口の健康フォーラムが開かれる予定です。

  近年、歯と口腔の健康と、肥満や糖尿病など生活習慣病との関連が注目され、口腔機能の維持向上についても重要視されています。「神奈川県歯及び口腔の健康づくり推進条例」施行から7月1日でちょうど1年がたとうとしていますが、ここで県の取組状況を確認しておきたいと思います。

  また、歯及び口腔の健康づくりとは、歯、歯周組織等の健康を保持増進し、口腔機能を維持することをいいますが、歯周疾患の罹患状況を見ると、成人の約8割の78.2%が歯周疾患にかかっております。進行した歯周疾患にかかっている人は55歳以降で40%台です。また、平均寿命と健康寿命の間には差があり、その問題を解決する鍵はやはり生活習慣病の予防であり、特に歯周病の原因菌が多くの全身疾患に関与していることが判明してきた現在、歯周病対策が健康寿命延伸の鍵でもあります。

  そこで、保健福祉局長にお伺いいたします。

  神奈川県歯及び口腔の健康づくり推進条例が施行されて1年が経過いたしますが、県はこれまでどのような取り組みを進めてきたのか、お伺いいたします。また、歯周疾患は、糖尿病など生活習慣病や高齢者の誤嚥性肺炎などに影響があるとの研究が報告されており、全身の健康のためには歯周疾患対策が重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。

  最後の質問は、高速横浜環状北線及び北西線についてです。

  さきの代表質問で、さがみ縦貫道路や新東名高速道路などで構成する幹線道路ネットワークの構築に向けた取り組みについて知事の考えを確認いたしました。県がこの幹線道路ネットワーク構築に取り組む中、横浜地域においても高速横浜環状北線の整備が首都高速道路株式会社により進められ、平成13年に構想された北西線についてもようやく24年度から新規に事業が開始されると公表されたところです。

  北西線は私の住む青葉区の東名高速道路の横浜青葉インターチェンジと第三京浜の港北インターチェンジをつなぐ高速道路であり、総事業費は約2,200億円で、首都高速道路株式会社と横浜市により事業が進められることとなっており、また北西線と港北インターチェンジで接続する北線は28年度の開通を目指して工事中と伺っております。

  現在、東名高速道路と横浜都心や横浜港とを結ぶ自動車専用道路は保土ヶ谷バイパス1本のみで、12時間で10万台の交通量があるため、日常的に渋滞が発生するなど、社会経済活動に支障を来しております。

  この北線及び北西線が整備されることにより、東名高速道路と横浜港との交通がスムーズになり、渋滞緩和を初め、経済の活性化など大いに期待を寄せております。とりわけ、国際コンテナ戦略港湾に選定された横浜港が上海などと対抗できる国際競争力を強化するためにも、横浜港と全国的な高速道路である東名高速道路とを円滑に結ぶことが急がれると考えます。

  さらには、東日本大震災でも幹線道路ネットワークが復旧・復興に貢献したように、防災上も大きな効果をもたらすと考えております。このように経済の活性化や交通渋滞の緩和、さらには防災面でも大きな効果を発揮する北線及び北西線の整備は、地元のみならず多くの方々が期待しているところです。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  高速横浜環状北線及び北西線に対する認識と、今後の県の取り組みについてお伺いいたします。

  以上です。

〔拍 手〕

〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕

議長(竹内英明) 黒岩知事。

〔知事(黒岩祐治)登壇〕

知事(黒岩祐治) 内田議員のご質問に順次お答えしてまいります。

  文化資源活用地域活性化事業についてお尋ねがありました。

  本事業の目指しているエンターテインメントによるにぎわいのまちづくり、いわゆるエンタメストリートですが、横浜市のキャッツシアターから神奈川芸術劇場にかけてのエリアには文化施設や芸術イベント、開港に関連した施設や景観、飲食街等の文化、観光資源が集積しています。

  本事業はそれらの資源を総合的に活用することによって、世界に発信する文化をつくることを目指しています。横浜市はこれまでこのエリアで毎年秋に実施されていますジャズプロムナードや3年に1度開催されている美術の祭典トリエンナーレ、今年のダンスフェスティバルなど、広報効果を高めるため、期間を限定したすばらしい取り組みを行って、都市のにぎわいづくりに大きく寄与しています。

  私は、ニューヨークのブロードウエーが世界のミュージカルの拠点であるように、県と横浜市が組んで、このエリアがエンターテインメントの楽しさを常に世界中に発信し、いつでも何か楽しいことをやっていて、常に人が集まるような場所にしたいと考えているところであります。

  そこで、そのための知恵やアイデアを自由に出し合っていく場として、私のほか横浜市長や学識者、イベンター、文化芸術団体、地域メディアの方々などを構成員とする話し合いのテーブルを設けました。テーブルでは、県と横浜市が連携して象徴的な事業に取り組むことの重要性が確認され、また民間の取り組みも含め、個別に発信されている芸術イベント情報を地域で総合化して、魅力的な形で提供することが鍵になると提起されました。現在その具体化に向け、ワーキングチームを設け、検討と準備を進めているところであります。

  次に、これまでの観光振興策の成果や今後の取り組みについてお尋ねがありました。

  豊かな観光資源に恵まれた本県にとって、観光の振興は地域経済発展の原動力であります。県では、これまで観光立県かながわの実現に向けて「観光振興条例」の制定や計画を策定し、あわせて観光振興を担当するセクションを順次強化してまいりました。

  こうした体制のもと、新たに産業観光や海上クルーズなど、神奈川ならではの資源を生かした取り組みや県域を超えた箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏など、広域的な施策を展開してきたところであります。これらの取り組みの結果、京浜工業地帯におけるナイトクルーズなどの産業観光が新たな観光のジャンルとして定着し、本県の大きな魅力の一つとなりました。

  また、県全体の観光客数は、東日本大震災による影響を除いて基本的に増加傾向を保つことができました。さらに、平成22年に観光事業者や関係団体、NPOなど観光に関わるさまざまな主体が一堂に会した観光立県かながわ推進連絡会議を設置し、初めてオール神奈川で観光振興を推進する体制が整いました。これらが成果であります。

  一方、多様化する観光ニーズに十分対応できていないことや周遊型の観光が少ないこと、さらに宿泊を伴う観光客が伸び悩んでいることなどが課題であります。また、羽田空港の国際化に伴い、外国人観光客にもっと神奈川に来ていただく努力が必要であります。

  そこで、今後、「かながわグランドデザイン」に位置づけた水のさとかながわづくりの水をテーマとした観光や、地域の資源を活用したにぎわい拠点づくりを市町村や関係団体と連携して進めてまいります。さらに、海外にも強力に発信できる横浜・鎌倉・箱根に次ぐ新たな観光の核づくりに全力で取り組み、観光立県かながわの実現を目指してまいります。

  最後に、高速横浜環状北線及び北西線についてのお尋ねがありました。

  北線及び北西線は東名高速道路や首都高速横羽線等を連絡し、横浜市北西部と臨海部との連絡を強化するとともに、川崎、東京、さらには東京湾アクアラインを介して千葉方面を結び、広域的な交流連携の期待できる首都圏にとっても重要な路線と認識しています。

  北線は平成28年度の完成に向けて、現在用地取得は9割を超え、トンネルなどの大規模工事が行われており、また北西線は平成33年度の完成を目指し、今年度から事業に着手されました。

  県では、県土の均衡ある発展を図るため、法人二税の超過課税も活用してこれらの建設事業に対して財政支援を行うとともに、政令市道路整備臨時交付金により、横浜市が行うアクセス道路等の事業にも助成を行っています。

  北線及び北西線の整備については、引き続き建設に対する支援を行うとともに、横浜市や経済団体などと連携し、私が会長を務める促進協議会を通じて国や高速道路会社に強く働きかけるなど、整備促進にしっかりと取り組んでまいります。

  私からの答弁は以上です。

〔保健福祉局長(菊池善信)発言の許可を求む〕

議長(竹内英明) 菊池保健福祉局長。

保健福祉局長(菊池善信) 保健福祉局関係についてお答えいたします。

  まず、孤立死・孤独死を防ぐための見守り対策についてです。

  今回、LPガス協会の販売店の方が見守り活動に協力いただくに当たっては、どのような場合に通報したらよいのかということが課題でございました。また、通報するときも、市町村によっては高齢者対策や障害者対策などの担当所管課が分かれている場合がありますので、協会からは通報先を一つにしてほしいとの要望が強く寄せられていたところです。

  そこで、県としてはLPガス協会や市町村と協議を重ね、個人情報保護に配慮した上で郵便受けや電力メーターの状況、呼びかけ時の反応など、外観で確認する通報基準や通報窓口を一つにした市町村の連絡先を記載したマニュアルを作成しました。

  また、事業者の方により積極的に通報していただくようにするためには、個人情報保護法による制約への対応が必要となります。これは本県だけの課題ではなく、さきに行われた九都県市首脳会議でも議論されたところです。九都県市では、今後、研究会を設け、国に対して個人情報保護のガイドラインの改善などを求めることとなっておりますので、本県としても積極的に参画していきます。

  協定に基づく見守り活動は緒についたばかりですが、今後、通報マニュアルの改善、個人情報保護問題への対応等々、民間事業者にご協力いただきやすい環境づくりに努め、地域での見守り活動がさらに充実できるよう市町村とともに取り組んでいきます。

  次に、ペットの災害時対策についてです。

  県内には多くのペットが飼育されており、大規模な災害が発生した場合を想定したペット対策は重要であると考えております。そこで、県は、平成9年度に県獣医師会や県内の獣医大学、動物愛護団体などの協力を得て、災害時の動物救護活動のためのマニュアルを作成し、災害発生時に対応するための体制を整えています。

  災害発生時には県の動物保護センター内に設置する神奈川県動物救護本部において連絡調整や物資調達、動物の救護活動等を行うこととしていますが、東日本大震災の経験を生かし、より実務的なマニュアルとするよう見直しを検討しているところです。

  一方で、東日本大震災を初め、各地で発生した災害を顧みますと、避難所におけるペット飼育についての問題が生じております。そこで、本年4月、県の「地域防災計画」を修正し、従来からのペット対策に追加して、市町村は必要に応じ、避難所におけるペットのためのスペースの確保に努める旨を盛り込んだところです。また、県は飼い主に対し、ふだんから備えておくべきこと等の普及啓発を行うこととしております。

  これに基づき、県はペットへの日頃のしつけや健康管理、ペット用品の備蓄、迷子札の装着の徹底などについてのリーフレットを作成し、市町村等と連携し、動物愛護イベントや防災訓練会場で配布することにより、普及啓発を図っております。

  引き続き市町村や県獣医師会等との連携を図りながら、飼い主への意識啓発を進めることにより、ペットの災害時対策の強化に努めてまいります。

  次に、ペットの殺処分ゼロに向けた対策についてです。

  県は人と動物の調和のとれた共生を目指し、動物の愛護や管理に関しての施策を総合的、体系的に進めるため、「神奈川県動物愛護管理推進計画」を策定しております。この計画において、動物の殺処分数の減少を数値指標の一つとして盛り込んでおり、動物を最後まで飼うことの大切さや不妊手術の必要性についての普及啓発等、さまざまな事業に取り組んでいるところです。

  具体的には、動物販売業者に対して、動物を販売する際には責任を持って最後まで飼うことを説明するよう指導しております。また、子供たちには幼児期から命の大切さを感じてもらうため、毎年2,600名ほどの幼稚園児や小学生を対象にふれあい教室や飼育体験教室を開催しております。さらに、県はやむを得ない理由により飼えなくなった動物を飼い主から引き取り、収容しておりますが、このような動物を一頭でも多く譲渡できるよう、ボランティアの方々の協力を得ながら取り組んでいるところです。

  計画では、平成20年度から平成29年度までの10年間で殺処分数を平成18年度実績の50%に減少させるという数値指標を設定しておりましたが、こうした取り組みにより、平成23年度には35%にまで減少することができました。

  今後とも市町村や関係団体と協働し、さまざまな事業を着実に推し進めることにより、殺処分数を減少させ、人と動物の調和のとれた共生社会が実現するようしっかりと取り組んでまいります。

  次に、歯と口腔の健康についてです。

  まず、「歯及び口腔の健康づくり推進条例」施行後の取り組みについてです。

  県は条例を円滑に推進するための体制整備として、学識経験者、関係機関、県民、市町村等で構成する協議会を設置し、県の取組状況等についてご意見をいただいております。

  また、条例の基本理念が歯及び口腔の健康づくりに県民みずからが取り組むものであることから、条例の県民への周知を目的に昨年11月に県民大会を県歯科医師会や県議会とともに開催し、県民、行政、関係団体が一体となって歯及び口腔の健康づくりを推進していくことを確認しました。

  さらに、80歳になっても自分の歯を20本以上保つための取り組み、いわゆる8020運動を県民と一体となって進めていくことを目的に、新たに8020運動推進員の養成事業を開始し、現在までに271名の推進員を養成したところです。

  また、歯科への通院が困難な高齢者等への口腔ケアを推進するため、県歯科医師会に対し、訪問歯科診療用自動車6台分の助成を行いました。

  次に、歯肉炎や歯槽膿漏など、成人が歯を失う大きな原因となっている歯周疾患への対策についてです。

  県は歯周疾患セルフチェック用リーフレットを配布するほか、保健福祉事務所の歯科医師や歯科衛生士が在宅で療養する高齢者や障害児等を訪問し、歯周疾患予防のための口腔ケアを実施しております。また、介護施設等の職員を対象に口腔ケア技術向上を目的とした研修会を開催しております。

  今後は協議会の意見を聞きながら、条例で策定が規定されている「歯及び口腔の健康づくり推進計画」の中で新たに目標を設定し、効果的な歯周疾患対策を推進してまいります。

  私からの答弁は以上です。

〔環境農政局長(中島正信)発言の許可を求む〕

議長(竹内英明) 中島環境農政局長。

環境農政局長(中島正信) 環境農政局関係についてお答えいたします。

  外来種のペットと生態系の保全についてでございます。

  ペットなどの目的で輸入飼育された外来種が野生化し、農作物被害や生態系に影響を与えております。本県でも多くの外来種が確認され、とくにアライグマとタイワンリスが分布域を広げております。

  生態系への具体的な影響といたしまして、例えばアライグマはタヌキなどの競合種の駆逐、鳥類の卵やひな、アカテガニなどの捕食、これによりまして在来生物の減少、またタイワンリスは樹皮をかじることで樹木を枯らすなど、神奈川の自然環境を損なう大きな脅威となっております。県では、生態系への影響が大きい外来種につきまして完全排除を目標といたしまして、まずは早急に個体数の減少と分布域の拡大抑制が必要と認識しております。

  そこで、外来種の輸入飼育などを規制する法律施行後の平成18年に広域的対応が必要なアライグマにつきまして、生活被害の軽減等を目的といたしました「神奈川県アライグマ防除実施計画」を策定し、防除の主体となる市町村と連携して取り組んでまいりました。その結果、近年、県内の生息数は3,000頭程度で推移をするなど、増加に一定の歯どめがかかりましたが、分布域の抑制には至っていない状況でございます。

  そのため、今後も市町村と連携いたしまして個体数の減少を図るとともに、分布域の拡大抑制にさらに力を入れてまいります。あわせまして、アライグマのように県域を超えて分布域が拡大する種にはより効果的、広域的な取り組みを進めるため、国に対して技術支援や財政負担などを求めてまいります。

  そして、外来種を入れない、捨てない、広げないことが何よりも大切なことから、市町村と協力し、県民の皆様へ被害の状況や生態系への影響などをお知らせするとともに、発見した場合の通報など協力をお願いしてまいります。

  私からの答弁は以上でございます。

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

議長(竹内英明) 内田みほこさん。

内田みほこ議員 知事、各局長におかれましては、ご答弁のほどありがとうございました。

  自席にて幾つか要望させていただきたいと思います。

  まず、孤立死・孤独死対策ですけれども、先日も戸塚区の県営団地で病気の妻と要支援の夫の二人が孤立死していたことが判明し、夫は餓死したそうですけれども、この場合は民生委員による見守りについては、そのケースではなかったとのことです。こうした事案が今後も何年間かふえ続けることが想定され、高齢者の夫婦のみならず、障害者を抱えた親御さんや、また増加傾向にある単身者世帯など、非常に身近なことになってきております。

  ぜひ県におかれましては、見守り対策の環境整備を着々と進めていただきたいと思います。特にスピード感、そしてきめ細やかさ、また柔軟な対応をよろしくお願いいたします。

  また、知りたい情報に対する調査について調べてみたところ、介護サービスや福祉サービスに関することが32%と最も多く、次いで特別養護老人ホームなどの入所施設に関することが20%、また年金、医療に関することが20%ということになっております。こうした知りたい情報についても県民は知りたがっている、またなかなか調べることができない方も多くいらっしゃると思いますので、こうした情報をぜひ積極的に啓発していっていただきたいと思います。

  次に、ペットの災害時対策についてですけれども、まだまだ県や市町村の対応について県民に対して余り浸透していない、どうなっているかわからないというのが現状なのです。決まったことについては、住民に早く知らせていくようにお願いいたします。

  また、都市部においてはペットを飼う人は多いですけれども、県内にはペットのほか、牛や豚や馬、それから鶏など、なりわいとして生活を営んでいる方もいらっしゃいます。こうした家畜についても災害時の対応を考えていただき、明記していただくことを求めたいと思います。

  次に、ペットの殺処分についてですけれども、今後、国のほうでもさらなる法改正が見られるとは思いますが、熊本市などでは殺処分数は10年前の10分の1まで減ってきて、非常に力を入れているということを伺っております。機運が高まったときには、ぜひ県としても取り組み強化を求めたいと思います。

  ドイツやイギリスなどではペットショップ自体余りないということで、非常に歴史的にもそういったペットに対することで命の大切さなどを子供たちに教えていると、そういうお国柄ですけれども、日本もそろそろそういうことも考えていっていいのではないかと私は思います。

  生態系の保全についてですけれども、さまざまなペットが遺棄されることで問題が生じておりますけれども、国の法律では遺棄したり、虐待したりすると罰金50万円以下ということになっておりますけれども、特に抑止力が感じられるというわけではないと思いますので、ぜひここら辺は神奈川県としても、里山の環境を守る観点や生態系の保全という観点から、神奈川版の規制についても視野に入れて考えていってほしいと思います。

  以上です。

議長(竹内英明) お諮りいたします。