《委員会記録-平成25年第2回定-20130625-000001-社会問題対策特別委員会》

 

内田委員

 先ほど、あらい議員から、消費生活行政について質問させていただきましたが、私からは総括的な質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、高齢者がだまされる投資話の二次被害が非常に増えておりまして、そういった大金を狙う悪徳事業者、犯罪集団の背景には、もしかしたら暴力団なども関わっているのではないかと見ています。

 ですから、やはり県警にも消費生活行政に強く関わっていかなくてはならないと思っているのですが、県との連携と最近の事例についてお伺いします。

生活経済課長

 県警察は、県消費生活課、県、市、町の消費生活センター等の関係行政機関との連携による、情報交換及び広報啓発活動を進めております。また、県警察にも悪質商法110番という相談電話で相談を受けております。

 そして、最近の傾向としましては、いわゆる利殖勧誘事犯が非常に目立っております。これは、簡単に申しますと、もうけ話を口実に、社債や未公開株等の代金名目で多額の金銭をだまし取る、いわゆる悪質商法事犯でございます。

 その形態としまして、一つは、社会貢献や業績優良な会社をうたい文句に、事業実体のない会社の社債購入を勧誘する事案、二つ目としまして、近々某社の株式が上場するので、その会社が上場した後には株価が2倍、3倍になり、必ずもうかるなどとうたい、上場予定のない未公開株を勧誘する事案、三つ目としまして、某社からの株券の勧誘後に、A社から某社の株を持っていたら高値で買い取るなどと勧誘を受け、某社の株券を購入したところ、A社との連絡が全く取れなくなるような事案、四つ目としまして、被害投資家に、過去の被害回復のため株券を買い取るなどを条件に、新たな株券の購入を勧誘する被害回復型の事案等がございます。

 

内田委員

 悪質商法110番の電話番号を是非周知していただきたいと思います。

 また、振り込め詐欺同様に、県の消費生活行政としっかり対策をとっていただきたいと要望いたします。

 次に、食の安全・安心の確保の取組について伺います。

 先日、中国での毒ピータンの報道がありましたが、厚生労働省が日本への影響はないということでひとまず安心したのですが、過去には、残留農薬の問題や添加物、異物混入、食中毒、ウイルス、微生物の問題、水俣病などの問題がありました。こういった人の健康に重篤な影響を与える問題については、県民だけでなく国民の関心が高くなっています。

 そして、報告にBSE対策の見直しがありましたが、現在までBSEの全頭検査を継続してきた経緯をお伺いします。

食品衛生課長

 国内で初めてBSE感染牛が確認されたことを受けまして、平成131018日から、と畜場において処理される全ての牛につきまして、BSE検査を行ってきたところです。

 その後、17年8月には、BSEの特措法の省令で定めるBSEの検査対象が、21箇月齢以上の牛となりましたが、当時は国内において、まだBSEが発生している状況であり、食肉の安全性に関する不安感が大きかったことから、また、全頭検査をやめるという社会的環境にないこともございまして、全国で全頭検査が継続されました。

 さらに、本年の4月には、検査対象が30箇月齢を超える牛とされましたが、その時点では、既に検査対象月齢の更なる引上げが予定されていたために、継続しております。これは、2段階の引上げになりますと、と畜場における管理体制や食肉の流通、販売の現場において混乱を招くという懸念があったこと、また、他の自治体で全頭検査の継続を予定している中で、本県だけが独自にBSE検査の対象月齢を判断することは適切でないとの理由から、全頭検査を継続したものでございます。

 

内田委員

 県として、このような状況の中で、見直し方針案を作成した理由についてお伺いします。

食品衛生課長

 食品安全委員会は、我が国で取り組んできたBSE対策全般の評価を行い、今年の4月3日に、BSE検査の対象月齢を48箇月齢超に引き上げても、人への健康影響は無視できるという内容の評価案をとりまとめました。

 厚生労働省は、この食品安全委員会の評価案を受けまして、今年の7月以降、BSE検査対象月齢を48箇月齢超とする方向で準備を進めるということを、4月19日に明らかにしました。さらに、厚生労働省と農林水産省が連名で、全頭検査を全国一斉に見直しをするようにとの通知を出しております。

 本県といたしましては、食品安全委員会がとりまとめた評価案の科学的根拠が妥当であるということ、検査対象月齢を48箇月齢超としても食肉の安全性を確保することができると判断したことから、全国の自治体と歩調を合わせて、48箇月齢超の牛に見直すことを方針案としております。

 

内田委員

 科学的根拠が立証されたということですが、その根拠はどういうものなのでしょうか。

食品衛生課長

 食品安全委員会は、まず、国内におけるBSE対策が大きな成果を上げており、平成14年1月に生まれた牛を最後に、それ以降11年間にわたってBSEの発生は確認されていないことを根拠の一つに挙げております。このことから、これまで取り組んできた国内でのBSE対策が継続されている中では、今後国内でBSEが発生する可能性はほとんどないと考えられるとしております。

 このような状況の中、食品安全委員会は、国内でBSE検査の対象月齢を48箇月齢超に引き上げたとしても、人への健康影響は無視できると判断したということでございます。

 

内田委員

 48箇月超にしたとしても人への健康影響は無視できるということで、分かりにくいと感じるのですが、県民にはどのように説明していくのか、また、その根拠についても教えてください。

食品衛生課長

 まず根拠ですが、食品安全委員会は、これまで日本で行われてきたBSE対策が引き続き適切に行われているかを確認する意味も含めまして、当面の間、と畜場におけるBSE検査の継続を検討していく必要があるとしております。

 その上で、日本、アメリカ、カナダ、フランス、オランダの5箇国のBSE検査で、今まで陽性になった牛の実績では、一部の例外を除いて、陽性となった牛は48箇月齢超の牛であったということでございます。また、EUが牛への感染実験を行った結果では、BSEの病原体である異常プリオンが検出されたのは、48箇月齢以上の牛であったということでございます。このような知見から、食品安全委員会は、BSEの検査対象月齢を48箇月齢超としても、人への健康影響は無視できると判断したということです。

 そして、これをどのように分かりやすく周知していくかということですが、県民との意見交換会の開催時に、御質問があり、県の担当者、厚生労働省の担当者及び食品安全委員会の担当者から具体的に一つ一つ丁寧にお答えをし、その結果、理解が深まったというアンケート結果を頂いております。また、食の安全・安心審議会におきましても、丁寧な説明、分かりやすい言葉を使った説明ということが重要であるという御意見を頂いておりますので、今後分かりやすい言葉を用いたQ&Aを作成し、これを用いまして丁寧な説明をしてまいりたいと考えております。

堀江委員

 関連して伺いたいのですが、今の説明だと分かりにくいと思うのです。問題は、今まで餌として与えていた肉骨粉をやめたことによって、この10年間で異常プリオンがなくなったということだと思うのだけれども、それについてはどうなのですか。

畜産振興担当課長

 生産段階のことについて御説明したいと思います。

 平成13年の9月、千葉県でBSE感染牛が我が国で確認されました。それ以降、1310月には反すう動物用飼料への全ての動物由来タンパク質の使用が禁止されております。それで、牛などの反すう動物に使用してよい飼料には、現在、餌袋にA飼料というマークがございまして、このA飼料というマークがついているものしか牛には与えてはいけないことになっております。そして、国内の飼料製造業者がA飼料を製造する場合には、一つ一つの原材料に動物性のタンパク質が使用されていないことを確認して、製造ラインを他の飼料とは分別するといった工程管理が徹底されております。

 具体的に申しますと、ブタやニワトリなど用と牛用の飼料の製造ラインは分離しなければならならず、製造販売の記録を8年間保存するといった徹底した分別管理がされております。また、飼料の販売業者や農家がA飼料を海外から輸送したり保管したり使用する際には、他の飼料との分別管理をすることが徹底されており、さらに、飼料製造業者や販売業者は、いつ何をどれだけ製造し、購入し、誰にどれだけ販売したかなどの記録が義務付けられており、農家については、いつ誰から購入した飼料を、いつどの家畜に使用したかの記録の徹底が求められております。

 そして、畜産課の出先機関である家畜保健衛生所の職員が、牛の飼養農家に対しては、交差汚染防止のための飼料の管理状況、記帳の状況についての検査、指導を徹底しているところであり、一部については、飼料の抽出検査により、肉骨粉が混入していないかといった生産現場段階での指導を徹底しているところでございます。

堀江委員

 そういうことで、飼料に規制を加えたから、BSEは10年間発生していないということをきちんと説明すれば、県民が分かりやすいと思うのです。

 ただ審査の過程で、10年間起こっていないから大丈夫ということでは根拠にならないので、その辺のところを機会を捉えながら、県民にしっかりと説明していただければと思います。

 

内田委員

 次に、資料にありますアンケート結果の中で、世界では、いまだBSEが発生していることから、不安であるとの意見がありますが、これはどうなのでしょうか。

食品衛生課長

 世界でのBSEの発生件数についてでございますが、平成4年では3万7,316頭の発生がございました。その後、徐々に減ってきており、平成24年は21頭の発生となっている状況でございます。

 

内田委員

 減ってきてはいるが、皆無ではないということで、今も不安だという気持ちはよく分かります。

 そして、非定型BSEと資料にありますが、これは何でしょうか。

食品衛生課長

 非定型BSEとは、ウエスタンブロット法というBSE検査の確定検査の方法があり、ウエスタンブロット法で検出されたBSE異常プリオンの分子量及びバンドのパターンが、餌によって発症する定型BSEと異なっているものであるため、非定型BSEと言われているものです。これは、疫学的にも、法規制によって制御されたBSEと異なっており、餌によって発症するBSEではないと言われているものです。

 今回の食品安全委員会による評価では、非定型BSEは、発生が極めてまれなものであって、発症が8歳以上の高齢の牛で確認されているものであるため、48箇月齢超の牛を検査することで十分であるとされています。

 

内田委員

 専門用語が出てくると県民も分かりにくいと思いますが、情報があるのであれば、示していただきたいと思います。

 それと、意見交換会において出された主な意見として、科学的に不要な検査はやめて、もっと大切なことに県税を使ってほしいとありますが、1頭検査するのに費用はどのくらいかかるのでしょうか。

食品衛生課長

 BSE検査を実施するための経費でございますが、1頭当たり約500円かかっております。

 

内田委員

 全頭検査していた場合と、48箇月齢超を検査する場合では、経費的には余り変化がないということでよろしいのでしょうか。

食品衛生課長

 経費的には、大体年間で200万円ほど節減できるものと思われます。

 

内田委員

 次に、輸入食品の安全性確保に係る取組について伺いたいのですが、食品等の輸入事務所等の届出を条例に盛り込んだのはどうしてなのでしょうか。

食品衛生課長

 輸入食品の安全性の確保につきましては、まずは厚生労働省の検疫所が、水際で必要な審査や検査を行い、国内に流通してからも、都道府県や政令市などの自治体が、店頭での抜取検査を実施し、違反が発見された場合には、回収命令等の措置をとっております。しかし、県が食品等の輸入を行う事務所等を把握する仕組みがないことから、食品等の輸入を行う事業者に対しまして、指導や情報提供を行うことが困難でした。

 そこで、県が輸入業者に対し、輸入食品の安全性の確保に関する指導や、輸入食品の安全性に係る問題の発生時における注意喚起などができるよう、条例で知事へ届出を義務付けたものでございます。

 

内田委員

 この届出制度が始まって数年経過したということですが、これまでの届出の状況について教えてください。

食品衛生課長

 食品等輸入事務所等の届出制度は、平成22年4月から施行されたところですが、初年度の平成22年度には、県所管域におきまして109件の新規届出がございました。また、廃業した事務所等が2施設あったため、年度末の施設数は107施設となっております。

 その後、平成23年度は5件、24年度は4件の新規届出がありましたが、施設数としましては、平成23年度末で108施設、24年度末で107施設と、ほぼ同数で推移しております。

 また、保健所設置市を含む全県では、施設数につきましは、平成22年度末で451施設、23年度末で468施設、平成24年度末で480施設となっております。

 

内田委員

 制度が始まって3年が経過していますが、全部の事務所が届出を行っているのでしょうか。

食品衛生課長

 この条例の施行前に、輸入事務所の数は把握できておりませんでしたが、講習会や輸入に関する団体等を通じまして、周知に努めておりますので、安定した数字が確保できております。そのため、輸入を行う事業者等に情報が行き渡り、届出がなされているものと認識しております。

 

内田委員

 ネットによる販売等が増えている中、物資を個人で輸入できる環境になっていますが、県として、どのような指導を行っているのかお伺いします。

食品衛生課長

 県所管域の食品等輸入事務所等に対しまして、食品衛生監視指導計画に基づき、年1回以上の立入検査を行っており、平成24年度は、107施設に対し112回実施しております。

 立入検査におきましては、原産国の製造所における製造方法や、原材料、食品添加物等の把握をしているか、適正な食品表示を行っているか、定期的な自主検査を実施しているか、回収等緊急時の消費者への公表や回収の体制の整備ができているか等について確認を行い、必要に応じて指導を行っております。

 この食品衛生監視指導計画につきましては、毎年度、実情に合わせて作成しておりますが、その中で、立入検査につきましては、引き続き強化、充実して対応してまいりたいと考えております。

 

内田委員

 食の安全・安心を推進するため、食品等の輸入事業者に対して、情報提供はどのようにしているのか教えてください。

食品衛生課長

 食品等輸入事業者に対しまして、輸入食品等に関する違反事例等の安全性に関する情報を入手した場合には、事業者に対し、電子メール又はファクシミリを利用しまして情報提供することにより、注意喚起を図っております。情報提供の実施状況でございますが、平成22年度に3回、23年度に2回、24年度に3回行っており、違反事例等の紹介や、国の基準に係る改正等について情報提供いたしました。

 また、事業者を対象とした衛生講習会を年1回開催し、輸入食品の検査実施状況に関する情報提供や検疫所の担当者による食品等輸入時の留意事項についての講演などを行い、情報提供しております。

 今後とも、こうした取組を通じまして、輸入食品の安全性確保に向けて、事業者の自主的な取組を推進してまいりたいと考えております。

 

内田委員

 それでは、現在、港のある政令市等とは、どのような連携を図っているのか教えてください。

食品衛生課長

 食品等輸入事務所等の届出の事務につきましては、事務処理の特例に関する条例により、保健所設置市に権限が移譲されております。この届出の事務につきましては、足並みをそろえた運用を図ることが必要ですので、調整を密に行い、共通認識の下に連携して取り組んでおります。

 また、県、水際の検疫を行っている検疫所、保健所設置市で構成する輸入食品衛生連絡会を設置しておりまして、毎年会議を開催し、輸入食品の安全性の確保について情報及び意見交換を行っております。

 なお、輸入食品に係る違反や食中毒事故が発生した場合には、国や関係自治体に迅速な通報を行い、連携して健康被害の拡大や再発の防止を図っているところでございます。

 今後とも、輸入食品以外も含めまして、保健所設置市をはじめ、関係機関と連携をとり、食品の安全性確保にしっかりと取り組んでまいります。

 

内田委員

 食品安全基本法ができ、神奈川県でも平成21年に食の安全・安心の確保推進条例ができて4年たっているところであり、我が県でも知事が力を入れているところです。そういう中で、食の安全・安心については、更に県民の意識も高まり、関心も高くなってくると思われます。輸入食品の安全性と偽装表示など、表示の大切さについても研究の余地があると思いますので、是非食の安全・安心に関して、今まで以上に一生懸命に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私からの質問を終わります。