《本会議録-平成26年第3回-20140924-027612-質問・答弁-内田みほこ議員-一般質問@ひとり親家庭への支援についてA女性の活躍の推進についてB非正規雇用の若者への就業支援についてC子どもたちの道徳心・マナーの向上についてD検視体制の在り方について》

 

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

〇議長(向笠茂幸) 内田みほこさん。

〔内田みほこ議員登壇〕(拍手)

〔議長退席、副議長着席〕

〇内田みほこ議員 皆様、ごきげんよう、こんにちは。

  私はれっきとした女性ですけれども、女性の友達より、もしかしたら男性の友人、または知人が多いかもしれない自民党の内田みほこです。どうぞよろしくお願いいたします。

  それでは、始めたいと思います。

  時代は刻々と移り変わり、私たちの暮らしや環境も少しずつ変化してきています。女性の活躍を推進し、その能力を引き出していこうと内閣改造人事に反映されましたが、今、その波が県内はもとより、日本全体に、そして民間企業にも及ぶことを期待しているところであります。

  本日はこうした背景を踏まえ、雇用問題、女性が輝ける環境づくり、母子家庭などのひとり親支援、次代を担う子供たちの道徳教育の大切さ、高齢化社会到来でさらなる充実が求められる検視体制のあり方について質問してまいります。

  先輩、同僚議員におかれましては、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。また、知事並びに産業労働局長、教育長、警察本部長におかれましては、明快なるご答弁のほどよろしくお願いいたします。

  質問の第1は、ひとり親家庭への支援についてです。

  厚生労働省の調査では、2012年の18歳未満の貧困率は過去最悪の16.3%であり、300万人を超える子供が貧困に直面しているとのことです。実に子供の6人に1人が、平均的な所得の半分を下回る世帯に暮らしていることが判明し、この数字は先進国の中でも最悪の状況と言えます。

  貧困にあえぐ子供たちを救うには、まず保護者の貧困対策を考えていく必要があると思います。深刻なのは、貧困率5割に及ぶひとり親世帯、特に母子家庭です。母子世帯の母の8割は働いていて、ダブルワークもしながら、体を酷使し続けている母親もいます。仕事による年収は平均して200万円前後にすぎず、生活保護を受けているのは1割ほどです。時給数百円で時間数働くといった働き方で、働けど働けど、貧しさを抜け出せないといったところに、この問題の根深さがあると思います。

  大きな原因は、やはり子育てしながら正社員として働く環境が整っていないこと、母子家庭の場合、不安定な非正規雇用が半数に及ぶことです。貧困の連鎖を断ち切るためには、息の長い取り組みを要しますが、子供たちのことを考えると、今、あらゆる手だてを考えていくべきではないかと思います。

  折しも8月29日、政府が初めて閣議決定した子供の貧困対策に関する大綱。子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図るとの理念とともに、来年度から教育支援、生活支援、保護者への就労支援、経済的支援、調査研究、施策の推進体制の6分野に力を入れることが盛り込まれました。

  私は、以前の本会議で、子供の貧困の連鎖を断ち切るための教育支援について質問いたしましたが、今回は経済面や生活面についても伺いたいと思います。特に、母子家庭の、子育てしながら働くという毎日の暮らし自体、非常に厳しく、将来の貯蓄をするどころではなく、母子家庭の苦労は多々あります。

  平成22年の国勢調査での本県のひとり親家庭の世帯数は、母子家庭が104,968世帯、父子家庭が1万8,303世帯で、合計123,271世帯です。平成25年の国民生活基礎調査によると、母子家庭の収入は児童のいる一般家庭の約36%ということになります。

  母子家庭等ひとり親家庭は、子育てと生計の維持という二重の役割を一人で担っていることから、その両立が難しく、特に経済的な自立という面において困難な状況であるということに、もっと目を向けなければならないと考えます。

  県では、これまでもひとり親家庭への自立支援に向けて、さまざまな施策を実施していることは承知していますが、引き続き、経済面や生活面の支援について、一層の充実の必要があると考えます。

  そこで、知事にお伺いいたします。

  ひとり親家庭への支援については、さまざまな支援が必要であると考えますが、特に経済面や生活面の支援について、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

  次に、女性の活躍の推進について質問いたします。

  政府の成長戦略で、2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にするとの目標が掲げられ、内閣改造人事においても、女性活躍相を初め、過去最多の5人の女性閣僚が入閣したところです。

  当議会においても今年度は、実に24年ぶりに女性が副議長という重要な役職を担っています。

  また、女性の側でも、私たちも輝けるかもという雰囲気が広がり、世の中のムードや女性自身が自覚して責任を感じながら働くことも大切なのではと、気の引き締まる思いでおります。

  しかしながら、女性が輝く社会をつくると言っている指導者層が男性ばかりでは、男性目線での女性が輝く社会にしかなりません。その意味でも、女性の登用を急ぐべきであり、即、実効性を伴ってほしいものだと思います。

  働く女性には、女性ならではの制約があります。一度就職しても、結婚、出産、育児で仕事を離れると、また仕事に戻りたいと思ったときに、なかなか能力に見合う仕事がないなど、さまざまなことや、実態として年齢制限の壁にも直面します。

  私は、県民の女性の代表として、女性の力を社会のために活用できるように、社会全体が少しずつでも変わっていってほしいと願っており、男女が互いに認め合い、活躍できる社会になればと思っております。グローバルな視野で見ると、一昔前の考えは既に通用しなくなってきているのです。

  我が国の現状はどうかと調べたところ、8月中旬の帝国データバンクの調査では、一般企業の管理職に占める女性の割合の平均は6.2%で、男性だけの企業が半数以上、今後増加すると見込む企業も20.9%にすぎません。

  7月には経団連に加盟する47社が、女性の役員や管理職への登用に関する自主行動計画を公表し、うち株式会社資生堂など3社が2020年までに女性管理職を3割以上にするとの目標を掲げていますが、一方で、出産、育児など、女性のキャリアの中断によるデメリットを緩和する具体的な取り組みを推進していこうとする企業は、キリン株式会社など、ごく一部の企業で始まったばかりです。

  このように、女性の活躍を推進していこうと躍起になってくれている企業もふえてきたことはよいことですが、具体的に踏み出す企業は一部にとどまっており、手探りの状況であります。やはり、女性の間でも、仕事と家庭の両立の難しさを挙げる声が多々あり、働きながら出産、子育てができる環境の整備が重要との声が多いのも事実です。

  また、女性社員に対し、上司や人事が言葉だけではなく、実効性のある行動で期待を示す必要があり、長い歴史で培われてきた硬直した人事管理の枠組みを変える必要があります。

  政府は長年、男女共同参画に取り組んできてはいますが、このたび、政府が打ち出した女性が輝く社会。企業の管理職や政府の要職に女性が入ってくることで、世の中の景色が変わり始めるきっかけとなり得ますが、あらゆる企業に波及していくには、今後の推進策が肝心であると考えます。

  人生80年、いや100年。女性のパワーも将来を見据えて積極的に活用するときが到来したのです。また、そう願っている女性のための行政の取り組みも、今後一層求められてくることでありましょう。

  本県の産業労働局では、こうした女性の活躍の場を広げる取り組みを進めていますが、中でも昨年度から始まった、女性の観点とものづくりなどの創造性を融合させた神奈川なでしこブランドは、神奈川が女性にも優しく、女性の創造性や企画力などをバックアップしてくれる先進県としてアピール度も非常に高いものです。県としても、このような取り組みをさらに進める必要があると思います。

  そこで、知事に伺います。

  女性の活躍の推進やモチベーションアップに向けて、昨年度、神奈川なでしこブランドとして認定した企業には、どのようなメリットがあり、それをどう生かしてこの事業を進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。

  次の質問は、非正規雇用の若者への就業支援についてです。

  9月1日の神奈川新聞によると、正規雇用で働いたことのない40歳未満の非正規社員の57.1%が、低収入のため自活できず、生活費の大半を同居家族らに頼っていることが明らかになりました。

  景気は回復傾向ですが、依然として不安定な雇用が若者の自立を妨げているという実態が浮き彫りになり、2013年の年収は300万円未満が非正規社員の90.9%を占めます。少し前に、ワーキングプアが問題視され始めましたが、非正規社員は年金などの社会保障についても、憂き目に遭うことは否めません。

  しかしながら、非正規社員のニーズは依然高く、総務省が昨年7月に発表した就業構造基本調査では、役員を除く雇用者のうち、非正規社員は全体で2,043万人となり、初めて2,000万人を突破して、比率も38.2%と、実に働いている人の3分の1が非正規労働者であり、男女ともに過去最高の人数となりました。

  これは、産業構造がパート比率の高いサービス業に転換していることなどの背景がありますが、中でもパートやアルバイトとして働く女性は、非正規の比率が57.5%と半数を大きく上回ります。

  さきに質問した、ひとり親家庭の特に母子家庭の貧困問題もここに大きな要因があると言えます。

  そして、過去5年間に介護や看護のために職を離れた人は487,000人ですが、このうち、女性は389,000人で、約8割に達します。高齢化に伴う介護や家事の負担は、以前から女性にしわ寄せされやすい状況でしたが、こうしたことも女性が安定して質の高い働き方をするための壁となっていることを再認識しなければならないと思います。

  親の介護のみならず、家計を補おうとパートで働く女性も、以前より増して、時間的制約がある人などが、あえて非正規社員を選ぶ方もいらっしゃいますので、一概に非正規での働き方を否定するわけではありませんが、雇う側の企業にとっては、人件費を支払う上で、それが好都合であり、低賃金の仕事の拡大に拍車がかかってきたとも分析できます。

  また、正社員だった方が、離職して転職する場合を見てみると、転職前に正社員だった人のうち、40.3%が非正規になっているとのことです。このように、一度、就職や転職に失敗すると、やり直しが困難であり、結局、同居するほかの家族などに経済的に頼らざるを得なくなったり、本人としても不本意であり、将来に対しても夢が持てなくなくなるのではと、私も日ごろから大変心配している問題です。これは、そのまま少子化問題に直結しているからこそ、なおさら改善していくべきと考えています。

  また、仕事探しをあきらめたり、精神的にふさぎ込んでひきこもりになったりと、若年層の34歳までに占めるニートの比率は、5年前に比べても微増しています。働く意欲を失った若者がふえれば、経済の活力も弱くなるばかりか、当事者にとっては、病など体がついていかなくなったときの保障はなく、低年金や生活保護の受給者になる可能性やリスクがあり、不安な気持ちで暮らすことになると思います。

  また、昨今では、ブラック企業等の劣悪な職場環境に耐え切れずに、正社員だが離職したなど、多様な要因があります。たとえ、自分の意思で離職したとしても、不本意な形で離職を余儀なくされたとしても、この日本社会が何度でもやり直せる雇用環境になっていくことを、私は心底願っているところです。

  本県では、非正規雇用から正社員雇用に転職しようとする若者を対象に、また新たな委託事業を始めたと聞いております。ここ10年を見ても、なかなか変わることが困難だった雇用問題の解決に向けて、一歩でも進めていけるような、斬新で先進的な取り組みが、今、行政にも強く求められているのではないでしょうか。

  そこで、産業労働局長に伺います。

  正規雇用を希望しながらも、非正規雇用で働いている若者に対して、これまで県はどのような支援をしてきたのか、また、今年度、新たな取り組みとしてどのような事業を実施しているのかお伺いいたします。

  質問の第4は、子どもたちの道徳心・マナーの向上についてです。

  このほど、小中学校の道徳を教科化することが協議され、長い間、形骸化していた道徳の時間を立て直し、全ての教師が道徳と真剣に向き合える環境を整えていこうとする国の方向性が検討されています。

  以前から、いじめや不登校の問題は深刻でしたが、昨今では重大な少年犯罪が多発したことや、フェイスブックやツイッター等のソーシャルネットワークサービスでのトラブルなど、情報化に伴って起こるさまざまな問題もふえ、若者の間ではLINEによるいじめも頻出しています。ほかにも公共の場でのマナーの欠如等、多くの現代的な課題がある中で、教育の場での教えが重要であることが再認識された結果と言えます。

  道徳の時間は、温かい人間関係が基盤にあってこそ効果を発揮するものであり、日常から教師と児童や生徒たちの間で、信頼関係や人間関係を一層育てていくような不断の心がけが大切であると思います。

  また、生徒みずからが成長を実感するようなことができ、自己や社会の未来に夢や希望を持ち、実社会に出たときに簡単にくじけないような精神力を養い、意欲的に生きていくための力を身につけていくことができるようにするのが、道徳教育の本来の目的ではないかと考えます。

  生徒の発達や個々に応じた指導、子供たちの内面に根差した教えも大切ですし、また核家族化している状況下、実社会に出る前に知っておきたいさまざまなキャリア教育についても、非常にためになる内容が多いと思います。

  このように、決して教師自身の偏った考えなどや押しつけではなく、常識的な範囲での道徳教育をきちんと行うといった指導体制を、県としても大きく捉えながらも、ここは丁寧に取り組んでいく必要があると考えます。

  社会生活においては、公共の心を大切にし、法や決まりを守るとともに、協力しながら安心して生活ができる社会をつくっていこうとする社会連帯の自覚は欠かせません。このような社会を支え、ともに生きる一員となるためには、豊かな人間性や社会性などを育むことが重要であり、他人を思いやる心や社会貢献の精神など、道徳的価値を大切にする心が大事であります。

  このような心を育てるためには、社会と家庭での取り組みとともに、今までにも増して、学校教育における道徳教育が大変重要であり、犯罪の多発や情報化によるさまざまなモラルの問題や善悪の判断や道徳、マナー等について、人として正しく生きるという、いつまでも変わらない人の道というものがあるのではないでしょうか。

  次代を担う子供たちにこのことを正しく教えることこそが、道徳教育にほかならないと考えます。同時に、教職員自身も道徳心について、常に子供たちとともに考えていくべきであると思います。

  国において、道徳の教科化など、新たな道徳教育のあり方が協議されたことを受け、我が県においても、道徳教育をしっかりと充実していってほしいと思います。また、子供たちに善悪の判断や道徳、マナー等を教える教員の資質は、より一層培われなければいけないと考えます。

  そこで、教育長に質問いたします。

  これまでも、未来を支える子供たちが健全な大人として成長するために、さまざまな取り組みをされてきたと思いますが、今後、県教育委員会として、道徳教育の充実に向け、教える者の資質の向上も含めて、どのように取り組んでいくのか、教育長の見解をお伺いいたします。

  最後に、検視体制の在り方について伺います。

  高齢化社会の到来、東日本大震災の教訓等を踏まえ、平成24年に、国では死因究明二法が成立し、本年6月に死因究明等推進計画が閣議決定されたところです。国を挙げて、犯罪死の見逃し防止を初めとした死因究明と身元確認を推進しているところ、本県では県警察が死因究明の一翼を担っていると認識しております。

  10年前の2004年。酷暑が続いた8月下旬、昼過ぎに私は父の電話で耳を疑うような訃報を聞き、実家に駆けつけました。家全体がブルーシートで覆われ、警察の方が何人か家の中を調べているのを目の当たりにしました。

  全く涙を流さない父と母と私が居間で呆然と立ち尽くすばかりでした。同じ家に住んでいながら、朝から何時間も弟の死に気づかずにいた両親の心の痛みははかり知れません。自殺なのか、何なのか原因がわからず、私はどうしても真相を知りたいという思いが一番強くありました。

  私と弟は8歳も離れていて、小さいころからかわいがり、仲がよかっただけに、心が癒えるまでには実に3年の月日を要しました。そのときの警察の方々と監察医の丁寧な対応は、今もってしっかりと私の脳裏に焼きついています。

  結局、死体検案書だけではなく、私は後日、監察医にアポをとって改めて会っていただきました。あざが顔面にあったのですが、他殺でもなく、自殺でもなかったことを1時間もかけて丁寧に説明してもらい、そのご恩は一生忘れません。

  就職氷河期にあった弟世代は、希望どおりの就職がスムーズにはいかず、司法試験の勉強を毎日長時間していましたけれども、私や家族がプレッシャーをかけ続けていたからなのか、でも自殺するような子じゃないなどとあれこれ考え続けていました。

  全身を解剖して調べてもらった結果、原因は急性出血性膵臓壊死で一夜にして亡くなり、激痛のために七転八倒した末、書棚にぶつかったりしてあざができたと懇切丁寧に教えてくれ、自殺ではなかったという真相がわかっただけで、遺族として救われる思いでした。

  そのとき、監察医から、実は若い人の突然死はよくあるものですという言葉に私は驚きましたし、毎日がすごく忙しくて年間3,000体以上の遺体を見ている状況ですと打ち明けられ、私はその数に唖然としました。そんなには体制が整ってはいないのだということを初めて知り、私は何年かして議員になってからも、ずっと気になっていたのが、この検視体制のあり方についてでした。

  神奈川県警察の死体取扱数は平成17年に1万件を超え、ここ数年は1万3,000件で推移しています。検視体制が少しずつ充実してきたとはいえ、現在も1日24時間で35体前後、12時間だと1718体を検視しているとお聞きしました。非常に多忙とのことです。

  今後は、高齢多死社会とも言われ、高齢者の方が配偶者の死に直面したり、認知症などの徘回による検視や身元確認の必要性がさらに高まるのではないかと考えます。

  東日本大震災のときには、県警でも遺体検視と身元確認等にも積極的にかかわり、警察全体で検視を行った遺体は1万5,000体を超えたとのことです。こうした検視等に際して、遺体の指紋、掌紋及びDNA型検査資料の採取や歯牙形状の記録が行われ、特に身元確認に有効な歯牙鑑定のために、全国から多くの歯科医師も被災地に入られたとのことです。

  このように、いつあるかわからない災害のときにも、不断の検視体制や身元確認の質、数がそのまま反映されると考えております。

  坂は幾つかあるけれど、まさかの坂になるとは悔しいと、家族の中で一番若い弟のつつましやかな葬儀のときに、父が静かに残した言葉です。

  残された遺族にとっては、身近な家族の死に対して大きなショックを受けており、検視や解剖の手続、死因等について、遺族感情に配意した丁寧な対応が必要と考えております。死因究明や遺族対応は検視官の役割と認識しており、これまでに検視官の体制は、質、数ともに充実強化されてきたと聞いております。

  そこで、警察本部長にお伺いいたします。

  神奈川県警察での現在の検視体制のあり方についてお伺いします。また、死因究明の柱の一つである身元確認に有効な歯牙鑑定を実施する歯科医師との連携状況についても、あわせて見解をお伺いいたします。

  私の第1回目の質問は以上です。

  ご清聴ありがとうございました。

〔拍 手〕

〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕

〇副議長(小川久仁子) 黒岩知事。

〔知事(黒岩祐治)登壇〕

 

〇知事(黒岩祐治) 内田議員のご質問に順次お答えしてまいります。

  初めに、ひとり親家庭への支援についてお尋ねがありました。

  ひとり親家庭の総所得は、平成25年国民生活基礎調査によると、母子世帯で平均243万円となっており、児童がいる全世帯の平均673万円と比べると非常に低い水準で、経済面での支援が必要です。また、多くは仕事をしながら一人で子育てを行っており、生活面でのサポートも必要です。

  そこで、まず、経済面での支援ですが、国は児童扶養手当の支給、福祉資金の貸し付け、高等職業訓練促進給付金の支給などを制度化しています。例えば、児童扶養手当では、児童1人の場合、月額最大4万1,020円を支給し、福祉資金では、児童が高校や大学に就学するための資金として月額最大9万6,000円を貸し付けています。また、高等職業訓練促進給付金では、ひとり親が看護師などの資格取得のために就学する際、月額最大10万円を支給しています。

  こうした国の制度において、県と市町村は一部財政負担をするとともに、県と市町村は、ひとり親家庭の親子が医療機関を受診した際の自己負担分の助成を行っています。

  次に、生活面での支援ですが、国はひとり親家庭の親の就業と子育ての両立を支援するため、親の病気などの際にヘルパーを派遣する日常生活支援事業を制度化しています。

  こうした制度を活用していただくため、県は保健福祉事務所に母子自立支援員を配置し、自立に必要な貸付金の案内や生活全般にわたる相談に応じています。また、保健福祉事務所や市町村の窓口でリーフレットを配付するなど、制度の周知に努めています。

  しかし、さまざまな制度があり、対象や条件も制度ごとに異なって複雑なため、必要な方に十分な情報が届いていないおそれもあります。そこで、より広くお伝えできるよう、県のたよりなどでも周知を行うとともに、窓口でのきめ細かい相談を行ってまいります。

  ひとり親世帯の数は、国の調査によると、この15年間で約3割も増加しています。子供の将来が生まれ育った環境で左右されないよう、引き続きしっかりと支援を行うとともに、国に対しても、ひとり親家庭への医療費助成を国の制度とするなど、支援策の充実を働きかけてまいります。

  次に、女性の活躍の推進についてお尋ねがありました。

  私は、働く意欲と能力を持った女性がその力を存分に発揮することは、本県経済の活性化に欠かせないものと考えております。このため、女性が開発に貢献した商品を認定し、広くPRする神奈川なでしこブランド事業を立ち上げました。

  そして、今年2月には、女性料理研究家が考案したしらすの沖漬けや女性社長が開発したワインボトル入り高級茶、ロイヤルブルーティーなど、個性あふれる44件の商品を認定したところです。

  この取り組みは、女性の活躍を後押しするだけでなく、企業のイメージアップや商品の販売促進など、企業にとっても大きなメリットがあります。実際、認定企業からは、認定を機に女性の登用が進んだ、知名度が上がり、売り上げも伸びた、入社を希望する女性がふえたといった声が寄せられています。

  今後は、女性の活躍が企業にとってメリットがあることを、より多くの企業に理解していただくことが必要です。そこで、なでしこブランドに認定されることの効果をわかりやすくPRしてまいります。

  具体的には、この8月に、認定された商品の紹介に加えて、商品の開発に携わった女性の顔写真とコメントを大きく掲載したパンフレットを作成しました。商品の開発に携わった女性自身に焦点を当て、苦労した点やそれを乗り越えた達成感などをみずから紹介することで、働く多くの女性たちのモチベーションアップにつなげたいと考えています。

  そこで、今後はこのパンフレットを活用するだけでなく、この女性たちに県の広報番組やイベントにも出演していただき、みずからの体験を直接語っていただくことにより、新たなムーブメントを起こしてまいります。

  こうした取り組みを進めていくことで、女性の活躍が当たり前になり、なでしこブランドがもはや必要なくなる、そうした社会を一日も早く実現したいと考えています。

  私からの答弁は以上です。

〔産業労働局長(蛯名喜代作)発言の許可を求む〕

〇副議長(小川久仁子) 蛯名産業労働局長。

〇産業労働局長(蛯名喜代作) 産業労働局関係のご質問にお答えします。

  非正規雇用の若者への就職支援についてお尋ねがありました。

  総務省の就業構造基本調査によると、本県における15歳から24歳までの非正規雇用者数は平成24年で約226,000人となっており、この年齢層の雇用者全体に占める割合は56.2%と過去最高となっております。

  非正規雇用は正規雇用と比べて雇用が不安定で、将来の生活設計がなかなか描けず、また賃金が上がらず、経済的にも厳しい状況に置かれています。このため、非正規雇用の増加は、今後の社会経済基盤に大きな影響を及ぼす問題です。特に、正規雇用を希望しながら非正規で働く若者の雇用の安定は重要な課題です。

  県では、これまで新卒の未就職者に対して、社会人としての基礎的な能力を高める人材育成事業を実施してきました。昨年この事業を活用し、参加者の募集に当たり、新たに非正規雇用者のための優先枠を設定し、その結果、77名の方を正規雇用に結びつけたところです。

  しかしながら、多くの企業は、正規雇用者には即戦力としての能力を求めます。そこで、今年度から非正規の若者を対象に、企画力、コミュニケーション能力、表現力など、実践的な能力を育成する事業を新たに行うこととしました。

  具体的には、県はこの事業を委託する企業に、まず若者を社員として有給で雇用し、社内プロジェクトチームのスタッフとして、調査、企画、企業への訪問や資料の取りまとめなど、幅広い業務を担当させてもらいます。こうして若者にビジネスマナーから実践的な能力まで身につけさせます。さらに、委託先企業には、個人の適性や意向に応じたキャリアカウンセリングや職業紹介などもあわせて行っていただき、若者が正社員として就職できるようきめ細かく支援していきます。

  この事業を通じて、一人でも多くの若者が正規雇用で働けるよう、しっかりと取り組んでまいります。

  私からの答弁は以上です。

〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕

〇副議長(小川久仁子) 桐谷教育長。

〇教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。

  子供たちの道徳心、マナーの向上についてお尋ねがありました。

  現在、小中学校の道徳教育は、道徳の時間を初めとして、総合的な学習の時間や学級活動など、さまざまな場面で行われています。例えば、小学校の道徳の時間では、子供たちが親しみやすい紙芝居を使い、登場人物を通じて友達と仲よく助け合うことの大切さに気づかせる授業を行っています。

  また、中学校では、宿泊体験を題材に、日ごろの学校生活では気づかなかった友達のよい面を発表し合うなど、互いを尊重し、理解し合うことのすばらしさを学ぶ授業を展開しています。

  こうした子供の発達の段階等を考慮しながら、子供たちの道徳性を養う授業を行うためには、教員の創意工夫や高い指導力が必要です。現在、小中学校では、各学校の教員の中から1名を、道徳教育を推進する中核的な教員として位置づけています。

  県教育委員会では、これらの教員を対象に、各学校において効果的に道徳教育が推進されるよう、毎年研修会を開催しています。その中で、道徳教育を組織的、計画的に実践していく上での課題とその対策などについて検討しています。

  今後は、これらの研修内容に加え、例えば他校の授業を参観した後、指導方法について協議するなど、より実践的な研修となるよう改善していきます。そして、研修成果を各学校に持ち帰り、校内研修を実施することで、教員一人一人の道徳教育に対する指導力の向上を図っていきます。

  こうした道徳を指導する教員の資質向上とあわせて、今般、国が作成した私たちの道徳等の教材を有効に活用していきます。また、道徳の教科化についてなど、国の新たな動きも注視しながら、道徳教育のさらなる充実に取り組んでまいります。

  答弁は以上でございます。

〔警察本部長(松本光弘)発言の許可を求む〕

〇副議長(小川久仁子) 松本警察本部長。

〇警察本部長(松本光弘) 検視体制のあり方についてお答えいたします。

  県警察のご遺体の取り扱い数は、議員ご発言のとおり、ここ数年は1万3,000体前後で推移しておりまして、昨年は1万2,725体でありました。これは警視庁、大阪府警に次いで全国3番目の取扱数となっております。

  警察が取り扱うご遺体について、その死亡が犯罪行為に起因するか否かを判別するためには、法医学的な知見を有する検視官が現場に臨場することが望ましく、検視官やその補助を行う者の体制の充実強化が重要と認識しております。

  そのため、県警察の検視体制については、平成16年に10人体制であったものを、現在では検視室を設置し、43人体制、4倍以上に増員したところであります。その結果、検視官の現場への臨場率も平成16年中の10.8%から、25年中には52.0%、5倍近く、ポイントで言うと41.2ポイントの増加をいたしております。

  また、ご遺族に対しては、女性警察官を登用し、不安や疑問点の解消に努めるなど、きめ細かいご遺族への対応を行っているところであります。

  今後とも、可能な限り検視官を臨場させるなど、犯罪死の見逃し防止の観点から、死因究明に努めてまいりたいと考えております。

  次に、歯科医との連携についてでありますが、議員ご指摘のとおり、歯科医の方々の協力を得て行う歯牙鑑定、これは歯形や治療痕による個人識別でありますけれども、DNA鑑定に比べまして、短期間で身元を確認できるということで、早期にご遺族にご遺体をお返しできるというものでございます。

  東日本大震災におきましては、現地の警察では、歯科医師会と連携いたしまして歯牙鑑定を行い、多数のご遺体をご家族のもとにお返ししており、現在でも、全国では年間700から800件の歯牙鑑定、このうち、本県では100件程度の歯牙鑑定を実施しているところであります。

  また、平成23年の秋からは、鑑定の精度を高めるために、歯科医との連携のもと、歯牙鑑定にポータブルレントゲン装置を活用しておりまして、これは本年8月に開催された警察歯科医会全国大会におきまして、当県警から発表いたしましたところ、全国的にも大変注目を集めたということもございます。

  今後とも、一人でも多くのご遺体を少しでも早くご家族のもとにお返しできるよう、歯科医の先生方との連携を図りながら、適切な歯牙鑑定の実施に努めてまいりたいと存じます。

  以上でございます。

〔内田みほこ議員発言の許可を求む〕

〇副議長(小川久仁子) 内田みほこさん。

〇内田みほこ議員 知事、産業労働局長、そして教育長、警察本部長におかれましては、ご答弁いただきましてありがとうございました。

  時間の関係で、要望を二つに絞って申し述べたいと思います。

  一つは、女性の活躍の推進でありますが、私がいろいろ調べたところ、埼玉県のほうでは、産業労働部というのがありまして、今年の9月にも行っていたのですけれども、SAITAMA SmileWomenフェスタというのが2日間にわたって、昨年は来場者が1万8,000人ということで、女性のための、趣味も仕事も子育てももっと楽しむというキーワードで行われていまして、埼玉県のホームページを見ますと、非常に力を入れているのが見て取れましたし、公式ホームページもありました。

  こういった近県のいろいろないい例を見習っていただきながら、神奈川県の産業労働局でも、こうした女性のために何かできないかということを常に考えていただきたいと、後押ししていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

  もう一つは、最後に質問いたしました神奈川県の検視体制のあり方についてですが、まずは歯牙鑑定について、今、ポータブルのレントゲン装置がすごく役立ったということです。私も日曜日に鶴見大法医歯学の佐藤慶太博士に直接お目にかかってお話を聞いてまいりましたが、ポータブルのレントゲン装置が非常に役立つということで、できればもうちょっと数をふやしてほしいといったことをおっしゃっていましたので、こういった現場の声、細かい事ですけれども、ぜひ今後の連携のときに聞いていただければと思います。

  もう一つは、歯形のカルテのデータベース化、これをやったほうがいいのではないかということで、これがあることによって、災害時にもカルテと照合できる。歯牙鑑定は時間がかからない、4日間で調べられる、ところが、DNA鑑定だと21日かかると、こういった時間的なこともありますので、ぜひその辺も声を聞いてあげてほしいと思います。

  もう一人、月曜日の夜に監察医の津田征郎氏のご自宅に伺いました。もう75歳なのですけれども、今年も何と225体のご遺体を解剖しているということで、やはり、人づくりというか、後継者ですね。検視官の方々も、もちろん質を上げるためにそうした方のご協力も必要だと思いますし、監察医制度が廃止されるということで、これからさらに県警の検視官室の役割というのが、非常に比重が大きくなるのではないかと見ていますので、ぜひ今後もそういった面で、神奈川県警といたしましては、大変なお仕事で敬意を表しながら、私も、今後期待しているところであります。

  また、女性の警察官を入れて、検視補助官とか、いろいろふやしているみたいですけれども、ご遺族に対して、非常に丁寧な心のこもった説明ができるのではないかと思っておりますので、その辺も期待しております。

  私の質問と要望は以上でございます。

  ご清聴ありがとうございました。

〇副議長(小川久仁子) お諮りいたします。

  休憩いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇副議長(小川久仁子) ご異議がないと認めます。

  よって、休憩いたします。

  なお、再開は20分後といたします。いたします。