平成24年  決算特別委員会
◎《委員会記録-平成24年第3回定-20121102-000006-決算特別委員会》
1 開  会
2 記録署名委員(加藤(元)・作山の両委員)の決定
3 傍聴の許否について決定
   2件申請 2件許可

4 日程第2を議題(一般会計歳出決算のうち、第4款 環境費、第8款農林水産業費、第10 款土木費、第13 款災害復旧費及び特別会計歳入歳出決算のうち水源環境保全・再生事業会計、農業改良資金会計、恩賜記念林業振興資金会計、林業改善資金会計、沿岸漁業改善資金会計、流域下水道事業会計、県営住宅管理事業会計、都市用地対策事業会計)
5 同上質疑 

内田委員
 それでは質疑に入りますが、道路は県民生活の利便性の向上や物流の円滑化など地域経済の活性化に寄与するとともに、災害時における県民の安全・安心の確保を図る上で重要な社会基盤であると認識しております。
 東日本大震災から1年半が過ぎ、本県でも東海地震や首都直下型地震などの大規模地震の切迫性が指摘されております。また、局所的な豪雨などによる土砂災害も全国で頻発していることから、道路における災害への対応力の強化を一層推進する必要があると考えております。そこで、道路や橋りょうの安全性の向上について何点か伺います。
 まず、地震対策として県が管理する橋りょうの耐震対策についてはどのように取り組んでいるのか、平成23年度に実施した内容と併せてお伺いしたいと思います。

道路管理課長
 耐震対策の取組でございますが、平成7年1月に発生いたしました阪神・淡路大震災を踏まえまして国から示された基準に基づき、平成7年度から順次対策に着手しているところでございます。
 対策につきましては、大きく分けまして橋脚の補強と落橋防止装置の設置の二つがありまして、まず橋脚の補強につきましては、阪神・淡路大震災以前の古い構造基準で建設されたため、大規模地震の際、大きな損害を受けるおそれのある橋りょう、62橋を対象に実施しております。
 また、落橋防止装置につきましては、地震による想定を超える変異や変形が橋に生じた場合でも上部構造が下に落ちない、落橋を防止するために設置するものでございまして、緊急輸送道路上の長さ15メートル以上の橋りょう、173橋を対象に実施することとしております。 平成23年度におきましては、こうした対象橋りょうのうち国道135号、湯河原町の千歳橋への落橋防止装置の設置など3橋の対策を実施し、この3橋の工事の完成をもって対象橋りょう全ての耐震対策が完了する、このようになっております。 

内田委員
 阪神・淡路大震災を踏まえた対策が完了することは分かりました。県内においては昨年の3橋ということで、橋りょうの耐震性の向上に向けて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

道路管理課長
 今後の取組でございますが、耐震性の更なる向上を図ることといたしまして、まず橋脚補強につきましては、県が管理する橋りょう1,215橋から阪神・淡路大震災以降の新しい基準で設計された橋りょう、また耐震補強が完了した橋りょうなど対策が不要な1,071橋を除いた残りの144橋につきましては、大きな被害を受けるおそれは少ないものの局部的な損傷が発生する可能性がありますことから、これらの橋りょうを対象に補強を行ってまいります。
 また、落橋防止装置につきましても、緊急輸送道路上の長さ15メートル以上の橋りょうへの設置が完了しますことから、対象橋りょうを長さ10メートルから15メートルまでの橋りょうに拡大し、対象となる44橋について設置を進めてまいりたい、このように考えております。 

内田委員
 まだ144橋、そして落橋の方が対象を広げて44橋ということで、まだまだ橋の耐震対策はスピード感を持たないといけないけれども、かなり費用がかかるということで、そういうことについては十分承知しております。
 自然災害では、地震のほか、大雨、今ニューヨークの方でもハリケーンですごいことになっていますけれども、局所的な豪雨で道路の斜面が崩れたりとか落石に対する防災対策、これもまた重要であると認識しております。
 県が管理する道路の土砂、崩落や落石の危険箇所についてはどのように取り組んでいるんでしょうか。せんだっても京急の方で大きな斜面が崩れるような事故もありましたけれども、平成23年度に実施した内容を改めて確認させていただき、また、全体的な進捗状況について伺います。

道路管理課長
 最初に、斜面崩落や落石など災害のおそれのある危険箇所の把握でございますが、国から示されました要領に基づき道路斜面等の点検を実施しておりまして、最近では平成19年度に道路防災の総点検というのを実施しております。この結果から、県管理道路全体で防災工事が必要な箇所として409箇所を設定しておりまして、危険度の高い中から順次防災工事を実施しているところでございます。
 平成23年度におきましては、国道1号の箱根町宮ノ下など23箇所の防災工事を実施したところでございます。そして、平成23年度末における進捗状況でございますが、約47%となっております。 

内田委員
 進捗状況が47%ということなんですけれども、遅れている原因は分かっているんでしょうか。

道路管理課長
 一つには、箇所が多くて、予算的な制約がある中で危険度の高いところからやっているということでございます。
 また、その他、当初点検の中におきましては、要対策箇所と、経過を観察しようということで、カルテを残して毎年追跡調査をやっているというところがございます。毎年追跡をしている中で、大きな変状が見られれば、それが要対策箇所に上がってくるということでございまして、そういう意味でなかなか進捗が上がってこない、こういったところに原因があるのかなと考えております。 

内田委員
 何しろ優先順位が一番大切だと思いますので、鋭意努力していただきたいと思います。
 道路の防災工事の推進については、県としては今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

道路管理課長
 道路防災の今後の取組でございますが、先ほど申し上げましたように、防災工事の必要な箇所がまだ数多くございますことから、優先順位といたしましては、緊急輸送道路や、例えば土砂災害等で道路が寸断すると集落が孤立するおそれがある箇所など優先度の高い箇所から順次進めてまいりたい、このように考えております。 

内田委員
 地震やゲリラ豪雨、こうしたものへの対策については一応了解しました。
 県民生活や経済活動に直結する道路、幹線道路はたくさんございますけれども、災害への対応力を強化する一方で、ふだんの生活にも密着している既存の施設を計画的に維持管理していくこと、これも非常に大切だと思っております。
 そこで何点か伺いますが、まず、県が管理する橋りょうのうち、建設後約50年以上経過した橋りょうの数は非常に多いというふうに伺っておりますし、また、今後増えてくる可能性があるということも伺っておりますけれども、今後、50年以上経過していく橋りょうはどのくらいと見込んでいるんでしょうか。
 そして、古い橋りょうが多くなると、これに比例して必要な維持管理費、これも増大していくと見込んでおりますけれども、この課題に対して県としてはどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

道路管理課長
 平成23年度末、県が管理している橋りょうの数は全体で1,215橋ございます。このうち建設後50年以上が経過した橋りょうの数につきましては、全体の約4分の1でございます。今後の推移でございますが、8年後の平成32年には約半数に達しまして、13年後の平成37年には約3分の2に達する見込みでございます。
 今後、建設後50年以上経過する橋りょうの割合が急速に増えていくということでございまして、老朽化による補修や架け替えの費用が増加することが想定されておりますが、一方、橋梁の維持管理に関する予算につきましては、一定の水準を保ちつつも近年はおおむね横ばい傾向ということで、今後急増する高齢化橋への対応が難しくなるのではないかということが懸念されております。
 そこで、県では平成22年3月に橋りょう長寿命化修繕計画を策定したところでございます。この計画では、これまでの傷んでから直すという対症療法的な維持管理から、傷む前に直してできる限り長く使うという予防保全的なものとし、いつどの橋りょうにどのような対策が必要かというのを適切に私ども道路管理者で判断いたしまして、橋りょうの長寿命化を図り、将来にわたる維持管理コストの削減をするとともに、平準化しようとするものでございます。 

内田委員
 橋りょう長寿命化修繕計画では、平成37年には50年以上の橋が3分の2に達するということで、県としてそれをきっちり分かっていて、それから直していく。しかし、全体的に全部直すのは困難なので、長寿命化のために頑張っていらっしゃると思うんですけれども、これは年間、どの程度の予算を必要とするのか。そして、平成23年度の橋りょうの維持管理に係る決算額も併せて伺いたいと思います。

道路管理課長
 橋りょう長寿命化修繕計画における年間の予算の程度ということがまずありましたが、橋りょう長寿命化修繕計画では、いわゆる橋りょうの定期点検と小規模修繕を繰り返して行うことで健全度を維持していこうとするものでございまして、そのための費用といたしまして、計画では毎年約20億円程度が必要になるものと見込んでおります。
 一方、平成23年度につきましては、この計画に基づき、県道78号、御殿場大井の足柄大橋など435橋の点検を行うとともに、県道27号、横須賀葉山の森崎大橋など53橋の修繕工事を実施しておりまして、決算額は217,400余万円となっております。 

内田委員
 やってもやってもまだまだ補修していかなくてはならない。そして点検もやっていかなくてはならないということで、非常に大変なんですけれども、こちらの方は耐震対策に合わせて頑張っていただきたいと求めたいと思います。
 続きまして、道路橋りょうなんですけれども、もう一つの対策としては交通安全対策、こちらの方もせんだっては警察費の方でるる質問が出ましたけれども、本県は全国第2位の人口ということで、県内の各地では多くの交通事故も発生しています。高齢者や児童など県民の誰もが安心して道路を利用できる環境づくりを進めていかなくてはならないと認識しております。
 そこでまず、本県における人身事故数や死亡者数など、交通事故の現状について伺いたいと思います。

道路管理課長
 平成23年の1年間における本県の交通事故の状況につきましては、これは県警の統計でございますが、人身事故件数は3万8,800件、また、死者数については180人と聞いております。 

内田委員
 交通事故の状況については分かりましたけれども、歩行者が道路を安全に通行するためには、車両の通行とは分離した歩道というものが必要です。県が管理する道路の歩道整備について、平成23年度の実施箇所はどのくらいあるのかということと、歩道の整備状況を併せて伺います。

道路管理課長
 県では、交通事故の危険性の高い箇所や駅周辺や歩行者が多い箇所、あるいは通学路などにおいて、幅員2メートル以上の幅の広い歩道の整備に取り組んでいるところでございまして、平成23年度につきましては、国道467号、大和市下和田など40路線、54箇所で事業を実施しておりまして、約1.6キロメートルの歩道が完成したところでございます。
 また、平成23年度末における歩道の整備状況につきましては、山間部などを除いた、いわゆる歩道が必要とされる延長、これは右左ありますので、それぞれ別々にということで延べ延長は約1,800キロメートルほどになりますが、このうち歩道が整備されている延べ延長が約70%となっております。 

内田委員
 高齢者や児童・生徒のためにも、安全な歩道を確保する、これは非常に大切なことですのでよろしくお願いします。
 次に、交差点の改良の方の質問に移らせていただきますけれども、交差点の改良とは、具体的にどのような整備を行うものなのか伺いたいと思います。

道路管理課長
 まず、交差点の改良につきましては、交差点に右折レーンがなく、右折車両が多いため渋滞等混雑する箇所や、交通事故が多い箇所などについて交差点の改良工事を行い、車両通行の流れの改善、また交通事故の防止を図るものでございます。
 また、一般的な整備内容でございますが、混雑の原因となっている右折車両を円滑に通行させるための右折レーンを新たに設置するとか、また、どうしても用地買収が難しいとか制約があって右折レーンが確保できないような箇所につきましては、現在ある道路の幅の中で、例えばラインを引き直して、右折車が右折待ちをしていても直進車が脇を通過できる程度に車線の幅を広げるといったような工夫をしながら取り組んでいるところでございます。 

内田委員
 特に我々も地元などで交差点の改良などいろいろ要望されるわけです。実際、いろいろと積極的に進めていただきたいと考えるんですけれども、交通事故の多い場所は特に優先順位をもって進めていただきたいんですが、こうした交差点の改良につきましては、これまでどれくらい実施してきたのか、最近の5年間の取組状況について伺いたいと思います。

道路管理課長 交通事故の多い交差点の取組状況につきましては、最近5年間ということで見ますと、平成20年度から交差点改良に取り組んできました19箇所のうち、現在13箇所について交差点の改良工事が完了したというところでございます。 

内田委員
 そうした交差点の改良を行うに当たっては、まず地権者の理解とか、買収に関してもいろいろな協力が必要だと思うんですけれども、簡単に進んではいかないということは十分承知しております。
 その一方で、交通事故が発生したときには応急対策を行っているとは思いますけれども、直後とかその1年後など、具体的にどのような事故対策に取り組んでいるのか伺いたいと思います。

道路管理課長
 交通事故が多発する区間につきましては、事故多発区間対策といたしまして、毎年、警察や市町村などと合同で事故状況の分析や現地における診断を行い、必要な対策を定め、路側のカラー化やガードレールの設置などを行っているところでございます。
 また、事故が集中する駅周辺などにおきましては、一定の範囲をあんしん歩行エリアに設定いたしまして、歩行者や自転車利用者の安全を確保するため、幅の広い歩道の整備などの対策を進めているところでございまして、県管理道路に関係するところでは、鎌倉駅周辺地区など4地区で実施を進めてきているところでございます。
 最近では、これまでの事故分析に加えて、県民やバス、トラックなどのドライバーからの御意見、こういったものを取り入れた取組といたしまして、即効性のある減速マークや歩道のカラー化などを集中的に取り組んでいく事故ゼロプランにつきましても、警察と連携しながら取り組んでいるところでございます。 

内田委員
 事故が起こったところは何か問題があると思いますので、そちらの方もしっかり取り組んでいただきたいと思います。県としては、道路管理者として、安全で円滑な交通環境に向けた取組を今後どのように進めていくのか伺いたいと思います。

道路管理課長
 安全で円滑な交通環境に向けた取組でございますが、まず歩道の整備につきましては、かながわの道づくり計画にも位置付けさせていただいておりますので、今後もこの計画に基づき着実に進めてまいりたいと思います。
 また、交通事故対策につきましては、先ほど申し上げました事故ゼロプランなどをはじめ、様々な事故対策につきまして、警察、また国、市町村などと緊密に連携し、現地の検証などを行いながら、より効果的な対策について積極的に取り組んでいって、交通事故の減少に努めてまいりたい、このように考えております。 

内田委員
 今後も着実に進めていただきたいと思います。
 次に、広い意味から見ると、幹線道路や道路網の整備というのは欠かせないものであると認識しており、特に多様な交流を支える、これは経済を活性化する、経済のエンジンを回していくことにもつながると思います。
 幹線道路網の整備について、県が鋭意事業を進めていますが、これらの道路事業を進めるに当たっては、県ではどのように施策体系を整理して道路整備を進めているのか、そちらの施策体系の方について伺いたいと思います。

道路整備課長
 県では、道路整備の実施計画といたしましてかながわの道づくり計画を策定して、これに基づきまして計画的に事業を進めているところでございます。
 この計画では、施策体系を五つの柱に分けております。このうち県が実施する事業の主な施策について申し上げますと、まず、新たに整備される自動車専用道路に円滑にアクセスを確保するための事業の施策としてインターチェンジ接続道路の整備、次に自動車専用道路網を補完して地域の交流、連携を支えるための事業の施策として交流幹線道路網の整備、この他大河川をまたぐ橋りょうの整備や鉄道との立体交差など、道路ネットワーク全体の機能強化を図るための事業の施策として、地域分断、交通のボトルネックの解消など五つの施策体系を整理しているところでございます。 

内田委員
 それでは、その体系のうち、まずインターチェンジの接続道路の整備なんですけれども、せんだって海老名インターチェンジでしたか、非常に便利だなと思いました。現在、県央部の南北方向に更に縦貫道路の整備が進められておりますけれども、全線供用は平成26年度ということで、縦貫道路関連のアクセス道路の整備の方について伺いますが、そちらの方はどのぐらい進んでいるのか、具体の進捗状況を伺いたいと思います。

道路整備課長
 まず、かながわのみちづくり計画の中では、インターチェンジ接続道路の整備といたしまして8路線、延長にいたしますと約9キロを位置付けております。このうち、今委員のお話がございましたさがみ縦貫道路への接続道路として、県では5路線、約5キロを整備しております。
 平成23年度末のこれらのアクセス道路の整備状況について申し上げますと、都市計画道路河原口中新田線など5路線全てを現在供用しているところでございますが、このうち1路線については暫定供用中というところでございます。
 この暫定供用中ということについて具体に申し上げますと、寒川南インターチェンジに接続する予定の都市計画道路藤沢大磯線につきましては、現在2車線で暫定供用中であるということでございまして、将来的には4車線で供用するということで現在整備を進めているところでございます。
 平成23年度末の整備進捗状況について申し上げますと、用地取得につきましては100%、全て完了してございます。全体の事業の進捗状況といたしましては約9割という状況でございます。
 この道路につきましては、さがみ縦貫道路と工事箇所が上下でふくそういたしますので、まずはさがみ縦貫道路、この区間につきましては平成24年の開通となってございまして、まずはさがみ縦貫道路の開通を最優先に進めていき、都市計画道路藤沢大磯線につきましては、このさがみ縦貫道路が供用後、一日でも早く4車線化を供用させるということで取り組んでまいるところでございます。 

内田委員
 さがみ縦貫道路へのアクセス道路の整備が非常に大切だということは理解いたしました。
 もう一つは、新東名高速道路、こちらのインターチェンジ接続道路の整備についても、アクセス道路の整備というものが非常に大切だと思いますが、どの程度進んでいるのか、具体の進捗状況について伺います。

道路整備課長
 新東名高速道路のインターチェンジのアクセス道路でございますが、路線数にいたしますと3路線、延長にいたしますと約4キロを整備しているところでございます。3路線のうち1路線、延長にしますと1キロでございますけれども、これについては整備が全て完了いたしまして、現在供用中です。残る2路線についても、現在整備を進めているところでございます。
 具体の進捗状況について申し上げますと、まず1路線目ですが、新東名高速道路、仮称伊勢原北インターチェンジに接続する予定の県道603号上粕屋厚木につきましては、現在、事業延長約1.9キロの区間の用地取得を進めているところでございます。平成23年度末時点での事業の進捗状況は約34%という状況でございます。これにつきましては、引き続き事業に取り組みまして、新東名高速道路のこの区間の供用予定である平成30年度に間に合わせて開通させるよう進めてまいる予定でございます。
 また、事業効果を早期に発現させるために、平成28年度には暫定で2車線の供用を進めてまいりたいというところでございます。
 次に、もう一路線ございます。仮称厚木南インターチェンジに接続する国道129号線です。南北を走っている道路でございます。これにつきましては、県道22号、横浜伊勢原線と交差する戸田交差点の立体交差化工事を進めているところでございまして、平成23年度末の事業の進捗率は約62%まで来ているところでございます。これにつきましても、引き続き事業を進めて、新東名高速道路のこの区間の供用予定であります平成28年度に合わせて開通できるよう進めてまいるところでございます。 

内田委員
 先日、戸田交差点の方をたまたま通りかかりまして、どのくらいできているかなと思いましたが、今の御答弁で、
62%ということで一応了解いたしました。
 こうした道路の地域分析とか交通のボトルネックの解消のためなど、個別の整備事業で計画的に進捗が図られているということは十分承知しておりますが、こうした厳しい財政状況の中で重要なことは、県民に対して整備効果をできるだけ早期に教示してもらう、これが非常に大切だと考えております。
 そこで、確認のためなんですけれども、平成23年度において道路が開通した主な箇所があれば伺いたいと思います。

道路整備課長
 平成23年度に開通した主な箇所として2箇所ございますので、具体に御説明申し上げます。
 まず1箇所目でございますが、県西地域の小田原市の主要な幹線道路でございます都市計画道路穴部国府津線、延長にしますと約1.3キロ、これを平成23年5月に開通しております。この路線は、小田原市の外かく環状道路として県西地域の道路交通ネットワークの骨格を形成するという目的とともに、周辺道路の交通混雑の緩和に寄与する路線ということで、平成10年から工事に着手していたものでございます。
 開通によりまして、周辺道路で約4割ほど交通が減少するなど、生活道路からこちらの新しい道路の方に交通が移ったということで効果が発揮されているところでございます。
 もう1路線でございますが、横須賀三浦地域の県道311号、鎌倉葉山、場所といたしましては新桜山トンネルというところでございます。延長約530メートルというトンネルでございますが、こちらにつきましては平成23年7月に開通しております。
 このトンネルは、逗子市と葉山町を結ぶ県道のちょうど市町の境にあるトンネルでございまして、近くにJR逗子駅など鉄道駅に近いので、自転車とか歩行者の方々の交通量が多いというところでございました。ただ、トンネルが狭くて、歩道の幅員も約90センチということで、本当にすれ違うのが困難なような状況でございました。これを上下、それぞれ独立したトンネルで分離するということで、平成13年度から工事を進めてきたところでございます。開通によりまして、自転車、歩行者が安全に通行できるようになりまして、地域の方々には大変御利用いただいているところでございます。 

内田委員
 今るる質問させていただきましたけれども、道路、橋りょうについて要望申し上げたいと思います。道路、橋りょうは耐震化対策、そしてゲリラ豪雨など、想定外と言わず検証していただき、随時点検を行っていただきながら整備を是非鋭意努力して進めていただきたいと思います。
 また、政令市に対する助成の対象事業として法人二税の評価過程の活用などをされていると思いますけれども、神奈川県の道路としてどのようにあるべきか、経済の援助を回す、先ほど申し上げましたけれども、そういった観点からもしっかり進めていただきたいと求めたいと思います。
 次なんですけれども、せんだって危機管理対策については津波対策で質問がありましたけれども、本日は土木費ということで、まず平成19年度までに津波浸水予想図を策定したことは知っておりますけれども、今回公表した新たな津波浸水予測図の策定の基本的考え方と、それから今後どのような考え方で津波対策を進めていくのか伺います。

流域海岸企画課長
 県では、東日本大震災を踏まえまして、対象とする地震、津波として、できるだけ過去に遡ってあらゆる可能性を考慮し、想定外を排除して、本県にとって最大クラスとなる津波を想定することといたしました。そのため、技術的な見地から検証を行うことを目的としまして、学識者等で構成する津波浸水想定検討部会を設置して検証を行いました。
 対象とした地震としましては、慶長型地震や元禄型関東地震と神縄・国府津‐松田断層帯地震の連動地震など12の地震でありまして、それぞれに津波浸水予測を実施して浸水予測図として公表いたしました。
 津波対策の基本的な考え方でございますが、おおむね数百年から千年に1回発生する最大クラスの津波に対しましては、避難することを基本としてその対策を進めまして、また、おおむね数十年から百数十年に1回程度発生する規模の津波に対しましては、内陸への浸入を防ぐ堤防などの施設整備による防護を基本として対策を進めることとしております。
 なお、今回、公表いたしました新たな津波浸水予測図の最大クラスの地震としましては、明応型地震、慶長型地震、元禄型関東地震と神縄・国府津―松田断層帯の連動地震、神奈川県西部地震の4地震となりました。 

内田委員
 津波避難タワーにつきましては、開会式、そしてほとんどの議員が現地調査に行っていると思います。今後の活用もお聞きしたいんですけれども、津波情報盤の方も整備を行ったということですが、具体な整備状況について伺いたいと思います。

砂防海岸課長
 津波情報盤は、利用者が多い海岸におきまして、津波注意報・警報の発表を電光表示と赤色の回転等によりリアルタイムでお知らせしまして、速やかに避難を促すための施設でございます。
 相模湾全体で12基を整備する計画で、平成22年度までに藤沢海岸、茅ヶ崎海岸で合計5基の整備を行っておりました。平成23年度は東日本大震災を踏まえまして、残る7基全ての整備に着手いたしまして、今年度中には完了した箇所から順次運用を開始する予定でございます。具体の箇所につきましては、三浦海岸、逗子海岸、平塚海岸、大磯海岸、湯河原海岸、ここで各1基、鎌倉海岸で2基という計画でございます。 

内田委員
 今津波情報盤の方の整備について伺いましたけれども、もう一つは、おおむね10年から百数十年間に1回発生する頻度の高い津波に対しては堤防などの施設整備を行うということですけれども、現在の堤防の方の整備状況はどのくらいあるのか。また、今後どのように進めていくのか伺いたいと思います。

砂防海岸課長
 まず、津波に対する現在の整備状況についてでございますが、県ではこれまで、これは東日本大震災前まででございますが、南関東地震や神奈川県西部地震による津波を想定して施設整備を進めてまいりました。80%の整備率となっております。
 次に、今後の施設整備の進め方についてでございますが、現在、おおむね数十年から百数十年に1回発生する頻度の高い津波に対する海岸ごとの計画堤防高の設定を進めているところでございます。今後、費用、それから砂浜幅の確保、景観といった様々な観点から検討を進め、地元市町や地域の皆様の御意見を伺いながら、具体な計画を策定して順次整備に取り組んでまいります。 

内田委員
 海岸沿いが多い神奈川県ですけれども、津波対策というものを進めていくためには市町村との連携なども重要だと思いますが、今後、県としてはどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

流域海岸企画課長
 まず、今回公表しました新たな津波浸水予測図を基にしまして、沿岸の市町では津波ハザードマップを順次作成、公表しているところでございますが、市町に対しては引き続き必要な技術的な支援を行ってまいります。
 また、津波の浸入を防ぐ堤防などの施設整備が必要となる沿岸の市町につきましては、その高さや整備手法などについて市町と緊密に連携を図り、地域の意見を踏まえて進めていくように考えております。
 更に、県や沿岸市町で構成します津波浸水予測図作成連絡会などにおいて、国等の最新の研究結果によります新たな知見などの情報を市町に提供して共有化を図り、引き続き緊密な連絡調整を図ってまいりたいと考えております。 

内田委員
 津波対策は非常に重要で、沿岸部の住人の方は本当に不安に思っている方も大勢いらっしゃると思います。県としては、市町村と連携をとりながら、しっかり進めていただきたいと要望します。
 次に、沿岸部ではなくて河川の方の災害対策、土砂管理も非常に重要でして、ゲリラ豪雨、いつ何どき起こるか分からない、そんな自然災害も、最近は異常気象なので私どもも注視していかなくてはならないと思いますけれども、まず河川の災害対策として現在どのような対策を行っているのか伺いたいと思います。

河川課長
 河川の災害対策としましては、まずハード対策として、河川の氾濫を防ぐために川幅を広げたり川底を掘り下げたりする整備のほか、洪水を一時的に貯留する遊水地などの河川の整備を進めております。また、河川の整備とともに、それを良好な状態に保つために、日頃から堆積した土砂の除去でありますとか護岸の修繕などの取組を行っております。
 さらに、水害の軽減を図るために、河川の整備維持管理に加えまして、いざというときの円滑かつ迅速な避難に役立つ河川防災情報の提供を進めております。

内田委員
 河川の氾濫を防ぐためのハード対策、河川の整備を進めていくということですけれども、現在、都市河川は18河川ぐらいあると思いますけれども、整備についてはどのように進めているでしょうか。

河川課長
 県では平成22年3月に都市河川重点整備計画、新セイフティリバーを策定しまして、特に過去の大雨で水害が発生した河川や都市化の進展が著しい地域を流れます18河川を、30年間で時間雨量おおむね50ミリから60ミリの降雨に対応できるよう重点的に整備を進めております。平成23年度末の整備率は約6割で、今後とも引き続き整備を着実に進めてまいります。 

内田委員
 春に酒匂川の方で河川の防災についてのイベントがありましたので顔を出させていただきましたけれども、こうした河川防災情報の提供も重要ですが、平成23年度はどのような取組を行ったのか伺います。

河川課長
 河川防災情報に関しましては、大雨による河川の増水状況などが分かりますように水位計を設置するとともに、雨量、水位の情報ですとか河川監視カメラ画像についてインターネットで一般の方々にも提供を行っております。また、市町村へも情報の提供を行いまして、水防活動などが円滑に進むよう連携を図っております。
 平成23年度の取組につきましては、水位計については引地川など7河川7箇所、河川監視カメラにつきましては引地川など2河川2箇所に整備しまして、河川情報の提供の充実を図りました。 

内田委員
 県内には河川がたくさんございますけれども、特に相模川と酒匂川、こちらの方は土砂環境をこれからも改善していかなくてはならない。そして、土砂も非常にたまっているということで、台風が来たときに洪水になってしまうおそれもあるということで非常に危機感を持っているんですけれども、平成23年度に酒匂川ではどのようなことを行ったのか伺いたいと思います。

流域海岸企画課長
 酒匂川の堆積土砂の対策につきましては平成18年度から行っておりますが、平成22年の台風9号の影響によりまして堆積が顕著に見られるようになり、喫緊の課題として土砂対策を行っていく必要があると認識しております。
 そこで、平成23年度は、堆積の著しい箇所につきまして大幅に予算を増額し約20万立方メートルの河床掘削を行い、そのうち約5万立方メートルの土砂を上流の深掘れ箇所に埋め戻したり、海岸の養浜材として搬出し、有効利用を図りました。
 一方、酒匂川流域の適正な土砂環境を回復、保全するため、学識者や国、静岡県、漁組などから成る酒匂川水系土砂管理検討委員会を平成16年に設置しまして、山、川、海の土砂の流れの連続性を捉えた酒匂川の総合的な土砂管理構想である仮称酒匂川総合流域プランの策定に向けてこれまで検討を進め、平成24年3月にそのたたき台を作成いたしました。 

内田委員
 酒匂川は非常に土砂が堆積しているというのを建設常任委員会の方でもお伺いしていますけれども、年間3億円レベルということですけれども、県としては今後どのようにそういったことに対して進めていくのか、最後にお伺いしたいと思います。

流域海岸企画課長
 今年度も引き続き河床掘削を行い、深掘れ箇所に埋め戻しをするとともに、海岸の養浜材として搬出しまして有効利用を図っていく予定でございます。今後も災害の未然防止のため重点的に河床掘削を進め、河川の堆積土砂の対策にしっかりと取り組んでまいります。
 また、酒匂川総合流域プランにつきましては、たたき台を基にしまして酒匂川水系土砂管理検討委員会の意見を聞きながら引き続き検討を行い、平成24年度中の策定を目指してまいります。 

内田委員
 そうした堆積の問題で洪水が起こってしまって被害が非常に大きいものになってしまうと、後の処理が大変だと思いますので、ふだんからしっかり取り組んでいただきたいと訴えたいと思います。
 あと、土木費につきましては、幾つか聞きたいことがありますのでお伺いしたいと思いますけれども、環境の観点から見た都市公園の整備についてなんですけれども、特に今環境問題が叫ばれておりまして、ここ二、三年で大分県民の意識というものも変わってきたと思います。
 私の方ではこうした環境の観点からということでお伺いしたいんですけれども、境川遊水地公園の方では、遊水地の水辺環境を生かした公園造りというものを進めているそうですけれども、これは実際どのような整備を実施しているのか伺いたいと思います。

都市公園課長
 境川遊水地公園は、横浜市と藤沢市にまたがる三つの遊水地の広大な上部空間を活用いたしまして、ビオトープのある自然創出ゾーンと野球場や多目的広場のある広場ゾーンを整備するものでございまして、既に横浜市側の俣野遊水地と下飯田遊水地の一部が完成し供用開始をしております。
 このうち自然創出ゾーンでは、境川の自然豊かな水辺環境を生かしまして、水辺の様々な野鳥ですとか昆虫、魚や植物などの生物が生息するビオトープといたしまして、年間を通じて様々な生物の観察ですとか体験学習、水辺の風景を楽しむことのできる、こういった環境学習の場となるような整備、管理をしております。 

内田委員
 水辺の公園の方は良い取組だと思います。
 もう一つ、水とくれば山なんですけれども、里山の自然環境を活用した公園として茅ケ崎里山公園はどのような整備を行っているんでしょうか。

都市公園課長
 茅ケ崎里山公園は、茅ヶ崎市の北部の豊かな緑が残る丘陵地にございまして、人々が自然とともに生活していました里山の景観を生かした公園整備というものを行っております。
 公園整備に当たりましては、現況の地形ですとか生態系を極力生かしながら、自然環境の保全を図るとともに、樹林地、それから水田、畑で構成されました里山の景観、これを活用しながら農作業などの里山体験活動の拠点として、地域の文化ですとか自然と触れ合うことのできる場を提供するための整備を行っております。 

内田委員
 分かりました。
 最近は異常気象のせいで、真夏、都市部は非常に暑くなりヒートアイランド現象と言われておりますけれども、都市環境の問題が顕在化してきております。県立都市公園の役割としては、自然環境の保全や活用とともに、暑さに耐えられないというような真夏の時期でも水が出てくるなど、この間、三川公園にも伺いましたけれども、都市環境の改善の場としての役割も実に重要だと思っておりますが、県立都市公園ではそのような視点からどのような取組を行っているのか、改めて伺いたいと思います。

都市公園課長
 県立都市公園は、県民の憩いやレクリエーションの場であるとともに、まとまりのある緑やオープンスペースにつきましては、ヒートアイランド現象を緩和いたしまして、都市の熱環境の改善に資するなど、都市環境の改善の場としての役割を果たしております。
 また、公園利用の拠点となるパークセンターでは、再生可能エネルギーを活用した太陽光発電の他に、雨水の再利用ですとか断熱効果を高めるための屋上緑化などをしておりまして、できるだけ環境に優しいものとなるような環境共生型の施設整備を行っております。 

内田委員
 御答弁にありましたように、これからは環境・エネルギーの模索に関しても連携していかなくてはならないと思いますけれども、環境負荷の軽減のために太陽光発電施設の整備を進めているということですけれども、太陽光発電設備は災害時の避難地としての役割、機能強化にもなると思いますが、県立都市公園ではどのような考え方で太陽光発電施設の導入を進めていくのか伺いたいと思います。

都市公園課長
 県立都市公園では、これまで主に再生可能エネルギーの普及啓発ですとか環境学習の観点から、パークセンターへの太陽光発電の設備の導入というものを進めてまいりました。これからは、委員のお話にありましたように、これまでの取組に加えまして、都市の安全性の向上を図るために地震発生時の避難地として十分機能するように、防災対策の観点からも積極的に太陽光発電設備の導入というものを進めてまいりたいと思います。 

内田委員
 県立都市公園には、これから防災面、それからエコの観点、そして避難地としての機能強化、こういったことが求められておりますので、しっかり環境、防災の両面で進めていただきたいと要望します。
 あともう一つは、土木費の中の焼却灰のことについて伺っておきたいんですけれども、福島第一原子力発電所事故の影響によって、県管理下水処理場の汚泥焼却灰等から放射性物質が検出されたことについてですが、現在の県管理下水処理場における焼却灰の保管状況と、それから搬出状況について伺いたいと思います。

下水道課長
 福島第一原子力発電所事故の影響によりまして、県管理下水処理場の汚泥焼却灰から放射性物質が検出されたことから、搬出できない焼却灰をやむを得ず処理場内で保管しております。保管量は1031日現在、4処理場合計で4,891トンとなっております。焼却灰は、飛散等しないよう水を加え加湿しまして、大型の土のうに詰め、専用の建屋内で安全に保管しております。
 搬出の状況でございますが、再利用に向け、受入側では低濃度の焼却灰から徐々に受入れを再開しておりまして、今年1月中頃以降は、日々発生する焼却灰につきましては、ほぼ全量搬出ができている状況でございます。また、保管中の焼却灰につきましても徐々に搬出できるようになりまして、これまでの最大保管量は本年8月6日の5,314トンでございましたが、1031日までに423トンを搬出することでき、保管量が徐々に減ってきているところでございます。 

内田委員
 継続して焼却灰の放射性物質濃度の測定も行っていると聞いていますけれども、最新の測定結果を伺いたいと思います。

下水道課長
 各処理場におきましておおむね週に1回、焼却灰の放射性物質濃度の測定を行っております。最近の測定結果としましては、1022日に採取した試料では、放射性セシウムの濃度は最も高い処理場では1キログラム当たり775ベクレル、最も低い処理場では189ベクレルとなっております。
 なお、これまでの最大値は昨年5月30日に採取した試料でございまして、4,424ベクレルとなっておりまして、大分低下してきている状況でございます。 

内田委員
 そうした濃度の測定や焼却灰の保管に関わる平成23年度の追加的な支出は幾らなのか伺います。

下水道課長
 平成23年度末までに額が確定しました追加的支出は、合計で約3億5,200万円となっております。その内訳でございますが、保管用の建屋の建設費が約1億8,700万円、焼却灰の仮置き作業費等が約1億5,100万円、放射性物質濃度測定費が約1,400万円となっております。 

内田委員
 結構な額でございますけれども、これらの追加的支出に関して東電への損害賠償請求も何度かされていると思います。その賠償請求の状況について伺いたいと思います。

下水道課長
 県ではこれまでに2回、東京電力に損害賠償請求を行っております。
 1回目の請求は本年1月26日に行いまして、内容は焼却灰の保管、測定費等に要した費用のうち昨年11月末までに額が確定したもので、請求額は約1億600万円でございます。これにつきましては、本年5月1日に全額を収入しております。
 2回目の請求は6月25日に行いまして、内容は本年3月末までに額が確定したもので、請求額は約2億4,500万円でございます。この支払につきましては、現在東京電力の方で内容の確認作業中ということで、具体的な支払時期等については未定とのことでございますが、早期に支払われるよう調整を進めてまいります。 

内田委員
 そうした焼却灰の処理について、県としては今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

下水道課長
 今後の対応でございますが、放射性物質濃度が大分低下し再利用に向けた搬出が再開されまして、また、保管量も徐々にではございますが減ってきておりますので、引き続き測定を行い、搬出に向け受入側との調整を進めるとともに、搬出できるようになるまでの間は処理場内で安全に保管してまいります。
 また、引き続き様々な機会を捉えまして、抜本的な対策として国の責任で最終処分場を確保することなど、国に実効性のある対策を求めてまいります。
 また、焼却灰の保管や測定費用などにつきましては、順次、東京電力に損害賠償請求を行いまして、早期に支払われるよう働き掛けてまいります。 

内田委員
 損害賠償請求は大変ですけれども、やはりしっかりと早期に支払われるよう東電に請求の働き掛けを行っていただき、安全な焼却灰の管理の方も求めたいと要望します。
 次に、農林水産費の中の水産費について伺いたいと思います。
 まず、水産費なんですけれども、本県における漁業者の数の推移、こちらの方は高齢化していて非常に減ってきているという危機感を持っていると思いますけれども、近年の新規就業者数について伺いたいと思います。

水産課長
 まず、平成20年度の漁業センサスの数字によりますと、本県の漁業就業者数は2,496人でございまして、平成元年の4,040人、平成10年の2,950人と比較いたしますと、20年間で約半数近く減少している状況でございます。
 また、新規就業者は平成23年度が37人で、平成20年度以降4年間の新規就業者は平均34人でございます。その前の4年間は平均20人でございましたので、近年、新規就業者自体は増加傾向にあるということは言えます。ただ、減少ペースの方が新規就業者を上回っております。 

内田委員
 新規就業者数が若干伸びてきているというのは、すごく期待が持てることなんですけれども、漁業者を確保したり養成するための取組についてどのようなことをされているのか伺いたいと思います。

水産課長
 近年、国の方では、漁業者を増やすために漁業以外の分野から新規参入者を受け入れた業者に対して6箇月から最大12箇月間の研修費用を支援する補助制度がございます。県といたしましても、この事業を導入するために業者への助言や指導を行っており、この制度を活用いたしまして、平成21年から12名が着業するなど新規参入者の若い漁業者が着実に定着しつつございます。
 また、県立海洋科学高校の生徒に漁業現場の理解促進を図るために、漁業者や水産技術センターの研究員による講座を行った後、実際に業者の船に乗って漁業現場を実体験していただく漁業体験講座というのを行っております。近年、漁業者になりたいという意識を持ってこの講座を受ける生徒もいるという状況でございます。 

内田委員
 それでは、神奈川県ではどのような漁業が盛んなのか、現状を伺いたいと思います。

水産課長
 本県の沿岸漁業は、東京湾や相模湾を漁場として漁船を使った底引き網漁業や刺し網、釣り、更に魚が通る場所に網を設置した定置網などの漁業が盛んに行われております。特に本県では、沿岸の漁業生産量の6割から7割を占めております定置網が基幹漁業となっておりまして、平成22年度の沿岸漁業の生産量は2万3,000トンでございますけれども、63.3%に当たる1万4,690トンは定置網によるものでございます。
 また、近年では、イワシの稚魚、いわゆるシラスを船びきでとるシラス船びき網漁業が非常に盛んでございまして、自らとれたシラスを加工して販売するということで大きな収益を確保しており、非常に元気な漁業ということが言えるかと思います。 

内田委員
 漁業者への経営支援策の一環として、水揚げの増加と収入の安定化のために、最近、県では栽培漁業というものに非常に力を入れているというふうに聞いておりますけれども、現在、マダイやアワビに次ぐ新しい栽培漁業の対象種としてちょっと高価なトラフグ、こちらの新開発に取り組んでいると聞いていますけれども、何でトラフグを新たな栽培漁業の対象としたのか、その経緯などを伺いたいと思います。

水産課長
 トラフグは、本県、東京湾、相模湾両方に生息してございます。特に小型底引き網、それから定置網、はえなわなど、他の漁獲物と混ざってとられるということで、漁獲量としては比較的少なく、年間数百キログラムが水揚げされているところでございます。
 しかし、トラフグは非常に単価が高く経済価値が非常に高いということから、漁業者からも放流の要望が大変高く、県水産技術センターで試験的に人工種苗を放流したところ、トラフグの漁獲量が翌年から非常に増えまして、3年後には5倍以上に増えたという結果がございました。このような漁業者からの要望も高く、人口種苗の放流による効果も期待できるということから、本格的に技術開発を始めたところでございます。 

内田委員
 非常に興味深いことなんですけれども、トラフグの栽培漁業につきましては、当然技術開発というものが非常に大切だと思いますけれども、何か目標があれば伺いたいと思います。

水産課長
 県では平成26年度を目標年度として、現行の神奈川県栽培漁業基本計画というのがございますが、その中でトラフグについては全長20ミリメートルの稚魚を毎年10万尾放流する目標としてございます。この目標を達成させるためには、種苗の安定的な生産技術の開発を行うとともに、適正な放流場所、放流時期、放流方法などの条件を解明しまして、それと同時に放流効果を把握するためのモニタリング調査というのを実施してまいりたいというふうに考えております。

内田委員
 水産費を見ますと、小田原、三崎漁港などの水産基盤整備費が決算で約23億円と、主に公共事業が見られますけれども、そのように水産振興費、水産漁業組合指導費、水産技術センター費などがございますが、神奈川県としましては、まずサバ不漁、地元に大打撃という神奈川新聞の記事がついこの間、29日の月曜日にトップで載っていましたけれども、やはりこれから水温の上昇など異常気象の影響が漁業にかなり大きく影響すると思います。だからこそ、そのようなトラフグの栽培漁業やできることをやっていかなくては水産業は守れないと思うんです。
 最後に質問しますけれども、神奈川の水産ということを考えたときに、その課題、そして今後どのように水産業を守って、地場産業を発展させていき、また展開していくのか、伺いたいと思います。

水産課長
 現在、東京湾、また相模湾にしましても、水産資源というのは減少しているという厳しい現状にございます。漁業者にとっては、まず漁獲があってこその漁業ということでございますので、まず神奈川県の海に水産資源を増やすということが第一というふうに考えてございます。
 そのためには、先ほどからお話しさせていただきましたトラフグやマダイなどを直接的に増やす栽培漁業や、それらの資源を持続、再生産させる資源管理、それが必要と考えております。
 また、稚魚の成育にはアマモなどの藻場や浅場などの成育環境が必要でございますので、海の環境改善に取り組みながら、藻場や漁場の再生に取り組んでいきたいというふうにも考えております。
 さらに、漁業を魅力ある産業としていくことも必要でございますので、漁家経営が安定するためにも、業者自らが加工したり販売したりする直販方式、あるいは六次産業化の推進を図ってまいりたいというふうにも考えております。
 最後になりますけれども、漁業者の高齢化や漁業者数の減少が進んでおりますので、操業方法の省力化や近接漁場の開発など操業コストの削減についても今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。 

内田委員
 水産費全体に関して要望を申し上げます。
 県民に新鮮で安全・安心な地場水産物を供給し、地産地消を推進していくためにも、若い漁業後継者の養成や経営支援のためのトラフグの放流技術の開発など、豊かな海づくりの推進について引き続き取り組んでいただき、神奈川の水産振興に向けた施策展開をお願いしたいと思います。