平成24年  決算特別委員会

◎《委員会記録-平成24年第3回定-20121026-000003-決算特別委員会》
1 開  会
2 記録署名委員(山下・谷口の両委員)の決定
3 日程第1を議題
4 同上質疑

内田委員
 平成23年3月に発生しました東日本大震災では、地震や津波などにより、水道、電気、ガスのライフラインが長期的かつ広範囲に大きな被害を受けました。神奈川県においても、今後は東海地震をはじめ、神奈川県西部地震など、地震動の大きさが最大規模とされる南関東地震発生も指摘されております。
 平成22年7月に、私は県民企業常任委員会におりましたけれども、そのときにも、地震が起こる前でしたけれども、耐震化対策についてはるる質問させていただき、また、耐震継手管を作っている会社などに視察に行き、これまでも県営水道では災害に強い水道とするために、様々な取組を行っていることは承知しております。
 とりわけ今回の決算におきましては、耐震対策及び広域水道として欠かせない安定給水管理等の確保への取組について幾つか質問いたします。
 まず、県営水道が進めている耐震化促進事業について、何点か伺います。
 はじめに、県営水道の主要施策である耐震化促進事業の基本的な考え方について、改めて伺います。

水道施設課長
 耐震化促進事業でございますけれども、平成18年度から27年度までの県営水道事業経営計画の中で、災害や事故に強い水道づくりとして、今委員がおっしゃいましたように重要施策に位置付けて耐震化の向上を進めているものでございます。
 事業の基本的な考え方でございますが、老朽化しました管路を優先して耐震管と定義されております抜け出し防止機能を有した耐震継手管や溶接鋼管に更新いたしまして、耐震化を図るものでございます。
 また、浄水場や配水池など水道管以外の水道施設につきましては、阪神・淡路大震災の後、耐震診断を行いまして、発生の切迫性が指摘されております東海地震への対応はほぼ完了いたしまして、現在は県営水道給水区域内で想定される最大規模の地震に対する耐震診断を行っているところでございます。

内田委員
 平成22年7月に、県民企業常任委員会での企業庁の方の質問におきまして、その当時の計画部長により、平成21年度末で14%という県営水道の耐震化率を教えていただきました。今回、県営水道事業経営計画における耐震化促進事業の目標と進捗状況について伺いたいと思います。

水道施設課長
 事業の目標でございますけれども、経営計画の期間であります平成18年度から平成27年度までの10年間で、耐震管の延長を約800キロメートルから約1,500キロメートルまで増やす計画でございまして、給水区域内の配水管延長に対する耐震管の割合を9.5%から16.6%まで向上させようというものでございます。
 次に、進捗状況でございますけれども、平成23年度末における総配水管路の総延長は約9,100キロメートルとなっておりまして、このうち耐震管の延長が約1,410キロメートルでございますので、耐震化率は15.6%となっておりまして、順調に進捗しているものと考えています。

内田委員
 それでは、平成23年度の耐震管の布設延長と目標に対してどのようになったのか、お伺いします。

水道施設課長
 平成23年度の耐震化促進事業や老朽管更新事業によりまして、既設管の取替えが53.3キロメートル、水量水圧対策事業などによります新設管が25.9キロメートルでございまして、合わせまして79.2キロメートルの耐震管を布設しております。当初計画で見込みました平成23年度末の耐震化率、13.1%を2.5ポイント程度上回っておりまして、順調に進捗しているものと考えております。

内田委員
 13.1%ということで、少し上回っているということですが、耐震管以外の水道管というものは大丈夫なのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 耐震化率は、平成17年1月に策定されました水道事業ガイドラインに基づきまして、強い地震動に対して折れない、抜けない管を耐震管としておりますけれども、このガイドラインが策定される以前、これは耐震継手ではないダクタイル鋳鉄管、この管も折れないということから耐震性を有する管としておりまして、このダクタイル鋳鉄管を合わせますと、県営水道の地震に強い管の割合は、管路総延長の約85%となっております。

内田委員
 85%ということで、ダクタイル鋳鉄管につきましては、以前関西の会社の方に視察に行かせていただきまして、やはり地震が、大きな揺れが生じたとしても抜けにくいとか壊れにくいということがありますけれども、耐震化促進事業を進めていく上で、特にどのような点に重点を置いているのか、改めて伺います。

水道施設課長
 県営水道は厳しい財政状況でございますけれども、これに配慮しまして、耐震化の効果を最大限に発揮できるように、限りある予算を効率的に投資する必要があると考えております。
 そこで、東海地震の地震防災対策強化地域であります相模川下流の両岸、それと県西部を引き続き優先するとともに、広域避難場所、災害地医療拠点病院、それから主要駅等へ給水している配水管や、緊急輸送路に埋設されております配水管に重点を置きまして、耐震管への更新を図ってまいりたいと考えております。

内田委員
 耐震化促進事業では、基幹施設を対象に、県営水道の給水区域内で想定される最大規模の地震に対する耐震診断も行っているようですけれども、その耐震診断の内容について伺いたいと思います。

計画課長
 県営水道では、これまで東海地震を想定いたしました耐震化を図ってまいりましたが、平成20年3月に厚生労働省の省令が改正されまして、浄水場などの基幹施設につきましては、想定される最大規模の地震動に対応することが求められるようになりました。
 県営水道の給水区域では、東海地震は震度5弱から震度6弱であるのに対しまして、最大規模の地震動が想定されます南関東地震は震度6弱から震度7でございますので、南関東地震を想定した耐震化対策が必要になったものでございます。そのため、平成21年度から改めて耐震診断を実施しているところでございます。

内田委員
 これまでに実施した耐震診断の結果について伺います。

計画課長
 平成21年度につきましては、寒川浄水場と谷ケ原浄水場の耐震診断を、平成22年度からは配水池の耐震診断を実施しておりまして、2箇年で24箇所の配水池の診断を行いました。
 まず、寒川浄水場の経過でございますが、沈殿池、浄水池など5施設で耐震補強が必要と診断されました。また、谷ケ原浄水場につきましても、沈殿池、浄水池など11施設で耐震補強が必要と診断されております。配水池につきましては、24箇所のうち22箇所で耐震補強が必要と診断されております。

内田委員
 まだまだ耐震補強が必要という場所が多くあると思いますが、耐震診断の今後の予定、そしてこれまでの診断結果を受けまして、どのように対応していくのか伺いたいと思います。

計画課長
 まず、耐震診断の今後の予定でございますが、主要の配水池、ポンプ場などを対象としまして、平成27年度までで当面の診断を完了させたいと考えております。また、耐震診断後の対応でございますが、補強が必要と診断された施設につきましては順次補強工事を実施することとしておりますが、浄水場の耐震補強工事は、当初平成25年度に着手する予定でございましたが、1年前倒しして、今年度に着手したところでございます。
 浄水場は複数の施設で構成されておりまして、補強工事を行う際も、浄水場を全て停止させることができませんので、部分的に停止しながらの工事となります。そのため、浄水場の補強工事を完了させるまでには相当の期間を要しまして、寒川浄水場の補強工事が完了するのは平成29年度頃、谷ケ原浄水場は平成33年頃と見込んでおります。また、配水池につきましても、地震等の災害時において、水を貯留する役割を持った配水池など、配水池の運用上重要なものから優先して実施していきたいと考えております。そのような配水池の補強工事を行う際には、浄水場の工事で給水量が低下するなどのケースが考えられますので、それらの影響を考慮して施工時期を決める必要がございます。
 このように、水道施設の耐震補強工事には一定の期間がかかることが見込まれますが、水道水の供給に支障を来たさないよう、施工箇所を設定しまして、可能な限り早期に実施してまいりたいと考えております。

内田委員
 最後に、県営水道では東日本大震災が発生する以前から、先ほど申し上げましたように、また御答弁いただきましたように、耐震化対策を順次進められてきたのは十分承知しております。
 ここでいま一度、改めて確認したいのは、今までにない規模であった東日本大震災の前と後では、企業庁として耐震化についてより一層の配慮と特段の対策というものが求められることになったと思います。特に平成23年度はどのような点が大きく変わり、力を入れたのか具体的にお伺いいたしたいと思います。

計画課長
 昨年の東日本大震災では、東北地方の水道施設も大きな被害を受けていると承知してございます。それを受けました企業庁の耐震対策でございますが、先ほど申しましたように、水道施設につきましては、平成20年度に大きく耐震化の基準が変わりまして、それに伴いまして企業庁でも平成21年度から耐震対策の強化を図っていたところでございます。
 その中で、予定していた耐震化の予定箇所を、この地震を受けまして前倒しして着工を早めまして、早期に着工することによりまして耐震化機能を持つ施設をできるだけ早く増やしていこうと、そういう方針に基づきまして、浄水場、更には配水池の耐震補強工事を1年間前倒しして、今年度から開始しているところでございます。

内田委員
 事業の目的を達成するためには、多くの費用と期間が必要になりますけれども、地震災害に強く、また安定して水を供給し続けることは、県民のライフラインを守る水道事業の使命でもありますので、より高い目標を持って事業に取り組んでいただきたいと思います。
 また、今回、平成23年度決算におきまして御報告がございましたけれども、地震の応急体制の強化として2台の加圧式給水車が導入されました。そうしたことも必要ですし、本来の基盤整備を着々と進めていくことは非常に大切だと思いますので、より一層力を入れていただきたいと、強く要望を申し上げます。
 次に、県営水道も歴史を重ね、創設期から高度成長期に布設した古い水道管が多く残存していることは承知しております。これを計画的に更新し、安定給水の確保を図るという必要があると考えております。平成22年度年末に発生した茅ヶ崎市内の漏水でも、以前私の方で質問させていただきましたが、大口径で最も被害が大きかったと承知しております。
 平成23年度から着手している大口径老朽管の更新について伺いたいと思いますが、まず、大口径老朽管とはどのように定義されて位置付けされているのか、確認の意味で伺います。

水道施設課長
 県営水道では、神奈川県営水道事業経営計画の策定時に、昭和46年以前に布設しました、材質的に衝撃などの大きな力に対して構造的に弱い口径75ミリメートル以上の鋳鉄管、またこれと同時期に布設しました、鋼管をまず老朽管として位置付けたものでございます。この老朽管の中には、大口径老朽管が含まれておりまして、この大口径老朽管は配水系統全体に影響のある基幹的な管路でございます。口径が450ミリメートル以上の全ての管路、また、口径が450ミリメートル未満であっても、浄水場と配水池又は配水池と配水池をつなぐ送水機能を持った管路、送水管と呼んでいる管路ですが、これを大口径老朽管として位置付けているものでございます。

内田委員
 次に、大口径老朽管の延長が現時点においてどのくらいあるのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 大口径老朽管の残存延長でございますけれども、平成23年度末で約220キロメートルとなってございます。老朽管の残存延長が約1,400キロメートルでございますので、これに占める割合としましては約16%ということでございます。 

内田委員
 今、16%という数字をお伺いしました。平成22年7月の段階で私が質問したときに、水道施設課長より平成21年度末に19.5%まで改善したという御答弁を頂きました。今回が16%と少し進んでいるなという感はあります。
 平成23年度から着手したという更新事業の計画について伺いたいと思います。

水道施設課長
 老朽管更新事業は着々と進捗しておりますけれども、大口径の方は正に茅ヶ崎の漏水事故を受けまして着手したばかりでございまして、平成22年度末に茅ヶ崎市内で発生しました600ミリの漏水事故、あのように大口径管が漏水した場合には被害が非常に甚大になりまして、社会経済活動に及ぼす影響も大きいので、優先順位を定めまして着実かつ計画的に更新を行っていこうということでございまして、平成23年度から大口径老朽管の更新に着手しまして、平成27年度までの間に約17キロメートルを更新する計画で進めているところでございます。 

内田委員
 大口径の更新については、非常に費用がかかるということを承知しております。平成23年度の具体的な事業内容について伺いたいと思います。

水道施設課長
 まず更新対象の路線でございますけれども、湘南東送水管第1号と呼んでおります昭和34年から35年にかけまして寒川浄水場から藤沢、鎌倉方面へ送水を目的として布設されました口径1,100ミリメートルの鋼管、延長が約18キロメートルの管路でございます。このうち平成23年度は、25年度以降の工事実施に向けまして、測量、地質、設計業務委託を行いましたほかに、藤沢市内において工事の際に一時水道を止めるための仕切り弁の増設工事を行っております。
 次に、平成2212月に漏水事故が発生しました柳島支管と呼んでおります管路でございまして、昭和42年度から46年度に寒川浄水場から茅ヶ崎方面へ送水する目的で布設されました口径600ミリメートルの強度的に弱い鋳鉄管でございまして、約3.6キロメートルを更新する計画でございます。平成23年度は、漏水が発生いたしました部分を含めた約110メートルの更新を行ったものでございます。
 他には、北相送水管の愛川支管と呼んでおります口径600ミリメートルの管路を約240メートル更新しております。

内田委員
 いろいろ財政が厳しい中、こうした耐震対策にも関係する老朽管更新事業、特に大口径については、やはり手当をしないと甚大な被害を及ぼすということで、非常に難しいところであるんですけれども、大口径の老朽管の更新について、一体どのような課題があるのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 まず、大口径老朽管の更新につきましては、県営水道における管路としましては初めての大規模な水道施設の更新でありまして、多額の費用を要するという財政上の課題がございます。
 また、布設当時は住宅が密集していないところに大口径管を布設してきましたが、今では都市化が進みまして、下水道、ガス、NTTなど多くの占用物が道路に埋設されているために、布設替えをするスペースを確保しなければ更新できないなど、非常に難しい工法を余儀なくされることから、高い技術力での対応が必要となっております。
 さらに、大口径管は主要な管路でありますので、お客様の断水を回避しながら更新を行わなければならないことが課題となっております。 

内田委員
 課題についてはそういったいろいろなライフラインが混雑する中で工事を行わないといけないということで、大きな管になるとどんどん費用がかかると思いますし、大ざっぱに1メートル大体10万円ぐらいということで、大口径になるとそれ以上かかるということですよね。課題についてはそういったことで理解しましたけれども、県としてその対応はどのように考えているのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 大口径管の更新に当たりましては、将来の水需要を考慮いたしまして、水道管の口径を今までよりも小さくしたり、既設の水道管の中に新設管を布設する、パイプインパイプ工法と呼んでおりますけれども、これを採用するなど現場状況に応じまして最適な工法を検討いたしまして、コスト縮減に取り組んでいるところでございます。
 また、大口径管路の工事を手掛けました水道施設相互融通化整備事業で蓄積されました技術力を活用いたしまして、執行体制の強化、技術力の集約を図りまして、効率かつ着実に大口径老朽管の計画的な更新を行ってまいりたいと考えております。 

内田委員
 要望を申し上げたいと思いますが、将来にわたり県民へ安定して水を供給するため、基幹管路である大口径老朽管の更新の重要性を今回は改めて理解いたしました。財政状況が厳しい中、大変ではあると思いますけれども、大口径老朽管更新は県民の生活、社会経済活動を支える重要な役割を担う事業でありますので、費用の軽減に努めながら計画的に取り組み、水の安定供給に努めるように求めたいと思います。
 次に、鉛管解消事業について伺いたいと思います。
 企業庁は今年60年、県営水道におきましては昭和8年の創設から来年で80年を迎え、多くの水道施設が更新時期を迎えています。また、老朽化を原因とする漏水の発生も懸念されるところでありますけれども、給配水設備の整備状況について幾つか質問させていただきたいと思います。
 はじめに、県営水道の創設期から使用してきた鉛製の給水管を解消するために取り組んでいる鉛管解消事業は、決算資料を見ますと、27億円を超える費用を費やしております。鉛の人体への影響が危惧されるとともに、鉛製給水管は漏水が多いと聞いておりますが、安全・安心な水を届けるためには、この事業を着実に進めてもらい、早期に解消することが必要であると思います。
 そこで鉛管解消事業について伺いますが、最初に、県営水道で鉛管解消事業を実施するに至った経緯について伺いたいと思います。

水道施設課長
 鉛製の給水管につきましては、価格が安く施工性が良いことから、県営水道におきましても昭和8年の創設時から使用してまいりました。しかし、経年劣化による腐食などによりまして、今委員がおっしゃいましたように漏水が多発し始めましたことから、昭和57年3月に、鉛管の使用を中止しまして、取替えを進めてきたところでございます。その後、鉛による乳幼児への健康影響が危惧されましたことから、厚生労働省によりまして、鉛の水質基準の改正が順次行われまして、平成15年4月に1リットル当たり0.05ミリグラム以下から0.01ミリグラム以下に強化されました。
 そこで、県営水道では鉛管解消指針を策定いたしまして、鉛管解消を進めているところでございます。

内田委員
 鉛といいますと、人体に影響がないのか、こうしたことを危惧する若いお母さんも多いです。実際のところ、鉛の人体への影響というのは微々たるものかもしれません。しかしながら、こういう御時世ですから、県営水道におきましては、鉛管解消事業というのは本当にしっかりと進めていかなくてはならないことだと思います。特に、子供たちの健康に対して影響が懸念されています。どのようにその解消を行ってきたのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 当然、水質検査はしっかり行いまして基準値以下であることは確認しておりますけれども、特に子供さんの健康への影響が危惧されましたので、お客様に安心して水を使用していただくために、保育園、幼稚園などの施設につきましては、平成15年度末までに最優先で鉛管の解消を行いました。また、児童公園につきましても、平成22年度末までに解消が完了しております。これ以外にも、延長が長いお客様も優先して解消する取組を進めているところでございます。
 また、お客様に対しましては、鉛管を使用している全てのお客様にポスティングでお知らせするとともに、ホームページ、さがみの水、その他の使用水量のお知らせ等も通じまして、鉛管への啓発活動にも努めてきたところでございます。 

内田委員
 県民に安心して水を使用していただくために、事業を進めてきたということは理解しました。
 次に、鉛管解消事業の計画と目標について、伺いたいと思います。

水道施設課長
 鉛管解消事業は、当初の平成15年度から平成34年度までの20年間で、公道内の全ての鉛管を解消する計画として事業を進めておりましたけれども、県営水道事業経営計画の策定時に計画の見直しを行いまして、解消期間を7年間短縮いたしまして、平成27年度までに公道内の約107,000件の鉛管を解消することを目標として取り組んでおります。 

内田委員
 少し短縮したということで、これはいいことであると思いますけれども、それでは、鉛管解消事業の平成23年度の進捗状況について、伺います。

水道施設課長
 事業の進捗状況でございますけれども、平成23年度は鉛管解消事業によりまして8,359件、この他に老朽管改修事業や耐震管促進事業などによりまして、配水管の布設替えに伴い解消しましたのが1,853件、合わせまして1万212件の鉛管を解消したところでございます。この結果、平成23年度末の残存件数は3万6,700件でございまして、計画策定時の107,000件に対する解消率は約66%と、計画を若干上回って進捗しているところでございます。 

内田委員
 鉛管解消事業については、このように少し上回ることで進められていて、あと残が3万6,700件ということですが、平成27年度までにということですから、残り4年ぐらいとなりますけれども、事業を進めていく上で何か課題はあるんでしょうか。

水道施設課長
 鉛管解消事業の開始から、これまで高度成長期の一戸建ての団地造成に伴って布設された鉛管の解消を効率よく実施してまいりましたけれども、鉛管が集中しております団地の解消がほぼ完了いたしまして、給水区域の広い範囲に点在して布設されております鉛管が多く残存している状況となっております。この残存している鉛管の中には、舗装が厚い国道や県道、こういうところでは、一回掘り返しますと、前後10メートル程度を合わせて20メートル程度まで舗装工事が必要になる場合がございまして、多額の費用を要するということも課題になっております。 

内田委員
 本当に多額な費用がかかると考えただけでも想像できますけれども、財政的に厳しい状況でございますが、今後の鉛管箇所についてどのように進めていくのかお伺いしておきたいと思います。

水道施設課長
 鉛管は、先ほど委員のお話がありましたとおり、給水管漏水件数の約40%を占めておりまして、鉛管解消は漏水防止、無効水量の削減という側面もございます。また、水道の使用量も減少し、財政的に厳しい状況でございます。
 国道、県道に残存している鉛管解消は多大な費用を要しますので、老朽管の更新と併せて解消するなど、また、道路管理者と事前調整も行い、舗装工事、他の工事とも併せ、二重投資を避けまして工事費を最小限に抑えた効率的な事業執行に努めていきたいと考えております。ごく一部困難な場所を除きまして、施工可能な箇所につきましては計画どおり全て解消する予定でございます。 

内田委員
 分かりました。鉛管以外にも、今回の御報告にはポリエチレン管の更新、それからポリエチレン管以外にもいろいろな金属管があると思います。亜鉛メッキの鋼管、ステンレス管、それからプラスチックの管も、ポリエチレン管の他に、ポリ塩化ビニール管や他にもいろいろありますけれども、何が一番いいのか、これからも研究していっていただきたいと思うんです。
 それとともに、神奈川工業技術開発大賞で奨励賞を受賞された荒木技研さんですけれども、配管分岐弁の強さ向上のために継手部分を溶接しないで、別の箇所で溶接しまして、地震に強い管などをつくっている会社も出てまいりました。そういったことを、いろいろ情報を集めながら、地震に強い、また鉛管など体に害がありそうなもの、こういったものを非常に大切なことですので、県営水道としましては重点を置いていただきたいと求めたいと思います。
 次は、水道施設相互融通化整備事業について伺いたいと思います。
 安定して水を供給するためには、異なる浄水場間などで相互に水を融通し合える管路の整備というものが非常に有効でありますし、またいざ災害が起こったときにも十分使えるようにしていく。広域的なバックアップ体制の確保というものは県の役割でもありますし、そこで、県営水道の主要事業として水道施設相互融通化整備事業を実施していると思いますけれども、この事業について伺います。
 まず、水道施設相互融通化整備事業の目的と目標について、お伺いしたいと思います。

水道施設課長
 水道施設相互融通化整備事業でございますけれども、災害や事故に強い水道づくりを目指しまして、地震あるいは水質汚染事故など緊急時におきましてもできるだけ安定して給水が行えるよう、平成11年度から平成25年度までの計画で広域的な施設整備を行っているものでございます。その大きな目的といたしましては三つございます。
 一つ目は、県営水道の浄水場系統と企業団の浄水場系統を、大口径の配水管を布設して連絡することによりまして、災害などの緊急時に相互融通が行えるようにするものでございます。
 二つ目は、災害や事故発生時などに、給水区域が隣接する水道事業者間で双方から応援給水ができるように、水道管を布設しまして接続を行うものでございます。
 三つ目でございますけれども、主要管路のルートを複数化しましてバックアップを図るために、別ルートに水道管を布設するものでございます。
 次に、目標でございますけれども、この異なる浄水場からも給水が可能な戸数の割合を93%まで増やすこととしております。 

内田委員
 施設整備を行うと、どのような効果が見込めるのか伺いたいと思います。

水道施設課長
 災害時には、浄水場が完全停止した場合に、広域的に断水することが想定されますけれども、異なる浄水場系統間の主要管同士を連絡することによりまして、減断水などの影響を最小限に抑えることが可能となります。
 次に、他水道事業体との相互融通化でございますけれども、互いに給水区域の接する地域、これはどうしてもエリアの端になりますので、一方通行の管路整備になってしまいます。そうした状況で災害が発生しますと、自分の施設で区域の末端まで給水することが困難になりますので、隣接する水道事業体と管を接続することによりまして、区域境の断水を回避する可能性が高くなるものでございます。
 また、バックアップ管の布設でございますけれども、県西部地方に新たに管を布設しましてバックアップ体制が整い、現在は津久井方面で管の布設を行っているところでございます。 

内田委員
 現在は津久井方面で管の布設を行っているということですけれども、近隣の水道事業体と水道管を接続している箇所数、それとその管路がどのように運用されているのかということを伺いたいと思います。

水道施設課長
 近隣9水道事業体と水道管を接続いたしまして、現在までに15箇所接続されております。このうち、本事業におきましては、5事業体9箇所を増やしたものでございます。一例としましては、鎌倉市岩瀬地内で横浜市水道局と300ミリメートルの管で、小田原市国府津地内で小田原市水道局と400ミリメートルの管で接続したものでございます。
 その管路の運用でございますけれども、平常時は双方の事業者がそれぞれ給水区域を賄う管路として使っておりまして、災害時、緊急時には一部連絡部分に停滞している水を捨ててからバルブを開けることで、応急給水を行うこととしております。 

内田委員
 それでは、平成23年度に実施した工事について伺います。

水道施設課長
 平成23年度は、相模原地区におきまして谷ケ原浄水場から津久井方面に送水します中野送水管のバックアップ管の工事などを行いまして、約700メートルの送配水管を布設いたしました。この他に、相模原市内におきまして、送水管を布設するためのシールドトンネルの工事を、平成21年度から25年度までの予定で実施しております。さらに、シールドトンネルの出口になります谷ケ原浄水場の構内で既設管と連絡する工事も、平成23年度から25年度までの予定で実施しているものでございます。 

内田委員
 それでは、目標と進捗状況についてお伺いいたします。

水道施設課長
 平成23年度末におきます工事の進捗状況でございますが、管路布設延長ベースでは約87%となっておりまして、また、相互融通可能な世帯の割合は73.9%となっております。 

内田委員
 この水道施設相互融通化整備事業は、平成11年から平成25年までの計画と聞いておりますけれども、今後の見通しを伺いたいと思います。

水道施設課長
 目標であります相互融通可能な世帯の割合93%はほぼ達成できるものと考えておりますけれども、バックアップ管の一部の工事につきましては、県土整備局から相模原市に引き継がれました津久井広域道路の新設工事が遅れておりまして、平成25年度以降となる可能性がございます。仮に工事が完了しない場合でございますけれども、県民の重要なライフラインの確保のために計画の延長を行いまして、相模原市との調整を密に行いまして、着実な事業の完了に努めてまいりたいと考えております。 

内田委員
 ふだん何気なく使っている水道水ですけれども、災害、それから今までも水質事故みたいなものがありましたし、また渇水といったことも十分想定されますので、県の広域的な、また取組であると思うんです。ですから、確実な事業の実施により安定供給をより確実に、こういったことを念頭に置いて事業を進めていっていただきたいと要望しておきます。
 次は、水道事業の経営について伺いたいと思いますが、平成23年度神奈川県水道事業報告書の冒頭の総括の概況のところにも、今回の水道事業収益についていろいろ書いてありますけれども、平成23年度の水道料金収入及び水道水量について、ここ数年の実績と併せて、改めてここで確認したいと思います。

経営課長
 平成23年度の水道料金収入でございますけれども、約528億円で、使用水量は約3億1,500立方メートルとなってございます。昨年度と比較いたしまして、料金収入で約18億円の減、使用水量で約600万立方メートルの減となってございます。
 また、料金改定以降の平成18年度以降の推移ということで、申し上げさせていただきます。まず料金でございますが、平成18年度が約579億円、19年度が約583億円、20年度が約562億円、21年度が約548億円、22年度が約546億円で、23年度が先ほど申し上げたとおり、約528億円となってございます。
 水量の方は、概数でございますが、平成18年度が3億3,300万立方メートル、19年度が3億3,200万、20年度が3億2,400万、21年度が3億2,000万、22年度が3億2,100万、23年度が3億1,500万ということでございます。 

内田委員
 東京都などでもこの数年の水道料金の収入の減少という傾向は、全国どこでもそうだと思いますけれども、用途別ということになりますとまた違ってくると思います。神奈川県ではどのような状況になっているのか確認しておきたいと思います。

経営課長
 用途別で申し上げさせていただきます。大きくいえば、家事用と業務用に分かれます。
 まず、家事用でございますが、平成23年度の料金収入が約341億円ということでございまして、昨年、平成22年度と比較いたしまして約7億円の減となってございます。平成18年度が約356億円ということで、基本的にはその後、微減という形で来ておりまして、昨年度は341億円というような形で、数億円ずつ下がってきているような感じでございます。
 次に、営業用、公共用、工業用などを含む業務用でございますけれども、平成23年度の料金収入が約174億円ということで、平成22年度と比べまして約10億円の減というふうになってございます。業務用につきましては、平成18年度が約210億円ということでございまして、平成23年度の174億円ということでございますので、家事用と比べまして、よりこの期間での減少幅が大きくなっています。 

内田委員
 報告によりますと、給水人口は増えているにもかかわらず水道料金が減少している。これは節約志向とかそういうのがあると思いますけれども、3月11日に発生した東日本大震災は、水道料金収入及び使用水量にどのように影響したのか伺いたいと思います。

経営課長
 御指摘のとおり、給水人口が増えているにもかかわらず料金が減少してございます。これは、大きな流れとしては、料金はこの間大体毎年1万人ずつ増えてきたわけでございますけれども、やはり家庭であれば、例えばトイレなど非常に多量に水を使う機器について、節水型機器が非常に普及してきたということ、それから、業務用、工場等でいえば地下水利用あるいは水の循環利用、この辺でまた水を使わない仕組みがかなり出てきているという、1件当たりの使用水量、そういう基本的な低減傾向がございまして、それに加えてこの震災による影響でございます。
 発生直後の4月、5月、これは材料、燃料不足あるいは計画停電等の影響が直接的にございまして、工場、百貨店などの時間短縮、休業などの直接的な影響もございましたので、平成22年度の4月、5月、2箇月間の同時期と比べまして、料金収入で約5億1,000万円落ち込んでございます。その落ち込み方としては、やはり旅館・ホテルが70%ぐらいとか、あるいは百貨店が80%だというような傾向がございました。
 それから、夏場でございますけれども、平成22年度は非常に猛暑で、平成23年度はそれほどの猛暑ではなかったという気候的な要素で減った部分もございますけれども、それに加えまして、やはり電力使用制限ということで、かなり計画的な操業休業ということもございまして、その二つの要素が重なりまして、8月、9月の2箇月間で約6億1,000万円というような形で、大きく減少した。その辺りが影響ではないかと考えております。 

内田委員
 猛暑であったとか、それから節約がそのように影響したかといった影響で水道料金収入が当初予算に比べて約9億8,000万円の減少となったにもかかわらず、同じ決算におきましては、当初予算を上回る約8億2,000万円の純利益を計上することがなぜできたのか伺いたいと思います。

経営課長
 平成23年度決算でございますが、御指摘のとおり、水道料金収入は当初予算と比較いたしまして約9億8,000万円の減でございます。これも含めた収益全体では、当初予算よりも約161,000万円という減少をしてございます。それに対して費用面、支出面でございますけれども、企業債の繰上償還に伴う企業債利息の減ですとか、あるいは量水器のJIS化に伴います修繕費の減少、あと様々な工夫と効率的な執行、その辺で合わせまして、支出の方では約178,000万円程度の減額をすることができたということでございます。収入も予定より減りましたけれども、それ以上に支出の方で努力して、このような確保ができたという次第でございます。 

内田委員
 それでは、今後の水道料金収入の見通しについてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

経営課長
 今後の見通しでございますけれども、やはり先ほども申し上げたとおり、節水の器具等に伴います長期的な減少傾向、これは普及に伴って確実に減少は続いてしまうものではないかと考えております。

 それに加えまして、平成20年度以降の景気の低迷のその後の停滞の状況ですとか、あとは震災、原発事故等を経験した中で、経験的に非常に節電、節水的なライフスタイルが更に定着しているような状況もございますので、そういった状況を踏まえますと、やはり今後、収入の増加というものを見込むという形ではなかなか厳しい状況が継続していくものと考えてございます。 

内田委員
 今後とも厳しい経営環境が続く中でも、県民のライフラインを維持するために必要な事業というものはきちんと行っていかなくてはならないと思います。今後の事業の推進についてどのように考えているのか、最後に伺いたいと思います。

経営課長
 ただいま申し上げたとおり、非常に収入の状況は厳しいと予想されるわけでございますけれども、ただ、そのような中におきましても、今までのお話にもございましたように、県営水道におきましては、高度経済成長期に整備した施設が老朽化、あるいは地震への備えということで、施設の更新というものが非常に大きな課題となってございまして、水道事業の経営計画の中でも災害に強い水道づくり、より安全でおいしい水の供給ということは最重点に取り組むべきだということで、耐震化あるいは鉛管の集中的な取り替え、こういう主要な事業は計画的にきちんと取り組まなければならない、厳しい中でも着実に進めていかなければならないと考えてございます。
 そのために、私ども県民の皆様の生活、社会経済活動を支えるライフラインといたしまして、経営改善の努力も進めながら、着実に必要な事業を推進してまいりたいと考えてございます。 

内田委員
 最後に要望を申し上げたいと思いますけれども、水道事業の経営については、県民のライフスタイルも大分変わってきたと思われますし、これからは収入増が見込めないような、どのようになっていくか皆目分からないところではありますけれども、今日質問させていただきました地震対策、耐震管対策や、それから鉛管の更新、それから大口径の水道管の更新については特に重要であると思いますし、最後の方に質問させていただきました広域的なバックアップ体制をつくっていく融通化の事業、それも非常に大切だと思います。
 そして、水道事業の経営については、今後も鋭意頑張っていただきたいと思いますけれども、それとはまた別の意味で、最近、水ビジネス、こういったことも横浜市では受注を民間企業から取り入れていただくニュースもございましたし、川崎市、北九州市、それから大阪でも水ビジネスの方に少しは乗り出していくということで、世界市場を、今までの技術を外に出して貢献している、こういった自治体が多く名乗りを上げてきております。
 ですから、神奈川県の水道事業にしましても、今までの耐震化対策をしっかりしながら、新しい分野での料金収入の分野を模索していく、こういったことも新たな観点で必要だと思いますので、その辺のところにしっかりと取り組んでいきたい、そう求めておきたいと思います。