《本会議録-平成25年第2回-20130619-027379-質問・答弁-内田みほこ議員-一般質問@高齢者福祉についてAかながわの名産品の海外への販路の拡大についてB東日本大震災による県内避難者支援について》

 

                  午後3時10分 再開

〔議会局長報告〕

  出席議員 議長共72

〇議長(古沢時衛) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

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〇議長(古沢時衛) 質問を続行いたします。

  内田みほこさん。

〔内田みほこ議員登壇〕(拍手)

〇内田みほこ議員 古沢議長のお許しをいただきましたので、私は、自民党県議団の一員として質問させていただきます。

  アベノミクスの3本目の矢が放たれた今、成長戦略では民間企業の設備投資を促す減税措置や規制緩和などの道筋が示されたほか、戦略市場創造など世界の中でも誇れる日本、勝てる経済を念頭に打ち出しています。私は、こうした政府の前向きな施策の推進を注視しながら、今後も着々と進めていかなければならない高齢者福祉について、一次産業を活性化するためにもグローバルな展開を視野に入れた神奈川の名産品の海外への販路の拡大について、また、時間の経過とともに薄れそうな東日本大震災の被災者支援について質問します。

  知事並びにいのち・健康担当理事、保健福祉局長におかれましては明解なるご答弁をお願いいたします。

  先輩、同僚議員におかれましては、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。

  質問の第1は、高齢者福祉について3点お伺いいたします。

  まず初めに、高齢者の見守り活動についてです。

  先月、大阪で地域から孤立していた母子が自宅で亡くなり、数箇月後に発見されるという大変痛ましい事件が報道されました。最後にお腹いっぱい食べさせられなくてごめんね、と書き残されたメモや、貯金通帳の額も底をついていたことが判明いたしました。母子の暮らしぶりは困窮を極めたのだろうかと、私も非常に考えさせられました。

  こうしたいわゆる孤立死、孤独死の問題の背景としては、単身の高齢者世帯の増加、地域の関心の低下、行政が把握できないケースの増加や貧困の拡大などさまざまですが、この大阪の事例では、ライフラインが打ち切られたという事実が行政に伝わっていれば最悪の事態は防げたのではないかと悔やまれます。

  孤立死、孤独死については、当初は、都会には人がたくさんいるにもかかわらず、だれにも気づかれず亡くなっているという状況を指して、都会の中の孤独な死、というように定義されていましたが、昨今では、病気や何らかの原因で助けを呼べずに衰弱死する例や、慢性的な不景気から生活が困窮し、そのまま餓死してしまう事態が散見され、予防策がようやく求められるようになってきたところであると理解しております。

  やはり都市部においては特に他者との交流が疎遠になりがちであり、孤独死はより身近に発生し得ると考えます。特に昨今目立っているのは、介護していた側が急病などで突然死し、副次的に動けない要介護者側が餓死するケースなどです。老々介護の問題のみならず、親と子、また、障害児を抱えた親子の例も見られます。

  このように、都市部などの地域コミュニティが希薄な地域やなじむのが苦手な方、高齢者、配偶者との死別を含む独身男性や親族が近くに住んでいない方、定年退職又は失業により職業を持たない方、慢性疾患を持つ方、故意に連絡をとらない都市部の一室にお住まいの方など、潜在的な孤独死予備軍は年々増加しているのが現実です。また、突然の心筋梗塞や脳溢血、風呂場などで転倒して骨折し、電話で助けも呼べず衰弱死する例など、日常生活でも起こりがちです。

  これらの予防として、ひとり暮らしの高齢者の場合は、例えばホームヘルパーの訪問介護や地域ボランティア団体による訪問サービスといった介護制度の利用、コンピュータネットワークでの在宅健康診断や、電気ポット等の使用頻度などで生活情報を送信することで安否を確認するシステムの導入などが考えられ、既に実践している市町村もあります。現在、全国の各地域では、自治会や民生委員が中心となった見守りや自発的なグループ活動による見守りなどの取り組みも進められていることは承知していますが、大阪の事件が象徴するように、さまざまな事情から行政や地域の支援を拒否される世帯もあり、こうした活動だけではおのずと限界があると思っています。

  この問題に対応し、県では昨年5月17日の公益社団法人神奈川県LPガス協会との地域見守り活動に関する協定の締結を皮切りとして、その後も家庭を訪れる機会のある事業者との締結を着実に拡大していると承知しており、私も昨年の本会議質問で取り上げさせていただいたところです。ガスの検針員や新聞の配達員が家庭を訪問し、外部から異変を感じた場合、市町村に通報し、いち早く福祉サービスにつなげるというこの仕組みを高く評価しており、個人情報保護などの課題があるものの、できるだけ多くの機会により見守る体制を構築し、孤独死、孤立死を未然に防止することが極めて重要と考えています。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  神奈川県LPガス協会との地域見守り活動に関する協定締結から1年を経て、これまでの見守り活動の実績をどう評価し、今後、この民間事業者との連携による見守り活動をどのように進めていこうとするのか、お伺いいたします。

  次に、地域包括ケアの推進について伺います。

  最近、保育所に入所できない待機児童解消に関する問題が世間を賑わせていますが、先月も、横浜市で待機児童がゼロになったという報道もあったところです。一方、高齢者福祉においては待機高齢者の問題が起きています。私はこの待機高齢者という、従前からあった課題ではありますが、これらを解決していくためのあらゆる方策について考えていきたいと思います。

  この待機高齢者に関しては、倍率が高くて申し込んでもなかなか施設に入れないといったことが話題に上がりますが、今からでも環境を整えなければ働き盛りの世代に介護ということで直接的に影響し、その働き方さえも考えさせられる問題に突き当たるからです。

  これまでは高齢化と言うと、若い人たちが都市部に働きに出て過疎地に取り残される高齢者の問題に目が向けられてきましたが、直面しているのは大都市とその周辺地域における爆発的な高齢化です。東京や大阪などの大都市には1960年以降、地方から若い人たちが移り住み、戦後のベビーブームと言われる昭和22年から24年までの団塊世代の勤勉な働きぶりによって日本経済も大きく成長しました。その団塊世代が65歳になり、会社を退職。この数年の間に都市部の高齢者人口が大幅に増加することに伴い、介護を必要とする高齢者も一気に増加することが想定されます。

  問題が深刻化するのは、団塊の世代が75歳を過ぎるころから。これから約10年後であります。やはりご高齢になると体調を崩すことも多くなったり、家庭環境も変わったりするなど、医療と介護の必要性が急速に高まっていくことになるでしょう。

  そこで、全国の各市町村もこうした課題に対応し始めておりますが、例えば千葉県柏市の豊四季台団地では、老朽化が進んで建てかえの時期を迎えていることに注目した柏市と団地を運営するUR都市機構、それから柏市にキャンパスを持つ東京大学の高齢社会総合研究機構の3者が連携し、柏プロジェクトと銘打って平成22年から始められ、注目されています。

  高齢社会への対応を探る企業や地域住民も巻き込んで、長寿社会のまちづくりのモデルをつくろうと動き始めたこのプロジェクト、都心から30キロ、人口40万人の中都市で始まった豊四季台団地は1964年に入居を開始、地方出身者の受け皿ともなり、都市部ではこうした団地が多いので、我が県の施策にも反映できると思います。

  この柏プロジェクトでは、主に二つの大きな取り組みが掲げられています。一つは、高齢者の健康維持、仲間づくり、長年培ってきた知識と経験を地域に還元するといったような観点から、無理なく働ける場を地域に確保して活躍してもらう生きがい就労。そしてもう一つが、在宅で医療や介護サービスを受けられる体制を整える取り組みとのことです。

  待機高齢者の課題解決に向けては、高齢者ができるだけ元気で活躍できる期間を長くすること、住みなれた地域で暮らし続けられるよう、生活の場に医療と介護を持ってくる必要があると思います。現在のように施設に頼っているままでは、いずれ限界が来ると考えられ、私は、本県では10年後を見据えて、できるだけ生活の場にあらゆるサービスが整っていることを心から望んでいるところなのです。

  それには、かかりつけの主治医や訪問看護師やヘルパーなどが連携して要介護者と家族を支える仕組み、在宅ケアに対応できるように、職種間の連携を確実にするために各事業者とともに要介護者の情報を共有するシステムを今後、開発していかなければならないと思われます。また、行政は地域住民へ周知し、住民も積極的に参加するといったことも大切であり、例えば高齢者の健康や意識調査にも高齢者自身が携わり調査を支えるなど、双方の関係がより深くなっていくことも同時に求められるでしょう。我が県でも県営住宅で高齢者の意識調査やモデル事業が行われていますが、県営住宅のみに終わらずに県全体にまで環境を整えていくことは、県民の多くが願うところであると確信しています。

  さて、本県の特別養護老人ホームの入所待機者は平成24年4月1日現在で2万3,950人となっており、県では速やかに入所が必要と考えられる実質的な待機者の解消に向けて、今期の「かながわ高齢者保健福祉計画」において5,100床を整備することは承知しております。今後ますます介護を必要とする高齢者が増えていく中で、県としては、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるように、施設はもとより在宅における介護や福祉サービスの充実を図るべきと考えます。

  厚生労働省においても、介護の将来像として、高齢者に対して住みなれた地域で住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に提供できる体制である地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要な課題であるとしています。

  そこで、保健福祉局長にお伺いいたします。

  高齢化が急速に進む本県において、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築や充実に向けてどのような考えで取り組んでいるのか、お伺いいたします。

  次に、高齢者の健康づくりについて伺います。

  今年80歳になったプロスキーヤーで登山家の三浦雄一郎さんのエベレスト登頂成功の第一報は、私たちに、希望と勇気とともにある種の驚きをも与えてくれました。80歳であっても世界最高峰の山に挑戦することができるのだということを実証してくれ、私もニュースを見ながら感動したところです。そして、このほど政府は、顕著な業績を上げた冒険家に贈る三浦雄一郎記念日本冒険家大賞を創設いたしました。

  若いころから足腰を鍛えている三浦氏は、病なども克服し、今もなお足におもりを付けてトレーニングされているということで、その努力と体を鍛え抜く強い精神力には本当に圧倒されます。また、高校の校長先生を現役で務められているということで、私は、強靱な肉体には強靱な精神が宿るのではないかと思います。三浦氏が普段から健康や体力増進に力を注いでいること、これは私たちも今後、みずからの健康づくりに関して大いに見習っていくことであると感じた次第です。

  知事は年頭の神奈川全開!宣言2013において健康寿命日本一を目指すことを宣言し、男女ともに平均寿命を約1歳延ばす考えであると承知しています。この健康寿命を延ばし日本一を達成するためには、さまざまな視点からの取り組みが必要であることは、先日の代表質問において我が党の杉本議員から質問したところでありますが、中でも私は、高齢者の方々の健康づくりが重要になると考えています。県の要支援、要介護認定を受けている高齢者の方々は高齢者全体の約15%であると承知していますが、健康で元気な高齢者の方々が要支援、要介護状態となることを予防し、いつまでも元気で生き生きと暮らせるよう取り組みを進める必要があると思います。

  そこで、いのち・健康担当理事にお伺いいたします。

  健康寿命日本一を目指す本県としては、その実現に向けて今後、高齢者の健康づくりを推進するために具体的にはどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

  質問の第2は、かながわの名産品の海外への販路の拡大についてです。

  平成25年4月に公表された総務省の平成24年の人口推計によると、日本の総人口は2年連続で減少しており、また、国立社会保障・人口問題研究所の予測では、今後も長期にわたって人口は減少していくとされています。国内の人口が減少すれば、それに伴い国内消費は減少し、市場の規模が縮小することは避けられない状況です。

  国内はこうした環境ですが、一転して海外に目を向けますと、アジアの新興国を中心に人口はいまだ増加傾向にあり、所得水準も上昇し、いわゆる中間所得層が増大しております。こうした国々では日本食がブームになっており、日本の高品質でおいしく、健康によいといったイメージのある農林水産物や食品などは、現地の人たちにとって高価格であっても人気があることから、今後も海外での需要は増加していくものと見込まれています。

  そこで、農林水産物の輸出について概観すると、日本の農林水産物、食品の輸出額は約4,500億円であり、農業・食料関連産業の国内生産額、約95.3兆円と比較して圧倒的に少ない状況であります。しかしながら、ブランドとして確立されている農水産物、例えば青森県産のリンゴは出荷料の5%程度が輸出向けとなっております。リンゴの輸出の時期は、中国や台湾などの春節前であって出荷量も豊富となる12月から1月が中心とのことですが、この時期の輸出により国内のリンゴの流通量を調整することもでき、値崩れすることなく価格が維持されるため、輸出によって他の産地も収入面で恩恵を受けるといった効果もあると聞いております。

  本県においては農林水産物や加工食品、さらには木材を使った伝統工芸品がかながわブランドやかながわの名産百選にそれぞれ登録、選定されております。例えばかながわブランドに登録されている湘南ゴールドは、知事による百貨店でのトップセールスやオリジナルスイーツの開発などにより知名度が高まっており、今後も生産量の拡大が見込まれるとのことです。また、せんだっても神奈川新聞で紹介されていた寒川メロンや、県が長い間、品種改良に取り組み、このほど知事が湘南ポモロンと命名したトマトの新品種はまだ生産量も少ないとのことですが、県としても、既存の商品に加えブランド商品になりそうな農産物を発掘し、PRして育てていくことも視野に入れていただきたいと思います。

  私は、このような取り組みに加え、第一次産業を活性化していくためにも、加工品をつくる中小企業や流通業界との連携など、民間企業の理解と積極的な協力体制も大切だと考えます。

  こうした神奈川の農水産物、そして、それらから生まれた加工品のそれぞれは、長年の先人の努力のたまものであり、その土地や風土、伝統が生み出した海や山の幸、匠の技であると思います。また、同時にすぐれた知的財産、ブランド品と言えるのではないでしょうか。これらは県内や国内に流通させるだけでは余りにも惜しいと思います。こうした神奈川で生まれた名産品の海外への販路について、取り組みの強化や支援が必要になってくるのではないかと考えます。

  そこで、知事に伺います。

  かながわの名産品の海外への販路の拡大について、今後どのように支援を行っていくのかお伺いいたします。

  質問の第3は、東日本大震災による県内避難者支援について伺います。

  まず、県内避難者支援の成果と課題についてです。

  東日本大震災から2年が経過しました。この間、復興庁の創設や復興に関する法整備も進められ、被災地では復興に向けた努力が続けられています。本県でも県や市町村の職員の派遣やボランティアの活動支援など、現在も継続的な支援を行っているところですが、被災地の復興に関しては、住宅の問題一つをとっても復興公営住宅の建設や自力での住宅再建も余り進んでおらず、土地利用を含めたまちづくりも余り進展していない状況ではないでしょうか。特に原発事故の影響を受けた地域では、復興の方向性も見えていないというのが現状だと思います。

  こうした状況の中、被災地では多くの方々がさまざまな理由から避難生活を送っており、その数は現時点で約30万人、被災県以外に避難している方々は全国で6万人に達すると聞いており、本県でも約2,500人の方々が避難生活を送っています。

  東日本大震災では我々は多くの教訓を得ましたが、大規模災害への意識も時間の経過とともに薄れがちです。地震災害への危機意識を持ち続けることとともに、震災で多大な被害を受け、避難生活を送っている方々がいるということを我々は忘れてはいけないと思います。

  避難者の生活再建は、被災者本人はもとより被災地にとっても重要な課題であり、大震災で大きな被害を受けた避難者の問題を受けとめ、真摯に取り組んでいく必要があります。知事は震災後に就任して以来、県内への避難者への支援に積極的に取り組んできたと承知しています。中でもかながわ避難者見守り隊による取り組みは先進的な取り組みであり、他に誇れる施策ではないかと思います。こうした取組姿勢を示すことは、避難者にとっても心強いものだと思います。

  一方で、これまでの支援活動を通じてさまざまな課題も見えてきているのではないかと考えます。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  県は、これまで2年にわたって県内避難者への支援に取り組んできましたが、支援活動の成果と避難者支援に係る課題をどのように捉えているのか、基本的な考えをお伺いいたします。

  次に、県内避難者への今後の具体的な支援について伺います。

  県内に避難されている方々の生活が避難前の状態に戻るには、長い時間と、避難者を取り巻く環境に対する行政の継続的な支援が必要不可欠であります。それには、これまで復興の道のりを歩んできた、平成7年に発生した阪神・淡路大震災の現状を踏まえて取り組むことが重要と考えます。

  ご存じのとおり、この兵庫県南部で発生した大地震においても近畿圏広域で甚大な被害をもたらし、住居を喪失した多くの被災者が仮設住宅や災害復興住宅に入居し、今年で18年が経過いたしました。今年初めの報道によると、阪神・淡路大震災被災者らが暮らす265団地の災害復興公営住宅で、平成24年の1年間に独居の孤独死が61人に上り、避難生活を送った方の中で、仮設住宅が解消された平成12年以降から昨年までに約800人の方が孤独死したというデータがあるそうです。避難者の被災状況や生活環境も異なるので単純な比較はできませんが、東日本大震災による避難者の方々も避難先でさまざまな困難を抱えていると推察されます。

  宮城県が今年4月に発表した県外避難者ニーズ調査の結果によれば、今の生活で困っていること、不安なことは住まい、生活資金、体や心の健康などが挙げられています。これは、被災者の世帯構成や相談相手の有無によって挙げられる問題はそれぞれ異なるようですが、私は、支援を希望する方が孤立しないようにすることが特に大切と考えます。

  県では今年度、避難者が抱えるさまざまな問題に対応するべくさらなる支援の強化に取り組んでおり、先般、その一環として藤沢市内で相談会を実施したと承知しています。内容は、避難者の癒しのためのマッサージや健康や法律相談など多岐にわたっており、新聞報道では、心の荷が下りた、といった参加者のコメントも紹介されていました。こうした避難者に寄り添う姿勢で多様なニーズに応える支援を継続していくことも、大変有効であると感じた次第です。

  被災地の復興の状況から、避難生活もより長期化する可能性も見据え、県は避難者が抱える問題に対応して、よりきめ細やかな支援を引き続き行っていく必要があると考えます。

  そこで、知事に伺います。

  県内での避難生活が3年目となり、さまざまな問題を抱えた県内避難者に対して、今後どのように支援に取り組むのかお伺いいたします。

  以上で私の1回目の質問を終わります。

〔拍 手〕

〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕

〇議長(古沢時衛) 黒岩知事。

〔知事(黒岩祐治)登壇〕

 

〇知事(黒岩祐治) 内田議員の質問に順次お答えしてまいります。

  初めに、民間事業者との連携による高齢者の見守り活動についてお尋ねがありました。

  孤立死、孤独死の防止は行政や自治会などだけでは限界があります。生活の状況を把握し切れない世帯もあり、地域から孤立したまま亡くなるといった痛ましい出来事が後を絶ちません。

  こうしたことから県は昨年5月より、孤立死、孤独死のおそれのある世帯をいち早く発見し、行政の支援につなげるため、新聞や食材の配達など個人宅を訪問する事業者に地域での見守り活動をお願いする協定を順次締結してきました。今月7日にも新たに生活協同組合15団体と協定を締結し、これにより締結事業者は計26団体となりました。地域見守り活動の協力の輪が着実に広がっています。

  これまで39件の通報があり、その中には、配達に行ったところ倒れている高齢者を発見したため、病院に搬送したなど、この活動で大切な命を救えたという報告が8件ありました。これも事業者の方々に強い使命感を持って取り組んでいただいたおかげであり、この活動が県民にとって大変心強いものとなっていると強く感じましたので、ぜひ表彰したいと考えています。

  今後ともより多くの方々に見守り活動に参加していただくよう、日々の暮らしに密接に関連し、県内全域で個人宅を訪問する事業者を中心に、協定締結の拡充を図っていきます。

  この取り組みに対し、事業者からは、協定を締結したことで通報の対象とすべきケースや通報先が明確になったとの評価をいただいています。その一方で、個人情報保護の関係で通報してよいか判断に迷うことがあるとのご指摘もいただきました。このため、事業者が見守り活動によって得た安否などの情報を円滑に行政に提供できるよう、引き続き国に個人情報保護のガイドラインの改善を求めていきます。あわせて、事業者が活動しやすい環境づくりに向けて、事業者や市町村との間で見守り活動に係る情報や課題を共有する場を設けてまいります。

  次に、神奈川の名産品の海外への販路拡大についてお尋ねがありました。

  本県には、豊かな自然と歴史や文化に育まれた農水産物やその加工品、伝統的工芸品など、神奈川ならではの名産品が数多くあります。このうち農水産物やその加工品は、現在かながわブランドで87品目、またかながわの名産百選は80品目が登録、選定されています。これら名産品の生産者や加工業者は比較的規模が小さいということもあり、海外への販路拡大は、現地の市場ニーズの把握や安定した流通ルートの確保が難しいなどハードルが高いという状況にあります。このため、本県での海外展開の例は、JA全農かながわがカナダ向けに輸出している西湘地域の温州みかんなど、一部にとどまっています。

  一方、海外では、我が国から輸送距離が近い東アジアの国や地域で、富裕層の増加や消費市場の拡大などにより魅力的な市場が形成されつつあります。また、これらの国では健康志向の高まりにより安全で栄養バランスにすぐれている日本食が好まれ、加工食品を中心とした名産品の販路拡大に期待が持てる状況となってきました。こうした中、本県においても県央地域の地酒メーカーが東南アジアなどへ進出するといった動きも出ています。

  海外への販路拡大は、新たな取引先が増えることで経営基盤の強化につながります。また、海外で認められることによってより一層ブランドとしての魅力が向上するなど、多くのメリットがあります。そこで、県としては名産品の生産者や加工業者が海外での販路の拡大が可能となるよう、物産展や商談会を通じて支援してまいります。

  具体的には、この7月に日本食への需要が高まっている台湾において、加工食品を中心とした物産展、かながわフェアを開催します。この物産展には県内の20以上の食品加工業者などが参加を予定しており、台北市の中心にある百貨店で直接商品を販売し、その魅力をアピールします。また、今後の流通ルートの確保を図るために、現地バイヤーと事業者が直接商談する場も提供していきます。私も開催期間中に現地に出向いてトップセールスを行い、神奈川の名産品を広く台湾の皆さんにPRしてきます。

  フェア終了後も県は引き続き、専門家によるアドバイスなどを通じて、現地のニーズに対応した商品開発やパッケージの工夫といった、海外展開に向けた事業者の取り組みを支援していきます。今後も意欲的な生産者や団体と連携して、神奈川ならではの名産品の海外への販路拡大に努めてまいります。

  次に、東日本大震災による県内避難者支援について2点お尋ねがありました。

  まず、県内避難者支援の成果と課題についてです。

  慣れない土地で不自由な避難生活を送っている方々が少しでも早く安定した生活を取り戻し、ふるさとへの帰還を果たせるよう支援することは、非常に重要であります。そこで、私は県知事に就任して以来、本県へ避難されてきた皆さんへの支援に積極的に取り組んできました。

  東日本大震災の直後は安全な避難場所の確保と避難者の生活の安定が喫緊の課題でした。そこで、県立武道館などを避難所として提供するとともに、避難者への情報提供などに努めました。その後は県営住宅の活用や民間住宅の借り上げにより、避難者への住宅の提供を行いました。また、本県独自にかながわ避難者見守り隊を結成し、延べ8,000回を超える戸別訪問や電話により、避難者の相談への対応や必要な情報提供を行いました。全国的にもほとんど例のない手厚い支援ができたと思っています。

  このような取り組みにより、神奈川に避難された多くの皆さんが徐々に落ち着いた生活を取り戻すことができ、また、ふるさとに帰還された方もいらっしゃることは成果だと考えています。

  その一方、避難生活が長期化する中で、健康や子育て、就労、心の不安など深刻な問題を抱える避難者も少なくありません。今後はこうしたそれぞれの避難者の方が抱える問題の解決を図り、安定した生活を取り戻していただくことが課題です。さらに、制度の充実も課題です。現状では、県外への避難者に対する国の支援は、生活再建に対する支援が少ないなど必ずしも十分とは言えません。そこで、全国的な制度の充実等についても全国知事会などを通じて国に働きかけています。

  次に、県内避難者への今後の具体的な支援についてです。

  避難生活が長期化する中で、それぞれの避難者の方が抱える深刻な問題に対して、今後は個々に支援することが重要になっています。そこで、県は今年から新たに三つの取り組みを進めています。

  まず1点目は、関係機関の連携の強化です。被災県、県内市町村、企業、NPO、大学等が参加するかながわ避難者支援会議を5月に立ち上げました。この連携体制のもとで、それぞれの機関の専門性を生かした相談会など、避難者のさまざまなニーズに対応した支援を進めます。

  2点目はかながわ避難者見守り隊の強化です。保健師、介護支援専門員、医師など新たな専門職種を加えて従来の見守り隊を再編成し、個別により専門性の高いサポートを行います。

  3点目は、県内避難者の皆さんへの支援拠点として運営してきた東日本大震災支援情報ステーションの充実です。これまでの相談業務に加えて、県内各地域で開催される交流会のご案内や避難者が抱える問題の聞き取り、支援機関との橋渡しなど、県内避難者へのきめ細かな支援を積極的に進めます。

  東日本大震災から3年目になりました。県はこうした新たな取り組みにより、県内避難者の皆さんの自立とふるさとへの帰還に向けて引き続き支援を進めてまいります。

  私からの答弁は、以上です。

〔理事(山田直子)発言の許可を求む〕

〇議長(古沢時衛) 山田理事。

〇理事(山田直子) いのち・健康関係のご質問にお答えいたします。

  高齢者の健康づくりについてお尋ねがありました。

  健康は高齢者の生活の質を高め、自立して暮らしていくために大変重要です。このため、まずは元気に高齢期を迎えられるよう、生活習慣病の重症化予防に焦点を当て、若いときから食事を初め日常生活を見直す、神奈川保健指導モデル事業をスタートさせました。

  また、高齢期になっても要介護状態にならないためには、食や運動による健康づくり、介護予防に取り組むことが必要です。このため、県では衣食農同源の考え方に基づき、食材の研究やレシピの開発、料理教室の開催などを進めてきました。さらに、市町村が行っている地域の高齢者を対象とした介護予防体操や栄養改善、口や歯の健康維持、また閉じこもりや鬱の予防など、さまざまな取り組みに対して支援を行っているところです。

  一方、今年1月、高齢社会をテーマに開催した知事との対話の広場では、年をとってもさまざまな活動に積極的に参加し、みずから健康生きがいづくりを実践しているとのご発言が多数ありました。健康寿命日本一を目指すためには、県民一人一人の主体的な取り組みが大切です。

  そこで、県ではこうしたご意見を参考に、今年度、健康体操やダンスなどの集いを主催する地域の団体を公募し、高齢者が気軽に健康づくりを楽しむ場を提供する事業を全県で展開することといたしました。また、有識者等から成る「健康寿命日本一戦略会議」でも、高齢期の健康づくりについてさまざまなご意見をいただく予定です。

  今後も健康寿命日本一を目指すためには、高齢者を初めより多くの県民の皆様に健康に関心を持っていただくことが大変重要と考えます。市町村や関係団体と連携・協力して健康づくりの機会を数多く提供するとともに、健康寿命を考えるフォーラム等を開催し、健康づくりの機運を一層高めてまいります。

  私からの答弁は、以上です。

〔保健福祉局長(菊池善信)発言の許可を求む〕

〇議長(古沢時衛) 菊池保健福祉局長。

〇保健福祉局長(菊池善信) 保健福祉局関係のご質問にお答えします。

  地域包括ケアシステムの構築や充実についてお尋ねがありました。

  高齢者が住みなれた地域において安心して元気で暮らし続けるためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援の五つの分野におけるサービスを高齢者の状態に合わせて切れ目なく提供する、地域包括ケアを推進することが重要です。この地域包括ケアを推進するためには、この五つの分野において高齢者と地域をキーワードにして施策を組み立てる必要があると考えます。

  医療の面では、在宅医療を推進するため、退院後の療養生活を支える在宅療養支援診療所や訪問看護ステーションを地域ごとに整備していきます。介護においては、在宅サービスの充実を図りつつ在宅で介護が難しい方が入所できる施設を地域ごとに整備するとともに、医療と介護の連携強化を推進します。予防としては、健康寿命の延伸に向けて、高齢者の方が地域で健康づくりと生きがいづくりに気軽に、継続的に参加できる仕組みづくりを進めます。住まいについては、バリアフリー化を推進するとともに、サービス付高齢者住宅などの多様な住まいの普及や多世代近居のまちづくりを図ります。生活支援では、配食サービスを通じた安否確認による見守りや、NPOやボランティアなどによる買い物支援、移動支援などの地域の助け合い活動の拡充に努めます。

  今後、こうした五つの分野での取り組みを、高齢者の状態に合わせ総合的にコーディネートできるような地域包括支援センターの機能を強化するとともに、医療や介護などの関係者による地域包括ケア会議を開催し、地域における課題を検討するなど、連携ネットワークづくりを進めてまいります。

  私からの答弁は、以上です。

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

〇議長(古沢時衛) 内田みほこさん。

〇内田みほこ議員 知事、山田理事、保健福祉局長におかれましては丁寧なご答弁をありがとうございました。

  それでは、自席にて要望等をさせていただきます。

  まず、高齢者の見守り活動についてですけれども、昨年度から比べると、この1年の間に神奈川県LPガス協会を入れて26事業者ということで、この1年の間に、その努力ということに敬意を表したいと思います。

  県のホームページの方にはこれとはまた別に、孤独死防止につながるセンサーの紹介とか、いろいろな機器の紹介が載っているんですけれども、私ちょっと調べさせていただいたんですが、載っているのは非常にいいことだと思うんですけれども、やはり県としてはただ紹介するだけではなくて、これからは一歩深めた対応というんですか、ただ企業を紹介すればいいという態度ではなくて、やはり県民でもいろいろそういったセンサーを導入してほしいというところもあると思いますし、できなくてもほかの、例えば狛江市などでは導入しているわけですから、ただ紹介するのみに終わらずに、さらなる協力体制、それから新たな仕組みが組めるように常にアンテナを張っていただきたい、これを要望しておきたいと思います。

  それから、地域包括ケアの推進についてなんですけれども、やはり今後、10年後ですか、これをぜひ目指して、今、保健福祉局長がおっしゃられた五つの枠組み、ありますけれども、しっかりと進めていっていただきたいと思います。

  また、政府の提案している10万円介護ロボットとかいろいろありますけれども、レンタルシステム。こういったサポート体制もぜひつくり上げていただきたいと思います。

  高齢者の健康づくりに関してですけれども、山田理事、ありがとうございました。元気で生き生きと高齢者が暮らせるように、知事もヘルスケア・ニューフロンティアという新しい提案をされております。心と体が健康になるように、例えば民間のスポーツジムの割引制度とか優待制度とか、そういった具体的な施策をどんどん取り入れていってほしいと思います。

  神奈川県の名産品の海外への販路の拡大についてなんですけれども、そうですね、例えばイタリアとか、それからフランスのボルドーワイン等は、その名産地を表示して、それをPRすることで製品をどんどんPRしているので、神奈川県においてもぜひそういったPRの方、知事得意ですので、頑張っていただきたいと思います。

  最後には、東日本大震災の県内避難者の支援に関してですけれども、生活再建支援の方が少ないということなので、増額できるように頑張っていただきたい。また、永続的な支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

  以上、私の一般質問を終わらせていただきます。

  ご清聴ありがとうございました。