(しきだ委員長) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。

 引き続き質疑を行います。

 質疑者の方はどうぞ。

 

 内田委員。

 

(内田委員) 午前中に引き続き、自民党が質問させていただきます。

 県では、平成24年1月に緊急財政対策本部を設置して以来、25年度、26年度の2カ年で1,600億円の財源不足解消に向けた取り組みを全庁挙げて推進してきましたけれども、このような予算削減を進める一方で、今回の当初予算案では、知事が推し進めようとするさまざまな新規事業に対して大変大きな予算額が計上されております。

 まず、来年度は黒岩知事の1期目の最後の年となりまして、平成26年度の当初予算はこの4年間の集大成の予算とも言えます。

 そこで、まず予算編成の知事の基本的な考え方をお示しいただきたいと存じます。

(しきだ委員長) 黒岩知事。

(黒岩知事) それではお答えしてまいります。

 平成23年末、知事に就任して初めての当初予算編成に臨んだ私は、毎年度、多額の財源不足に直面して、25年度、26年度についても、合わせて1,600億円という多額の財源不足が見込まれるという県財政の現状に唖然としたところでありました。

 そこで、県議会の皆様のご意見も伺いながら緊急財政対策というものを取りまとめて、県民や市町村、関係団体とともに全庁一丸となって、県有施設や県単独補助金の見直し等に徹底的に取り組んでまいりました。そして、平成26年度当初予算は、こうした緊急財政対策の取り組みにより得ました財源とともに、景気回復による税収増という追い風を生かして編成することができました。

 そこで、具体的にはいのちにこだわり、成長戦略と財政健全化を同時に加速させる、かながわ未来創造予算という基本的考えのもとで、施策を展開いたします。

 まず、いのちを守り、次世代を育む施策としまして、健康寿命日本一を目指し、未病を治す取り組みを進めるとともに、待機児童対策、地域子育て支援策に対する予算、これも大幅に充実いたしました。また、経済のエンジンを回す成長戦略としまして、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区と、さがみロボット産業特区関連の事業に、それぞれ前年度比約3倍の予算を計上いたしました。

 また、県西地域の活性化のためのプロジェクトにも24億円余りを計上するなど、思い切った投資も行いました。

 加えて、財政健全化に関しましても、これまでの緊急財政対策の成果をもとに、初めて臨時財政対策債を抑制するなど、大規模な県債の発行抑制に踏み込んだところでありまして、しかも財政調整基金を積み増しし、将来に向けた財政安定化に大きく一歩を踏み出したところであります。

 その結果、一般会計予算額は1兆8,650億円と、前年度に比べて5.8%増、過去最大の規模となっております。このように、来年度当初予算案は、かながわグランドデザイン実施計画の最終年度としまして、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けた取り組みを一気に加速していく、まさに攻めの予算が編成できたと考えております。

 答弁は以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 知事、ありがとうございました。攻めの予算ということで、本当に勢いづいているということで、2期目もぜひ頑張っていただきたいと思います。まだわかりませんけれども。

 それで、今ご答弁いただきました中から幾つかを取り上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まずは、薄膜太陽電池普及促進事業費補助についてでございます。薄膜太陽電池は価格が高いと言われております。普及が進まないのではないかという声もありますし、現在普及している太陽光パネルと比較すると、設置費用はどの程度割高なのか、また発電効率はどのくらい違うのかということを確認させていただきたいと思います。

(しきだ委員長) 地域エネルギー課長。

(山田地域エネルギー課長) お答えいたします。

 普及している太陽光パネルの1キロワット当たりの設置費用は、10キロワット未満が40万円程度、それから、10キロワット以上で最もコストが安い2,000キロワット以上が30万円程度となっております。薄膜太陽電池はおおむね1キロワット当たり120万円程度でございまして、現状では太陽光パネルの3倍から4倍の費用がかかっております。

 また、発電効率はおおむね7%程度でございまして、現状では太陽光パネルの半分程度というふうになっております。

 なお、薄膜太陽電池は量産化に伴う価格の低下が見込まれ、技術開発も進んでおり、今後の普及が期待をされております。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ご答弁いただきましたように、太陽光パネルより、費用は3倍から4倍、そして発電効率は約半分ということで、それを聞いただけですと、薄膜太陽電池は本当に普及できるのかどうか、こういう見込みが立っているのかどうかということもちょっと心配なのであります。従来型の太陽光パネルの普及に力を入れるべきではないかと思いますが、ここでしっかりと見解を伺いたいと思います。

(しきだ委員長) 地域エネルギー課長。

(山田地域エネルギー課長) お答えいたします。

 従来型の太陽光パネルにつきましては、固定価格買取制度の導入によりまして初期投資の回収が見込めますので、引き続きソーラーバンクシステムの運営や屋根貸しビジネスモデルの普及等によりまして、導入の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

 一方、県内の工場の事業所への導入がおくれておりますのは、従来の太陽光パネルでは屋根が重さに耐えられないということが大きな理由となってございまして、導入を拡大するには薄膜太陽電池の普及が不可欠であるというふうに考えております。

 また、薄膜の価格が高いのは、現状では注文生産の状態でして、製造量、流通量が少ないということが大きな要因となっております。今後、需要が増加いたしまして量産化が進めば、価格は低下するというふうに見込まれますことから、薄膜太陽電池普及促進事業費補助により新たな市場を創出してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 仮に薄膜太陽電池が普及して価格が下がったとしても、結局まだ先が見えないですよね。国は太陽光発電全般の技術開発支援をしており、現在、県のほうでは薄膜太陽電池に特化して行おうとしています。そういう必要がなぜあるのか、こういったところをお伺いしたいと思います。

(しきだ委員長) 地域エネルギー課長。

(山田地域エネルギー課長) お答えいたします。

 ご案内のとおり、国の技術開発に対する支援もございまして、2015年には薄膜太陽電池が相次いで製品化をされる予定でございます。しかしながら、その特性を生かした用途がまだ十分に開拓をされていないことから、当初は生産量が少なく、価格が高いため、普及がなかなか進まないというふうに見込まれます。

 そこで、薄膜太陽電池の普及によるメリットをより多く享受する本県といたしまして、多様な用途による設置を支援し、新たな市場を見せることによりまして企業の参入を促進し、生産量の増加、それから価格の低下を図ることとしたものでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 当初予算案では、薄膜太陽電池普及促進事業費補助に2年間で3億円と7億円で計10億円という大金を計上しておりますけれども、この10億円はどのような根拠により算出されたのかお伺いします。

(しきだ委員長) 地域エネルギー課長。

(山田地域エネルギー課長) お答えいたします。

 薄膜太陽電池の新たな市場を創出していくためには、多様な用途を実際に見せていくことが重要でございます。かつ価格の低下につながるように、一定の規模で設置していくことが不可欠であります。具体的な用途といたしましては、工場等の屋根、ビル壁面、高速道路遮音壁、道路・鉄道のり面、遮光用のブラインド等々想定しています。こういった用途の中でも異なる条件で幾つか設置をし、合計12カ所程度、かつ1カ所当たり100から400キロワット程度という規模で設置をするといたしますと、合わせて3,000キロワット程度の設置となります。また、製造においても3,000キロワット程度の需要があれば、スケールメリットによるコストの削減が可能というふうに言われております。

 そこで、設置する規模を3,000キロワットといたしまして、1キロワット当たりの単価を一定の価格低下を見込み100万円といたしますと、全体の事業規模が30億円、その3分の1の10億円を補助する、こういう予算の積算でございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ありがとうございます。

 知事は、知事にご当選されてからすぐに、太陽光パネルのほうの大きな目標を立てて、その普及に力を入れていまして、インパクトはすごかったと思うんです。ただし、一方で大幅な修正をすることにもなりました。今回、まだ確実性がない高価な薄膜太陽電池の普及促進に10億円もの税金を投入するわけですけれども、本当に大丈夫なのか、そのような声が多いのも事実であります。しっかりと単価も下がって県内企業が潤う、そして県内の中小企業も潤う、こういう形になっていくのが一番よいことなんですけれども、途中途中に検証することをしっかりと行っていただきたいと思います。

 時間がありませんので、次にライフイノベーション国際戦略総合特区のほうに質問を移らせていただきますけれども、今、注目を浴びています再生・細胞医療分野の産業化の推進について伺います。

 再生医療については、iPS細胞など国際的に注目され、関西の研究施設が今、一歩リードしている状況ではありますが、本県では、産業集積のある京浜臨海部の特徴を生かして、どのような取り組みを進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。

(しきだ委員長) 国際戦略総合特区推進課長。

(山口国際戦略総合特区推進課長) 県では、再生・細胞医療の推進に向けまして、基礎研究の出口となる産業化を重視した取り組みを進めてまいります。産業化に向けては、革新的な研究成果の実用化にチャレンジするベンチャー企業、そして国際的な事業展開を広げていくグローバル企業、さらに量産技術や微細加工技術を活用し、周辺機器等の開発を支える物づくり企業などの力が必要となります。本県にはこうした多様な企業群が数多く集積しております。

 そこで、県では、こうした産業集積を活用する戦略的な拠点といたしまして、(仮称)ライフイノベーションセンターを平成28年度の開設に向け、民間との連携により整備し、ここを拠点に再生・細胞医療の産業化に取り組んでまいります。

 以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ありがとうございます。

 再生・細胞医療分野の産業化に向けて、平成28年度の開設を目指し、ライフイノベーションセンターの整備に取り組むとのことですが、センターの円滑なスタートに向け、26年度はどのような取り組みを進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。

(しきだ委員長) 国際戦略総合特区推進課長。

(山口国際戦略総合特区推進課長) ライフイノベーションセンターは、研究開発、試作開発、人材育成など、三つの機能を総合的に展開することを目指しております。この中でも特に人材育成では、レギュラトリーサイエンス、これは科学的根拠に基づく安全性、有効性の研究でございまして、今後非常に重要な分野となってまいりますが、この分野での人材育成を想定しております。この実施に当たりましては、先進的な海外の大学との連携による新たなカリキュラムの構築など、相当の準備が必要となります。

 そこで、26年度から連携先となる海外の大学の選定、調整、カリキュラムの具体的な検討などを行い、プレ講座の実施に着手したいと考えております。あわせて、県が想定する機能を担う企業・機関の入居促進に向けたプロモーション活動も来年度から実施してまいります。こうした取り組みにより、ライフイノベーションセンターのスムーズなスタートにつなげていきたいと考えております。

 以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ライフイノベーションの実現には息の長い取り組みが必要であるということを伺いましたけれども、中長期的な視点に立って、しっかりと先を見据えた取り組みを展開し、その実現につなげる必要があると思いますけれども、そうした考えについてお伺いいたします。

(しきだ委員長) 国際戦略総合特区推進課長。

(山口国際戦略総合特区推進課長) ライフイノベーションの実現に向けた中長期的な視点からの取り組み、これは非常に重要と考えております。一方、この分野は技術開発の進展スピードが非常に速く、中長期的な予測、見きわめが難しいことも事実と考えております。こうした中、県といたしましては、将来に向けたさまざまな状況の変化にもしっかりと対応していける基盤づくりが重要と考えております。こうした点も踏まえ、来年度では、特にグローバルな連携体制の構築、再生・細胞医療の産業化、薬事承認の迅速化に向けた取り組みなど、将来の発展につながる基盤となる取り組みを着実に進めることで、ライフイノベーションの実現を目指してまいります。

 以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ありがとうございました。

 ここまで、平成26年度当初予算に計上された各事業を幾つか取り上げてまいりましたが、我が会派といたしましても、太陽光を含めた再生可能エネルギーの普及拡大について異論はございませんし、ライフイノベーションの実現を加速させる取り組みに反対するわけではございません。

 しかしながら、900万県民を代表する知事がこれまでにない新しい施策を始める際には、ぜひとも県民や事業者、市町村に対してより丁寧なわかりやすい説明が必要であると考えます。せっかくよい施策を始めるのであっても、気持ちはわかりますが、メディアの世界にもよくあるアピールすることを優先したり、またネーミングありきではなく、単なる思いつきや大風呂敷であるとか、知事もいろいろ言われ続けました。ここでしっかりと、そろそろ方向転換、もちろん大きな政策を打つことは大切です。アピールすることも大切です。しかしながら、本当に県民が望んでいるもの、県民の皆さんが幸せになれるような、これまでよりもさらに地に足を着けた事業をしっかりと進捗させる地道な事業にも、細やかに気を配っていただきたいと存じます。

 以上、伺ってきたような知事の思い入れの強い事業がある一方で、県はこれまでもたびたび危機的な財政状況であるとおっしゃっていたのも知事でございます。平成25年度と26年度には、先ほど申し上げたように、合わせて1,600億円もの財源不足が生じる見込みであるとして、平成24年1月に緊急財政対策本部を設置し、県有施設の見直しを初めとして県単独補助金の見直しや、また、人件費の抑制を含む予算の削減を強く進めてきたわけですが、このことについて幾つか伺ってまいりたいと思います。

 まず、緊急財政対策本部は今年度末で解散されますが、緊急財政対策本部が解散されるということは、本県の財政危機は収束したと言ってもよいということなのか、ここで仕切りとして見解を伺いたいと思います。

(しきだ委員長) 財政課長。

(宮越財政課長) お答え申し上げます。

 2月に公表させていただきました緊急財政対策の取組結果、こちらにお示しはしているところでございますが、緊急財政対策の取り組みによりまして、当面の財源確保対策にはめどをつけることができました。また、プライマリーバランスの赤字幅の縮小ですとか、財政調整基金の積み増しといった財政健全化に向けて、一定の道筋もつけることができたと考えてございます。

 しかしながら、一方で歳出面を見ますと、税収ですと地方消費税の税率引き上げ分を加えても、なおピーク時の平成19年度に対して600億円不足するレベルであり、また臨時財政対策債でございますが、これも今後2,500億円レベルで発行を余儀なくされる見込みという状況でございまして、これがまた将来的には公債費としてツケが回ってくるということになります。歳出面で見ますと、依然として義務的経費は8割を超えますし、今後も介護・福祉・医療関係経費ですとか、先ほど申し上げました公債費が増加することは確実でございます。

 こういった状況を考えますと、不十分な歳入、それから硬直した歳出、こういった本県の財政構造が抜本的に改善された状況にはいまだにないというふうに私どもは考えてございます。

 したがいまして、これらの中長期的課題につきましては、緊急財政対策本部は今年度をもって解散はいたしますけれども、これは行政改革推進本部にしっかりと引き継ぎまして、今後、徹底した取り組みを引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ほかにも聞きたいこと、県有施設のことなどいろいろあるんですけれども、先にいきます。

 本県の平成26年度の県税収入については、増収を見込んでいるとのことでございます。アベノミクスによる景気回復、我々としても進めていく必要はあると考えておりますけれども、新興国リスク等もあり、先行きはまだ決して楽観を許さない、こうした状況であります。

 こうした中、来年度の県税収入をどのように見込んだのか、お伺いします。

(しきだ委員長) 税制企画課長。

(長谷川税制企画課長) 県税収入につきましては、国内外の景気動向に左右されるわけでございますが、とりわけ法人税収につきましては、新興国を初めとした海外経済が色濃く反映してまいります。上場企業の26年3月期の決算は30%の増益という予想でございます。その中で法人二税につきましては、上場企業を中心に約2,000社を1社1社、それぞれの企業の収益予測をベースにして見込んでございます。その結果、174億円増収と見込んでございます。

 このほか、個人県民税でありますけれども、雇用環境に一定の改善が見られますので、納税義務者数が増加するであろうと、このような見込みをいたしまして、全体では156億円の増収。また地方消費税、これは消費支出、輸入、こういったものがプラスで推移するという見込みでございます。また、税率の引き上げというのがございますので、こうしたことから465億円の増収と見込んでございます。

 このように、景気回復と税制改正によって、主要な税目がいずれも増収ということでございますので、26年度の県税収入全体では、25年度の当初予算を778億円上回る1兆901億円と、このように見込んだところでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ありがとうございました。

 緊急財政対策を進める中で、知事は県の財政状況について、以前、破綻寸前または沈没するなどと発言され、市町村や県民の不安をいたずらにあおったこともあるのではないか、そういう側面も否めないのではないかと私は思うんですけれども、今後はより正確な財政見通しというものが必要であると考えますけれども、その点についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

(しきだ委員長) 財政課長。

(宮越財政課長) お答え申し上げます。

 緊急財政対策と財政見通しについてでございますけれども、緊急財政対策に取り組む中で、2年間で、お話のとおり1,600億円もの財源不足が生じるという財政見通しを予測しました。これが2410月でございます。そこで緊急財政対策により、何よりも確実な財源を確保することが必要だと考えたところでございます。

 その後、25年1月11日に閣議決定されました、いわゆる3本の矢による日本経済再生に向けた緊急経済対策に基づきまして、この1月31日には13兆円にも上る大型の補正予算が提出されまして、2月26日にこれが成立したという状況にございます。こうした経済対策が奏功いたしまして、円安ですとか株高が進んだこと等によって景況が一気に改善し、税収も大幅に増加したという状況にございます。

 25年度、26年度の財源不足が回避できましたのは、緊急財政対策により約1,500億円の財源が確保できたためではあるものの、こうした財政見通し公表後の劇的な経済環境の変化に負うところも極めて大きいというふうに認識しているところでございます。

 このように、財政見通しは景気動向、それから地方行財政制度の変化などによりまして、大きく変動する可能性は避けられません。大変難しいことではございますけれども、今後も、経済環境ですとか政策動向等を注視いたしまして、適切な財政運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 景気動向で大きく変動するかもしれないので、財政見通しについてはこれからも引き続き気を引き締めていただきたいと思います。

 今までいろいろ伺ってきましたように、平成26年度当初予算案については、緊急財政対策ということで、関係団体や市町村への補助金や既存事業の予算を削減し、県有施設などを見直す一方で、今回、実施効果が必ずしも明確ではない幾つかの新たな事業に対しては、大変大きな額を計上しています。

 そこで知事にお伺いいたします。県民や市町村、関係団体に痛みを強いる予算の削減を進める一方で、知事の新しく考えた、推し進める新規事業に対しては、大変大きな金額を配分していることについて、その整合性というものをどのように考えていらっしゃるのか。また、県民に対してどのように理解を求めていくのか。あわせて薄膜太陽電池についても、その意気込みたるものをお聞かせ願いたいとと思います。

(しきだ委員長) 黒岩知事。

(黒岩知事) それではお答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、私が知事になって、県民の皆さんに神奈川県はこのままでは潰れるぞという言い方をしたということは、何もいたずらに不安をあおったという意識は私の中にはありません。財政の状況をしっかりと見てみると、本当に潰れるかもしれないという危機感を持ったからでありまして、そのことをまず皆さんにわかっていただきたいというところでありました。そして、歯を食いしばって、県議会の皆様にもお力をいただきました。そして、市町村の皆様、各種団体の皆様のご協力もいただいて、2年間、必死の思いで緊急財政対策に取り組んできたところでありました。

 その当初は、2年間1,600億円足りないという、この状況をどうするかというところが問題意識のスタートでありましたが、議会でのいろんな皆様との質疑を通じて、2年間だけ見ていても、それはせんないことだと、もっと中長期的に見るべきだというご指摘をいただきまして、確かにそうだなと、この2年間を乗り越えても、とてもとてもやり切れる状況ではない。そのためには、切るだけではなくて、経済のエンジンを回すということがやはり大事なんだと。そのためには、何のためのエンジンを回すのか、どこのエンジンを回すのかといったときに、課題解決ということが一番大事だろうと。その最大の課題は何かといったときには、超高齢社会がやってくる、これをどう乗り越えるかというモデルをつくらなきゃいけないということが一つ。そしてもう一つは、原子力発電所にこれまでのように頼り切った形ではない、新しいエネルギー体系を早くつくっていかないと安全・安心の社会ができない、それこそが県民の皆様のためにもなるんだと、それが課題だということで、その分野において、できる限り思い切った投資ができる環境をつくりたいと、そう思ってずっとその日を待っていたところでありました。準備も進めてきたところでありました。

 そして今、やっと景気の風も吹いてきまして、チャンスだということで、そこに一気に攻めに転じたというところでありまして、これが私は県民の皆様の最大の幸せにつながるものだと確信をしている次第であります。

 答弁は以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) ご答弁ありがとうございました。攻めの姿勢でぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次に、災害に強い地域づくりについて質問させていただきます。

 折しも本日3月11日は、東日本大震災から3年目の節目に当たります。震災から4年目に入る中で、被災地の復興は道半ばであり、まだまだ多くの方が避難生活を強いられています。本県でも発生が懸念される首都直下地震などへの対応を考えると、地震災害対策のさらなる強化が必要でございます。そこで何点か伺ってまいります。

 まず、県や県民、事業者の役割や取り組みを進めた「地震災害対策推進条例」について伺いますが、この条例ができて1年が経過しようとしています。この間どのような取り組みを進めてきたのか、お伺いしたいと思います。

(しきだ委員長) 災害対策課長。

(金井災害対策課長) お答えいたします。

 「地震災害対策推進条例」の周知につきましてでございますけれども、さまざまな広報媒体の活用、またNPO、経済団体等が主催します県民を対象とした講演会などで周知を図ってきておりますけれども、特に工夫した取り組みとして二つございます。一つは、かながわけんみん防災カード、企業とのコラボレーションでございますけれども、また子供向けのかながわキッズぼうさいカード、これら二つによりまして自助のポイントをコンパクトにまとめまして、子供向けのカードにつきましては、昨年12月、県内の小学校4年生8万人全てに配布いたしまして、幅広い年代層への啓発を図っております。

 また、自助の取り組みを改めて確認することを目的に、かながわシェイクアウト(いっせい防災行動訓練)を昨年9月に実施いたしまして、多くの県民の方にご参加いただいたところであります。

 以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) これから、地震対策について各局にまたがってお伺いしたいと思いますけれども、まずは教育委員会に、防災教育の観点から、その取組状況についてお伺いいたします。

(しきだ委員長) 情報防災課長。

(立石情報防災課長) お答えいたします。

 現在、県内の公立学校では、子供たちが発達段階に応じて、災害についての正しい知識と的確な判断力を身につけ、適切に行動できるよう、授業ですとか学校行事の中で防災教育を実施しております。こうした取り組みに加えまして、県教育委員会では、東日本大震災の教訓を踏まえて、教員向けの防災教育指導指針に津波に関する指導内容を追加するとともに、津波の被害映像ですとか実験映像などを収録したDVDを作成して、全ての公立学校に配布し、児童・生徒などの地震防災に関する理解を深める取り組みを行っております。

 さらに、今年度は全ての県立学校において、市町村や地域の方々と連携した防災訓練などを実施し、けが人の搬送やAEDの扱い方など、応急処置の技能を身につける訓練にも取り組み、地震防災に関する教育を推進しているところでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) そして、平成26年度新規事業に帰宅困難者対策という事業も打ち出されています。こちらについての取組状況をお伺いします。

(しきだ委員長) 応急対策担当課長。

(山口応急対策担当課長) お答えいたします。

 帰宅困難者対策は、首都圏に共通する広域的な課題でございます。県といたしましても、9都県市との連携でこれまで取り組んでまいりました。具体的には、災害時帰宅支援ステーションの確保、このほかにリーフレットやポスターの作成・配布等によります一斉帰宅抑制の普及啓発、こちらにも取り組んでおります。また、県では東日本大震災を教訓にいたしまして、平成23年度、集中的に主要駅周辺の県有施設に水や食料などの帰宅困難者用の物資を配布いたしました。また、平成26年度には県有施設への食料等の備蓄の強化、それから災害時帰宅支援ステーション用ののぼり旗の整備を進めることといたしております。さらに、市町村と共同で帰宅困難者対策訓練を実施しており、今年度も3カ所で、民間事業者や地元の団体等と連携した訓練を実施いたしました。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 次に、県土整備局では、「耐震改修促進計画」の改定や、大規模建築物耐震化支援事業費、そのほか緊急輸送道路沿道建築物耐震化調査費などなど、いろいろ力を入れていらっしゃいます。県土整備局としての26年度の地震対策へのポイントをお聞かせ願いたいと思います。

(しきだ委員長) 建築安全課長。

(根岸建築安全課長) お答えいたします。

 まず、「神奈川県耐震改修促進計画」についてでございますけれども、改定のポイントとして2点ございます。1点目は、耐震改修促進法の改正によって大規模建築物に耐震診断が義務づけられるなど、強化された耐震化の取り組みを県計画に反映したこと。2点目は、計画期間を平成26年度から32年度までとし、これまでの目標値である27年度の耐震化率90%に加え、32年度の目標を95%としたことです。

 次に、大規模建築物の耐震化についてでございますが、当初予算案に計上した耐震化支援事業、これは法律で耐震診断が義務づけられた建築物のうち、病院や福祉施設などの避難弱者が利用する施設と、災害時に避難者を受け入れる協定を市町村と協定したホテル・旅館に対して、県が耐震診断と耐震改修の費用の一部を助成するものです。こういった補助制度によりまして、大規模建築物についての耐震化を促進してまいります。

 さらに、緊急輸送道路の関係でございますが、県の「地域防災計画」に位置づけました緊急輸送道路のうち、800キロメートルにつきまして沿道建築物の調査をいたします。こうした調査を実施いたしまして、今後、どのような対応や支援ができるのか検討することとしております。また、調査結果を活用しまして、建物所有者に対し、所有する建築物の耐震化に取り組むよう働きかけることによりまして、沿道建築物についても進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 時間がなくなってまいりましたので、保健福祉局に医療施設の耐震化について伺いたいと思います。

(しきだ委員長) 医療課長。

(仲谷医療課長) 県内の病院におきましては、11.0%の建物がまだ耐震性が不足している、21.6%が耐震性不明という、平成24年度の厚生労働省の調査結果がございます。こうしたことから、耐震診断に要する費用など病院が実施する工事に補助してまいりました。26年度につきましては、継続8病院を含む10病院の建てかえ、補強工事に15億円の補助を予定しております。

 以上でございます。

 

(しきだ委員長) 内田委員。

 

(内田委員) 非常に早口でありがとうございます。本当に時間がないんですね。なので、要望と、あと知事にお伺いしたいと思いますけれども、石油コンビナート地震被害予測の調査や首都直下地震の被害想定、こういった調査などいろいろあると思うんですけれども、今後も着実に進捗していただきたいと思います。また、安全防災局におきましても、被災者の支援、被災地の支援、まだまだこれからも大切だと思います。

 また、知事に質問したいんですけれども、東日本大震災から4年目を迎えようとする中で、被災地支援も含め、地震災害対策へのさらなる充実が望まれるところです。最後に、いつ発生するかわからない大規模地震に備え、我が県の地震災害対策にどのように取り組んでいくのか、その決意をお伺いしたいと思います。

(しきだ委員長) 黒岩知事。

(黒岩知事) お答えいたします。

 思えば3年前の今、もうすぐですね、大きな地震がありました。そのときの私の心境というものは、神奈川県知事へというお声をかけていただいていたんですが、決断できないでおりました。そのときに1万人を超えるような多くの方が一瞬にして亡くなるという大規模災害、それを目の当たりにして、こういうときに私に知事へという声がかかっているということがまさに天の声のような感じがして、決断をした次第でありました。

 そういうことから振り返ってみても、この3年間というものは、大規模災害が起きたときにはどうするべきなのかといったところ、これは大きな大きな課題であったと考えております。あのときは想定外という話がありましたが、もう想定外という言葉を使うのはやめようと、あらゆるものを想定した上で、最後は命を守るためには何ができるかということを徹底的に考えたところでありました。

 そして、神奈川県の「地震災害対策推進条例」といったものもつくっていただきまして、自助・共助・公助といったもの、これを今、県民運動としてどんどん広げようとしています。かながわシェイクアウトといったものも今年は100万人を目標にしておりますし、ビッグレスキューかながわといったもの、今年もまた実施していきたいと思っておりますが、自衛隊も在日米軍も、そしてDMATも、県内から各DMATも一斉に参加して行うという、こんなビッグレスキューというのはほかの県ではやっていないことでありまして、こういった中で、できることは全てやっていこうという中で、今、強力に進めているところであります。

 そんな中で、被災地支援におきましても、いざというときはお互いさまだということでありまして、今、107名、被災地に臨時の職員を採用して派遣しようということをやっておりますけれども、残念ながら最初は107名に到達しませんでした。70数名の応募にとどまりましたけれども、さらに被災地のご期待に沿えるように追加の募集もして、お応えしていきたいと、そう考えているところであります。

 以上です。

 

(しきだ委員長) 内田委員に申し上げます。

 既に持ち時間を超過しておりますので、認められるのは簡潔な締めくくりの発言のみとなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 

(内田委員) 知事、ご答弁ありがとうございました。ともに頑張ってまいりましょう。

(しきだ委員長) 以上で、自民党の委員の質疑は終了いたしました。

 ここで、当局出席者の入れかえのため、暫時休憩いたします。